(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】手動注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
A61M5/32 510R
(21)【出願番号】P 2019538733
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(86)【国際出願番号】 FR2017052691
(87)【国際公開番号】W WO2018065708
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-04
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーセー アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ジャウエン クエンティン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516687(JP,A)
【文献】特表2015-517368(JP,A)
【文献】国際公開第2015/075399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動注射器であって、
注入される流体を収容する容器(S)を格納する下部本体(1)と、
作動中に前記下部本体(1)に対して軸方向に移動可能な上部本体(2)と、
ユーザーの体と接触する接触端部(11)を有するアクチュエータースリーブ(10)とを有し、
前記容器(S)は、前記下部本体(1)に対して軸方向に固定されており、ピストン(P)と注射針(A)とを有し、
前記上部本体(2)は、注入中に前記ピストン(P)を前記容器(S)内で移動させるピストンロッド(TP)を有し、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)に対し、前記アクチュエータースリーブ(10)の少なくとも一部が前記下部本体(1)から突出して、注射針(A)を露出させない複数の突出位置と、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記下部本体(1)内へと軸方向に進入して、注射針(A)を露出させる作動位置との間を移動可能であり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記手動注射器が作動するまでは第1突出位置にあり、作動後には第2突出位置にあり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)、または容器支持部などの前記下部本体(1)に固定される構成要素と協働して、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する穿刺ロック機構を構成し、
前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)、または容器支持部や前記下部本体(1)などの前記容器(S)に固定される構成要素と協働して、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動しないようにする注入ロック機構を構成し、
前記穿刺ロック機構が前記注入ロック機構よりも前にロック解除するように、前記上部本体(2)に軸方向の押圧力をかけ、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する力に抗して前記アクチュエータースリーブ(10)を移動させることによって、前記穿刺ロック機構をロック解除するために必要な力は、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動できるように、前記注入ロック機構をロック解除するために必要な力よりも小さく、
前記下部本体(1)または前記下部本体(1)に固定される構成要素と、前記アクチュエータースリーブ(10)との一方は、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記第1突出位置から作動位置へと移動してから前記第2突出位置へと移動するときに前記アクチュエータースリーブ(10)に対して及び/または前記下部本体(1)に対して横方向に変形する可撓性タブ(110)を有し、
前記下部本体(1)または前記下部本体(1)に固定される構成要素と、前記アクチュエータースリーブ(10)との他方は、
前記第1突出位置で前記可撓性タブ(110)と協働する初期領域(102)と、
前記作動位置で前記可撓性タブ(110)と協働する中間領域(105)と、
前記第2突出位置で前記可撓性タブ(110)と協働し、前記初期領域(102)に対して少なくとも横方向にずれている最終収容領域(106)とを有する
手動注射器。
【請求項2】
弾性変形して前記可撓性タブ(110)を前記初期領域(102)から前記中間領域(105)へと通り抜けさせる軸方向壁(1020)をさらに有し、
前記軸方向壁(1020)は、変形していない姿勢では、前記可撓性タブ(110)を前記中間領域(105)から前記最終収容領域(106)へと案内する
請求項1に記載の手動注射器。
