(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20220418BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20220418BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
B60H1/34 631
F24F13/14 G
F24F13/15 H
(21)【出願番号】P 2018045794
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 則之
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-091377(JP,A)
【文献】特開2017-043172(JP,A)
【文献】特開2002-168511(JP,A)
【文献】特表2017-526579(JP,A)
【文献】特開平06-239133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0089959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
F24F 13/14
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型のリテーナ内に円筒フレームを有した回動ルーバーが回動可能に配設され、該回動ルーバーには送風方向と平行な中心線から放射状に複数の可動フィンが該円筒フレームの内側で放射状の支軸により回動可能に軸支され、該リテーナ内の通風路上流側にダンパ装置が取り付けられ、該円筒フレームの前部に設けた操作部の回動操作により、回動伝達機構を介して該ダンパ装置が該通風路を開閉するレジスタであって、
該操作部の該回動伝達機構は、該操作部の背面部に連結される第1ベベルギヤ部材を有した第1ベベルギヤ機構と、該第1ベベルギヤ部材に連結されるソケット部材、該ソケット部材に嵌入するボール及びボールシャフト部材を有したボールジョイントと、該ボールジョイントの該ボールシャフト部材の末端に設けられ、該ダンパ装置の軸部に連係される第2ベベルギヤ機構とを備え、
該ボールシャフト部材は、該リテーナ内の送風方向と平行な中心線上に配設され、該回動ルーバーには、該円筒フレームの中央に、複数の軸支部を放射状に設けた中央軸支部が配設され、該中央軸支部内に前記ソケット部材が挿入され、該回動ルーバーは、該ソケット部材内に嵌合される前記ボールを中心に、該ソケット部材を介して傾動可能に取り付けられ、
該回動ルーバーの該円筒フレームの内側に、複数の可動フィンが、略等間隔をおいてラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されるとともに、該各可動フィンの内側部分が該中央軸支部の各軸支部に軸支され、
前記操作部は、該円筒フレームの中央部に設けた操作部保持部に、該回動ルーバーの中心線の回りで回動可能に保持され、該操作部は第1ベベルギヤ機構を介して該各可動フィンの内側部分と連係され、
該ダンパ装置は、直線部に軸部を各々設けた1対の半円形ダンパを有し、該軸部を中心に、該各半円形ダンパを相反方向に回動させて、該通風路を開閉するように構成され、
該ダンパ装置の該第2ベベルギヤ機構には、該ボールシャフト部材の末端嵌合部に嵌合される第2ベベルギヤ部材と、該第2ベベルギヤ部材に噛合して該各半円形ダンパに設けられた第2ベベルギヤ片とが設けられ、
該ボールシャフト部材の該末端嵌合部が、該第2ベベルギヤ部材の中心部に設けた
異形軸孔に、所定の角度範囲で自由回転を許容して嵌合されたことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記末端嵌合部は、前記ボールシャフト部材の端部両側に平坦面を形成し、該両側の平坦面の間に円弧状曲面を設けて形成され、前記異形軸孔には、該平坦面が回動端で当接する当接面と、該円弧状曲面が摺接する摺接面が設けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ
。
【請求項3】
前記ボールシャフト部材を支持するボールジョイント支持部が前記リテーナ内に設けられ、前記第2ベベルギヤ部材に、該ボールジョイント支持部側に付勢するバネ部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項4】
前記1対の半円形ダンパの少なくとも円弧状縁部に、軟質合成樹脂部が被覆形成されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車などの空調装置の空気吹出調整用に使用されるレジスタに関し、特に円筒状のリテーナと略円形の空気吹出口を有し、通風路内にダンパ装置を設けた丸型のレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒フレーム内に円形の空気吹出口を有する丸型レジスタとして、円筒フレーム内に円筒型のバレルが、空気吹出口の中心部を軸に、上下左右に傾動可能に支持された構造のレジスタが、下記特許文献1により知られている。
【0003】
このレジスタは、円筒型のバレルの内側に複数の固定フィンが放射状に設けられ、バレルの中心部に、ダンパ装置の操作ノブが中央部を中心に回動操作可能に支持される。操作ノブの回動軸は、ケース内中央に支持された中央回動軸に、自在継手を介して連結され、中央回動軸の末端に傘歯車が取り付けられ、操作ノブの回動操作により傘歯車が回動する。
【0004】
さらに、通風路内のバレルの上流側に、半円形ダンパを備えたダンパ装置が通風路を開閉可能に配設される。このダンパ装置には、1対の半円形ダンパが通風路を開閉可能に軸支され、各半円形ダンパの回動軸は、通風路内で、送風方向と直交する横断方向中央に、直線状に配置され支持される。ダンパ装置の1対の半円形ダンパは、各々、その弦部(直線部)に回動軸を直線上に位置させ、相互に約90°の範囲で回動可能に軸支されるように連結され、回動軸の両側端部がケースの壁部に回動可能に軸支される。半円形ダンパの回動軸近傍には、各々、傘歯車片が半円形ダンパと一体に成形される。
