(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】X線画像表示装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20220418BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61B6/14 310
A61B6/00 360B
(21)【出願番号】P 2019520778
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2017011560
(87)【国際公開番号】W WO2018074854
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2016-0134891
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0172677
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512121680
【氏名又は名称】バテック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516053154
【氏名又は名称】バテック イウ ホールディングス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ソンイル
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/203531(WO,A1)
【文献】特開2007-236743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する複数のX線フレームデータを保存する保存部と、
前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第1グループX線フレームデータで第1X線画像を再構成し、前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第2グループX線フレームデータで第2X線画像を再構成する画像処理部と、
画面を提供するディスプレイ部と、
前記画面に背景画像表示部、及び該背景画像表示部内の一部分に配置される部分画像表示部を表示し、前記背景画像表示部に前記第1X線画像を表示し、前記部分画像表示部に前記第1X線画像に対応する前記第2X線画像の一部を表示するビューアモジュールと、を含み、
前記第1X線画像と前記第2X線画像の深さ分解能が異なるX線画像表示装置。
【請求項2】
前記被検体を挟んで互いに対向するX線ジェネレータとX線センサー、及び
前記X線ジェネレータと前記X線センサーを一定の軌跡に沿って移動させる駆動部をさらに含み、
前記複数のX線フレームデータは、前記X線ジェネレータと前記X線センサーの一回の撮影シーケンスを介して得られる、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項3】
ユーザー操作のための入力部をさらに含み、
前記画像処理部は、前記ユーザー操作によって前記少なくとも一つのイメージレイヤーの数量、位置、形状、角度及び厚さのうちの少なくとも一つを変更し、変更されたイメージレイヤーに対する第2X線画像を再構成し、
前記ビューアモジュールは、前記部分画像表示部に、前記第1X線画像に対応する前記変更されたイメージレイヤーに対する第2X線画像の一部を表示する、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項4】
ユーザー操作のための入力部をさらに含み、
前記画像処理部は、前記ユーザー操作によって前記部分画像表示部の位置、大きさ、形状及び数量のうちの少なくとも一つを変更する、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項5】
ユーザー操作のための入力部をさらに含み、
前記画像処理部は、前記少なくとも一つのイメージレイヤーの数量、位置、形状、角度及び厚さのうちの少なくとも一つが他の複数の第2X線画像を再構成し、
前記ビューアモジュールは、前記ユーザー操作に応じて前記複数の第2X線画像のいずれかを前記部分画像表示部に表示する、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記第2グループX線フレームデータで前記少なくとも一つのイメージレイヤーの各点を一定の角度範囲で透過するX線フレームデータグループを生成し、前記X線フレームデータグループで前記第2X線画像を再構成する、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記X線フレームデータグループを前記少なくとも一つのイメージレイヤーの前記各点に逆投影する、請求項6に記載のX線画像表示装置。
【請求項8】
前記第1X線画像は少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対する第1X線トモグラフィー画像であり、
前記第2X線画像は少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対する第2X線トモグラフィー画像であり、
前記第1、第2イメージレイヤーは数量、位置、形状、角度及び厚さのうちの少なくとも一つが異なる、請求項1に記載のX線画像表示装置。
【請求項9】
前記第1、第2X線トモグラフィー画像がX線パノラマ画像である、請求項8に記載のX線画像表示装置。
【請求項10】
保存部、画像処理部、ディスプレイ部及びビューアモジュールを含むX線画像表示装置のX線画像表示方法であって、
前記保存部に被検体に対する複数のX線フレームデータが保存される段階と、
前記画像処理部が前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第1グループX線フレームデータで第1X線画像を再構成し、前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第2グループX線フレームデータで第2X線画像を再構成する段階と、
前記ビューアモジュールが前記ディスプレイ部の画面に背景画像表示部、及び該背景画像表示部内の一部分に配置される部分画像表示部を表示し、前記背景画像表示部に前記第1X線画像を表示し、前記部分画像表示部には前記第1X線画像に対応する前記第2X線画像の一部を表示する段階と、を含み、
前記第1X線画像と前記第2X線画像の深さ分解能が異なるX線画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像表示装置及びその方法に係り、より具体的には、X線画像データを処理して第1、第2X線画像を画面上に表示する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、X線装置は、一定量のX線を、撮影しようとする身体部位に透過させ、透過したX線をX線センサーで感知して、感知された電気信号に基づいてX線画像を構成する装置をいう。X線は、その進行経路上の物質に応じて異なる減衰率で減衰して透過し、X線センサーに到達すると、光電効果により電気信号に変換される。X線装置は、このようにX線の進行経路に伴う累積減衰量が反映された電気信号を用いて、撮影対象の内部に関する情報をX線画像として提供する。
【0003】
X線コンピュータ断層撮影(CT、Computed Tomography)は、X線を照射するX線ジェネレータとX線を受光するX線センサーを撮影対象を中心に対向回転させ、いろんな角度から撮影したX線画像データを再構成して撮影対象に対する3次元X線画像を提供する。
【0004】
X線パノラマ画像は、被検者の顎弓を区間別に撮影した多数のX線画像データをトモグラフィー(Tomography)技術、いわゆるシフト&アッド(shift and add)方法で重畳配列することにより、顎弓内の任意の断層面であるイメージレイヤー(image layer)に沿って広げて表示する。このようなX線パノラマ画像は、特に歯科分野で広く使用される。
【0005】
従来のX線パノラマ画像は、その特性上、撮影装置の焦点化領域、すなわち撮影装置の撮影軌跡によって決定される基準イメージレイヤー(Predetermined Image Layer)が被検者の実際顎弓の軌跡、すなわち顎弓内で実際見ようとする関心軌跡から外れた場合、その部分の画像が鮮明ではないという欠点がある。
【0006】
これを克服するためのものとして、一回の撮影シーケンスを介して得られた多数のX線画像データで多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を再構成する技術(韓国特許第10-0917679号参照)と、多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を区間別に比較して最も鮮明な、すなわち顎弓軌跡に最も近似した区間別X線パノラマ画像を選択して組み合わせることにより、X線パノラマ画像の全区間にわたって、顎弓軌跡に近似したX線パノラマ画像を提供する技術(韓国特許第10-1094180号参照)が提案されている。また、多数のイメージレイヤーに沿って再構成された、又は再構成のために使用される画像のサイズを基準画像のサイズと同一にスケーリングした後、スケーリングされた画像の中から、予め決定された関心領域を鮮明に示す画像の全体又は一部を選別するが、スケーリングされた画像を複数のブロックに分割し、分割されたブロック画像から鮮明な画像を選別し、これらの選別された画像でX線パノラマ画像を提供する技術(韓国特許第10-1389841号参照)と、多数のイメージレイヤーの画像データが保存された状態で多数のイメージレイヤーから基準イメージレイヤーを定め、基準イメージレイヤーに指定された少なくとも一つのブロックに対応するブロックを他のイメージレイヤーから探して、互いに対応するブロックの画像データを比較して最も鮮明なブロックを選定した後、選定されたブロックが、基準イメージレイヤーに指定されたブロックではない場合、基準イメージレイヤーの前記指定されたブロックを、他のイメージレイヤーで前記選定されたブロックに置き換えて基準イメージレイヤーを再構成及び表示する技術(韓国特許第10-1664166号参照)が提案されている。
【0007】
X線パノラマ画像は、トモグラフィー技術の特性上、深さ分解能、すなわちX線の照射方向による深さ方向の空間分解能を有する。このとき、X線パノラマ画像の深さ分解能は、X線照射方向によるイメージレイヤーの深さ、すなわちイメージレイヤーの厚さに反比例する。しかし、従来のX線パノラマ画像は、その深さ分解能の観点から、X線コンピュータ断層画像撮影に比べて大きく不十分である。たとえば、現在レベルのX線パノラマ画像では、一つの奥歯(大臼歯)における内側の歯の根(歯根)と外側の歯の根(歯根)との深さ差を単一画像で区別することは難しい。よって、歯周炎などの病症は、その発生位置によってはX線パノラマ画像から発見されない可能性がある。
【0008】