【請求項3】
前記最終収容領域(106)は、最終溝(107)を介して前記中間領域(105)とつながっており、
前記最終収容領域(106)と前記最終溝(107)との間に軸方向肩部(108)が設けられ、
前記可撓性タブ(110)は、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記作動位置から前記第2突出位置へと移動するときに前記最終溝(107)内を摺動し、使用後に前記アクチュエータースリーブ(10)が前記第2突出位置へと到達したときに前記可撓性タブ(110)が前記軸方向肩部(108)の下方でスナップ留めされることで、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記下部本体(1)に対してロックする
請求項1又は2に記載の手動注射器。
【請求項4】
手動注射器であって、
注入される流体を収容する容器(S)を格納する下部本体(1)と、
作動中に前記下部本体(1)に対して軸方向に移動可能な上部本体(2)と、
ユーザーの体と接触する接触端部(11)を有するアクチュエータースリーブ(10)とを有し、
前記容器(S)は、前記下部本体(1)に対して軸方向に固定されており、ピストン(P)と注射針(A)とを有し、
前記上部本体(2)は、注入中に前記ピストン(P)を前記容器(S)内で移動させるピストンロッド(TP)を有し、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)に対し、前記アクチュエータースリーブ(10)の少なくとも一部が前記下部本体(1)から突出して、注射針(A)を露出させない複数の突出位置と、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記下部本体(1)内へと軸方向に進入して、注射針(A)を露出させる作動位置との間を移動可能であり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記手動注射器が作動するまでは第1突出位置にあり、作動後には第2突出位置にあり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)、または容器支持部などの前記下部本体(1)に固定される構成要素と協働して、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する穿刺ロック機構を構成し、
前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)、または容器支持部や前記下部本体(1)などの前記容器(S)に固定される構成要素と協働して、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動しないようにする注入ロック機構を構成し、
前記穿刺ロック機構が前記注入ロック機構よりも前にロック解除するように、前記上部本体(2)に軸方向の押圧力をかけ、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する力に抗して前記アクチュエータースリーブ(10)を移動させることによって、前記穿刺ロック機構をロック解除するために必要な力は、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動できるように、前記注入ロック機構をロック解除するために必要な力よりも小さく、
前記ピストンロッド(TP)は、2つの可撓性枝部(4a、4b)を形成する中央穴(4)を有し、
前記可撓性枝部(4a、4b)は、互いから径方向に離れるように傾斜して、前記ピストンロッド(TP)の両側に径方向外側肩部(40a、40b)を形成する
手動注射器。
【請求項5】
前記下部本体(1)に構成要素(3)が固定され、
前記径方向外側肩部(40a、40b)は、前記構成要素(3)に固定される軸方向フランジ(30)と協働する
請求項4に記載の手動注射器。
【請求項6】
前記径方向外側肩部(40a、40b)は、前記容器(S)の径方向カラー部(9)と協働する
請求項4に記載の手動注射器。
【請求項7】
前記下部本体(1)に構成要素(3)が固定され、
前記径方向外側肩部(40a、40b)はそれぞれ、前記構成要素(3)に固定される軸方向フランジ(30)の径方向突起(31)を受け止める凹部(41a、41b)を有する
請求項4に記載の手動注射器。
【請求項8】
手動注射器であって、
注入される流体を収容する容器(S)を格納する下部本体(1)と、
作動中に前記下部本体(1)に対して軸方向に移動可能な上部本体(2)と、
ユーザーの体と接触する接触端部(11)を有するアクチュエータースリーブ(10)とを有し、
前記容器(S)は、前記下部本体(1)に対して軸方向に固定されており、ピストン(P)と注射針(A)とを有し、
