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特許7059333エネルギ貯蔵特性を有するゴルフクラブヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】エネルギ貯蔵特性を有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220418BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220418BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B53/04 E
A63B102:32
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020170598
(22)【出願日】2020-10-08
(62)【分割の表示】P 2017521490の分割
【原出願日】2015-10-22
(65)【公開番号】P2021020082
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/068,232
(32)【優先日】2014-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/105,464
(32)【優先日】2015-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/105,460
(32)【優先日】2015-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/131,739
(32)【優先日】2015-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/206,152
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティ アール. ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. モラレス
(72)【発明者】
【氏名】コリー エス. ベーコン
(72)【発明者】
【氏名】カルバン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ショジェン チン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-058762(JP,A)
【文献】特開2012-120646(JP,A)
【文献】特開2002-143356(JP,A)
【文献】特開2014-004096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0039636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
外側面と内側面とを有するボディであって、前記内側面は前記ゴルフクラブヘッドの外側から視認不可である、前記ボディを備え、
前記ボディは、
打球面と、
ソールと、
クラウンと、
ヒールと、
トウと、
前記打球面から前記ソールまで後方に向かって延びる移行領域と、を備え、
前記移行領域は、
前記打球面に直接的に隣接する第1段と、
前記打球面と反対側で前記第1段に直接的に隣接する第1段移行領域と、
前記第1段と反対側で前記第1段移行領域に直接的に隣接する第2段と、
前記第1段移行領域と反対側で前記第2段に直接的に隣接する第2段移行領域と、
前記第2段と反対側で前記第2段移行領域に直接的に隣接する第3段と、を備え、
前記内側面は、前記第1段と、前記第1段移行領域と、前記第2段と、前記第2段移行領域と、前記第3段と、に跨っており、
前記第1段は、一定、又は、前記打球面から前記第1段移行領域まで減少する第1厚さを備え、
前記第2段は、一定、又は、前記第1段移行領域から前記第2段移行領域まで減少する第2厚さを備え、
前記第2厚さは、前記第1厚さよりも小さく、
前記第3段は、一定、又は、前記第2段移行領域から前記ソールまで減少する第3厚さを備え、
前記第3厚さは、前記第1厚さ及び前記第2厚さよりも小さく、
前記第1厚さ、前記第2厚さ、及び、前記第3厚さのそれぞれは、前記ボディの前記内側面と前記外側面との間で測定され、
前記外側面は、前記打球面と前記ソールとの間で、前記移行領域を跨いで連続しており、
第1段長と第2段長は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後側に向かう方向で測定され、
前記第1段移行領域に含まれる前記内側面は、第1曲率半径を備え、前記第1段から後方に延びる第1弧状面と、第2曲率半径を備え、前記第2段から前方に延びる第2弧状面と、を備え、
前記内側面を上方から見たときに、前記第1弧状面は凸状であり、前記第2弧状面は凹状であり、
前記第2段移行領域に含まれる前記内側面は、第3曲率半径を備え、前記第2段から後方に延びる第3弧状面と、第4曲率半径を備え、前記第3段から前方に延びる第4弧状面と、を備え、
前記内側面を上方から見たときに、前記第3弧状面は凸状であり、前記第4弧状面は凹状であり、
前記第1段移行領域の第1曲率半径と第2曲率半径とは、それぞれ、前記第1段の前記第1厚さと前記第2段の前記第2厚さとの間の差に対して少なくとも2倍であり、
前記第2段移行領域の第3曲率半径と第4曲率半径とは、それぞれ、前記第2段の前記第2厚さと前記第3段の前記第3厚さとの間の差に対して少なくとも2倍であり、
前記内側面は、前記第1段から前記第3段まで連続している、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1段の前記第1段長は、前記第2段の前記第2段長と等しく、
