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特許7059268IRAK4モデュレーターとしてのピラゾロ[1,5a]ピリミジン誘導体
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  • 特許-IRAK4モデュレーターとしてのピラゾロ[1,5a]ピリミジン誘導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】IRAK4モデュレーターとしてのピラゾロ[1,5a]ピリミジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20220418BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
C07D519/00 301
C07D519/00 CSP
A61K31/519
A61K31/5377
A61P1/04
A61P11/06
A61P11/00
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P19/06
A61P25/00
A61P25/04
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/06
A61P43/00 111
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019522663
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017077886
(87)【国際公開番号】W WO2018083085
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/416,550
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/417,893
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン,マリアン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ドロブニック,ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】キーファー,ジェームズ・リチャード・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】コレスニコフ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ラージャパクサ,ナオミ・エス
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503357(JP,A)
【文献】特表2018-524365(JP,A)
【文献】特表2013-531018(JP,A)
【文献】国際公開第2016/144844(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化80】

[式中、
は、水素又はハロであり、
は、水素、ハロ、CN、OH、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C3-7シクロアルキル、C~Cアルカノイル、-(C~Cアルキル)C(O)NR、-NR、3~7員の単環式飽和もしくは部分飽和複素環、5~6員の単環式ヘテロアリール環又は5~6員の単環式アリール環であり、
ここで、任意のアルキル、アルカノイル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル又はC1-3ハロアルキルにより場合により置換されており、
は、水素、ハロ、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、-(C~Cアルキル)C(O)R13、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又は-NRであり、
ここで、任意のアルキル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3~11員の飽和もしくは部分飽和複素環又は5~6員の単環式ヘテロアリール環であり、
ここで、任意のアルコキシは、独立して、ハロ、OH、C3-7シクロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されており、
Aは、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されている3~11員の複素環であり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~11員の飽和複素環、-C(O)R13、-C(O)OR13又は-C(O)NRであり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR13又は-NRにより場合により置換されており、
12は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
13は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~11員の飽和複素環であり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR12又は-NRにより場合により置換されている]
で示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
式(II):
【化81】

[式中、
が、水素又はハロであり、
が、水素、ハロ、CN、OH、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C3-7シクロアルキル、C~Cアルカノイル、-(C~Cアルキル)C(O)NR、-NR、3~7員の単環式飽和もしくは部分飽和複素環、5~6員の単環式ヘテロアリール環又は5~6員の単環式アリール環であり、
ここで、任意のアルキル、アルカノイル又はアルケニルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環が、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル又はC1-3ハロアルキルにより場合により置換されており、
が、水素、ハロ、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又は-(C~Cアルキル)C(O)R13であり、
ここで、任意のアルキル又はアルケニルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
が、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3~11員の飽和もしくは部分飽和複素環又は5~6員の単環式ヘテロアリール環であり、
ここで、任意のアルコキシが、独立して、ハロ、OH、C3-7シクロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環が、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されており、
Aが、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されている3~11員の複素環であり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
及びRが、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
、R、R10及びR11が、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~11員の飽和複素環、-C(O)R13、-C(O)OR13又は-C(O)NRであり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環が、独立して、ハロ、オキソ、CN、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR13又は-NRにより場合により置換されており、
12が、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
13は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~11員の飽和複素環であり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環が、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR12又は-NRにより場合により置換されている]
で示される化合物として更に定義される、請求項1記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項3】
及びRが、それぞれ水素であり、Rが、水素、ハロ、CH、CHF、CHF、CF、シクロプロピル又は-C(O)CHである、請求項1又は2記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
及びRが、それぞれ水素であり、Rが、水素又はCHである、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項5】
、R及びRが、それぞれ水素である、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項6】
が、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されている3~11員の飽和又は部分飽和複素環である、請求項1~5のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項7】
が、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されているN結合3~7員の飽和複素環である、請求項1~6のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項8】
の3~11員又は3~7員の飽和又は部分飽和複素環の環ヘテロ原子が、窒素及び酸素から選択される、請求項1~7のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項9】
が、N-結合ピペリジニル、N-結合ピペラジニル又はN-結合モルホリニルであり、ここで、任意のRが、ハロ、オキソ、CN、OH又はハロ、オキソ、CNもしくはOHにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されている、請求項1~8のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
式Iの下記部分
【化82】

が、I-A:
【化83】

[式中、
Aが、更なる環ヘテロ原子を場合により含有する5又は6員環であり、
ここで、Aが、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されており、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている]
として更に定義される、請求項1~9のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項11】
I-Aが、I-B:
【化84】

[式中、
14及びR15がそれぞれ、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている
として更に定義される、請求項10記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項12】
14及びR15がそれぞれ、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルから選択され、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
Aが、環原子として1個の酸素のみを含む3~11員の複素環であり、(i)OH又は(ii)OHにより場合により置換されているC1-6アルキルにより場合により置換されている、請求項1~11のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項14】
式Iの下記部分
【化85】

が、I-C:
【化86】

[式中、
Rが、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルが、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている]
として更に定義される、請求項1~9のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項15】
該化合物が、
【化87】

ではない、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
下記の化合物:
N-(2,2-ジメチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]-6-メチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[(3R)-3-(ヒドロキシメチル)モルホリン-4-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[(3S)-3-(ヒドロキシメチル)モルホリン-4-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-[4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(2S)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(2R)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-(6-メチル-2-モルホリノ-7-オキソ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(2S)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(2R)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
6-メチル-N-[rac-(2S)-6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
6-メチル-N-[rac-(2R)-6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[6-(シクロプロピルメトキシ)-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(3R)-7-[4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-2,4-ジヒドロピラノ[2,3-b]ピリジン-6-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(3S)-7-[4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-2,4-ジヒドロピラノ[2,3-b]ピリジン-6-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;
N-[rac-(2S)-6-[4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル]-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド;及び
N-[rac-(2R)-6-[4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル]-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
からなる群より選択される、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る賦形剤、担体又は希釈剤とを含む、
医薬組成物。
【請求項18】
IRAK4の阻害に応答する疾患又は状態を予防し、治療し、又は、同疾患又は状態の重症度を軽減するための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
ガンを処置するための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
炎症性疾患又は自己免疫疾患を処置するための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項21】
疾患が、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸障害(IBD)、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚ループス、乾癬、全身性発症若年性特発性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風及び痛風性関節炎からなる群より選択される、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
炎症性疾患の処置のための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項23】
炎症性疾患の処置用の医薬の製造のための、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項24】
炎症性疾患の処置における使用のための、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項25】
細胞を、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物もしくは立体異性体又はその塩と接触させることを含む、細胞中のIRAK4をex vivoで阻害する方法。
【請求項26】
治療を必要とする患者においてIRAK4を阻害するための請求項17記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年11月2日に出願された米国仮出願第62/416,550号及び2016年11月4日に出願された同第62/417,893号の35 U.S.C.第119条(e)に基づく利益を主張する。これらの出願はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、インターロイキン-1レセプター関連キナーゼ4(IRAK4)の阻害に有用な化合物に関する。
【0003】
発明の背景
TIRドメイン(Toll-インターロイキン1レセプタードメイン)含有細胞表面レセプター、例えば、Toll様レセプター(TLR)並びにIL-1及びIL-18レセプターは、先天性免疫に重要な役割を果たし、自己免疫の病因に関与している。例えば、TLRは、病原性又は内因性リガンドを認識し、樹状細胞成熟及びT細胞への抗原提示に必要なシグナルを提供する。また同様に、これらのレセプターからのシグナル伝達を媒介するタンパク質も、自己免疫障害の病因において重要な役割を果たすことが示されている。例えば、TIRドメインと直接相互作用するアダプタータンパク質であるMyD88を欠損したマウスは、細菌、真菌及び寄生虫感染に対してより感染しやすい。加えて、MyD88欠損マウスは、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)及び連鎖球菌細胞壁誘導性関節炎に抵抗力がある。
【0004】
インターロイキン-1レセプター関連キナーゼ(IRAK)ファミリーは、4つのファミリーメンバーIRAK1、IRAK2、IRAK3(IRAK-Mとも呼ばれる)及びIRAK4から構成される。これらのタンパク質は、MyD88ファミリーアダプタータンパク質との相互作用を媒介する典型的なN末端死ドメイン及び中央に位置するキナーゼドメインにより特徴付けられる。IRAK1及びIRAK4は、キナーゼ活性を有するが、IRAK2及びIRAK3は、触媒的に不活性である。その上流の同起源レセプターが活性化されると、IRAK4は、IRAK1をリン酸化し、IRAK1の活性化と自己リン酸化、続けて、下流の基質のリン酸化をもたらすと考えられている。IRAK1の過剰リン酸化は、レセプター複合体からのその解離並びにその最終的なユビキチン化及びプロテアソーム分解を指令する。Pellino-2等の下流の基質のリン酸化は、最終的には、MAPK、例えば、p38及びc-Jun N末端キナーゼ(JNK)及びNF-kBの活性化をもたらし、続けて、炎症促進性サイトカイン、ケモカイン及び破壊性酵素の産生をもたらす。
【0005】
先天性免疫及び自己免疫疾患の病因におけるIRAK4の役割が明らかになりつつある。例えば、Li et al., 「IRAK-4: A novel member of the IRAK family with the properties of an IRAK-kinase,」PNAS 2002, 99(8), 5567-5572;Flannery et al., 「The interleukin-1 receptor-associated kinases: Critical regulators of innate immune signaling,」 Biochem Pharm 2010, 80(12), 1981-1991を参照のこと。IRAK4に不安定化又はヌル突然変異を有する患者は、TLRシグナル伝達及び炎症促進性サイトカイン、例えば、IL-1及びTNF並びに抗ウイルスサイトカイン、例えば、IFNα及びIFNβの産生の欠損を示す。これらの患者は、グラム陽性細菌感染に対して感染しやすさの増加を示すが、一般的には、グラム陰性細菌、ウイルス及び真菌感染に抵抗力がある。同様に、IRAK4欠損マウスは、TLR及びIL-1媒介性サイトカイン産生に欠損を有し、感染に対する感染しやすさの増加を示す。IRAK1欠損マウスは、リポ多糖(LPS)、IL-1及びIL-18に対する応答性の喪失並びにTh1発達の障害を示す。これらのマウスは、実験的自己免疫脳脊髄炎に抵抗力があり、CNS炎症をほとんど又は全く示さなかった。
【0006】
したがって、IRAK4の機能をモデュレーションする化合物は、炎症性、細胞増殖性及び免疫関連状態等の疾患並びに関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、ループス、糖尿病、肥満、アレルギー性疾患、乾癬、喘息、移植片拒絶、ガン及び敗血症等のIRAK媒介性シグナル伝達に関連する疾患の処置のための治療剤の開発に対する魅力的なアプローチを表わす。
【0007】
発明の概要
本発明の一態様は、式I
【化1】

