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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018085441
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019192830
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】上杉 明靖
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188113(JP,A)
【文献】特開2004-247768(JP,A)
【文献】特開2018-064045(JP,A)
【文献】特開2009-246261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装される基板を搬送する搬送部と、
前記搬送部上の前記基板に前記部品を実装する第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットと、
前記搬送部に対して水平面内で前記基板の搬送方向と直交する直交方向の一方側および他方側にそれぞれ配置され、前記部品を供給する一方側部品供給部および他方側部品供給部と、を備え、
前記一方側部品供給部および前記他方側部品供給部のうちの少なくとも一方は、第1部品供給部と、前記第1部品供給部に対して前記直交方向において前記搬送部側にずれた位置に配置されている第2部品供給部と、を含み、
前記第2部品供給部の部品供給位置は、平面視において、前記第1ヘッドユニットの可動領域と前記第2ヘッドユニットの可動領域とが重複する重複領域に配置されている、部品実装装置。
【請求項2】
前記第1部品供給部の部品供給位置は、平面視において、前記第1ヘッドユニットの可動領域と前記第2ヘッドユニットの可動領域とが重複しない非重複領域に配置されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記一方側部品供給部および前記他方側部品供給部は共に、前記第1部品供給部と、前記第2部品供給部と、を含む、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記一方側部品供給部の前記第1部品供給部および前記第2部品供給部と、前記他方側部品供給部の前記第1部品供給部および前記第2部品供給部とは、点対称状になるように配置されている、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記第2部品供給部は、複数のテープフィーダにより構成されるテープフィーダ群単位で、前記第1部品供給部に対して前記直交方向において前記搬送部側にずれた位置に配置されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記第2部品供給部は、テープフィーダ単位で、前記第1部品供給部に対して前記直交方向において前記搬送部側にずれた位置に配置されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記第1ヘッドユニットが前記第2部品供給部から前記部品を取得する動作と、前記第2ヘッドユニットが同じ前記第2部品供給部から前記部品を取得する動作とが同時に行われないように作成された前記部品の取得順序情報を予め取得し、予め取得された前記部品の取得順序情報に基づいて、前記第1ヘッドユニットおよび前記第2ヘッドユニットを制御する制御部をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記第1ヘッドユニットが前記第2部品供給部から前記部品を取得する動作と、前記第2ヘッドユニットが同じ前記第2部品供給部から前記部品を取得する動作とが同時に行われないように、前記部品の取得順序を入れ替える制御を行う制御部をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置に関し、特に、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットを備える部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットを備える部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置(部品実装装置)が開示されている。この電子部品装着装置は、プリント基板を搬送方向に搬送する搬送装置と、搬送装置上のプリント基板に電子部品を装着する2つの装着ヘッド(第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニット)と、2つの装着ヘッドに電子部品を供給する複数の部品供給ユニットとを備える。複数の部品供給ユニットは、搬送装置に対して一方側に、搬送方向に沿って配列されるように設けられている。この電子部品装着装置では、搬送装置に対して一方側において、2つの装着ヘッドの両方が複数の部品供給ユニットから電子部品を取得する動作を行う場合がある。この場合、2つの装着ヘッドが搬送方向に沿って並んで配置された状態で、2つの装着ヘッドの両方による複数の部品供給ユニットからの電子部品の取得動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5085509号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された電子部品装着装置では、搬送装置に対して一方側において2つの装着ヘッドの両方が複数の部品供給ユニットから電子部品を取得する動作を行う場合に、2つの装着ヘッドが搬送方向に沿って並んで配置される場合には、2つのヘッドユニットが干渉するおそれがある。この点において、上記特許文献1に記載された電子部品装着装置は、改善の余地がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、一方側部品供給部または他方側部品供給部において第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの両方が部品を取得する動作を行う場合にも、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することを抑制することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による部品実装装置は、部品が実装される基板を搬送する搬送部と、搬送部上の基板に部品を実装する第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットと、搬送部に対して水平面内で基板の搬送方向と直交する直交方向の一方側および他方側にそれぞれ配置され、部品を供給する一方側部品供給部および他方側部品供給部と、を備え、一方側部品供給部および他方側部品供給部のうちの少なくとも一方は、第1部品供給部と、第1部品供給部に対して直交方向において搬送部側にずれた位置に配置されている第2部品供給部と、を含み、第2部品供給部の部品供給位置は、平面視において、第1ヘッドユニットの可動領域と第2ヘッドユニットの可動領域とが重複する重複領域に配置されている
【0008】
