(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220418BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20220418BHJP
E04B 1/68 20060101ALI20220418BHJP
E04B 1/684 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04B2/56 644C
E04B1/68 Z
E04B1/684 A
E04F13/08 X
(21)【出願番号】P 2017195732
(22)【出願日】2017-10-06
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 哲也
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054243(JP,A)
【文献】特開2007-100378(JP,A)
【文献】特開2005-290785(JP,A)
【文献】実開平06-028066(JP,U)
【文献】特開平02-164963(JP,A)
【文献】特開平07-180318(JP,A)
【文献】特開2004-076553(JP,A)
【文献】米国特許第05263294(US,A)
【文献】登録実用新案第3116740(JP,U)
【文献】実開昭63-096106(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04B 2/56
E04B 1/68
E04B 1/684
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に取り付けられて用いられるサイディング用の目地ジョイナーであって、
前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有する本体を備えており、
前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、これら前記一対の対向壁と前記接続壁とによってコの字形状とされ、
前記一対の対向壁
の前記サイディングの端面によって覆われる領域及び前記接続壁の少なくともいずれかには、前記突条部の内部空間と外部とを連通する
通水用の孔が形成されていることを特徴とする目地ジョイナー。
【請求項2】
サイディング用の目地ジョイナーであって、
前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有する本体を備えており、
前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、
前記一対の対向壁及び前記接続壁の少なくともいずれかには、前記突条部の内部空間と外部とを連通する孔が形成されており、
前記本体は、前記突条部の一対の対向壁の他端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有しており、
前記突条部は、内側が開口しており、
前記本体の内側裏面には、前記開口を覆う第2パッキンが設けられていることを特徴とす
る目地ジョイナー。
【請求項3】
前記本体は、前記突条部の一対の対向壁の他端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有しており、
前記孔は、前記接続壁に形成されており、
前記受け部の外側表面には、第1パッキンが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の目地ジョイナー。
【請求項4】
前記本体は、前記受け部の先端から内側に向かって延在する側板部、及び、前記側板部の内側の端部から横側に張り出す取付板部をさらに有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の目地ジョイナー。
【請求項5】
前記本体は、前記取付板部の先端から前記サイディングに向かって延在し、前記サイディングの前記内側裏面と当接可能な突出部をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の目地ジョイナー。
【請求項6】
表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、
前記外壁下地材に前記防水シートを介して鉛直方向に取り付けられた目地ジョイナーと、
前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、を備えており、
前記目地ジョイナーは、前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有しており、
前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、これら前記一対の対向壁と前記接続壁とによってコの字形状とされ、
前記突条部
の前記一対の対向壁の前記サイディングの端面によって覆われる領域及び前記接続壁の少なくともいずれかには、当該突条部の内部空間と外部とを連通させる
通水用の貫通孔が形成されていることを特徴とする外壁構造。
【請求項7】
前記突条部は、その内側端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有し、
前記貫通孔は、前記突条部の外側に形成されており、
