(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】拭き取りシステムのためのアダプタ
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
B60S1/40 300B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018087303
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴシェ
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ウサ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ムレール
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第03040946(FR,A1)
【文献】国際公開第2005/039944(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/052580(WO,A1)
【文献】特表2013-544207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーブレード(1)を車両用のウインドスクリーン拭き取りシステム(3)の駆動アーム(2)に接続するようになっているアダプタ(13)であって、前記アダプタ(13)にはプレート(19)を備える少なくとも1つのロック手段(18)が装備され、前記プレートの端部には、駆動アーム(2)の端子部(11)のスロット(11a)に嵌め込まれるようになっているロックピン(20)が配置され、前記アダプタ(13)が前記ロック手段(18)の回動手段(27)を備え、前記アダプタ(13)は、該アダプタ(13)の容積(26)を少なくとも部分的に画定する部分(40)を備え、前記ロックピン(20)は、前壁(20c)と、後壁(20a)と、前記前壁(20c)を前記後壁(20a)に結合する2つの側壁(20b)とを備え、前記ロックピン(20)は、前記後壁(20a)を延長するとともに前記アダプタ(13)の容積(26)内へと延在する付属物(39)を備え、前記ロックピン(20)は、前記前壁(20c)から出現する横方向フランジ(21)を備える、アダプタ(13)。
【請求項2】
前記プレート(19)及び前記横方向フランジ(21)は、前記スロット(11a)を境界付ける縁部(28)を受けるようになっている領域(41)を画定する請求項1に記載のアダプタ(13)。
【請求項3】
前記アダプタ(13)の縦軸線(X)に沿って前部(15)と後部(16)との間に介挿される中間部(14)を備え、前記後部(16)が前記ロックピン(20)と前記部分(40)とを備える請求項1又は2に記載のアダプタ(13)。
【請求項4】
前記容積(26)が高さ(D3)に沿って延在し、前記付属物(39)が前記容積(26)内に一体に収容される請求項1から3のいずれか一項に記載のアダプタ(13)。
【請求項5】
前記部分(40)が前記ロック手段(18)を取り囲む周辺ベルト(22)である請求項1から4のいずれか一項に記載のアダプタ(13)。
【請求項6】
前記周辺ベルト(22)は、前記容積(26)を画定する2つの縦壁(22b)によって支持される横壁(22a)を備え、前記縦壁(22b)が前記中間部(14)から出現する請求項3と組み合わされる請求項5に記載のアダプタ(13)。
【請求項7】
前記横壁(22a)は、前記ロック手段(18)又は前記回動手段(27)の破損時に前記付属物(39)のための当接部を形成するようになっている請求項6に記載のアダプタ(13)。
【請求項8】
コネクタ(12)と請求項1から7のいずれか一項に記載のアダプタ(13)とによって形成される接続装置(10)。
【請求項9】
少なくとも1つのワイパーストリップ(5)及び前記スクレーパーブレード(5)をその長さに沿って保持する可撓性支持体(6)と、請求項1から
7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアダプタ(13)又は請求項8に記載の接続装置(10)とを備えるワイパーブレード(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのウインドスクリーン拭き取りシステムに関する。その主題は、そのようなウインドスクリーン拭き取りシステムに備えられるアダプタである。