この発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように構成することにより、たとえば、第1ヘッドユニットに第1部品供給部から部品を取得させつつ、第2ヘッドユニットに、第1部品供給部に対して上記直交方向において搬送部側にずれた位置に配置された第2部品供給部から部品を取得させることができる。また、たとえば、第2ヘッドユニットに第1部品供給部から部品を取得させつつ、第1ヘッドユニットに、第1部品供給部に対して上記直交方向において搬送部側にずれた位置に配置された第2部品供給部から部品を取得させることができる。その結果、第1ヘッドユニットが部品を取得する動作と、第2ヘッドユニットが部品を取得する動作とを、搬送方向に沿って並んだ位置ではなく、上記直交方向にずれた位置で行うことができる。これにより、一方側部品供給部または他方側部品供給部において第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの両方が部品を取得する動作を行う場合にも、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することを抑制することが可能な部品実装装置を提供することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1部品供給部の部品供給位置は、平面視において、第1ヘッドユニットの可動領域と第2ヘッドユニットの可動領域とが重複しない非重複領域に配置されている。このように構成すれば、たとえば、第2ヘッドユニットの可動領域内(重複領域)に部品供給位置が配置された第2部品供給部から第2ヘッドユニットに部品を取得させつつ、第2ヘッドユニットの可動領域外(非重複領域)に部品供給位置が配置された第1部品供給部から第1ヘッドユニットに部品を取得させることができる。また、たとえば、第1ヘッドユニットの可動領域内(重複領域)に部品供給位置が配置された第2部品供給部から第1ヘッドユニットに部品を取得させつつ、第1ヘッドユニットの可動領域外(非重複領域)に部品供給位置が配置された第1部品供給部から第2ヘッドユニットに部品を取得させることができる。その結果、一方側部品供給部または他方側部品供給部において第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの両方が部品を取得する動作を行う場合において、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとを互いに干渉しない位置に配置することができる。これにより、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することをより抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、一方側部品供給部および他方側部品供給部のは共に、第1部品供給部と、第2部品供給部と、を含む。このように構成すれば、一方側部品供給部および他方側部品供給部のいずれにおいても、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの両方が部品を取得する動作を行う場合において、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することを抑制することができる。その結果、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することを効果的に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、一方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部と、他方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部とは、点対称状になるように配置されている。このように構成すれば、一方側部品供給部および他方側部品供給部が共に第1部品供給部と、第2部品供給部とを含む場合にも、一方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部と、他方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部とをバランス良く配置することができる。
【0012】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、第2部品供給部は、複数のテープフィーダにより構成されるテープフィーダ群単位で、第1部品供給部に対して上記直交方向において搬送部側にずれた位置に配置されるように構成されている。このように構成すれば、第2部品供給部をテープフィーダ群により構成することができる。その結果、第2部品供給部としてのテープフィーダ群に対して配置作業を行うことができる。これにより、配置作業の容易化を図ることができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、第2部品供給部は、テープフィーダ単位で、第1部品供給部に対して上記直交方向において搬送部側にずれた位置に配置されるように構成されている。このように構成すれば、第2部品供給部を個別のテープフィーダにより構成することができる。その結果、必要なテープフィーダだけを第2部品供給部として構成することができる。
【0014】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作と、第2ヘッドユニットが同じ第2部品供給部から部品を取得する動作とが同時に行われないように作成された部品の取得順序情報を予め取得し、予め取得された部品の取得順序情報に基づいて、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットを制御する制御部をさらに備える。このように構成すれば、第1ヘッドユニットの動作および第2ヘッドユニットの動作を制限することなく、第1ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作および第2ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作を行うことができる。その結果、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットによる部品の取得動作を効率良く行うことができる。
【0015】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、第1ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作と、第2ヘッドユニットが同じ第2部品供給部から部品を取得する動作とが同時に行われないように、部品の取得順序を入れ替える制御を行う制御部をさらに備える。このように構成しても、第1ヘッドユニットの動作および第2ヘッドユニットの動作を制限することなく、第1ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作および第2ヘッドユニットが第2部品供給部から部品を取得する動作を行うことができる。その結果、第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットによる部品の取得動作を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、一方側部品供給部または他方側部品供給部において第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットの両方が部品を取得する動作を行う場合にも、第1ヘッドユニットと第2ヘッドユニットとが干渉することを抑制することが可能な部品実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の部品実装装置を示す模式的な平面図である。