前記サイディングの継ぎ目側端部と前記受け部との間に第1パッキンが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイディングと外壁下地材との間に配置される目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物では、例えば、構造合板、防水シート、胴縁などで構成される外壁下地材の施工後、建築物の外装となるサイディングが胴縁又は通気金具を介して外壁下地材に取り付けられる。このサイディングは、目地において直線的に接合された外観を得る必要がある。そこで、目地の位置合わせを行う目地ジョイナーが用いられる。
【0003】
目地ジョイナーとして、特許文献1に記載のような、突条部を有するものがある。この目地ジョイナーは、突条部の両側にサイディングの端面を突き合わせ、その端面間に継ぎ目が構成される。そして、目地ジョイナーの突条部の先端側にコーキング材(シール材)が充填され、継ぎ目から雨水などの水が内部に侵入しないように止水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の目地ジョイナーにおいては、自身が止水機能を有していないため、サイディングの収縮や反り、また経年劣化等によって、コーキング材の止水機能が失われてしまうと、水がサイディングの継ぎ目から目地ジョイナーとサイディングとの間の隙間を介してサイディングと外壁下地材との間に侵入する。このように水が侵入すると、サイディングの外壁下地材と対向する裏面などにカビなどが生じやすくなるばかりか、外壁下地材の内部へと水が侵入する虞がある。このため、コーキング材の打ち直し工事を行うなどの大掛かりな工事が必要となる。また、サイディングの継ぎ目にコーキング材を用いないものに、上記の目地ジョイナーを用いた場合、止水機能がないため、水がサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間に侵入するという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、シール材が劣化して止水機能を失ったとしても、またシール材を用いなくても、水の侵入を抑制することが可能な目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目地ジョイナーは、鉛直方向に取り付けられて用いられるサイディング用の目地ジョイナーであって、前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有する本体を備えている。そして、前記突条部に貫通孔(開口)を設けたことを特徴とする。例えば、前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、これら前記一対の対向壁と前記接続壁とによってコの字形状とされ、前記一対の対向壁の前記サイディングの端面によって覆われる領域及び前記接続壁の少なくともいずれかには、前記突条部の内部空間と外部とを連通する通水用の孔が形成されている。
【0008】
これによると、サイディングの継ぎ目から侵入する水が孔に入りやすくなって、サイディングと突条部との間から内側への水の侵入を抑制することが可能となる。例えば、サイディングの継ぎ目にシーリング材を充填しないオープンジョイントとした場合であっても、外壁通気工法のようにサイディングと外壁下地材との間に通気層を設けることで、外壁内外で気圧の差を発生させずにできて、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が容易に入らないようにでき、もしサイディングの継ぎ目から雨水が浸入したとしても、雨水を孔から突条部内に侵入させて、突条部内(内部空間)に入った雨水を内部空間内において下方へと導いて外部に排出することができる。
【0009】
また、本発明の目地ジョイナーは、別の観点では、サイディング用の目地ジョイナーであって、前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有する本体を備えており、前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、前記一対の対向壁及び前記接続壁の少なくともいずれかには、前記突条部の内部空間と外部とを連通する孔が形成されており、前記本体は、前記突条部の一対の対向壁の他端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有しており、前記突条部は、内側が開口しており、前記本体の内側裏面には、前記開口を覆う第2パッキンが設けられている。
これによると、サイディングの継ぎ目から侵入する水が孔に入りやすくなって、サイディングと突条部との間から内側への水の侵入を抑制することが可能となる。例えば、サイディングの継ぎ目にシーリング材を充填しないオープンジョイントとした場合であっても、外壁通気工法のようにサイディングと外壁下地材との間に通気層を設けることで、外壁内外で気圧の差を発生させずにできて、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が容易に入らないようにでき、もしサイディングの継ぎ目から雨水が浸入したとしても、雨水を孔から突条部内に侵入させて、突条部内(内部空間)に入った雨水を内部空間内において下方へと導いて外部に排出することができる。また、孔を介して内部空間に入った水が、サイディングの内側へ漏れ出すのを効果的に抑制することが可能となる。
また、本発明において、前記本体は、前記突条部の一対の対向壁の他端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有しており、前記孔は、前記接続壁に形成されており、前記受け部の外側表面には、第1パッキンが設けられていることが好ましい。これによって、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が浸入するのを防止できる。