【0005】
各半円形ダンパの回動軸近傍に設けた傘歯車片は、上記傘歯車と噛合する。これにより、操作ノブを回動操作すると、その回動力が自在継手を介して中央回動軸に伝達され、中央回動軸の回動が傘歯車及び傘歯車片を介して1対の半円形ダンパを相反方向に約90の範囲で回動させ、ダンパを開閉させる。
【0006】
上記構成のレジスタは、円筒型のバレルを傾動操作して、送風方向を変え、操作ノブを回動操作すると、1対の半円形ダンパが回動して通風路を開閉することはできるものの、レジスタから送風される風は、バレルの内側からそのままスポット風が送風されるのみであり、車内にマイルド風(適度に拡散された拡散風)がほしい場合、マイルド風を送風することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016ー159721号公報
【文献】特開2014ー034280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、丸型のレジスタとして、従来、上記特許文献2により、円筒型のリテーナ内に円筒フレームを有した回動ルーバーが回動可能に配設され、回動ルーバーには送風方向と平行な中心線から放射状に複数の可動フィンが円筒フレームの内側で放射状の支軸により回動可能に軸支された構造のレジスタが知られている。
【0009】
このレジスタは、リテーナ内の送風方向と平行な中心線上に、ボールを有するボールジョイントが配設され、回動ルーバーには、円筒フレームの中央に、複数の軸支部を放射状に設けた中央軸支部が配設され、中央軸支部は、中央に設けたボール穴をボールに嵌合させて、傾動及び回動可能に取り付けられる。円筒フレームの内側に複数の可動フィンが、略等間隔をおいてラジアル方向の支軸により回動可能に軸支され、各可動フィンの内側部分が中央軸支部の各軸支部に軸支される。
【0010】
さらに、中央軸支部の前面側中央には操作部が回動ルーバーの中心線の回りで回動可能に装着され、操作部はベベルギヤ機構を介して該各可動フィンの内側部分と連係され、操作部を回動操作することにより、円筒フレーム内で、回動ルーバーの複数の可動フィンが、放射状の軸の回りで回動し、適度に拡散されたマイルド風を送風する。
【0011】
しかし、円筒フレームの外側とリテーナの内側との間に、僅かながら隙間があるため、例えば閉鎖可能な可動フィンを閉鎖状態にした場合でも、風漏れが生じやすい。また、操作部の簡単な操作のみで、スポット風からマイルド風に、さらに送風遮断状態まで、容易に変えることができるレジスタが、要望されていた。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、送風遮断状態の風漏れを最少とし、送風遮断、マイルド風、及びスポット風を簡単に切換操作することができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のレジスタは、
円筒型のリテーナ内に円筒フレームを有した回動ルーバーが回動可能に配設され、該回動ルーバーには送風方向と平行な中心線から放射状に複数の可動フィンが該円筒フレームの内側で放射状の支軸により回動可能に軸支され、該リテーナ内の通風路上流側にダンパ装置が取り付けられ、該円筒フレームの前部に設けた操作部の回動操作により、回動伝達機構を介して該ダンパ装置が該通風路を開閉するレジスタであって、
該操作部の該回動伝達機構は、該操作部の背面部に連結される第1ベベルギヤ部材を有した第1ベベルギヤ機構と、該第1ベベルギヤ部材に連結されるソケット部材、該ソケット部材に嵌入するボール及びボールシャフト部材を有したボールジョイントと、該ボールジョイントの該ボールシャフト部材の末端に設けられ、該ダンパ装置の軸部に連係される第2ベベルギヤ機構とを備え、
該ボールシャフト部材は、該リテーナ内の送風方向と平行な中心線上に配設され、該回動ルーバーには、該円筒フレームの中央に、複数の軸支部を放射状に設けた中央軸支部が配設され、該中央軸支部内に前記ソケット部材が挿入され、該回動ルーバーは、該ソケット部材内に嵌合される前記ボールを中心に、該ソケット部材を介して傾動可能に取り付けられ、
該回動ルーバーの該円筒フレームの内側に、複数の可動フィンが、略等間隔をおいてラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されるとともに、該各可動フィンの内側部分が該中央軸支部の各軸支部に軸支され、
前記操作部は、該円筒フレームの中央部に設けた操作部保持部に、該回動ルーバーの中心線の回りで回動可能に保持され、該操作部は第1ベベルギヤ機構を介して該各可動フィンの内側部分と連係され、
該ダンパ装置は、直線部に軸部を各々設けた1対の半円形ダンパを有し、該軸部を中心に、該各半円形ダンパを相反方向に回動させて、該通風路を開閉するように構成され、
該ダンパ装置の該第2ベベルギヤ機構には、該ボールシャフト部材の末端嵌合部に嵌合される第2ベベルギヤ部材と、該第2ベベルギヤ部材に噛合して該各半円形ダンパに設けられた第2ベベルギヤ片とが設けられ、
該ボールシャフト部材の該末端嵌合部が、該第2ベベルギヤ部材の中心部に設けた異形軸孔に、所定の角度範囲で自由回転を許容して嵌合されたことを特徴とする。
【0014】
なお、この明細書において、レジスタの前部、後部、下流側、上流側は、その前部が通風路の下流側、後部が上流側である。
【0015】
この発明のレジスタによれば、回動ルーバーの中央の操作部を持って回動ルーバーを任意の方向に傾動操作したとき、回動ルーバーは、中央に支持されたボールジョイントのボールを中心に傾動し、送風方向が任意の方向に変えられる。また、操作部をその軸の回りで回動操作すると、第1ベベルギヤ機構を介して操作部の回動力が各可動フィンに伝達され、各可動フィンがその支軸の回りで回動し、例えば各可動フィンが通風路の軸方向と略平行になったとき、ストレートなスポット風が送風される。