図2】第1実施形態の部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の部品実装装置のヘッドユニットの可動領域を示す模式的な平面図であって、(A)は、一方側のヘッドユニットの可動領域を示す模式的な平面図であり、(B)は、他方側のヘッドユニットの可動領域を示す模式的な平面図であり、(C)は、可動領域の重複領域を示す模式的な平面図である。
図4】第1実施形態の部品実装装置の部品供給部間のずれ量とヘッド間の距離との関係を説明するための図である。
図5】第1実施形態の部品実装装置のヘッドユニットの部品取得動作を説明するための図であって、(A)は、一方側におけるヘッドユニットの部品取得動作を説明するための図であり、(B)は、他方側におけるヘッドユニットの部品取得動作を説明するための図である。
図6】第1実施形態の部品実装装置の部品の取得順序情報を説明するための図である。
図7】第1実施形態の部品実装装置による部品の取得順序の入れ替えを説明するための図である。
図8】第1実施形態の部品実装装置による実装動作処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第1実施形態の部品実装装置によるシーケンスの検索処理を説明するためのフローチャートである。
図10】第1実施形態のデータ作成装置による最適化処理を説明するためのフローチャートである。
図11】第2実施形態の部品実装装置を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1図7を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。なお、以下の説明では、基板搬送方向に沿う方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。なお、Y方向は、特許請求の範囲の「直交方向」の一例である。
【0020】
(部品実装装置の構成)
部品実装装置100は、図1および図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0021】
部品実装装置100は、基台1と、搬送部2と、部品供給部3aおよび3bと、ヘッドユニット4aおよび4bと、ヘッド水平移動機構部5と、部品撮像部6と、ノズル配置部7(ノズルチェンジャ)と、部品廃棄部8と、基板撮像部9と、制御部10(図2参照)とを備える。なお、部品供給部3aおよび3bは、それぞれ、特許請求の範囲の「一方側部品供給部」および「他方側部品供給部」の一例である。また、ヘッドユニット4aおよび4bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1ヘッドユニット」および「第2ヘッドユニット」の一例である。
【0022】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、搬送部2、レール部52および部品撮像部6が設けられている。また、基台1内には、制御部10が設けられている。
【0023】
搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含む。搬送部2は、一対の搬送ベルト21により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、X方向に基板Pを搬送するように構成されている。また、搬送部2は、実装ステージ22を含む。実装ステージ22は、基板PをX方向に搬送するための搬送位置Paと、基板Pを固定するための基板固定位置Pbとの間で、Y方向に移動可能に構成されている。また、搬送部2は、基板固定位置Pbとは別個に、基板Pを固定するための基板固定位置Pcを有する。搬送部2は、基板固定位置Pbと基板固定位置Pcとの2つの位置において、基板Pを基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。
【0024】
部品供給部3aおよび3bは、基板Pに実装される部品Eを供給するように構成されている。部品供給部3aは、搬送部2に対してY方向の一方側(Y1方向側)に配置されており、複数のテープフィーダ30により構成されている。また、部品供給部3bは、搬送部2に対してY方向の他方側(Y2方向側)に配置されており、複数のテープフィーダ30により構成されている。なお、部品供給部3aおよび3bの詳細については、後述する。
【0025】
ヘッドユニット4aおよび4bは、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット4aおよび4bは、基板固定位置PbまたはPcにおいて固定された搬送部2上の基板Pに部品Eを実装する。ヘッドユニット4aは、ヘッドユニット4bに対してY方向の一方側(Y1方向側)に設けられている。ヘッドユニット4bは、ヘッドユニット4bに対してY方向の他方側(Y2方向側)に設けられている。ヘッドユニット4aおよび4bは、Y方向に互いに対向するように設けられている。ヘッドユニット4a(4b)は、複数(10本)のヘッド(実装ヘッド)41を含む。ヘッド41の先端には、部品Eを保持(吸着)するためのノズル(図示せず)が着脱可能に装着されている。ヘッド41は、負圧供給部(図示せず)からの負圧により、ノズルに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。
【0026】
また、ヘッドユニット4aおよび4bは、ヘッド41を上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ42(図2参照)と、ヘッド41をZ方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ43(図2参照)とを含む。ヘッド41は、Z軸モータ42により、部品Eを保持するためかまたは保持された部品Eを実装するための下降位置と、保持された部品Eを基板Pに搬送するための上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、ヘッド41は、部品Eを保持した状態でR軸モータ43により回転されることにより、保持している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0027】
ヘッド水平移動機構部5は、ヘッドユニット4aおよび4bを水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部5は、ヘッドユニット4aをX方向に移動可能に支持する支持部51aと、ヘッドユニット4bをX方向に移動可能に支持する支持部51bと、支持部51aおよび51bをY方向に移動可能に支持するレール部52とを含む。支持部51aは、ヘッドユニット4aがY2方向側に配置されるように、ヘッドユニット4aを側方から支持する。支持部51bは、ヘッドユニット4bがY1方向側に配置されるように、ヘッドユニット4bを側方から支持する。支持部51a(51b)は、たとえば駆動モータとボールねじ軸機構とにより、ヘッドユニット4a(4b)をX方向に移動させるように構成されている。レール部52は、支持部51a(51b)のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する。レール部52は、たとえば駆動モータとボールねじ軸機構とにより、支持部51a(51b)をY方向に移動させるように構成されている。