[式中、
は、水素又はハロであり、
は、水素、ハロ、CN、OH、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C3-7シクロアルキル、C~Cアルカノイル、-(C~Cアルキル)C(O)NR、-NR、3~7員の単環式飽和もしくは部分飽和複素環、5~6員の単環式ヘテロアリール環又は5~6員の単環式アリール環であり、
ここで、任意のアルキル、アルカノイル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル又はC1-3ハロアルキルにより場合により置換されており、
は、水素、ハロ、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、-(C~Cアルキル)C(O)R13、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又は-NRであり、
ここで、任意のアルキル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3~11員の飽和もしくは部分飽和複素環又は5~6員の単環式ヘテロアリール環であり、
ここで、任意のアルコキシは、独立して、ハロ、OH、C3-7シクロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されており、
Aは、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されている3~11員の複素環であり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~11員の飽和複素環、-C(O)R13、-C(O)OR13又は-C(O)NRであり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR13又は-NRにより場合により置換されており、
12は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
13は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~11員の飽和複素環であり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR12又は-NRにより場合により置換されている]
で示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を含む。
【0008】
また、本発明の化合物と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。
【0009】
別の態様は、炎症性疾患、自己免疫疾患又はガンの治療、例えば、処置における使用のための、本発明の化合物を含む。
【0010】
別の態様は、患者におけるIRAK4の阻害に応答する疾患又は状態を予防し、治療し、又は、同疾患又は状態の重症度を軽減する方法を含む。本方法は、治療上有効量の本発明の化合物を、患者に投与することを含むことができる。
【0011】
別の態様は、IRAK4の阻害に応答する疾患の処置用の医薬の製造における、本発明の化合物の使用を含む。
【0012】
別の態様は、IRAK4の阻害に応答する疾患又は障害を処置するためのキットを含む。本キットは、本発明の化合物を含む第1の医薬組成物と、使用のための説明書とを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、特定の構造(右側に指し示す)を有する本発明の特定の化合物及び異なる構造(式中、1つの芳香環炭素(右側に指し示す)が、Nにより置き換えられている(左側に指し示す))の対応する化合物の動的溶解度値に関するマッチドペア分析を示す。
図2図2は、特定の構造(右側に指し示す)を有する本発明の特定の化合物及び異なる構造(式中、1つの芳香環炭素(右側に指し示す)が、Nにより置き換えられている(左側に指し示す))の対応する化合物の血漿タンパク質結合値に関するマッチドペア分析を示す。
【0014】
発明の詳細な説明
定義
「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br又はIを指す。加えて、「ハロアルキル」等の用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。
【0015】
「アルキル」という用語は、飽和で直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、ここで、アルキル基は場合により置換されていることができる。一例では、アルキル基は、1~18個の炭素原子(C~C18)である。他の例では、アルキル基は、C~C、C~C、C~C、C~C12、C~C10、C~C、C~C、C~C、C~C又はC~Cである。Cアルキルは、結合を指す。アルキル基の例は、メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CHCH(CH)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH)、1-ヘプチル及び1-オクチルを含む。一部の実施態様では、「場合により置換されているアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NHCH、N(CH、NO、N、C(O)CH、COOH、COCH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニル(ここで、アルキル、フェニル及びその複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される置換基の1~4個の例により場合により置換されていることができる)の1~4個の例を含む。
【0016】
「アリール」は、炭素環式芳香族基を指し、1つ以上の基と縮合しているか否かにかかわらず、指定された数の炭素原子を有するか、又は、数が指定されない場合、14個までの炭素原子を有する。一例は、6~14個の炭素原子を有するアリール基を含む。別の例は、6~10個の炭素原子を有するアリール基を含む。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、1H-インデニル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル等を含む(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985])。特定のアリールは、フェニルである。置換されているフェニル又は置換されているアリールは、例えば、本明細書で特定された基(「場合により置換されている」の定義を参照のこと)から選択される、1、2、3、4又は5個の置換基、例えば、1~2個、1~3個又は1~4個の置換基、例えば、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NHCH、N(CH、NO、N、C(O)CH、COOH、COCH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニル(ここで、アルキル、フェニル及びその複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される置換基の1~4個の例により場合により置換されていることができる)により置換されているフェニル基又はアリール基を意味する。「置換されているフェニル」という用語の例は、モノ又はジ(ハロ)フェニル基、例えば、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、4-クロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、3,4-ジブロモフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル等;モノ又はジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば、4-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、2,4-ジヒドロキシフェニル、そのヒドロキシが保護されている誘導体等;ニトロフェニル基、例えば、3-又は4-ニトロフェニル;シアノフェニル基、例えば、4-シアノフェニル;モノ又はジ(アルキル)フェニル基、例えば、4-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2-メチルフェニル、4-(イソプロピル)フェニル、4-エチルフェニル、3-(n-プロピル)フェニル等;モノ又はジ(アルコキシ)フェニル基、例えば、3,4-ジメトキシフェニル、3-メトキシ-4-ベンジルオキシフェニル、3-エトキシフェニル、4-(イソプロポキシ)フェニル、4-(t-ブトキシ)フェニル、3-エトキシ-4-メトキシフェニル等;3-又は4-トリフルオロメチルフェニル;モノもしくはジカルボキシフェニル又は(保護されているカルボキシ)フェニル基、例えば、4-カルボキシフェニル、モノもしくはジ(ヒドロキシメチル)フェニル又は(保護されているヒドロキシメチル)フェニル、例えば、3-(保護されているヒドロキシメチル)フェニル又は3,4-ジ(ヒドロキシメチル)フェニル;モノもしくはジ(アミノメチル)フェニル又は(保護されているアミノメチル)フェニル)、例えば、2-(アミノメチル)フェニル又は2,4-(保護されているアミノメチル)フェニル;又は、モノ又はジ(N-(メチルスルホニルアミノ))フェニル、例えば、3-(N-(メチルスルホニルアミノ))フェニルを含む。また、「置換されているフェニル」という用語は、置換基が異なる二置換されているフェニル基、例えば、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシ-4-ブロモフェニル、4-エチル-2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-クロロ-5-ジフルオロメトキシ等、及び、置換基が異なる三置換されているフェニル基、例えば、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-6-メチルスルホニルアミノ、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-6-フェニルスルホニルアミノ、及び、置換基が異なる四置換されているフェニル基、例えば、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-5-メチル-6-フェニルスルホニルアミノも表わす。
【0017】
「本発明の化合物(compound(s) of the invention)」及び「本発明の化合物(compound(s) of the present invention)」等の用語は、特に断りない限り、式Iで示される化合物並びに立体異性体(アトロプ異性体を含む)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)及びそれらのプロドラッグを含む、本明細書における表1及び表2の化合物を含む。一部の実施態様では、溶媒和物、代謝産物、同位体もしくはプロドラッグ又はそれらの任意の組み合わせは除外される。
【0018】
「シクロアルキル」は、非芳香族で飽和又は部分不飽和の炭化水素環基を指し、ここで、シクロアルキル基は、独立して、本明細書に記載された1つ以上の置換基により場合により置換されていることができる。一例では、シクロアルキル基は、3~12個の炭素原子(C~C12)である。他の例では、シクロアルキルは、C~C、C~C10又はC~C10である。他の例では、単環としてのシクロアルキル基は、C~C、C~C又はC~Cである。別の例では、二環としてのシクロアルキル基は、C~C12である。別の例では、スピロ系としてのシクロアルキル基は、C~C12である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、過重水素シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルを含む。7~12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置は、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]環系を含むが、これらに限定されない。例示的な架橋二環式シクロアルキルは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンを含むが、これらに限定されない。スピロシクロアルキルの例は、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン及びスピロ[4.5]デカンを含むが、これらに限定されない。一部の実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NHCH、N(CH、NO、N、C(O)CH、COOH、COCH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニル(ここで、アルキル、アリール及びその複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される置換基の1~4個の例により場合により置換されていることができる)の1~4個の例を含む。
【0019】
「複素環式基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は、互換的に使用され、3~20個の環原子を有し、環原子が炭素であり、環又は環系中の少なくとも1つの原子が窒素、硫黄又は酸素から選択されるヘテロ原子である、任意の単環式、二環式、三環式又はスピロで飽和、部分飽和又は不飽和の芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)環系を指す。環式系の任意の環原子がヘテロ原子である場合、その系は、分子の残り部分への環式系の付着点にかかわらず、複素環である。一例では、ヘテロシクリルは、3~11個の環原子(「員」)を含み、環原子は炭素である単環、二環、三環及びスピロ環系を含み、ここで、環又は環系中の少なくとも1つの原子は、窒素、硫黄又は酸素から選択されるヘテロ原子である。一例では、ヘテロシクリルは、1~4個のヘテロ原子を含む。一例では、ヘテロシクリルは、1~3個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄又は酸素から選択される1~2個、1~3個又は1~4個のヘテロ原子を有する3~7員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄又は酸素から選択される1~2個、1~3個又は1~4個のヘテロ原子を有する4~6員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5~6員の単環、例えば、5~6員のヘテロアリールを含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3~11員のヘテロシクロアルキル、例えば、4~11員ヘテロシクロアルキルを含む。一部の実施態様では、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの窒素を含む。一例では、ヘテロシクリル基は、0~3個の二重結合を含む。任意の窒素又は硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されていることができ(例えば、NO、SO、SO)、任意の窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていることができる(例えば、[NRCl、[NROH)。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル(thiiranyl)、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2-ジチエタニル、1,3-ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ-1H-ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1-ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7-テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6-ジヒドロイミダゾール[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキサニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン-2,4-ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1-アザスピロ[4.5]デカナ-2-オニル、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1-ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。硫黄又は酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する5員の複素環の例は、チアゾール-2-イル及びチアゾール-2-イル N-オキシドを含むチアゾリル、1,3,4-チアジアゾール-5-イル及び1,2,4-チアジアゾール-5-イルを含むチアジアゾリル、オキサゾリル、例えば、オキサゾール-2-イル及びオキサジアゾリル、例えば、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル及び1,2,4-オキサジアゾール-5-イルである。2~4個の窒素原子を含有する5員環の複素環の例は、イミダゾリル、例えば、イミダゾール-2-イル;トリアゾリル、例えば、1,3,4-トリアゾール-5-イル;1,2,3-トリアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル及びテトラゾリル、例えば、1H-テトラゾール-5-イルを含む。ベンゾ縮合5員複素環の例は、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル及びベンズイミダゾール-2-イルである。6員の複素環の例は、1~3個の窒素原子及び場合により硫黄又は酸素原子を含有し、例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル、ピリダ-3-イル及びピリダ-4-イル;ピリミジル、例えば、ピリミダ-2-イル及びピリミダ-4-イル;トリアジニル、例えば、1,3,4-トリアジン-2-イル及び1,3,5-トリアジン-4-イル;ピリダジニル、特に、ピリダジン-3-イル並びにピラジニルである。ピリジン N-オキシド及びピリダジン N-オキシド並びにピリジル、ピリミダ-2-イル、ピリミダ-4-イル、ピリダジニル及び1,3,4-トリアジン-2-イル基は、複素環基の他の例である。複素環は、場合により置換されていることができる。例えば、「場合により置換されている複素環」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NHCH、N(CH、NO、N、C(O)CH、COOH、COCH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニル(ここで、アルキル、アリール及びその複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される置換基の1~4個の例により場合により置換されていることができる)の1~4個の例を含む。
【0020】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香環であり、例示的な実施態様では、少なくとも1つのヘテロ原子が窒素である、任意の単環式、二環式又は三環式環系を指す。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985]を参照のこと。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合し、ここで、アリール環又はヘテロアリール環が分子の残りの部分に結合している、任意の二環式基が定義に含まれる。一実施態様では、ヘテロアリールは、1つ以上の環原子が窒素、硫黄又は酸素である、5~6員の単環式芳香族基を含む。ヘテロアリール基の例は、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2-a]ピリジニル及びプリニル並びにベンゾ縮合誘導体、例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリルを含む。ヘテロアリール基は、場合により置換されていることができる。一部の実施態様では、「場合により置換されているヘテロアリール」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NHCH、N(CH、NO、N、C(O)CH、COOH、COCH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニル(ここで、アルキル、フェニル及びその複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される置換基の1~4個の例により場合により置換されていることができる)の1~4個の例を含む。
【0021】
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子で付着している。例として、炭素結合ヘテロシクリル基は、ピリジン環の2、3、4、5もしくは6位、ピリダジン環の3、4、5もしくは6位、ピリミジン環の2、4、5もしくは6位、ピラジン環の2、3、5もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロール環の2、3、4もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾール環の2、4もしくは5位、イソキサゾール、ピラゾールもしくはイソチアゾール環の3、4もしくは5位、アジリジン環の2もしくは3位、アゼチジン環の2、3もしくは4位、キノリン環の2、3、4、5、6、7もしくは8位又はイソキノリン環の1、3、4、5、6、7もしくは8位の結合配置を含む。
【0022】
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基はN付着している。例として、窒素結合ヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位及びカルバゾール又はβ-カルボリンの9位の結合配置を含む。
【0023】
「アルコキシ」という用語は、式-OR(式中、Rは、本明細書で定義されたアルキルである)により表わされる直鎖又は分枝鎖で一価の基を指す。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ-、ジ-及びトリ-フルオロメトキシ及びシクロプロポキシを含む。「ハロアルコキシ」は、ハロアルキル基を指し、その用語は、本明細書においてRとして定義される。
【0024】
「アルカノイル」という用語は、基(アルキル)-C(=O)-(式中、アルキルは、本明細書で定義されたとおりである)を指す。例えば、C~Cアルカノイルは、式(C~Cアルキル)-C(=O)-の基を指す。アルカノイル基は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、3-メチルペンタノイル及びヘキサノイルを含む。
【0025】
「場合により置換されている」は、特に断りない限り、基が置換されていないか、又は、1つ以上(例えば、0、1、2、3、4もしくは5個以上又はその中で導出可能な任意の範囲)の、その基について列記された置換基(ここで、前記置換基は、同じか又は異なってもよい)により置換されていてもよいことを意味する。実施態様において、場合により置換されている基は、1つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、2つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、3つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、4つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、5つの置換基を有する。
【0026】
本明細書で使用する場合、化学構造中の結合と交差する波線「~~~」は、波状結合が化学構造中で分子の残り部分又は分子のフラグメントの残り部分に連結されている原子の付着点を示す。一部の実施態様では、アスタリスクを伴った矢印は、付着点を示すために、波線の様式で使用される。
【0027】
特定の実施態様では、二価の基は、特定の結合配置によらず一般的に記載される。包括的な説明から、特に断りない限り、両方の結合配置を含むことを意味すると理解される。例えば、基R-R-Rにおいて、基Rが-CHC(O)-として記載された場合には、この基は、特に断りない限り、R-CHC(O)-R及びR-C(O)CH-Rの両方として結合することができると理解される。
【0028】
「薬学的に許容し得る」という語句は、動物、例えば、ヒト等に適量投与された場合に、有害な、アレルギー性の又は他の好ましくない反応を生じない分子本体及び組成を指す。
【0029】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩等の塩の形態にあることができる。「薬学的に許容し得る塩」は、酸及び塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容し得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に又は他の方法で望ましくないものではない、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等並びに脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸類の有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アルトラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等から選択することができる有機酸と形成される塩を指す。
【0030】
「薬学的に許容し得る塩基付加塩」は、無機塩基から得られるもの、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等を含む。特定の塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。薬学的に許容し得る有機非毒性塩基から得られる塩は、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン(piperidine)、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩を含む。特定の有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインを含む。
【0031】
一部の実施態様では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホン酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、パルミチン酸塩、L-乳酸塩、D-乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、ステアリン酸塩、フロ酸塩(例えば、2-フロ酸塩又は3-フロ酸塩)、ナパジシル酸塩(ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩又はナフタレン-1-(スルホン酸)-5-スルホン酸塩)、エジシラート(エタン-1,2-ジスルホン酸塩又はエタン-1-(スルホン酸)-2-スルホン酸塩)、イセチオナート(2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2-メシチレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸塩、D-マンデル酸塩、L-マンデル酸塩、ケイ皮酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、エシラート、マロン酸塩、メシチラート(2-メシチレンスルホン酸塩)、ナプシラート(2-ナフタレンスルホン酸塩)、カンシラート(カンファー-10-スルホン酸塩、例えば、(1S)-(+)-10-カンファースルホン酸塩)、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、馬尿酸塩(2-(ベンゾイルアミノ)酢酸塩)、オロチン酸塩、キシラート(p-キシレン-2-スルホン酸塩)及びパモ酸塩(2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ジナフチルメタン-3,3’-ジカルボン酸塩)から選択される。
【0032】
「無菌」製剤は、無菌であるか又は全ての生きている微生物及びそれらの胞子を含まない。
【0033】
「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、空間における原子又は基の配置に関して異なる、化合物を指す。立体異性体は、ジアステレオマー、エナンチオマー、配座異性体等を含む。
【0034】
「キラル」は、鏡像パートナーと重ねることのできない特性を有する分子を指し、一方、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーと重ねることのできる分子を指す。