【0011】
また、本発明において、前記本体は、前記受け部の先端から内側に向かって延在する側板部、及び、前記側板部の内側の端部から横側に張り出す取付板部をさらに有していることが好ましい。これにより、外壁下地材とサイディングとの間に通気層を形成でき、オープンジョイントとした場合であっても、外壁内外で気圧の差を発生させずにできて、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が侵入するのを効果的に抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記本体は、前記取付板部の先端から前記サイディングに向かって延在し、前記サイディングの前記内側裏面と当接可能な突出部をさらに有していることが好ましい。これにより、受け部とサイディングとの間から水が侵入したとしても、突出部よりも外側に濡れ広がるのを抑制することが可能となる。
【0013】
本発明の外壁構造は、表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、前記外壁下地材に前記防水シートを介して鉛直方向に取り付けられた目地ジョイナーと、前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、を備えている。そして、前記目地ジョイナーは、前記サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部を有しており、前記突条部は、前記サイディングの端面とそれぞれ対向する一対の対向壁と、当該目地ジョイナーを取り付けたときに外側となる前記一対の対向壁の一端部同士を接続する接続壁とを有し、これら前記一対の対向壁と前記接続壁とによってコの字形状とされ、前記突条部の前記一対の対向壁の前記サイディングの端面によって覆われる領域及び前記接続壁の少なくともいずれかには、当該突条部の内部空間と外部とを連通させる通水用の貫通孔(開口)が形成されている。
【0014】
これによると、サイディングの継ぎ目から侵入する水が孔に入りやすくなって、サイディングと外壁下地材との間に向かう水が少なくなる。このため、サイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。例えば、サイディングの継ぎ目にシーリング材を充填しないオープンジョイントとした場合であっても、外壁通気工法のようにサイディングと外壁下地材との間に通気層を設けることで、外壁内外で気圧の差を発生させずにできて、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が容易に入らないようにでき、継ぎ目から雨水が侵入したとしても雨水を貫通孔から突条部内へ侵入させることができる。なお、貫通孔を介して突条部の内部空間に入った水は内部空間内において下方へと流れて外部に排出される。また、防水シートによって外壁下地材の内部に水が侵入するのを抑制することが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記突条部は、その内側端部から横側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を内側裏面から受ける受け部を有し、前記貫通孔は、前記突条部の外側に形成されており、前記サイディングの継ぎ目側端部と前記受け部との間に第1パッキンが設けられていることが好ましい。これにより、サイディングと突条部との間から外壁内側に雨水が浸入するのを防止でき、貫通孔を介して突条部の内部空間に入った水が、サイディングと外壁下地材との間の空間へ浸入するのを効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の目地ジョイナー及び外壁構造によると、サイディングの継ぎ目から侵入する水が孔に入りやすくなって、サイディングと外壁下地材との間に向かう水が少なくなる。このため、サイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図2】
図1に示す目地ジョイナーの要部斜視図である。
【
図3】第1変形例に係る外壁構造の要部横断面図である。
【
図4】第2変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図5】第3変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図6】第4変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図7】第5変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図8】第6変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【
図9】第7変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る目地ジョイナー20、及び目地ジョイナー20が用いられた外壁構造100について、
図1及び
図2を参照しつつ以下に説明する。なお、
図1は、外壁構造の要部横断面図であり、
図1中紙面垂直方向が鉛直方向Aであり、
図1に示す上方が表面側(外側)、下方が裏面側(内側)である。また、
図1中左右を左右方向(横方向)Bとする。他の図においても、説明の便宜上、
図1に示す方向を基準として示す。
【0019】
本実施形態における外壁構造100は、
