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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】手すり装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017212973
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2019085730
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】内藤 貴志
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-120870(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0349171(KR,Y1)
【文献】特開2004-019363(JP,A)
【文献】特開平07-259288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の支柱の上端部に支柱ブラケットを取り付け、前記支柱ブラケットに回転部材を回転自在に連結し、前記支柱ブラケットに前記回転部材の回転を阻止する固定手段を設け、前記回転部材に手すり部材を取り付け、前記回転部材の回転中心を前記手すり部材の中心軸線上又はその付近に配置した手すり装置において、
前記回転部材は、前記支柱に向かって凸状に湾曲した棒状部を有し、
前記支柱ブラケットは、前記棒状部を挟んでその両側に位置する、一対の支柱ブラケット半部材を有し、
前記固定手段は、前記一対の支柱ブラケット半部材を相互に締付ける締結手段を含み、
所定の回転位置で前記回転部材を前記固定手段により固定可能であることを特徴とする、手すり装置。
【請求項2】
請求項1に記載した手すり装置において、
前記回転部材の前記棒状部の両端部にはそれぞれ、前記手すり部材を連結するためのブラケットが設けられていることを特徴とする、前記手すり装置。
【請求項3】
一本の支柱の上端部に支柱ブラケットを取り付け、前記支柱ブラケットに回転部材を回転自在に連結し、前記支柱ブラケットに前記回転部材の回転を阻止する固定手段を設け、前記回転部材に手すり部材を取り付け、前記回転部材の回転中心を前記手すり部材の中心軸線上又はその付近に配置した手すり装置において、
前記回転部材は、前記回転中心を通る直径部分と、前記支柱に向かって凸状に湾曲した円弧部分とを有する、半円形状を成し、前記直径部分を直線状に延びる棒状部材によって構成し、前記円弧部分を前記支柱に向かって凸状に湾曲した棒状部材によって構成し、前記直径部分を構成する棒状部材に前記手すり部材を取り付け、
前記支柱ブラケットは、前記円弧部分を構成する棒状部材を挟んでその両側に位置する、一対の支柱ブラケット半部材を有し、
前記固定手段は、前記一対の支柱ブラケット半部材を相互に締付ける締結手段を含み、
所定の回転位置で前記回転部材を前記固定手段により固定可能であることを特徴とする、前記手すり装置。
【請求項4】
請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載した手すり装置において、前記手すり部材の両端部にそれぞれ屈曲部を形成し、前記屈曲部の間に直線状に延在する部分を形成し、一方の前記屈曲部は上方に向けて屈曲しており、他方の前記屈曲部は下方に向けて屈曲していることを特徴とする、前記手すり装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建て住宅の玄関前のポーチ等の狭小な場所に設置することができる手すり装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て住宅の玄関前のアプローチ等に設けられた段数の少ない階段に設置される手すり装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許第4974911号公報は、路面に設置される支柱20と、支柱20の上端において角度調節自在に固定された支持アーム30と、支持アーム30の先端に架設された手摺棒40とからなり、支持アーム30は、支柱20の上端と手摺棒40の両端部近傍とを連結する2本の連結アーム31、31を有し、支柱20の上端に保持プラケット50を設けるとともに、連結アーム31、31の基部にジョイントブラケット60を設け、保持ブラケット50とジョイントブラケット60とを任意の角度で嵌合し、保持ブラケット50とジョイントブラケット60を螺子によって固定した手摺装置が開示されている。