【0035】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有するが、その分子が互いに鏡像ではない、立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性又は生物学的活性を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析法、例えば、電気泳動及びクロマトグラフィー、例えば、HPLC下で分離することができる。
【0036】
「エナンチオマー」は、互いの鏡像を重ね合わせられない化合物の2つの立体異性体を指す。
【0037】
本明細書で使用される立体化学的定義及び慣例は、一般的には、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E. and Wilen, S., 「Stereochemistry of Organic Compounds」, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。多くの有機化合物は、光学活性形態で存在し、すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を説明するのにおいて、接頭辞D及びL又はR及びSは、そのキラル中心について分子の絶対配置を示すのに使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(-)は、化合物による平面偏光の回転の符号を表すのに利用され、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞(+)又はdを有する化合物は、右旋性である。所定の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが相互に鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーとも呼ぶことができ、このような異性体の混合物は、多くの場合、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、これらは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性がなかった場合に生じる場合がある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性を欠いた2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0038】
「互変異性体」又は「互変異性形態」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等のプロトンの移動による相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再編成による相互変換を含む。
【0039】
本発明の特定の化合物は、溶媒和されていない形態及び水和された形態を含む溶媒和された形態で存在することができる。「溶媒和物」は、1つ以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合体又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンを含む。本発明の特定の化合物は、複数の結晶又は非晶質形態で存在することができる。一般的には、全ての物理的形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0040】
「代謝産物」は、特定の化合物又はその塩の体内での代謝により生成される生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的開裂等から生じることができる。
【0041】
代謝生成物は、典型的には、本発明の化合物の放射性ラベル(例えば、14C又はH)同位体を調製し、それを検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)で、動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、サル又はヒトに投与し、代謝が起こるのに十分な時間(典型的には、約30秒~30時間)を可能にし、その変換生成物を尿、血液又は他の生体サンプルから単離することにより特定される。これらの生成物は、それらがラベルされているため容易に単離される(他のものは、代謝産物中に残存するエピトープに結合可能な抗体の使用により単離される)。代謝産物の構造は、従来の様式、例えば、MS、LC/MS又はNMR分析により決定される。一般的には、代謝産物の分析は、当業者に周知の通常の薬剤代謝研究と同じ方法で行われる。代謝生成物は、in vivoにおいて何らかの方法で見出されない限り、本発明の化合物の治療的投薬のための診断アッセイに有用である。
【0042】
本明細書で使用する場合、「アミノ保護基」は、反応が化合物における他の官能基で行われる間に、アミノ基をブロックし又は保護するのに一般的に利用される基の誘導体を指す。このような保護基の例は、カルバマート、アミド、アルキル及びアリール基及びイミン並びに所望のアミン基を再生するのに除去することができる多くのN-ヘテロ原子誘導体を含む。特定のアミノ保護基は、Pmb(p-メトキシベンジル)、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)及びCbz(カルボベンジルオキシ)である。これらの基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に見出される。「保護されているアミノ」という用語は、上記アミノ保護基のうちの1つにより置換されているアミノ基を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「カルボキシ保護基」は、分子の他の位置での後続の反応の条件に対して安定な基を指し、これは、分子の残り部分を破壊することなく、適切な時点で除去されて、保護されていないカルボキシ基を与えることができる。カルボキシ保護基の例は、エステル基及びヘテロシクリル基を含む。カルボン酸基のエステル誘導体は、反応が化合物における他の官能基で行われる間に、カルボン酸基をブロックし又は保護するのに利用することができる。このようなエステル基の例は、置換されているベンジル、例えば、4-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、2,4,6-トリメトキシベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4-メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’-ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’-テトラメトキシベンズヒドリルを含む置換されているアリールアルキル、アルキル又は置換されているアルキルエステル、例えば、メチル、エチル、t-ブチル、アリル又はt-アミル、トリフェニルメチル(トリチル)、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、4,4’,4’’-トリメトキシトリチル、2-フェニルプロパ-2-イル、チオエステル、例えば、t-ブチルチオエステル、シリルエステル、例えば、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリルエステル、フェナシル、2,2,2-トリクロロエチル、ベータ-(トリメチルシリル)エチル、ベータ-(ジ(n-ブチル)メチルシリル)エチル、p-トルエンスルホニルエチル、4-ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1-(トリメチルシリルメチル)プロパ-1-エン-3-イル及び類似する部分を含む。カルボキシ保護基の別の例は、ヘテロシクリル基、例えば、1,3-オキサゾリニルである。これらの基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に見出される。「保護されているカルボキシ」という用語は、上記カルボキシ保護基のうちの1つにより置換されているカルボキシ基を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシ保護基」は、反応が化合物における他の官能基で行われる間に、ヒドロキシ基をブロックし又は保護するのに一般的に利用されるヒドロキシ基の誘導体を指す。このような保護基の例は、テトラヒドロピラニルオキシ、ベンゾイル、アセトキシ、カルバモイルオキシ、ベンジル及びシリルエーテル(例えば、TBS、TBDPS)基を含む。これらの基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に見出される。「保護されているヒドロキシ」という用語は、上記ヒドロキシ保護基のうちの1つにより置換されているヒドロキシ基を指す。
【0045】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を含有することができる。したがって、該化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー又はそれらの混合物として存在することができる。化合物の合成は、出発材料又は中間体としてラセミ体、ジアステレオマー又はエナンチオマーを利用することができる。特定のジアステレオマー化合物の混合物は、クロマトグラフィー又は結晶化法により、1つ以上の特定のジアステレオマーに分離し又は濃縮することができる。同様に、エナンチオマー混合物は、同じ技術又は当技術分野において公知の他の技術を使用して分離し又はエナンチオマー的に濃縮することができる。不斉炭素原子又は不斉窒素原子はそれぞれ、R又はS立体配置にあることができ、これらの立体配置は両方とも、本発明の範囲内である。
【0046】
本明細書で示された構造において、任意の特定のキラル原子の立体化学が特定されない場合には、全ての立体異性体が企図され、本発明の化合物として含まれる。立体化学が特定の立体配置を表わす実線のウェッジ又は破線により特定される場合には、その立体異性体は、そのように特定され、定義される。特に断りない限り、実線のウェッジ又は破線が使用される場合、相対的な立体化学が意図される。
【0047】
別の態様は、生理学的条件下で本発明の化合物を生成するために放出される、例えば、加水分解される、既知のアミノ保護基及びカルボキシ保護基を含む、本発明の化合物のプロドラッグを含む。
【0048】
「プロドラッグ」という用語は、親薬剤と比較して患者に対して有効性が低く、酵素的又は加水分解的に活性化することができ又はより活性な親形態に変換することができる、薬学活性物質の前駆体又は誘導体形態を指す。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」 Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella et al., 「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,」 Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照のこと。プロドラッグは、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ並びに5-フルオロシトシン及び5-フルオロウリジンプロドラッグを含むが、これらに限定されない。
【0049】
プロドラッグの特定の分類は、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ又はグアニジノ基における窒素原子がヒドロキシ基、アルキルカルボニル(-CO-R)基、アルコキシカルボニル(-CO-OR)又はアシルオキシアルキル-アルコキシカルボニル(-CO-O-R-O-CO-R)基(式中、Rは、一価又は二価の基、例えば、アルキル、アルキレン又はアリールである)又は式-C(O)-O-CP1P2-ハロアルキル(式中、P1及びP2は、同じか又は異なり、水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル又はアリールである)を有する基により置換されている化合物である。特定の実施態様では、窒素原子は、本発明の化合物のアミジノ基の窒素原子のうちの1つである。プロドラッグは、本発明の化合物をアシル基等の活性化基と反応させて、例えば、化合物中の窒素原子を活性化アシル基の例示的なカルボニルに結合させることにより調製することができる。活性化カルボニル化合物の例は、カルボニル基に結合した脱離基を含有するものであり、例えば、ハロゲン化アシル、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、アシルフェノキシド、例えば、p-ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル及びジフルオロフェノキシアシルを含む。反応は、一般的には、不活性溶媒中、低温、例えば、-78~約50℃で行われる。反応は、無機塩基、例えば、炭酸カリウムもしくは重炭酸ナトリウム又は有機塩基、例えば、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含むアミンの存在下で行うこともできる。
【0050】
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されたように、ヒドロキシ基をリン酸エステル、ヘミスクシナート、ジメチルアミノアセタート又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等(これらは限定されない)の基に変換することによりプロドラッグとして誘導体化することができる。炭酸プロドラッグとして、ヒドロキシ基及びアミノ基のカルバマートプロドラッグも含まれ、例えば、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルである。(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテル(式中、アシル基は、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基により場合により置換されているアルキルエステルであることができ、又は、アシル基は、上記されたアミノ酸エステルである)としてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、アルコール基の水素原子を、(C~C)アルカノイルオキシメチル、1-((C~C)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C~C)アルカノイルオキシ)エチル、(C~C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C~C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C~C)アルカノイル、アルファ-アミノ(C~C)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ-アミノアシル又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル(式中、各アルファ-アミノアシル基は、天然のL-アミノ酸、P(O)(OH)、-P(O)(O(C~C)アルキル)又はグリコシル(この基は、炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去により生じる)から独立して選択される)等の基により置き換えることを含む。
【0051】
「脱離基」は、化学反応において第1の反応物から外れる、化学反応における第1の反応物の一部を指す。脱離基の例は、ハロゲン原子、アルコキシ及びスルホニルオキシ基を含むが、これらに限定されない。スルホニルオキシ基の例は、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシラート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフラート基))及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p-トルエンスルホニルオキシ(トシラート基)及びp-ニトロスルホニルオキシ(ノシラート基))を含むが、これらに限定されない。
【0052】
「対象」、「個体」又は「患者」は、脊椎動物である。特定の実施態様では、脊椎動物は、哺乳類である。哺乳類は、農場動物(ウシ等)、スポーツ動物、ペット(モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ及びウマ等)、霊長類、マウス及びラット含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、哺乳類は、ヒトである。患者に対する化合物の投与を含む実施態様において、患者は、典型的には、同投与を必要とする。
【0053】
「阻害する」及び「減少させる」という用語又はこれらの用語の任意の変形例は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、通常と比較して、約、多くとも約又は少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%もしくはそれ以上又はその中で導出可能な任意の範囲で、活性(例えば、IRAK4活性)を低下させことができる。
【0054】
一部の実施態様では、式Iで示される化合物、例えば、表1又は表2の化合物は、IRAK1よりもIRAK4の阻害に選択的である。「阻害に選択的」は、化合物がIRAK1活性と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%もしくはそれ以上又はその中で導出可能な任意の範囲でより良好なIRAK4活性の阻害剤であるか、又は、IRAK1活性と比較して、少なくとも2-、3-、4-、5-、10-、25-、50-、100-、250-もしくは500倍より良好なIRAK4活性の阻害剤であることを意味する。
【0055】
「治療上有効量」は、(i)特定の疾患、状態もしくは障害を治療しもしくは予防し、又は、(ii)特定の疾患、状態もしくは障害の1つ以上の症候を減弱し、改善しもしくは排除し、及び場合により、(iii)本明細書に記載された特定の疾患、状態もしくは障害の1つ以上の症候の開始を予防しもしくは遅延させる、本発明の化合物、例えば、式(I)で示される化合物(例えば、表1又は表2の化合物)の量を意味する。一部の実施態様では、治療上有効量は、自己免疫疾患又は炎症性疾患(例えば、ループス)の症候を減少させ又は緩和するのに十分な量である。一部の実施態様では、治療上有効量は、B細胞の活性又は数を顕著に減少させるのに十分な、本明細書に記載された化学的実体の量である。ガンの場合、治療上有効量の薬剤は、ガン細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを小さくし、末梢器官へのガン細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させ)、腫瘍成長をある程度阻害し、又は、ガンに関連する1つ以上の症候をある程度軽減することができる。薬剤が既存のガン細胞の増殖を妨げるか又は死滅させることができる範囲で、該薬剤は、細胞増殖抑制性又は細胞傷害性であることができる。ガン治療に関して、効力は、例えば、疾患進行までの時間(TTP)を評価するか、又は、応答率(RR)を決定することにより測定することができる。
【0056】
「処置(treatment)」(及び変形例、例えば、「処置する(treat)」又は「処置すること(treating)」)は、処置される個体又は細胞の自然な経過を変える試みにおける臨床介入を指し、予防のために又は臨床病理の経過中のいずれかに行うことができる。処置の望ましい効果は、疾患の発生又は再発の予防、症候の緩和、疾患の直接又は間接的のいずれかの病理学的結果の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させない)、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善又は緩和、処置を受けない場合に予測される生存と比較した生存期間の延長及び寛解又は予後の改善を含む。一部の実施態様では、本発明の化合物は、疾患もしくは障害の進展を遅延させ、又は、疾患もしくは障害の進行を遅らせるのに使用される。処置を必要とするものは、既に状態もしくは障害を有するもの及び状態もしくは障害を有する傾向があるもの(例えば、遺伝子変異を介して)又は状態もしくは障害が予防されるべきものを含む。
【0057】
「炎症性障害」は、過剰な又はレギュレーションされない炎症性応答が過剰な炎症性症候、ホスト組織傷害又は組織機能の喪失をもたらす任意の疾患、障害又は症候群を指す。また、「炎症性障害」は、白血球の流入又は好中球走化性により媒介される病理学的状態も指す。
【0058】
「炎症」は、組織の損傷又は破壊により誘発される局所的な保護応答を指し、これは、有害な作用因子及び損傷した組織の両方を破壊し、希釈し、又は、壁で覆う(隔離する)のに役立つ。炎症は、特に、白血球の流入又は好中球走化性に関連する。炎症は、病原性生物及びウイルスによる感染並びに非感染性手段、例えば、外傷又は心筋梗塞もしくは脳卒中後の再潅流、外来抗原に対する免疫応答及び自己免疫応答により生じる場合がある。したがって、本発明の化合物、例えば、式Iで示される化合物(例えば、表1又は表2の化合物)による処置を受けやすい炎症性障害は、特異的防御系の反応及び非特異的防御系の反応に関連する障害を包含する。
【0059】
「特異的防御系」は、特異的抗原の存在に反応する免疫系の成分を指す。特異的防御系の応答から生じる炎症の例は、外来抗原に対する古典的な応答、自己免疫疾患及びT細胞により媒介される遅延型過敏応答を含む。慢性炎症性疾患、固体移植組織及び臓器、例えば、腎臓及び骨髄移植の拒絶並びに移植片対宿主病(GVHD)は、特異的防御系の炎症反応の更なる例である。
【0060】
「非特異的防御系」という用語は、免疫学的記憶ができない白血球(例えば、顆粒球及びマクロファージ)により媒介される炎症性障害を指す。少なくとも部分的に非特異的防御系の反応から生じる炎症の例は、成人(急性)呼吸窮迫症候群(ARDS)又は多臓器損傷症候群等の状態に関連する炎症;再潅流損傷;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症性成分による皮膚炎;急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性障害、例えば、脳卒中;熱損傷;炎症性腸疾患;顆粒球輸血関連症候群;及びサイトカイン誘引毒性を含む。
【0061】
「自己免疫疾患」は、組織損傷が身体自体の構成物に対する体液性応答又は細胞媒介性応答に関連する任意の群の障害を指す。自己免疫疾患の非限定的な例は、関節リウマチ、ループス及び多発性硬化症を含む。
【0062】
本明細書で使用する場合、「アレルギー性疾患」は、アレルギーから生じる任意の症候、組織傷害又は組織機能の喪失を指す。本明細書で使用する場合、「関節炎疾患」は、各種の病因に起因し得る関節の炎症性病変により特徴付けられる任意の疾患を指す。本明細書で使用する場合、「皮膚炎」は、各種の病因に起因し得る皮膚の炎症により特徴付けられる皮膚の疾患の大きなファミリーのいずれかを指す。本明細書で使用する場合、「移植拒絶」は、移植された組織及び周囲の組織の機能の喪失、疼痛、腫脹、白血球増加及び血小板減少により特徴付けられる、移植された組織、例えば、臓器又は細胞(例えば、骨髄)に対して指向される任意の免疫反応を指す。本発明の治療方法は、炎症性細胞活性化に関連する障害の処置のための方法を含む。
【0063】
「炎症性細胞活性化」は、増殖性細胞応答の刺激(サイトカイン、抗原又は自己抗体を含むが、これらに限定されない)、可溶性メディエーター(サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド又は血管作用性アミンを含むが、これらに限定されない)の産生又は炎症性細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(すなわち、多形核白血球、例えば、好中球、好塩基球及び好酸球)、肥満細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞及び内皮細胞を含むが、これらに限定されない)における新たな又は増加した数のメディエーター(主要組織適合性抗原又は細胞接着分子を含むが、これらに限定されない)の細胞表面発現による誘引を指す。これらの細胞におけるこれらの表現型の1つ又は組み合わせの活性化は、炎症性障害の開始、持続又は悪化に寄与する場合があると、当業者に理解されるであろう。
【0064】
一部の実施態様では、本発明の方法により処置することができる炎症性障害は、喘息、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、アレルギー性気道症候群、アトピー性皮膚炎、気管支炎、関節リウマチ、乾癬、ループス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、接触性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患及び遅延型過敏反応を含むが、これらに限定されない。
【0065】
「ガン」及び「ガン性」、「新生物」並びに「腫瘍」という用語並びに関連する用語は、典型的には、レギュレーションされない細胞増殖により特徴付けられる哺乳類における生理学的状態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上のガン性細胞を含む。ガンの例は、ガン腫、芽細胞腫、肉腫、セミノーマ、膠芽腫、黒色腫、白血病及び骨髄性又はリンパ性悪性腫瘍を含む。このようなガンのより具体的な例は、扁平上皮細胞ガン(例えば、上皮扁平上皮細胞ガン)並びに小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン(「NSCLC」)、肺の腺ガン及び肺の扁平上皮ガンを含む肺ガンを含む。他のガンは、皮膚、ケラトアカントーマ、濾胞性ガン、有毛細胞白血病、頬腔、咽頭(口腔)、口唇、舌、口腔、唾液腺、食道、喉頭、肝細胞、胃部、胃、胃腸、小腸、大腸、膵臓、子宮頸部、卵巣、肝臓、膀胱、肝ガン、乳房、結腸、直腸、結腸直腸、泌尿生殖器、胆道、甲状腺、乳頭、肝臓、子宮内膜、子宮、唾液腺、腎臓又は腎臓部、前立腺、精巣、外陰茎、腹膜、肛門、陰茎、骨、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、中枢神経系、脳、頭頚部、ホジキン及び関連転移を含む。新生物障害の例は、骨髄増殖性障害、例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、例えば、原発性骨髄線維症及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0066】
「化学療法剤」は、所定の障害、例えば、ガン又は炎症性障害の処置に有用な薬剤である。化学療法剤の例は、当技術分野において周知であり、US第2010/0048557号に開示されているもの等の例を含む。同文献は、参照により本明細書に組み入れられる。加えて、化学療法剤は、化学療法剤のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸又は誘導体並びにそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0067】
特に断りない限り、本明細書に示された構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iそれぞれを含む。同位体ラベル化合物(例えば、H及び14Cによりラベルされたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイに有用であることができる。トリチウム化(すなわち、H)及び炭素-14(すなわち、14C)同位体は、調製及び検出のその容易さのために有用であることができる。更に、より重い同位体、例えば、重水素(すなわち、H)による置換により、より高い代謝安定性(例えば、in vivo半減期の延長又は必要用量の減少)による特定の治療的利点を提供することができる。一部の実施態様では、本発明の化合物において、1つ以上の炭素原子は、13C又は14C濃縮炭素により置き換えられる。陽電子放出同位体、例えば、15O、13N、11C及び18Fは、基質レセプター占有率を調べる陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体ラベル化合物は、一般的には、本明細書におけるスキーム又実施例に開示されたものと類似の手順に従って、同位体ラベル試薬で非同位体ラベル試薬を置換することにより調製することができる。
【0068】
本発明の一実施態様に関して検討された任意の限定は、本発明の任意の他の実施態様に適用することができることが、特に企図される。更に、本発明の任意の化合物又は組成物は、本発明の任意の方法において使用することができ、本発明の任意の方法は、本発明の任意の化合物又は組成物を製造し又は利用するのに使用することができる。
【0069】
「又は」という用語の使用は、二者択一のみを指すことが明示的に示されない限り、又は、二者択一が相互に排他的であるが、本開示が二者択一のみと「及び/又は」とを指す定義を支持する場合、「及び/又は」を意味するのに使用される。
【0070】
本願全体を通して、「約」という用語は、値が該値を決定するのに利用される表現又は方法のために誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0071】
本明細書で使用する場合、「a」又は「an」は、他に明確に示されない限り、1つ以上を意味する。本明細書で使用する場合、「別の」は、少なくとも第2又はそれ以上を意味する。
【0072】
本明細書に使用される見出しは、編成目的のみを意図している。
【0073】
IRAK4阻害剤
記載されたように、本発明の一態様は、式I
【化2】

