(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】同時2軸延伸装置のクリップリンク機構
(51)【国際特許分類】
B29C 55/20 20060101AFI20220418BHJP
B29C 55/16 20060101ALI20220418BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20220418BHJP
【FI】
B29C55/20
B29C55/16
B29L7:00
(21)【出願番号】P 2019023539
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝義
(72)【発明者】
【氏名】田村 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩明
(72)【発明者】
【氏名】竹下 裕也
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-049939(JP,A)
【文献】国際公開第2016/186141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/16,55/20
B29L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸対象物の幅方向両端をクリップで把持する、連接した一対の把持機構を、一対のレールで形成された移動経路にガイドされたローラによって移動させながら、隣接する前記クリップの間隔を変更して、前記延伸対象物を、前記幅方向及び前記移動経路に沿う方向に延伸させる同時2軸延伸装置の、前記クリップの間隔を変更する、同時2軸延伸装置のクリップリンク機構であって、
当該クリップリンク機構は、
前記クリップが設置されるクリップ設置部と、前記クリップの移動方向と交差する方向に延びて、当該方向に沿って貫通した長孔を有するフレーム部を備えるクリップ担持部材と、
前記クリップ担持部材の前記クリップ設置部側に設けられた第1の軸部材と、
前記長孔に挿通する第2の軸部材と、
当該第2の軸部材に軸支されて、前記長孔に沿ってスライド可能に設置されるスライダと、
前記第1の軸部材に回動可能に連結する第1のリンク部材と、
前記第1のリンク部材の中間部に設けられた第3の軸部材と、
前記第3の軸部材によって、前記第1のリンク部材と回動可能に連結されて、長手方向にスライド可能なスライドプレートと、
前記スライドプレートに挿通する第4の軸部材と、
前記第4の軸部材に軸支されて、隣接する前記クリップ担持部材の間隔を設定するピッチ設定部材と、
前記第1のリンク部材の他端側に設けられた第5の軸部材と、
一端側が前記第2の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が前記第4の軸部材と回動可能に連結される第2のリンク部材と、
一端側が前記第2の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が前記第3の軸部材と回動可能に連結される第3のリンク部材と、
一端側が前記第4の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が隣接するクリップ担持部材の第1の軸部材と回動可能に連結されるとともに、中間部が、前記第5の軸部材によって、前記第1のリンク部材と回動可能に連結される第4のリンク部材と、
を備える同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項2】
前記第5の軸部材と、当該第5の軸部材に連結された前記第4のリンク部材が連結される前記第1の軸部材との距離と、
前記第5の軸部材と前記第4の軸部材との距離と、
前記クリップ担持部材の前記第1の軸部材と前記第5の軸部材との距離と、
前記第2の軸部材と前記第3の軸部材との距離
と、
前記第2の軸部材と前記第4の軸部材との距離と、の比率は
、2:1:2:1
:1である、
請求項1に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項3】
前記ピッチ設定部材の、前記クリップが設置されたのとは反対側の端部に、前記レールに沿って移動する反クリップ側ローラを備えて、
当該反クリップ側ローラは、前記第4の軸部材に回転可能に設置された第1のローラが移動する凹溝状のレールの天面を移動する、
請求項1または請求項2に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項4】
前記クリップ担持部材の一端側に、前記レールに沿って移動するクリップ側ローラを備えて、
当該クリップ側ローラは、前記第1の軸部材に回転可能に設置された第2のローラが移動する凹溝状のレールの天面を移動する、
請求項3に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項5】
隣接する各クリップ担持部材に設置される前記第2のローラは、互いの高さが千鳥状に配置されるとともに、
隣接する各ピッチ設定部材に設置される前記第1のローラは、互いの高さが千鳥状に配置されて、
尚且つ、前記クリップ担持部材に設置された前記第2のローラと、当該クリップ担持部材と前記第2のリンク部材によって接続されるピッチ設定部材に設置された前記第1のローラとは、等しい高さに配置される、
請求項4に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項6】
連接する前記クリップ担持部材に設置された前記第1の軸部材は、1本おきに、当該第1の軸部材の両側に隣接する第1の軸部材に設置された第2のローラの外周部が入り込む切欠部を有するスペーサを備えて、
連接する前記ピッチ設定部材に設置された前記第4の軸部材は、1本おきに、当該第4の軸部材の両側に隣接する第4の軸部材に設置された第1のローラの外周部が入り込む切欠部を有するスペーサを備える、
請求項5に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【請求項7】
前記フレーム部は、前記クリップ設置部に対してT字状に設置される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の同時2軸延伸装置のクリップリンク機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートやフィルム等の薄膜状の延伸対象物を延伸させるシート・フィルム延伸装置に関し、特に、縦横の同時二軸延伸を行うことができる同時2軸延伸装置のクリップリンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同時2軸延伸装置として、無端に連結されたチェーンリンクにシートやフィルム等の薄膜状の延伸対象物を把持するクリップを、平面視で左右対称に配置して、当該クリップのクリップ間距離を、ガイドレールによって徐々に拡大して、レールを横切る方向に横延伸を行うと同時に、リンクを伸縮させて、レールの進行方向にクリップ間距離を広げることによって縦延伸を行う装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたシート・フィルム延伸装置は、クリップ担持部材であるメインステムと、パンタグラフ状のリンク機構を備えて、メインステムの一端側に、基準レールに沿って移動する案内ローラを有する。また、メインステムの他端側に、ピッチ設定レールに沿って移動するピッチ設定ローラを有する。そして、対向する基準レールの間隔に応じた横倍率が設定される。また、リンク機構はピッチ設定ローラと同じ軸部材に回動可能に連結されて、基準レールとピッチ設定レールとの間隔に応じた縦方向(レールの進行方向)の延伸倍率が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、設定可能な縦方向の延伸倍率は、クリップが設置された主リンク部材の長さによって決定する。したがって、縦方向の延伸倍率を大きく設定するためには、主リンク部材の長さを伸ばす必要がある。