前記第1段長及び前記第2段長は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に向く方向で測定される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に向く方向で測定される場合に、前記第2段よりも長い、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第3段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に向く方向で、前記第2段よりも長い、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ボディは、更に、前記ソールに内側重りパッドを有し、
前記内側重りパッドは、前記移行領域の前記第1段よりも厚い、請求項1から4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ボディは、更に、前記ソールに、前記打球面と平行な内側リブを有し、
前記内側リブの内側リブ厚さは、前記移行領域の最終段よりも厚い、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ゴルフクラブヘッドは、ドライバ型ゴルフクラブヘッド、フェアウッド型ゴルフクラブヘッド、ハイブリッド型ゴルフクラブヘッド、及びアイアン型ゴルフクラブヘッドで構成されるグループから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記第1弧状面は第1曲率半径を有し、前記第2弧状面は第2曲率半径を有し、前記第3弧状面は第3曲率半径を有し、前記第4弧状面は第4曲率半径を有し、
前記第1段移行領域の前記第1曲率半径及び第2曲率半径は、それぞれ、前記第1段の前記第1厚さと前記第2段の前記第2厚さとの間の差の6.5倍であり、
前記第2段移行領域の第3曲率半径及び第4曲率半径は、それぞれ、前記第2段の前記第2厚さと第3段の前記第3厚さとの間の差の6.5倍である、請求項1から7のいずれか一項に記載のゴルフクラブ。
【請求項9】
前記第1段は、0.076cmから0.152cmの厚さであり、
前記第2段は、0.051cmから0.127cmの厚さであり、
前記第3段は、0.025cmから0.102cmの厚さである、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第1段は、0.089cmから0.165cmの厚さであり、
前記第2段は、0.064cmから0.140cmの厚さであり、
前記第3段は、0.038cmから0.114cmの厚さである、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記第1段は、0.127cmから0.203cmの厚さであり、
前記第2段は、0.102cmから0.178cmの厚さであり、
前記第3段は、0.076cmから0.152cmの厚さである、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第1段は、0.140cmから0.216cmの厚さであり、
前記第2段は、0.114cmから0.191cmの厚さであり、
前記第3段は、0.076cmから0.152cmの厚さである、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
更に、前記打球面と前記ゴルフクラブヘッドの後部との間に位置する第1クラウン厚さと、
前記第1クラウン厚さと前記ゴルフクラブヘッドの後部との間に位置する第2クラウン厚さと、を備え、
前記第1クラウン厚さは、前記第2クラウン厚さよりも厚い、請求項1から12のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記第1段の前記第1段長は、0.127cmから2.03cmであり、
前記第2段の前記第2段長は、0.076cmから1.52cmであり、
前記第3段の第3段長は、0.102cmから1.78cmである、請求項1から13のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
ゴルフクラブヘッドであって、
ボディを備え、
前記ボディは、
前記ボディの前部に画定される打球面と、
前記打球面から延びるソール移行部と、
前記ソール移行部から延びており、前記ボディの後方部を画定するソールと、
クラウンと、
ヒールと、
トウと、を備え、
前記打球面と、前記ソール移行部と、前記ソールと、は、それぞれ、外側面と、内側面と、を備え、
前記外側面は、前記内側面の反対側に位置しており、
前記ソール移行部は、
最も前記打球面に近い第1段と、最も前記ソールに近い第3段と、前記第1段と前記第3段との間の第2段と、を含み、
前記第1段は、第1段移行領域を介して前記第2段と連結されており、
前記第1段移行領域に含まれる前記内側面は、第1曲率半径を備え、前記第1段から後方に延びる第1弧状面と、第2曲率半径を備え、前記第2段から前方に延びる第2弧状面と、を含み、
前記内側面を上方から見たときに、前記第1弧状面は凸状であり、前記第2弧状面は凹状であり、
前記第2段は、第2段移行領域を介して前記第3段と連結されており、
前記第2段移行領域に含まれる前記内側面は、第3曲率半径を備え、前記第3段から後方に延びる第3弧状面と、第4曲率半径を備え、前記第3段から前方に延びる第4弧状面と、を含み、
前記内側面を上方から見たときに、前記第3弧状面は凸状であり、前記第4弧状面は凹状であり、
前記第1段は、第1厚さを有し、
前記第2段は、前記第1厚さよりも小さい第2厚さを有し、
前記第3段は、前記第2厚さよりも小さい第3厚さを有し、
前記第1厚さ、前記第2厚さ、及び、前記第3厚さのそれぞれは、各段の前記内側面と前記外側面との間で測定され、
前記第1曲率半径と前記第2曲率半径とは、前記第1厚さと前記第2厚さとの間の差に対して少なくとも2倍であり、