X線セファロ画像は、頭部に対するX線2次元画像であって、撮影対象領域全体を透過した一方向のX線画像データで撮影対象領域のX線2次元画像を再構成するワンショット(one-shot)方式、又は撮影対象領域の幅方向の一部を透過するX線をスキャンして得られた多数のX線画像データで撮影対象領域のX線2次元画像を再構成するスキャン(scan)方式に分けられる。このようなX線セファロ画像は、歯科又は耳鼻咽喉科領域で主に使用され、撮影方向によってLAT(Lateral)、AP(Anteroposterior)、PA(posteroanterior)、SMV(Submento vertex)、W/V(water’s view)などに区分される。
【0009】
しかし、X線セファロ画像は、深さ分解能、すなわちX線の照射方向による深さ方向の空間分解能がないX線2次元画像であるので、所望の断層面を区分することができず、そのため、X線セファロ画像内の特定の深さの断層面を確認しようとする場合には、やむを得ず、頭部全体に対するコンピュータ断層撮影を行わなければならないから、不必要な過剰被曝の問題だけでなく、被検者と病院に経済的負担を与えるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、X線画像の深さ分解能とX線画像の表示効率の面で従来のX線画像技術の限界を克服するためのもので、その目的は、X線画像の深さ分解能とその表示効率を向上させ、ユーザーの所望する数量、厚さ、角度、形状又は位置のイメージレイヤーに対するX線画像を効果的に提供する、X線画像表示装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体に対する複数のX線フレームデータを保存する保存部と、前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第1グループX線フレームデータで第1X線画像を再構成し、前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第2グループX線フレームデータで第2X線画像を再構成する画像処理部と、画面を提供するディスプレイ部と、前記画面に背景画像表示部、及び該背景画像表示部内の一部分に配置される部分画像表示部を表示し、前記背景画像表示部に前記第1X線画像を表示し、前記部分画像表示部に前記第1X線画像に対応する前記第2X線画像の一部を表示するビューアモジュールと、を含み、前記第1グループX線フレームデータと前記第2グループX線フレームデータとは少なくとも一部が異なり、前記第2X線画像は少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像である、X線画像表示装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、保存部、画像処理部、ディスプレイ部及びビューアモジュールを含むX線画像表示装置のX線画像表示方法であって、前記保存部に被検体に対する複数のX線フレームデータが保存される段階と、前記画像処理部が前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第1グループX線フレームデータで第1X線画像を再構成し、前記複数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第2グループX線フレームデータで第2X線画像を再構成する段階と、前記ビューアモジュールが前記ディスプレイ部の画面に背景画像表示部、及び該背景画像表示部内の一部分に配置される部分画像表示部を表示し、前記背景画像表示部に前記第1X線画像を表示し、前記部分画像表示部に前記第1X線画像に対応する前記第2X線画像の一部を表示する段階と、を含み、前記第1グループX線フレームデータと前記第2グループX線フレームデータとは少なくとも一部が異なり、前記第2X線画像は少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像である、X線画像表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、X線画像の深さ分解能を向上させ、X線画像の表示効率を改善して、ユーザーの所望する数量、厚さ、角度、形状又は位置のイメージレイヤーに対するX線画像を提供するという効果がある。本発明に係る装置は、一例として、歯科や耳鼻咽喉科分野で医療スタッフに非常に慣れているX線パノラマ又はX線セファロ画像の形で顎弓又は頭部内の互いに異なる数量、厚さ、角度、形状、位置のイメージレイヤーに対する情報を伝達することができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るX線画像表示装置の構成を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るX線画像表示装置のスキャンシーケンスの実行様子を概略的に示す。
【
図3】
図2のスキャンシーケンスの実行による多数のX線フレームデータの取得及びこれを用いたX線パノラマ画像の再構成過程を図式的に示す。
【
図4】本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の一例を示す。
【
図5】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの一例を示す。
【
図6】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの他の一例を示す。
【
図7】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの他の一例を示す。
【
図8】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーの一例を示す。
【
図9】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1X線パノラマ画像の別の例を示す。
【
図10】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第2X線パノラマ画像の第2イメージレイヤーの一例を示す。
【
図11】第1X線パノラマ画像及び第2X線パノラマ画像の再構成に使用されるX線画像データの角度範囲を示す。
【
図12】第1X線パノラマ画像及び第2X線パノラマ画像の整列関係を示す。
【
図13a】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像を互いに対比して示す。
【
図13b】
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像を互いに対比して示す。
【
図14】本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の他の例を示す。
【
図15】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程を示す。
【
図16】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【
図17】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【
図18】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【
図19】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【
図20】本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【
図21】本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。実施形態によって本発明の技術的思想がより明確に理解できるだろう。また、本発明は、以下に説明された実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術的思想の範囲内で様々な形態に変形できる。一方、同一の図面符号は同一の特性を有する構成要素であることを示すものであって、一つの図面に関する説明で述べたものと同一の図面符号を有する構成要素についての説明は、他の図面についての説明では省略できる。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るX線画像表示装置の構成を示す図である。
【0017】
本発明に係るX線画像表示装置は、X線ジェネレータ311とX線センサー312を有する撮影部310;画像処理部322とビューアモジュール(viewer)323を有する制御部320;X線画像データ及びこれから得られた中間又は最終結果物のX線画像を保存する保存部330;ユーザーインターフェース(Interface)機能を果たす入力部340;及びX線画像と各種必要画像を表示するディスプレイ部350を含んで構成される。前記撮影部310には、前記X線ジェネレータ311と前記X線センサー312を所定の軌跡で対向移動させる駆動部313が備えられ、前記制御部321には、前記駆動部313、前記X線ジェネレータ311及びX線センサー312の動作を制御する駆動制御部321も備えられる。一方、前記制御部320は、中央演算処理装置を含み、前記画像処理部322とビューアモジュール323だけでなく、前記保存部330、入力部340及びディスプレイ部350に連携されたX線画像表示装置のすべての行為を管掌するように構成できる。前記撮影部310は、別の装置構成を示すことも可能であり、前記制御部320と有線又は無線で接続できる。
【0018】
前記撮影部310はX線ジェネレータ311とX線センサー312を含み、これらは前記駆動部313によって被検体を挟んで所定の軌跡で対向移動する。このとき、駆動部は、X線ジェネレータ311、X線センサー312、又はX線ジェネレータ311とX線センサー312との間を通る回転軸を中心にX線ジェネレータ311とX線センサー312を対向移動させることができ、回転軸は、1次元又は2次元的に移動することもできる。X線画像取得のためのスキャンシーケンスが始まると、前述した回転軸の移動と並行して、前記X線ジェネレータ311は、撮影対象領域に向かってX線を照射し、前記X線センサー312は、撮影対象領域を透過した多数のフレームのX線画像データ、すなわち多数のX線フレームデータを取得する。一連のスキャンシーケンスの実行中に様々な位置と角度で照射されたX線ビームが前記X線センサー312に到達して形成された多数のフレームのX線画像データを、以下では多数のX線フレームデータと呼ぶことにする。
【0019】
前記制御部320は、前記撮影部310で取得された前記多数のX線フレームデータを保存部330に保存し、前記画像処理部322は、これを用いて第1、第2X線画像を再構成する。前記ビューアモジュール323は、このように再構成された第1、第2X線画像を画面上に表示する。ここで、再構成された第1、第2X線画像は前記保存部330にさらに保存できる。
【0020】
たとえ図面に表現されてはいないが、本発明に係るX線画像表示装置において、前記制御部320、保存部330、入力部340及びディスプレイ部350は、単一又は複数のコンピュータ装置及びその周辺機器の形で実現できる。
【0021】
前記入力部340は、マウス(mouse)であってもよい。その他にも、前記入力部340は、コンピュータのキーボード(keyboard)、キーパッド(keypad)、タッチパッド(touchpad)などを含むことができ、入力手段の種類がこれに限定されるものではない。例えば、前記入力部340は、例示された入力手段を用いて制御可能であり、前記制御部320を介して前記ディスプレイ部350に表示されるグラフィックユーザーインターフェース(Graphic User Interface)を含むこともできる。