[式中、
は、水素又はハロであり、
は、水素、ハロ、CN、OH、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C3-7シクロアルキル、C~Cアルカノイル、-(C~Cアルキル)C(O)NR、-NR、3~7員の単環式飽和もしくは部分飽和複素環、5~6員の単環式ヘテロアリール環又は5~6員の単環式アリール環であり、
ここで、任意のアルキル、アルカノイル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル又はC1-3ハロアルキルにより場合により置換されており、
は、水素、ハロ、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、-(C~Cアルキル)C(O)R13、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又は-NRであり、
ここで、任意のアルキル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3~11員の飽和もしくは部分飽和複素環又は5~6員の単環式ヘテロアリール環であり、
ここで、任意のアルコキシは、独立して、ハロ、OH、C3-7シクロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されており、
Aは、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されている3~11員の複素環であり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~11員の飽和複素環、-C(O)R13、-C(O)OR13又は-C(O)NRであり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR13又は-NRにより場合により置換されており、
12は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
13は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~11員の飽和複素環であり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR12又は-NRにより場合により置換されている]
で示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を含む。
【0074】
一部の実施態様では、式Iで示される化合物は、式(II):
【化3】

[式中、
は、水素又はハロであり、
は、水素、ハロ、CN、OH、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、C3-7シクロアルキル、C~Cアルカノイル、-(C~Cアルキル)C(O)NR、-NR、3~7員の単環式飽和もしくは部分飽和複素環、5~6員の単環式ヘテロアリール環又は5~6員の単環式アリール環であり、
ここで、任意のアルキル、アルカノイル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル又はC1-3ハロアルキルにより場合により置換されており、
は、水素、ハロ、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又は-(C~Cアルキル)C(O)R13であり、
ここで、任意のアルキル又はアルケニルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3~11員の飽和もしくは部分飽和複素環又は5~6員の単環式ヘテロアリール環であり、
ここで、任意のアルコキシは、独立して、ハロ、OH、C3-7シクロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
任意のシクロアルキル又は他の環は、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されており、
Aは、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されている3~11員の複素環であり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~11員の飽和複素環、-C(O)R13、-C(O)OR13又は-C(O)NRであり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR13又は-NRにより場合により置換されており、
12は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
13は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~11員の飽和複素環であり、
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、-OR12又は-NRにより場合により置換されている]
で示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩として更に定義される。
【0075】
一部の実施態様では、R及びRは、それぞれ水素であり、Rは、水素、ハロ、CH、CHF、CHF、CF、シクロプロピル又は-C(O)CHである。一部の実施態様では、R及びRは、それぞれ水素であり、Rは、水素又はCHである。一部の実施態様では、R、R及びRは、それぞれ水素である。
【0076】
一部の実施態様では、Rは、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されている3~11員の飽和又は部分飽和複素環である。一部の実施態様では、Rは、ハロ、オキソ、CN、OH、-(C0-3アルキル)C(O)NR1011、-OP(O)(OC1-3アルキル)又はハロ、オキソ、CN、OHもしくは-NRにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されているN結合3~11員の飽和複素環である。一部の実施態様では、Rの任意の3~11員の飽和又は部分飽和複素環の環ヘテロ原子は、窒素及び酸素から選択される。一部の実施態様では、Rは、N-結合ピペリジニル、N-結合ピペラジニル又はN-結合モルホリニルであり、ここで、任意のRは、ハロ、オキソ、CN、OH又はハロ、オキソ、CNもしくはOHにより場合により置換されているC1-3アルキルにより場合により置換されている。
【0077】
一部の実施態様では、式Iの下記部分
【化4】

は、I-A:
【化5】

[式中、
Aは、更なる環ヘテロ原子を場合により含有する5又は6員環であり、
ここで、Aは、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより場合により置換されており、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている]
として更に定義される。一部の実施態様では、I-Aは、I-B:
【化6】

[式中、
14及びR15はそれぞれ、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されており、
又は、R14及びR15は共に、C3-6シクロアルキル又は飽和もしくは部分飽和3~6員の複素環を形成しており、
ここで、任意のシクロアルキル又は他の環は、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている]
として更に定義される。
【0078】
一部の実施態様では、R14及びR15はそれぞれ、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている。
【0079】
一部の実施態様では、Aは、環原子として1個の酸素のみを含む3~11員の複素環であり、(i)OH又は(ii)OHにより場合により置換されているC1-6アルキルにより場合により置換されている。
【0080】
一部の実施態様では、式Iの下記部分
【化7】

は、I-C:
【化8】

[式中、
Aの窒素は、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルにより置換されており、
ここで、任意のアルキル又はシクロアルキルは、独立して、ハロ、オキソ、CN、OH、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ又はC1-3ハロアルコキシにより場合により置換されている]
として更に定義される。
【0081】
一部の実施態様では、式I又はIIで示される化合物は、
【化9】

ではない。
【0082】
一部の実施態様では、下記構造:
【化10】

に基づくマッチドペアと比較して、本明細書に記載されたIRAK4阻害剤の動的溶解度を改善する(すなわち、値を上昇させる)ことができ、及び/又は、血漿タンパク質との結合を改善する(すなわち値を低下させる)ことができる。
【0083】
一部の実施態様では、化合物は、以下に示された表1もしくは2の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択される。
【0084】
表1.本発明の例示的な化合物。このような化合物の塩も可能性がある。このような化合物の調製については、実施例セクションを参照のこと。
【表1】


