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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】情報形成シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/435 20140101AFI20220418BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20220418BHJP
   B42D 25/346 20140101ALI20220418BHJP
   B42D 25/382 20140101ALI20220418BHJP
【FI】
B42D25/435
G02B5/22
B42D25/346
B42D25/382
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018045025
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019155705
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097560
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 寛
(72)【発明者】
【氏名】都成 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石川 喜栄
(72)【発明者】
【氏名】外山 和典
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隼一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 悟史
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-334488(JP,A)
【文献】特開2007-033681(JP,A)
【文献】特開2008-093932(JP,A)
【文献】特開2008-162233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
B42D 25/00-25/485
G02B 5/20- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に認識形態の異なるそれぞれの情報を保持した情報形成シートの製造方法であって、
前記基材上に、少なくとも赤外線吸収材を含有する有色の赤外線吸収層により第1情報部を形成させる工程と、
前記第1情報部内に、前記赤外線吸収層をその厚さ方向で前記基材まで分解させて略貫通させた所定数の微小穿孔体により第2情報部を形成させる工程と、
を含むことを特徴とする情報形成シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識形態の異なるそれぞれの情報を保持した情報形成シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、認識形態の異なる情報を保持するシート等として、目視情報の他に真贋判定用の情報が含まれるシートや、目視情報の他に種々のデータを保持するICチップが搭載されたICカード等が普及している。上記の情報認識形態としては、目視の他に光学的読み取りや電気的読み取りの機械的によるものがある。特に、シートによるものは製造性やコストの観点から優位性があることから、省スペースで認識形態の異なる多くの情報を保持させることが望まれ、また、認識技術が高精度化しているとはいえ、確実に認識させる形態の情報を形成させる必要がある。
【0003】
従来、認識形態の異なる情報を保持したシートとして、例えば特許文献1に記載されているセキュリティ文書が知られている。特許文献1には、文書基材上に導電層を形成し、当該導電層の対象部分をレーザ加工等により除去することにより、情報部分を形成すると共に、当該情報部分と並設されたセキュリティ要素部分に、一連の凹部の形態のマーキング、多数の穿孔によるQRコード(登録商標)やQRドットコードを形成することが記載されている。また、特許文献2では、基材上に、記録層、光熱変換層、断熱層を順次積層し、当該記録層にレーザ光により情報を印字して記録し、一方で光熱変換層を発熱させることで記録層上の情報を消去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-536162号公報
