(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】位置計測装置および位置計測方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20220418BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
G01C21/28
G01C21/26 P
(21)【出願番号】P 2018114745
(22)【出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鮫田 芳富
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩行
(72)【発明者】
【氏名】小川 純平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 英彦
(72)【発明者】
【氏名】代田 孝広
(72)【発明者】
【氏名】小田 直敬
(72)【発明者】
【氏名】池田 芳朗
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/093447(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104646(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/107853(WO,A1)
【文献】特開2015-184159(JP,A)
【文献】特開2014-167461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置計測の対象となる対象者の動作により変化する3軸の角速度をセンシングする角速度センサと、
前記対象者の動作により変化する3軸方向の加速度をセンシングする加速度センサと、
前記3軸の角速度により求められる回転を示す値に基づいて前記3軸方向の加速度をグローバル座標の水平方向および垂直方向に対応するグローバル加速度に変換する座標変換部と、
前記グローバル加速度に基づいて前記グローバル座標の1歩の区間および歩幅を求める歩幅推定部と、
前記1歩の区間における垂直方向の前記グローバル加速度の位相を進めた値と水平方向の前記グローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める進行方向推定部と、
前記歩幅と前記進行方向に基づいて歩行位置を求める位置推定部と、
を備える位置計測装置。
【請求項2】
垂直方向の前記グローバル加速度の値または前記3軸方向の加速度の合計値における変化の1周期を前記1歩の区間とし、この1歩の区間に対応する垂直方向の前記グローバル加速度の値または前記3軸方向の加速度の合計値における最大値および最小値に基づいて前記歩幅を求め
、前記1歩の区間における垂直方向の前記グローバル加速度の位相を進めた値と水平方向の前記グローバル加速度の値とを乗算および累積した値を求め、この値の逆正接に基づいて進行方向を求める
、ように構成されている、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
3軸方向の磁界ベクトルをセンシングする磁界センサを備え、
前記座標変換部は、前記3軸方向の磁界ベクトルを前記グローバル座標の水平方向および垂直方向に対応するグローバル磁界ベクトルに変換し、前記グローバル磁界ベクトルが使用場所の磁界の方向に対応するように前記回転を示す値を補正する請求項1または請求項2に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記磁界の方向は、地磁気に基づいて求められる請求項3に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記磁界の方向は、前記使用場所にて予め測定された磁界の値に基づいて求められる請求項3に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記座標変換部は、前記グローバル加速度の平均値により前記グローバル座標の垂直方向を求め、この垂直方向に基づいて前記進行方向の演算に関する値を補正する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項7】
前記歩幅推定部は、垂直方向の前記グローバル加速度の値をバンドパスフィルタで処理し、この処理した値がプラスからマイナスになる時点から、次にプラスからマイナスになる時点までを前記1歩の区間として求める請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項8】
前記進行方向推定部は、垂直方向の前記グローバル加速度の値をバンドパスフィルタで処理し、この処理した値の時間の差分をとることで、前記グローバル加速度の位相を進めた値を求める請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項9】