【0028】
ヘッド水平移動機構部5の支持部51aおよび51bとレール部52とにより、ヘッドユニット4aおよび4bは、基台1上を水平方向に互いに独立して移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット4aおよび4bは、部品供給部3aまたは3bの上方に移動して、部品供給部3aまたは3bから供給される部品Eを保持(吸着)可能である。また、ヘッドユニット4aおよび4bは、基板固定位置PbまたはPcにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0029】
部品撮像部6は、部品認識用のカメラである。部品撮像部6は、ヘッドユニット4a(4b)のヘッド41による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド41のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部6は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、ヘッド41のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部6による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部10は、部品Eの保持状態(回転姿勢およびヘッド41に対する保持位置)を取得(認識)する。
【0030】
ノズル配置部7は、ヘッド41の先端に装着されるノズルが配置されるように構成されている。ノズル配置部7には、部品Eの種類に応じた複数のノズルが配置されている。これにより、部品Eの種類に応じて、ヘッド41の先端に装着されるノズルを適切なノズルに交換可能である。部品廃棄部8は、エラー部品であると判断された部品Eが廃棄されるように構成されている。たとえば、部品撮像部6による部品Eの撮像画像に基づいてヘッド41のノズルに保持(吸着)された部品Eがエラー部品であると判断された場合、エラー部品であると判断された部品Eが部品廃棄部8に廃棄される。
【0031】
なお、部品撮像部6、ノズル配置部7および部品廃棄部8は、搬送部2に対してY方向の一方側(Y1方向側)および他方側(Y2方向側)のそれぞれに設けられている。一方側の部品撮像部6、ノズル配置部7および部品廃棄部8は、Y方向において、部品供給部3aの後述する第1部品供給部31と搬送部2との間に設けられている。また、一方側の部品撮像部6、ノズル配置部7および部品廃棄部8は、部品供給部3aの後述する第2部品供給部32と搬送部2との間には設けられていない。同様に、他方側の部品撮像部6、ノズル配置部7および部品廃棄部8は、Y方向において、部品供給部3bの後述する第1部品供給部31と搬送部2との間に設けられている。また、他方側の部品撮像部6、ノズル配置部7および部品廃棄部8は、部品供給部3bの後述する第2部品供給部32と搬送部2との間には設けられていない。
【0032】
基板撮像部9は、基板認識用のカメラである。基板撮像部9は、ヘッドユニット4a(4b)のヘッド41による基板Pへの部品Eの実装開始前に、基板固定位置PbまたはPcにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)を撮像する。位置認識マークは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部9による位置認識マークの撮像画像に基づいて、制御部10は、基板固定位置PbまたはPcにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。基板撮像部9は、ヘッドユニット4a(4b)のX方向の両端にそれぞれ設けられている。
【0033】
制御部10は、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含む。制御部10は、搬送部2、部品供給部3aおよび3b、ヘッド水平移動機構部5などを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット4aおよび4bにより基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。
【0034】
また、部品実装装置100は、データ作成装置200と通信可能に接続されている。データ作成装置200は、部品供給部3aおよび3bにおける部品Eの配置情報や部品Eの取得順序情報11(図6参照)を作成する装置である。作業者は、基板Pの生産開始前に、データ作成装置200により作成された部品Eの配置情報に基づいて、部品供給部3aおよび3bに部品Eを配置する段取り作業を行う。また、部品実装装置100は、基板Pの生産開始後に、データ作成装置200により作成された部品Eの取得順序情報11に基づいて、ヘッドユニット4aおよび4bにより基板Pに部品Eを実装させる制御を行う。
【0035】
(部品供給部の構成)
ここで、第1実施形態では、部品供給部3aおよび3bは、互いにY方向にずれた位置に配置されている第1部品供給部31と第2部品供給部32とを含む。部品供給部3a(3b)の第2部品供給部32は、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されている。具体的には、部品供給部3a(3b)の第2部品供給部32は、X方向に連続して配置される複数のテープフィーダ30により構成されるテープフィーダ群30a単位(バンク単位)で、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されるように構成されている。また、部品供給部3a(3b)の第1部品供給部31は、第2部品供給部32に対してY方向において搬送部2側とは反対側にずれた位置に配置されている。具体的には、部品供給部3a(3b)の第1部品供給部31は、X方向に連続して配置される複数のテープフィーダ30により構成されるテープフィーダ群30a単位(バンク単位)で、第2部品供給部32に対してY方向において搬送部2側とは反対側にずれた位置に配置されるように構成されている。
【0036】
また、部品供給部3aの第1部品供給部31は、部品供給部3aの第2部品供給部32に対してX2方向側に配置されている。部品供給部3aの第2部品供給部32は、部品供給部3aの第1部品供給部31に対してX1方向側に配置されている。また、部品供給部3bの第1部品供給部31は、部品供給部3bの第2部品供給部32に対してX1方向側に配置されている。部品供給部3bの第2部品供給部32は、部品供給部3bの第1部品供給部31に対してX2方向側に配置されている。部品供給部3aの第1部品供給部31および第2部品供給部32と、部品供給部3bの第1部品供給部31および第2部品供給部32とは、点対称状になるように配置されている。
【0037】
また、第1実施形態では、図3(A)~図3(C)に示すように、部品供給部3a(3b)の第1部品供給部31の部品供給位置31aは、平面視において(Z方向から見て)、ヘッドユニット4aの可動領域Aaとヘッドユニット4bの可動領域Abとが重複しない非重複領域Acに配置されている。なお、ヘッドユニット4a(4b)の可動領域Aa(Ab)は、装置内においてヘッドユニット4a(4b)が水平方向に移動可能な範囲である。また、第1部品供給部31の部品供給位置31aおよび第2部品供給部32の後述する部品供給位置32aは、ヘッドユニット4aまたは4bに部品Eを取得させるように部品Eを供給する位置である。