図1に示すように、外壁下地材1と、外壁下地材1に取り付けられた複数のサイディング11と、目地ジョイナー20とで構成されている。外壁下地材1は、複数の柱(不図示)に固定される構造用合板1a、構造用合板1aの表面1a1に貼り付けられた透湿防水シート1b、及び、透湿防水シート1b及び構造用合板1aを介して柱又は間柱に固定される竪胴縁(ともに不図示)など、公知の部材によって構成されている。
【0020】
複数のサイディング11は、
図1に示すように、左右方向Bの端面11aを外壁下地材1に固定された目地ジョイナー20の突条部21に当接させた状態(目地ジョイナー20を継ぎ目30に挟んだ状態)で、金具(不図示)などを用いて外壁下地材1に固定されている。これにより、複数のサイディング11が目地ジョイナー20によって位置決めされ、鉛直方向Aに延在する継ぎ目30が端面11a間に構成される。
【0021】
目地ジョイナー20は、
図1に示すように、外壁下地材1側に配置され、サイディング11の位置決めをするものである。目地ジョイナー20は、
図2に示すように、一方向(鉛直方向A)に沿って長尺に形成されており、その長手方向が鉛直方向となるようにして、外壁下地材1の透湿防水シート1b上に釘9(
図1中二点鎖線で示す)などで固定される。目地ジョイナー20は、突条部21及び2つの受け部22を有する本体25を含む。
【0022】
本体25は、薄い金属板を折り曲げて構成された一枚の板金部材からなり、鉛直方向Aに沿って長尺に形成されている。本実施形態における本体25は、鋼板やアルミニウム板などの金属板から構成されているが、硬質合成樹脂板から構成されていてもよい。
【0023】
突条部21は、
図1に示すように、サイディング11の端面11aとそれぞれ対向する一対の対向壁21aと、一対の対向壁21aの外壁下地材1と最も離れた端部(外側端部)を接続する接続壁21bとを有しており、外壁下地材1に向かって開口する凹形状となっている。突条部21の一対の対向壁21aのそれぞれには、
図1及び
図2に示すように、突条部21の内部空間21dと外部とを連通する複数の孔(貫通孔)21a1が形成されている。内部空間21dは、本体25と外壁下地材1との間であって一対の対向壁21a及び接続壁21bによって囲まれている。また、内部空間21dは、鉛直方向Aに沿って延在しており、その両端において、外部と連通している。複数の孔21a1は、各対向壁21aにおいて、鉛直方向Aに沿って長尺に延在しており、且つ鉛直方向Aに互いに離隔して配置されている。なお、
図1及び
図2には、各対向壁21aに1つの孔21a1のみ示している。
【0024】
2つの受け部22は、一対の対向壁21aの外壁下地材1側(内側)の端部から左右方向Bに沿って横側にそれぞれ張り出すようにして形成されている。また、各受け部22は、
図1に示すように、サイディング11の継ぎ目側端部の裏面(内側裏面)11cを受ける。
【0025】
このような目地ジョイナー20は、
図1に示すように、受け部22と透湿防水シート1bとが接するようにして配置されるとともに、受け部22の表面22aから釘9によって目地ジョイナー20が外壁下地材1に固定される。この後、端面11aを突条部21に当接させつつ裏面11cが受け部22の表面22aに当接するようにして、2枚のサイディング11が金具によって外壁下地材1に取り付けられる。なお、目地ジョイナー20は、2枚のサイディング11が外壁下地材1に取り付けられたときに、サイディング11の表面11bと突条部21の先端面(接続壁21bの表面)とが同一平面レベルに配置されるように、構成されている。こうして、外壁構造100が構成される。
【0026】
以上に述べたように、本実施形態の目地ジョイナー20及びこれを用いた外壁構造100によると、サイディング11の継ぎ目30から突条部21と端面11aとの間に水が侵入してきても、当該水が孔21a1に入りやすくなる。このため、サイディング11と外壁下地材1との間に向かう水が少なくなり、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。このように目地ジョイナー20に孔21a1が形成されていることで、継ぎ目30にコーキング材(シール材)が設けられていなくても、水の侵入を抑制することができる。なお、孔21a1を介して内部空間21dに入った水は内部空間21d内において下方へと流れて外部に排出される。また、突条部21の開口21cは、透湿防水シート1bによって覆われて塞がれている。このため、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が外壁下地材1の内部への侵入や、サイディング21と外壁下地材1との間の空間へ漏れ出すのを抑制することが可能となる。
【0027】
また、サイディング11の継ぎ目30にシール材を充填しないオープンジョイントとした場合であっても、外壁通気工法のようにサイディング11と外壁下地材1との間に通気層を設けることで、外壁内外で気圧の差を発生させずにできて、サイディング11と突条部21との間から外壁内側に雨水が容易に入らないようにでき、もしサイディング11の継ぎ目30から雨水が浸入したとしても、雨水を孔21a1から突条部21内に侵入させて、突条部21内(内部空間21d)に入った雨水を内部空間21d内において下方へと導いて外部に排出することができる。
【0028】
第1変形例に係る外壁構造150について、