【0022】
前記制御部320は、前述したように、本発明に係るX線画像表示装置の動作を全般的に制御する中央演算処理装置(CPU)を含んで構成される。一例として、前記制御部320は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits:ASICs)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processors:DSPs)、デジタル信号処理素子(Digital Signal Processing Devices:DSPDs)、プログラム可能論理素子(Programmable Logic Devices:PLDs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Arrays:FPGAs)、プロセッサ(processors)、制御器(controllers)、マイクロコントローラ(micro-controllers)、及びマイクロプロセッサ(microprocessors)のうちの少なくとも一つを用いて実現できる。制御部320は、また、前述したハードウェアプラットフォーム(platform)上で実行可能なファームウェア(firmware)/ソフトウェアモジュールで実現できる。この場合、ファームウェア/ソフトウェアモジュールは、適切なプログラム(program)言語からなる一つ又はそれ以上のソフトウェアアプリケーション(software applications)によって実現できる。
【0023】
ビューアモジュール323は、画像処理部322で再構成された第1、第2X線画像を画面上に表示する。このとき、ビューアモジュール323は、既に保存されたアルゴリズムに応じてディスプレイ部350に一定のフォーマットのビューアモジュール画面を表示し、入力部340に入力されるユーザーの命令に応じて画像処理部322で再構成された第1、第2X線画像を適切に表示し、その他にユーザーに必要な付加機能を提供する一連の機能を備えたファームウェア/ソフトウェアモジュールで実現できる。前記ビューアモジュール323は、画像処理部322の一部として含まれ得る。
【0024】
前記保存部330は、デジタルデータ記憶媒体であって、X線センサー312から取得されたX線フレームデータだけでなく、X線画像表示装置の動作実行のための各種イメージやパラメータ(parameter)値などの設定に関するデータ、及び画像処理過程で生成されるか或いは画像処理の結果物として再構成されたX線画像データ、第1、第2X線画像などを保存する機能を果たす。一例として、前記保存部330は、SSD(Solid State Disk)やメモリカード(Memory Card)、メモリースティック(Memory Stick)などのフラッシュメモリ(flash memory)タイプの記憶媒体を含むか、或いはハードディスク(Hard Disk)、光ディスク(Optical Disk)などのディスクタイプ記憶媒体などの様々な形態の記憶媒体を含んで構成できる。前記保存部330の一部又は全部は、前記制御部320から離れた位置に配置されてもよく、複数の位置に分散配置されてもよい。本技術分野における通常の技術者であれば、記憶媒体の実現形態が前述の例に限定されるものではないことが分かるだろう。
【0025】
前記ディスプレイ部350は、一定のフォーマットで構成されたビューアモジュール画面とX線画像を出力することができる画像表示装置である。前記ディスプレイ部350は、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、AMOLEDディスプレイ、CRTディスプレイなどの様々なディスプレイ装置を含むことができ、特に、タッチディスプレイパネルであってもよく、この場合、前述した入力部340はタッチインターフェースを含むことができる。
【0026】
前述のように構成された本発明に係るX線画像表示装置は、ディスプレイ部350の画面を介して、視覚的に互いに異なる第1及び第2X線画像を表示するが、特に、画面内の所定の領域である背景画面表示部に第1X線画像を表示し、背景画面表示部内の一部分に配置される部分画像表示部に第1X線画像の該当部分に対応する第2X線画像を表示する。
【0027】
このとき、好ましくは、第1、第2X線画像は、撮影部310の一回のスキャンシーケンスを介して得られたX線フレームデータの少なくとも一部から画像処理部322でそれぞれ再構成でき、特に第1X線画像は、撮影対象領域内の任意の断層面である少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像又はX線2次元画像であり、第2X線画像は、撮影対象領域内の少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像であり得る。
【0028】
また、好ましくは、ビューアモジュール323によって部分画像表示部の大きさ、位置、形状及び数量のうちの少なくとも一つと第2X線画像のイメージレイヤーの数量、位置、形状、角度及び厚さの少なくとも一つは、ユーザーの選択に応じて変更でき、それぞれのイメージレイヤーに対する第2X線画像は、予め再構成されて保存部330に保存できる。
【0029】
一方、本発明に係るX線画像表示装置において、第1X線画像はX線トモグラフィー画像又はX線2次元画像であり、第2X線画像はX線トモグラフィー画像であり得るが、特に第1X線画像がX線トモグラフィー画像である場合は、本発明に係るX線画像表示装置を介して被検者の顎弓構造を見ようとする場合、すなわち、X線パノラマ画像の診断に適しており、第2X線画像がX線2次元画像である場合は、本発明に係るX線画像表示装置を介して被検者の口部構造を見ようとする場合、すなわちX線セファロ画像の診断に適している。
【0030】
すなわち、第1X線画像がX線パノラマ画像である場合に、本発明に係るX線画像表示装置は、第1X線画像として少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対する第1X線パノラマ画像を提供するとともに、第2X線画像として、第1X線パノラマ画像の所定の部分に対して前記第1イメージレイヤーと少なくとも一部が異なるか或いは完全に異なる少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像を提供する。このとき、好ましくは、第1及び/又は第2X線パノラマ画像の深さ分解能を従来のX線パノラマ画像に比べて大幅に向上させることができ、第1及び第2X線パノラマ画像が歯科の診療に効果的に活用できるように従来とは異なる画面構成を提供して表示効率を高める。
【0031】
また、第1X線画像がX線セファロ画像である場合、本発明に係るX線画像表示装置は、第1X線画像として頭部に対するX線2次元画像を提供するとともに、第2X線画像としてX線2次元画像の所定の部分に対してX線2次元画像内の少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像を提供する。このとき、好ましくは、X線トモグラフィー画像の深さ分解能を従来のX線トモグラフィー画像に比べて大幅に向上させることができ、X線2次元画像及びX線トモグラフィー画像が歯科又は耳鼻咽喉科の診療に効果的に活用できるように従来とは異なる画面構成を提供して表示効率を高める。
【0032】
以下、
図1に示された構成を一緒に参照してより具体的な構成を考察しながら、本発明の技術的特徴についてさら詳しく説明する。以下では、便宜のために、第1X線画像がX線トモグラフィー画像である場合には、第1、第2X線画像を第1X線パノラマ画像と第2X線パノラマ画像に区分し、第1X線画像がX線2次元画像である場合には、第1、第2X線画像をセファロ画像とX線トモグラフィー画像に区分し、前者を用いて本発明の技術思想を詳細に考察するが、後者については相違点を中心に考察する。
【0033】
図2は本発明の一実施形態に係るX線画像表示装置のスキャンシーケンスの実行様子を概略的に示す。
【0034】
図示の如く、被検者の顎弓を挟んでX線ジェネレータ311とX線センサー312とが互いに対向して回転する。その過程で顎弓内のいろんな位置を様々な角度から透過したX線ビームB1、B2、B3、…を前記X線センサー312がそれぞれ受光して、その位置SP1、SP2、SP3、…ごとに、一つのフレームのX線受光信号を含んだX線フレームデータを生成する。このような方式で一回のスキャンシーケンスを行う。
【0035】
ここで、スキャンシーケンスとは、撮影部310が所定の移動軌跡に沿って連続的に動き、X線センサー312からフレーム単位で取得される多数のX線画像データである多数のX線フレームデータを取得する一連の過程を称する。一回のスキャンシーケンスを介して、互いに異なる多数のイメージレイヤーのX線パノラマ画像の再構成に必要なDPRTMTJS VMFPDLAデータを取得する技術については、本出願人の先行特許文献である韓国特許公報第10-0917679号に提示されている。
【0036】
ここで、一回のスキャンシーケンスは、従来のX線パノラマ画像撮影動作と同一又は類似の撮影部310の動きを含んで構成されることも可能である。ただし、この場合、X線センサー312の幅(移動方向に向いた幅)は、従来のX線パノラマ画像撮影装置のX線センサーの幅よりも大きいことが好ましい。例えば、従来のX線パノラマ画像撮影装置のX線センサー幅が約6mmであるのに対し、本発明に係る装置では、幅約4~6cmのX線センサー312を採用することにより、同じ撮影軌跡によっても、深さ分解能を高めるのに十分なデータを取得することができる。また、前記一回のスキャンシーケンスは、従来のCT画像撮影時の動きと同一又は類似の撮影部の動きで構成されることもでき、前述した例に限定されず多様に構成できることを、本発明の属する技術分野における通常の技術者であれば理解することができるだろう。
【0037】
図3は
図2のスキャンシーケンスの実行による多数のX線フレームデータの取得及びこれを用いたX線パノラマ画像の再構成過程を図式的に示す。
【0038】
(a)は撮影部310で一回のスキャンシーケンスを介して取得(S10)された多数のX線フレームデータF1、F2、F3、F4、F5、F5、・・・、FNを示す。前記多数のX線フレームデータF1、・・・、FNは、X線センサー312(
図2参照)がSP1位置で第1X線ビームB1を受光した結果として生成された第1X線フレームデータF1、SP2位置で第2X線ビームB2を受光した結果として生成された第2X線フレームデータF2、SP3位置で第3X線ビームB3を受光した結果として生成された第3X線フレームデータF3などのように、前記撮影部310が一回のスキャンシーケンスを行いながら、多数の時点でそれぞれ撮影対象領域である顎弓の一部分を様々な角度で透過したX線ビームをX線センサー312を介して受光した多数のフレーム単位のX線画像データで構成される。このような多数のX線フレームデータF1、…、FNは、前述した保存部330に保存される。このとき、それぞれのX線フレームデータF1、…、FNには、前記撮影対象領域内でX線ビームが透過した位置とその方向に関する情報が一緒に保存できる。
【0039】