前記上部本体(2)は、注入中に前記ピストン(P)を前記容器(S)内で移動させるピストンロッド(TP)を有し、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)に対し、前記アクチュエータースリーブ(10)の少なくとも一部が前記下部本体(1)から突出して、注射針(A)を露出させない複数の突出位置と、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記下部本体(1)内へと軸方向に進入して、注射針(A)を露出させる作動位置との間を移動可能であり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記手動注射器が作動するまでは第1突出位置にあり、作動後には第2突出位置にあり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)、または容器支持部などの前記下部本体(1)に固定される構成要素と協働して、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する穿刺ロック機構を構成し、
前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)、または容器支持部や前記下部本体(1)などの前記容器(S)に固定される構成要素と協働して、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動しないようにする注入ロック機構を構成し、
前記穿刺ロック機構が前記注入ロック機構よりも前にロック解除するように、前記上部本体(2)に軸方向の押圧力をかけ、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する力に抗して前記アクチュエータースリーブ(10)を移動させることによって、前記穿刺ロック機構をロック解除するために必要な力は、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動できるように、前記注入ロック機構をロック解除するために必要な力よりも小さく、
作動するまでは、前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)に対して固定される構成要素(50、60)に、断裂可能ブリッジ(55、63)を介して連結されている
手動注射器。
【請求項9】
作動するまでは、前記ピストンロッド(TP)は、前記下部本体(1)に固定される円板(50)に連結されている
請求項8に記載の手動注射器。
【請求項10】
作動するまでは、前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)の径方向カラー部(9)に固定、具体的には圧着されるリング(60)に連結されている
請求項8に記載の手動注射器。
【請求項11】
手動注射器であって、
注入される流体を収容する容器(S)を格納する下部本体(1)と、
作動中に前記下部本体(1)に対して軸方向に移動可能な上部本体(2)と、
ユーザーの体と接触する接触端部(11)を有するアクチュエータースリーブ(10)とを有し、
前記容器(S)は、前記下部本体(1)に対して軸方向に固定されており、ピストン(P)と注射針(A)とを有し、
前記上部本体(2)は、注入中に前記ピストン(P)を前記容器(S)内で移動させるピストンロッド(TP)を有し、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)に対し、前記アクチュエータースリーブ(10)の少なくとも一部が前記下部本体(1)から突出して、注射針(A)を露出させない複数の突出位置と、前記アクチュエータースリーブ(10)が前記下部本体(1)内へと軸方向に進入して、注射針(A)を露出させる作動位置との間を移動可能であり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記手動注射器が作動するまでは第1突出位置にあり、作動後には第2突出位置にあり、
前記アクチュエータースリーブ(10)は、前記下部本体(1)、または容器支持部などの前記下部本体(1)に固定される構成要素と協働して、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する穿刺ロック機構を構成し、
前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)、または容器支持部や前記下部本体(1)などの前記容器(S)に固定される構成要素と協働して、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動しないようにする注入ロック機構を構成し、
前記穿刺ロック機構が前記注入ロック機構よりも前にロック解除するように、前記上部本体(2)に軸方向の押圧力をかけ、前記アクチュエータースリーブ(10)を前記第1突出位置に向かって付勢する力に抗して前記アクチュエータースリーブ(10)を移動させることによって、前記穿刺ロック機構をロック解除するために必要な力は、前記ピストン(P)が前記容器(S)に対して軸方向に移動できるように、前記注入ロック機構をロック解除するために必要な力よりも小さく、
作動するまでは、前記ピストンロッド(TP)は、前記容器(S)の径方向カラー部(9)に固定、具体的には圧着されるリング(60)に連結されており、
前記リング(60)は、作動するまでは前記ピストンロッド(TP)の溝(62)と係合している径方向内側突起(61)を有する
手動注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