【0038】
部品供給部3aの第1部品供給部31の部品供給位置31aは、ヘッドユニット4aの可動領域Aa内で、かつ、非重複領域Ac内に配置されている。また、部品供給部3bの第1部品供給部31の部品供給位置31aは、ヘッドユニット4bの可動領域Ab内で、かつ、非重複領域Ac内に配置されている。また、部品供給部3a(3b)の第2部品供給部32の部品供給位置32aは、平面視において(Z方向から見て)、ヘッドユニット4aの可動領域Aaとヘッドユニット4bの可動領域Abとが重複する重複領域Ad(ハッチングにより示す)に配置されている。
【0039】
つまり、部品供給部3aの第1部品供給部31は、ヘッドユニット4aおよび4bのうちのヘッドユニット4aのみにより部品Eを取得可能なように配置されている。また、部品供給部3bの第1部品供給部31は、ヘッドユニット4aおよび4bのうちのヘッドユニット4bのみにより部品Eを取得可能なように配置されている。また、部品供給部3a(3b)の第2部品供給部32は、ヘッドユニット4aおよび4bの両方により部品Eを取得可能なように配置されている。
【0040】
このように、部品供給部3aの第1部品供給部31は、ヘッドユニット4aの専用の部品供給部として機能するように構成されている。また、部品供給部3bの第1部品供給部31は、ヘッドユニット4bの専用の部品供給部として機能するように構成されている。また、部品供給部3a(3b)の第2部品供給部32は、ヘッドユニット4aおよび4bの共用の部品供給部として機能するように構成されている。ヘッドユニット4aは、部品供給部3aの第1部品供給部31と、部品供給部3aの第2部品供給部32と、部品供給部3bの第2部品供給部32とから、部品Eを取得可能である。また、ヘッドユニット4bは、部品供給部3bの第1部品供給部31と、部品供給部3bの第2部品供給部32と、部品供給部3aの第2部品供給部32とから、部品Eを取得可能である。
【0041】
また、図4に示すように、部品供給部3a(3b)の第1部品供給部31と第2部品供給部32とのずれ量D1(D2)は、Y方向に最も近付いた場合のヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとの間の距離D3以上である。なお、ずれ量D1(D2)は、部品供給部3a(3b)の第1部品供給部31の部品供給位置31aと第2部品供給部32の部品供給位置32aとの間のY方向の距離である。ずれ量D1およびD2は、同じ値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。ずれ量D1およびD2は、たとえば数百mm程度の大きさを有する。また、距離D3は、互いにY方向に最も近付いた場合のヘッドユニット4aのヘッド41とヘッドユニット4bのヘッド41との間のY方向の距離である。
【0042】
ずれ量D1が距離D3以上であることにより、ヘッドユニット4aおよび4bがX方向に並ぶことができない装置構成であっても、図5(A)および図5(B)に示すように、部品供給部3aにおいて、ヘッドユニット4aが部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが部品Eを取得する動作とを同時に並行して行うことが可能である。同様に、ずれ量D2が距離D3以上であることにより、ヘッドユニット4aおよび4bがX方向に並ぶことができない装置構成であっても、部品供給部3bにおいて、ヘッドユニット4aが部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが部品Eを取得する動作とを同時に並行して行うことが可能である。
【0043】
(実装制御に関する構成)
図6に示すように、制御部10は、基板Pの生産開始前に、データ作成装置200から部品Eの取得順序情報11を予め取得する。部品Eの取得順序情報11は、部品Eの取得の順序を示す情報である。部品Eの取得順序情報11は、ヘッドユニット4aによる部品Eの取得の順序を示す情報と、ヘッドユニット4bによる部品Eの取得の順序を示す情報とを含む。ヘッドユニット4a(4b)による部品Eの取得の順序を示す情報は、シーケンス単位(吸装着シーケンス単位)で、設定されるように構成されている。シーケンスとは、複数のヘッド41により複数の部品Eを取得して、取得した複数の部品Eを実装する一度の動作を示す。たとえば、ヘッドユニット4aの第1シーケンスは、ヘッドユニット4aの複数(10本)のヘッド41により、取得順序が1番目~10番目の部品Eを取得して、取得した取得順序が1番目~10番目の部品Eを実装する一度の動作を示す。
【0044】
また、部品Eの取得順序情報11は、シーケンス単位で、部品Eの取得先と関連付けられている。具体的には、部品Eの取得順序情報11は、シーケンス単位で、部品供給部3aの第1部品供給部31、部品供給部3aの第2部品供給部32、部品供給部3bの第1部品供給部31、または、部品供給部3bの第2部品供給部32と関連付けられている。
【0045】
たとえば、ヘッドユニット4aの第1シーケンスは、部品供給部3aの第1部品供給部31(ヘッドユニット4aの専用の部品供給部)と関連付けられている。ヘッドユニット4aの第1シーケンスを実行する場合、ヘッドユニット4aが部品供給部3aの第1部品供給部31から取得順序が1番目~10番目の部品Eを取得して基板Pに実装する動作が行われる。また、たとえば、ヘッドユニット4aの第3シーケンスは、部品供給部3aの第2部品供給部32(ヘッドユニット4aおよび4bの共用の部品供給部)と関連付けられている。ヘッドユニット4aの第3シーケンスを実行する場合、ヘッドユニット4aが部品供給部3aの第2部品供給部32から取得順序が21番目~30番目の部品Eを取得して基板Pに実装する動作が行われる。また、たとえば、ヘッドユニット4aの第6シーケンスは、部品供給部3bの第2部品供給部32(ヘッドユニット4aおよび4bの共用の部品供給部)と関連付けられている。ヘッドユニット4aの第6シーケンスを実行する場合、ヘッドユニット4aが部品供給部3bの第2部品供給部32から取得順序が51番目~60番目の部品Eを取得して基板Pに実装する動作が行われる。
【0046】
第1実施形態では、データ作成装置200は、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが同じ第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われないように、ヘッドユニット4aによる部品Eの取得順序と、ヘッドユニット4bによる部品Eの取得順序とを決定して、部品Eの取得順序情報11を作成する。制御部10は、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが同じ第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われないようにデータ作成装置200により作成された部品Eの取得順序情報11を予め取得する。そして、制御部10は、基板Pの生産開始後、予め取得された部品Eの取得順序情報11に基づいて、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが同じ第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われないように、ヘッドユニット4aおよび4bを制御する。
【0047】