【0004】
また、特開2016-223151号公報は、1本の支柱2に手摺り部材6が支持される構造の手摺り10であっても、手摺り部材6が支柱2に確実に固定されるようにした手摺り10の角度調整機構1を開示する。
【0005】
角度調整機構1は、固定ボルト20が挿通される貫通孔41を中心部に設けた正面略円盤状の円盤部40を有する角度調整盤4であって、円盤部40の外周面には手摺り部材6を支持する手摺り支持体5a、5bが取付けられると共に、円盤部40の表面には奥に行くにしたがって次第に幅狭に形成された断面略V字形状のV溝42a、42bが複数隣接して配置された、角度調整盤4と、
支柱2の頂部に設けられ、上部側に角度調整盤4が収容配置される側面視略U字形状の収容部31を備えた角度調整部ベース3であって、角度調整盤4に設けられた貫通孔41に対応する位置には固定ボルト20が挿通されるボルト孔32が設けられ、V溝42a、42bに対応する位置には角度調整ネジ7、7を取り付けるための角度調整用ネジ孔33a、33bが設けられた、角度調整部ベース3とを有し、
角度調整用ネジ孔33a、33bを介して複数のV溝42a、42bのうちの所定のV溝に角度調整ネジ7、7を固定することによって、手摺り支持体5a、5bに支持された手摺り部材6の角度を所望の角度に位置させた状態で、手摺り部材6を強固に固定することを特徴とする、角度調整機構1である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4974911号公報
【文献】特開2016-223151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された手摺装置1の手摺棒40は、連結アーム31に支持されて、支柱20の上端に取付けられた保持ブラケット50のボルト用孔56bに挿通された回転軸を中心に揺動するため、手摺棒40の回転半径が大きい。このため、手摺棒40の回転角度が大きくなると、手摺棒40の位置が手摺棒40の回転方向に大きく変化する結果、手摺棒40が遠すぎたり、或は、近すぎたりして、手摺棒40を握りにくくなる場合がある。このような一本の支柱20に手摺棒40を取り付けた手摺装置1は、比較的狭小な場所に設置されるため、手摺棒40を回転させたときに手摺棒40の位置が大きく変化すると、手摺装置1の使用者に肉体的な負担を強いることになる場合がある。特に、手摺装置1を戸建て住居の玄関前の階段に設置するとき、各住居の階段の勾配差に対応するために手摺棒40の角度を変えると、手摺棒40自体が移動し、これと同時に手摺棒40の地面からの高さも変化する。この結果、例えば、手摺装置1の使用者の身体的能力が低下したときに、使用者の身体的能力に応じて手摺棒40の角度を変えると、手摺棒40の使い勝手がこれまでの使い勝手と相異するため、使用者の転落等の事故を引き起こす恐れがある。
【0008】
特許文献2に開示された手摺り10の手摺部材6も、支柱2の高さ調整柱2bの頂部に取り付けられた角度調整部ベース3の固定ボルト20を中心に揺動するため、手摺部材6の回転半径が大きい。このため、特許文献2に開示された手摺り10も、特許文献1に開示された手摺装置1に関する前記不具合と同様の不具合を生じる。もっとも、特許文献2に開示された手摺り10の支柱2は、ベース柱2aと高さ調整柱2bから成り、高さ調整柱2bを昇降させることにより、手摺部材6の高さを変更することができるから、手摺部材6の地面からの高さを調整することができる。しかし、手摺部材6の回転角度が大きくなると、手摺部材6の位置がその回転方向に大きく変化する点は解消されない。
【0009】
本発明の目的は、一本の支柱の上方に配置された手すり部材を回転させたときに、支柱に関して手すり部材が偏倚しない、手すり装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、一本の支柱の上方に配置された手すり部材を回転させたときに、支柱に関する手すり部材の偏倚量を小さく抑えることができる、手すり装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、玄関前のポーチや階段等に支柱を設置した後に、手すり部材の角度を容易に調整することができる、手摺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の手すり装置1は、一本の支柱3の上端部19cに支柱ブラケット25を取り付け、支柱ブラケット25に回転部材2を回転自在に連結し、支柱ブラケット25に回転部材の回転を阻止する固定手段26、27、28、29を設け、回転部材2に手すり部材12を取り付け、回転部材2の回転中心6を手すり部材12の中心軸線12c上又はその付近に配置し、回転部材2は、支柱3に向かって凸状に湾曲した棒状部を有し、所定の回転位置で回転部材2を固定手段26、27、28、29により固定可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の手すり装置1は、また、回転部材2の回転中心6を支柱3の中心軸線3a上又はその付近に配置するようにしてもよい。