【背景技術】
【0002】
自動車用のウインドスクリーンワイパーと一般に呼ばれるウインドスクリーン拭き取りシステムは、自動車のドライバーの周囲の視界を妨げ得る液体及び汚れを拭き取りによって除去するように設計される。これらのウインドスクリーンワイパーは、一般に、回動軸の周りで前後に角運動を行なう駆動アームと、弾性材料から形成されるスクレーパーブレードを装備する長尺なワイパーブレードとを備える。自動車の前部又は後部のガラス面に擦り付けることにより、スクレーパーブレードは、水及び一定量の埃及び汚れを拭き取って、それをドライバーの視界から除去する。
【0003】
ワイパーブレードの形態に関係なく、すなわち、ワイパーブレードが、スクレーパーブレードを幾つかの別個の領域で保持するヒンジ付きキャリパを備えるワイパーブレードであるか又はスクレーパーブレードをその全長にわたって保持する少なくとも1つの可撓性支持体を有する「フラットブレード」としても知られるワイパーブレードであるかどうかにかかわらず、ワイパーブレードは、ワイパーブレードと一体化される装着コネクタを備える接続装置を用いて駆動アームの端子部に取り付けられる。
【0004】
ワイパーブレードのその「フラットブレード」変形例における縦方向端部のそれぞれにおいて、スクレーパーブレード及び可撓性支持体には、スクレーパーブレード及び可撓性支持体を一緒に保持することに関与するエンドキャップが装備される。
【0005】
従来技術は、ワイパーブレードを支持するコネクタと、駆動アームの端子部にコネクタを結合するアダプタとを備える固定装置について記載する文書である米国出願公開第2013/0239356号明細書を含む。
【0006】
この分野で生じる一般的な問題は、ロバスト性が高い接続装置を提供する必要があることである。実際には、駆動アームに与えられる前後の角運動により、ワイパーブレードは、ワイパーブレードを形成する要素に大きな応力をもたらす遠心力を受ける。特に、アダプタは、アダプタを備えるロック手段に印加される応力に晒される。ロック手段の破損時に、ワイパーブレードが駆動アームから緩み易く、これは危険でないとしても有害である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国出願公開第2013/0239356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、駆動アーム及びワイパーブレードの分離を防止するようになっているアダプタを提案することである。
【0009】
本発明の他の目的は、接続装置に、特にアダプタに及ぼされる主要な縦方向応力に抵抗するようになっている接続装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアダプタは、ワイパーブレードを車両用のウインドスクリーン拭き取りシステムの駆動アームに接続するようになっているアダプタであって、アダプタには、駆動アームの端子部内にアダプタをロックするようになっている少なくとも1つのロック手段が装備され、アダプタがロック手段の回動手段を備え、アダプタが、該アダプタの容積を少なくとも部分的に画定する部分を備え、ロック手段が容積内へと延在する少なくとも1つの付属物を備えるという点において区別される。
【0011】
アダプタは、好適には、単独で又は組み合わせて解釈される少なくとも以下の特徴のうちのいずれか1つを備える。
【0012】
-ロック手段がプレートを備え、プレートの端部には、駆動アームの端子部のスロットに嵌め込まれるようになっているロックピンが配置され、付属物がロックピンから出現する。
【0013】
-ピンは、プレートから出現するとともに、略長方形又は正方形の断面を有する。
【0014】
-回動手段が例えばプレートによって形成されてもよく、このとき、プレートは可撓性タブになる。
【0015】
-これに代えて又は加えて、回動手段は、プレートとアダプタの中間部との間の交差部に配置されるヒンジによって形成されてもよい。
【0016】
-本発明の1つの態様によれば、ロックピンは、前壁と、後壁と、前壁を後壁に結合する2つの側壁とを備え、付属物が後壁を容積内へと延長する。アダプタの縦方向として知られるアダプタの主な延在方向に沿って前後が延びる。