また、第1実施形態では、図7に示すように、制御部10は、基板Pの生産中に、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが同じ第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われると判断された場合、これらの動作が同時に行われないように、部品Eの取得順序を入れ替える制御を行う。予め部品Eの取得の順序を決めていても、基板Pの生産中には、エラーなどに起因して部品Eの取得順序が変更される場合があるためである。部品Eの取得順序を入れ替える際、制御部10は、シーケンス単位で部品Eの取得順序を入れ替える制御を行う。具体的には、制御部10は、部品Eを取得する動作が同時に行われると判断された第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスと、部品Eを取得する動作が同時に行われると判断された第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンス(第1部品供給部31または他の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンス)とを入れ替える制御を行う。なお、図7では、図示の都合上、ヘッドユニット4aにおいて部品Eの取得順序を入れ替える制御を行う例を示しているが、ヘッドユニット4bにおいて部品Eの取得順序を入れ替える制御を行ってもよい。
【0048】
(部品の配置情報の作成に関する構成)
データ作成装置200は、共用する部品Eに基づいて、部品Eの配置情報を作成する。たとえば、データ作成装置200は、共用する部品Eがある場合、共用の部品供給部(部品供給部3aの第2部品供給部32、または、部品供給部3bの第2部品供給部32)に共用する部品Eを優先的に配置するように、部品Eの配置情報を作成する。また、たとえば、データ作成装置200は、共用する部品Eがある場合、共用する部品Eの使用点数が多い側の共用の部品供給部に共用する部品Eを配置するように、部品Eの配置情報を作成する。また、たとえば、データ作成装置200は、共用する部品Eがある場合、基板Pの固定位置に近い側の共用の部品供給部に共用する部品Eを配置するように、部品Eの配置情報を作成する。また、データ作成装置200は、共通段取りで既に共用の部品供給部に部品Eが配置されている場合、既に共用の部品供給部に配置されている部品Eを積極的に共用する部品Eとして扱うように、部品Eの配置情報を作成する。
【0049】
(実装動作処理)
次に、図8を参照して、第1実施形態の部品実装装置100による実装動作処理をフローチャートに基づいて説明する。実装動作処理は、基板Pの生産中に行われる処理である。フローチャートの各処理は、制御部10により行われる。
【0050】
図8に示すように、まず、ステップS1において、実装すべき部品Eがあるか否かが判断される。実装すべき部品Eがないと判断された場合、実装動作処理が終了される。また、ステップS1において、実装すべき部品Eがあると判断された場合、ステップS2に進む。
【0051】
そして、ステップS2において、シーケンスの検索処理が行われる。シーケンスの検索処理の詳細については、後述する。
【0052】
そして、ステップS3において、ヘッドユニット4aまたは4bにより部品Eを吸着(保持)する動作が行われる。
【0053】
そして、ステップS4において、ヘッドユニット4aまたは4bに保持(吸着)された部品Eを、部品撮像部6により撮像して認識する動作が行われる。
【0054】
そして、ステップS5において、ヘッドユニット4aまたは4bに保持(吸着)された部品Eを、基板Pに実装する動作が行われる。そして、ステップS1に戻る。そして、実装すべき部品Eがなくなるまで、ステップS1~S5の処理が繰り返される。その後、実装すべき部品Eがなくなると、実装動作処理が終了される。
【0055】
(シーケンスの検索処理)
次に、図9を参照して、第1実施形態の部品実装装置100によるシーケンスの検索処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、制御部10により行われる。
【0056】
図9に示すように、まず、ステップS11において、相手ヘッドユニットが相手側の第2部品供給部32(共用の部品供給部)から部品Eを取得するシーケンスを実行中であるか否かが判断される。なお、相手ヘッドユニットとは、ヘッドユニット4aに対してはヘッドユニット4bを意味し、ヘッドユニット4bに対してはヘッドユニット4aを意味する。また、相手側の第2部品供給部32とは、ヘッドユニット4aに対してはヘッドユニット4b側(Y2方向側)の第2部品供給部32を意味し、ヘッドユニット4bに対してはヘッドユニット4a側(Y1方向側)の第2部品供給部32を意味する。
【0057】
ステップS11において、相手ヘッドユニットが相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスを実行中であると判断された場合、ステップS12に進む。
【0058】
そして、ステップS12において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンスがあるか否か(自機側の第1部品供給部31または第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスがあるか否か)が判断される。相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンスがあると判断された場合、ステップS13に進む。
【0059】
そして、ステップS13において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンスが選択される。その後、シーケンスの検索処理が終了されて、実装動作処理のステップS3に進む。実装動作処理のステップS3~S5では、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンスが実行される。
【0060】
また、ステップS11において、相手ヘッドユニットが相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスを実行中ではないと判断された場合、ステップS14に進む。
【0061】
そして、ステップS14において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスがあるか否かが判断される。相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスがあると判断された場合、ステップS15に進む。
【0062】
そして、ステップS15において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスが選択される。その後、シーケンスの検索処理が終了されて、実装動作処理のステップS3に進む。実装動作処理のステップS3~S5では、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスが実行される。
【0063】
また、ステップS12において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得しないシーケンスがないと判断された場合も、ステップS15に進む。
【0064】