本発明の手すり装置1は、また、回転部材2の棒状部の両端部にはそれぞれ、手すり部材12を連結するためのブラケット(前方ブラケット13、後方ブラケット14)が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の手すり装置1は、更に、支柱ブラケット25は、棒状部を挟んでその両側に位置する、一対の支柱ブラケット半部材25a、25bを有し、棒状部の固定手段は、一対の支柱ブラケット半部材25a、25bを相互に締付ける締結手段26、2728、29を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の手すり装置1は、一本の支柱3の上端部19cに支柱ブラケット25を取り付け、支柱ブラケット25に回転部材2を回転自在に連結し、支柱ブラケット25に回転部材2の回転を阻止する固定手段26、27、28、29を設け、回転部材2に手すり部材12を取り付け、回転部材2の回転中心6を手すり部材12の中心軸線12c上又はその付近に配置し、回転部材2は、回転中心6を通る直径部分30aと、支柱3に向かって凸状に湾曲した円弧部分30bとを有する、半円形状を成し、直径部分30aを直線状に延びる棒状部材によって構成し、円弧部分30bを支柱3に向かって凸状に湾曲した棒状部材によって構成し、直径部分30aを構成する棒状部材に手すり部材12を取り付け、支柱ブラケット25は、前記円弧部分30bを構成する棒状部材を挟んでその両側に位置する、一対の支柱ブラケット半部材25a、25bを有し、前記固定手段26、27、28、29は、前記一対の支柱ブラケット半部材25a、25bを相互に締付ける締結手段26、27、28、29を含み、所定の回転位置で回転部材2を固定手段26、27、28、29により固定可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明の手すり装置1の手すり部材12の両端部に屈曲部12a、12bを形成し、屈曲部12a、12bの間に直線状に延在する部分を形成し、一方の屈曲部12a、12bは上方に向けて屈曲しており、他方の屈曲部12a、12bは下方に向けて屈曲していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の手すり装置1によれば、手すり部材12の取り付け角度を変更しても、手すり部材12が支柱3に関して大きく偏倚しないから、手すり部材12の使い勝手が変化することを防止することができる。
【0018】
本発明の手すり装置1によれば、手すり部材12の取り付け角度を変更しても、手すり部材12が支柱3に関して大きく偏倚しないから、手すり装置1を狭小な場所に設置しても、手すり部材12の取り付け角度を自由に変更することができる。
【0019】
本発明の更に他の特徴は、図面を参照して説明する、以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、玄関ポーチの階段に設置された本発明の手すり装置の斜視図である。(実施例1)
図2図2は、図1の手すり装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1のC-C線に沿う矢視方向の断面図である。
図4図4は、図1の手すり装置の手すり部材の取付け角度を変更するときの手すり部材の軌跡を表した、図1の手すり装置の正面図である。
図5図5は、図3に記載された本発明の手すり装置の特徴を説明するための比較図である。
図6図6は、手すり部材を取り外した状態の半円形状の回転部材を有する、本発明の手すり装置の正面図である。(実施例2)
図7図7は、図6のD-D線に沿う矢視方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の手すり装置1の回転部材2を、支柱3に向かって凸状に湾曲した棒状部材5によって構成した場合を例に取って、以下、実施例を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1乃至4は、本発明の第一実施例の手すり装置1を示す。手すり装置1は、図1に示すように、一戸建ての住宅の玄関前のポーチ(図示せず。)に続く階段4に設置されている。手すり装置1はポーチに設置することもできる。