【0085】
表2.下記化合物も、当業者に知識と組み合わせて、本明細書に記載された方法を利用して調製することができる。
【表2】
【0086】
IRAK4阻害剤の合成
本発明の化合物を、以下に示され、記載される例示的な合成反応スキ-ムに示される各種の方法により調製することができる。これらの化合物を調製するのに使用される出発材料及び試薬は、一般的には、商業的供給業者、例えば、Aldrich Chemical Co.,から入手可能であるか、又は、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, vol. 1-21;R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds.) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11;及びOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, vol. 1-40等の参考文献に説明された手法に従って、当業者に公知の方法により調製されるかのいずれかである。以下の合成反応スキ-ムは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法の単なる例示であり、これらの合成反応スキ-ムに対する種々の改変をすることができ、同改良は、本願に含まれる開示を参照した当業者に示唆されるであろう。
【0087】
例示の目的で、以下の反応スキームから、本発明の化合物及び重要な中間体を合成するための経路が提供される。個々の反応工程のより詳細な説明については、以下の実施例セクションを参照のこと。当業者であれば、他の合成経路を使用することができると、理解するのであろう。いくつかの特定の出発材料及び試薬をスキームに示し、以下で検討するが、他の出発材料及び試薬が、各種の誘導体又は反応条件を提供するのに置換することができる。加えて、以下に記載される方法により調製される化合物の多くは、当業者に周知の慣例的な化学を使用して、本開示を考慮して更に修飾することができる。
【0088】
合成反応スキームの出発材料及び中間体を、必要に応じて、ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない従来技術を使用して、単離し、精製することができる。このような材料は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けることができる。
【0089】
特に断りない限り、本明細書に記載された反応を、好ましくは、不活性雰囲気下、大気圧、約-78℃~約150℃、より好ましくは、約0℃~約125℃、最も好ましくかつ都合よく、約室温(又は周囲温度)又は約20℃の反応温度範囲で行う。
【0090】
以下のスキームのいくつかの化合物を、一般化された置換基を使用して示すが、当業者であれば、R基の性質を変化させて、本発明において企図される種々の化合物を与えることができると、直ちに理解するであろう。更に、反応条件は例示であり、代替条件は周知である。以下の実施例における反応順序は、特許請求の範囲で説明された本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0091】
【化11】
【0092】
本明細書で例示された2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5,6-ジアミン誘導体を、6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジンI-3bを以下のスキームIIに示された重要な中間体として利用して調製することができる。n-ブチルリチウムの存在下で、2,2-ジメチルオキシランを3-ブロモ-2,6-ジフルオロピリジンに加えて、第三級アルコールI-2を与え、I-2は、分子内環化を受けて、I-3aを与える。アミンによるフッ素のニトロ化及び置き換え、続けて、ニトロの還元及び塩化アシルによるアシル化を以下のスキームIIIと同様に行う。
【0093】
【化12】
【0094】
本明細書で例示された2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5,6-ジアミンを、6-クロロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジンII-3bをスキームIIに示された重要な中間体として利用して調製することができる。メチルグリニャ-ルをメチル 2-(6-クロロ-2-フルオロピリジン-3-イル)アセタートに加えて、第三級アルコールII-2を与え、II-2は、分子内環化を受けて、II-3aを与える。アミンによる塩化物のニトロ化及び置き換え、続けて、ニトロの還元及びI-3によるアシル化を以下のスキームIIIと同様に行う。当業者であれば、対応する5-フルオロ及び5-ブロモ誘導体をメチル 2-(2,5-ジフルオロピリジン-3-イル)アセタート及びメチル 2-(5-ブロモ-2-フルオロピリジン-3-イル)アセタートそれぞれから容易に入手できると、理解するのであろう。
【0095】
【化13】
【0096】
スキームIIIに関して、必要な2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジニル誘導体を、6-ハロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン誘導体III-1aをニトロ化して、III-1bを与え、続けて、ハロゲンをアミンで置き換えて、III-2aを与えることにより調製することができる。典型的なアミンは、モルホリン及び3-ヒドロキシメチルピペリジンを含む。ニトロ基の還元及びピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(I-3)又はその活性化誘導体との縮合により、所望のアミドを与える。必要な前駆体は、市販されているか又は本明細書に記載されたように調製される。
【0097】
芳香族ニトロ化は周知であり、当技術分野において公知の各種の条件下で行うことができる。ニトロ化を、例えば、芳香族化合物を濃硝酸及び硫酸に曝露することにより行うことができる。活性基質をHNO単独により又はHO、HOAc及び無水酢酸中でニトロ化することができ、活性化合物をHNOとHSOとの混合物により酸化することができる。他のニトロ化試薬は、NaNO/TFA、Cu(NO/HOAc/AcO、N、NO BF 、NO PF 及びNO CFSO を含む。例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons: New York, NY, 1992, pp. 522-23を参照のこと。
【0098】
ニトロ基の還元を、各種の周知の還元剤を使用して行うことができる。例えば、ニトロを、不活性溶媒の存在下及び水素化反応を触媒するのに有効な金属、例えば、白金又はパラジウムの存在下において、水素雰囲気下で還元することができる。還元を、活性金属、例えば、活性鉄、亜鉛又はスズ(例えば、希酸溶液、例えば、希塩酸により鉄粉末を洗浄することにより製造される)を使用して行うこともできる。
【0099】
アミンIII-2b中間体とII-3とのカップリングは、一般的に使用されるカップリング試薬により達成されるか、又は代わりに、3を対応する酸塩化物に変換し、III-2bと縮合させることができる。
【0100】
酸塩化物による第一級アミンのアシル化を、典型的には、不活性溶媒、例えば、DMF、DCM、THF、ピリジン中で、水を共溶媒として使用し又は共溶媒として使用せずに、一般的には、塩基、例えば、NaCO、NaHCO、KCO、DIPEA、TEA又はピリジン等の存在下、0℃~60℃の温度で行い、対応するアミドを与える。カルボン酸を、当業者に周知の標準試薬、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル等を使用してそれらの酸塩化物に変換することができる。これらの試薬は、塩基、例えば、DIPEA、TEA又はピリジンの存在下で使用することができる。
【0101】
代替的に、カルボン酸を、当業者に周知であるペプチド合成のために開発された試薬を利用することにより、in situにおいて、活性化誘導体に変換することができる。これらの活性化された酸を、記載されたアミンと直接反応させて、対応するアミドを与えた。一般的なカップリング試薬は、EDC、DCC、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、ブロモ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBrOP)、2-フルオロ-1-メチルピリジニウム p-トルエンスルホナート(Mukaiyamaの試薬)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’、N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)又は(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-ピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyAOP)を、場合により、改質剤、例えば、HOBtの存在下で、塩基、例えば、NMM、TEA又はDIPEAを使用して又は使用せずに、不活性溶媒、例えば、DMF又はDCM中において、0℃~60℃の温度で含む。アミンのアシル化(例えば、J. March, supra pp. 417-425;H. G. Benz, Synthesis of Amides and Related Compounds in Comprehensive Organic Synthesis, E. Winterfeldt, ed., vol. 6, Pergamon Press, Oxford 1991 pp. 381-411;R. C. Larock, Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Preparations, 1989, VCH Publishers Inc., New York; pp. 972-976を参照のこと)がレビュ-されている。
【0102】
IRAK4阻害剤による処置方法及びIRAK4阻害剤の使用
本発明の化合物は、IRAK4阻害剤として有用である。したがって、一実施態様では、細胞、例えば、ex vivo細胞を本発明の化合物と接触させて、細胞におけるIRAK4活性を阻害する方法が提供される。
【0103】
式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る賦形剤、担体又は希釈剤とを含む、医薬組成物も提供される。本発明の化合物(このような化合物を含む医薬組成物を含む)を本明細書に記載された方法において使用することができる。
【0104】
更に、患者におけるIRAK4の阻害に応答する疾患又は状態を予防し、治療し、又は、同疾患又は状態の重症度を軽減する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を、患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0105】
また、患者におけるガンを処置するための方法であって、治療上有効量の本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を、患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0106】
更に、患者における炎症性疾患又は自己免疫疾患を処置するための方法であって、治療上有効量の本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を、患者に投与することを含む、方法が提供される。一部の実施態様では、疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸障害(IBD)、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚ループス、乾癬、全身性発症若年性特発性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風及び痛風性関節炎からなる群より選択される。
【0107】
一部の実施態様では、本発明の化合物を使用して処置することができるIRAK4の阻害に応答する他の疾患又は状態は、メタボリック症候群、アテローム性動脈硬化及び神経変性を含む。
【0108】
更に、治療における、本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。一部の実施態様では、本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の使用は、炎症性疾患の処置において提供される。一部の実施態様では、本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の使用は、炎症性疾患の処置用の医薬の製造のために提供される。更に、一部の実施態様では、本発明の化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の使用は、炎症性疾患の処置における使用のために提供される。
【0109】
また、治療を必要とする患者においてIRAK4を阻害する方法であって、本発明の化合物を、患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0110】
用量及び投与
本発明は、本発明の化合物と、少なくとも1つの治療上不活性な担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する、医薬組成物又は医薬並びに本発明の化合物を使用してこのような組成物及び医薬を調製する方法を提供する。一例では、所望の純度を有する式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を、生理学的に許容し得る担体、すなわち、周囲温度及び適切なpHで剤型に利用される用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である担体と混合することにより製剤化することができる。製剤のpHは、主に特定の用途及び化合物の濃度により決まるが、典型的には、約3~約8の範囲のどこかである。一例では、式Iで示される化合物をpH5の酢酸バッファー中において製剤化する。別の実施態様では、式Iで示される化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体又は非晶質組成として、凍結乾燥製剤として又は水溶液として保存することができる。
【0111】
組成物は、良好な医療行為と一致する様式で処方され、投薬され、投与される。この文脈において考慮される因子は、処置される特定の障害、障害の重症度、処置される特定の患者、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング及び医師に知られている他の因子を含む。投与されるべき化合物の「有効量」は、このような考慮によって決定され、IRAK4活性を阻害するのに必要な最少量である。典型的には、このような量は、正常細胞又は患者に対して全体として毒性である量を下回ることができる。
【0112】
適用のための医薬組成物(又は製剤)は、薬剤を投与するのに使用される方法に応じて、種々の方法で包装することができる。一般的には、流通用物品は、適切な形態で医薬製剤をその中に置いた容器を含む。適切な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダー等の材料を含む。また、容器は、包装の内容物への間接的なアクセスを防止するために、不正開封防止アセンブリッジを含むこともできる。加えて、容器はその上に、容器の内容物を説明するラベルを付着している。また、ラベルは、適切な警告を含むこともできる。
【0113】
徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適切な例は、式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、同マトリックスは、成形された物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にある。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタマートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0114】
ヒト患者を治療するための用量は、式Iで示される化合物もしくは立体異性体又は薬学的に許容し得る塩を、約0.1mg~約1000mgの範囲であることができる。典型的な用量は、該化合物を、約1mg~約300mgであることができる。用量は、特定の化合物の吸収、分布、代謝及び排泄を含む薬物動態学的及び薬力学的特性に応じて、1日1回(QD)、1日2回(BID)又はより高頻繁に投与することができる。加えて、毒性因子が、投薬及び投与計画に影響を及ぼす場合がある。経口投与される場合、丸剤、カプセル剤又は錠剤は、指定された期間、毎日又はそれより低頻度で摂取することができる。この計画は、治療の多数のサイクルにわたって繰り返すことができる。
【0115】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内、硬膜外及び鼻腔内並びに、局所処置が所望される場合、病変内投与を含む、任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。
【0116】
本発明の化合物は、任意の好都合な投与形態、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ等で投与することができる。このような組成物は、医薬調製物において慣用的な成分、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、増量剤及び更なる活性剤を含有することができる。
【0117】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体又は賦形剤とを混合することにより調製される。適切な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel, H. C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al.Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, R. C., Handbook of Pharmaceutical Excipients, Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。また、製剤は、薬剤(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗練された提示を提供するために、又は医薬品(すなわち、医薬)の製造を助けるために、1つ以上のバッファー、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、酸化防止剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、香料、香味剤、希釈剤及び他の公知の添加剤を含むこともできる。
【0118】
経口投与のために、クエン酸等の種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸及び特定の複合ケイ酸塩等の種々の崩壊剤並びにスクロース、ゼラチン及びアカシア等の結合剤と共に利用することができる。加えて、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクは、錠剤化の目的で多くの場合有用である。また、類似の種類の固体組成物は、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルにおいて利用することもできる。したがって、好ましい材料は、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールを含む。経口投与のために水性懸濁剤又はエリキシル剤が望まれる場合、その中の活性化合物は、希釈剤、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン又はそれらの組み合わせと共に、種々の甘味剤又は香味剤、着色剤又は色素及び必要に応じて、乳化剤又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0119】
適切な経口剤型の例は、約90~30mg 無水ラクトース、約5~40mg クロスカルメロース、約5~30mg ポリビニルピロリドン(PVP)K30及び約1~10mg ステアリン酸マグネシウムと配合された、約25mg、50mg、100mg、250mg又は500mg 本発明の化合物を含有する錠剤である。粉末化成分は、まず、互いに混合され、ついで、PVPの溶液と混合される。得られた組成物を乾燥させ、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、従来の装置を使用して錠剤形態に圧縮することができる。エアロゾル製剤の例は、例えば、5~400mg 本発明の化合物を、適切なバッファー溶液、例えば、リン酸バッファーに溶解させ、必要に応じて、等張化剤(tonicifier)、例えば、塩化ナトリウム等の塩を加えることにより調製することができる。この溶液は、不純物及び汚染物質を除去するために、例えば、0.2マイクロメートルフィルターを使用してろ過することができる。
【0120】
一実施態様では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加の抗増殖剤も含む。
【0121】
したがって、実施態様は、式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を含む、医薬組成物を含む。更なる実施態様は、式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を、薬学的に許容し得る担体又は賦形剤と共に含む、薬学的組成物を含む。
【0122】
更に、本発明は、獣医学的な担体と共に、上記定義された少なくとも1つの有効成分を含む、獣医学組成物を提供する。獣医学的な担体は、組成物を投与する目的に適した材料であり、獣医科分野において何らかに不活性であるか又は許容することができ、有効成分と適合可能である固体、液体又は気体の材料であることができる。これらの獣医学組成物は、非経口、経口又は任意の他の所望の経路により投与することができる。
【0123】
併用療法
式Iで示される化合物は、単独で又は本明細書に記載された疾患もしくは障害の処置のための他の治療剤と組み合わせて利用することができる。医薬組合せ製剤又は投与計画の第2の化合物は、好ましくは、それらが互いに悪影響を及ぼさないように、式Iで示される化合物に対して補完的な活性を有する。併用療法は、「相乗効果」を提供し、「相乗効果」、すなわち、共に使用される有効成分が、化合物を別々に使用することから生じる効果の合計よりも大きい場合に達成される効果を証明することができる。
【0124】
併用療法は、同時又は連続的計画として投与することができる。連続的に投与される場合、組み合わせは、2回以上の投与で投与することができる。併用投与は、別々の製剤又は単一の医薬製剤を使用する同時投与及びいずれかの順序での連続投与を含み、ここで、好ましくは、両方の(又は全ての)活性剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間が存在する。
【0125】
このため、本発明の併用療法は、式Iで示される少なくとも1つの化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩の投与及び少なくとも1つの他の処置方法の使用を含む。式Iで示される化合物及び他の医薬活性剤の量並びに投与の相対的タイミングは、所望の併用療法効果を達成するのに選択されるであろう。
【0126】
製品
本発明の別の実施態様では、上記された疾患及び障害の処置に有用な材料を含有する、製品又は「キット」が提供される。一実施態様では、キットは、式Iで示される化合物もしくは立体異性体又はその薬学的に許容し得る塩を含む容器を含む。キットは、容器上又は容器と関連付けられたラベル又は添付文書を更に含むことができる。「添付文書」という用語は、治療製品の商業的包装中に慣例的に含まれ、このような治療製品の使用に関する適用症、使用法、投与量、投与、禁忌及び/又は警告についての情報を含む、説明書を指すのに使用される。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等を含む。容器は、ガラス又はプラスチック等の各種の材料から形成することができる。容器は、状態を処置するのに有効な式Iで示される化合物又はその製剤を保持することができ、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針により穿刺可能なストッパーを有するバイアルであることができる)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、式Iで示される化合物である。代替的に又は付加的に、製品は、医薬希釈剤、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む第2の容器を更に含むことができる。第2の容器は、商業的観点及びユーザーの観点から所望される他の材料を更に含むことができ、同材料は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む。
【0127】
別の実施態様では、キットは、式Iで示される化合物の固体経口形態、例えば、錠剤又はカプセル剤の送達に適している。このようなキットは、多数の単位用量を含むことができる。このようなキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装業界において周知であり、医薬単位剤形を包装するのに広く使用されている。
【0128】
実施例
以下の実施例は、本発明の範囲内の化合物の調製及び生物学的評価を例示する。以下のこれらの実施例及び調製は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することを可能にするために提供される。それらは、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、単にその例示及び代表であるとみなされるべきである。
【0129】
実施例1.N-(2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化14】