【0017】
-ロックピンは、前壁から出現する横方向フランジ又はノーズを備え、プレート及び横方向フランジは、スロットを境界付ける縁部を受けるようになっている領域を画定する。したがって、ロック手段の横方向縁部及びプレートは、駆動アームの端子部を形成する壁の厚さをサンドイッチ状に把持する。
【0018】
-アダプタは、アダプタの縦軸線に沿って前部と後部との間に介挿される中間部を備え、後部がロックピンと部分とを備える。
【0019】
-容積が高さに沿って延在し、付属物が容積内に一体に収容される。
【0020】
-前記部分がロック手段を取り囲む周辺ベルトである。ここで、ベルトは、特に、プレートの大部分が内接する平面に対して少なくとも平行又は略垂直な平面内でロックピンを取り囲むことが理解される。
【0021】
-周辺ベルトは、容積を画定する2つの縦壁によって支持される横壁を備え、縦壁が中間部から出現する。同様に、容積はアダプタの中間部によって画定される。
【0022】
-横壁は、ロック手段又は回動手段、例えばプレート又はヒンジの破損時に付属物のための当接部を形成するようになっている。
【0023】
本発明のアダプタは、ワイパーブレードの販売後の市場(after-sale market)に特に適している。
【0024】
本発明は、縦方向の応力がロック手段、特にこの手段のロックピンの破損をもたらす場合を含めて、駆動アームの端子部でワイパーブレードのための支持機能を与えるようになっているアダプタを提案する。より一般的には、本発明は、駆動アームの端子部とワイパーブレードを装備するコネクタとの間で機械的リンクを効果的に確保するアダプタを提案する。これらの目的は、本明細書中に記載されるアダプタによって達成される。
【0025】
また、本発明は、同じ容器内に配置されて互いから分離される又は互いに組み付けられるコネクタ及びアダプタによって形成される接続装置に関する。
【0026】
また、本発明は、ワイパーストリップ及びスクレーパーブレードをその長さに沿って保持する可撓性支持体と、本明細書本文中で提案される少なくとも1つのアダプタ又は前述の接続装置とを備えるワイパーブレードに関し、ワイパーブレードにはそのような接続装置が装備される。主題は、例えば、フラットワイパーブレードと、ワイパーブレードとは別個である又はワイパーブレードに組み付けられる販売後の自動車市場又はアフターマーケット用の本明細書中に詳述されるアダプタとを受ける容器を含む。
【0027】
本発明は、最後に、端子部を備えた駆動アームと、ワイパーブレードに組み込まれるコネクタと、本明細書中に記載されてコネクタを駆動アームの端子部に結合するアダプタとを備えるウインドスクリーン拭き取りシステムに関する。
【0028】
本発明の他の特徴、詳細、及び利点は、図面と関連して一例として与えられる以下の説明を読むことによってより明確にわかってくる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係るウインドスクリーン拭き取りシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示されるウインドスクリーン拭き取りシステムを構成する本発明に係るアダプタの側面図である。
【
図4】
図2又は
図3に示されるアダプタの縦断面の部分図である。
【
図5】駆動アームの端子部が装備される
図2~
図4に示されるアダプタの縦断面の部分図である。
【
図6】アダプタの領域の破損後の
図5に示されるアダプタ及び端子部の縦断面図の部分図である。
【
図7】
図1に示されるウインドスクリーン拭き取りシステムの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に、図面が発明の実施のための詳細な態様で本発明を示すことに留意すべきであり、勿論、これらの図が必要に応じて本発明をより良く規定する役目を果たし得る。
【0031】
図中、縦、横、垂直、側方、左、右、上、下という用語は、
図1に示されるようなワイパーブレード1の正規直交座標系Oxyzにおける方向に関連する。この座標系において、軸線Oxは縦方向を表わし、軸線Oyは横方向を表わし、また、軸線Ozは、特定の対象物、特にアダプタ又はワイパーブレードの垂直方向を表わす。この座標系において、垂直な縦方向平面は平面Oxzと平行であり、垂直な横方向平面は平面Oyzと平行であり、また、縦方向の水平平面は平面Oxyと平行である。