【0006】
しかしながら、主リンク部材の長さを伸ばすと、それに伴って、クリップが設置されるクリップ担持部材も長くする必要がある。そして、クリップ担持部材の長さが長くなると、それに伴って、クリップ担持部材の両端に設置されて、当該クリップ担持部材の自重を支える走行輪の間隔も大きくなる。したがって、シート・フィルム延伸装置の規模が大きくなることにより、工場等における装置の設置面積が増大するため、装置の設置性が損なわれるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クリップ担持部材の長さを伸ばさずに、延伸対象物の縦方向の延伸倍率を大きく設定することのできる同時2軸延伸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構は、延伸対象物の幅方向両端をクリップで把持する、連接した一対の把持機構を、一対のレールで形成された移動経路にガイドされたローラによって移動させながら、隣接する前記クリップの間隔を変更して、前記延伸対象物を、前記幅方向及び前記移動経路に沿う方向に延伸させる同時2軸延伸装置の、前記クリップの間隔を変更する、同時2軸延伸装置のクリップリンク機構であって、当該クリップリンク機構は、前記クリップが設置されるクリップ設置部と、前記クリップの移動方向と交差する方向に延びて、当該方向に沿って貫通した長孔を有するフレーム部を備えるクリップ担持部材と、前記クリップ担持部材の前記クリップ設置部側に設けられた第1の軸部材と、前記長孔に挿通する第2の軸部材と、当該第2の軸部材に軸支されて、前記長孔に沿ってスライド可能に設置されるスライダと、前記第1の軸部材に回動可能に連結する第1のリンク部材と、前記第1のリンク部材の中間部に設けられた第3の軸部材と、前記第3の軸部材によって、前記第1のリンク部材と回動可能に連結されて、長手方向にスライド可能なスライドプレートと、前記スライドプレートに挿通する第4の軸部材と、前記第4の軸部材に軸支されて、隣接する前記クリップ担持部材の間隔を設定するピッチ設定部材と、前記第1のリンク部材の他端側に設けられた第5の軸部材と、一端側が前記第2の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が前記第4の軸部材と回動可能に連結される第2のリンク部材と、一端側が前記第2の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が前記第3の軸部材と回動可能に連結される第3のリンク部材と、一端側が前記第4の軸部材と回動可能に連結されて、他端側が隣接するクリップ担持部材の第1の軸部材と回動可能に連結されるとともに、中間部が、前記第5の軸部材によって、前記第1のリンク部材と回動可能に連結される第4のリンク部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構は、クリップ担持部材が同じ長さである場合に、従来のクリップリンク機構に比べて縦方向の延伸倍率を大きく設定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るクリップリンク機構が適用された2軸延伸フィルム製造装置の全体概要図。
【
図2】実施形態に係る同時2軸延伸装置に用いるクリップの概略構造の一例を示す側面図。
【
図3】実施形態に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の斜視図。
【
図4】実施形態に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構によって、縦方向の延伸倍率を変更した状態を示す上面図。
【
図5】実施形態に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の上面図。
【
図8】第1のローラ及び第2のローラの配置構造を示す斜視図。
【
図10】同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の第1の変形例を示す上面図。
【
図11】同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の第2の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[同時2軸延伸装置の概略構成の説明]
まず、
図1を用いて本実施形態における同時2軸延伸装置10の全体構成について説明する。
図1は、実施形態に係るクリップリンク機構が適用される同時2軸延伸装置10の全体概要図である。
【0013】
同時2軸延伸装置10は、平面視で、左右両側に、シート状部材Sを把持する多数のクリップ20を有する無端ループ10Rと10Lとを左右対称に有する。延伸対象のシート状部材Sは、入口1a側から送り込まれて、延伸した状態で出口1b側から排出される。なお、延伸対象のシート・フィルムの入口1a側から見て右側の無端ループを右側無端ループ10R、左側の無端ループを左側無端ループ10Lと呼ぶことにする。なお、シート状部材Sは、例えば、リチウムイオン電池のセパレータに用いられるポリオレフィン系の樹脂フィルム等である。
【0014】
クリップ20は、各々、長方形状のメインステム30の長手方向の一端部(入口1aと出口1bとの間で、互いに向かい合う位置)に取り付けられる。すなわち、向かい合う一対のクリップ20が、延伸対象物であるシート状部材Sの幅方向両端に配置されて、延伸対象物を把持する把持装置として機能する。なお、メインステム30は、クリップ担持部材の一例である。
【0015】
メインステム30は、基準レール100に案内されてループ状に巡回移動する。右側無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動し、左側無端ループ10Lは反時計廻り方向に巡回移動する。具体的には、メインステム30が備える駆動ローラ41(
図3)が、駆動用スプロケット11、12に選択的に係合し、各メインステム30を巡回経路に沿って走行させる。つまり、駆動用スプロケット11、12は、各メインステム30の駆動ローラ41と選択的に係合し、電動モータ13、14によって回転駆動されて、各メインステム30を巡回経路に沿って走行させる力をメインステム30に与える。
【0016】
右側無端ループ10Rの基準レール100と、左側無端ループ10Lの基準レール100との間隔が大きくなると、シート状部材Sは横方向(X軸方向)に延伸される。
【0017】
隣接するメインステム30同士は、複数のリンクで構成されたクリップリンク機構50によって接続される。クリップリンク機構50は、ピッチ設定レール120に案内されて、メインステム30を連れ添ってループ状に巡回移動する。
【0018】
クリップリンク機構50は、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔に応じて、隣接するメインステム30の間隔(ピッチ)を設定する。隣接するメインステム30のピッチが大きくなるほど、シート状部材Sは、メインステム30の移動方向である縦方向(Y軸方向)に延伸される。
【0019】