【0016】
また、操作部をその軸の回りで回動操作し、例えば各可動フィンが通風路の軸方向に対し傾斜状態となると、傾斜した複数の可動フィンによって、送風が拡散され、マイルド風が送風される。さらに操作部を回動操作して各可動フィンの傾斜角度が所定角度より増大し、各可動フィンが略閉鎖状態に達すると、ボールジョイントのボールシャフト部材の末端に設けた第2ベベルギヤ機構を介して、操作部の回動力が、ダンパ装置の1対の半円形ダンパに伝達される状態となり、半円形ダンパが回動し、操作部の回動操作がその回動端まで回したとき、1対の半円形ダンパが通風路を閉鎖する。
【0017】
このように、操作部のみの回動操作で、送風状態をスポット風からマイルド風まで簡単に変えることができ、且つ操作部の回動端でダンパ装置を閉鎖して、送風を遮断することができる。また、ダンパ装置の1対の半円形ダンパは、隙間なく通風路を閉鎖することできるので、風漏れを発生させずに、送風を遮断することができる。
【0018】
またここで、該末端嵌合部は、ボールシャフト部材の端部両側に平坦面を形成し、該両側の平坦面の間に円弧状曲面を設けて形成され、該異形軸孔には、該平坦面が回動端で当接する当接面と、該円弧状曲面が摺接する摺接面が設けられた構成とすることができる。
【0019】
またここで、上記ボールシャフト部材を支持するボールジョイント支持部が上記リテーナ内に設けられ、第2ベベルギヤ部材に、該ボールジョイント支持部側に付勢するバネ部材を、取り付けることが好ましい。これによれば、第2ベベルギヤ部材のガタツキを防止できるとともに、第2ベベルギヤ部材とボールジョイント支持部間の摩擦抵抗を適度に設定し、操作部を回動操作して可動フィンのみを回動させる際、第2ベベルギヤ部材の回動を止め、半円形ダンパの回動を阻止することができる。
【0020】
またここで、1対の半円形ダンパの少なくとも円弧状縁部に、軟質合成樹脂部が被覆形成される構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のレジスタによれば、送風遮断状態の風漏れを最少とし、送風遮断、マイルド風、及びスポット風を簡単に切換操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態を示すレジスタの正面図である。
【
図7】ボールシャフト部材及び第2ベベルギヤを含む回動ルーバーの左側面図である。
【
図8】ボールシャフト部材及び第2ベベルギヤを含む回動ルーバーの斜視図である。
【
図9】ボールシャフト部材及び第2ベベルギヤを含む回動ルーバーの背面斜視図である。
【
図11】前円筒フレーム、後円筒フレーム及び操作部の分解斜視図である。
【
図12】可動フィン、中央軸支部、及び第1ベベルギヤ部材を含む分解斜視図である。
【
図16】(a)はダンパ装置の半円形ダンパの分解斜視図、(b)は同ダンパ装置の半円形ダンパの反対側から見た分解斜視図である。
【
図18】ボールシャフト部材と第2ベベルギヤの分解斜視図である。
【
図20】(a)はダンパ開放状態のボールシャフト部材と第2ベベルギヤの嵌合孔の関係を示す説明図、(b)はマイルド送風(拡散)時の同説明図、(c)はダンパ閉鎖時の同説明図である。
【
図21】回動ルーバーを下側に傾動させたときの、
図5に対応する断面図である。
【
図22】回動ルーバーを左側に傾動させたときの、
図10に対応する断面図である。
【
図23】操作部を回動操作して可動フィンを支軸の回りで回動させたときの、
図5に対応する断面図である。
【
図24】操作部を回動操作してダンパ装置を閉鎖状態としたときの、
図10に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図6は、自動車の車室内に取り付けられ、使用される空調装置用の丸型レジスタを示している。図示のレジスタは、概略的には、円筒型のリテーナ1内に、円筒フレーム20を有した回動ルーバー2が回動可能に配設され、回動ルーバー2には、送風方向と平行な中心線S1(
図5)から放射状に、5枚の可動フィン23が、円筒フレーム20の内側で、放射状に配置した5本の軸支線を軸に回動可能に軸支される。
【0024】
レジスタは、円筒フレーム20の中央に、操作部(ダイヤルノブ)6が配置され、操作部6を上下左右に動かして、回動ルーバー2を傾動させ、操作部6をその軸の回りで回動操作して、各可動フィン23を各支軸の回りで回動させ、送風を拡散させるとともに、さらに操作部6を回動操作することにより、ダンパ装置30を動作させて、リテーナ1内の通風路15を開閉するように構成される。
【0025】
レジスタの外殻を形成するリテーナ1内の通風路15内の上流側に、
図4、5に示すように、支持枠12が放射状に設けられ、支持枠12の中央部にボールジョイント支持部11が設けられる。ボールジョイント支持部11の軸方向に軸孔が形成され、この軸孔に、ボールジョイント8のボールシャフト部材46が嵌め込まれ、ボールシャフト部材46は、中心線S1上で軸の回りに回動可能に支持される。
【0026】
ボールジョイント8は、
図4、5に示すように、円筒フレーム20と5枚の可動フィン23を有した回動ルーバー2を、レジスタの中心線S1上で支持し、且つ中心線S1に対し前側の中心線S2が上下左右等に傾動するように支持し、さらにボールジョイント8は、操作部6の回動力を、第2ベベルギヤ機構34を介してダンパ装置30に伝達するようになっている。これらの部材は回動伝達機構4を構成する。
【0027】
リテーナ1の前部に、
図19に示す如く、円筒状のベゼル9が、ベゼル側の係止部9aとリテーナ側の係止爪1bを係止させて、嵌着される。
図5、6に示すように、ベゼル9は、内側に回動ルーバー2を回動及び傾動可能に配設した状態で、係止爪1bをベゼル9の係止部9aに係止させて、リテーナ1の前部に嵌着される。