【文献】特開2002-137545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では目視可能な情報部分とセキュリティ要素部分とにそれぞれ対応の情報を形成させることで省スペース化が図れず、仮に目視可能な情報部分内にセキュリティ要素部分を含ませると全体的な意匠性を損なうという問題がある。また、上記セキュリティ要素部分の凹部やドット等が微小であると、これを読み取る測定器、例えば相対鏡面反射測定方式や相対拡散反射測定方式の測定器では当該セキュリティ要素部分に照準を合わせることが困難であり、位置がずれると反射率の差が生じ難く、一方で赤外線を用いたリーダで認識させることとしても凹凸での反射率の差が生じ難く十分な認識ができないという問題がある。さらに、特許文献2によるものは、印字する記録層と、消去する光熱変換層が別々の層構成であり、その分コスト高となるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、意匠性を損なわずに省スペースで認識形態の異なる多くの情報を保持させると共に、情報認識の高精度化を図る情報形成シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、基材上に認識形態の異なるそれぞれの情報を保持した情報形成シートの製造方法であって、前記基材上に、少なくとも赤外線吸収材を含有する有色の赤外線吸収層により第1情報部を形成させる工程と、前記第1情報部内に、前記赤外線吸収層をその厚さ方向で前記基材まで分解させて略貫通させた所定数の微小穿孔体を形成して第2情報部を形成させる工程と、を含む構成とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項の発明によれば、基材上に、少なくとも赤外線吸収材を含有する有色の赤外線吸収層により第1情報部を形成し、当該第1情報部内に、赤外線吸収層をその厚さ方向で基材まで分解させて略貫通させた所定数の微小穿孔体を形成して第2情報部を形成する構成とすることにより、第1情報部内に微細且つ可変のコード情報を形成することが容易であり、形成形態の異なる情報を同一面上で形成情報量を増加させて形成させることができ、同じ第1情報部に対しても、レーザ加工にてオンデマンドで1枚ごと個別に秘匿情報の製造を可能とすることができると共に、赤外線を吸収する赤外線吸収層に対して赤外線撮影画像による情報認識させるための赤外線反射率の差を大とさせる微小穿孔体による情報を形成させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の情報形成シートに係る第1実施形態の構成図である。
図2図1の情報形成シートの製造工程図である。
図3】本発明の情報形成シートに係る第2実施形態の製造工程図である。
図4】本発明の情報形成シートに係る第3実施形態の製造工程図である。
図5図4の情報形成シートの他の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。なお、図に示す断面図は、理解しやすいように寸法を無視している。
図1に、本発明の情報形成シートに係る第1実施形態の構成図を示す。図1(A)、(B)において、情報形成シート11は、少なくとも表面に樹脂部材が存在する例えばコート紙や樹脂部材そのもので構成される基材12(ここでは樹脂基材で構成されるものとする)上に目視可能な、一例として形状に関する情報である「あ」の文字の第1情報部21が設けられ、当該第1情報部21は、後述するレーザ加工が自在であり、少なくとも赤外線吸収材を含有する有色の赤外線吸収層としての光熱変換層13(後述する)で構成される。なお、第1情報部21は、文字、記号、図形等の形状が対象となる。
【0013】
上記基材12は、隠蔽性を有する樹脂を主成分とするもので、例えばポリ塩化ビニル(PVC:融点85~210℃)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PET-G)、ポリカーボネート(PC:融点約150℃)などが使用され、具体的にはPET-Gを用いた太平化学製品株式会社製PG700Mが使用される。
【0014】
上記第1情報部21は、赤外線吸収材を含有する有色の赤外線吸収層で形成されるもので、赤外線吸収材には、スズ酸化インジウム(ITO)、アンチモン酸化スズ(ATO)などがあり、特に所定の赤外線波長の光を選択的に強く吸収するものとして、例えば六ホウ化ランタン、セシウム酸化タングステンなどがある。第1実施形態では、一例として、有色の赤外線吸収層を光熱変換材でもあるセシウム酸化タングステンを含有する光熱変換層13として適用する。
【0015】
具体的には、光熱変換層13は、赤外線を吸収する共に光を吸収して熱に変換する光熱変換材である例えばセシウム酸化タングステン水溶液に、基材12との密着性を保持させるバインダ樹脂(例えばポリビニルアルコール(PVA)水溶液)を混合させたもので、具体的にはセシウム酸化タングステン水溶液を使用した有色の機能性インクとする住友金属鉱山株式会社の商品名YMO-D20のものを適用することができる。この場合、光熱変換材とバインダ樹脂との比率を1:3とすることが好ましいが、多少の多寡は問題とはならない。なお、バインダ樹脂にPVAを用いなければ上記比率は大きく変わることから当該バインダ樹脂の選択に応じて決定すればよい。
【0016】
また、上記第1情報部21内の所定位置に、光熱変換層13を厚さ方向で基材12までレーザ加工により分解させて略貫通させた所定数の微小穿孔体としてのドット22Aで形成される第2情報部22が設けられる。ここで、略貫通とは、基材12に達するまで穿孔させた場合と、基材12に達するぎりぎりまで穿孔させた場合とをいう。