前記第3曲率半径と前記第4曲率半径とは、前記第2厚さと前記第3厚さとの間の差に対して少なくとも2倍である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記第1段は、前記打球面から前記第1段移行領域までで測定される第1段長を有し、
前記第2段は、前記第1段移行領域から前記第2段移行領域までで測定される第2段長を有し、
前記第1段長、前記第2段長、前記第1厚さ、前記第2厚さ、及び、前記第3厚さの寸法は、以下のa)からd)、即ち、
a)前記第1段長は0.127cmから2.03cmであり、前記第2段長は0.076cmから1.52cmであり、前記第1厚さは0.076cmから0.152cmであり、前記第2厚さは0.051cmから0.127cmであり、前記第3厚さは0.025cmから0.102cm、
b)前記第1段長は0.127cmから2.03cmであり、前記第2段長は0.076cmから1.52cmであり、前記第1厚さは0.089cmから0.165cmであり、前記第2厚さは0.064cmから0.140cmであり、前記第3厚さは0.038cmから0.114cm、
c)前記第1段長は0.127cmから2.03cmであり、前記第2段長は0.076cmから1.52cmであり、前記第1厚さは0.127cmから0.203cmであり、前記第2厚さは0.102cmから0.178cmであり、前記第3厚さは0.076cmから0.152cm、及び、
d)前記第1段長は0.076cmから0.762cmであり、前記第2段長は0.102cmから1.02cmであり、前記第1厚さは0.140cmから0.216cmであり、前記第2厚さは0.114cmから0.191cmであり、前記第3厚さは0.076cmから0.152cm、のうちの1つである、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年8月17日付け米国仮出願第62/206,152号、2015年3月11日付け米国仮出願番号62/131,739号、2015年1月20日付け米国仮出願62/105,460号、2015年1月20日付け米国仮出願62/105,464号、及び、2014年10月24日付け仮出願第62/068,232号の優先権を主張し、これらの全てが全体は参照することにより包含される。
【0002】
本開示は、全体的にはゴルフクラブに関し、特に、エネルギ貯蔵特性を有するゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブ製造業者は、ゴルフクラブヘッドの打球面における応力を軽減するようにゴルフクラブヘッドをデザインしている。多くの例では、これらのデザインは、ゴルフクラブヘッドのクラウンがソール方向に撓まないようにする。更に、これらのデザインは、ゴルフボールとのインパクトによるゴルフクラブヘッドにおけるゴルフクラブヘッドの曲げのピークとなる位置が変化せず、ばねエネルギを追加的に貯えないように、デザインされる。追加的ばねエネルギは、打球面の全体でボール速度を増大することを可能とする。
【0004】
実施形態の更なる説明を容易とするために、以下の図面が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】実施形態によるゴルフクラブヘッドの前部クラウン側斜視図を示す。
【0006】
図2図1の断面線II-IIに沿う図1のゴルフクラブヘッドを示す。
【0007】
図3】他の実施形態による図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿う、図1のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの一部の図を示す。
【0008】
図4】他の実施形態による図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿う、図1のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの一部の図を示す。
【0009】
図5】他の実施形態による図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿う、図1のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの一部の図を示す。
【0010】
図6】他の実施形態による図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿う、図1のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの一部の図を示す。
【0011】
図7】他の実施形態による図1の断面線VII-VIIと同様な断面線に沿う、図1のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブの断面図を示す。
【0012】
図8】実施形態による図4のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの一部の図及び標準のゴルフクラブヘッドの同じ区域の図を示す。
【0013】
図9】方法の実施形態によるゴルフクラブヘッドを製造する方法を示す。
【0014】
図10】実施形態によるゴルフクラブヘッドの後部トウ側斜視図を示す。
【0015】
図11図10の実施形態によるゴルフクラブヘッドの後部ヒール側斜視図を示す。
【0016】
図12図10の断面線XII-XIIに沿う、図10のゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【0017】
図13図12のゴルフクラブヘッドの一部の図及び標準のゴルフクラブヘッドの同じ区域の図を示す。
【0018】
図14】他の実施形態による、図10の断面線XII-XIIと同様な断面線に沿う、図10のゴルフクラブヘッドと同様なゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【0019】