図3を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。本変形例における外壁構造150は、端面111a間に構成された継ぎ目130において、コーキング材(不定形シール材によるシーリング材、シール材)50が、サイディング111の表面111b側に充填して形成されている。また、サイディング111は、上述のサイディング11よりも厚みが分厚く形成されているだけで、これ以外はサイディング11と同様である。外壁構造150は、これらの点が上述の外壁構造100と異なるだけで、これら以外は外壁構造100とほぼ同様である。目地ジョイナー20は、コーキング材50よりも外壁下地材1側(すなわち、内側)に配置されている。本変形例におけるコーキング材50は、公知の変成シリコンから構成されているが、他の材質から構成されていてもよい。このような外壁構造150においては、継ぎ目130に1次シールとしてのコーキング材50が配置されていることで、継ぎ目130内に水が入りにくくなる。また、コーキング材50が劣化して止水機能を失ったとしても、目地ジョイナー20に孔21a1が形成されていることで、上述の実施形態と同様に、水の侵入を抑制することができる。
【0029】
第2変形例として、目地ジョイナー220が用いられた外壁構造200及び目地ジョイナー220について、
図4を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造200は、目地ジョイナー20が目地ジョイナー220に変わっただけで、上述の外壁構造100とほぼ同様である。
【0030】
目地ジョイナー220は、
図4に示すように、上述の突条部21とほぼ同様な突条部221と、閉塞部222とを有する本体225を含む。本変形例における本体225は、硬質合成樹脂から構成されているが、他の材料から構成されていてもよい。突条部221は、一対の対向壁221aと、接続壁221bとを有している。接続壁221bには、孔21a1と同様な孔(貫通孔)221b1が複数形成されている。複数の221b1は、鉛直方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。閉塞部222は、接続壁221bと対向しており、一対の対向壁221aの外壁下地材1側(内側)の端部同士を接続している。つまり、突条部221の外壁下地材1側の開口を閉塞している。このような目地ジョイナー220は、
図4に示すように、閉塞部222と透湿防水シート1bとが接するようにして配置されると共に、閉塞部222の表面(内部空間221d側)から釘9によって目地ジョイナー220が外壁下地材1に固定される。なお、釘9は、孔221b1を介して閉塞部222に向けて打ち込めばよい。また、目地ジョイナー220は、両面粘着テープなどで外壁下地材1に接着して固定してもよい。
【0031】
このような第2変形例の目地ジョイナー220及び目地ジョイナー220が用いられた外壁構造200においても、上述の実施形態と同様に、サイディング11の継ぎ目30から侵入しようとする水が孔221b1に入りやすくなる。このため、サイディング11と外壁下地材1との間に向かう水が少なくなり、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。なお、孔221b1を介して内部空間221dに入った水は内部空間221d内において下方へと流れて外部に排出される。なお、内部空間221dは、上述の内部空間21dと同様に鉛直方向Aの上端及び下端において、外部と連通している。また、突条部221の開口は、閉塞部222によって塞がれているため、孔221b1を介して内部空間221dに入った水が外壁下地材1の内部への侵入や、サイディング21と外壁下地材1との間の空間へ漏れ出さない。
【0032】
第3変形例として、目地ジョイナー320が用いられた外壁構造300及び目地ジョイナー320について、
図5を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態及び第1,2変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造300は、目地ジョイナー20が目地ジョイナー320に変わっただけで、上述の外壁構造150とほぼ同様である。
【0033】
目地ジョイナー320は、
図5に示すように、上述の本体25と、2つの第1パッキン26と、第2パッキン27とを有している。2つの第1パッキン26は、ゴムなどの弾性体から構成されており、各受け部22の表面(外側表面)22aに接着剤などで固定されている。また、各第1パッキン26は、鉛直方向Aに沿って長尺に形成されており、鉛直方向Aにおいて、受け部22の全体に亘って配置されている。このような目地ジョイナー320により、サイディング111が位置決めされたときに、第1パッキン26がサイディング111の裏面(内側裏面)111cに当接する。このため、各受け部22とサイディング111との間を第1パッキン26で止水することが可能となる。なお、第1パッキン26は、軟質樹脂、発泡樹脂など押圧されることで止水性を発揮することが可能な弾性体であれば、どのような材質から構成されていてもよい。
【0034】
第2パッキン27は、第1パッキン26と同様な材料から構成されており、鉛直方向Aにおいて、第1パッキン26と同じ長さを有し、長尺に形成されている。また、第2パッキン27は、左右方向Bに互いに離隔した受け部22の裏面(内側裏面)22bに亘って配置されており、突条部21の開口21cを塞いでいる。第2パッキン27も接着剤などで受け部22に固定されている。
【0035】
このような目地ジョイナー320は、
図5に示すように、第2パッキン27と透湿防水シート1bとが接するようにして配置されるとともに、受け部22の表面22aから釘9によって目地ジョイナー320が外壁下地材1に固定される。この後、端面111aを突条部21に当接させつつ裏面111cが第1パッキン26に当接するようにして、2枚のサイディング111が金具によって外壁下地材1に取り付けられる。そして、コーキング材50が継ぎ目130に充填されて形成される。こうして、外壁構造300が構成される。