【0017】
上記第2情報部22を構成する所定数のドット22Aは、例えば2mm四方内で識別し得るキードット、格子ドット、情報ドットなどで構成されるもので、同一大で形成される。キードットとは、ドットコードを解析する際に1つのパターンの範囲、角度を測定するための基準を表すドットコードである。格子ドットとは、情報ドットを四方で囲み、解析するための基準となる等間隔に配置されたドットコードである。また、情報ドットとは、識別IDの値として扱われるドットコードであり、2mm四方内に16個存在し、それぞれの配置により2ビット分の情報を表すものである。なお、コード情報部21を、規格ではなく、自由ドットコードとしてもよく、この場合、ドットの個数、配置と情報とを関連付けておけばよい。なお、上記範囲でドット22Aの大きさを大小で異ならせてもよい。
【0018】
上記図1(A)、(B)に示す情報形成シート11の構成で十分に省スペース化が図られて実用性があるが、図1(C)に示すように、第1情報部21上に透明若しくは半透明の樹脂又は透明若しくは半透明の塗布材による保護層14を設けてもよい。樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PET-G)、ポリカーボネート(PC)などが使用され、具体的にはPET-Gを用いた太平化学製品株式会社製CG030Mが使用される。当該保護層14は、例えば50μm以上(例えば50μm~100μm)の厚さで設けられる。また、塗布材としては、例えばセルロースナノファイバーなどがある。なお、基材12と保護層14とは同種のものが好ましい。この保護層14を設けることによって、第1情報部21及び第2情報部22が摩擦等により欠陥を生じることを防止することができる。
【0019】
そこで、図2に、図1の情報形成シートの製造工程図を示す。図2は、図2(A)、(B)を共通として、図2(C)、(D)と図2(E)、(F)との2系統の工程があり、いずれの系統で作製してもよい。
【0020】
すなわち、図2(A)において、上述の光熱変換層13が、第1情報部21の情報形状(例えば図1の「あ」)で塗布される。例えば、グラビアスクリーン印刷等により適宜厚塗りで塗布される。
【0021】
上記塗布された光熱変換層13を、図2(B)に示すように、照射ランプなどを用いて加熱光31で加熱して当該光熱変換層13を乾燥させることで第1情報部21が形成される。なお、この乾燥工程は、自然乾燥や使用される光熱変換層13に含まれる溶材を速乾性とさせることで照射ランプなどを使用しなくともよい。すなわち、この工程は、いずれの手段によらず塗布された光熱変換層13を乾燥させるための工程である。なお、第1情報部21の形成に際して、上述のように光熱変換層13を情報の形状に沿って形成した場合としたが、基材12上の全面に塗布して乾燥させた後、型抜きで形成することとしてもよい。要するに第1情報部21は、その形成手段を問わない。
【0022】
そこで、一の工程系統として、図2(C)に示すように、図2(B)で基材12上に形成された第1情報部21の所定位置に、レーザ光32を照射し、図2(D)に示すように、当該光熱変換層13を厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させた複数の上記ドット22Aを穿孔により形成し、その照射位置によって所望の第2情報部22とする。レーザ加工は、公知のレーザ加工装置を適用することができ、例えば波長1064nmのレーザ光32をドット形成の最小限の出力で光熱変換層13の表面上に照射することにより行われる。
【0023】
一方、他の工程系統として、図2(E)に示すように、図2(B)で基材12上に形成された光熱変換層13及び当該基材12の表面上に、透明若しくは半透明の保護層14を形成する。そして、図2(F)に示すように、保護層14側より、第1情報部21の表面から穿孔する深さに焦点を合致させ、レーザ光32を照射し、図2(D)に示すように、当該光熱変換層13を厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させた複数の上記ドット22Aを穿孔により形成し、その形成位置によって所望の第2情報部22とすることで図1(C)に示される情報形成シート11を作製するものである。なお、第1情報部21及び第2情報部22を形成した後に保護層14を形成してもよい。
【0024】
上記第2情報部22は、例えば、従前より知られている赤外線のリーダにより読み取ることができる。上記赤外線のリーダによる場合には、第1情報部21上に赤外線を照射し、その反射を受光することにより反射率で第2情報部22のドット22Aの有無を判別することでき、当該ドット22Aの配列で情報として認識することができるものである。特に、第1情報部21を構成する光熱変換層13が赤外線吸収機能を有し、ドット22Aが光熱変換層13の厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させていることから、当該第1情報部21のドット22Aが形成されていない部分と形成されているドット22Aとでは赤外線の反射との比較で反射率の差が大となって赤外線撮影画像において当該第2情報部22の認識精度を向上させることができるものである。