前記進行方向推定部は、前記1歩の区間における垂直方向の前記グローバル加速度の最小値が走行判定値以下の場合に、前記対象者が走行していると判定し、前記進行方向を180°変換する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項10】
前記座標変換部は、一定時間内の前記3軸の角速度の最大値と最小値の差が静止判定値以下の場合に、前記対象者が静止していると判定し、この静止しているときの前記角速度の平均値を求め、この平均値とオフセット値として設定する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の位置計測装置。
【請求項11】
位置計測の対象となる対象者の動作により変化する3軸の角速度を角速度センサによりセンシングするステップと、
前記対象者の動作により変化する3軸方向の加速度を加速度センサによりセンシングするステップと、
前記3軸の角速度により求められる回転を示す値に基づいて前記3軸方向の加速度をグローバル座標の水平方向および垂直方向に対応するグローバル加速度に変換するステップと、
前記グローバル加速度に基づいて前記グローバル座標の1歩の区間および歩幅を求めるステップと、
前記1歩の区間における垂直方向の前記グローバル加速度の位相を進めた値と水平方向の前記グローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求めるステップと、
前記歩幅と前記進行方向に基づいて歩行位置を求めるステップと、
を含む位置計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、位置計測装置および位置計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、位置測位サービスの増加に伴い、位置測位技術に注目が集まっている。例えば、GPSを使用できない屋内において、歩行者が携行する端末の取得した歩行情報に基づいて位置を推定するものがある。しかし、端末の取り付け位置または方向がずれてしまうと正しく進行方向を推定することができない。そこで、垂直方向の加速度成分の変化が極大のときと極小のときとの間で、水平方向の加速度成分の変化が極大を示すときに、この水平方向の加速度成分の方向を進行方向として推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の技術では、水平方向の加速度成分のみを用いて進行方向を推定しているので、測定ノイズの影響を受け易く、精度のよい進行方向の推定が難しい。そのため、歩行者の位置の計測精度を向上させることができないという課題がある。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、歩行位置の計測精度を向上させることができる位置計測技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る位置計測装置は、位置計測の対象となる対象者の動作により変化する3軸の角速度をセンシングする角速度センサと、前記対象者の動作により変化する3軸方向の加速度をセンシングする加速度センサと、前記3軸の角速度により求められる回転を示す値に基づいて前記3軸方向の加速度をグローバル座標の水平方向および垂直方向に対応するグローバル加速度に変換する座標変換部と、前記グローバル加速度に基づいて前記グローバル座標の1歩の区間および歩幅を求める歩幅推定部と、前記1歩の区間における垂直方向の前記グローバル加速度の位相を進めた値と水平方向の前記グローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める進行方向推定部と、前記歩幅と前記進行方向に基づいて歩行位置を求める位置推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態により、歩行位置の計測精度を向上させることができる位置計測技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の位置計測装置としての端末を示す斜視図。
【
図2】位置計測装置としての端末のシステム構成を示すブロック図。
【
図12】本実施形態と従来技術の歩行位置の例を示す説明図。
【
図13】変形例1の進行方向推定処理を示すフローチャート。
【
図16】変形例2の座標変換処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、位置計測装置の実施形態について詳細に説明する。まず、本実施形態の位置計測装置について
図1から
図16を用いて説明する。
【0010】