【0032】
図1において、本発明のワイパーブレード1は、軸線Oxと平行な縦軸線Xに沿って延在する。左右という用語は、縦軸線Xの両側で軸線Oyと平行な横軸線Yに沿う位置を示す。垂直軸線Zは、前述の縦方向及び横方向に対して直交する軸線Ozの方向と平行な垂直方向を象徴する。上又は下という用語は、垂直軸線Zに沿う方向を指し、下側という用語はウインドスクリーン平面を含む。縦方向に関して、外側又は内側という用語は、ワイパーブレード1の駆動アーム2上のワイパーブレード1の回動点を示し、内側という用語は、駆動アーム2及びブレード半分が延在する部分に対応し、外側という用語は、残りのブレード半分が延在する部分に対応する。
【0033】
自動車には、一般に、ガラス表面上、特に自動車のリアウインドウ上又はフロントウインドスクリーン上に存在する水及び/又は埃及び汚れを除去するためにウインドスクリーン拭き取りシステム3が装備される。ウインドスクリーン拭き取りシステム3は、拭き取られるべきガラス表面上で該表面に沿う前後の角運動を行なうことができる駆動アーム2を備える。
【0034】
ウインドスクリーン拭き取りシステム3は、縦軸線Xに沿って延在するワイパーブレード1も備える。ワイパーブレード1は、スクレーパーブレード5と、少なくとも1つのエアディフレクタ4とを備える。エアディフレクタ4は、ガラス表面に沿って円運動する空気の流れによって加えられる圧力を、ワイパーブレード1を自動車のガラス表面に当て付ける印加力へと変換するように設計される。
【0035】
スクレーパーブレード5は、ガラス表面上に存在する水及び/又は埃及び汚れを除去するためにガラス表面と直接に接触するワイパーブレード1の部分である。スクレーパーブレード5は、例えば、特にポリマー又はゴムなどの弾性材料から形成される可撓性ストリップである。ワイパーブレード1は可撓性支持体6も備え、この可撓性支持体6は、ワイパーブレード1が平面Oxz内である程度変形できるようにし、それにより、駆動アーム2の印加力をワイパーブレード1に沿って分配し、したがって、ガラス表面の湾曲に追従できるようにする。
【0036】
同様に、ワイパーブレード1は、その縦方向端部7のそれぞれにエンドキャップ8を備える。各エンドキャップ8は、スクレーパーブレード5と可撓性支持体6とを一緒に保持するために設けられ、1つのそのようなエンドキャップ8は、例えばエアディフレクタ4の端子部を覆うことができる。したがって、可撓性支持体6は、ワイパーブレード1の第1の縦方向端部7から同じワイパーの第2の縦方向端部7まで延在する。
【0037】
典型的な実施形態によれば、可撓性支持体6は例えば金属バンド又はスパイン(spine)である。このようなスパインは、好適には、少なくとも平面Oxyで見られるように単一部品である。
【0038】
少なくともエアディフレクタ4、スクレーパーブレード5、及び、可撓性支持体6は半剛体構造9を形成し、この半剛体構造9は、駆動アーム2の端子部11と半剛体構造9との間に介挿される接続装置10によって支持される。そのような接続装置10は、例えば、半剛体構造9と少なくとも均衡態様で一体化されるコネクタ12と、コネクタ12に回動リンクによって結合されるアダプタ13とを備える。
【0039】
駆動アーム2の端子部11は、上壁と2つの分岐部とを伴うU字形断面を有し、このU字の2つの分岐部は直線形状に終端する。したがって、そのような端子部は、上壁と特定の分岐部とを伴うC字を形成する傾向がある折り曲げ縁部を有さない。
【0040】
接続装置10は、駆動アーム2の端子部11とワイパーブレード1との間に機械的なリンクを備え、したがって、例えばワイパーブレード1を交換するために、ワイパーブレード1を駆動アーム2から分離できるようにする。一般に、本発明の接続装置10は、好ましくは、全部で2つの部品、すなわち、コネクタ12及びアダプタ13を備える。
【0041】