(b)と(c)は、前述した画像処理部322でそれぞれ第1及び第2X線パノラマ画像を再構成するために、前記保存部330から必要な多数のX線フレームデータを抽出する様子を図式的に表現したものである。より具体的には、(b)は、第1X線パノラマ画像を再構成(S21)するために前記多数のX線フレームデータの母集団から抽出された第1グループのX線フレームデータF1、F3、F5、…、FNを示す。(c)は、前記第1X線パノラマ画像とは異なる第2X線パノラマ画像を再構成(S22)するために前記多数のX線フレームデータの母集団から抽出された第2グループのX線フレームデータF1、F2、F4、F5、F6、…、FNを示す。本図において、(b)に羅列された第1グループのX線フレームデータと(c)に羅列された第2グループのX線フレームデータそれぞれに選択されたフレームの番号は、任意に選択されたもので、特別な意味はない。
【0040】
ただし、前記多数のX線フレームデータのうち、前記第1グループのX線フレームデータと前記第2グループのX線フレームデータは、次のような条件を満たす。第1グループのX線フレームデータと第2グループのX線フレームデータは、部分的には互いに重複できるが、同一ではなく、第1グループのX線フレームデータのフレーム数と第2グループのX線フレームデータのフレーム数とは互いに同一でも異なってもよい。このとき、第1グループのX線フレームデータと第2グループのX線フレームデータの構成及び数は目的に応じて適切に調節できるが、一例として、第1X線パノラマ画像の深さ分解能が第2X線パノラマ画像のそれより低い場合、言い換えれば第1X線パノラマ画像の焦点化領域である第1イメージレイヤーよりも第2X線パノラマ画像の焦点化領域である第2イメージレイヤーの厚さがより薄い場合には、第1グループを構成するX線フレームデータのフレーム数は、第2グループを形成するX線フレームデータの数より少ないことがある。深さ分解能を向上させるためには、撮影対象領域である顎弓の各部分に対して、さらに大きい角度の範囲で取得されたさらに多い数のX線フレームデータが必要であるからである。
【0041】
ここで、前記保存部330に保存された多数のX線フレームデータの母集団の中から、第1X線パノラマ画像の再構成(S21)のために又は第2X線パノラマ画像の再構成(S22)のためにいずれのX線フレームデータを選択的に抽出して前述の第1グループと第2グループを構成するかは、これらの各X線パノラマ画像の焦点化領域である第1及び第2イメージレイヤーの特性に応じて異なり得る。第1及び第2イメージレイヤーに関する事項は、より詳細に後述する。
【0042】
図4は本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の一例を示す。
【0043】
本発明に係るX線画像表示装置を介して出力される画面には、少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像である第1X線パノラマ画像10を表示する背景画像表示部11が提供されるとともに、前記背景画像表示部11内の所定の部分に配置され、前記所定の部分に対応するもので、第1イメージレイヤーの少なくとも一つを含む一部又は第1イメージレイヤーと少なくとも一部が異なるか或いは完全に異なる少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像である第2X線パノラマ画像20の一部分を表示する部分画像表示部21が提供される。
【0044】
前記部分画像表示部21は、一つ又は二つ以上提供できる。また、ユーザーの入力に応じて、例えばマウス入力などを介して部分画像表示部21の大きさ、位置、形状又は数量などが調節されることも可能である。ただし、前記部分画像表示部21は、前記第1X線パノラマ画像10の深さ分解能を補強して診断の効率を高めるために提供されるものなので、被検者の歯の中で様々な深さに対する確認が必要な部分を含むことが好ましい。例えば、上顎顎弓の場合、歯の外側と内側それぞれに歯根が配置されてこれらに対する確認を要する上顎大臼歯(Maxillary Molar)を含むことが好ましい。
【0045】
一方、前記部分画像表示部21は、ユーザー(例えば歯科医師)が、まず、背景画像表示部11を介して提供される第1X線パノラマ画像10を確認し、所定の部分に対する更なる検討が必要であると判断された場合にユーザーの命令に応じて選択的に活性化されてその部分の第1X線パノラマ画像に重畳し、又はその部分の第1X線パノラマ画像を代替して、前述した第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像20の該当部分を表示することができる。前記第2X線パノラマ画像20は、前記第1X線パノラマ画像10に比べて明るさ又はカラーを異にして表示されてもよい。また、画面上に前記部分画像表示部21の枠を表示することにより、第1X線パノラマ画像10と第2X線パノラマ画像20との境界を示してもよい。
【0046】
このため、前記画像処理部は、前記撮影部が一回のスキャンシーケンス(a Single Scan Sequence)を介して取得した多数のフレームのX線画像データから少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対する第1X線パノラマ画像を再構成するのはもとより、第1イメージレイヤーの少なくとも一つを含む一部又は第1イメージレイヤーと少なくとも一部が異なるか或いは完全に異なる少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像20を再構成してビューアモジュールに提供する。このため、画像処理部は、第1及び第2イメージレイヤーに対する第1及び第2X線パノラマ画像を予め再構成して保存することができる。ここで、スキャンシーケンスとは、撮影部が所定の移動軌跡に沿って連続的に動きながら、互いに異なる角度で多数のフレームのX線画像データを取得する一連の過程をいう。
【0047】
一回のスキャンシーケンスは、従来のX線パノラマ画像撮影動作と同一又は類似の撮影部310の動きで構成されてもよく、それとは異なってもよい。また、前記一回のスキャンシーケンスは、従来のCT画像撮影動作と同一又は類似の撮影部の動きで構成されてもよく、それとは異なってもよい。すなわち、後述する第1及び第2X線パノラマ画像を再構成することができるように、顎弓に対していろんな角度で撮影された多数のX線画像データを取得することができれば、一回のスキャンシーケンス中の撮影部の動作は様々であり得る。
【0048】
ただし、この場合、X線センサーの幅(移動方向に向いた幅)は、従来のX線パノラマ画像撮影装置のX線センサーの幅よりも大きいことが好ましい。例えば、従来のX線パノラマ画像撮影装置のX線センサーの幅が約6mmであるのに対し、本発明に係る装置では、その幅が一般なX線センサーの幅以上、好ましくは10mm以上であるX線センサーを採用することにより、第1及び/又は第2X線パノラマ画像の深さ分解能を高めるのに十分な角度範囲のX線画像データを取得することができる。ちなみに、パノラマ画像撮影装置のX線センサーの高さは所望のパノラマ撮影領域又はX線パノラマ画像のサイズによって異なるので、特定の範囲を指定することは難しいものの、一般に100mm~200mmの間にあり、X線センサーの幅も撮影のスキャンシーケンスに応じて多様に調節できるが、本発明では、特に、一般なX線パノラマ画像撮影装置と類似のスキャンシーケンスを持つという仮定の下で、それより多い角度範囲のX線画像データを得るために、一般なX線センサーの幅よりも大きい10mm以上、好ましくは18mm以上であることを特徴とする。
【0049】
第1及び/又は第2X線パノラマ画像の深さ分解能を向上させるための具体的な内容は、
図10及び関連説明部分で詳細に考察する。
【0050】
一方、第1X線パノラマ画像は、少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像であって、いずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像、又は互いに異なる二つ以上のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像であり得る。
【0051】
また、第2X線パノラマ画像は、第1イメージレイヤーの少なくとも一つを含む一部、または第1イメージレイヤーと少なくとも一部が異なるか或いは完全に異なる少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像である。第1X線パノラマ画像がいずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像である場合、第2X線パノラマ画像は、第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーとは異なるいずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像、又は第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤー及びそれとは異なる少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像、又は第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーとは異なる二つ以上のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像であり得る。第1X線パノラマ画像が、互いに異なる二つ以上のイメージレイヤーのX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像である場合、第2X線パノラマ画像は、第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーのうちのいずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像、又は第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーとは異なるいずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像、又は第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーのうちの少なくとも一つ及びそれとは異なる少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像、又は第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーとは異なる二つ以上のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳しているX線パノラマ画像であり得る。
【0052】
このとき、好ましくは、第1X線パノラマ画像は、複数の第1イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳してX線の照射方向に沿って相対的に広い情報を表示することができ、第2X線パノラマ画像は、第1X線パノラマ画像の深さ分解能を補強するために、第1イメージレイヤーのうちのいずれかに該当する第2イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像であり得る。
【0053】