図15】他の実施形態によるゴルフクラブの後部トウ側斜視図を示す。
【0020】
図16図15の断面線XVI-XVIに沿う、図15のゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【0021】
図17】他の方法の実施形態によるゴルフクラブヘッドを製造する方法を示す流れ図を示す。
【0022】
図18】他の実施形態によるゴルフクラブの前部斜視図を示す。
【0023】
図19】他の実施形態による、図14のゴルフクラブヘッドのテストの結果を示す。
【0024】
図20】他の実施形態による、図14のゴルフクラブヘッドのテストの結果を示す。
【0025】
図21図10のゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
簡単かつ明瞭に示すため、図は構造の一般的な態様を示し、周知の特徴及び技術の説明及び詳細は、ゴルフクラブ及びその製造方法を不必要に不明瞭にするのを防止するため、省略することがある。更に、図中の部材は、必ずしも縮尺に合わせて描かれてはいない。例えば、図中のいくつかの部材の寸法は、他の部材に対して誇張し、ゴルフクラブ及びその製造方法の実施形態が向上するのを支援する。異なる図における同じ参照番号は、同じ部材を示す。
【0027】
明細書及び請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」等の用語は、存在する場合には、同様な部材の間を識別するために使用しており、必ずしも特定の順序または経時的順番を記述するものではない。そのように使用される用語は、本明細書に記載のゴルフクラブ及び製造方法の実施形態が、例えば、本明細書に説明されまたは記載された以外の順序で操作可能であるような適切な状況下において互いに交換可能であることが理解される。更に、「contain」、「include」及び「have」の用語及びその変化は、非排他的な包含を含むことを意図しており、部材のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの部材に制限されるものではなく、このようなプロセス、方法、物品または装置に明示的に表示されずまたは本来の他の部材を包含してもよい。
【0028】
明細書及び請求の範囲に「左」、「右」、「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「側部」、「下」、「上」等の用語がある場合には、説明目的で使用するものであり、必ずしも永久的な相対位置を説明するものではない。このように使用される用語は、本明細書に記載のゴルフクラブ及び製造方法の実施形態が、例えば、本明細書に説明されまたは記載された以外の向きで操作可能であるような適切な状況下において互いに交換可能であることが理解される。本明細書で使用される「連結され」の用語は、物理的、機械的または他の方法で直接的または間接的に接続されることを規定する。
【0029】
実施形態の実施例の説明
段付内側薄肉部を設けたゴルフクラブヘッドの種々の実施形態は、ボディを有するゴルフクラブヘッドを包含する。ボディは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンと、打球面から少なくともソールまたはクラウンの一方への内径移行領域とを有する。多くの実施形態では、内径移行領域はゴルフクラブヘッドの外側からは見えず、第1段と、第2段と、第1段及び第2段間の段移行領域とを有する。
【0030】
段付内側薄肉部を設けたゴルフクラブヘッドの他の実施形態は、ゴルフクラブヘッドとゴルフクラブヘッドに連結されるシャフトとを有するゴルフクラブを包含する。ゴルフクラブヘッドは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンと、打球面から少なくともソールまたはクラウンの一方への内径移行領域とを有する。多くの実施形態では、内径移行領域はゴルフクラブヘッドの外側からは見えず、第1段と、第2段と、第1段及び第2段間の段移行領域とを有する。
【0031】
段付内側薄肉部を設けたゴルフクラブヘッドの他の実施形態は、ゴルフクラブヘッドの製造方法を包含する。この方法は、ボディを準備することを包含する。ボディは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有する。この方法は更に、打球面から少なくともソールまたはクラウンの一方への内径移行領域を準備することを包含する。内径移行領域は、ゴルフクラブヘッドの外部から見えず、第1段と、第2段と、第1段及び第2段間の段移行領域とを有する。多くの実施形態では、第1段は第1厚さを有し、第2段は第2厚さを有し、第2厚さは第1厚さよりも薄い。
【0032】
種々の実施形態は、中空ボディを有するゴルフクラブヘッドを包含する。中空ボディは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有する。多くの実施形態では、クラウンは、頂部レールを有する上部領域と、下部領域とを備える。いくつかの実施形態では、キャビティが、頂部レールの下に配置され、クラウンの下部領域の上に配置され、少なくとも一部はクラウンの上部領域と下部領域とで画定される。多くの実施形態では、キャビティは、頂部壁と、後壁と、底部傾斜部と、キャビティの頂部壁及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有する。
【0033】