図1の符号1は、本実施形態の位置計測装置としての端末である。この端末1は、例えば、工場またはプラントなどの作業現場において、作業者である人の位置を特定するために用いられる。なお、作業現場のみならず、他の場所で端末1を用いても良い。また、端末1は、人が歩行により移動したときに、その歩幅と進行方向とを推定することで、移動後の位置を推定するようにしている。
【0011】
図1に示すように、端末1は、スマートフォンなどの小型の携帯端末から成る。この端末1は、位置計測の対象者である人が所持し、この人の歩行または走りなどの動作を検出する。また、この端末1は、人が着用している服のポケットに収容されて使用される。そのため、端末1の向きは、人に対して固定的ではなく、端末1の向き(傾き)が常に変化してしまう可能がある。
【0012】
以下の説明において、人が居る空間の絶対的な座標系をグローバル座標Cと称する。このグローバル座標Cは、X軸とY軸が地面(床面)に沿って延び、Z軸が垂直方向(鉛直方向)に沿って延びる座標系である。つまり、地面に対して固定的な座標系がグローバル座標Cである。これに対して端末1に搭載されるセンサで検出されるu軸,v軸,w軸の座標系がある。この端末1を中心とした座標系を端末座標C’と称する。この端末座標C’は、端末1に対して固定的な座標系である。端末1が回転されると、端末座標C’の3軸方向がグローバル座標Cの3軸方向に対して変化する。
【0013】
次に、位置計測装置としての端末1のシステム構成を
図2に示すブロック図を参照して説明する。本実施形態の位置計測装置は、プロセッサおよびメモリなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の位置計測方法は、プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0014】
端末1は、3軸角速度センサ2と、3軸加速度センサ3と、3軸磁界センサ4と、座標変換部5と、歩幅推定部6と、進行方向推定部7と、位置推定部8と、情報出力部9とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0015】
3軸角速度センサ2は、端末座標C’の3軸の角速度をセンシングする。3軸加速度センサ3は、端末座標C’の3軸方向の加速度をセンシングする。3軸磁界センサ4は、端末座標C’の3軸方向の磁界ベクトルをセンシングする。なお、3軸加速度センサ3によりセンシングされる加速度の値には、人の歩行により生じる加速度のみならず、重力加速度も含まれる。
【0016】
座標変換部5は、端末座標C’の3軸の角速度により求められた端末1の回転状態に基づいて端末座標C’の3軸方向の加速度をグローバル座標Cの水平方向および垂直方向に対応するグローバル加速度に変換する処理を行う。歩幅推定部6は、グローバル加速度に基づいてグローバル座標Cの1歩の区間および歩幅を求める処理を行う。
【0017】
進行方向推定部7は、1歩の区間における垂直方向のグローバル加速度の位相を進めた値と水平方向のグローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める処理を行う。位置推定部8は、歩幅と進行方向に基づいて歩行位置を求める処理を行う。なお、歩行位置とは、所定の位置から人が歩行したときに、人が歩行後に居る位置である。
【0018】
情報出力部9は、歩行位置などの所定の情報を出力する。この情報出力部9は、所定の情報を表示するディスプレイで構成される。また、情報出力部9は、音声で所定の情報を通知するスピーカでも良いし、遠隔地に所定の情報を送信する送信装置でも良いし、所定の情報を記憶媒体に記憶させる記憶装置でも良い。
【0019】
次に、具体的な処理内容を以下に説明する。3軸角速度センサ2は、端末1の各軸u,v,w回りの角速度ωu(t),ωv(t),ωw(t)[rad/s]を、所定のサンプリング間隔ΔT[s]でセンシングする。3軸加速度センサ3は、端末1の各軸u,v,w方向の加速度Au(t),Av(t),Aw(t)[m/s2]を、所定のサンプリング間隔ΔT[s]でセンシングする。3軸磁界センサ4は、端末1の各軸u,v,w方向の磁界Bu(t),Bv(t),Bw(t)[μT]を、所定のサンプリング間隔ΔT[s]でセンシングする。
【0020】
座標変換部5は、角速度センサ2で得られた角速度から端末1の回転を演算する。また、磁界センサ4の値をグローバル座標Cに変換する。また、グローバル座標Cの磁界ベクトルが、地磁気に基づく北方向、または予め作成した磁界マップに一致するように端末1の回転を示す値を補正する。このようにすれば、端末1の使用場所の磁界の方向に基づいて端末1の回転状態を補正されるので、端末1の位置、つまり歩行位置の計測精度を向上させることができる。
【0021】