ここで、それぞれのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像は、平面的に同じ範囲を同じ拡大度で表現する同一拡大率のX線パノラマ画像であり得る。重畳とは、X線の照射方向に沿って各イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像のピクセル値を加えるか平均を取るか代表値を取ることにより、実質的に各イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像がすべて反映された単一のX線パノラマ画像を表示することを意味することができる。
【0054】
言い換えれば、第1、第2X線パノラマ画像は、複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像の選択及び組み合わせによって視覚的に互いに異なる深さ分解能を有するX線パノラマ画像であれば十分であり、ユーザーの目的に応じて自由に選択できる。また、第1、第2X線パノラマ画像のための第1、第2イメージレイヤーは、ユーザーの目的に応じてその数量、厚さ、角度、形状、位置などが調節できる。以下では、その幾つかの例を考察するが、便宜のために、第1、第2イメージレイヤーがそれぞれ互いに異なる一つである場合をもって説明する。
【0055】
一方、X線パノラマ画像のイメージレイヤーは、X線パノラマ画像を再構成するとき、焦点化(focusing)の基準となる焦点曲面を含む。したがって、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像には、焦点曲面上の構造物だけでなく、X線の照射方向に対して焦点曲面の前後の一定領域内に存在する構造物が投影される。ただし、イメージレイヤーの厚さに応じて焦点曲面上の構造物及びその前後の一定距離内にある構造物の鮮明さの程度に差があるが、ここでは、その相対的な差をイメージレイヤーの厚さで表現する。すなわち、イメージレイヤーの厚さが相対的に薄いというのは、焦点曲面を基準にX線パノラマ画像に相対的にはっきりと投影される焦点曲面の前後領域がX線の照射方向に対して相対的に狭いことを意味し、これは、X線パノラマ画像の深さ分解能が相対的に高いことを意味する。ただし、以下で説明された図面において、イメージレイヤーの厚さは相対的に表現されており、図面上の厚さがその絶対的な厚さを示すものではない。
【0056】
一方、好ましくは、前記第2イメージレイヤーの厚さが前記第1イメージレイヤーの厚さよりもさらに薄い。言い換えれば、前記第2X線パノラマ画像の深さ分解能が前記第1X線パノラマ画像よりもさらに優れることが好ましい。そのため、本発明に係る画像処理装置は、第2X線パノラマ画像の再構成の際に、前記第2イメージレイヤーの各点に対して、前記各点を透過するより広い角度範囲のX線画像データを用いることができる。
【0057】
又は、これとは異なり、第1及び第2イメージレイヤーの厚さは、一般なX線パノラマ画像のイメージレイヤーより相対的に薄い同じ厚さであって、第1及び第2X線パノラマ画像の深さ分解能を一般なX線パノラマ画像よりも高くすることもあるが、第1及び/又は第2イメージレイヤーの厚さを調節して第1及び/又は第2X線パノラマ画像の深さ分解能を高めるための具体的な内容は、
図10及び関連説明部分で詳細に考察する。
【0058】
図5は
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの一例を示す。
本図は、X線パノラマ画像の関心領域の一部である上顎顎弓12の形状に、前述した第1イメージレイヤー15及び第2イメージレイヤー25の一例を図示したものである。第1イメージレイヤー15に対するX線パノラマ画像が前述の
図1の第1X線パノラマ画像10であり、第2イメージレイヤー25に対するX線パノラマ画像が前述の第2X線パノラマ画像20であり得る。ただし、ここで、第1及び第2イメージレイヤー15、25の数量、角度、形状、位置などは例示に過ぎず、
図4に表現されたX線パノラマ画像のイメージレイヤーとは異なってもよい。
【0059】
本実施形態において、前記第2イメージレイヤー25は、前記第1イメージレイヤー15に比べてその数量、角度、形状、位置のうちの少なくとも一つが異なる。ここで、形状は、イメージレイヤーをなすいろんな部分の曲率による全体的な形状をいう。
【0060】
一方、本図の右側には、第2上顎大臼歯(the second maxillary molar)2Mの形状と、これを通る前記第1及び第2イメージレイヤー15、25を立体的に拡大して図示した。第2上顎大臼歯2Mの場合には、一般に、顎弓の外側面、すなわち唇に近い部分に2つの歯根2MRが存在し、顎弓の内側面、すなわち舌に近い部分に一つの歯根2MRが存在する。したがって、第1イメージレイヤー15を焦点化して再構成された第1X線パノラマ画像には、二つの歯根2MRが見えるが、第2イメージレイヤー25を焦点化して再構成された第2X線パノラマ画像には、1つの歯根2MRが見える。このように、第2イメージレイヤー25に対する第2X線パノラマ画像は、第1X線パノラマ画像とは異なる数量、角度、形状、位置のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像情報を提供する。
【0061】
また、ここでは、第1イメージレイヤー15、及びこれと区別される第2イメージレイヤー25を1つのみ図示したが、前記第1及び/又は第2イメージレイヤー25は、数量、形状、位置、角度のうちの少なくとも一つが異なる多数のイメージレイヤーの形で提供されてもよく、ユーザーの選択に応じて、第1、第2イメージレイヤー15、25、特に第2イメージレイヤー25の数量、角度、形状、位置などは多様に変更できる。ちなみに、ユーザーの選択は、入力部を介してビューアモジュールに入力でき、ビューアモジュールは、ユーザーの選択を入力することができるコントロールメニューを画面上に表示して、ユーザーの選択に基づいた第2X線パノラマ画像を表示することができる。
【0062】
図6は
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの他の一例を示す。
【0063】
本実施形態のように、第1イメージレイヤー15aは、第2イメージレイヤー25aに比べて相対的にその厚さが厚くてもよい。これは、第1X線パノラマ画像に、相対的にさらに厚いイメージレイヤー、すなわちX線の照射方向に対して相対的に広い領域の内部構造に関する情報が平面的に重畳して表現されることを意味する。このように、第1イメージレイヤー15aと第2イメージレイヤー25aは、その数量、角度、形状、位置が異なってもよく、その厚さも異なってもよい。前記第2イメージレイヤー25aは、前記第1イメージレイヤー15aとは部分的又は全体的に重畳してもよく、第1イメージレイヤー15aとは完全に異なってもよい。
【0064】
また、同様に、第1イメージレイヤー15a、及びこれと区別される第2イメージレイヤー25aをそれぞれ一つのみ図示したが、第1及び/又は第2イメージレイヤー25aは、数量、形状、位置、角度、厚さのうちの少なくとも一つが異なる多数のイメージレイヤーの形で提供されてもよく、ユーザーの選択に応じて、第1及び/又は第2イメージレイヤー15a、25a、特に第2イメージレイヤー25aの数量、角度、形状、位置、厚さなどは多様に変更できる。
【0065】
図7は
図4の実施形態に係るビューアモジュール画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの他の一例を示す。
【0066】
本実施形態のように、第1イメージレイヤー15bと第2イメージレイヤー25bは、互いに全体的に重畳するが、第1イメージレイヤー15bは、第2イメージレイヤー25bに比べて相対的にその厚さがさらに厚くてもよい。例えば、第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤー15bは、第2イメージレイヤーよりもさらに厚い厚さ、一例として顎弓の軌跡に沿って配列された歯の厚さをほとんど含む厚さを持つように設定でき、第2X線パノラマ画像の第2イメージレイヤー25bは、第1イメージレイヤー内でより薄い厚さを持つことにより、第2X線パノラマ画像は、第1X線パノラマ画像よりもさらに鮮明な、すなわち深さ分解能が向上したX線パノラマ画像を提供することができる。
【0067】
一方、
図6及び
図7の実施形態において、第1X線パノラマ画像は、厚い一つのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像であるか、それより厚さが薄い多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を重畳させることにより実質的に厚い一つのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像の形状を示すこともある。この場合、前記第2X線パノラマ画像は、前記第1X線パノラマ画像の再構成のために重畳する多数のX線パノラマ画像のいずれかであり得る。このとき、それぞれのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像は同一拡大率を示してもよく、結果的に、第1及び第2X線パノラマ画像は同一拡大率を示す。
【0068】
一方、多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を重畳させて単一のX線パノラマ画像を実現することができるのは先だって説明したことがあるが、これとは異なり、本発明に係るX線画像処理装置は、従来のX線パノラマ画像よりも相対的に厚い一つのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を提供することもできる。すなわち、本発明に係るX線画像処理装置は、X線パノラマ画像のイメージレイヤーの厚さを自由に調節することができ、これによりX線パノラマ画像の深さ分解能を自由に調節することができることを特徴とする。
【0069】
イメージレイヤーの厚さを調節してX線パノラマ画像の深さ分解能を調節する具体的な内容は、
図10及び関連説明部分で詳細に考察する。
【0070】
好ましくは、第2イメージレイヤー25bの形状と位置を設定するにあたり、前記第2イメージレイヤー25bが歯科診療時に断層画像撮影頻度の高い部分を含むようにすることにより、診療の迅速性と便宜性を高め、被検者のX線被曝量も大幅に減少させることができる。一方、この場合にも、第1及び/又は第2イメージレイヤー15b、25bの数は、一つに限定されず、多数であってもよく、ユーザーの選択に応じて、第1及び/第2イメージレイヤー15b、25b、特に第2イメージレイヤー25bは多様に変更できる。
【0071】
図8は
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1X線パノラマ画像の第1イメージレイヤーの一例を示す。
【0072】
第1X線パノラマ画像は、多数のイメージレイヤー、すなわちマルチイメージレイヤーを同一区間に分け、各区間別に最も鮮明な区間のイメージレイヤーを選択して連結することにより、全区間にわたって相対的に鮮明にオートフォーカシング(Auto Focusing)されたX線パノラマ画像であり得る。この場合、第1イメージレイヤーは、図示の如く、歯列弓の長さ方向に沿って分けられた多数の区間ごとにその位置を異にして不連続又は連続的に連結されたものであり得る。