工程A.1-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-メチル-プロパン-2-オール
【化15】

テトラヒドロフラン(20mL)中の3-ブロモ-2,6-ジフルオロ-ピリジン(5.22g、25.57mmol)の溶液に、窒素下-78℃で、n-ブチルリチウム(2.5M、11mL、28mmol)を滴加した。この反応物を-78℃で30分間維持し、続けて、2,2-ジメチルオキシラン(2.7ml、30.7mmol)及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(3.9ml、30.7mmol)を加えた。-78℃で2時間後、この反応物を室温にし、水(200ml)でクエンチし、ジクロロメタン(20ml×3)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~30% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、所望の生成物を黄色の油状物(1630mg、収率34%)として与えた。MS(ESI):m/z=188.1[M+1]
【0130】
工程B.6-フルオロ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン
【化16】

テトラヒドロフラン(6ml)中のカリウムtert-ブトキシド(300mg、2.67mmol)及び1-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-メチル-プロパン-2-オール(200mg、1.07mmol)の混合物を20℃で2時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(20ml×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~80%石油エーテル:酢酸エチル)により精製して、所望の生成物を無色の油状物(105mg、収率54%)として与えた。MS(ESI):m/z=168.1[M+H]
【0131】
工程C.6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン
【化17】

酢酸(3ml)及び無水酢酸(3ml)中の6-フルオロ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(210mg、1.26mmol)の溶液に、硝酸銅(II)(705.6mg、3.76mmol)を0℃で加え、得られた混合物を20℃で48時間撹拌した。この反応物を水で希釈し、酢酸エチル(10ml)で抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、所望の生成物を白色の固体(290mg、収率93%)で与えた。MS(ESI):m/z=213.0[M+H]
【0132】
工程D.2,2-ジメチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン
【化18】

アセトニトリル(2mL)中の6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(中間体5、164mg、0.77mmol)及びモルホリン(1ml)の混合物を周囲温度で2時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、黄色の残留物を1% クエン酸水溶液と酢酸エチルとの間で分けた。有機相を単離し、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。黄色の残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~30% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、2,2-ジメチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン(105mg、収率49%)を与えた。MS(ESI):m/z=280[M+1]
【0133】
工程E.2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン
【化19】

ジオキサン中の2,2-ジメチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(105mg、0.38mmol)の溶液を1atmにおいて、10% 炭素担持パラジウム(50mg)上で3時間水素化した。この混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン(91mg、収率96%)を与えた。これを更に精製することなく使用した。MS(ESI):m/z=250[M+1]
【0134】
工程F.N-(2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化20】

2,2-ジメチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン(90mg、0.36mmol)、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド塩酸塩(94mg、0.43mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(9mg、0.072mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.132ml、0.72mmol)の混合物を110℃で30分間マイクロ波加熱に供した。この混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルと水との間で分けた。有機相を単離し、5% クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~70% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、N-(2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(89mg、収率63%)を与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.07 (s, 1H), 9.38 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.97 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.54 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 3.87 - 3.76 (m, 4H), 3.04 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 3.00 - 2.89 (m, 4H), 1.44 (s, 6H). MS (ESI):m/z=395[M+1]
【0135】
実施例2.N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化21】

工程A.(1-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペリジン-4-イル)メタノール
【化22】

アセトニトリル(2mL)中の6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(実施例1、工程C;380mg、0.77mmol)、4-ピペリジルメタノール(413mg、2.0mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.63ml、3.58mmol)の混合物を50℃で2時間撹拌した。この混合物を1% クエン酸水溶液と酢酸エチルとの間で分けた。有機相を単離し、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。黄色の残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~50% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、(1-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペリジン-4-イル)メタノール(388mg、収率71%)を黄色の泡状物として与えた。MS(ESI):m/z=308[M+1]
【0136】
工程B.[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-ピペリジル]メタノール
【化23】

[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-ピペリジル]メタノールを実施例1、工程Eに類似の方法で調製して、所望の生成物(180mg、定量的)を与えた。これを更に精製することなく使用した。MS(ESI):m/z=278[M+1]
【0137】
工程C.N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化24】

表記化合物を実施例1、工程Fに類似の方法で調製して、N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(99mg、収率36%)を与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.15 (s, 1H), 9.38 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.90 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz,1H), 8.70 (s, 1H), 8.60 - 8.54 (m, 1H), 7.35 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 4.52 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 3.41 - 3.35(m, 2H), 3.11 (d, J = 11.7 Hz, 2H), 3.03 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 11.2 Hz, 2H), 1.72 (d, J = 10.1Hz, 2H), 1.56 - 1.48 (m, 3H), 1.43 (s, 6H)。MS(ESI):m/z=423[M+1]
【0138】
実施例3.N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化25】

工程A.6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド
【化26】

6-メチルピラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボン酸(US第201215962号、調製48;150.0mg、0.8500mmol)、塩化チオニル(6mL、0.85mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.01mL、0.85mmol)の混合物を80℃で2時間撹拌した。この反応物を減圧下で濃縮し、更に精製することなく使用した。
【0139】
工程B.N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化27】

ジクロロメタン(6mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(163.87mg、1.62mmol)及び[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-ピペリジル]メタノール(実施例2、工程B;150.0mg、0.540mmol)に、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド(158.7mg、0.81mmol)を加え、この混合物を15℃で12時間撹拌した。この混合物を濃縮し、メタノール(15mL)及び1M 水酸化ナトリウム(2mL)に再懸濁させ、15℃で1時間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、酢酸エチルを加えた。有機相を分離し、濃縮した。残留物をフラッシュシリカクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル中の3% メタノール)、続けて、調製用HPLC(Gilson 281, Xbridge 21.2×250mm c18、10um、A:水(重炭酸アンモニウム 10mL) B:アセトニトリル、25~75% B、10分間)により精製して、N-[6-[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]-6-メチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(100mg、0.23mmol、収率42.4%)を白色の固体として与えた。1H NMR (400MHz, CDCl3): 10.12 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.63 (s, 2H), 8.61 (s, 1H), 3.64-3.61 (m, 2H), 3.29-3.26 (m, 2H), 3.03 (s, 2H), 2.94-2.88 (m, 2H), 2.48 (s, 3H), 2.01 (s, 2H), 1.81-1.79 (m, 2H), 1.65-1.63 (m, 1H), 1.51 (s, 6H), 1.37-1.34 (m, 1H)。MS(ESI):m/z=437.1[M+1]
【0140】
実施例4.N-(6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化28】

工程A.2-[4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール
【化29】

アセトニトリル(20ml)中の炭酸セシウム(738.1mg、2.26mmol)、6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(実施例1、工程C、350mg、1.13mmol)、1-ピペラジンエタノール(154.8mg、1.2mmol)の混合物を室温で3時間撹拌した。水を加え、この混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機相を単離し、濃縮して、2-[4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール(300mg、0.81mmol、収率71.4%)を黄色の油状物として与えた。MS(ESI):m/z=323.3[M+H]
【0141】
工程B.2-[4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール
【化30】

メタノール(20mL)中の炭素担持パラジウム(10重量%、100mg、0.93mmol)及び2-[4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール(300mg、0.93mmol)の混合物を水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。この反応物をろ過し、ろ液を濃縮して、2-[4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール(240mg、収率65.3%)を褐色の油状物として与えた。MS(ESI):m/z=293.2[M+H]
【0142】
工程C.N-(6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化31】

表記化合物を実施例1、工程Fに類似の方法で調製し、N-(6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(115mg、収率32%)を淡黄色の固体として与えた。1H NMR (400MHz, CDCl3): 10.01 (s, 1H), 8.84 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.74 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.57 (s, 1H), 7.08 (dd, J = 4.0, 7.2 Hz, 1H), 3.64 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.19-3.16 (m, 4H), 3.04 (s, 2H), 2.74-2.71 (m, 4H), 2.62 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.02-1.99 (m, 1H), 1.52 (s, 6H)。MS(ESI):m/z=438.3[M+1]
【0143】
実施例5.N-[6-[4-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化32】

工程A.[1-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-フルオロ-4-ピペリジル]メタノール
【化33】

アセトニトリル(1ml)中の炭酸カリウム(27.6mg、0.2mmol)、6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(実施例1、工程C、21.2mg、0.10mmol)、(4-フルオロ-4-ピペリジル)メタノール(13.3mg、0.10mmol)の混合物を室温で4時間撹拌した。この反応物をろ過し、ろ液を濃縮して、[1-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-フルオロ-4-ピペリジル]メタノール(40mg、収率91%)を黄色の油状物として与えた。MS(ESI):m/z=326.2[M+H]
【0144】
工程B.[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-フルオロ-4-ピペリジル]メタノール
【化34】

表記化合物を実施例4、工程Bに類似の方法で調製して、[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-フルオロ-4-ピペリジル]メタノール(55mg、収率77%)を淡黄色の固体として与えた。MS(ESI):m/z=296.1[M+H]
【0145】
工程C.N-[6-[4-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化35】

N,N-ジメチルホルムアミド(2ml)中のピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(36.5mg、0.22mmol)、[1-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-4-フルオロ-4-ピペリジル]メタノール(55.0mg、0.19mmol)、HATU(106.2mg、0.28mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(37.7mg、0.37mmol)の混合物を80℃で4時間撹拌した。この反応物をろ過し、ろ液を調製用HPLCにより精製して、N-[6-[4-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(56mg、収率68%)を白色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.13 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 9.39 (dt, J = 7.0, 1.3 Hz, 1H), 8.90 (dd, J = 4.0, 1.6 Hz, 1H), 8.70 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.59 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.1, 4.2 Hz, 1H), 5.14 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 3.52 (dd, J = 17.6, 5.9 Hz, 2H), 3.07 - 2.91 (m, 6H), 2.13 - 1.92 (m, 2H), 1.83 (t, J = 12.1 Hz, 2H), 1.44 (s, 6H)。MS(ESI):m/z=441.1[M+H]
【0146】
実施例6.N-[6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化36】

工程A.tert-ブチル 4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート
【化37】

表記化合物を実施例5、工程Aに類似の方法で調製して、tert-ブチル 4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート(40mg、収率91%)を黄色の固体として与えた。MS(ESI):m/z=379.2[M+H]
【0147】
工程B.2,2-ジメチル-5-ニトロ-6-ピペラジン-1-イル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン塩酸塩
【化38】

1,4-ジオキサン(1mL)中の塩酸(0.3mL、1.1mmol)及びtert-ブチル 4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート(85.0mg、0.220mmol)の混合物を室温で4時間撹拌した。この反応物を濃縮して、塩酸塩としての2,2-ジメチル-5-ニトロ-6-ピペラジン-1-イル-3H-フロ[2,3-b]ピリジンを黄色の固体(70mg、収率99%)として与えた。MS(ESI):m/z=279.1[M+H]
【0148】
工程C.2-[4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]アセトアミド
【化39】

アセトニトリル(2ml)中の2,2-ジメチル-5-ニトロ-6-ピペラジン-1-イル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン塩酸塩(70.0mg、0.22mmol)及び2-クロロアセトアミド(31.2mg、0.33mmol)の混合物を室温で4時間撹拌した。この反応物を濃縮して、所望の生成物を黄色の固体として与えた。MS(ESI):m/z=336.1[M+H]
【0149】
工程D.2-[4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]アセトアミド
【化40】

表記化合物を、実施例4、工程Bに類似の方法で調製し、2-[4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペラジン-1-イル]アセトアミド(66mg、収率95%)を黄色の固体として与えた。MS(ESI):m/z=306.1[M+H]
【0150】
工程E.N-[6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化41】

表記化合物を実施例5、工程Cに類似の方法で調製し、N-[6-[4-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)ピペラジン-1-イル]-2,2-ジメチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(55mg、収率62%)を黄色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.08 (s, 1H), 9.39 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 8.99 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 7.37 (dd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 7.28 - 7.22 (m, 1H), 7.17 (s, 1H), 3.06 - 2.95 (m, 8H), 2.69 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 1.44 (s, 6H)。MS(ESI):m/z=441.1[M+H]
【0151】
実施例7及び8.(R)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及び(S)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化42】

工程A.(4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン-3-イル)メタノール
【化43】

アセトニトリル(4mL)中の6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(実施例1、工程C;170mg、0.80mmol)、モルホリン-3-イルメタノール(235mg、2.0mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL、0.8mmol)の混合物を密封バイアルにおいて、60℃で1時間加熱した。この混合物をろ過し、ろ液を真空中で濃縮し、黄色の残留物を1% クエン酸水溶液と酢酸エチルとの間で分けた。有機相を単離し、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。黄色の残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~50% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、(1-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)ピペリジン-4-イル)メタノールを黄色の泡状物として与えた。MS(ESI):m/z=310[M+1]
【0152】
工程B.(4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン-3-イル)メタノール
【化44】

ジオキサン(12mL)中の(4-(2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン-3-イル)メタノール(168mg、0.54mmol)の溶液を10% 炭素担持パラジウム(100mg)で処理し、水素雰囲気下で8時間撹拌した。この混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、(4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン-3-イル)メタノール(110mg、72%)を無色の泡状物として与えた。これを更に精製することなく使用した。MS(ESI):m/z=280[M+1]
【0153】
工程C.(R)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及び(S)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化45】