同時2軸延伸装置10は、シート状部材Sの入口1a側から出口1b側へ向けて、予熱ゾーンAと、延伸ゾーンBと、熱処理ゾーンCとを備える。
【0020】
予熱ゾーンAでは、左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rの基準レール100の間隔(離間距離)が横延伸初期幅相当に設定されて、全域に亘って左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rとが互いに平行に配置される。なお、左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rとにおいて、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔は、縦延伸初期ピッチ相当である。
【0021】
延伸ゾーンBでは、予熱ゾーンAの側から熱処理ゾーンCに向かうに従って左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rの離間距離が徐々に拡大され、左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rとが非平行に配置される。延伸ゾーンBにおける左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rの離間距離は、延伸開始端(予熱ゾーンAとの接続端)では横延伸初期幅相当になっており、延伸終了端(熱処理ゾーンCとの接続端)では横延伸最終幅相当に設定されている。すなわち、延伸ゾーンBでは、予熱ゾーンAの側から熱処理ゾーンCに向かうに従って、左側無端ループ10Lにおける基準レール100と、右側無端ループ10Rにおける基準レール100との間隔が徐々に拡大される。各基準レール100の間隔は、延伸開始端(予熱ゾーンAとの接続端)では横延伸の初期幅相当になっており、延伸終了端(熱処理ゾーンCとの接続端)では横延伸の最終幅相当になっている。
【0022】
さらに、延伸ゾーンBでは、予熱ゾーンAの側から熱処理ゾーンCに向かうに従って、左側無端ループ10Lにおける基準レール100とピッチ設定レール120との間隔が徐々に縮小される。そして、右側無端ループ10Rにおける基準レール100とピッチ設定レール120との間隔も同様に、徐々に縮小される。基準レール100とピッチ設定レール120との間隔は、延伸開始端(予熱ゾーンAとの接続端)では縦延伸初期ピッチ相当になっており、延伸終了端(熱処理ゾーンCとの接続端)では縦延伸最終ピッチ相当になっている。すなわち、同時2軸延伸装置10は、延伸ゾーンBにおいて、シート状部材Sに対して、縦延伸と横延伸とを同時に行う。
【0023】
熱処理ゾーンCでは、左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rの離間距離が横延伸最終幅相当に設定されて、全域に亘って左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rとが互いに平行に配置される。また、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔は、縦延伸最終ピッチ相当に設定されて、全域に亘って基準レール100とピッチ設定レール120とは互いに平行な配置になっている。
【0024】
[クリップの構造の説明]
次に、
図2を用いて、クリップ20の概略構造を説明する。
図2は、実施形態に係る同時2軸延伸装置10に用いるクリップ20の概略構造の一例を示す側面図である。左側無端ループ10Lと右側無端ループ10Rが備える複数個のクリップ20は、各々、メインステム30の長手方向の一端部に取り付けられる。クリップ20は、シート状部材Sを係脱可能に把持するものであり、ヨーク形状のクリップ本体21と、クリップ本体21に固定装着された下側固定クリップ部材22と、ピン23によってクリップ本体21に回動可能に取り付けられた可動レバー24と、可動レバー24の下端にピン25によって揺動可能に取り付けられた上側可動クリップ部材26とを有し、下側固定クリップ部材22と上側可動クリップ部材26とで、シート状部材Sの側縁を挟み込み式に把持する。これにより、クリップ20は、シート状部材Sを挟んで支持したり、その支持状態を解放させたりすることが可能となる。
【0025】
[クリップリンク機構の説明]
次に、
図3を用いて、本実施形態に係る同時2軸延伸装置10のクリップリンク機構50の詳細構造について説明する。
図3は、実施形態に係る同時2軸延伸装置10のクリップリンク機構50の斜視図である。
【0026】
図3は、1本のメインステム30と1つのクリップリンク機構50とが接続された状態を示す。なお、クリップリンク機構50の構造をわかり易く示すために、
図3は、前記したクリップ20を省略している。また、以降の説明では、便宜上、メインステム30とクリップリンク機構50とを併せてクリップリンク機構50と呼ぶことにする。なお、説明を容易にするため、
図3に示す座標系XYZを設定する。そして、以後の説明において、Z軸正側を上方、Z軸負側を下方と呼ぶ。
【0027】
メインステム30は、延伸対象物を把持するクリップが設置されるクリップ設置部30cと、当該クリップ設置部30cから、クリップ20の移動方向と交差する方向に延びた上側フレーム部30aと、下側フレーム部30bを備える。上側フレーム部30aと下側フレーム部30bとの間は空間になっている。すなわち、メインステム30は、クリップ設置部30c側(一端側)が閉じて、他端側が長手方向に沿って左右に開いたコの字形状のフレームをなす。なお、上側フレーム部30aと下側フレーム部30bとは、フレーム部の一例である。
【0028】
メインステム30のクリップ設置部30c側には、Z軸に沿う第1の軸部材32aが設けられる。そして、第1の軸部材32aの下端には、ローラ38aが回転可能に設置される。ローラ38aは、円柱状に形成されて、凹溝状の基準レール100(
図7)に沿って移動する。なお、ローラ38aは、第2のローラの一例である。ローラ38aの動作について、詳しくは後述する。また、第1の軸部材32aの上端側には、駆動ローラ41が設置される。駆動ローラ41は、前記したように、電動モータ13、14によって回転駆動される駆動用スプロケット11、12と選択的に係合して、無端ループを巡回するための駆動力を与えられる。
【0029】
第1の軸部材32aには、メインステム30の上側フレーム部30aと下側フレーム部30bとの間の空間において、第1のリンク部材34aが回動可能に連結される。なお、第1のリンク部材34aは、
図3に示すように、上下に2本連結される。
【0030】
すなわち、第1の軸部材32aには、上方から順に、駆動ローラ41と、メインステム30と、第1のリンク部材34aと、第1のリンク部材34aと、メインステム30と、ローラ38aとがそれぞれ設置される(
図7)。
【0031】
メインステム30の上側フレーム部30aと下側フレーム部30bには、上側フレーム部30a及び下側フレーム部30b長手方向に沿って貫通した第1の長孔31が形成される。なお、第1の長孔31は長孔の一例である。
【0032】
上側フレーム部30a及び下側フレーム部30bの第1の長孔31には、それぞれ、第1の軸部材32aと平行な第2の軸部材32bが貫通する。そして、第2の軸部材32bには、第1の長孔31に沿ってスライド可能なスライダ33が設置される。
【0033】
第2の軸部材32bには、更に、第2のリンク部材34bの一端側と、第3のリンク部材34cの一端側とが、それぞれ回動可能に連結される。
【0034】