手動注射器は、注射器の針を患者の体に穿刺することを主な目的とし、また、注射針を使用の前後及びその最中に保護することも目的とする。一方、容器内の流体を患者の体内に実際に注入することは、ユーザーが手動で行う。手動注射器は比較的複雑な装置であり、信頼性を持つためには一定数の制約要件を満たさなければならない。注射器の頑強性、取扱い性、及び使用の容易さもまた重要な要素である。加えて、ほとんどの手動注射器が1回使い切り型であるため、製造及び組立にかかるコストも考慮に入れなければならない要素である。
【0003】
市場にはおびただしい数の手動注射器が存在しているが、それらはある一定数の欠点を有する。
【0004】
例えば、手動注射器の使用法は難しすぎてはいけない。体の弱いユーザーが注射器を使う妨げになるからである。注射針が患者の体に完全に穿刺する前に注入が開始されるのを避ける必要もある。さらに、使用前後に負傷するリスクを回避するためには、手動注射器は使用前後に注射針が露出することを避ける注射針安全装置を有するべきである。勿論、この安全装置は信頼性が高くて、容易には解除されないものであるべきである。また、この注射針安全装置は、例えばユーザーが注入の終了よりも前に手動注射器を体から離してしまうなど、ユーザーの手動注射器の作動のさせ方に落ち度がある場合であっても機能すべきである。
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5は、従来の手動注射器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2015/075399号
【文献】国際公開第2014/150201号
【文献】国際公開第2011/047298号
【文献】国際公開第2006/129196号
【文献】国際公開第2006/111862号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の欠点のない、安全性及び信頼性の高い使用に関する様々な主要な制約要件を満たす手動注射器を提供することである。
【0008】
特に、本発明の目的は、注射針が注射領域を完全に穿刺する前に流体の注入が開始されてしまうリスクを回避する手動注射器を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、使用上の信頼性が高く、安全であらゆる負傷のリスクを回避し、製造、組立、及び使用が容易かつ安価に行える手動注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、手動注射器であって、注入される流体を収容する容器を格納する下部本体と、作動中に前記下部本体に対して軸方向に移動可能な上部本体と、ユーザーの体と接触する接触端部を有するアクチュエータースリーブとを有し、前記容器は、前記下部本体に対して軸方向に固定されており、ピストンと注射針とを有し、前記上部本体は、注入中に前記ピストンを前記容器内で移動させるピストンロッドを有し、前記アクチュエータースリーブは、前記下部本体に対し、前記アクチュエータースリーブの少なくとも一部が前記下部本体から突出する複数の突出位置と、前記アクチュエータースリーブが前記下部本体内へと軸方向に進入した作動位置との間を移動可能であり、前記アクチュエータースリーブは、前記手動注射器が作動するまでは第1突出位置にあり、作動後には第2突出位置にあり、前記アクチュエータースリーブは、前記下部本体、または容器支持部などの前記下部本体に固定される構成要素と協働して穿刺ロック機構を構成し、前記ピストンロッドは、前記容器、または容器支持部や前記下部本体などの前記容器に固定される構成要素と協働して注入ロック機構を構成し、前記穿刺ロック機構が前記注入ロック機構よりも前に作動するように、前記穿刺ロック機構の作動に必要な力は、前記注入ロック機構の作動に必要な力よりも小さい手動注射器を提供する。
【0011】
前記下部本体または前記下部本体に固定される構成要素と、前記アクチュエータースリーブとの一方は、前記アクチュエータースリーブが前記第1突出位置から作動位置へと移動してから前記第2突出位置へと移動するときに前記アクチュエータースリーブに対して及び/または前記下部本体に対して横方向に変形する可撓性タブを有し、前記下部本体または前記下部本体に固定される構成要素と、前記アクチュエータースリーブとの他方は、前記第1突出位置で前記可撓性タブと協働する初期領域と、前記作動位置で前記可撓性タブと協働する中間領域と、前記第2突出位置で前記可撓性タブと協働し、前記初期領域に対して少なくとも横方向にずれている最終収容領域とを有するのが望ましい。
【0012】
弾性変形して前記可撓性タブを前記初期領域から前記中間領域へと通り抜けさせる軸方向壁をさらに有し、前記軸方向壁は、変形していない姿勢では、前記可撓性タブを前記中間領域から前記最終収容領域へと案内するのが望ましい。
【0013】
前記最終収容領域は、最終溝を介して前記中間領域とつながっており、前記最終収容領域と前記最終溝との間に軸方向肩部が設けられ、前記可撓性タブは、前記アクチュエータースリーブが前記作動位置から前記第2突出位置へと移動するときに前記最終溝内を摺動し、使用後に前記アクチュエータースリーブが前記第2突出位置へと到達したときに前記可撓性タブが前記軸方向肩部の下方でスナップ留めされることで、前記アクチュエータースリーブを前記下部本体に対してロックするのが望ましい。