ピリジン(4ml)中の(4-(5-アミノ-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン-3-イル)メタノール(110mg、0.39mmol)、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド塩酸塩(94mg、0.43mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(5mg、0.04mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.135ml、0.78mmol)の混合物を110℃で30分間マイクロ波加熱に供した。この混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルと水との間で分けた。有機相を単離し、5% クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~70% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により精製して、N-(2,2-ジメチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(100mg、60%)をエナンチオマーの混合物として与えた。MS(ESI):m/z=425[M+1]。エナンチオマーをキラルSFCにより分離して、(R)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(25mg)及び(S)-N-(6-(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(27mg)を与えた。立体化学をピーク溶出に基づいて任意に割り当てた。
【0154】
実施例7、ピーク1:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.42 (s, 1H), 9.38 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.96 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.67 - 8.62 (m, 1H), 7.35 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 4.50 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 11.2, 2.5 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 6.1, 4.1 Hz, 2H), 3.64 (dd, J = 11.2, 6.9 Hz, 1H), 3.29 - 3.21 (m, 3H), 3.07 (s, 2H), 2.95 - 2.84 (m, 2H), 1.45 (s, 3H), 1.44 (s, 3H)。MS(ESI):m/z=425[M+1]
実施例8、ピーク2:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.42 (s, 1H), 9.38 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.96 (dd, J = 4.2, 1.6 Hz, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.65 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 4.50 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 11.1, 2.4 Hz, 1H), 3.84 - 3.77 (m, 2H), 3.64 (dd, J = 11.2, 6.9 Hz, 1H), 3.29 - 3.20 (m, 3H), 3.07 (s, 2H), 2.94 - 2.83 (m, 2H), 1.46 (s, 3H), 1.44 (s, 3H)。MS(ESI):m/z=425[M+1]
【0155】
実施例9.N-(6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化46】

工程A:6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン
【化47】

アセトニトリル(2mL)中の6-フルオロ-2,2-ジメチル-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン(実施例1、工程C;170mg、0.80mmol)、1-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン(301mg、2.00mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.132mL、0.8mmol)の混合物を密封バイアルにおいて、60℃で20時間加熱した。この混合物をろ過し、ろ液を真空中で濃縮し、黄色の残留物を水と酢酸エチルとの間で分けた。有機相を単離し、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン(270mg、98.5%)を黄色の残留物として与えた。これは放置すると結晶化し、更に精製することなく使用した。MS(ESI):m/z=343[M+1]
【0156】
工程B.6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン
【化48】

ジオキサン(12ml)中の6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン(270mg、0.79mmol)の溶液を10% 炭素担持パラジウム(200mg)で処理し、水素雰囲気下で18時間撹拌した。この混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン(225mg、91%)とし、これを更に精製することなく使用した。MS(ESI):m/z=313[M+1]
【0157】
工程C.N-(6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化49】

ピリジン(5ml)中の6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-アミン(225mg、0.72mmol)、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド塩酸塩(220mg、1.00mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(18mg、0.14mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.38ml、2.20mmol)の混合物を、110℃で30分間マイクロ波加熱に供した。この混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルと水との間で分けた。有機相を単離し、1% クエン酸水溶液、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液、水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出勾配 0~100% 酢酸イソプロピル:ヘプタン)により生成して、N-(6-(4-(2,2-ジフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(106mg、32%)とした。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.04 (s, 1H), 9.38 (dd, J = 7.0, 1.6 Hz, 1H), 8.96 (dd, J = 4.1, 1.6 Hz,1H), 8.70 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 7.37 (dd, J = 7.0, 4.2 Hz, 1H), 6.39 - 6.02 (m, 1H), 3.00 - 2.92 (m, 4H), 2.91 - 2.79 (m, 2H), 2.79 - 2.73 (m, 4H), 1.44 (s, 6H)。MS(ESI):m/z=458[M+1]
【0158】
実施例10及び11.(S)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及び(R)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化50】

工程A.(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)メタノール
【化51】

テトラヒドロフラン(100ml)中の2,6-ジフルオロピリジン-3-カルボン酸(8g、50mmol)の溶液に、窒素雰囲気下0℃で、ジメチルスルフィド(20ml、201mmol)中の10M ボランをゆっくり加えた。添加後、この反応混合物を10℃で3時間撹拌し、0℃に冷却し、メタノール(15ml)を滴加して処理した。この混合物を40℃に30分間加熱し、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出勾配:8%~10% メタノール:ジクロロメタン)により精製して、(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)メタノール(7.0g、96%)を無色の油状物で与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.18 - 8.11 (m, 1H), 7.16 (dd, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.47 (t, J = 5.2 Hz,1H), 4.52 (d, J = 5.2 Hz, 2H)。
【0159】
工程B.3-(ブロモメチル)-2,6-ジフルオロピリジン
【化52】

テトラヒドロフラン(20ml)中の(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)メタノール(7.0g、48.2mmol)に、トリフェニルホスフィン(15.2g、57.9mmol)を10℃で加えた。10分後、テトラブロモメタン(19.2g、57.9mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下10℃で16時間撹拌した。この混合物をろ過し、ろ液をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:30% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、3-(ブロモメチル)-2,6-ジフルオロ-ピリジン(9.0g、90%)を白色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.98 - 7.90 (m,1H), 6.85 (dd, J = 8.4 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H)。
【0160】
工程C.メチル 2-ベンジルオキシプロパノアート
【化53】

テトラヒドロフラン(100ml)中のメチルラクタート(10.0g、96.1mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(3.8g、96.1mmol)を0℃で加えた。1時間後、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(17.7mg、0.05mmol)及び臭化ベンジル(11.4ml、96.1mmol)を加え、この混合物を10℃で16時間撹拌した。この反応物を冷却した飽和塩化アンモニウム溶液(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(30ml×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(20ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(溶出勾配:5%~10% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、メチル 2-ベンジルオキシプロパノアート(12g、収率64.3%)を無色の油状物として与えた。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.37 - 7.32 (m, 5H), 4.72 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.11 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 1.46 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0161】
工程D.メチル 2-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-メチル-プロパノアート
【化54】

窒素雰囲気下、-70℃に冷却したテトラヒドロフラン(50ml)中のメチル 2-ベンジルオキシプロパノアート(11.1g、57.1mmol)の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(28.6ml、57.1mmol)を20分にわたって滴加した。この混合物を-70℃で1時間撹拌し、テトラヒドロフラン(10ml)中の3-(ブロモメチル)-2,6-ジフルオロ-ピリジン(10.8g、51.9mmol)を-70℃でゆっくりと加えた。添加後、この混合物を10℃に温め、16時間撹拌した。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(50ml)でクエンチし、20分間撹拌し、減圧下で濃縮した。残った混合物を酢酸エチル(50ml)で抽出し、単離した有機相をブライン(20ml×2)で洗浄し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 20% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、メチル 2-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-メチル-プロパノアート(14.0g、84%)を橙色の油状物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.85 - 7.82 (m, 1H), 7.37 - 7.29 (m, 5H), 6.76 - 6.74 (m, 1H), 4.51 - 4.46 (m, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.14 - 3.11 (m, 2H), 1.53 (s, 3H)。
【0162】
工程E.メチル 3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパノアート
【化55】

メタノール(50ml)中のメチル 2-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-メチル-プロパノアート(13.0g、40.5mmol)を10% 炭素担持パラジウム(5.0g、4.7mmol)で処理し、水素雰囲気下、40psi、65℃で5時間置いた。この混合物を室温に冷却し、セライトを通してろ過し、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出勾配:20%~30% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、メチル 3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパノアート(8.3g、89%)を白色の結晶固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.89 - 7.82 (m, 1H), 6.79 (dd, J = 8.0 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.21 (s, 1H), 3.13 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.49 (s, 3H)。
【0163】
工程F.メチル 6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート
【化56】

テトラヒドロフラン(50L)中のメチル 3-(2,6-ジフルオロ-3-ピリジル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパノアート(7.3g、31.6mmol)に、4Åの分子ふるい(200mg)、続けて、水素化ナトリウム(鉱油中の60%、2.8g、69.5mmol)を10℃で少しずつ加えた。この混合物を20時間撹拌し、0℃に冷却し、冷却した飽和塩化アンモニウム溶液(50ml)に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(50ml)で抽出し、単離した有機相をブライン(40ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固し、シリカゲルカラム(溶出勾配:20%~30% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、メチル 6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(6.2g、93%)を淡黄色の油状物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.53 - 7.49 (m, 1H), 6.46 (dd, J = 7.6 Hz, 1.6 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.62 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 3.15 (d, J = 16.4, 1H), 1.75 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=211.9[M+H]
【0164】
工程G.(6-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール
【化57】

テトラヒドロフラン(10ml)及びエタノール(5ml)中のエチル 6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(1.0g、4.44mmol)の溶液に、水素化ホウ素リチウム(242mg、11.1mmol)を加えた。この混合物を20℃で3時間撹拌した。この反応物を水(5ml)でクエンチし、減圧下で濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。残った混合物を酢酸エチル(50ml×3)で抽出し、合わせた有機相をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、(6-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(800mg、98%)を白色の固体として与えた。LCMS(ESI):m/z=183.7[M+H]
【0165】
工程H.(2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール
【化58】

(6-フルオロ-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(700mg、3.82mmol)及びモルホリン(6ml、68.87mmol)の混合物を100℃で35時間撹拌し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:45% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、(2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(0.63g、66%)を白色の固体として与えた。LCMS(ESI):m/z=250.8[M+H]
【0166】
工程I.(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチルニトラート
【化59】

(2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(1.5ml)及び無水酢酸(3ml)の溶液に、硝酸銅(II)(1.05g、5.61mmol)を0℃で加えた。この混合物を20℃で20分間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、氷水に注ぎ、pHを重炭酸ナトリウムの飽和溶液で8に調整した。この混合物を酢酸エチル(30ml×3)で抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:35% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチルニトラート(190mg、30%)を黄色の固体として与えた。LCMS(ESI):m/z=340.8[M+H]
【0167】
工程J.(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール
【化60】

エタノール(10ml)中の(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチルニトラート(0.19g、0.56mmol)の溶液に、10% 炭素担持パラジウム(40mg)を加え、この混合物を水素雰囲気(15psi)下、20℃で15時間撹拌した。この反応混合物を、セライトを通してろ過し、減圧下で濃縮して、(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(0.15g)を淡黄色の固体として与えた。
【0168】
工程K.N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化61】

N,N-ジメチルホルムアミド(5ml)中の(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メタノール(0.15g、0.55mmol)、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド(129mg、0.71mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(13mg、0.11mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(141mg、1.09mmol)の混合物をマイクロ波条件下において、110℃で30分間照射した。室温に冷却した後、この反応混合物を濃縮し、調製用TLC(溶出液:9% メタノール:ジクロロメタン)により精製して、N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(110mg、49%)を黄色の固体として与えた。LCMS(ESI):m/z=410.9[M+H]
【0169】
工程L.(S)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及び(R)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化62】

N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(140mg、0.34mmol)をキラルSFC(AD、250mm、10um、50% 超臨界CO/メタノール中の50% 水酸化アンモニウム、80ml/分)により分離して、(S)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(52mg、36%、RT=5.61分)及び(R)-N-(2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-6-モルホリノ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(52mg、37%、RT=7.17分)を黄色の固体として与えた。立体化学は、ピーク溶出に基づいて任意に割り当てた。
【0170】
実施例10、ピーク1、1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 9.14 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.92 (dd, J = 4.0, 1.6 Hz, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.30 (dd, J = 7.2, 4.0 Hz, 1H), 3.90 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.65 - 3.60 (m, 2H), 3.34 (dd, J = 16.4, 1.2 Hz, 1H), 3.04 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.97 (dd, J = 16.4, 1.2 Hz, 1H), 1.46 (s, 3H)。
実施例11、ピーク2、1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 9.14 - 9.12 (dd, J = 6.8, 1.6 Hz, 1H), 8.92 (dd, J = 4.0, 1.6 Hz, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.30 - 7.27 (dd, J = 6.8, 4.0 Hz, 1H), 3.90 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.68 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.34 (dd, J = 16.4, 1.2 Hz, 1H), 3.04 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.97 (dd, J = 16.4 Hz, 1.2 Hz,1H), 1.46 (s, 3H)。
【0171】
実施例12.N-(6-メチル-2-モルホリノ-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化63】

工程A.メチル 3-(ブロモメチル)-6-クロロ-ピリジン-2-カルボキシラート
【化64】

四塩化炭素(10ml)中のメチル 6-クロロ-3-メチル-ピリジン-2-カルボキシラート(5.0g、26.94mmol)及び1-ブロモ-2,5-ピロリジンジオン(4.8g、26.94mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチロニトリル(0.44g、2.69mmol)を加えた。この混合物を80℃で16時間撹拌し、水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(100ml×3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、メチル 3-(ブロモメチル)-6-クロロ-ピリジン-2-カルボキシラート(5.3g、37%)を白色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.86 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.89 (s, 2H), 4.03 (s, 3H)。
【0172】
工程B.2-クロロ-6-メチル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン
【化65】

メタノール(50ml)中のメチル 3-(ブロモメチル)-6-クロロ-ピリジン-2-カルボキシラート(3.0g、5.67mmol)及びトリエチルアミン(1.15g、11.34mmol)の溶液に、メチルアミン(11.3ml、22.68mmol、メタノール中の2N)を加えた。この反応物を70℃で16時間撹拌し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:100% 酢酸エチル)により精製して、2-クロロ-6-メチル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(0.9g、87%)を白色の固体として与えた。
【0173】
工程C.6-メチル-2-モルホリノ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン
【化66】

モルホリン(10ml)中の2-クロロ-6-メチル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(0.9、4.93mmol)の混合物を90℃で16時間撹拌し、水(20ml)で希釈し、酢酸エチル(100ml×2)で抽出した。有機相を単離し、ブライン(100ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:100% 酢酸エチル)により精製して、6-メチル-2-モルホリノ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(400mg、35%)を白色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.58 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.26 (s, 2H), 3.83 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.64 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.24 (s, 3H)。
【0174】
工程D.6-メチル-2-モルホリノ-3-ニトロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン
【化67】

無水酢酸(10ml)及び酢酸(5ml)中の6-メチル-2-モルホリノ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(400mg、1.71mmol)の溶液に、硝酸銅(II)(0.97g、5.14mmol)を0℃で加えた。この反応物を25℃で2時間撹拌した。この反応物を水(20ml)で希釈し、酢酸エチル(100ml×3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固し、調製用TLC(溶出液:100% 酢酸エチル)により精製して、6-メチル-2-モルホリノ-3-ニトロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(350mg、74%)を黄色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.21 (s, 1H), 4.36 (s, 2H), 3.82 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.57 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.27 (s, 3H)。
【0175】
工程E.5-アミノ-2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-エチル)-6-モルホリノ-イソインドリン-1-オン
【化68】