【0028】
リテーナ1内に配設される回動ルーバー2は、
図7~
図12に示すように、円筒フレーム20内に、5枚の可動フィン23を放射状に配設し、円筒フレーム20の前円筒フレーム21の中央に操作部(ダイヤルノブ)6を回動可能に軸支し、操作部6の回動操作に応じて、5枚の可動フィン23を、放射状の軸支線の回りで、各可動フィン23に設けた支軸24、27を中心に、回動させるように構成される。
【0029】
回動ルーバー2の円筒フレーム20は、
図11に示す如く、前円筒フレーム21と後円筒フレーム22とからなり、可動フィン23を内部に組み付けた状態で、前円筒フレーム21の後部に後円筒フレーム22を嵌め込み、係止爪22aを21cに係止させて嵌着される。5枚の各可動フィン23の外側の支軸24は、前円筒フレーム21と後円筒フレーム22間に設けた軸孔に軸支される。各軸孔は、約72°の角度間隔で前円筒フレーム21と後円筒フレーム22間に設けられる。
【0030】
後円筒フレーム22の後縁部には円周にそって小凹凸部が、風切り音を防止するために設けられる。小凹凸部は、通風路15内の通風軸方向に向けて凹凸状に形成され、さらに略三角形状の小凹凸が背面に向けて鋸歯状に形成されている。
【0031】
円筒フレーム20は、
図11に示す如く、前円筒フレーム21の上流側に後円筒フレーム22を嵌着して形成される。後円筒フレーム22の嵌着部位には、3個の係止爪22aが120度の角度間隔で設けられ、前円筒フレーム21の後縁部に、係止爪22aとの対応部分に、係止爪22aと係止可能な3個の係止部21cが背面に向けて突設される。前円筒フレーム21と後円筒フレーム22は、係止爪22aと係止部21cを係止して、嵌着される。
【0032】
図7,8に示すように、後円筒フレーム22の外周後部には、円筒フレーム20の傾動範囲を規制するために、ストッパ22bが突設される。ストッパ22bは、後円筒フレーム22の外周部に突設された円柱部にゴム状リングを嵌めて構成され、回動ルーバー2の傾動時のガイド機能を兼備する。このために、回動ルーバー2をリテーナ1内に装着したとき、ストッパ22bは、リテーナの内側に設けたガイド溝1a(
図5、6)内に挿入され、回動ルーバー2の円筒フレーム20が傾動するとき、ストッパ22bはガイド溝1a内を移動し、傾動限度まで傾動したとき、ストッパ22bがガイド溝1aの奥部またはベゼル9の内側凸部に当たり、傾動が制限される。
【0033】
回動ルーバー2の中央に位置する中央軸支部3に、
図5、
図12に示すように、その外周部に等間隔(約72°の角度間隔)で、5個の軸支部29が設けられる。5枚の可動フィン23の内側の支軸27が、それらの各軸支部29の軸孔に回動可能に嵌入され、可動フィン23は回動ルーバー2の円筒フレーム20の内側に等間隔に配置され、軸支される。中央軸支部3は、
図12に示す如く、略5角形の筒型に形成され、5角形の各面に軸支部29が設けられる。また、中央軸支部3の側に円筒軸部28が設けられ、この円筒軸部28に、第1ベベルギヤ機構5の第1ベベルギヤ部材41が所定の角度範囲内で回動可能に嵌め込まれる。第1ベベルギヤ機構5は、第1ベベルギヤ部材41と第1ベベルギヤ片25を介して、操作部6の回動力を、5枚の各可動フィン23に伝達する。
【0034】
回動ルーバー2の可動フィン23は、開放操作時、
図1,3のように、通風路15と平行状態となって流路を開放し、閉鎖操作時には、閉鎖方向の回動端である、リテーナ1内の通風路15の横断方向と平行状態まで回動する。これにより回動ルーバー2は、操作部6を右側回動端まで回動操作した時、5枚の可動フィン23が円筒フレーム20内の通風路15を、ダンパ装置30とともに全閉状態とするように動作する。
【0035】
回動ルーバー2を傾動可能に支持するボールジョイント8は、
図5に示す如く、リテーナ1内の送風方向と平行な中心線S1上で、ボールジョイント支持部11にそのボールシャフト部材46を保持して、リテーナ1内の中央に取り付けられる。ボールジョイント8は、
図5,10に示すように、ボールシャフト部材46の前側先端にボール44が設けられ、そのボール44に、回動ルーバー2の中央に位置する中央軸支部3内のソケット部材49が、その中央のボール穴を嵌合させて、傾動及び回動可能に取り付けられる。
【0036】
ソケット部材49は、
図12に示す如く、ソケット支持部材48を介して中央軸支部3内に装着される。ソケット部材49は、例えば熱可塑性エラストマーなどの高分子弾性体から成形され、ソケット部材49内にはボールシャフト部材46のボール44が嵌合する。ボールシャフト部材46のボール44はソケット部材49内で、ガタツキを防止しつつ、傾動可能に且つ回動力を伝達可能に嵌合される。これにより、回動伝達機構4は、操作部6の回動操作時、適度な操作荷重を付与して、操作部6の回動力を第1ベベルギヤ部材41からソケット部材49を介して、ボールジョイント8のボールシャフト部材46に伝達する。
【0037】
ボールシャフト部材46は、その前端に小径の軸部45を介してボール44が形成され、ボール44には凸部44aが突設され、凸部44aは、ソケット部材49の係合部49aに係合して、ソケット部材49内に嵌入される。これにより、ソケット部材49からボールシャフト部材46に回動力が伝達可能となる。ソケット部材49は、中央軸支部3内に、ソケット支持部材48を介して、所定の角度範囲で回動可能に挿入される。
【0038】
一方、
図12に示す如く、第1ベベルギヤ機構5の第1ベベルギヤ部材41は、所定の角度範囲で回動可能に、中央軸支部3の円筒軸部28に嵌合される。また、第1ベベルギヤ部材41の前部に、連結軸部42が突設され、第1ベベルギヤ部材41は、その連結軸部42を操作部6の背面側の穴部に、操作部保持部21bを介して嵌入して取り付けられる。このとき、操作部6と第1ベベルギヤ部材41は、前円筒フレーム21の操作部保持部21bに保持され、連結される。これにより、第1ベベルギヤ部材41は前円筒フレーム21の中央位置に回動可能に保持される。