駆動アーム2の端子部11に対してアダプタ13を連結及び分離できるようにするために、アダプタ13は、以下においてロック手段20と呼ばれるロック/ロック解除手段を備え、ロック手段20は、アダプタ13及び端子部11が互いに一体化されるロック位置と、アダプタ13及び端子部11を互いに離間させることができるロック解除位置との間で移動できる。特に、ロック位置では、ロック解除ボタン18を備えるロックピン20が、端子部11のスロット11aに、特に端子部11の上壁に係合される。ロック解除位置では、ロックピン20がスロット11aから離脱されてスロットの外側に位置される。
【0042】
図2~
図4において、アダプタ13は、前部15と後部16との間に介挿される中間部14を備える。言い換えると、アダプタ13の前方AVからアダプタ13の後方ARへ向けて、前部15、次いで中間部14、その後に後部16が縦軸線Xに沿って連続して配置される。平面Oyzと平行な平面内でもたらされる断面において、アダプタ13は、コネクタを受け入れることができるU字形状断面を有する。
【0043】
ロック手段18が平面Oxz内においてロック位置とロック解除位置との間で移動できるように、中間部14にはロック手段18の回動点17が装備される。この回動点17は横軸線Yと平行なヒンジ軸線A1を備え、一方、ロック手段18は縦軸線Xに沿って延在する。したがって、ロック手段18は、ヒンジ軸線A1と直交する平面Oxzと平行な平面内で回動することによって移動できる。回動点17は、ロック手段18と中間部14との間に唯一のリンクを形成する。
【0044】
ロック手段18は、ロックピン20が設けられるプレート19を更に備え、ロックピン20は、特にプレート19の縦方向端部に位置される。プレート19は、回動点17とロックピン20との間に縦方向で介挿される。言い換えると、回動点17及びロックピン20は、プレート19に対して互いに縦方向で反対側にある。
【0045】
プレート19は、例えば、平面Oxyと平行な平面内で延在する。
図2に示される他の実施形態によれば、プレート19は、平面Oxyに対して平行な平面と角度αを成すプレート平面Pに沿って延在し、角度αは0°~10°である。
【0046】
ロック手段20の回動は回動手段27によって達成される。回動手段は異なる形態を有してもよいが、以下、これらのうちの2つが一例として与えられる。したがって、この回動手段27は、少なくとも2つの別個の又は相補的な手段によって、すなわち、その後に可撓性タブとなるプレート19の変形によって、及び/又は、回動点17のヒンジ軸線A1の領域に位置されるヒンジ38によって得られてもよい。
【0047】
可撓性タブの可撓性は、その構造的な材料によって又はその適切な構造形態によって達成される。ヒンジ38に関しては、これは、アダプタ13を構成する材料の柔軟性によって実現される。1つの変形例によれば、ヒンジは、例えば、平面Oyzと平行な横方向面内での材料の薄肉化によって形成される。
【0048】
ロックピン20は、回動点17と反対側で縦方向に設けられ、プレート19よりも上方に出現する。ロックピン20は、平面Oxyと平行な平面で、特に長方形又は正方形の断面を有する。ロックピン20は、後壁20aと、2つの側壁20bと、前壁20cとを備える。後壁20a及び前壁20cは、例えば互いに平行であり、平面Oyzと平行である。番号が2つ付けられている側壁20bは、例えば、互いに平行であり、平面Oxzと平行である。前壁20cは、ロックピン20をプレート19に結合するロックピン20の壁である。後壁20aは、回動点17から最も離れたロックピン20の壁である。
【0049】
図4に示されるように、ロックピン20の後壁20aは、第1の平面P1内において上端24と下端25との間で延在する。側壁20bは後壁20aと前壁20cとを互いに結合する。前壁20c、側壁20b、及び、後壁20aは、上壁20dによって互いに結合され、上壁20dは、ロック手段18のロックを解除することによりロックピン20をスロット11aから離脱させたいユーザのための支持面を形成する。
【0050】
本発明によれば、ロック手段20は付属物39を備える。そのような付属物は、ロックピンがスロット11から離れることを防止する機能に関与する手段を形成する。
【0051】
付属物39は、ロックピン20の後壁20aから出現して、前壁20c及び側壁20bを越えて平面P1内で延在する。1つの典型的な実施形態によれば、この付属物39は、ロックピン20の後壁20aの延長部分に設けられる小さな壁の形態を成す。
【0052】