すなわち、メインステム30の上側フレーム部30aに設置された第2の軸部材32bには、上方から順に、スライダ33と、第2のリンク部材34bと、第3のリンク部材34cとがそれぞれ設置される。また、メインステム30の下側フレーム部30bに設置された第2の軸部材32bには、上方から順に、第3のリンク部材34cと、第2のリンク部材34bと、スライダ33とがそれぞれ設置される。
【0035】
上方側の第1のリンク部材34aの中間部には、第1の軸部材32aと平行な第3の軸部材32cが挿通する。この第3の軸部材32cには、上方側の第3のリンク部材34cと、スライドプレート35とが、それぞれ回動可能に連結される。また、下方側の第1のリンク部材34aの中間部には、第1の軸部材32aと平行な第3の軸部材32cが挿通する。この第3の軸部材32cには、下方側の第3のリンク部材34cが回動可能に連結される。
【0036】
すなわち、上方側の第3の軸部材32cには、上方から順に、第3のリンク部材34cと、スライドプレート35と、第1のリンク部材34aとがそれぞれ設置される。また、下方側の第3の軸部材32cには、上方から順に、第1のリンク部材34aと、第3のリンク部材34cとがそれぞれ設置される。
【0037】
スライドプレート35は、板状の部材であり、長手方向は、メインステム30と平行になるように設置される。スライドプレート35には、長手方向に沿って第2の長孔36が形成される。第2の長孔36には、第1の軸部材32aと平行な第4の軸部材32dが挿通する。第4の軸部材32dには、第2の長孔36に沿ってスライド可能なサブステム37が設置される。すなわち、第2の長孔36とサブステム37とは、サブステム37が第2の長孔36に沿ってスライドするスライド機構を形成する。
【0038】
サブステム37は、メインステム30とは逆向き、すなわち、X軸負方向側に向けて開いたコの字状を有する。なお、サブステム37は、ピッチ設定部材の一例である。サブステム37は、
図3に示すように、上壁部37aと、下壁部37bと、縦壁部37cとを備える。サブステム37の上壁部37aと下壁部37bとの間には、前記した第4の軸部材32dが挿通しており、当該第4の軸部材32dに、第4のリンク部材34dが回動可能に連結される。
【0039】
第4の軸部材32dの上下端側には、それぞれ、上方側の第2のリンク部材34bと、下方側の第2のリンク部材34bとが、回動可能に連結される。さらに、第4の軸部材32dの下端には、ローラ38bが回転可能に設置される。ローラ38bは、円柱状に形成されて、凹溝状のピッチ設定レール120(
図7)に沿って移動する。なお、ローラ38bは、第1のローラの一例である。ローラ38bの動作について、詳しくは後述する。
【0040】
すなわち、第4の軸部材32dには、上方から順に、第2のリンク部材34bと、スライドプレート35と、サブステム37(上壁部37a)と、第4のリンク部材34dと、サブステム37(下壁部37b)と、第2のリンク部材34bと、ローラ38bとがそれぞれ設置される(
図7)。
【0041】
第4のリンク部材34dの中間部には、第1の軸部材32aと平行な第5の軸部材32eが挿通する。第5の軸部材32eの上下端側には、それぞれ、上方側の第1のリンク部材34aと、下方側の第1のリンク部材34aとが、回動可能に連結される。
【0042】
すなわち、第5の軸部材32eには、上方から順に、第1のリンク部材34aと、第4のリンク部材34dと、第1のリンク部材34aとが設置される。
【0043】
なお、第4のリンク部材34dの、第4の軸部材32dが設置された側の反対側の端部は、メインステム30と隣接する別のメインステム30に設置された第1の軸部材32aと回動可能に連結される。
【0044】
また、メインステム30のクリップ設置部30cの下部には、X軸に沿う軸部材40aが設置される。この軸部材40aには、クリップ側ローラ39aが回転可能に設置される。なお、
図3に示すように、クリップ側ローラ39aとローラ38aとは、互いに近接した位置に設置される。具体的には、
図3に示すように、メインステム30のクリップ設置部30cの一部に切り欠きを設けて、この切り欠きにクリップ側ローラ39aが設置される。
【0045】
さらに、サブステム37の縦壁部37cには、X軸に沿う軸部材40bが設置される。この軸部材40bには、反クリップ側ローラ39bが回転可能に設置される。反クリップ側ローラ39bは、ローラ38bと近接した位置に設置される。
【0046】
クリップ側ローラ39aは、メインステム30の自重を支えるとともに、凹溝状の基準レール100の天面100aを移動する(
図7)。また、反クリップ側ローラ39bは、メインステム30の自重を支えるとともに、凹溝状のピッチ設定レール120の天面120aを移動する(
図7)。詳しくは後述する。
【0047】
[クリップリンク機構の動作の説明]
次に、
図4を用いて、クリップリンク機構50の動作について説明する。
図4は実施形態に係る同時2軸延伸装置10のクリップリンク機構50によって、縦方向の延伸倍率を変更した状態を示す上面図である。
【0048】
図4は、クリップリンク機構50が、Y軸正方向に向かって移動する様子を示す。特に、
図4は、紙面の右側から左側に向かって、領域D1,D2,D3が設定された例である。領域D1,D2,D3は、基準レール100とピッチ設定レール120とのレール間隔が異なる。同時2軸延伸装置10は、当該レール間隔に応じて、縦方向(Y軸方向)の延伸倍率を変更する。
【0049】
領域D1,D2,D3において、基準レール100とピッチ設定レール120とのレール間隔は、それぞれW1,W2,W3(W1>W2>W3)に設定される。レール間隔W1は、設定できる最大の間隔である。また、レール間隔W3は、設定できる最小の間隔である。領域D1にあるメインステム301とメインステム302は、クリップリンク機構50が折り畳まれて、メインステムの上側フレーム部30aと下側フレーム部30bとの間の空間に収容される。そのため、隣接するメインステム301とメインステム302のピッチH1は最小となる。
【0050】
隣接するメインステム303とメインステム304とが領域D2にあるとき、ローラ38bは、ピッチ設定レール120に沿って移動するため、第4の軸部材32dは、第2の長孔36に沿って、X軸負方向にスライドする。すると、第4の軸部材32dに連結された第2のリンク部材34bが、第4の軸部材32dに対して時計回りに回動する。
【0051】
第2のリンク部材34bの回動に伴って、第2の軸部材32bは、X軸負方向に向かう力を受ける。この力によって、スライダ33は、第1の長孔31に沿って、X軸負方向にスライドする。
【0052】
スライダ33がX軸負方向にスライドするのに伴って、第2の軸部材32bに連結された第3のリンク部材34cは、第2の軸部材32bに対して、反時計回りに回動する。すなわち、第2のリンク部材34bと第3のリンク部材34cとは、互いに接近する方向に回動する。
【0053】
第3のリンク部材34cの他端側は、第1のリンク部材34aの中間部と回動可能に連結されているため、第3のリンク部材34cの回動に伴って、第1のリンク部材34aは、第1の軸部材32aに対して時計回りに回動する。
【0054】
第1のリンク部材34aの他端側は、第4のリンク部材34dの中間部と回動可能に連結されているため、第1のリンク部材34aの回動に伴って、第4のリンク部材34dは、第4の軸部材32dに対して反時計回りに回動する。
【0055】
したがって、隣接するメインステム303とメインステム304とが領域D2にあるとき、2つのメインステムのピッチH2は、メインステムが領域D1にある場合のピッチH1に比べて大きくなる。
【0056】