【0014】
第1の望ましい実施形態では、前記ピストンロッドは、2つの可撓性枝部を形成する中央穴を有し、前記可撓性枝部は、互いから径方向に離れるように傾斜して、前記ピストンロッドの両側に径方向外側肩部を形成する。
【0015】
前記下部本体に構成要素が固定され、前記径方向外側肩部は、前記構成要素に固定される軸方向フランジと協働するのが望ましい。
【0016】
前記径方向外側肩部は、前記容器の径方向カラー部と協働するのが望ましい。
【0017】
前記下部本体に構成要素が固定され、前記径方向外側肩部はそれぞれ、前記構成要素に固定される軸方向フランジの径方向突起を受け止める凹部を有するのが望ましい。
【0018】
第2の望ましい実施形態では、作動するまでは、前記ピストンロッドは、前記容器に対して固定される構成要素に、断裂可能ブリッジを介して連結されている。
【0019】
作動するまでは、前記ピストンロッドは、前記下部本体に固定される円板に連結されているのが望ましい。
【0020】
変形例では、作動するまでは、前記ピストンロッドは、前記容器の径方向カラー部に固定、具体的には圧着されるリングに連結されている。
【0021】
望ましい実施形態では、作動するまでは、前記ピストンロッドは、前記容器の径方向カラー部に固定、具体的には圧着されるリングに連結されており、前記リングは、作動するまでは前記ピストンロッドの溝と係合している径方向内側突起を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の特徴や利点等は、非限定的な例に基づき以下に示す詳細な説明及び添付図面を参照することにより、さらに明確となる。
【
図1】第1の望ましい実施形態にかかる手動注射器の、使用前の様子を示す模式断面図である。
【
図2】
図1に類似した図であって、保護キャップが注射針から取り外されてから穿刺までの、休止位置での様子を示す。
【
図3】
図2に類似した図であって、穿刺が終了してから注入ロック機構が始動するまでの様子を示す。
【
図4】
図3に類似した図であって、注入ロック機構が始動した後の様子を示す。
【
図5】
図4に類似した図であって、注入開始時の様子を示す。
【
図6】
図5に類似した図であって、注入中の様子を示す。
【
図7】
図6に類似した図であって、注入が終了してから注入後安全装置が始動するまでの様子を示す。
【
図8】
図7に類似した図であって、注入が終了し、注入後安全装置が始動した後の様子を示す。
【
図9】
図8に類似した図であって、使用が終了し、注入後安全装置が作動した後の様子を示す。
【
図10】注入ロック機構の第1の実施形態の詳細を示す図である。
【
図11】注入ロック機構の第1の実施形態の詳細を示す図である。
【
図12】注入ロック機構の第2の実施形態の詳細を示す図である。
【
図13】注入ロック機構の第2の実施形態の詳細を示す図である。
【
図14】注入ロック機構の第2の実施形態の詳細を示す図である。
【
図15】注入後にピストンを阻止するための阻止システムの実施形態の詳細を示す図である。
【
図16】注入後にピストンを阻止するための阻止システムの実施形態の詳細を示す図である。
【
図17】注入後にピストンを阻止するための阻止システムの実施形態の詳細を示す図である。
【
図18】注入後にピストンを阻止するための阻止システムの実施形態の詳細を示す図である。
【
図19】第2の望ましい実施形態にかかる手動注射器の、使用前の様子を示す模式断面図である。
【
図20】
図19に類似した図であって、穿刺開始時の様子を示す。
【
図21】
図20に類似した図であって、穿刺が終了してから注入ロック機構が始動するまでの様子を示す。
【
図22】
図21に類似した図であって、注入開始時の様子を示す。
【
図23】
図22に類似した図であって、注入終了時の様子を示す。
【
図24】
図23に類似した図であって、使用が終了し、注入後安全装置が始動した後の様子を示す。
【
図25】注入ロック機構の第1の実施形態の詳細を示す図である。
【
図26】注入ロック機構の第2の実施形態の詳細を示す図である。
【
図27】注入ロック機構の第2の実施形態の詳細を示す図である。
【
図28】注入ロック機構の第3の実施形態の詳細を示す図である。
【
図29】注入ロック機構の第4の実施形態の詳細を示す図である。
【
図30】
図1の手動注射器の使用中の第1のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図31】
図1の手動注射器の使用中の第2のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図32】
図1の手動注射器の使用中の第3のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図33】
図1の手動注射器の使用中の第4のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図34】
図1の手動注射器の使用中の第5のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図35】