【0025】
このように、上述の情報形成シート11とすることにより、第1情報部21と第2情報部22とは色差が殆どなく、同一箇所に設けることで意匠性を損なうことなく省スペース化を図ることができると共に、第1情報部21に加えて第2情報部22による多くの情報を保持させることができるものである。加えて、第1情報部21と第2情報部22とは色差が殆どないことから、複写防止、偽造防止を可能とすることができ、真贋判定用としても適用することができるものである。なお、第2情報部22をドット22Aではなくバー形状として全体的にバーコードとしてもよい。
【0026】
上記のような情報形成シート11は、一例として運転免許証に適用することができる。例えば、当該運転免許証に所持者の氏名、住所等の上述のように形成させた第1情報部21が表示され、当該第1情報部21上に上述のようなドット22Aによる第2情報部22を設けることで実現することができる。例えば、第1情報部21における住所上に設けた第2情報部22を当該所持者の本籍となる情報とすることができる。
【0027】
次に、図3に、本発明の情報形成シートに係る第2実施形態の製造工程図を示す。図3により作製される情報形成シート11は、赤外線吸収層を、図1で示した光熱変換層13に、融点が樹脂融着温度以上の電子受容体(電子供与性)である顕色材と、当該顕色材と反応し無色から有色に変色する染料とを含有させた光熱変換層13Aとして第1情報部21を形成させたものを対象とするが、構造的には図1(A)~(C)と同様である。
【0028】
上記顕色材は、融点が、上記基材12の樹脂部材に含有される樹脂の融点よりも高いものであって、染料(後述のロイコ色素)と組み合わせて使用される。例えば、ビスフェノールS等のフェノール誘導体の成分を有するもので、具体的には融点250℃のビスフェノールSを用いた日華化学株式会社製BPS/FF-1が使用される(他社の製品でもよい)。染料は、例えば公知のロイコ色素が使用される。ロイコ色素は、発色する色相に応じて、例えばフタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物などより選択される。
【0029】
上記バインダ樹脂は、上記のようにPVAでもよいが、ここではガラス転位点が、基材12の樹脂部材に含有される樹脂の融点と比較して低温側に30℃以内のものであって、透明、半透明であり、反応不活性の性質を有し、乾燥後に十分な強度とされるもので、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系、ウレタン系、スチレン系、アクリル系などが挙げられ、具体的には、ガラス転移点Tgが130℃以下(好ましくは100℃)のアクリル系樹脂を使用するものとする。
【0030】
そこで、図3(A)において、基材12上に、光熱変換層13Aが形成されており、当該光熱変換層13Aに対して、発色させるエネルギのレーザ光32を照射すると、光熱変換層13Aに含まる光熱変換材がレーザ光を熱に変換して発熱し、こ当該発熱に伴い、図3(B)に示すように、顕色材及び染料により第1情報部21として発現される。
【0031】
続いて、図3(C)に示すように、光熱変換層13Aで形成されている第1情報部21の所定位置に、当該光熱変換層13Aを分解させるエネルギのレーザ光32を照射して複数の上記ドット22Aをその厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させ、その形成位置によって所望の第2情報部22とすることで図1に示される構造の情報形成シート11を作製するものである。
【0032】
このような情報形成シート11は、上述のように光熱変換材であるセシウム酸化タングステンが赤外線を吸収することから当該第1情報部21のドット22Aが形成されていない部分と形成されているドット22Aとでは赤外線の反射との比較で反射率の差が大となって赤外線撮影画像において当該第2情報部22の認識精度を向上させることができるものである。
【0033】
なお、上記製造工程は、光熱変換層13A上に直接レーザ光32を照射して第1情報部21及び第2情報部22を形成した場合を示したが、その後に保護層14を形成することとしてもよい。また、上記のように保護層14が設けられた状態で当該保護層14側より光熱変換層13Aにレーザ光32を照射して第1情報部21及び第2情報部22を形成してもよい。
【0034】
次に、図4に本発明の情報形成シートに係る第3実施形態の製造工程図を示すと共に、図5図4の情報形成シートの他の製造工程図を示す。なお、本願における第1情報部21は、第3実施形態において、視認側から見たときに光熱変換層13Aの表出している部分をいう。
【0035】