【0073】
このような例をより詳細に考察すると、まず、図面には任意のイメージレイヤー151が示されている。任意のイメージレイヤーは、装置の撮影軌跡によって決定される基準イメージレイヤーであり得る。図面符号151Fは、X線パノラマ画像の撮影対象領域151Fを表示する。本発明の実施形態に係るX線画像表示装置は、前記撮影対象領域内で任意のイメージレイヤー151の内側に位置した内側イメージレイヤー152に対してもX線パノラマ画像を再構成し、前記撮影対象領域内で任意のイメージレイヤー151の外側に位置した外側イメージレイヤー153に対してもX線パノラマ画像を再構成する。
【0074】
このとき、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像と、内側及び外側のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像は、それぞれ別個に、すなわち互いに異なるX線画像データで再構成されることも可能であり、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像のX線画像データを用いて内側及び外側のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を再構成することも可能である。後者の具体的な方法は、本出願人による韓国登録特許公報第10-0917679号を参照することができ、前者の具体的な方法は、
図10及び関連説明部分を参照することができる。
【0075】
このように再構成された多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像のうち、前述した各区間別に最も鮮明な、すなわち実際の被検体の顎弓軌跡に最も近似した区間のイメージレイヤーを選択し、これらを相互に連結した最終イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を再構成することにより、複数の互いに異なるX線パノラマ画像が水平方向の区間別に連結された第1X線パノラマ画像を完成することができる。この場合、前記第1X線パノラマ画像に対応する最終イメージレイヤーを第1イメージレイヤー15cとすると、第1イメージレイヤー15cは、例えば、前歯を含む第1区間F1、犬歯を含む第2区間F2、及び臼歯を含む第3区間F3に対してそれぞれ内側イメージレイヤー152、任意のイメージレイヤー151、及び外側のイメージレイヤー153が互いに不連続又は連続的に連結された形態を帯びる。ちなみに、区間別のイメージレイヤーを連結して連続的な最終イメージレイヤーを得るためには、補間法などが使用できる。
【0076】
このように区間別の複数のイメージレイヤーから一つの最終イメージレイヤーを得、最終イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像の再構成によってX線パノラマ画像を取得する具体的な方法は、本出願人による韓国登録特許公報第10-1094180号を参照することができる。この時、前述と同様に、複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像は、それぞれ別個に、すなわち互いに異なるX線画像データで再構成されることも可能であり、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像のX線画像データを用いて再構成されることも可能である。後者の具体的な方法は、本出願人による韓国登録特許公報第10-0917679号を参照することができ、前者の具体的な方法は、
図10及び関連説明部分を参照することができる。
【0077】
ここでは、説明の便宜のために、分割された区間の数及び予め設定されたイメージレイヤーの数をそれぞれ3つに単純化したが、実際の装置では、オートフォーカス演算を行う単位区間は歯列弓の長さ方向に沿ってさらに多い数の区間に細分化できるだけでなく、本図面に垂直な歯の高さ方向にも多数の領域に細分化できる。また、任意のイメージレイヤー151の内側及び外側に、予め設定されたイメージレイヤーの数もさらに多くてもよい。
【0078】
図9は
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1X線パノラマ画像の別の例を示す。
【0079】
第1X線パノラマ画像は、複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像又は複数のイメージレイヤーに対する画像データをブロック単位で比較して最も鮮明なブロック画像、又はブロック画像データの組み合わせで再構成されたX線パノラマ画像であってもよい。この場合、第1イメージレイヤーは、複数のイメージレイヤーから選択されたブロック単位イメージレイヤーの組み合わせからなってもよい。
【0080】
このような例をより詳細に考察すると、まず、図面の左側には、複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が示されている。
このとき、複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像は、それぞれ別個に、すなわち互いに異なるX線画像データで再構成されることも可能であり、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像のX線画像データを用いて複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を再構成することも可能である。後者の具体的な方法は、本出願人による韓国登録特許公報第10-0917679号を参照することができ、前者の具体的な方法は、
図11及び関連説明部分を参照することができる。
【0081】
このように再構成された多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を同一スケール、すなわち同一拡大率のX線パノラマ画像に再構成し、これらのX線パノラマ画像を、同一数及び同一サイズの単位ブロックからなるブロック集合に区画した後、周波数分析などを介して、各単位ブロックの画像が最も鮮明なブロック画像を選択する。そして、これらのブロック画像を組み合わせて右側の第1X線パノラマ画像を得ることができる。この場合、第1X線パノラマ画像は、全ブロックにわたって実際の被検体の顎弓軌跡に最も近似したブロック単位のイメージレイヤーに対するブロック単位X線パノラマ画像の組み合わせに該当する。
図9では、便宜のために、多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像からブロック画像を選択すると説明したが、多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像データからブロック画像データを選択することも可能である。
【0082】
このように複数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像又は複数のイメージレイヤーに対する画像データから選択されたブロック単位の画像又はブロック単位の画像データを組み合わせて再構成することにより、最終のX線パノラマ画像を取得する具体的な方法は、本出願人による韓国登録特許公報第10-1664166号、同第10-1389841号を参照することができる。
【0083】
図10は
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第2X線パノラマ画像の第2イメージレイヤーの一例を示す。
【0084】
第2イメージレイヤー251、252、253は一つ又はそれ以上であり得る。一方、第2イメージレイヤー251、252、253は、好ましくは、予め設定されて画像処理装置に保存できる。例えば、多数の第2イメージレイヤー251、252、253は、任意のイメージレイヤー251とその内側及び外側のイメージレイヤーを含むことができる。前記多数の第2イメージレイヤー251、252、253は互いに交差しないように設定できる。このとき、第2イメージレイヤー251、252、253は、それぞれ別個に、すなわち互いに異なるX線画像データで再構成されることも可能であり、任意のイメージレイヤーに対するX線画像データで再構成されることも可能である。
【0085】
図11は第1X線パノラマ画像及び第2X線パノラマ画像の再構成に使用されるX線画像データの範囲を示す。参考までに、
図11についての以下の説明は、第1、第2イメージレイヤーを実現する一例であり、これは先立って
図5乃至
図10を参照して説明した第1、第2イメージレイヤーにも適用できる。
【0086】
本発明に係るX線画像表示装置は、前述したように、一回のスキャンシーケンスを介してX線センサーから取得されたフレーム単位の複数のX線画像データを保存部に保存し、任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像の再構成に必要なX線画像データを前記保存部から抽出した後、これを前記任意のイメージレイヤーに直接逆投影(DBP、Direct Back Projection)することにより、X線パノラマ画像を再構成することができる。これは、従来のX線画像データの重畳によってイメージレイヤーを実現するシフト&アッド方法とは対比される。この時、前記任意のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像の再構成に必要なX線画像データとは、イメージレイヤーの各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データであり得る。必要に応じて、任意のイメージレイヤーの各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データの一部は、他のX線画像データの補間を介して算出できる。
【0087】
ところが、このような方式でX線パノラマ画像を再構成するとき、イメージレイヤーの各点を透過するX線画像データの角度範囲によってX線パノラマ画像の深さ分解能に差が生じる。
【0088】
さらに具体的には、イメージレイヤーの任意の点に対して、もしいずれかの角度のX線画像データのみ活用される場合には、その角度でX線の進行経路上にあるすべての構造物が一つの平面に重畳している、すなわち深さ分解能のないX線画像のみを得ることができる。しかし、該当点に対して相対的に様々な角度のX線画像データが活用された場合には、相対的に深さ分解能が向上したX線パノラマ画像、すなわちX線透過方向に対してイメージレイヤーの厚さがさらに薄いX線パノラマ画像を得ることができ、イメージレイヤーの各点を透過するX線画像データの角度範囲が広くなるほど深さ分解能が向上する。
【0089】
本図において、第1イメージレイヤー15は、一例として、任意のイメージレイヤーであり、図面符号15Fは撮影対象領域を示す。本実施形態に係るX線画像表示装置は、前記第1イメージレイヤー15の各点に対して、前記各点を透過する所定の角度範囲のX線画像データを活用して第1X線パノラマ画像を再構成する。例えば、前記第1イメージレイヤー15上のa点に対しては角度θ1a範囲のX線画像データを活用し、b点に対しては角度θ1b範囲のX線画像データを活用することができる。
【0090】