いくつかの実施形態は、中空ボディのゴルフクラブと、中空ボディのゴルフクラブヘッドに連結されるシャフトとを有するゴルフクラブを備える。中空ボディのゴルフクラブヘッドは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有する。多くの実施形態では、クラウンは、頂部レールを有する上部領域と、下部領域とを備える。いくつかの実施形態では、キャビティが、頂部レールの下に配置され、クラウンの下部領域の上に配置され、少なくとも一部はクラウンの上部領域と下部領域とで画定される。多くの実施形態では、キャビティは、頂部壁と、後壁と、底部傾斜部と、キャビティの頂部壁及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有する。
【0034】
他の実施形態は、ゴルフクラブヘッドを製造する方法を包含する。多くの実施形態では、方法は、ボディを準備することを包含する。ボディは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有する。クラウンは、頂部レールを有する上部領域と、下部領域とを備える。いくつかの実施形態では、キャビティが、頂部レールの下で、クラウンの下部領域の上に配置され、少なくとも一部がクラウンの上部領域及び下部領域で画定される。多くの実施形態では、キャビティは、頂部壁と、頂部壁に隣接する後壁と、後壁に隣接する底部傾斜部と、キャビティの頂部壁及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有する。
【0035】
他の実施例及び実施形態が、本明細書に更に開示されている。このような実施例及び実施形態は、図面、請求の範囲及び/または本明細書から見出すことができる。
【0036】
I.カスケードソールを有するゴルフクラブヘッド
図面に移ると、図1はゴルフクラブヘッド100の実施形態を示す。ゴルフクラブヘッド100は、ウッドタイプのゴルフクラブヘッドとすることができる。例えば、ゴルフクラブヘッド100は、フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッド、または、ドライバタイプのゴルフクラブヘッド、または、ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッド、または、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドとすることができる。ゴルフクラブヘッド100は、ボディ101を有する。ボディ101は、打球面112と、ヒール領域102と、トウ領域104と、ソール106と、クラウン108とを有する。図1では、ボディ101は、更に、ソール106とクラウン108との間に延びるスカート110を有する。いくつかの実施形態では、ボディ101は、スカート110またはいずれのスカートも有していない。図18は、実施形態によるゴルフクラブ1800の前部斜視図を示す。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブ1800は、ゴルフクラブヘッド100とシャフト190とを有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、ボディ101は、ステンレス鋼、チタニウム、アルミニウム、合金鋼(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti7-4、Ti6-4、T-9S)、アルミニウム合金、または、複合材料を有することができる。いくつかの実施形態では、打球面112は、ステンレス鋼、チタニウム、アルミニウム、合金鋼(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti7-4、Ti6-4、T-9S)、アルミニウム合金、または、複合材料を有することができる。いくつかの実施形態では、ボディ101は、打球面112と同じ材料を有することができる。いくつかの実施形態では、ボディ101は、打球面112と異なる材料を有することができる。
【0038】
図2は、1つの実施形態による図1の断面線II-IIに沿うゴルフクラブヘッド100の断面を示す。図2は、1つの実施形態による、打球面112からソール106への内径移行部210を示す。内径移行部210は、滑らかな移行部を有することができ、または、内径移行部210は、少なくとも2つの段若しくは厚さの高さを有するカスケードソールを有することができる。例えば、内径移行部210は、2,3,4,5,6または7つの段を有するカスケードソールを備えることができる。いくつかの実施形態では、内径移行部は、打球面112のより大きな曲げを提供することができる。いくつかの実施例では、打球面112の曲げまたは撓みの増大は、打球面112の撓みによりほぼ1%からほぼ3%多くのエネルギを許容することができる。
【0039】
多くの実施形態では、内径移行部210は、ゴルフクラブヘッド100の外部から見ることができない。図2は、更に、打球面112からクラウン108への頂部内径移行部260を示す。いくつかの実施形態では、頂部内径移行部260は、滑らかな移行部を有することができ、一方、他の実施形態では、頂部内径移行部260は、少なくとも2つの段部または厚さの高さを有することができる。例えば、頂部内径移行部260は、2,3,4,5,6または7つの段または厚さの高さを有することができる。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、内側ソール厚さ220を有することができる。内側ソール厚さ220は、内径移行部210の最も薄い厚さよりも厚くすることができる。多くの実施形態では、内側ソール厚さ220も、隣接する段または内径移行部210の最終段よりも厚い。いくつかの実施形態では、内側ソール厚さ220は、内径移行部210の全体よりも厚くすることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、内径移行部210は、「Golf Club Heads with Weight Redistribution Channels and Related Methods」と題する米国特許第8,579,728号に記載のような、ソール前部分及び/または重量分散チャンネルと同様にすることができ、本特許は参照することにより本明細書に包含される。