【0039】
操作部6の回動操作時、操作部6の回動力を、第1ベベルギヤ部材41、ソケット支持部材48及びソケット部材49を介して、ボールシャフト部材46に伝達するように、
図12に示す如く、第1ベベルギヤ部材41、ソケット支持部材48、ソケット部材49、ボール44及びボールシャフト部材46は連結され、これらの部材が回動伝達機構4を構成する。
【0040】
この回動伝達機構4により、操作部6の回動力は、第1ベベルギヤ部材41、ソケット支持部材48及びソケット部材49を介して、ボールジョイント8のボールシャフト部材46に伝達されるが、ボールシャフト部材46から第2ベベルギヤ機構34の第2ベベルギヤ部材38に伝達される回動角度範囲は、
図20(a)~(c)に示すように、例えば開放状態から正面視で右側に30°回した後の30°の角度範囲とされ、その角度で回動力がダンパ装置30に伝達され、ダンパ装置30が開閉動作するようになっている。
【0041】
回動ルーバー2の5枚の可動フィン23は、
図12などに示す如く、円筒フレーム20内に等間隔(約72°の角度間隔)で配置され、各可動フィン23の外側の支軸24は、各々、
図5に示すように、円筒フレーム20の前円筒フレーム21と後円筒フレーム22との間に挟むように軸支される。内側の各支軸27は上記中央軸支部3の外周部に等間隔(約72°の角度間隔)で配置された各軸支線(5角形の中央軸支部3の各面から放射状に延びる線)の軸支部29に、嵌入され、各可動フィン23は、放射状の軸支線の回りで回動可能に軸支される。
【0042】
前円筒フレーム21内には、
図8のように格子部21aが設けられ、格子部21a内は通風路15となる。格子部21aの中央に、円筒状の操作部保持部21b設けられ、操作部保持部21b内に、操作部6が前方から回動可能に挿入される。前円筒フレーム21の後部(上流側)に後円筒フレーム22が嵌着され、そのために、
図11の如く、前円筒フレーム21の後縁部に、係止部21cが後方に突設され、係止部21cに後円筒フレーム22の係止爪22aが係止される。
【0043】
各可動フィン23の内側の支軸27は、
図12に示す如く、中央軸支部3の5本の軸支線上の、各軸支部29に適度な摩擦抵抗をもって軸支され、中央軸支部3の前部の円筒軸部28に、第1ベベルギヤ部材41が回動可能に嵌合される。
【0044】
操作部6は、ダイヤルノブ状に形成され、回動ルーバー2の円筒フレーム20の前部の格子部21aの中央に、回動操作可能に装着される。
図11のように、格子部21aの中央には、操作部保持部21bが円形凹部として形成され、その操作部保持部21bの中央に、挿入孔が設けられる。その挿入孔に、前部から操作部6の軸部が挿入され、後部からは第1ベベルギヤ部材41の連結軸部42が操作部6の軸部内に挿通され、その連結軸部42に設けた係止爪が操作部6の軸部の係止部に係止されて、操作部6と第1ベベルギヤ部材41が回動操作可能に連結される。これにより、操作部6と第1ベベルギヤ部材41は円筒フレーム20の中央位置に、回動可能に保持される。
【0045】
上記の如く、第1ベベルギヤ機構5の第1ベベルギヤ部材41は、中央軸支部3の前部の円筒軸部28に回動可能に嵌入され、
図12などに示す如く、各可動フィン23の内側端部に設けた各第1ベベルギヤ片25が、この第1ベベルギヤ部材41と噛合する。これにより、操作部6を回動操作すると、第1ベベルギヤ部材41を介して、各可動フィン23の第1ベベルギヤ片25が従動して回動し、回動ルーバー2の各可動フィン23は、その支軸24、27を軸に回動する。
【0046】
図12に示すように、回動ルーバー2の可動フィン23は、5枚のフィンから構成され、各可動フィン23の内側部分には、駆動側の第1ベベルギヤ部材41と噛合する従動側の第1ベベルギヤ片25が一体成形され、その内側軸中心位置に、支軸27が突設される。各可動フィン23は、その内側に設けた支軸27を、中央軸支部3の軸支部29に挿入して支持され、各可動フィン23の外側の支軸24は、
図5に示す如く、前円筒フレーム21と後円筒フレーム22の間で回動可能に保持される。各第1ベベルギヤ片25はその前部に位置する第1ベベルギヤ部材41と噛合し、これにより、操作部6の回動操作により第1ベベルギヤ部材41が回動すると、各第1ベベルギヤ片25が従動し、全ての可動フィン23がその支軸24,27を軸に回動する。
【0047】
各可動フィン23の回動範囲は約90°に設定されるため、第1ベベルギヤ片25は円環ホイール状に形成する必要はなく、
図12に示すように、約180°の角度範囲つまり略半円形の歯部として形成される。また、円筒フレーム20を含む回動ルーバー2は、その中央の操作部6を持って、上下左右に傾動操作すると、ボールジョイント8のボール44を中心に、中央軸支部3が傾動し、回動ルーバー2全体が傾動するようになっている。
【0048】
回動ルーバー2は、5枚の可動フィン23のフィン本体を、各々、通風路15の通風方向(中心線S1)と平行にした状態で、レジスタは開放状態(全開でストレートに送風するニュートラル状態)となる。拡散するマイルド風を送風する場合、操作部6を全開状態から例えば右側に回動操作すると、その回動力が第1ベベルギヤ機構5を介して各可動フィン23に伝達され、回動ルーバー2は、各可動フィンがその支軸24、27の回りで回動し、中心線S1に対し傾斜した状態となり、傾斜した可動フィン23により送風が拡散され、マイルド風を送風するように構成される。
【0049】
このような操作部6の回動操作時は、ボールシャフト部材46と第2ベベルギヤ部材38の関係は、
図20(a)から
図20(b)の状態となり、ダンパ装置30に操作部6の回動力は伝達されず、ダンパ装置30は、動作しないように構成される。この間、回動ルーバー2は、操作部6の約30°の回動角度範囲内で、可動フィン23が任意の傾斜角度状態となり、傾斜した5枚の可動フィン23によって、送風が細かく拡散され、マイルド風を送風できる状態となる。