図1の手動注射器の使用中の第6のシーケンスでの穿刺ロック機構を詳細に示す模式部分図である。
【
図36】穿刺ロック機構の別の実施形態を示す模式部分図である。
【
図37】穿刺ロック機構の別の実施形態を示す模式部分図である。
【
図38】穿刺ロック機構の別の実施形態を示す模式部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面に示す手動注射器は、下部本体1と、作動中に下部本体1に対して軸方向に移動可能な上部本体2を有する。下部本体1と上部本体2はそれぞれ、単一の部品からなってもよいし、複数の部分が組み立てられてなってもよい。下部本体1内では、患者の体の注射領域の周りに接触するための下端部11(「下」は
図1での下方である)を有するアクチュエータースリーブ10が、軸方向に摺動する。周知技術同様に、下部本体1は、注入される流体を収容する容器Sと、容器Sに固定され、流体がその内部を通って注入される注射針Aと、容器S内を移動して注入を行うピストンPを格納する。上部本体2は、注入中にピストンPを容器S内で移動させるピストンロッドTPを有する。
図1に示すように、使用されるまでは、注射針Aは保護キャップCによって保護されていてもよい。一般的には、容器Sは、径方向カラー部9を有する従来の事前充填型容器であってもよい。容器Sは、下部本体1に対して固定されており、ピストンロッドTPは、上部本体2に対して固定されている。したがって、上部本体2が下部本体1に対して軸方向に摺動すると、ピストンロッドTPが容器Sに対して軸方向に摺動する。
【0024】
作動するまでは、アクチュエータースリーブ10は注入前安全装置として機能し、注射針Aの周りに配される第1突出位置にある。作動中には、アクチュエータースリーブ10は下部本体1内を作動位置に向かって摺動し、注射針Aを露出させて、穿刺、次いで流体の注入を可能にする。注入後には、アクチュエータースリーブ10は注入後安全装置として機能し、注射針Aによる負傷のリスクを回避するために、注射針Aの周りに再び配される第2突出位置へと移動する。アクチュエータースリーブ10は、任意のバネ5によって突出位置に向かって付勢されるのが望ましい。
【0025】
アクチュエータースリーブ10は、下部本体1(または、容器支持部などの、下部本体1に固定される構成要素)と協働して穿刺ロック機構を構成する。ピストンロッドTPは、容器S(または、容器支持部または下部本体1などの、容器Sに固定される構成要素)と協働して注入ロック機構を構成する。
【0026】
本発明では、穿刺ロック機構は注入ロック機構よりも前に作動する。即ち、穿刺ロック機構の始動に必要な軸方向の力は、注入ロック機構の始動に必要な軸方向の力よりも小さい。したがって、ユーザーが手動注射器を注射領域に押し当て、上部本体2に軸方向の力をかけて上部本体2を下部本体1に対して軸方向に摺動させると、まずアクチュエータースリーブ10が下部本体1内で軸方向に移動して、穿刺が行われる。アクチュエータースリーブ10が作動位置に到達してはじめて、ピストンロッドTPが下部本体1内を軸方向に移動する。
【0027】
図1~
図18は、第1の望ましい実施形態を示す。
図1~
図9は、手動注射器の作動シーケンスにおける様々な位置を示し、
図10~
図18は、注入ロック機構、及び注入後にピストンを阻止するための阻止システムの様々な実施形態を示す。
【0028】
図1~
図9を参照すると、ユーザーは保護キャップCを取り外してから、アクチュエータースリーブ10の下端部11を注射領域の周りに押し当て、上部本体2に軸方向の押圧力をかけるのが分かる。以下で説明するように、注入ロック機構の始動の際の抵抗力は、穿刺ロック機構の始動の際の抵抗力よりも大きい。したがって、最初に摺動して下部本体1内へと進入するのは、アクチュエータースリーブ10である。このため、注射針Aが露出し、ユーザーがかける軸方向の押圧力の作用により、注射針Aは注射領域を穿刺する。アクチュエータースリーブ10が
図3及び
図4に示す作動位置に到達してはじめて、ユーザーがかける軸方向の作動押圧力によって、注入ロック機構が始動する。注入ロック機構の始動後、上部本体2ひいてはピストンロッドTPは、下部本体1ひいては容器Sに対して軸方向に移動して、容器S内のピストンPを移動させ、容器S内の流体を注射針Aを通じて注射領域内へと注入する。注入が終了して、ユーザーが手動注射器を注射領域から離すと、アクチュエータースリーブ10は、例えば戻しバネ5の作用により自動的に第2突出位置へと移動する。
図9に示すように、アクチュエータースリーブ10はこの第2突出位置でロックされるので、注射針Aによる負傷のあらゆるリスクを回避することができる。
【0029】
図10及び
図11は、注入ロック機構の第1の実施形態を示す。この実施形態では、ピストンロッドTPは、可撓性枝部4a、4bを形成する中央穴4を有する。可撓性枝部4a、4bは、互いから径方向に離れるように傾斜して、ピストンロッドTPの両側に径方向外側肩部40a、40bを形成する。下部本体1に対して構成要素3が固定されており、肩部40a、40bは、構成要素3に固定された軸方向フランジ30と協働する。注入ロック機構を始動させるには、枝部4a、4bを径方向内側に変形させて、肩部40a、40bがフランジ30を越えて軸方向に移動できるようにする必要がある。このために必要な軸方向の力は、穿刺ロック機構の始動に必要な軸方向の力よりも大きい。このため、穿刺が終了してはじめて注入が開始されるのが保証される。