また、座標変換部5は、加速度センサ3の値をグローバル座標Cに変換し、グローバル座標Cの加速度ベクトル平均値が垂直方向になるように端末1の回転を示す値を補正する。つまり、座標変換部5は、グローバル加速度の平均値によりグローバル座標Cの垂直方向であるZ方向を求め、この垂直方向に対応するように端末1の回転状態を補正する。このようにすれば、求められたグローバル座標Cの垂直方向の値に誤差がある場合に、その誤差を修正することができる。
【0022】
歩幅推定部6は、座標変換部5で得られた垂直方向の加速度をバンドパスフィルタにかける。そして、垂直方向の加速度の値がプラスからマイナスになる時点から次にプラスからマイナスになる時点までを1歩の区間として検出し、その区間の垂直方向または3軸合成の加速度の最大値および最小値から歩幅を演算する。なお、人が静止した状態から歩行を開始するときには、最初に人の重心が下がり、その後に重心が上がる(
図7参照)。そのため、垂直方向の加速度の値がプラスからマイナスになる時点を1歩の最初の時点として処理を行う。このようにすれば、グローバル加速度の値に基づいて1歩の区間を簡素な処理で求めることができる。
【0023】
進行方向推定部7は、グローバル座標Cの垂直方向の加速度の位相を進めた値と、グローバル座標Cの1歩の区間のX方向、Y方向を乗算および累積して、逆正接(arctan)から進行方向を演算する。このようにすれば、歩幅と進行方向の計測精度を向上させることができる。
【0024】
位置推定部8は、歩幅推定部6が求めた歩幅と、進行方向推定部7が求めた進行方向から人の歩行位置を求める。情報出力部9は、位置推定部8が求めた歩行位置を示す情報を出力する。
【0025】
次に、位置計測装置としての端末1が実行するメイン制御処理について
図3のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。
【0026】
図3に示すように、まず、ステップS1において、3軸角速度センサ2は、端末座標C’の3軸の角速度をセンシングする。次のステップS2において、3軸加速度センサ3は、端末座標C’の3軸の加速度をセンシングする。次のステップS3において、3軸磁界センサ4は、端末座標C’の3軸の磁界をセンシングする。
【0027】
次のステップS4において、端末1は、座標変換処理(
図4参照)を実行する。次のステップS5において、端末1は、歩幅推定処理(
図5参照)を実行する。次のステップS6において、端末1は、進行方向推定処理(
図6参照)を実行する。
【0028】
次のステップS7において、端末1は、位置推定処理を実行する。次のステップS8において、端末1は、情報出力処理を実行する。そして、処理を終了する。
【0029】
次に、位置計測装置としての端末1が実行する座標変換処理について
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。
【0030】
図4に示すように、まず、ステップS11において、座標変換部5は、端末1の回転演算を行う。座標変換部5は、端末座標C’の角速度ω
u(t),ω
v(t),ω
w(t)を用いて、端末1の回転ベクトルq(t)={q
0(t),q
1(t),q
2(t),q
3(t)}を求める。なお、回転ベクトルはクォータニオンである。ここで、端末1の各軸のベクトルをu,v,wとすると、以下の数式(1)~(3)により、端末1の回転ベクトルq(t)を求めることができる。
【0031】
n=uωu(t)+vωv(t)+wωw(t) (1)
θ=ΔT√(ω2
u(t)+ω2
v(t)+ω2
w(t)) (2)
q(t)=q(t-ΔT)(cos(θ/2)+n sin(θ/2)) (3)
【0032】
次のステップS12において、座標変換部5は、磁界の座標変換を行う。座標変換部5は、端末1の各軸u,v,w方向の磁界Bu(t),Bv(t),Bw(t)をグローバル座標CのX,Y,Zへ座標変換する。端末1の回転ベクトルq(t)の共役クォータニオンをq*(t)とすれば、以下の数式(4)により、グローバル座標Cの磁界Bx(t),By(t),Bz(t)を求めることができる。
【0033】
{Bx(t),By(t),Bz(t)}=q(t){Bu(t),Bv(t),Bw(t)}q*(t) (4)
【0034】
次のステップS13において、座標変換部5は、磁界に基づいて端末1の回転を示す値の補正を行う。座標変換部5は、地磁気に基づいて、グローバル座標Cの磁界の向きが北方向になるように、端末1の回転を示す値を補正する。正確には、磁界ベクトルは、その使用場所での偏角となるはずである。例えば、東京周辺の偏角は西偏約7度である。そこで、グローバル座標CのX方向を北とするならば、以下の数式(5)となるように、端末1の回転ベクトルq(t)を補正する。このようにすれば、地磁気により端末1の回転状態を補正することができる。
【0035】
arctan(By(t)/Bx(t))=偏角 (5)
【0036】