【0036】
このような第3変形例の目地ジョイナー320及び目地ジョイナー320が用いられた外壁構造300によると、上述の実施形態及び第1変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。また、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合でも、サイディング111の継ぎ目130から侵入した水が孔21a1に入りやすくなり、2次シールとして機能する。さらに、3次シールとしての第1パッキン26によってサイディング111と外壁下地材1との間への水の侵入をより抑制することが可能となる。また、本実施形態による外壁構造300においては、コーキング材50による1次シール、孔21a1による2次シール、第1パッキン26による3次シール、透湿防水シート1bによる4次シールが実現された構造となる。このため、建築物の外壁構造が漏水に対する防水効果が非常に高くなる。なお、第2パッキン27が開口21cを覆っているため、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が、サイディング111と外壁下地材1との間の空間へ漏れ出すのを効果的に抑制することが可能となる。このため、水が内部空間21dから左右方向Bであってサイディング111と外壁下地材1との間において濡れ広がらない。
【0037】
第4変形例として、目地ジョイナー420が用いられた外壁構造400及び目地ジョイナー420について、
図6を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態及び第3変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造400は、目地ジョイナー20が目地ジョイナー420に変わっただけで、上述の外壁構造100とほぼ同様である。
【0038】
目地ジョイナー420は、
図6に示すように、上述の第3変形例の目地ジョイナー320とほぼ同様な構成を有しているが、孔21a1が一対の対向壁21aに形成されておらず、接続壁21bに孔21a1と同様な複数の孔(貫通孔)21b1が形成されて構成されている。
【0039】
このような第4変形例の目地ジョイナー420及び目地ジョイナー420が用いられた外壁構造400によると、上述の実施形態と同様に、サイディング11の継ぎ目30から侵入しようとする水が孔21b1に入りやすくなる。このため、サイディング11と外壁下地材1との間に向かう水が少なくなり、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。なお、第3変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0040】
第5変形例として、目地ジョイナー520が用いられた外壁構造500及び目地ジョイナー520について、
図7を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第3変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造500は、目地ジョイナー320が目地ジョイナー520に変わっただけで、上述の外壁構造300とほぼ同様である。
【0041】
目地ジョイナー520は、
図7に示すように、第3変形例の本体25に、2つの側板部321、2つの取付板部322及び2つの突出部323をさらに有してなる本体325を含む。2つの側板部321は、受け部22の先端(左右方向Bにおける外側端)のそれぞれから外壁下地材1側(内側)に向かって延在している。2つの取付板部322は、目地ジョイナー520を外壁下地材1に釘9で取り付けるための部分であり、側板部321の外壁下地材1側(内側)の端部のそれぞれから左右方向Bに沿って横側に張り出している。2つの突出部323は、取付板部322の先端(左右方向Bにおける外側端)のそれぞれからサイディング111に向かって延在し、サイディング111の裏面111cと当接可能に設けられている。また、各突出部323のサイディング111側の端部は、その先端が外側において外壁下地材1側に折り返されている。
【0042】
なお、本変形例においては、受け部22で外壁下地材1に固定する必要がないため、受け部22の表面22a全体に第1パッキン26を設けている。これにより、受け部22とサイディング111との間から水がより一層侵入しにくくなる。また、第2パッキン27は、左右方向Bに互いに離隔した取付板部322の裏面(内側裏面)に亘って配置されており、突条部21の開口21c及び側板部321の外壁下地材1側の端部間の開口321aの両方を塞いでいる。これにより、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が、上述と同様に、外壁下地材1とサイディング111との間の空間に漏れ出すのを抑制することが可能となる。なお、第2パッキン27は、第3変形例の第2パッキン27のように、受け部22に固定された状態であってもよい。この場合、第2パッキン27を介さずに取付板部322が透湿防水シート1bに接触しつつ目地ジョイナー520が外壁下地材1に固定される。
【0043】