ロックピン20は、横軸線Yと平行であるとともにプレート19よりも上方に延在する横方向フランジ21を備える。横方向フランジ21は、ロックピン20の前壁20cから縦方向に出現する。横方向フランジ21は、回動点17に面して設けられ、この回動点17の方向でロックピン20の突出部を構成する。言い換えると、横方向フランジ21は、プレート19の上に張り出すノーズを形成する。更に言い換えると、横方向フランジ21は、アダプタ13の前方AVへと向かうロックピン20の隆起部を形成する。
【0053】
また、
図2~
図4は、アダプタ13の後部16が、ロックピン20と、アダプタ13の容積26を少なくとも部分的に画定する部分40とを含むことも示す。部分40は、ロックピンの近傍に設けられるアダプタの任意の形状部分であり、回動手段27又はロック手段18が破損されるときに付属物39がこの部分40と干渉し得る。
【0054】
1つの典型的な一実施形態によれば、部分40は周辺ベルト22の形態を成す。周辺ベルト22は、2つの縦壁22bによって中間部14に結合される横壁22aを含む。横壁22aは、好ましくは、平面Oyzと平行な平面内に設けられる。縦壁22bは、好ましくは、面Oxzと平行な平面内に設けられる。言い換えると、周辺ベルト22は、その基部が横壁22aによって形成されるとともにその分岐部が縦壁22bによって形成されるU字形状を全体が有する。結果として、周辺ベルト22が領域を画定し、この領域の内側で、ロックピン20、付属物39、及び、少なくとも部分的にプレート19が、ヒンジ軸線A1を中心とするロック手段18の回動運動中に円運動することができる。言い換えると、周辺ベルト22は、該周辺ベルト22によって3つの側が境界付けられるとともに中間部14によって最後の側が境界付けられる容積26を画定する。
【0055】
本発明の第1の手法によれば、ロックピン20の付属物39の下端25は容積26の内側に配置される。言い換えると、ロックピン20によって支持される付属物39は、少なくとも部分的に容積26の内側で延在する。更に言い換えると、内容積26は、後壁20aの下端25及び付属物39の一部を収容する。
【0056】
本発明の第2の手法によれば、部分40は、平面Oxyと平行な平面内に形成される断面においてU字形状を成す上側フランジ23を備える。上側フランジ23は、特に、後上側フランジ23aと、後上側フランジ23aを中間部14に結合する縦上側フランジ23bとを備える。
図4においてわかる本発明のこの手法によれば、後壁20aの上端24と付属物39の下端25との間の第1の平面P1内で測定される第1の距離D1は、後壁20aの上端24と平面Oyxに対して平行を成す第1の平面P1内の後上側フランジ23aの直交突出部との間の第1の平面P1内でとられる第2の距離D2よりも大きい。
【0057】
また、
図4は、部分40が高さD3にわたって延在する一方で、平面P1内で測定される付属物39の高さD4が距離D3よりも小さいことも示す。ここでは、付属物39が部分40の高さ内に完全に含まれることがわかる。或いは、高さD4が高さD3より大きくてもよく、このとき、下端25は容積26の外側に位置される。
【0058】
本発明の対策によれば、ロック手段18、特にロック手段18のプレート19の破損時、又は、ヒンジ38の破損時、付属物39、特にその下端25は、部分40に直面する、例えば、周辺ベルト22の横壁22aに直面する。言い換えると、このような破損中、ロック手段18は、
図5に示される第1の位置から
図6に示される第2の位置へと移動する。
【0059】
図6に示されるように、プレート19及び/又はヒンジ38の破損時、横壁22aは、駆動アームの端子部11のスロット11aからのロックピン20の縦方向の逃げを防止するために付属物39を保持する手段を形成する。最終的には、プレート19及び/又はヒンジ38の破損時を含めて、アダプタ13は端子部11に結合されたままである。最終的な結果は、駆動アーム2に対するワイパーブレード1の機械的な保持であり、それにより、アダプタ13が損傷した状態でウインドスクリーン拭き取りシステム3が使用されたときにワイパーブレード1の任意の突出が防止される。
【0060】
図6においては、横方向フランジ21及びプレート19が領域41を画定し、該領域41内で前縁28が延在してスロット11aを画定することも留意される。そのような構成は、スロット11a内でのロックピン20のブロッキングを強化して、端子部11からのアダプタ13の任意の予期しない分離を防止する。このように、ロックピン20は、端子部11の上面に対する横方向フランジ21の当接部と部分40の内面に対する付属物39、特にその下端25の当接部との間で補強される。