【0041】
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、打球面から、クラウン、ヒール、トウ、ソールまたはスカートの少なくとも1つに延びるカスケード移行領域、段付移行領域または内径移行部を有することができる。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの周囲の周縁を囲む、例えば打球面から、クラウン、トウ領域、ヒール領域及びソール領域のそれぞれに延びる段付移行領域リングである単一の連続した段付移行領域リングを有してもよい。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、クラウン及び/またはソールにのみ段付移行領域を有する。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、トウ領域及び/またはヒール領域にのみ段付移行領域を有する。他の実施例では、段付移行領域は、打球面からスカートにのみ配置される。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、打球面からクラウンのトウ領域、クランのヒール領域、ソールのトウ領域及び/またはソールのヒール領域に、分離または個別の段付移行領域を有する。
【0042】
図3は、図1のゴルフクラブヘッドと同様な他の実施形態によるゴルフクラブヘッド300の内径移行部310の図を、図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿って示す。図4は、図1のゴルフクラブヘッドと同様な他の実施形態によるゴルフクラブヘッド400の内径移行部410の図を、図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿って示す。図5は、図1のゴルフクラブヘッドと同様な他の実施形態によるゴルフクラブヘッド500の内径移行部510の図を、図1の断面線II-IIと同様な断面線に沿って示す。
【0043】
図3に示すように、内径移行部310は、内径移行部210(図2)と同様にすることができ、ゴルフクラブヘッド300はゴルフクラブヘッド100(図1及び2)と同様にすることができる。内径移行部310は、第1厚さを有する第1段315と、第2厚さを有する第2段317とを備える。多くの実施形態では、各段の厚さは、実施的に一定である。例えば、第1段315の第1厚さは、第1実質的一定厚を有し、第2段317の第2厚さは、第2実質的一定厚を有することができる。他の実施形態では、第1段315は、第1勾配を有することができ、第1段315の第1厚さは、打球面312に近接するほど厚く、段移行領域316に近接するほど薄い。段移行領域316は、第1段315の第1勾配よりも急傾斜の段勾配を有することができる。段移行領域316は、90度よりも小さな角度で直線状に傾斜し、第1段315から第2段317に移行することができる。他の実施形態では、段移行領域316は、図5の段移行領域516及び518に示すように、ほぼ90度のステップを有することができる。段移行領域516(図5)及び518(図5)は、段移行領域316(図3)、及び、段移行領域416(図4)及び418(図4)と同様にすることができる。
【0044】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、各段付移行部316,416,418,516,518は、第1弧状面420と第2弧状面422とを有することができる。第1弧状面420は第1曲率半径を有し、第2弧状面422は第2曲率半径を有する。各段付移行部316,416,418,516,518の第1曲率半径と第2曲率半径は同じにすることができ、または、各段付移行部316,416,418,516,518の第1曲率半径と第2曲率半径とを相違させることもできる。例えば、第1弧状面420の第1曲率半径は、第1弧状面420の第2曲率半径と同じにすることができ、第1弧状面420の第1曲率半径は、第1弧状面420の第2曲率半径よりも小さくすることができ、または、第1弧状面420の第1曲率半径は、第1弧状面420の第2曲率半径よりも大きくすることができる。更に、例えば、第2弧状面422の第1曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径と同じとすることができ、第2弧状面422の第1曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径よりも小さくすることができ、または、第2弧状面422の第1曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径よりも大きくすることができる。
【0045】
更に、各段付移行部316,416,418,516,518は、同じ第1曲率半径または異なる第1曲率半径を有することができ、更に、段付移行部316,416,418,516,518のそれぞれは、同じ第2曲率半径若しくは異なる第2曲率半径を有することができる。例えば、第1弧状面420の第1曲率半径は、第2弧状面422の第1曲率半径と同じにすることができ、第1弧状面420の第1曲率半径は、第2弧状面422の第1曲率半径よりも小さくすることができ、または、第1弧状面420の第1曲率半径は、第2弧状面422の第1曲率半径よりも大きくすることができる。更に、例えば、第1弧状面420の第2曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径と同じにすることができ、第1弧状面420の第2曲率半径は、第2弧状面420の第2曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径よりも小さくすることができ、または、第1弧状面420の第2曲率半径は、第2弧状面422の第2曲率半径よりも大きくすることができる。