また、本図において、第2イメージレイヤー25は、一例として、第1イメージレイヤー15の内側をそれと並んで通るように設定されている。そして、本実施形態に係るX線画像表示装置は、前記第2イメージレイヤー25上の各点に対して、前記各点を透過する所定の角度範囲のX線画像データを活用して第2X線パノラマ画像を再構成する。例えば、前記第2イメージレイヤー25上のa’点に対しては角度θ2a’の範囲のX線画像データを活用し、b’点に対しては角度θ2b’の範囲のX線画像データを活用することができる。
【0091】
ここで、前記a’点は、前記第1イメージレイヤー15における前記a点を通る法線が第2イメージレイヤー25と交差する点であり得る。すなわち、a’点とa点は同じX線照射方向に従う。同様に、前記b’点は、前記第1イメージレイヤー15における前記b点を通る法線が第2イメージレイヤー25と交差する点であり得る。すなわち、b’点とb点は同じX線照射方向に従う。このとき、θ1aとθ2a’、そしてθ1bとθ2b’は、θ1a<θ2a’、θ1b<θ2b’の関係を持つ。これにより、前記第2イメージレイヤー25に対する第2X線パノラマ画像は、前記第1イメージレイヤー15に対する第1X線パノラマ画像よりも相対的にさらに優れた深さ分解能を持つ。言い換えれば、第2イメージレイヤー25は、前記第1イメージレイヤー15よりも相対的にさらに薄い厚さを持つ。
【0092】
このとき、第1、第2イメージレイヤー15、25は、同じ軌跡を示すこともできるが、その厚さが異なるので、視覚的には互いに異なるX線パノラマ画像で示される。
【0093】
このように、本発明に係るX線画像表示装置は、互いに異なる角度の多数のフレームのX線画像データから、任意のイメージレイヤーの各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データを得、各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データを任意のイメージレイヤーの各点に直接逆投影することにより、該当イメージレイヤーに対するX線パノラマ画像を再構成することができる。この時、特に、任意のイメージレイヤーは、装置の撮影軌跡などの外部的要因とは関係なく、ユーザーがその数量、角度、位置、形状などを自由に選択することができ、もちろん、イメージレイヤーの各点を透過するX線画像データの角度範囲に応じて、イメージレイヤーの厚さも自由に選択することができるので、これは第1及び/又は第2X線パノラマ画像の再構成に全て適用可能なので、第1及び/又は第2X線パノラマ画像の深さ分解能も自由に調節することができる。
【0094】
以上では、第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像の深さ分解能が第1イメージレイヤーに対する第1X線パノラマ画像の深さ分解能よりも優れると説明したが、必要であれば、その逆の場合も可能であり、第1及び第2X線パノラマ画像の両方が従来のX線パノラマ画像に比べて高い深さ分解能を示すことも可能であり、第1及び第2X線パノラマ画像の両方が従来のX線パノラマ画像に比べて低い深さ分解能を示すことも可能である。すなわち、第1及び第2X線パノラマ画像の深さ分解能は、全くユーザーの選択によって決定できる。
【0095】
図12は第1X線パノラマ画像及び第2X線パノラマ画像の整列関係を示す。便宜のために、第1X線パノラマ画像は一つ、第2X線パノラマ画像は二つを示した。
【0096】
図示の如く、第2X線パノラマ画像201、202は、第1X線パノラマ画像10と平面的に同じ範囲を同一拡大度で表現する、同じフレームサイズの同一拡大率のX線パノラマ画像として保存される。ただし、
図4に示されたディスプレイ画面において、第2X線パノラマ画像201、202は、部分画像表示部21に対応する部分211、212のみ画面上に表示される。表示される方法は、前述したように、一つ又は二つ以上の第2X線パノラマ画像における部分画像表示部21に対応する部分211、212が、第1X線パノラマ画像10における前記部分画像表示部21に対応する部分を代替して又はそれと重畳して表示でき、第2X線パノラマ画像201、202のうちのいずれのものを部分画像表示部21に表示するかは、ユーザーの選択に従うことができる。
【0097】
図13a及び
図13bは
図4の実施形態に係るディスプレイ画面に表示される第1及び第2X線パノラマ画像を互いに対比して示す。
【0098】
図13a及び
図13bは、便宜のために、前記背景画像表示部11に表示される画像がそのまま維持される状態で、前記部分画像表示部21内の画像を、ユーザーの入力に応じて、第1X線パノラマ画像10A(
図13a参照)又は第2X線パノラマ画像20A(
図13b参照)のうちの該当部分画像に転換して示したものである。
図13aと
図13bにおいて、2つの部分画像表示部21のうちの左側の矢印で表示した部分を互いに比較してみると、その差異を容易に発見することができるが、
図13aの場合は、部分画像表示部21にも第1X線パノラマ画像10Aの該当部分が表示されて上顎大臼歯の歯根が一つに見えるが、
図13bの場合は、同じ側の部分画像表示部21に第2X線パノラマ画像20Aの該当部分が表示されて上顎大臼歯の歯根が二つである様子を見ることができる。
【0099】
このように、ユーザーは、例えば、部分画像表示部21を活性化した状態で、入力部の一例として、マウスホイールを前/後方向に回すなどの入力行為によって、前記部分画像表示部21に表示される第2X線パノラマ画像の第2イメージレイヤーを選択することができる。
【0100】
図14は本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の他の例を示す。
【0101】
本実施形態は、
図4の実施形態と比較して、ディスプレイ画面上の部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20が表現しているイメージレイヤーがいずれのものであるかを示すインジケータ表示部31をさらに含むという点で違いがある。前記インジケータ表示部31は、第1X線パノラマ画像10の第1イメージレイヤー15及び/又は第2X線パノラマ画像20の第2イメージレイヤー25の数量、厚さ、角度、形状、位置などを数字、絵、図形のうちの少なくとも一つで示すことができ、これにより、ユーザーは、ディスプレイ画面上に表示された第1及び第2X線パノラマ画像の第1及び第2イメージレイヤーの相対的な関係を直観的に認識することができる。本図において、インジケータ表示部31は、一例として、前記部分画像表示部21に、図面符号35で表示されたイメージレイヤー35が表示されていることを示す。
【0102】
以上で説明したように、本発明に係るX線画像表示装置は、ディスプレイ画面を介して少なくとも一つの第1イメージレイヤーに対する第1X線パノラマ画像と、第1イメージレイヤーの少なくとも一つを含む一部又は第1イメージレイヤーと少なくとも一部が異なるか或いは完全に異なる少なくとも一つの第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像の一部分を同時に示す。このとき、第1及び第2X線パノラマ画像は、同一拡大率を示すので、顎弓に対する相対的な位置が互いに整列されて表示され、第2X線パノラマ画像は、その一部分のみを示すが、第1X線パノラマ画像に重畳するか或いは一部分を代替して表示され得る。
【0103】
次に、本発明に係るX線画像表示装置においてX線画像データを取得する過程から第1及び第2X線パノラマ画像を表示する過程まで一例に挙げて説明する。
【0104】
図15は本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程を示す。
【0105】
まず、撮影部によるX線撮影S10が行われる。これは、X線ジェネレータとX線センサーを含む撮影部の予め設定された動きを伴う。撮影部の動きは、被検体を挟んでX線ジェネレータとX線センサーが互いに対向した状態で旋回する一連の連続した動作(回転の方向など、動きの方向が一方向に限定されるものではない。)を含んで構成できる。このような動きと同期化されたX線ジェネレータとX線センサーの動作は、一回のスキャンシーケンスを構成する。前記スキャンシーケンスを介して取得された多数のフレームのX線画像データは、保存部に保存される。前記多数のフレームのX線画像データには、それぞれのフレームを形成したX線ビームが被検体を透過した位置及び方向などの情報が含まれ得る。
【0106】
その後、画像処理部で第1X線パノラマ画像の再構成(S21)及び第2X線パノラマ画像の再構成(S22)が行われる。画像処理部が、前記保存部に保存された前記多数のフレームのX線画像データからそれぞれのX線パノラマ画像に必要なデータを抽出して第1及び第2X線パノラマ画像を再構成する過程、特に深さ分解能が補強された第1及び/又は第2X線パノラマ画像を再構成する過程は、先立って
図9を参照して説明したのと同様である。前記画像処理部で再構成された第1及び第2X線パノラマ画像も保存部に保存される。
【0107】
ビューアモジュールは、第1X線パノラマ画像を背景画像表示部に表示(S30)する。このとき、ユーザーが入力部を介して前記第1X線パノラマ画像の一部領域に対する第2X線パノラマ画像を要求するか否かを判断(S40)し、前記一部領域に対する第2X線パノラマ画像を前記第1X線パノラマ画像と同時に表示(S52)することができる。第2X線パノラマ画像が基本的に提供される場合、第2X線パノラマ画像を要求するか否かを判断する過程(S40)は省略できる。一方、第2X線パノラマ画像の表示に先立ち、第2X線パノラマ画像として表示される第2イメージレイヤーの位置、角度、数量又は厚さなどを選択する過程(S51)を経ることもできる。任意の第2X線パノラマ画像が表示された後には、他の第2X線パノラマ画像を要求するか否かを判断(S53)して、要求がある場合、他の第2イメージレイヤーの選択(S51)を介して他の位置、形状、厚さの第2イメージレイヤーに対する第2X線パノラマ画像を再び第1X線パノラマ画像と一緒に表示(S52)することもできる。
【0108】
図16乃至
図20は本発明に係るX線画像表示装置の作業実行過程によるディスプレイ画面の別の例を示す。
【0109】
図16に示すように、ビューアモジュールは、ディスプレイ画面に第1X線パノラマ画像10を表示する背景画像表示部11を提供し、ここに第1X線パノラマ画像10を表示することができる。このとき、第1X線パノラマ画像10は、同一拡大率の多数のイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像が重畳した画像であり得る。
【0110】
その後、ユーザーの選択に応じて、
図17のように、第1X線パノラマ画像10の所定の部分に部分画像表示部21を活性化し、ここに第2X線パノラマ画像20を表示することができる。このとき、第2X線パノラマ画像20は、第1X線パノラマ画像10の所定の部分に対応するものであって、第1X線パノラマ画像10の所定の部分に重畳するか或いは所定の部分を代替する。この状態で、ユーザーは、部分画像表示部21の位置を自由に移動及び調節することができ、部分画像表示部21のサイズを調節することもできる。
図18は、ユーザーの選択に応じて、部分画像表示部21のサイズを調節することを示している。この過程中に、ビューアモジュールは第1X線パノラマ画像10の対応部分に対する第2X線パノラマ画像20を部分画像表示部21にリアルタイムで表示する。