【0050】
このような状態から、さらに操作部6を例えば右側に回動操作すると、ボールシャフト部材46から第2ベベルギヤ部材38に回動力が伝達され、回動ルーバー2の上流側の通風路15内に位置するダンパ装置30が、動作して通風路15を閉鎖するように構成される。
【0051】
ダンパ装置30は、リテーナ1内の通風路15内に設けた支持枠12の直ぐ後側に配置され、支持枠12の中央部に、筒状のボールジョイント支持部11が設けられ、ボールシャフト部材46がそのボールジョイント支持部11内に、通風路15内の軸方向と平行に保持される。
【0052】
ボールシャフト部材46は、
図17、18に示すように、その前端部にボール44が、小径の軸部45を介して一体成形され、その末端部(背面側)には、第2ベベルギヤ部材38の異形軸孔39に嵌合連結される、末端嵌合部47が形成される。末端嵌合部47は、ボールシャフト部材46の端部両側に平坦面47aを形成し、両側の平坦面47aの間に円弧状曲面47bを設けて形成される。
【0053】
図18、
図20に示す如く、第2ベベルギヤ部材38の異形軸孔39には、そこに嵌合されるボールシャフト部材46の平坦面47aがその回動端で当接する、当接面39aが両側に設けられ、その円弧状曲面47bが摺接する摺接面39bが、その両側に設けられる。
図20(a)に示すように、異形軸孔39の当接面39aは、中心線S3に対し例えば30°の傾斜角度をもって両側に形成される。
【0054】
これにより、操作部6を
図5のニュートラル状態(開放状態)から右に回動操作を開始した場合、
図20(a)から
図20(b)に示すように、ボールシャフト部材46は第2ベベルギヤ部材38に対し空回りを開始し、角度30°だけ回動したとき、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47の平坦面47aが異形軸孔39の当接面39aに当接する。そして、さらに操作部6を回動操作したとき、
図20(b)から
図20(c)に示すように、ボールシャフト部材46の回動力を第2ベベルギヤ部材38に伝達し、第2ベベルギヤ部材38を回動させ、操作部6の回動力をダンパ装置30に伝達するようになっている。
【0055】
このように、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47は第2ベベルギヤ部材38の異形軸孔39に嵌合されるが、
図5、
図18に示す如く、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47には、第2ベベルギヤ部材をボールジョイント支持部11側に付勢するバネ部材38a(コイルばね)が、バネ座38bを介して取り付けられる。蓋状のバネ座38bは、取付ねじ38cにより末端嵌合部47の端面に固定される。
【0056】
これにより、第2ベベルギヤ部材38は、バネ部材38aによりボールジョイント支持部11側に付勢されて、ボールジョイント支持部11に対し適度な摩擦抵抗を生じさせる。これにより、操作部6の回動操作の初期時に、供回りを抑制して、ボールシャフト部材46のみを空回りさせ、その後、
図20(c)のように、ボールシャフト部材46の回動力を第2ベベルギヤ部材38に伝達し、第2ベベルギヤ部材38を回動させるようになっている。
【0057】
ダンパ装置30は、
図13~
図16に示す如く、直線部に軸部33,35を各々設けた1対の半円形ダンパ31,32を、回動可能に有して構成される。各半円形ダンパ31,32の直線部の軸部33,35には、第2ベベルギヤ部材38と噛合する第2ベベルギヤ片36,37が一体成形される。
【0058】
1対の半円形ダンパ31,32の直線部に設けた軸部33,35は、
図16に示す如く、一方の軸部33の軸心位置に連結軸33aが突設され、他方の軸部35の軸支位置に、連結孔が設けられる。同様に、他方の軸部35の軸心位置に連結軸35aが突設され、一方の軸部33の軸支位置に、連結孔が設けられその連結孔に連結軸35aが挿入され、両半円形ダンパ31,32が、その直線部の軸部33,35を介して、背面側に約90°の角度範囲で回動可能に連結される。
【0059】
組み付けられた1対の半円形ダンパ31,32は、リテーナ1内で、
図5に示す如く、各々の第2ベベルギヤ片36,37が、第2ベベルギヤ機構34の第2ベベルギヤ部材38と噛合し、操作部6からの回動力が第2ベベルギヤ部材38に伝達されたとき、軸部33,35を中心に、相反方向に約90°の角度範囲で回動し、通風路15を開放或いは閉鎖することとなる。
【0060】
ダンパ装置30の1対の半円形ダンパ31,32は、
図16に示すように、その軸部33,35の末端部に支軸33b、35bが上下に突設され、支軸33b、35bはリテーナ1内の上部と下部に設けた軸受孔に、
図5に示す如く嵌入され、回動可能に軸支される。また、
図24に示す如く、1対の半円形ダンパ31,32の少なくとも円弧状縁部には、軟質合成樹脂部31a,32aが被覆形成される。この軟質合成樹脂部31a,32aは、全閉時、通風路15の内周壁に当接することにより、風漏れを防止し、全閉性能を向上させる。
【0061】
上記のように、ダンパ装置30は、
図5に示す如く、1対の半円形ダンパ31,32が通風方向と平行状態まで回動した状態で、通風路15を開放する。ダンパ装置30は、基本的には、開放状態から、操作部6を例えば右側に回動操作したとき、操作部6の所定の角度位置から、1対の半円形ダンパ31,32が閉じる方向に回動し、操作部6の右側への回動端で全閉状態となるように構成される。
【0062】
ダンパ装置30は、操作部6が正面視で右側端まで回動されているとき、閉鎖状態となり、操作部6を左側端まで左に回動操作したとき、ダンパ装置30は、
図1~
図5の状態、つまり全開し、ストレート風を送風するニュートラル状態となる。この状態から、操作部6を例えば右側に回動操作すると、操作部6の回動力が第1ベベルギヤ機構5を介して回動ルーバー1の各可動フィン23に伝達され、各可動フィン23が中心線S1に対する角度を徐々に傾斜させるように回動し、送風を拡散させてマイルド風を送風する状態となる。