隣接するメインステム305とメインステム306とが領域D3にあるときには、基準レール100とピッチ設定レール120とのレール間隔W3は更に狭くなる。したがって、隣接するメインステム305とメインステム306とのピッチH3は、隣接するメインステムが領域D2にある場合と比べて、更に大きくなる。
【0057】
[リンク部材の長さの説明]
次に、
図5,
図6を用いて、クリップリンク機構50を構成するリンク部材の長さについて説明する。
図5は、実施形態に係る同時2軸延伸装置10のクリップリンク機構50の上面図である。
図6は、比較例に係るクリップリンク機構52の上面図である。
【0058】
図5に示すように、第1のリンク部材34aにおける第1の軸部材32aと第5の軸部材32eとの距離をLaとする。また、第2のリンク部材34bにおける第2の軸部材32bと第4の軸部材32dとの距離をLbとする。そして、第3のリンク部材34cにおける第2の軸部材32bと第3の軸部材32cとの距離をLcとする。さらに、第4のリンク部材34dにおける第4の軸部材32dと、隣接するメインステム30の第1の軸部材32aとの距離をLdとする。そして、第4の軸部材32dと第5の軸部材32eとの距離をLd1として、第5の軸部材32eと第1の軸部材32aとの距離をLd2とする。すなわち、Ld=Ld1+Ld2とする。なお、ここでは、各リンク部材を回動可能に連結する軸部材の間の距離を定義しているが、便宜上、これらの距離を各リンク部材のリンク長であるとみなす。すなわち、第1のリンク部材34aのリンク長をLa、第2のリンク部材34bのリンク長をLb、第3のリンク部材34cのリンク長をLc、第4のリンク部材34dのリンク長をLdとする。そして、このような構造のクリップリンク機構50は、隣接するメインステム30間のピッチを、
図5に示す最小ピッチHminから最大ピッチHmaxの間で変更する。
【0059】
ここで、
図5に示すクリップリンク機構50がリンク機構として正常に動作して、隣接するメインステム301とメインステム302とのピッチを、最小ピッチHminから最大ピッチHmaxの間で変更可能とする条件を求める。クリップリンク機構50がリンク機構として正常に動作するためには、
図5において、第1のリンク部材34aと第2のリンク部材34bとが平行に設置される必要がある。さらに、第3のリンク部材34cと第4のリンク部材34dとが平行に設置される必要がある。
【0060】
さらに、
図5において、第1の長孔31と、第2の長孔36とは平行、すなわち、メインステム302とサブステム37とは平行に配置される必要がある。仮に、第1の長孔31と、第2の長孔36とが非平行に配置されると、隣接するメインステムを最小ピッチHminの状態に配置しようとした際に、メインステムの上側フレーム部30aと下側フレーム部30bとの間の空間にリンク機構を収容することができないためである。すなわち、
図5に示すメインステム302とメインステム303のように、隣接するメインステムを最小ピッチHminの状態に配置することができなくなってしまうためである。
【0061】
次に、第1のリンク部材34aと第2のリンク部材34bとの平行性と、第3のリンク部材34cと第4のリンク部材34dとの平行性と、隣接するメインリンク及びその間のサブステムの平行性と、をともに満足する各リンク部材のリンク長の条件を求める。
【0062】
図5において、メインステム302とサブステム37とが平行であることから、式(1)、式(2)が成り立つ。
Lb=Lc …(1)
Ld1=La/2=Lb …(2)
【0063】
また、各メインステム301,302,303における第1の軸部材32aの設置位置は等しいため、第1のリンク部材34aのリンク長Laについて、式(3)が成り立つ。
La=Ld2 …(3)
【0064】
式(1)~式(3)をまとめると、
第1のリンク部材34aのリンク長La:第2のリンク部材34bのリンク長Lb:第3のリンク部材34cのリンク長Lc:第4のリンク部材34dのリンク長Ld(=Ld1+Ld2)=2:1:1:3 …(4)
Ld1:Ld2=1:2 …(5)
【0065】
換言すると、各リンク長の比率は、Ld2:Ld1:La:Lc:Lb=2:1:2:1:1である。
【0066】
そして、
図5において、ローラ38aとローラ38bとの、リンク部材34d長手方向の間隔は、第4のリンク部材34dのリンク長Ld(=Ld1+Ld2)と等しくなる。なお、ローラ38aとローラ38bとのX軸方向の間隔は、同時2軸延伸装置10を設置した際の基準レール100とピッチ設定レール120との間隔に相当する。
【0067】
次に、
図6を用いて、比較例であるクリップリンク機構52の構造について、本実施形態のクリップリンク機構50と比較して説明する。クリップリンク機構52は、従来のクリップリンク機構の一例であって、サブステム37を有しておらず、クリップリンク機構50におけるスライドプレート35とサブステム37の機能を、メインステム301,302,303に持たせている。すなわち、各メインステムに形成された第1の長孔31にスライド可能に設置されたスライダ33がスライドすることによって、スライダ33に挿通する第2の軸部材32bに回動可能に連結された第4のリンク部材34dが回動する。そして、第4のリンク部材34dの回動によって、隣接するメインステムのピッチが変更される。なお、クリップリンク機構52において、ローラ38bは、第2の軸部材32bに回転可能に設置される。
【0068】
また、第1の軸部材32aに回動可能に連結された第1のリンク部材34aは、第4のリンク部材34dの中間部において、第5の軸部材32eに回動可能に連結される。
【0069】
ここで、第1のリンク部材34aにおける第1の軸部材32aと第5の軸部材32eとの距離をKaとする。また、第4のリンク部材34dにおける第2の軸部材32bと、隣接するメインステム30の第1の軸部材32aとの距離をKdとする。そして、第2の軸部材32bと第5の軸部材32eとの距離をKd1として、第5の軸部材32eと第1の軸部材32aとの距離をKd2とする。すなわち、Kd=Kd1+Kd2とする。なお、ここでは、各リンク部材を回動可能に連結した軸部材の間の距離を定義しているが、便宜上、これらの距離を各リンク部材のリンク長であるとみなす。すなわち、第1のリンク部材34aのリンク長をKa、第4のリンク部材34dのリンク長をKdとする。そして、このような構造のクリップリンク機構52が、隣接するメインステム、例えば、メインステム301とメインステム302のピッチを、
図6に示す最小ピッチHminから最大ピッチHmaxの間で変更する。
【0070】
ここで、クリップリンク機構52がリンク機構として正常に動作するためには、隣接するメインステム、例えばメインステム301とメインステム302とは平行に配置される必要がある。したがって、クリップリンク機構52を構成する各リンク部材のリンク長は、以下の条件を満たす必要がある。
【0071】
第1のリンク部材34aのリンク長Ka:第4のリンク部材34dのリンク長Kd(= Kd1+Kd2)=1:2 …(6)
Kd1:Kd2=1:1 …(7)
【0072】
すなわち、
Ka:Kd1:Kd2=1:1:1 …(8)
【0073】
そして、
図6において、ローラ38aとローラ38bとの、リンク部材34d長手方向の間隔は、第4のリンク部材34dのリンク長Kd(=Kd1+Kd2)と等しくなる。
【0074】
次に、
図5と
図6とを比較して、同じ最大ピッチHmaxを実現するために必要な、クリップリンク機構50の第4のリンク部材34dのリンク長Ldと、クリップリンク機構52の第4のリンク部材34dのリンク長Kdとの関係を求める。
【0075】