【0061】
図7において、コネクタ12はワイパーブレード1を支持することができ、ワイパーブレード1はアダプタ13に回動可能に取り付けられる。本発明の1つの実施形態によれば、アダプタ13及びコネクタ12は、頭字語POMにより知られる一群のポリオキシメチレンからの材料などの合成材料の成形によって、又は、頭字語ABSにより知られる一群のポリカーボネートと一群のアクリロニトリルブタジエンスチレンとのポリマーの混合物などのポリマー材料の混合物の成形によって形成される。そのような実施形態は、特にヒンジ38の実施を容易にする。
【0062】
一方のアダプタ13及び他方のコネクタ12がそれぞれ一体を成すことが好ましい。言い換えると、一方のアダプタ13及び他方のコネクタ12は、一体鋳造されており、アダプタ13又はコネクタ12の破壊によることを除き、幾つか断片へと分解することができない。端子部11に関して、これは、例えば、スチールやアルミニウム等のシートなどの金属シートを曲げることによって、或いは、合成材料の成形によって形成される。
【0063】
アダプタ13の前部15はアダプタ13の前方AVに向かって輪郭付けられ、それにより、前部15は、端子部11を輪郭付けるように端子部11を縦方向に延長するノーズを形成する。平面Oyzと平行な平面で切断された断面では、前部15がU字形状断面を有する。
【0064】
図2及び
図3も参照すると、そして、平面Oyzと平行な平面で切断された断面では、中間部14もU字形状断面を有する。また、アダプタ13の中間部14は、平面Oxzと平行な平面内で延在する2つの側壁29も備え、各側壁29にはフィンガ30が設けられ、このフィンガは、該フィンガ30を有する側壁29から出現する。好ましくは、フィンガ30は、横軸線Yと平行な回転軸を有する円筒部として形成される。
【0065】
図7においてわかるように、フィンガ30は、駆動アーム2の端子部11により備えられる溝31内で摺動するように設けられる。フィンガ30の直径は、溝31内でのフィンガ30の容易な摺動を可能にするために、垂直軸線Zに沿ってとられる溝31の幅より小さいことが好ましい。
【0066】
図2及び
図3をもう一度参照すると、前部15は、中間部14の側壁29よりも上方に出現する肩部32を備える。言い換えると、前部15はアダプタ13の中間部14よりも幅広い。この幅の差は、例えば、駆動アーム2の端子部11を形成する壁の厚さの2倍に等しい。肩部32は、駆動アーム2の端子部11の前縁33のための終端ストッパを形成する。肩部32には、特にアダプタ13の中間部14へ向かう前部15の付属物である突出部34が設けられる。突出部34は、端子部11の凹部35内に当接するようになっており、凹部35は端子部11の後方ARへ向けて設けられる。
【0067】
肩部32は、駆動アーム2の端子部11の溝31の入口に対して形状が相補的である少なくとも1つのインターロック部材36を備える。インターロック部材36及び溝31は互いに協働して肩部32と前縁33との接触及び当接を容易にする。
【0068】
図示の実施形態によれば、インターロック部材36は、数が2つであり、前部15を延長して中間部14上に重なり合う。したがって、インターロック部材36は、肩部32から出現して、アダプタ13の後方ARまで延在し、中間部14の側壁29によって支持される。或いは、インターロック部材36は、アダプタ13上で単数であってもよい。
【0069】
各インターロック部材36は、例えば、溝31の出口37と協働するように半円形の膨出部として形成される。インターロック部材36及び溝31の出口37は、共に、アダプタ13の使用位置で、駆動アーム2の端子部11に対するアダプタ13の垂直方向の変位を防止する。インターロック部材36は、好適には、駆動アーム2の端子部11でアダプタ13を垂直にブロックする手段である。
【0070】
これらの全てを設けると、ロック手段18及び/又は回動手段27の破損時に、ロックピン20が端子部のスロット11a内に留まり、結果として、アダプタ13は、縦方向、横方向、又は、垂直方向に分離できるようにならずに、駆動アームに固定されたままである。