【0063】
この間、回動伝達機構4のボールシャフト部材46は回動するものの、その末端嵌合部47は第2ベベルギヤ部材38の異形軸孔39内で空回りし、第2ベベルギヤ部材38は回動しないように構成される。すなわち、
図20(a)から
図20(b)のように、操作部6の回動操作時、先ず回動ルーバー2の可動フィン23が回動した後、さらに回動操作すると、
図24に示すように、半円形ダンパ31,32が相反方向つまりその間の角度を増す方向に回動し、半円形ダンパ31,32の外周縁部がリテーナ1内の壁面に接触するまで回動し、通風路15が閉鎖されるようになっている。
【0064】
上記回動ルーバー2を組み立てる場合、先ず、操作部6を前円筒フレーム21の前部の操作部保持部21b内に挿入しながら、その軸部を挿入孔に挿入し、前円筒フレーム21の後部側から第1ベベルギヤ部材41の連結軸部42を、操作部6の軸部内に差し込み、その係止爪を係止部に係止させる。これにより、操作部6及び第1ベベルギヤ部材41は前円筒フレーム21の中央軸線位置に、確実に回動可能に組み付けられる。
【0065】
次に、中央軸支部3の外周部の軸支線の位置に、5枚の可動フィン23を放射状に保持させるように、内側の支軸27を軸支部29に挿入し、第1ベベルギヤ部材41を中央軸支部3の円筒軸部28を嵌入する。その状態で、5枚の可動フィン23の外側の支軸24を、前円筒フレーム21と後円筒フレーム22間の軸受部で挟み込み軸支するようにして、前円筒フレーム21と後円筒フレーム22を嵌合させ、その係止爪22aと係止部21cを係止させる。
【0066】
この状態で、回動ルーバー2は、円筒フレーム20に5枚の可動フィン23を組み付けた状態となり、各可動フィン23の元部に設けた第1ベベルギヤ片25は中央の第1ベベルギヤ部材41と噛合した状態となる。ボールジョイント8のボールシャフト部材46は、リテーナ1内のボールジョイント支持部11内に、そのボール44を前方に、水平に位置させた状態で、その軸の回りで回動可能に嵌入される。
【0067】
円筒フレーム20を含む回動ルーバー2をリテーナ1内に装着する場合、後円筒フレーム22の外周のストッパ22bを、リテーナ1内のガイド溝1aに挿入し、中央軸支部3の後部にボール44を嵌合させた状態のボールジョイント8のボールシャフト部材46が後方に突出した状態で、ボールジョイント8のボールシャフト部材46を、リテーナ1内のボールジョイント支持部11内に差し込む。
【0068】
この後、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47には、
図18に示すように、第2ベベルギヤ部材38、バネ部材38a、及びバネ座38bが取付ねじ38cにより取り付けられる。このとき、嵌合された末端嵌合部47と第2ベベルギヤ38の異形軸孔39の関係は、
図20に示すように、所定の角度範囲で回動力を伝達可能な状態となる。そして、1対の半円形ダンパ31,32を組み付けたダンパ装置30が、リテーナ1の背面側か通風路15内に挿入され、ダンパ装置30の上下の支軸35b、33bが、リテーナ1の上部と下部に設けた軸孔に嵌挿され、半円形ダンパ31,32の第2ベベルギヤ片36,37が第2ベベルギヤ部材38と噛合して、組み付けられる。そして、ベゼル9を回動ルーバー2の前部を覆うように、リテーナ1の前部に嵌め込み、係止部9aを係止爪1bに係止させ、レジスタの組立てが完了する。
【0069】
上記構成のレジスタは、例えば自動車のインストルメントパネルに設けられた空調装置の空気吹出口等に装着して使用される。レジスタの送風方向を変える場合、操作部6を持って回動ルーバー2を傾動操作或いは回動操作して行なう。操作部6はダイヤル状に形成され且つ空気吹出口9bより少し前方に突出して配設されるため、使用者は容易に操作部6を持って傾動操作或いは回動操作が可能である。
【0070】
図5,10に示すように、ダンパ装置30が全開し、回動ルーバー2の可動フィン23が通風路15の軸方向に沿った中心線S2と平行な状態にあるとき、空気流は回動ルーバー2の可動フィン23にガイドされて前方に真直ぐ送風され、前方の比較的狭い範囲に集中してスポット風が送風される。
【0071】
レジスタの送風方向を変える場合、操作部6を持って回動ルーバー2を上下或いは左右に傾動操作する。例えば、
図21に示すように、操作部6を下側に傾動させると、回動ルーバー2は、円筒フレーム20の上端部のストッパ22bがガイド溝1a内を前方に移動し、ボールジョイント8はそのソケット部材49がボール44を中心に下側に傾動する。これにより、回動ルーバー2は、
図21に示すように、リテーナ1の中心線S1に対しその中心線S2が下側に傾斜し、送風方向が斜め下方に変えられる。操作部6を上側に傾動させた場合、同様に回動ルーバー2が傾動し、送風方向は斜め上方に変えられる。
【0072】
また、その状態で、操作部6を右または左に傾動させると、回動ルーバー2は、ストッパ22bとボールジョイント8のボール44を結ぶ軸を中心に、右または左に傾動し、送風方向が斜め下側の右または左方向に変えられる。回動ルーバー2が上側に傾動した状態或いは
図10のように真直ぐ正面を向く場合も、同様に、回動ルーバー2は、ストッパ22bとボールジョイント8のボール44を結ぶ軸を中心に、右または左に傾動し、送風方向が右または左方向に調整される。
【0073】
一方、空気吹出口9bの前方の周囲における比較的広い範囲に、拡散して送風する場合、操作部6を持って中心線S2を軸に捻るように右に回す。
【0074】
このとき、操作部6の回動力は第1ベベルギヤ機構5の第1ベベルギヤ部材41を介して5枚の可動フィン23の第1ベベルギヤ片25に伝達され、5枚の可動フィン23はその支軸24、27を軸に回動し、各可動フィン23のフィン本体が通風路15の横断面に沿ったラジアル方向の軸の回りで、前後に傾くように回動する。