鉄筋鉄骨コンクリート製の建物の内部では、地磁気が遮蔽され、室内の磁界の方向が北とならない場合がある。このような場合は、測位するエリアの磁界を、磁界測定装置を用いて予め測定して磁界マップを作成しておく。そして、前述の数式(4)で求めた磁界の方向が、事前に作成した磁界マップと一致するように端末1の回転ベクトルq(t)を補正する。このようにすれば、地磁気の影響を受けない建物内であっても端末1の回転状態を補正することができる。
【0037】
次のステップS14において、座標変換部5は、加速度の座標変換を行う。座標変換部5は、端末1の各軸u,v,w方向の加速度Au(t),Av(t),Aw(t)をグローバル座標CのX,Y,Zへ座標変換する。端末1の回転ベクトルq(t)の共役クォータニオンをq*(t)とすれば、以下の数式(6)により、グローバル座標Cの加速度Ax(t),Ay(t),Az(t)を求めることができる。
【0038】
{Ax(t),Ay(t),Az(t)}=q(t){Au(t),Av(t),Aw(t)}q*(t) (6)
【0039】
次のステップS15において、座標変換部5は、加速度による回転の補正を行う。ここで、グローバル座標Cの加速度平均値は、垂直方向になるはずなので、以下の数式(7)~(9)となるように、端末1の回転ベクトルq(t)を補正する。ただし、Average(x)は、例えば、3秒間の平均値を示す。そして、処理を終了する。
【0040】
Average(Ax(t))=0 (7)
Average(Ay(t))=0 (8)
Average(Az(t))=G (9)
【0041】
次に、位置計測装置としての端末1が実行する歩幅推定処理について
図5のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。
【0042】
図5に示すように、まず、ステップS21において、歩幅推定部6は、グローバル座標Cの加速度A
x(t),A
y(t),A
z(t)をバンドパスフィルタにかけて、Ab
x(t),Ab
y(t),Ab
z(t)を求める。バンドパスフィルタは、例えば、1~5Hz程度を通過帯域とする。
【0043】
次のステップS22において、歩幅推定部6は、1歩区間の検出を行う。例えば、加速度の値がプラスからマイナスになる時点から、次にプラスからマイナスになる時点までを1歩の区間として検出する。
【0044】
次のステップS23において、歩幅推定部6は、1歩の区間のバンドパスフィルタした垂直方向の加速度Abz(t)の最大値および最小値を求める。
【0045】
次のステップS24において、歩幅推定部6は、以下の数式(10)により、歩幅を求める。ただし、例えば、N=1/4 とする。そして、処理を終了する。
【0046】
歩幅=係数×(Abz(t)の最大値-Abz(t)の最小値)N (10)
【0047】
次に、位置計測装置としての端末1が実行する進行方向推定処理について
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。
【0048】
図6に示すように、まず、ステップS31において、進行方向推定部7は、グローバル座標Cの加速度A
x(t),A
y(t),A
z(t)をバンドパスフィルタにかけて、Ab
x(t),Ab
y(t),Ab
z(t)を求める。バンドパスフィルタは、例えば、1~5Hz程度を通過帯域とする。
【0049】
次のステップS32において、進行方向推定部7は、垂直方向加速度の位相を進める処理を行う。ここで、位相を進めた垂直方向加速度Adz(t)は、例えば、以下の数式(11)によって求める。ここで、Δ1,Δ2は差分の時間である。
【0050】
Adz(t)=Abz(t+Δ1)-Abz(t-Δ2) (11)
【0051】
または、単に、Adz(t)=Abz(t+Δ)として求めてもよい。この場合は、例えば、Δ=1歩の時間/4 とする。
【0052】
次のステップS33において、進行方向推定部7は、1歩の区間のX方向加速度、Y方向加速度と、位相を進めた垂直方向加速度を乗算および累積する処理を行う。ここで、以下の数式(12)および(13)によって、1歩の区間のX方向、Y方向の乗算および累積を求める。
【0053】
Sx=Σ{Abx(t)Adz(t)} (12)
Sy=Σ{Aby(t)Adz(t)} (13)
【0054】
次のステップS34において、進行方向推定部7は、逆正接演算を行い、進行方向を求める処理を行う。ここで、以下の数式(14)によって、進行方向を求める。そして、処理を終了する。
【0055】
進行方向=arctan(Sy/Sx) (14)
【0056】
本実施形態では、進行方向推定部7は、垂直方向のグローバル加速度の値をバンドパスフィルタで処理し、この処理した値の時間の差分をとることで、グローバル加速度の位相を進めた値を求める。このようにすれば、時間の差分を用いることで、グローバル加速度の位相を進めた値を求める処理を容易に行うことができる。
【0057】
なお、本実施形態では、ステップS32において、進行方向推定部7が、垂直方向加速度の位相を進める処理を行っているが、その他の態様であっても良い。例えば、進行方向推定部7が、端末座標C’の3軸方向の加速度の合計値の位相を進める処理を行っても良い。つまり、位相を進める対象となる値は、少なくとも垂直方向加速度の成分が含まれている値であれば良い。