【0111】
このとき、好ましくは、第2X線パノラマ画像20は第1X線パノラマ画像10の多数のイメージレイヤーのうちのいずれかのイメージレイヤーに対するX線パノラマ画像であり得る。この場合、ビューアモジュールは、部分画像表示部21の一側に
図18のように部分画像表示部21に表示可能な第2X線パノラマ画像20、すなわち第1X線パノラマ画像10に重畳したX線パノラマ画像に比べて、現在の部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20の相対的な位置関係を示すインジケータを表示することができる。
【0112】
一例として、図面に示された20/40は、第1X線パノラマ画像10に重畳したX線パノラマ画像の数が合計40個であり、画面上において前から後へ一連番号を与えたときに、現在の部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20は、その中の20番目であることを表示している。また、赤い四角で表示された領域は、第1X線パノラマ画像10に重畳したX線パノラマ画像の数を高さで表示しており、現在の部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20の相対的な位置を赤い線で表示している。
【0113】
ビューアモジュールは、ユーザーがマウスホイールを回転させるなどの操作に応じて、部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20を転換することができる。
図19は、
図18の状態でユーザーの操作によって、部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20が転換されたものであって、第1X線パノラマ画像10に重畳した40個のX線パノラマ画像の中で14番目のイメージレイヤーのX線パノラマ画像を第2X線パノラマ画像20として表示している。先立って
図17と比較すると、第2X線パノラマ画像20が変わったことが分かるが、これは第2X線パノラマ画像20の第2イメージレイヤーが変わったことを意味する。
【0114】
また、ビューアモジュールは、ユーザーのダブルクリックなどの操作に応じて、部分画像表示部21に表示された第2X線パノラマ画像20のキャプチャ画面20cを提供することができる。
図20は該当機能を示すものであって、第1部分に対する第2X線パノラマ画像20のキャプチャ画面20cが第1部分と連関して表示されており、部分画像表示部21はユーザーの操作によって異なる位置で第2X線パノラマ画像20を表示している。
【0115】
このようなキャプチャ画面20cは、別のイメージファイルとして保存できる。
以下、本発明に係るX線画像表示装置の第1X線画像がX線セファロ画像である場合を考察し、便宜のために、以上の説明とは異なる相違点を中心に説明する。
【0116】
図21は本発明に係るX線画像表示装置のディスプレイ画面の他の例を示す。
図4と一緒に参照する。
【0117】
本発明の一実施形態に係るX線画像表示装置のディスプレイ部350を介して出力される画面には、第1X線画像50AとしてX線セファロ画像を表示する背景画像表示部11が提供され、前記背景画像表示部11内の所定の部分に配置され、前記所定の部分に対応する第2X線画像60AとしてX線セファロ画像内の少なくとも一つのイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像の一部分を表示する部分画像表示部21が提供される。
【0118】
前記部分画像表示部21は、一つ又は二つ以上提供でき、ユーザーの入力に応じて、例えば、入力部340を介したマウス入力などによって部分画像表示部21の大きさ、位置、形状又は数量などが調整されることも可能である。ユーザーが背景画像表示部11を介して提供されるX線セファロ画像を確認し、所定の部分に対する更なる検討が必要であると判断される場合、ユーザーの命令に応じて選択的に活性化されてその部分のX線セファロ画像に重畳し、又はその部分のX線セファロ画像を代替して、X線セファロ画像内の任意のイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像の該当部分を表示することができる。また、画面上に前記部分画像表示部21の枠を表示することにより、X線セファロ画像とX線トモグラフィー画像との境界を示すこともできる。
【0119】
X線セファロ画像とX線トモグラフィー画像は、それぞれX線ジェネレータ311とX線センサー312の一回のスキャンシーケンスを介して得られた多数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部で再構成できる。そして、多数のX線フレームデータのうち、X線セファロ画像のための第1グループX線フレームデータとX線トモグラフィー画像のための第2グループX線フレームデータは、少なくとも一部が異なり得る。
【0120】
このため、X線ジェネレータ311とX線センサー312は、被検者の頭部、すなわち撮影対象領域を挟んで所定の軌跡に沿って移動しながら、それぞれX線を照射及び受光する。このとき、X線ジェネレータ311とX線センサー312は、撮影対象領域全体を透過するX線ビームを照射及び受光するか、或いは撮影対象領域の一部を透過するX線ビームを照射及び受光することも可能であり、X線ジェネレータ311とX線センサー312は、駆動部313によって所定の軌道に沿って移動しながら多方向からX線フレームデータを取得することにより、一回のスキャンシーケンスを介して、第1、第2グループX線フレームデータを含む多数のX線フレームデータを確保する。
【0121】
多数のX線フレームデータは保存部330に保存される。
【0122】
画像処理部322は、多数のX線フレームデータのうちの少なくとも一部の第1、第2グループX線フレームデータでそれぞれX線セファロ画像とX線トモグラフィー画像を再構成し、これらを保存部330に保存する。このとき、X線セファロ画像とX線トモグラフィー画像は同一拡大率を示すことができる。
【0123】
画像処理部322は、X線セファロ画像のために撮影対象領域の全体を透過する同一方向のX線フレームデータ、又は撮影対象領域の一部をそれぞれ透過する同一方向のX線フレームデータを撮影対象領域の全体に対して連結することができ、X線トモグラフィー画像のために少なくとも一つのイメージレイヤーを透過する多方向のX線フレームデータを所定の断層合成アルゴリズムで再構成することができる。画像処理部322は、ユーザーの選択に応じて、部分画像表示部を介して表示される複数のX線トモグラフィー画像を予め再構成して保存部330に保存することができる。
【0124】
また、画像処理部322は、撮影対象領域の実質的な全体に該当する多数のイメージレイヤーのX線トモグラフィー画像を再構成した後、同一方向に重畳させることにより、X線セファロ画像を実現することもできるが、この場合、X線セファロ画像は、深さ分解能がないX線2次元画像であるので、撮影対象領域の全体を透過する同一方向のX線フレームデータ又は撮影対象領域の一部をそれぞれ透過する同一方向のX線フレームデータを撮影対象領域の全体に対して連結したX線セファロ画像とは区分の実益がない。また、画像処理部322は、X線トモグラフィー画像のために少なくとも一つのイメージレイヤーを透過する多方向のX線フレームデータを確保し、イメージレイヤーの各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データを、該当イメージレイヤーに逆投影してX線トモグラフィー画像を再構成することができる。この時、イメージレイヤーの各点を透過する一定の角度範囲のX線画像データの一部は、他のX線画像データの補間を介して算出できる。前述したように、このような方法で再構成されたX線トモグラフィー画像は、一般な断層合成アルゴリズムによるX線トモグラフィー画像に比べて優れた深さ分解能を持つ特性を示すことができる。
【0125】
ビューアモジュール323は、再構成されたX線セファロ画像を背景画像表示部11に表示し、再構成されたX線トモグラフィー画像を部分画像表示部21に表示する。このとき、X線トモグラフィー画像は、任意の画像が基本的に表示されるか、或いはユーザーの選択に応じて表示され得る。すなわち、X線トモグラフィー画像の表示前又は任意のX線トモグラフィー画像の表示後に、ユーザーは、少なくとも一つのイメージレイヤーの位置、角度、数量又は厚さなどを選択することができ、ビューアモジュール322は、ユーザーの選択に応じたイメージレイヤーに対するX線トモグラフィー画像を部分画像表示部21に表示又は変更する。
【0126】
また、ビューアモジュール322は、ユーザーの選択に応じて、部分画像表示部21の大きさ、位置、形状又は数量などを調節することができ、必要に応じてX線セファロ画像内のX線トモグラフィー画像の相対的な位置関係を示すインジケータを表示することができる。
【0127】
一方、本発明に係るX線画像表示装置を介して被検者の頭部構造を見ようとする場合、すなわち、第1X線画像がX線セファロ画像である場合に、X線トモグラフィー画像のイメージレイヤーは上顎洞又はその付近を通るものであり得る。
【0128】
ちなみに、通常の耳鼻咽喉科診断で、X線セファロ画像は、頭部構造を把握すると同時に、上顎洞及びその付近の組織を診断するために使用される場合が多いが、X線2次元画像の特性上、頭蓋骨が重畳して上顎洞及びその付近の組織を識別し難い。
【0129】
図22は
図21のディスプレイ画面に対する比較例として、背景画像表示部11に第1X線画像、すなわちX線セファロ画像のみを示した。
【0130】
図22に示すように、X線セファロ画像は、X線2次元画像の特性上、頭蓋骨が重畳して表示されるので、これは、上顎洞においても同様である。一方、
図21の部分画像表示部21のX線トモグラフィー画像では、上顎洞における頭蓋骨の重畳現象が除去されたことが分かる。
【0131】
したがって、本発明に係るX線画像表示装置は、背景画像表示部11に表示されるX線セファロ画像から頭部構造を把握することができるようにする一方で、部分画像表示部21に表示される上顎洞及びその付近に対するX線トモグラフィー画像から、診断目的にさらに合致するX線画像を提供することができる。しかし、本発明に係るX線画像表示装置を介して提供されるX線セファロ画像及びX線トモグラフィー画像は、これに限定されない。
【0132】
その他にも、本発明に係るX線画像表示装置は、ユーザー便宜のための各種機能を提供することができるが、これらはいずれも本発明の技術思想を応用したものであって、本発明の権利範囲内に含まれる。
【0133】
以上で説明したように、本発明に対して様々な実施形態を挙げて図示し説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な変形や修正が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、X線画像表示装置及びその方法に関するものであって、X線パノラマ画像表示装置及びこれを含むX線画像表示装置などに利用可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 第1X線パノラマ画像
11 背景画像表示部
15、15a、15b 第1イメージレイヤー
20 第2X線パノラマ画像
21 部分画像表示部
25、25a、25b 第2イメージレイヤー
31 インジケータ表示部