【0023】
図2に示すように、回転部材2は、支柱3に向かって凸状に湾曲した棒状部材5によって構成される。棒状部材5は、図4に示すように、回転中心6を有する円弧7に沿って滑らかに湾曲している。棒状部材5の一方の端部8にはボルト挿通孔9が形成され、棒状部材5の他方の端部10にはボルト挿通孔11が形成される。棒状部材5の断面形状は、図3に示すように、互いに平行な一対の側面5a、5bと、凸状に湾曲した一対の上下面5c、5dを有する。
【0024】
手すり部材12は、図3に示すように、円形断面を有する丸棒部材によって構成され、手すり部材12の一端部には下方屈曲部12aが形成され、手すり部材12の他端部には上方屈曲部12bが形成されている。手すり部材12は、図1に示すように、下方屈曲部12aを階段4の下方に向け、上方屈曲部12bを階段4の上方に向けて配置される。
【0025】
手すり部材12は、前方ブラケット13と後方ブラケット14を介して、回転部材2を構成する棒状部材5に連結される。前方ブラケット13は、右方ブラケット部材13aと左方ブラケット部材13bを有し、これらのブラケット部材13a、13bによって手すり部材12の下方屈曲部12a付近と棒状部材5の一方の端部8を挟み、ボルト15とナット16によって締結される。これにより、棒状部材5の一方の端部8は手すり部材12の下方屈曲部12a付近に連結され、固定される。同様に、後方ブラケット14は、右方ブラケット部材14aと左方ブラケット部材14bを有し、これらのブラケット部材14a、14bによって手すり部材の上方屈曲部12b付近と棒状部材5の他方の端部10を挟み、ボルト17とナット18によって締結される。これにより、棒状部材5の他方の端部10は手すり部材12の上方屈曲部12b付近に連結され、固定される。
【0026】
支柱3は、支柱部材19の下端部19aを階段4に固定して、階段4に設置される。支柱部材19の下端部19aにはボルト挿通孔19bが形成され、ボルト挿通孔19bを挟んでその両側に一対の支柱固定部材20a、20bが配置される。支柱固定部材20a、20bは、ボルト21とナット22によって締結されて、支柱部材19の下端部19aに固定される。このとき、ボルト21はボルト挿通孔19bに挿通される。支柱部材19は、支柱固定部材20a、20bを階段4に埋設されたアンカーボルト(図示せず。)に連結される他、支柱部材19の下端部19aを階段4のコンクリート硬化前に埋設するなどして、階段4に立設される。支柱部材19を階段4に立設した後、支柱部材19の上端部19cからカバー部材23を挿通し、アンカーボルトに締結されて階段4に固定された支柱固定部材20a、20bをカバー部材23によって覆う。
【0027】
支柱部材19の上端部19cの開口にはキャップ部材24が嵌合し、支柱部材19に固定されている。キャップ部材24の上面には、ボルト挿通孔24aを有する突起24bが形成され、突起24bに支柱ブラケット25が係止される。支柱ブラケット25は、右方ブラケット半部25aと左方ブラケット半部25bから成る。右方ブラケット半部25aには棒状部材5が嵌合する棒状部材収容開溝25cが形成されると共に、キャップ部材24が嵌合するキャップ部材収容開溝25dが形成される。同様に、左方ブラケット半部25bには棒状部材5が嵌合する棒状部材収容開溝25eが形成されると共に、キャップ部材24が嵌合するキャップ部材収容開溝25fが形成される。そして、右方ブラケット半部25aと左方ブラケット半部25bは、右方ブラケット半部25aの棒状部材用開溝25cと左方ブラケット半部25bの棒状部材用開溝25eの間に棒状部材5を挟み、右方ブラケット半部25aのキャップ部材収容開溝25dと左方ブラケット半部25bのキャップ部材収容開溝25fの間に棒状部材5を挟み、ボルト26とナット27及びボルト28とナット29によって、図3に示すように締結され、これにより、棒状部材5は支柱3に連結される。このとき、ボルト26は、右方ブラケット半部25aに形成されたボルト挿通孔25g、キャップ部材24のボルト挿通孔24a及び左方ブラケット半部25bに形成されたボルト挿通孔25hに挿通されている。また、ボルト28は、右方ブラケット半部25aに形成されたボルト挿通孔25iと左方ブラケット半部25bに形成されたボルト挿通孔25jに挿通されている。
【0028】