【0046】
内径移行機能(例えば、内側段移行部310、図3)は、ゴルフクラブヘッドの曲げのピークが発生する場所を変更することができる。段付移行領域は、曲げのピークにおいて「塑性ヒンジ」を生成し、ゴルフボールとのインパクトによる変形がより局在化するのを促進することができる。多くの実施形態では、座屈プロセスは、曲げのピーク位置において開始し、ゴルフクラブヘッドは、限界座屈閾値のすぐ下に留まるように最適化される。内側塑性ヒンジは、クラブがクラウン及びソール方向により多く撓むのを可能とする。内側塑性ヒンジは、段付機能を使用することにより、クラウン及びソールの撓む位置及び撓む量を正確に制御することを可能とする。
【0047】
内径移行部を使用することで、ゴルフクラブヘッドの応力を材料のより多くのボリュームにわたって分配することを可能とし、したがって、局部的なピーク応力を低減する。多くの実施形態では、クラウンからソールへの追加の撓みで、同じ負荷に基づいて面が更に屈曲するのを可能とする。この追加の撓みは、クラブの面により多くの応力及び屈曲を生成し、より多くのばねエネルギを生成することができる。ばねエネルギの増加は、ゴルフボールとのインパクトにより、ゴルフクラブヘッド内に貯えることができる。多くの実施形態では、追加のばねエネルギは、ボールのスピードが増大するのを支援する。いくつかの実施形態では、内径移行部は、ゴルフクラブヘッド内でより全体的な屈曲を形成することが可能であり、これも、ボールのスピードの増大を導くことができる。打球面全体のボールスピードが増大すると、より良好な距離制御が可能である。いくつかの実施形態では、内径移行機能を有するゴルフクラブヘッドは、約4%から約6%のより多くのエネルギを貯蔵することができ、これは、ゴルフボールに戻すことができる。
【0048】
図3に戻ると、内径移行部310は、ゴルフクラブヘッド300のソールの曲げのピーク350が生じる位置を変更することができる。更に、内径移行部310は、ゴルフボールからのインパクトにおける曲げプロセスで、クラブヘッド300のボディがより多く係合することができる。いくつかの実施形態では、第1段315と第2段317は、打球面312とゴルフボールとのインパクトで生成される応力の一部を各段に蓄積するのを可能とする。この構造は、応力が主にソールの最薄肉部に集まるのを防止し、ゴルフクラブヘッド300の信頼性及び耐久性が増大するのを可能とする。多くの実施形態では、この構造は、内径移行部310の打球面端部に対向する塑性ヒンジを生成し、塑性ヒンジ位置で更に変形が局在化するのを促進する。多くの実施形態では、塑性ヒンジは、例えば曲げのピーク350である曲げのピークに配置することができる。この構造も、例えばクラウン及び/またはソールにより多くの潜在エネルギを貯蔵するのを許容することができる。いくつかの実施形態では、ボディ301は、ソール及びクラウンにおけるクラウンからソールの方向への撓みまたは曲げにおける撓みまたは曲げが約4%から約7%増大するのを経験することができる。ソール及び/またはクラウンにおけるクラウンからソールの方向への追加の撓みは、ゴルフボールによる同じ負荷またはインパクトで、打球面312が更に屈曲するのを許容することができる。したがって、この構造は、打球面312とのインパクト時にボールに伝達することのできるより多くの応力及び曲げをゴルフクラブヘッド300の打球面312に生成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、各段は、段を通じてほぼ一定の厚さを有する。多くの実施形態では、第1段315は、第2段317よりも厚い。ドライバタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段315は、約0.030インチ(0.076cm)から約0.060インチ(0.152cm)の厚さ、または、約0.040インチ(0.102cm)から約0.050インチ(0.127cm)の厚さとすることができ、そして、第2段317は、約0.020インチ(0.051cm)から約0.050インチ(0.127cm)の厚さ、または、約0.030インチ(0.076cm)から約0.040インチ(0.102cm)の厚さとすることができる。フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段315は、約0.035インチ(0.089cm)から約0.065インチ(0.165cm)の厚さ、または、約0.045インチ(0.114cm)から約0.055インチ(0.140cm)の厚さ、そして、第2段317は、約0.025インチ(0.064cm)から約0.055インチ(0.140cm)の厚さ、または、約0.035インチ(0.089cm)から約0.045インチ(0.114cm)の厚さとすることができる。ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段315は、約0.050インチ(0.127cm)から約0.080インチ(0.203cm)の厚さ、または、約0.060インチ(0.152cm)から約0.070インチ(0.178cm)の厚さ、第2段317は、約0.040インチ(0.102cm)から約0.070インチ(0.178cm)の厚さ、または、約0.050インチ(0.127cm)から約0.060インチ(0.152cm)の厚さとすることができる。アイアンタイプのゴルフクラブヘッドの多くの実施形態では、第1段315は、約0.055インチ(0.140cm)から約0.085インチ(0.216cm)の厚さ、または、約0.060インチ(0.152cm)から約0.080インチ(0.203cm)第2段317は、約0.045インチ(0.114cm)から約0.075インチ(0.191cm)の厚さ、または、約0.050インチ(0.127cm)から約0.070インチ(0.178cm)の厚さとすることができる。