このような第5変形例の目地ジョイナー520及び目地ジョイナー520が用いられた外壁構造500によると、上述の実施形態及び第3変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。さらに、目地ジョイナー520が、側板部321及び取付板部322を有しているため、外壁下地材1からサイディング111が表面側にある程度離れて取り付けられていても、サイディング111と外壁下地材1との間への水の侵入を効果的に抑制することが可能となる。換言すると、サイディング111と外壁下地材1との間の空間の幅を大きく取るときなど、サイディング111を外壁下地材1から表面側にある程度離隔させて配置しても、目地ジョイナー520を上述のように配置することができるため、サイディング111と外壁下地材1との間への水の侵入を効果的に抑制することが可能となる。また、目地ジョイナー520が突出部323を有していることで、第1パッキン26又は受け部22とサイディング111との間から水が侵入しても、突出部323よりも左右方向Bに水が濡れ広がるのを抑制することが可能となる。
【0044】
第6変形例として、目地ジョイナー620が用いられた外壁構造600及び目地ジョイナー620について、
図8を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第5変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造600は、第5変形例の目地ジョイナー520が目地ジョイナー620に変わっただけで、上述の外壁構造500とほぼ同様である。
【0045】
目地ジョイナー620は、
図8に示すように、第5変形例の目地ジョイナー520とほぼ同様な構成を有しているが、孔21a1が一対の対向壁21aの左方にのみ形成され、第1パッキン26が右方の受け部22の表面22aにのみ設けられて構成されている。
【0046】
このような第6変形例の目地ジョイナー620及び目地ジョイナー620が用いられた外壁構造600によると、一対の対向壁21aのうちの左方に孔21a1が形成されているため、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合、サイディング111の継ぎ目130から左方の受け部22側に水が流れてきても、孔21a1に水が入りやすくなる。このため、サイディング111と左方の受け部22との間に向かう水が少なくなる。この結果、継ぎ目130から左方の受け部22側に水が流れてきても、サイディング111と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。なお、継ぎ目130から右方の受け部22側に水が流れてきても、第1パッキン26によって止水されるため、上述と同様の効果を得ることができる。また、上述の実施形態、第5変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0047】
第7変形例として、目地ジョイナー720が用いられた外壁構造700及び目地ジョイナー720について、
図9を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第5変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造700は、第5変形例の目地ジョイナー520が目地ジョイナー720に変わっただけで、上述の外壁構造500とほぼ同様である。
【0048】
目地ジョイナー720は、
図9に示すように、第5変形例の目地ジョイナー520とほぼ同様な構成を有しているが、孔21a1が一対の対向壁21aに形成されておらず、接続壁21bに孔21a1と同様な複数の孔21b1が形成されており、右方の突出部323が形成されていない。
【0049】
このような第7変形例の目地ジョイナー720及び目地ジョイナー720が用いられた外壁構造700によると、接続壁21bに孔21b1が形成されていることで、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合、サイディング111の継ぎ目130から孔21b1に水が入りやすくなる。このため、サイディング111と第1パッキン26又は受け部22との間に向かう水が少なくなる。この結果、サイディング111と外壁下地材1との間への水の侵入をより抑制することが可能となる。なお、上述の実施形態、第5変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、突条部21の一対の対向壁21aのそれぞれに複数の孔21a1が形成されているが、1つの孔21a1だけが形成されていてもよいし、一方の対向壁21aにだけ孔21a1が形成されていてもよい。また、孔21a1,21b1,221b1の形状は、円形や楕円など、どのような形状でもよい。さらに、孔21a1,21b1,221b1は、害虫などが入り込みにくい程度の開口サイズであることが好ましい。また、第2及び第4変形例において、孔21b1,221b1が1つだけ設けられていてもよい。また、透湿防水シート1bに代えて単なる防水シートであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 外壁下地材
1b 透湿防水シート(防水シート)
11,111 サイディング
11a,111a 端面
11c,111c 裏面
20,220,320,420,520,620,720 目地ジョイナー
21,221 突条部
21a1,21b1,221b1 孔(貫通孔)
21c 開口
21d,221d 内部空間
22 受け部
22a 表面
25 本体
26 第1パッキン
27 第2パッキン
30,130 継ぎ目
50 コーキング材
321 側板部
322 取付板部
323 突出部
100,150,200,300,400,500,600,700 外壁構造