【0058】
図3に示すように、メイン制御処理において、前述の座標変換処理、歩幅推定処理、座標変換処理の後、ステップS7の位置推定処理において、位置推定部8は、歩幅推定部6で求めたi歩目の歩幅[i]と、進行方向推定部7で求めたi歩目の進行方向[i]から、i歩目の歩行位置x[i],y[i]を以下の数式(15)および(16)によって求める。
【0059】
歩行位置x[i]=x[i-1]+歩幅[i]cos(進行方向[i]) (15)
歩行位置y[i]=y[i-1]+歩幅[i]sin(進行方向[i]) (16)
【0060】
そして、ステップS8の情報出力処理において、情報出力部9は、位置推定処理で求められた歩行位置を出力する。
【0061】
図7は、人Pの歩行の例を示す模式図である。歩行に伴って、端末1を取り付けた人Pの上半身(重心位置)は上下する。ここで、人Pが通常の省エネルギーな歩行を行う場合には、位置エネルギーと運動エネルギーは相互に変換される。そのため、端末1の位置が下がるときに進行方向に向かって加速され、端末1の位置が上がるときに進行方向に減速される。
【0062】
図8は、人の歩行と加速度の関係を示すグラフである。これらのグラフの横軸は時間を表し、縦軸は変化量を表す。
図8において、一点鎖線のグラフL1は、位置h(t)を示す。点線のグラフL2は、垂直方向の加速度h’’(t)を示す。実線のグラフL3は、位相を進めた垂直方向の加速度h’’(t+π/2)を示す。二点鎖線のグラフL4は、進行方向の加速度v’(t)を示す。
【0063】
図8に示すように、人Pが複数歩の歩行を行っているとき、端末1の位置と垂直方向の加速度は、逆位相になる。さらに、位相を進めた垂直方向の加速度と進行方向の加速度は、ほぼ同位相になる。なお、位相を進めるとは、グラフの波形が時間的に先に変化することを示す。グラフL2の位相を進めることで、グラフL3になっている。
【0064】
端末の位置h(t)と速度v(t)の間でエネルギーが保存されるとすれば、以下の数式(17)の関係がある。ただし、mは人の質量、Eは保持するエネルギーである。
【0065】
m h(t)+(1/2)m v2(t)=E (17)
【0066】
また、端末の位置h(t)を以下の数式(18)のようにモデル化する。ただし、C=2π/T、Tは1歩の周期である。
【0067】
h(t)=cos(Ct) (18)
【0068】
ここで、垂直方向の加速度h’’(t)と水平方向の加速度vx’(t),vy’(t)は、以下の数式(19)~(21)となる。だたし、θは進行方向である。
【0069】
h''(t)=-C2cos(Ct) (19)
vx'(t)=(C√2sin(Ct))/(2(E/m-cos(Ct))1/2)cos(θ) (20)
vy'(t)=(C√2sin(Ct))/(2(E/m-cos(Ct))1/2)sin(θ) (21)
【0070】
例えば、h’’(t)の位相をπ/2進めると以下の数式(22)となる。
【0071】
h''(t+π/2)=C2 sin(Ct) (22)
【0072】
1歩の区間の加速度vx’(t),vy’(t)と、位相を進めた垂直方向加速度h’’(t+π/2)を乗算および累積すれば、以下の数式(23)および(24)となる。
【0073】
Sx=Σ{v'x(t)h''(t+π/2)}
=Σ{(C√2 sin(Ct))/(2(E/m-cos(Ct))1/2)cos(θ) C2 sin(Ct)}
=C3√2 Σ{sin2(Ct)/(2(E/m-cos(Ct))1/2)}cos(θ) (23)
【0074】
Sy=Σ{v'y(t)h''(t+π/2)}
=Σ{(C√2sin(Ct))/(2(E/m-cos(Ct))1/2)sin(θ) C2sin(Ct)}
=C3√2 Σ{sin2(Ct)/(2(E/m-cos(Ct))1/2)}sin(θ) (24)
【0075】
ここで、逆正接を求めれば、以下の数式(25)となり、進行方向が求められる。
【0076】
進行方向=arctan(Sy/Sx)
={C3√2 Σ{sin2(Ct)/(2(E/m-cos(Ct))1/2)}sin(θ)}
/{C3√2 Σ{sin2(Ct)/(2(E/m-cos(Ct))1/2)}cos(θ)}
=sin(θ)/cos(θ)
=θ (25)
【0077】
図9は、人の歩行の例を示す説明図である。人Pが歩くときに、1~4歩目はX方向に歩き、5~8歩目は概ねY方向に横歩きした例を示している。このときの加速度波形の例を
図10および
図11に示す。
図10において、実線のグラフL5は、垂直方向加速度A
zを示す。点線のグラフL6は、バンドパスフィルタした垂直方向加速度Ab
zを示す。
図11において、実線のグラフL7は、バンドパスフィルタして位相進めた垂直方向加速度Ad
zを示す。点線のグラフL8は、バンドパスフィルタしたX方向加速度Ab