図5のクリップリンク機構50からスライドプレート35と第3のリンク部材34cとを取り除いて、第4のリンク部材34dをメインステム30の第1の長孔31の位置まで延長すると、
図6のクリップリンク機構52と等価になる。このとき、第4のリンク部材34dの延長される部分の長さは、第2のリンク部材34bのリンク長Lbと等しくなる。すなわち、クリップリンク機構50の第4のリンク部材34dのリンク長Ldは、クリップリンク機構52の第4のリンク部材34dのリンク長Kdよりも第2のリンク部材34bのリンク長Lbだけ短い状態で、同じ縦方向の延伸倍率を実現することができる。したがって、式(9)が成り立つ。
Ld1+Ld2+Lb=Kd1+Kd2 …(9)
【0076】
式(2)、式(5)、式(9)から、
Kd1+Kd2=4Lb …(10)
【0077】
また、式(2)、式(5)から、
Ld1+Ld2=3Lb …(11)
【0078】
すなわち、クリップリンク機構50とクリップリンク機構52とが同じ最大ピッチHmaxを実現するためには、第4のリンク部材34dのリンク長Ld(=Ld1+Ld2)は、式(12)の関係を満足すればよい。
Ld=Ld1+Ld2=3(Kd1+Kd2)/4 …(12)
【0079】
このように、クリップリンク機構50は、クリップリンク機構52と比較すると、第4のリンク部材34dが約3/4の長さで、同じ延伸倍率を設定することができる。換言すれば、第4のリンク部材34dのリンク長が等しい場合に、クリップリンク機構50は、クリップリンク機構52と比べて、縦方向の延伸倍率を大きく設定することができる。
【0080】
従来のクリップリンク機構52においては、縦方向の延伸倍率を高倍率化しようとすると、第4のリンク部材34dのリンク長が長くなるとともに、メインステム30の自重を受ける軸受(ローラ38b)が、メインステム30の後端部に配置されるため、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔が広くなってしまい、同時2軸延伸装置10が大型化してしまうおそれがあった。
【0081】
これに対して、本実施形態に係るクリップリンク機構50の場合、最も長尺となる第4のリンク部材34dのリンク長を、従来の約3/4の長さに設定したときに、同じピッチを実現可能である。さらに、メインステム30の反クリップ側の自重を、スライドプレート35に設けたサブステム37で受けることができるため、従来よりも基準レール100とピッチ設定レール120との間隔を狭くすることができる。すなわち、同時2軸延伸装置10を、従来に比べて小型化することができる。
【0082】
したがって、クリップリンク機構50を用いることによって、例えば、メインステム30のピッチ、すなわちクリップ20のピッチの設定範囲に応じて、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔を変えることが可能となる。具体的には、
図1において、入口1aから予熱ゾーンAや延伸ゾーンBの前半位までのピッチを小さく設定する部分においては、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔を広く設定することができる。そして、延伸ゾーンBの後半や熱処理ゾーンCから出口1bまでのピッチを大きく設定する部分においては、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔を狭く設定することができる。
【0083】
[レールの構造の説明]
次に、
図7を用いて、クリップリンク機構50が移動するレール(基準レール100とピッチ設定レール120)の構造について説明する。
図7は、クリップリンク機構50の側面図である。特に、
図7(a)は、ピッチが小さい場合のクリップリンク機構50の側面図である。また、
図7(b)は、ピッチが大きい場合のクリップリンク機構50の側面図である。なお、
図7は、
図3のクリップリンク機構50を、Y軸負側から見た側面図である。
【0084】
図7(a)に示すように、基準レール100とピッチ設定レール120とは、ともに凹溝状の形状をなして、基台110の上に形成される。そして、ローラ38a(第2のローラ)は、基準レール100の溝に沿って移動する。また、ローラ38b(第1のローラ)は、ピッチ設定レール120の溝に沿って移動する。
【0085】
また、クリップ側ローラ39aと反クリップ側ローラ39bとは、それぞれ、ローラ38a及びローラ38bと隣接した位置に設置される。そして、クリップ側ローラ39aは、凹溝状の基準レール100の天面100aを移動する。また、反クリップ側ローラ39bは、凹溝状のピッチ設定レール120の天面120aを移動する。
【0086】
このように、クリップ側ローラ39aとローラ38aとを近接した位置に設置することによって、クリップ側ローラ39aが移動するレールと、ローラ38aが移動するローラを共用することができる。すなわち、クリップ側ローラ39aとローラ38aとが近接した位置にない場合には、クリップ側ローラ39aが移動するレール1本と、ローラ38aが移動する凹溝状のレール2本(左方壁を形成するレールと右方壁を形成するレールとをそれぞれ1本とカウントする)が必要であった。これに対して、本実施形態では、左方壁を形成するレールの天面100aを、クリップ側ローラ39aが移動するレールにすることができるため、3本のレールを2本に削減することができる。なお、変形例として、従来と同様に、3本のレールを使用してもよい。
【0087】
また、反クリップ側ローラ39bとローラ38bとを近接した位置に設置することによって、反クリップ側ローラ39bが移動するレールと、ローラ38bが移動するローラを共用することができる。すなわち、反クリップ側ローラ39bとローラ38bとが近接した位置にない場合には、反クリップ側ローラ39bが移動するレール1本と、ローラ38bが移動する凹溝状のレール2本(左方壁を形成するレールと右方壁を形成するレールとをそれぞれ1本とカウントする)が必要であった。これに対して、本実施形態では、右方壁を形成するレールの天面120aを、反クリップ側ローラ39bが移動するレールにすることができるため、3本のレールを2本に削減することができる。
【0088】
すなわち、本実施形態のクリップリンク機構50は、合計4本のレールによって、クリップ側ローラ39a,反クリップ側ローラ39b,ローラ38a,ローラ38bを、従来通りに移動させることが可能となる。
【0089】
なお、各ローラが走行するレールは、耐摩耗性を確保するために、熱処理及び研磨を行って製造されるため、製造に手間がかかる。したがって、レールの本数を削減できる効果は大きい。
【0090】
なお、
図7(a)において、第1の軸部材32aには、上方から順に、駆動ローラ41と、メインステム30と、第1のリンク部材34aと、第4のリンク部材34dと、第1のリンク部材34aと、メインステム30と、スペーサ42aと、ローラ38aとがそれぞれ設置される。このうち、スペーサ42aについては後述する。
【0091】
図7(b)は、クリップリンク機構50において、ピッチが大きい場合の側面図である。すなわち、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔が、
図7(a)と比べて狭くなっている。なお、クリップリンク機構50を構成する各部位の構造及び接続関係は、
図7(a)と同じであるため、説明は省略する。なお、設定するクリップリンク機構50のピッチの範囲に応じて、基台110の幅を適宜変更してもよい。
【0092】
[ローラの配置構造の説明]
次に、
図8,
図9を用いて、ローラ38aとローラ38bの配置構造について説明する。