図4に示すように、手すり部材12を棒状部材5を介して支柱ブラケット25に連結するとき、棒状部材5の回転中心6を手すり部材12の中心軸線12c上に位置させる。これにより、支持ブラケット25のボルト26、28を緩めて、棒状部材5を図中、Eの位置からF又はGの位置に回転させても、手すり部材12は回転中心6の周りに回転し、支柱3の左方や右方に偏倚することはない。図4中、参照番号Aは、手すり部材12が位置Eにあるとき、支柱3の中心軸線3aから前方ブラケット13までの距離と後方ブラケット14までの距離が同一であることを示す。また、参照番号Bは、手すり部材12が位置E及びGにあるとき、支柱3の中心軸線3aから前方ブラケット13までの距離と後方ブラケット14までの距離が同一であることを示す。
【0029】
これに対し、図5は、図面の簡単な説明に示したように図3に記載された本発明の手すり装置の特徴を説明するための比較図であり、具体的には、図4に記載した手すり部材12を支柱ブラケット25Aの軸25Bを中心にして位置H及びIまで回動させたときに、手すり部材12が支柱3に対して偏倚する様子を示す図である。図中、参照番号A´は、手すり部材12が位置Eにあるとき、支柱3の中心軸線3aから前方ブラケット13までの距離と後方ブラケット14までの距離が同一であることを示す。参照番号B´は、手すり部材12を位置Hまで回転させたときに支柱3の中心軸線3aから前方ブラケット13までの距離を示し、参照番号B´´は、手すり部材12を位置Hまで回転させたときに支柱3の中心軸線3aから後方ブラケット14までの距離を示す。これにより、手すり部材12を軸25Bを中心にして位置Hまで回動させると、手すり部材12は支柱13の前方へ(図中、左方へ)大きく偏倚することが解る。同様に、手すり部材12を軸25Bを中心にして位置Iまで回動させると、手すり部材12は支柱13の後方へ(図中、右方へ)大きく偏倚することが解る。
【0030】
なお、図4では、棒状部材5の回転中心6が手すり部材12の中心軸線12a上にあるが、回転中心6は中心軸線12aと厳密に一致する必要はなく、回転中心6が手すり部材12の中心軸線12a付近に位置すれば、手すり部材12が回動したときに手すり部材12の支柱3に関する偏倚量を抑えることができる。
【0031】
また、図4では、棒状部材5の回転中心6は、手すり部材12の中心軸線12c上にあると共に、支柱3の中心軸線3a上にもあるが、回転中心6は必ずしも中心軸線3a上にある必要はない。換言すれば、回転中心6を所望の方向に、所望の距離だけ、支柱3の中心軸線3aから偏倚させると、手すり部材12が回動したときに手すり部材12を所望の方向に、所望の距離だけ偏倚させることができる。
【実施例2】
【0032】
図6及び7は、本発明の第二実施例を示す。この実施例の特徴は、第一実施例の回転部材2を全体として半円形の棒材30によって構成したことにある。半円形の棒材30は、直線状に延びる直径部分30aと、支柱3に向かって凸状に湾曲した円弧部分30bを有し、直径部分30aには、実施例1の手すり部材12を直接取り付けることができる。また、円弧部分30bは支柱ブラケット25に連結され、ボルト26、28を緩めることにより、円弧部分26bに沿って回転させることができる。
【0033】
この実施例の他の特徴は、支柱ブラケット25にネジ孔25kを形成し、ネジ孔25kに固定ネジ31を螺合させたことにある。半円形の棒材30を所望の角度に傾斜させた後、固定ネジ31を締付ければ、半円形の棒材30を固定することができる。これにより、半円形の棒材30に固定された手すり部材12を所望の角度に固定することができる。
【0034】
図6及び7中の参照番号のうち、図1乃至5中の参照番号と同一の番号は、同一の名称の同一の部材を示す。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の手すり装置は、手すり部材の取付け角度を変更しても、手すり部材が支柱に関して大きく偏倚しないから、手すり部材の使い勝手が大きく変化しない。よって、幅広い用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 手すり装置
2 回転部材
3 支柱
3a 中心軸線
4 階段
5 棒状部材
6 回転中心
7 円弧
8 一方の端部
9 ボルト挿通孔
10 他方の端部
11 ボルト挿通孔
12 手すり部材
12a 中心軸線
13 前方ブラケット
14 後方ブラケット
19 支柱部材
19c 上端部
24 キャップ部材
24a ボルト挿通孔
25 支柱ブラケット
30 半円形の棒材
30a 直径部分
30b 円弧部分
31 固定ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7