xを示す。一点鎖線のグラフL9は、バンドパスフィルタしたY方向加速度Ab
yを示す。
【0078】
垂直方向加速度Azをバンドパスフィルタにかけて、バンドパスフィルタした垂直方向加速度Abzを求める。バンドパスフィルタした垂直方向加速度Abzの値がプラスからマイナスになる時点から、次にプラスからマイナスになる時点までを1歩の区間として検出する。
【0079】
1~4歩目では、バンドパスフィルタして位相進めた垂直方向加速度AdzとバンドパスフィルタしたX方向加速度Abxとがほぼ同位相である。4~7歩目では、バンドパスフィルタして位相進めた垂直方向加速度AdzとバンドパスフィルタしたY方向加速度Abyとがほぼ同位相である。
【0080】
図12は、本実施形態と従来技術の歩行位置の例を示す説明図である。人Pが歩くときに、1~4歩目はX方向に歩き、5~8歩目は概ねY方向に横歩きした例を示している。
図12において、実線のグラフJ1は、本実施形態の端末1により求めた歩行位置を示す。点線のグラフJ2は、従来技術の端末により求めた歩行位置を示す。
【0081】
従来技術の端末により進行方向を求めた歩行位置では、5~8歩目においても端末(身体)が概ねX方向を向いているため、X方向に進んでいるような値が算出される。これに対して、本実施形態の端末1により進行方向を求めた歩行位置では、Y方向に進んでいる値が算出されることが分かる。このように、本実施形態では、歩行位置の計測精度を向上させることができる。
【0082】
図13は、変形例1の進行方向推定処理を示すフローチャートである。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この変形例1の進行方向推定処理は、ステップS31からステップS34が前述の進行方向推定処理(
図6)と同様のステップであるので、説明を省略する。
【0083】
図13に示すように、ステップS34の次に進むステップS35において、進行方向推定部7は、1歩の区間の垂直方向の加速度A
z(t)の最小値を求める。
【0084】
次のステップS36において、進行方向推定部7は、垂直方向の加速度Az(t)の最小値が、走行判定値である一定値以下であるか否かを判定する。ここで、垂直方向の加速度Az(t)の最小値が一定値以下の場合(ステップS36がYES)は、人が走っていると判定して、ステップS37に進む。一方、垂直方向の加速度Az(t)の最小値が一定値を超えている場合(ステップS36がNO)は、処理を終了する。
【0085】
本実施形態では、最小値が、走行判定値である一定値以下の場合、例えば、垂直方向の加速度Az(t)の最小値がゼロ以下の場合に走りと判定する。人が走り始めると足が地面から離れる瞬間があるので、垂直方向の加速度Az(t)の最小値がゼロ以下になる瞬間が生じる。このときの加速度を判定に用いる。
【0086】
次のステップS37において、進行方向推定部7は、走りと判定された場合に、進行方向を180°変換する。これにより、走りの場合でも正しく進行方向を推定できる。そして、処理を終了する。
【0087】
図14は、人の走りの例を示す模式図である。走りに伴って、端末1を取り付けた人Pの上半身は上下する。人Pが跳躍するとき、即ち端末位置が上がるときに進行方向に加速され、人Pが着地するとき、即ち端末位置が下がるときに進行方向に減速される。
【0088】
図15は、人の走りと加速度の関係を示すグラフである。これらのグラフの横軸は時間を表し、縦軸は変化量を表す。
図15において、一点鎖線のグラフL11は、位置h(t)を示す。点線のグラフL12は、垂直方向の加速度h’’(t)を示す。実線のグラフL13は、位相を進めた垂直方向の加速度h’’(t+π/2)を示す。二点鎖線のグラフL14は、進行方向の加速度v’(t)を示す。
【0089】
これらのグラフに示すように、端末1の位置と垂直方向の加速度は逆位相になる。さらに、位相を進めた垂直方向の加速度と進行方向の加速度は逆位相になる。
【0090】
変形例1において、進行方向推定部7は、1歩の区間における垂直方向のグローバル加速度の最小値が走行判定値以下の場合に、対象者である人が走行していると判定し、進行方向を180°変換する。このようにすれば、対象者である人が走行しても進行方向を求めることができる。
【0091】
図16は、変形例2の座標変換処理を示すフローチャートである。なお、
図2に示すブロック図を適宜参照する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この変形例2の座標変換処理は、ステップS11からステップS15が前述の座標変換処理(
図4)と同様のステップであるので、説明を省略する。
【0092】
図16に示すように、ステップS15の次に進むステップS16において、座標変換部5は、一定時間内の角速度の最大-最小の値を求める46は、例えば、1秒間の角速度ω
u(t),ω
v(t),ω