そして、ステップS15において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスが選択される。その後、シーケンスの検索処理が終了されて、実装動作処理のステップS3に進む。なお、ステップS12を経由してステップS15の処理を行った場合、相手ヘッドユニットが相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスを実行中である。このため、相手ヘッドユニットが相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスの実行が完了した後、実装動作処理のステップS3~S5において、相手側の第2部品供給部32から部品Eを取得するシーケンスが実行される。
【0065】
(最適化処理)
次に、図10を参照して、第1実施形態のデータ作成装置200による最適化処理をフローチャートに基づいて説明する。最適化処理は、基板Pの生産開始前に行われる処理である。フローチャートの各処理は、データ作成装置200により行われる。
【0066】
図10に示すように、まず、ステップS21において、部品Eの配置決定処理が行われる。ステップS21では、部品Eの配置情報が作成される。
【0067】
そして、ステップS22において、シーケンスの作成処理が行われる。ステップS22では、部品Eの取得順序情報11が作成される。
【0068】
そして、ステップS23において、部品Eの配置情報および部品Eの取得順序情報11に基づいて、基板Pへの部品Eの実装に要する動作時間が推定される。
【0069】
そして、ステップS24において、改善の余地があるか否かが判断される。改善の余地がないと判断された場合、最適化処理が終了される。また、改善の余地があると判断された場合、ステップS25に進む。
【0070】
そして、ステップS25において、シーケンスの順序が入れ替えられる。その後、最適化処理が終了される。
【0071】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0072】
第1実施形態では、上記のように、部品実装装置100に、第1部品供給部31と、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されている第2部品供給部32と、を設ける。これにより、たとえば、ヘッドユニット4aに第1部品供給部31から部品Eを取得させつつ、ヘッドユニット4bに、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置された第2部品供給部32から部品Eを取得させることができる。また、たとえば、ヘッドユニット4bに第1部品供給部31から部品Eを取得させつつ、ヘッドユニット4aに、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置された第2部品供給部32から部品Eを取得させることができる。その結果、ヘッドユニット4aが部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが部品Eを取得する動作とを、搬送方向(X方向)に沿って並んだ位置ではなく、Y方向にずれた位置で行うことができる。これにより、部品供給部3aまたは部品供給部3bにおいてヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bの両方が部品Eを取得する動作を行う場合にも、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとが干渉することを抑制することが可能な部品実装装置100を提供することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、第1部品供給部31の部品供給位置31aを、平面視において、ヘッドユニット4aの可動領域Aaとヘッドユニット4bの可動領域Abとが重複しない非重複領域Acに配置する。そして、第2部品供給部32の部品供給位置32aを、平面視において、ヘッドユニット4aの可動領域Aaとヘッドユニット4bの可動領域Abとが重複する重複領域Adに配置する。これにより、たとえば、ヘッドユニット4bの可動領域Ab内(重複領域Ad)に部品供給位置32aが配置された第2部品供給部32からヘッドユニット4bに部品Eを取得させつつ、ヘッドユニット4bの可動領域Ab外(非重複領域Ac)に部品供給位置31aが配置された第1部品供給部31からヘッドユニット4aに部品Eを取得させることができる。また、たとえば、ヘッドユニット4aの可動領域Aa内(重複領域Ad)に部品供給位置32aが配置された第2部品供給部32からヘッドユニット4aに部品Eを取得させつつ、ヘッドユニット4aの可動領域Aa外(非重複領域Ac)に部品供給位置31aが配置された第1部品供給部31からヘッドユニット4bに部品Eを取得させることができる。その結果、部品供給部3aまたは部品供給部3bにおいてヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bの両方が部品Eを取得する動作を行う場合において、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとを互いに干渉しない位置に配置することができる。これにより、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとが干渉することをより抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、部品供給部3aおよび部品供給部3bを共に、第1部品供給部31と、第2部品供給部32と、を含むように構成する。これにより、部品供給部3aおよび部品供給部3bのいずれにおいても、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bの両方が部品Eを取得する動作を行う場合において、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとが干渉することを抑制することができる。その結果、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとが干渉することを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、部品供給部3aの第1部品供給部31および第2部品供給部32と、部品供給部3bの第1部品供給部31および第2部品供給部32とを、点対称状になるように配置する。これにより、部品供給部3aおよび部品供給部3bが共に第1部品供給部31と、第2部品供給部32とを含む場合にも、部品供給部3aの第1部品供給部31および第2部品供給部32と、部品供給部3bの第1部品供給部31および第2部品供給部32とをバランス良く配置することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、第2部品供給部32を、複数のテープフィーダ30により構成されるテープフィーダ群30a単位で、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されるように構成する。これにより、第2部品供給部32をテープフィーダ群30aにより構成することができる。その結果、第2部品供給部32としてのテープフィーダ群30aに対して配置作業を行うことができる。これにより、配置作業の容易化を図ることができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部10を、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われないように作成された部品Eの取得順序情報11を予め取得し、予め取得された部品Eの取得順序情報11に基づいて、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bを制御するように構成する。