すなわち、第3実施形態に示す情報形成シート11は、基材12上に、第2実施形態で使用した光熱変換層13Aが設けられ、当該光熱変換層13A上に、当該光熱変換層13Aと異なる色であって情報形状に沿った開口部分が形成された情報形成表層15が位置されて、当該開口部分の形状に沿った光熱変換層13Aが目視可能とされて第1情報部21として設けられると共に、当該第1情報部21の光熱変換層13Aにレーザ加工によりその厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させた所定数のドット22Aによる第2情報部22が設けられる。そして、図示しないが、図1(C)に示すように、適宜第1情報部21(第2情報部22)上に透明若しくは半透明の保護層14が設けられるものである。
【0036】
図4に示す第1情報部21は、基材12の色と、光熱変換層13Aの色と、情報形成表層15の色との関係で目視可能とするか否かが定まる。すなわち、光熱変換層13Aの色と情報形成表層15の色とを異なる色(基材12の色は問わない)とし、また、基材12の色と情報形成表層15の色とを異なる色として光熱変換層13Aを透明若しくは半透明することで目視可能とさせることができる。一方、光熱変換層13Aの色と情報形成表層15の色とを同色系の色(基材12の色は問わない)とすることで、例えば偽造防止用や真贋判定用として目視不能とさせることができる。
【0037】
まず、図4(A)において、基材12上に順次光熱変換層13A、情報形成表層15が設けられたシートに対して、当該情報形成表層15に対してレーザ光32を照射し、図4(B)に示すように、当該情報形成表層15の照射位置の部分を除去して情報の形状に沿った開口部を形成させることにより光熱変換層13Aが表出して全体的に第1情報部21が形成される。
【0038】
続いて、図4(C)に示すように、表出した第1情報部21の光熱変換層13Aに対して、レーザ光32をドットとして穿孔する深さに焦点を合致させて照射してその厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させることで所定数の上記ドット22Aを形成し、その形成位置によって所望の第2情報部22とする。そして、図示しないが、情報形成表層15及び第1情報部21(光熱変換層13A)上に、透明若しくは半透明の保護層14が形成されることで図1(C)に示される構造の情報形成シート11を作製する。
【0039】
また、他の製造工程として、図5においては、波長の異なる2つのレーザ光を同軸で出力する公知のレーザ発振技術を適用して第1情報部21及び第2情報部22を形成させる場合として示している。
【0040】
すなわち、基材12上に、順次、光熱変換層13A、情報形成表層15が設けられたシートに対して、図5(A)に示すように、第1波長レーザ光32Aを、情報形成表層15を加工対象として当該情報形成表層15を除去する深さに焦点を合致させると共に、第2波長レーザ光32Bを光熱変換層13Aのドットとして穿孔する深さに焦点を合致させる。第1波長レーザ光32A及び第2波長レーザ光32Bの波長は、それぞれの照射する位置の加工対象の部材に応じて設定されるものであり、例えば、上記構成の情報形成表層15に対して第1波長レーザ光32Aの波長を532nmとし、上記構成の第1情報部21に対して第2波長レーザ光32Bを1064nmとする。
【0041】
そして、第1波長レーザ光32Aと第2波長レーザ光32Bとを同軸上で出力させることで、当該第1波長レーザ光32Aにより当該情報形成表層15の照射位置の部分を除去して情報の形状に沿った開口部を形成させることにより光熱変換層13Aを表出させると共に、第2波長レーザ光32Bにより表出させた光熱変換層13Aをその厚さ方向で基材12まで分解させて略貫通させることで所定数の上記ドット22Aを形成して第2情報部22とさせるものである。
【0042】
ところで、上記第1情報部21の形成に際して、第1実施形態のように第1情報部21の形状に沿った形に塗布などにより形成してもよく、第2実施形態のように第1情報部21の形状に削るなどして形成してもよい。
【0043】
さらに、第3実施形態のように、情報形成表層15に第1情報部21の形状に沿った開口部を形成し光熱変換層13Aを表出させることで第1情報部21を形成してもよい。なお、情報形成表層15をレーザにより加工することで、第1情報部21の情報の形状に沿った開口部を形成しているが、レーザ以外の加工手段により開口部を形成してもよく、また、予め第1情報部21の情報の形状に沿った開口部を型抜き等により形成した情報形成表層15を貼り合せるなどしてもよく、開口部の形成方法は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の情報形成シート及び情報形成シートの製造方法は、偽造防止用シート、真贋判定用シート、各種証明用や証書等のシート及びカード、クレジット等の各種カードなどの製造、使用、販売等の産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
11 情報形成シート
12 基材
13,13A 光熱変換層
14 保護層
15 情報形成表層
21 第1情報部
22 第2情報部
22A ドット(微小穿孔体)
31 加熱光
32 レーザ光
32A 第1波長レーザ光
32B 第2波長レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5