【0030】
図12~
図14は、穿刺ロック機構の別の実施形態を示す。この実施形態では、2つの径方向外側肩部40a、40bはそれぞれ、軸方向フランジ30の径方向突起31を受け止める凹部41a、41bを有する。この実施形態は、凹部41a、41bを突起31にスナップ留めすることで、ピストンロッドTPが容器Sから引き抜かれるのを防止する機能も有する。こうしたスナップ留めのためには、
図12及び
図13では距離d1及びd2によって示される間隙が設けられているのが望ましい。
【0031】
図15~
図18は、使用後にピストンを阻止する阻止システムの実施形態を示す。この実施形態では、ピストンロッドTPは、(ピストンPに対して)後方の部分に、2つの可撓性タブ5a、5bを有する。可撓性タブ5a、5bは、後方に向かって軸方向に延伸し、後方に向かうにつれて径方向に広がっている。
図18に示すように、注入が終了すると、可撓性タブ5a、5bはフランジ30の突起31を通過する際に径方向内側に変形し、突起31の下でスナップ留めされる。このため、ピストンロッドTPは下部本体1内で阻止され、それに伴い、ピストンPは容器S内で阻止される。当然のことながら、この阻止システムは、
図10及び
図11に示すような、軸方向フランジ30が突起31を有する穿刺ロック機構にも適用可能である。
【0032】
図19~
図29は、第2の望ましい実施形態を示す。
図19~
図24は、手動注射器の作動シーケンスにおける様々な位置を示し、
図25~
図29は、注入ロック機構の様々な実施形態を示す。作動シーケンスは、第1の実施形態の作動シーケンスと同様に、穿刺で始まり、次いで注入が行われる。
【0033】
手動注射器の構造は簡略化されており、上部本体2内でピストンロッドTPの後端(ピストンPから遠い側)がスナップ留めされている。
【0034】
第1の実施形態との主な相違点は、注入ロック機構にある。注入ロック機構は、
図19~
図25ではピストンロッドTPと容器Sの径方向カラー部9との間に形成される。この実施形態では、ピストンロッドTPは第1の実施形態と同様に、2つの可撓性枝部4a、4bを形成する中央穴4を有する。可撓性枝部4a、4bは、互いから径方向に離れるように傾斜して、両側に径方向外側肩部40a、40bを形成する。可撓性枝部4a、4bは、容器Sの径方向カラー部9と協働する。
【0035】
図26及び
図27は、別の望ましい実施形態を示す。この実施形態では、
図27に示すように、下部本体1ひいては容器Sに対して固定されている円板50が、作動するまでは、一般的には3つである複数の断裂可能ブリッジ55を介して、ピストンロッドTPに連結されている。注入よりも前に穿刺が行われるように、断裂可能ブリッジ55の断裂に対する抵抗力は、穿刺ロック機構の始動に必要な力よりも大きくなっている。
【0036】
図28が示す別の実施形態では、圧着リング60が、容器Sの径方向カラー部9に直に固定されている。リング60は、作動するまではピストンロッドTPの溝62と係合している径方向内側突起61を有する。注入よりも前に穿刺が行われるように、突起61と溝62の係合の解除に必要な力は、穿刺ロック機構の始動に必要な力よりも大きくなっている。
【0037】
図29が示すさらに別の実施形態では、圧着リング60の径方向内側突起61が、断裂可能ブリッジ63を介してピストンロッドTPに固定されている。注入よりも前に穿刺が行われるように、断裂可能ブリッジ63の断裂に対する抵抗力は、穿刺ロック機構の始動に必要な力よりも大きくなっている。
【0038】
穿刺ロック機構の他の変形例も考えられる。
【0039】
図30~
図38は、穿刺ロック機構、注入前安全装置、及び注入後安全装置の望ましい実施形態を示す。これらは、上記の実施形態にも他の様々な変形例にも適用可能である。
【0040】
アクチュエータースリーブ10と下部本体1(または下部本体1に固定される構成要素)のいずれかは、可撓性タブ110を有するのが望ましい。可撓性タブ110は、アクチュエータースリーブ10が第1突出位置から作動位置へと移動してから作動位置から第2突出位置へと移動するときに、アクチュエータースリーブ10に対して、及び/または容器Sを格納する下部本体1に対して、横方向に変形するのが望ましい。
【0041】
穿刺ロック機構の第1の望ましい実施形態を、
図30~
図35に示す。この実施形態では、アクチュエータースリーブ10は第1溝101を有する。第1溝101は望ましくは傾斜溝であり、初期領域102から中間領域105に向かって延伸する。第1溝101は、弾性変形可能な軸方向壁1020を有するのが望ましい。アクチュエータースリーブ10はまた、最終収容領域106を有している。最終収容領域106は、初期領域102に対して少なくとも横方向にずれており、望ましくは傾斜した最終溝107を介して中間領域105とつながっている。最終収容領域106と最終溝107の間には、軸方向肩部108が設けられている。
【0042】