図8は、第2のローラ(ローラ38a)及び第1のローラ(ローラ38b)の配置構造を示す斜視図である。なお、
図8は、クリップリンク機構50を下方から見た斜視図である。
図9は、第2のローラ(ローラ38a)の配置構造を示す側面図である。なお、
図9は、クリップリンク機構50をX軸負側から見た側面図である。
【0093】
図8に示すように、第1の軸部材32aに設置されたローラ38aのZ軸方向の設置位置は、隣接するメインステム30の間で、異なる高さ位置に互い違い(千鳥状)に配置される。すなわち、メインステム30は、1つおきに、メインステム30とローラ38aとの間に、スペーサ42aを備える。
【0094】
スペーサ42aは、対向する位置に、隣接するメインステム30に設置されたローラ38aがそれぞれ入り込む、2か所の切欠部43aを備える。切欠部43aは、ローラ38aの外周に沿った形状を有する。詳しくは後述する。
【0095】
同様に、サブステム37を挿通する第4の軸部材32dに設置されたローラ38bも、隣接するサブステム37の間で、異なる高さ位置に互い違い(千鳥状)に配置される。すなわち、サブステム37は、1つおきに、サブステム37とローラ38bとの間に、スペーサ42bを備える。
【0096】
スペーサ42bは、対向する位置に、隣接するサブステム37に設置されたローラ38bがそれぞれ入り込む、2か所の切欠部43bを備える。切欠部43bは、ローラ38bの外周に沿った形状を有する。
【0097】
すなわち、隣接するメインステム30同士を最も近接した位置に移動したときには、
図9に示すように、ローラ38aの外周部は、切欠部43aに入り込む。したがって、ローラ38aの直径dを、メインステム30の幅wに比べて大きく設定することができる。具体的には、
図9に示すように、ローラ38aの直径dを、メインステム30の幅wの約1.5倍程度に設定することができる。これによって、クリップリンク機構50がメインステム30のピッチを変更する場合に、基準レール100がメインステム30の位置を拘束する際の安定性を向上させることができる。
【0098】
なお、図示はしないが、サブステム37に設置されるローラ38bも、
図9と同様の構造で第4の軸部材32dに設置される。したがって、ローラ38bも、サブステム37の幅(縦壁部37cの幅)に比べて、約1.5倍の直径を設定することができる。これによって、クリップリンク機構50がメインステム30のピッチを変更する場合に、ピッチ設定レール120がサブステム37の回転を拘束する際の安定性を向上させることができる。
【0099】
なお、同一の第4のリンク部材34dの両端に配置されるローラ38aとローラ38bは、異なる高さにする。これにより、クリップリンク機構50がピッチを変更する際に、第1の軸部材32a及び第4の軸部材32dにかかる負荷による、これらの軸部材の傾きの変動量を平均化して、隣接するクリップ20同士のピッチずれを小さくすることができる。そのため、クリップリンク機構50をより一層安定させることができる。
【0100】
以上説明したように、実施形態のクリップリンク機構50は、メインステム30(クリップ担持部材)とは独立した、当該メインステム30の長手方向に沿ってスライドするスライドプレート35を設けて、当該スライドプレート35にサブステム37(ピッチ設定部材)を設置した。そして、メインステム30と、スライドプレート35(サブステム37)と、隣接するメインステム30と、を複数のリンク部材(第1のリンク部材34a、第2のリンク部材34b、第3のリンク部材34c、第4のリンク部材34d)で接続した。これらのリンク部材は、メインステム30に設置したローラ38aと、サブステムに設置したローラ38bとの間隔に応じて、メインステム30と、スライドプレート35(サブステム37)と、隣接するメインステム30との間隔を変更する。したがって、メインステム30とサブステム37とを分割することによって、同じ長さのメインステム30を備える従来のクリップリンク機構に比べて、縦方向の延伸倍率を大きく設定することができる。
【0101】
また、実施形態のクリップリンク機構50において、第5の軸部材32eと、当該第5の軸部材32eと第4のリンク部材34dによって接続されるメインステム302と隣接するメインステム301の第1の軸部材32aとの距離Ld2と、第5の軸部材32eと第4の軸部材32dとの距離Ld1と、メインステム301の第1の軸部材32aと第5の軸部材32eとの距離Laと、第2の軸部材32bと第3の軸部材32cとの距離Lc、及び第2の軸部材32bと第4の軸部材32dとの距離Lbと、の比率は、Ld2:Ld1:La:Lc(=Lb)=2:1:2:1である。したがって、メインステム301と、スライドプレート35(サブステム37)と、隣接するメインステム302と、は略平行な状態を保って間隔を変更することができる。
【0102】
また、実施形態のクリップリンク機構50は、サブステム37の、クリップ20が設置されたのとは反対側の端部に、クリップ20の移動方向に沿って回転可能に設置されて、ピッチ設定レール120(レール)に沿って移動する反クリップ側ローラ39bを備える。この反クリップ側ローラ39bは、ローラ38b(第2のローラ)が移動する凹溝状のピッチ設定レール120の天面120aを移動する。したがって、ローラ38bが移動するピッチ設定レール120と、反クリップ側ローラ39bが移動するレールとを共用することができる。
【0103】
また、実施形態のクリップリンク機構50は、メインステム30の一端側に、クリップ20の移動方向に沿って回転可能に設置されて、基準レール100(レール)に沿って移動するクリップ側ローラ39aを備える。このクリップ側ローラ39aは、ローラ38a(第1のローラ)が移動する凹溝状の基準レール100の天面100aを移動する。したがって、ローラ38aが移動する基準レール100と、クリップ側ローラ39aが移動するレールとを共用することができる。
【0104】
また、実施形態のクリップリンク機構50において、隣接する各メインステム30に設置されるローラ38a(第2のローラ)は、互いの高さが千鳥状に配置されるとともに、隣接する各サブステム37に設置されるローラ38b(第1のローラ)は、互いの高さが千鳥状に配置される。さらに、メインステム30に設置されたローラ38aと、メインステム30と第2のリンク部材34bによって接続されたサブステム37に設置されたローラ38bとは、等しい高さに配置される。したがって、ローラ38aの直径を、メインステム30の幅よりも大きく設定することができるとともに、ローラ38bの直径を、サブステム37の幅よりも大きく設定することができる。これによって、クリップリンク機構50が移動する際の安定性を向上させることができる。
【0105】
また、実施形態のクリップリンク機構50において、連接するメインステム30(クリップ担持部材)に設置された第1の軸部材32aは、1本おきに、当該第1の軸部材32aの両側に隣接する第1の軸部材32aに設置されたローラ38aの外周部が入り込む切欠部43aを有するスペーサ42aを備える。また、連接するサブステム37(ピッチ設定部材)に設置された第4の軸部材32dは、1本おきに、当該第4の軸部材32dの両側に隣接する第4の軸部材32dに設置されたローラ38bの外周部が入り込む切欠部43bを有するスペーサを備える。したがって、ローラ38aの直径を、メインステム30の幅に比べて大きく設定することができるとともに、ローラ38bの直径を、サブステム37の幅比べて大きく設定することができる。これによって、クリップリンク機構50がメインステム30のピッチを変更する場合に、基準レール100がメインステムの位置を拘束する際の安定性、及びピッチ設定レール120がサブステム37の回転を拘束する際の安定性を向上させることができる。