エタノール(10ml)及び水(10ml)中の6-メチル-2-モルホリノ-3-ニトロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(0.35g、1.26mmol)及び鉄粉(351mg、6.29mmol)の溶液に、塩化アンモニウム(336mg、6.29mmol)を加えた。この反応物を80℃で30分間撹拌し、ろ過し、濃縮して、エタノールを除去した。残った混合物をジクロロメタン(20ml)で洗浄し、有機相を単離し、濃縮して、3-アミノ-6-メチル-2-モルホリノ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(300mg、96%)を褐色の固体として与えた。
【0176】
工程F.N-(6-メチル-2-モルホリノ-7-オキソ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化69】

ピリジン(50ml)中の3-アミノ-6-メチル-2-モルホリノ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-7-オン(150mg、0.60mmol)の溶液に、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド(165mg、0.91mmol)を加えた。この反応物を25℃で6時間撹拌し、濃縮し、逆相クロマトグラフィー(Diamonsil、150×20mm×5um、10~40% アセトニトリル/水中の0.1% ギ酸)により精製して、N-(6-メチル-2-モルホリノ-7-オキソ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(23.1mg、10%)を褐色の固形物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3): 10.57 (s, 1H), 9.08 (s, 1H), 8.90 - 8.88 (m, 1H), 8.86 - 8.85 (m, 1H), 8.81 (s, 1H), 7.17 - 7.14 (m, 1H), 4.37 (s, 2H), 4.02 - 4.00 (m, 4H), 3.27 - 3.26 (m, 7H)。LCMS(ESI):m/z=394.1[M+H]
【0177】
実施例13及び14.N-[(2S)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及びN-[(2R)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化70】

工程A.2-(6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール
【化71】

乾燥テトラヒドロフラン(5ml)中のエチル 6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキシラート(500mg、2.22mmol)の溶液を窒素(3×)でパ-ジし、-70℃に冷却した。臭化メチルマグネシウム(3M、0.74ml、2.22mmol)をゆっくり加え、この混合物を10℃にゆっくり温め、10℃で16時間撹拌した。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(5ml)でクエンチし、酢酸エチル(15ml×3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出勾配 20~30% 酢酸エチル:石油エーテル)により精製して、2-(6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(380mg、収率81%)を淡黄色の油状物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.50 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 6.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.52 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.78 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 1.93 (s, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 1.26 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=211.9[M+H]
【0178】
工程B.2-(2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール
【化72】

モルホリン(4.2ml、47.85mmol)中の2-(6-フルオロ-2-メチル-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(500mg、2.37mmol)を120℃で16時間加熱し、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出液 30% 酢酸エチル:石油エ-テル)により精製して、2-(2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(500mg、収率76%)を淡黄色の油状物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.11 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.80 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.49 - 3.42 (m, 5H), 2.69 (d, J =15.6 Hz, 1H), 2.05 (s, 1H), 1.43 (s, 3H) , 1.38 (s, 3H), 1.24 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=278.9[M+H]
【0179】
工程C.2-(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール
【化73】

無水酢酸(4ml)中の2-(2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(340mg、1.22mmol)に、硝酸銅(252mg、1.34mmol)を加えた。この混合物を40℃で5分間加熱し、水(10ml)で希釈し、酢酸エチル(30ml×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム(5ml×2)及びブライン(5ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出液 40% 酢酸エチル:石油エ-テル)により精製して、2-(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(90mg、収率23%)を黄色の固体として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.12 (s, 1H), 3.82 - 3.79 (m, 4H), 3.46 - 3.44 (m, 5H), 2.75 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 1.49 (s, 3H), 1.41 (s, 3H), 1.27 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=323.9[M+H]
【0180】
工程D.2-(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール
【化74】

酢酸エチル(5ml)中の2-(2-メチル-6-モルホリノ-5-ニトロ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(90mg、0.28mmol)に、10% 炭素担持パラジウム(296mg、0.28mmol)を加えた。この混合物を15℃で2時間水素化(15psi)し、ろ過し、ろ液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(溶出液 5% メタノール:ジクロロメタン)により精製して、2-(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(63mg、収率78%)を黄色の油状物として与えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.92 (s, 1H), 3.84 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.46 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 3.09 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.67 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 1.70 (br s, 3H), 1.41 (s, 3H) ,1.38 (s, 3H), 1.23 (s, 3H)。
【0181】
工程E.N-[2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化75】

ピリジン(3ml)中の2-(5-アミノ-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)プロパン-2-オール(90mg、0.31mmol)に、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボニルクロリド(62mg、0.34mmol)を加えた。この混合物を15℃で2時間撹拌し、濃縮し、シリカゲルカラム(溶出液 5% メタノール:ジクロロメタン)により精製して、N-[2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(80mg、収率60%)を黄色の油状物として与えた。
【0182】
工程F.N-[(2S)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及びN-[(2R)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化76】

N-[2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(80mg、0.18mmol)をキラルSFC(AD、250mm×30mm、5um、超臨界CO/エタノール中の0.1% 水酸化アンモニウム=60/40、60ml/分)により分離して、N-[(2S)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(30mg、収率37%、RT=6.01分)及びN-[(2R)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-2-メチル-6-モルホリノ-3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(30mg、収率37%、RT=6.57分)を黄色の固体として与えた。立体化学は、ピーク溶出に基づいて任意に割り当てた。
【0183】
実施例13、ピーク1:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.09 (s, 1H), 8.86 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 8.79 - 8.78 (m, 2H), 8.66 (s, 1H), 7.09 (dd, J = 6.8, 4.0 Hz, 1H), 3.93 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.54 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 3.13 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 2.80 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.09 (br s, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 1.26 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=439.0[M+H]
実施例14、ピーク2:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.09 (s, 1H), 8.86 (dd, J = 6.8 Hz, 1.6 Hz, 1H), 8.79 - 8.78 (m, 2H), 8.66 (s, 1H), 7.09 (dd, J = 6.8, 4.4 Hz, 1H), 3.93 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.54 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 3.13 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 2.80 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.08 (s, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 1.26 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=439.0[M+H]
【0184】
実施例15及び16.(S)-N-(6-(4-(2-アミノ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド及び(R)-N-(6-(4-(2-アミノ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【化77】

標記化合物を実施例12及び13に類似の方法で調製して、(S)-N-(6-(4-(2-アミノ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(76.8mg、収率40%、RT=2.49分)及び(R)-N-(6-(4-(2-アミノ-2-オキソエチル)ピペラジン-1-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-6-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(69.9mg、収率37%、RT=3.17分)を任意の絶対的な立体化学で与えた。
【0185】
実施例15、ピーク1:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.99 (s, 1H), 9.24 (s, 1H), 8.88 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.13 (s, 1H) , 5.14 (br s, 1H), 3.49 - 3.40 (m, 2H), 3.21 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.00 - 2.96 (m, 6H), 2.86 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.70 - 2.69 (m, 4H), 2.45 (s, 3H), 1.35 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=481.1[M+H]
実施例16、ピーク2:1H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 9.99 (s, 1H), 9.24 (s, 1H), 8.88 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.13 (s, 1H) , 5.15 (br s, 1H), 3.49 - 3.40 (m, 2H), 3.22 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.00 - 2.96 (m, 6H), 2.86 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.70 - 2.69 (m, 4H), 2.45 (s, 3H), 1.35 (s, 3H)。LCMS(ESI):m/z=481.1[M+H]
【0186】
酵素アッセイ
化合物を、昆虫細胞から生成されたリコンビナント酵素を使用して、ヒトIRAK4及びIRAK1触媒活性の阻害についてアッセイした。N末端His6タグを有する全長IRAK4タンパク質をLife Technologies(Carlsbad, CA, USA)から入手した。IRAK1構築物を内部で生成し、同構築物は、NH2末端His6タグ及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼのコード配列が先行するIRAK1残基Arg194~Ser712から構成された。
【0187】
キナーゼ活性を、反応生成物であるADPの量を測定するTranscreener-Fluorescescence分極プラットフォーム(BelBrook Labs, Madison, WI, USA)を使用してアッセイした。IRAK4反応条件を、IRAK1由来ペプチド(配列H-KKARFSRFAGSSPSQSSMVAR)を使用して最適化し、90分間のインキュベ-ションの過程にわたって線形反応速度を提供し、その結果、出発ATPのADPへの10~12%の変換がもたらされた。最終的なIRAK4アッセイ条件は、反応バッファー(25mM HEPES(pH7.4);2mM ジチオスレイトール;0.015% Brij-35;及び0.5% ジメチルスルホキシド)中の1.25nM IRAK4;125uM ATP;10uM MgCl;125uM ペプチドとした。IRAK1活性を同様に最適化し、最終的なアッセイ条件は、反応バッファー中の3mM IRAK1;62.5uM ATP;5uM MgCl;及び62.5uM IRAK1ペプチド、60分間とした。
【0188】
キナーゼ阻害のための化合物のアッセイを、ジメチルスルホキシド中に系列希釈した阻害剤を使用して行った。同系列希釈は、LabCyte Echo 555液体ディスペンサーにより達成した。化合物でスポットした384ウェルアッセイプレートに、反応バッファー中の2×基質(ATP+ペプチド)混合物 4ulを入れ、続けて、反応バッファー中に希釈した2×酵素 4ulを入れた。反応をEDTA(最終濃度40nM)、0.95ug ADP結合抗体ADP2、ADPトレーサー(最終濃度3nM)及び25uM HEPESを含有する検出バッファー 6ulの添加により、60分(IRAK1)又は90分(IRAK4)で停止させた。1時間のインキュベ-ション後、ADP2-抗体::トレーサー複合体の蛍光偏光を、670/20発光フィルターと組み合わせた635/20励起フィルターを使用して、TecanM1000プレートリーダーで読み取った。デルタミリ-P値を、Genedataソフトウェアを使用して分析して、用量反応曲線を適合させ、IRAK4及びIRAK1についてそれぞれ642um及び83.2uMのATP Km値を使用して、化合物Ki値を計算した。表3に、本発明の代表的な化合物についてのIRAK4 Ki値を提供する。
【0189】
表3.本発明の代表的な化合物のIRAK4 Ki値
【表3】
【0190】
動力学的溶解度アッセイ
本明細書に記載されたIRAK4阻害剤の動的溶解度は、以下の下部構造に従ったマッチドペアに比較して、改善する(すなわち、価値が上昇する)ことができ、図1に示すことができる。
【化78】
【0191】
動的溶解度アッセイを化合物DMSOストック溶液で開始した。このアッセイには、24時間の平衡振とうのためにMillipore Multiscreen96ウェルフィルタープレートを使用した。サンプルを96ウェルフィルタープレート中のPBSバッファー(pH7.4) 196μLに10mM 化合物DMSOストック溶液 4μLを加え、化合物濃度200μM及びDMSO2%とすることにより調製した。フィルタープレートをアルミニウムシーリングフィルムで密封し、室温、1000rpmで24時間振とうした。振とうが完了した時点で、この溶液を真空マニホ-ルドを利用して清浄な96ウェルプレート中にろ過した。ろ過後、いくらかの沈殿が、多くの場合、ろ過プレートウェルの底部に観察される。ほとんどの沈殿物は、偏光光学顕微鏡下で結晶質であるように見える。ろ液サンプルをPBS pH7.4バッファーを使用して2倍に希釈し、ついで、UHPLC-CLND(CLND:化学発光窒素検出器)による分析のために384ウェルプレートに移し、各サンプル 5μLを2回の繰り返し分析のために、2回UHPLC-CLNDに注入した。
【0192】
データ処理及び溶解度測定
サンプルを検出し、UV254nm及びCLNDを使用して分析した。UV254nmは、主にサンプルの純度を確認するのに使用されるが、稀に、窒素を含まない化合物の濃度を定量するのにも使用され、この場合、化合物特異的検量線を作成するために、追加の作業が行われる。各化合物のCLNDターゲットピークの特定をLCMSにより確認した。サンプルの定量をCLNDピーク強度、検量線及び化合物に含有される窒素の数により達成した。カフェインの1つの検量線を溶解度定量測定に使用した。各バッチについて新しい較正曲線を作成した。この定量に使用した化合物における窒素の数を、化合物における窒素の実際の立体配置について補正した。
【0193】
表4.本発明の代表的な化合物及びそれらのマッチドペアの動的溶解度
【表4】
【0194】
急速平衡透析(RED)を使用する血漿タンパク質結合
本明細書に記載されたIRAK4阻害剤の血漿タンパク質結合(PPB)は、以下の下部構造に従ったマッチドペアに比較して、改善する(すなわち、値を低下させる)ことができ、図2に示すことができる。
【化79】
【0195】
血漿タンパク質結合を、96ウェルフォーマットにおける急速平衡透析(RED)装置(Thermo Scientific Pierce)を使用して、2回測定した。簡潔に、薬剤又はコントロ-ル化合物(DMSO中の0.5mM) 10.0μLを、種々の種由来の血漿(pHを7.4に調整)(BioreclamationIVT) 1000μLと混合した。薬剤/血漿混合物 300μLアリコートを使い捨てREDプレートのドナー側チャンバーに入れ、PBSバッファー 500μLアリコートをレシーバー側としての隣接するチャンバーに入れた。プレートをオービタルシェイカーで400rpm、37℃で4時間インキュベーションした。インキュベーションの完了後、PBSバッファー側からの50μLアリコートをブランク血漿マトリックス 5μLと混合し、ドナー側(血漿)からの5μLをブランクPBSバッファー 50μLと混合した。ついで、全てのサンプルをアセトニトリル(内部標準を含有) 200μLで粉砕して、血漿タンパク質を沈殿させた。サンプルを3750rpmで10分間遠心分離して、タンパク質をペレット化した。上清を新たな96ウェルプレートに注意深く移し、等量の水で希釈した。ついで、サンプルをLC-MS/MS(ABI 4000, ABI Sciex)により分析した。データ取得及び処理をAnalyst 1.6.1及びMultiquant 2.1により行った。マトリックス中のタンパク質結合及び非結合画分(fu)の割合を、レシーバー側(バッファー)の応答(ピーク面積)とドナー側(血漿)の応答との比をとることにより計算した。比率を内部標準に対して正規化した。
【0196】
表5.本発明の代表的な化合物及びそれらのマッチドペアの血漿タンパク質結合値
【表5】
図1
図2