下部本体1は、横方向に可撓性を有する、即ち下部本体1の外縁方向に変形するタブ110を有する。以下で説明するように、可撓性タブ110は、下記のようにアクチュエータースリーブ10の複数の溝及び複数の肩部と協働するヘッド112を有するのが望ましい。
【0043】
さらに具体的には、
図30~
図35に、アクチュエータースリーブ10と下部本体1の間に形成された穿刺ロック機構の動作を示す。
【0044】
図30は、ユーザーが手動注射器の使用を開始するときの位置である開始位置を示す。
図30では、可撓性タブ110のヘッド112が初期領域102にあることが分かる。アクチュエータースリーブ10が摺動して下部本体1内へと進入すると、可撓性タブ110のヘッド112は第1溝101内を摺動する。ヘッド112が、片側では第1溝101と、もう一方の片側では軸方向壁1020と協働する
図31の位置に到達すると、ヘッド112は軸方向壁1020を横方向に変形させて、作動ストロークを継続する。軸方向壁1020の当該変形によって、可撓性タブ110のヘッド112は中間領域105内へと進入する。任意に、軸方向壁1020は十分に変形したときに、まもなく注入が開始されることをユーザーに知らせるために、クリック音などの音を発生するようにしてもよい。
【0045】
図32は、アクチュエータースリーブ10が作動位置に到達した状態を示す。この作動位置では、注射針Aは患者の注射領域を注入位置に至るまで貫通しており、注入の開始が可能となる。アクチュエータースリーブ10が作動位置にある場合、可撓性タブ110のヘッド112は中間領域105内にある。また、中間領域105は傾斜最終溝107を介して最終収容領域106とつながっており、軸方向壁1020が変形していない姿勢に弾性復元する。
【0046】
アクチュエータースリーブ10がバネ5の作用により作動位置から第2突出位置に移動すると、可撓性タブ110のヘッド112は傾斜最終溝107内へと摺動する。
図33は、ヘッド112の通過を妨げる軸方向壁1020のために、可撓性タブ110、具体的にはヘッド112が、第1溝101内に戻れなくなっていることを示す図である。ヘッド112は、少なくとも一部が傾斜しており、軸方向壁1020の傾斜端部と協働することでヘッド112を傾斜最終溝107内へと案内する前壁を有するのが望ましい。このように軸方向壁1020は、最終溝107によって構成され、可撓性タブ110を最終収容領域106の方へと案内するカムの必要不可欠な部分である。
【0047】
使用後、アクチュエータースリーブ10が第2突出位置に到達すると、最終収容領域106において、ヘッド112は軸方向肩部108の下方に入り込んでスナップ留めされることで、アクチュエータースリーブ10が下部本体1に対してロックされる。可撓性タブ110のヘッド112と軸方向肩部108との当接により、アクチュエータースリーブ10をこのロック位置から作動位置へと移動させることはもはやできない。
図34に示すように、作動中に可撓性タブ110は横方向に、具体的には傾斜最終溝107内で変形する。これによって、
図35に示すように、ヘッド112が最終収容領域106に到達したときに、軸方向肩部108の下方に弾性的かつ自動的にスナップ留めされる。注入後安全装置は、このようにしてそのロック最終位置に収容される。こうして、使用後の注射針Aは完全に保護されるので、ユーザーが手動注射器を使用する可能性、及び/または注射針Aによって負傷する可能性もなくなる。任意に、注射針安全装置がロック最終位置に到達したことをユーザーに知らせるために、この最終収容領域106内でのスナップ留めによりクリック音などの音を発生するようにしてもよい。
【0048】
上記のアクチュエータースリーブの穿刺ロック機構は、特に効果的で信頼性が高く、頑強で扱いが容易であるので、成型及び組立を安価に行うことができる。具体的には、穿刺ロック機構は、アクチュエータースリーブ10と下部本体1という2つの部分のみからなる。
【0049】
当然のことながら、溝の形状、寸法、及び傾斜は、注射針安全装置に求められるニーズ及び望まれる特徴に応じて変更してもよい。具体的には、第1溝は軸方向溝であってもよいし、あるいは傾斜溝であってもよい。また、第2溝及び第3溝を設けず、第1溝が中間領域に直接続いてもよい。第1溝が傾斜している場合、最終溝は軸方向溝であってもよいし、第1溝と同様に傾斜溝であってもよい。さらに、穿刺ロック機構は必ずしも上記の軸方向壁1020を有さなくてもよい。
【0050】
その他の変形例も考えられる。
【0051】
具体的には、可撓性タブ110は、下部本体1に直に形成されるのではなく、下部本体1に固定される構成要素に形成されてもよい。具体的には、可撓性タブ110は、容器Sを下部本体1内で固定状態で保持する支持部に形成されてもよい。
【0052】
なお、上記の手段を逆の構造で実現することも可能である。即ち、下部本体1(または、容器支持部などの、下部本体1に固定される構成要素)が種々の溝や肩部を有し、アクチュエータースリーブ10が可撓性タブ110を有する構成にしてもよい。当然のことながら、この構成においては、溝の形状及び向きも適宜調節する。
図36~
図38は、このような変形例を示す図である。
【0053】
以上、本発明を望ましい実施形態を参照しながら説明したが、当然のことながら、添付の請求項によって規定された本発明の範囲を超えない限り、当業者は様々な変形を適用することが可能である。