【0106】
[実施形態の第1の変形例の説明]
次に、
図10を用いて、クリップリンク機構50の第1の変形例について説明する。
図10は、同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の第1の変形例を示す上面図である。
【0107】
図10に示すクリップリンク機構50aは、クリップリンク機構50におけるスライドプレート35とサブステム37とを一体化したスライドプレート35aを備える。
【0108】
スライドプレート35aの一端側には、第4の軸部材32dが挿通する。そして、第4の軸部材32dには、上方から順に、スライドプレート35aと、第2のリンク部材34bと、第4のリンク部材34dと、ローラ38bとがそれぞれ設置される。
【0109】
スライドプレート35aの他端側には、長手方向に沿って第3の長孔36aが形成される。第3の長孔36aには、第3の軸部材32cが挿通する。第3の軸部材32cには、第3の長孔36aに沿ってスライド可能なスライダ33aが設置される。すなわち、第3の軸部材32cには、上方から順に、スライドプレート35aと、スライダ33aと、第3のリンク部材34cと、第1のリンク部材34aとがそれぞれ設置される。すなわち、第3の長孔36aとスライダ33aとは、スライダ33aが第3の長孔36aに沿ってスライドするスライド機構を形成する。
【0110】
クリップリンク機構50aは、ローラ38bがピッチ設定レール120に沿って移動した際に、スライダ33aは、第3の長孔36aに沿って、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔に応じた位置までスライドする。このスライダ33aの移動に対応して、各リンク部材は、先に説明したクリップリンク機構50と同様に動作することによって、隣接するメインステム30同士は、基準レール100とピッチ設定レール120との間隔に応じたピッチを形成する。
【0111】
以上説明したように、第1の変形例のクリップリンク機構50aは、クリップリンク機構50において、スライドプレート35とサブステム37とを一体的に形成したスライドプレート35aを備える。当該スライドプレート35aは、ローラ38aとローラ38bとの間隔に応じて、隣接するメインステム30間のピッチを設定する。したがって、クリップリンク機構50aは、クリップリンク機構50と同様の効果を奏する。
【0112】
[実施形態の第2の変形例の説明]
次に、
図11を用いて、クリップリンク機構50の第2の変形例について説明する。
図11は、同時2軸延伸装置のクリップリンク機構の第2の変形例を示す斜視図である。
【0113】
図11に示すクリップリンク機構50bは、クリップリンク機構50におけるメインステム30の形状を変更して、T型のメインステム60としたものである。すなわち、メインステム60は、フレーム部の一例である板状部材60aと、クリップ設置部の一例である板状部材60bと、をT字状に組み合わせたものである。
【0114】
板状部材60bは、メインステム60の一端側に、YZ平面に沿って立設する。
【0115】
板状部材60aは、板状部材60bとT字状に接続して、長手方向(X軸方向)に延びる。板状部材60aには、X軸に沿って、第1の長孔31が形成される。第1の長孔31には、当該第1の長孔31に沿ってスライドするスライダ33が設置される。スライダ33は、上下方向に高さを有する柱状に形成される。
【0116】
スライダ33には、第2の軸部材32bが挿通する。第2の軸部材32bには、上方から順に、第2のリンク部材34bと、第3のリンク部材34cと、スライダ33と、板状部材60aと、第3のリンク部材34cと、第2のリンク部材34bとがそれぞれ設置される。すなわち、クリップリンク機構50bの第2の軸部材32bは、構造は異なるが、クリップリンク機構50の第2の軸部材32bの構造と等価である。
【0117】
板状部材60aの一端側(板状部材60b側)には、Z軸に沿う方向に延びる第1の軸部材32aが挿通する。第1の軸部材32aには、上方から順に、駆動ローラ41と、第1のリンク部材34aと、板状部材60aと、第1のリンク部材34aと、ローラ38aとがそれぞれ設置される。すなわち、クリップリンク機構50bの第2の軸部材32bは、クリップリンク機構50の第1の軸部材32aの構造と等価である。
【0118】
なお、クリップリンク機構50bが備えるスライドプレート35と、サブステム37と、第4のリンク部材34dの構成は、クリップリンク機構50の構造と等しい。
【0119】
したがって、クリップリンク機構50bは、クリップリンク機構50と同様に動作する。なお、隣接するメインステム60間のピッチを最小にした際に、クリップリンク機構50bは、板状部材60aの上下に収容される。
【0120】
なお、板状部材60bには、
図11に非図示のクリップ20が設置される。さらに、板状部材60bには、X軸に沿う軸部材40aが設置される。そして、軸部材40aには、クリップ側ローラ39aが回転可能に設置される。クリップ側ローラ39aは、板状部材60bを挟んで、2箇所に設置される。2個のクリップ側ローラ39aは、それぞれ、
図11に非図示の、凹溝状の基準レール100の天面を移動する。2個のクリップ側ローラ39aを設置するのは、クリップリンク機構50bを、より一層安定して走行させるためである。すなわち、内側のクリップ側ローラ39aを設けることによって、クリップリンク機構50bが走行中に、ローラ38bが、凹溝状の基準レール100から浮き上がるのを防止することができる。
【0121】
以上説明したように、第2の変形例のクリップリンク機構50bは、クリップリンク機構50のメインステム30に代えて、メインステム60を備える。メインステム60は、一端側に板状部材60b(クリップ設置部)を備えて、当該板状部材60bに、X軸方向に延びる板状部材60b(フレーム部)がT字状に接続される。板状部材60aには、長手方向に沿って第1の長孔31が形成されて、当該第1の長孔31には、スライダ33がスライド可能に設置される。したがって、クリップリンク機構50bは、クリップリンク機構50と同様の効果を奏する。そして、さらに、クリップリンク機構50bは、クリップリンク機構50と比較して、フレーム構造が簡単になるため、上下方向(Z軸方向)のサイズをコンパクトにすることができる。
【符号の説明】
【0122】
10…同時2軸延伸装置、10L…左側無端ループ、10R…右側無端ループ、20…クリップ、30,60,301,302…メインステム(クリップ担持部材)、30a…上側フレーム部(フレーム部)、30b…下側フレーム部(フレーム部)、30c…クリップ設置部、31…第1の長孔(長孔)、32a…第1の軸部材、32b…第2の軸部材、32c…第3の軸部材、32d…第4の軸部材、32e…第5の軸部材、33…スライダ、33a…スライダ、34a…第1のリンク部材、34b…第2のリンク部材、34c…第3のリンク部材、34d…第4のリンク部材、35,35a…スライドプレート、36…第2の長孔、36a…第3の長孔,37…サブステム(ピッチ設定部材)、38a…ローラ(第2のローラ)、38b…ローラ(第1のローラ)、39a…クリップ側ローラ、39b…反クリップ側ローラ、41…駆動ローラ、42a,42b…スペーサ、43a,43b…切欠部、50,50a,50b…クリップリンク機構、60a…板状部材(フレーム部),60b…板状部材(クリップ設置部),100…基準レール、100a,120a…天面、110…基台、120…ピッチ設定レール、La,Lb,Lc,Ld,Ka,Kd…距離(リンク長)、Ld1,Ld2,Kd1,Kd2…距離、S…シート状部材(延伸対象物)