【0075】
またこのとき、第2ベベルギヤ機構34の第2ベベルギヤ部材38とボールシャフト部材46の末端嵌合部47の関係は、
図20(a)、(b)に示すように、例えば右に30°の角度範囲で回した場合、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47は、異形軸孔39内で空回りし、ボールシャフト部材46の回動力は第2ベベルギヤ部材38に伝達されない。したがって、操作部6の回動操作で、回動ルーバー2の可動フィン23の傾斜角度が変えられる間、ダンパ装置30の1対の半円形ダンパ31,32は、
図10のように、開放状態を保持する。
【0076】
これにより、空気流は、回動ルーバー2を通過する際、回動ルーバー2の中心線S2の回りで旋回するように周囲に広って送風され、空気吹出口9bの周囲に拡散するように拡散風〈マイルド風〉が送風される。またこのとき、送風は空気吹出口9bの内側に配置された5枚の可動フィン23により、周囲にガイドされて拡散され、マイルドな風を送風することができる。
【0077】
一方、送風を遮断する場合には、操作部6をさらに右に回動端まで回す。このとき、第2ベベルギヤ部材38とボールシャフト部材46の末端嵌合部47の嵌合状態は、
図20(b)から
図20(c)に示すように、末端嵌合部47の平坦面47aが異形軸孔39の当接面39aに当たり、ボールシャフト部材46の回動力が第2ベベルギヤ部材38に伝達される。
【0078】
これにより、第2ベベルギヤ機構34の第2ベベルギヤ部材38が回動し、第2ベベルギヤ片36,37を介して1対の半円形ダンパ31,32が相反方向につまり閉じる方向に回動し、
図24に示す如く、半円形ダンパ31,32の円弧状端部が通風路15の内周面に当接して、ダンパ装置30が閉鎖される。このとき、ダンパ装置30は、1対の半円形ダンパ31,32の周縁部が、通風路15の内周面に当接するため、風漏れを防止して、全閉状態とすることができる。またこのとき、回動ルーバー2の可動フィン23も、閉鎖方向に回動し、
図24に示すように、円筒フレーム20内を略全閉状態とする。
【0079】
一方、このような全閉状態から操作部6を左に回すと、上記とは逆の動作が行われ、ボールシャフト部材46の末端嵌合部47が、異形軸孔39内で空回りする間、操作部6の回動力は、第1ベベルギヤ機構5の第1ベベルギヤ部材41を介して5枚の可動フィン23の第1ベベルギヤ片25に伝達され、5枚の可動フィン23はその支軸24、27を軸に、上記と逆方向に回動する。これにより、各可動フィン23のフィン本体が通風路15の中心線S1,S2と平行な方向に向くように回動し、元の状態に戻る。
【0080】
そしてさらに、操作部6を左に回すと、その回動力がボールシャフト部材46の末端嵌合部47から第2ベベルギヤ部材38に伝達され、1対の半円形ダンパ31,32が、上記とは逆に開放方向に回動し、ダンパ装置30が全開状態に戻り、送風状態は、回動ルーバー2の可動フィン23の角度を調整して、任意の拡散風を送風することができる。
【0081】
以上説明したように、上記レジスタは、回動ルーバー2の中央の操作部6を持って回動ルーバー2を任意の方向に傾動操作したとき、回動ルーバー2は、中央に支持されたボールジョイント8のボール44を中心に傾動し、送風方向が任意の方向に変えられる。また、操作部6をその軸の回りで回動操作すると、第1ベベルギヤ機構5を介して操作部6の回動力が各可動フィン23に伝達され、各可動フィン23がその支軸24,27の回りで回動し、例えば各可動フィン23が通風路15の軸方向と略平行になったとき、ストレートなスポット風が送風される。
【0082】
また、操作部6をその軸の回りで回動操作し、例えば各可動フィン23が通風路15の軸方向に対し傾斜状態となると、傾斜した可動フィン23によって、送風が拡散され、マイルド風が送風される。さらに操作部6を回動操作して各可動フィン23の傾斜角度が所定角度より増大し、各可動フィン23が略閉鎖状態に達すると、ボールジョイント8のボールシャフト部材46の末端に設けた第2ベベルギヤ機構34を介して、操作部6の回動力が、ダンパ装置30の1対の半円形ダンパ31、32に伝達される状態となり、半円形ダンパ31,32が回動し、操作部6の回動操作がその回動端まで回したとき、1対の半円形ダンパ31,32により通風路15を全閉することができる。
【0083】
このように、操作部6をその軸の回りで回動操作するのみで、スポット風からマイルド風(拡散風)まで簡単に調整することができ、操作部6の回動端では、ダンパ装置30の開閉を行うことができ、ダンパ装置30は、半円形ダンパ31,32で通風路15を密に閉鎖して、風漏れを防止することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 リテーナ
1a ガイド溝
1b 係止爪
2 回動ルーバー
3 中央軸支部
4 回動伝達機構
5 第1ベベルギヤ機構
6 操作部
8 ボールジョイント
9 ベゼル
9a 係止部
9b 空気吹出口
11 ボールジョイント支持部
12 支持枠
15 通風路
20 円筒フレーム
21 前円筒フレーム
21a 格子部
21b 操作部保持部
21c 係止部
22 後円筒フレーム
22a 係止爪
22b ストッパ
23 可動フィン
24 支軸
25 第1ベベルギヤ片
27 支軸
28 円筒軸部
29 軸支部
30 ダンパ装置
31 半円形ダンパ
31a 軟質合成樹脂部
33 軸部
33a 連結軸
33b 支軸
34 第2ベベルギヤ機構
35 軸部
35a 連結軸
35b 支軸
36 第2ベベルギヤ片
38 第2ベベルギヤ部材
38a バネ部材
38b バネ座
39 異形軸孔
39a 当接面
39b 摺接面
41 第1ベベルギヤ部材
42 連結軸部
44 ボール
44a 凸部
45 軸部
46 ボールシャフト部材
47 末端嵌合部
47a 平坦面
47b 円弧状曲面
48 ソケット支持部材
49 ソケット部材