w(t)の各軸の最大値と最小値を求め、以下の数式(26)により、その最大-最小の値を求める。だたし、max(x),min(x)は、それぞれ1秒間の最大値と最小値を求める関数である。
【0093】
最大-最小=max(ωu(t))-min(ωu(t)),
max(ωv(t))-min(ωv(t)),
max(ωw(t))-min(ωw(t)) の最大値 (26)
【0094】
次のステップS17において、座標変換部5は、一定時間内の角速度の最大-最小の値が、静止判定値である一定値以下であるか否かを判定する。つまり、人が歩行または走りをせずに端末1が静止しているか否かを判定する。ここで、最大-最小の値が一定値以下である場合(ステップS17がYES)は、ステップS18に進む。一方、最大-最小の値が一定値を超えている場合(ステップS17がNO)は、処理を終了する。
【0095】
本実施形態では、一定時間内の角速度の最大-最小の値が、静止判定値である一定値以下の場合、例えば、前述の数式(26)の値が、0.01[rad/s]の場合に、端末1は静止していると判定する。
【0096】
次のステップS18において、座標変換部5は、一定時間内の角速度の平均をオフセットとする。例えば、1秒間の角速度ωu(t),ωv(t),ωw(t)の各軸の平均値を求め、それをオフセットとする。そして、以後のステップS11の端末1の回転演算では、センシングした値からオフセットを減算して用いる。これにより、角速度センサ2にオフセットがある場合でも、角速度センサ値を補正できる。そして、処理を終了する。
【0097】
変形例2において、座標変換部5は、一定時間内の3軸の角速度の最大値と最小値の差が静止判定値以下の場合に、対象者である人が静止していると判定し、この静止しているときの角速度の平均値を求め、この平均値とオフセット値として設定する。このようにすれば、角速度センサ2が角速度をセンシングしたときに生じる誤差をキャンセルすることができる。
【0098】
なお、本実施形態において、基準値(判定値)を用いた任意の値の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でも良い。或いは、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でも良い。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差を解析し、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲を判定に用いても良い。
【0099】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0100】
なお、本実施形態の位置計測装置で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
【0101】
また、この位置計測装置で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この位置計測装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0102】
なお、本実施形態では、進行方向推定部7が、1歩の区間における垂直方向のグローバル加速度の位相を進めた値と水平方向のグローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める処理を行っているが、その他の態様でも良い。例えば、進行方向推定部7が、1歩の区間における端末座標C’の3軸方向の加速度の合計値の位相を進めた値と水平方向のグローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める処理を行っても良い。
【0103】
なお、本実施形態では、端末1に、座標変換部5と歩幅推定部6と進行方向推定部7と位置推定部8と情報出力部9とが設けられているが、他の実施形態であっても良い。例えば、座標変換部5と歩幅推定部6と進行方向推定部7と位置推定部8と情報出力部9が、端末1から離れた位置に設けられたコンピュータなどの処理装置に搭載されていても良い。そして、このコンピュータと端末1とが無線通信回線で接続され、端末1の各センサで検出した情報を処理装置に送信して処理を行っても良い。
【0104】
以上説明した実施形態によれば、1歩の区間における垂直方向のグローバル加速度の位相を進めた値と水平方向のグローバル加速度の値とに基づいて進行方向を求める進行方向推定部を備えることにより、歩行位置の計測精度を向上させることができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
1…端末、2…角速度センサ、3…加速度センサ、4…磁界センサ、5…座標変換部、6…歩幅推定部、7…進行方向推定部、8…位置推定部、9…情報出力部、C…グローバル座標、C’…端末座標、P…人。