これにより、ヘッドユニット4aの動作およびヘッドユニット4bの動作を制限することなく、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作およびヘッドユニット4bが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作を行うことができる。その結果、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bによる部品Eの取得動作を効率良く行うことができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部10を、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作と、ヘッドユニット4bが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作とが同時に行われないように、部品Eの取得順序を入れ替える制御を行うように構成する。これによっても、ヘッドユニット4aの動作およびヘッドユニット4bの動作を制限することなく、ヘッドユニット4aが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作およびヘッドユニット4bが第2部品供給部32から部品Eを取得する動作を行うことができる。その結果、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bによる部品Eの取得動作を効率良く行うことができる。
【0079】
[第2実施形態]
次に、図11を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、第2部品供給部をテープフィーダ単位で配置されるように構成する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0080】
(部品実装装置の構成)
第2実施形態による部品実装装置300は、図11に示すように、第2部品供給部332を備える点で、上記第1実施形態の部品実装装置100と相違する。
【0081】
第2実施形態では、第2部品供給部332は、単一のテープフィーダ30により構成されるテープフィーダ単位で、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されるように構成されている。具体的には、第2部品供給部332として機能可能なテープフィーダ30は、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた第1位置Pdと、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれていない第2位置Peとの間で、Y方向に移動可能に構成されている。第1位置Pdに配置された場合、第2部品供給部332として機能可能なテープフィーダ30は、第2部品供給部332として機能する。また、第2位置Peに配置された場合、第2部品供給部332として機能可能なテープフィーダ30は、第1部品供給部31として機能する。
【0082】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
第2実施形態では、上記のように、第2部品供給部332を、テープフィーダ単位で、第1部品供給部31に対してY方向において搬送部2側にずれた位置に配置されるように構成する。これにより、第2部品供給部332を個別のテープフィーダ30により構成することができる。その結果、必要なテープフィーダ30だけを第2部品供給部332として構成することができる。
【0085】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0087】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、一方側部品供給部および他方側部品供給部を共に第1部品供給部と第2部品供給部とを含むように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、一方側部品供給部および他方側部品供給部の一方のみを第1部品供給部と第2部品供給部とを含むように構成してもよい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、一方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部と、他方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部とを、点対称状になるように配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部と、他方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部とを、線対称状になるように配置してもよい。また、一方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部と、他方側部品供給部の第1部品供給部および第2部品供給部とを、非対称になるように配置してもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、データ作成装置により部品の取得順序情報を作成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置により部品の取得順序情報を作成してもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、制御部を、部品の取得順序を入れ替える制御を行うように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、部品の取得順序を入れ替える制御を行うように構成しなくてもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、搬送部を、実装ステージを含むように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送部を、実装ステージを含むように構成しなくてもよい。
【0092】
また、上記第2実施形態では、第2部品供給部として機能するテープフィーダを、移動可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2部品供給部として機能するテープフィーダを、移動可能に構成しなくてもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0094】
2 搬送部
3a 部品供給部(一方側部品供給部)
3b 部品供給部(他方側部品供給部)
4a ヘッドユニット(第1ヘッドユニット)
4b ヘッドユニット(第2ヘッドユニット)
10 制御部
30 テープフィーダ
30a テープフィーダ群
31 第1部品供給部
32、332 第2部品供給部
100、300 部品実装装置
Aa 可動領域(第1ヘッドユニットの可動領域)
Ab 可動領域(第2ヘッドユニットの可動領域)
Ac 非重複領域
Ad 重複領域
E 部品
P 基板
搬送方向 X方向
直交方向 Y方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11