【0050】
図4に示すような他の実施形態では、内径移行部410は、2つより多くの段を有することができる。例えば、内径移行部410は、2,3,4,5,6,または、7つの段を有することができる。3段内径移行部410は、内径移行部310(図3)と同様にでき、第1段415と第2段417と第3段419とを有する。第1段415は、図3の第1段315と同様にようにすることができ、第2段417は第2段317と同様にすることができる。多くの実施形態では、曲げのピーク450は、内径移行部により多くの段が付加されるほど、打球面412から更に後方に生じる。
【0051】
多くの実施形態では、第2段417は第3段419よりも厚い。ドライバタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第3段419は、約0.010インチから約0.040インチ(0.102cm)の厚さ、または、約0.020インチ(0.051cm)から約0.030インチ(0.076cm)の厚さである。フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第3段419は、約0.015インチ(0.038cm)から約0.045インチ(0.114cm)の厚さ、または、約0.025インチ(0.064cm)から約0.035インチ(0.089cm)の厚さである。ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第3段419は、約0.030インチ(0.076cm)から約0.060インチ(0.152cm)の厚さ、または、約0.040インチ(0.102cm)から約0.050インチ(0.127cm)の厚さである。アイアンタイプのクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第3段419は、約0.030インチ(0.076cm)から約0.060インチ(0.152cm)、または約0.035インチ(0.089cm)から約0.055インチ(0.140cm)の厚さである。
【0052】
一方、図5を参照すると、ドライバタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段515は約0.045インチ(0.114cm)の厚さとし、第2段517は、約0.035インチ(0.089cm)の厚さとし、第3段519は、約0.025インチ(0.064cm)の厚さとすることができる。フェアウェイウッドタイプゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段515は、約0.051インチ(0.130cm)の厚さとし、第2段517は、約0.039インチ(0.099cm)の厚さとし、第3段519は約0.030インチ(0.076cm)の厚さとすることができる。ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段515は、約0.067インチ(0.170cm)の厚さとすることができ、第2段517は、約0.054インチ(0.137cm)の厚さとし、第3段519は、約0.045インチ(0.114cm)の厚さとすることができる。アイアンタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段515は、約0.067インチ(0.170cm)の厚さとし、第2段は、約0.057インチ(0.145cm)の厚さとし、第3段519は、約0.042インチ(0.107cm)の厚さとすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、図3,4及び5の第1段315,415,515は、それぞれ、図3,4及び5の第2段317,417,517の第2段長とほぼ等しい第1段長を有することができる。いくつかの実施形態では、図3,4及び5の第1段315,415,515の第1段長は、それぞれ、第2段317,417,517の第2段長よりも長い。他の実施形態では、図4及び5の第2段417,517の第2段長は、それぞれ、図4及び5の第3段419,519の第3段長のそれぞれとほぼ等しくすることができる。いくつかの実施形態では、図4及び5の第2段417,517の第2段長は、それぞれ、図4及び5の第3段419,519の第3段長よりもそれぞれ長くすることができる。他の実施形態では、図4及び5の第2段417,517の第2段長は、それぞれ、図4及び5の第3段419,519の第3段長よりもそれぞれ短くすることができる。
【0054】
図3,4及び5を参照すると、フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドまたはドライバタイプのゴルフクラブヘッドまたはハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段315,415,515は、約0.05インチ(0.127cm)から約0.80インチ(2.03cm)の第1段長を有することができ、第2段317,417,517は、約0.03インチ(0.076cm)から約0.60インチ(1.52cm)の第2段長さを有することができ、第3段419,519は、約0.04インチ(0.102cm)から約0.70インチ(1.78cm)の第3段長を有することができる。アイアンタイプのゴルフクラブヘッドのいくつかの実施形態では、第1段315,415,515は、約0.03インチ(0.076cm)から約0.30インチ(0.762cm)の第1段長さを有することができ、第2段317,417,517は、約0.04インチ(0.102cm)から約0.40インチ(1.02cm)の第2段長さを有することができ、第3段419,519は、約0.05インチ(0.127cm)から約0.50インチ(1.27cm)の第3段長さを有することができる。
【0055】
図3,4及び5に示すように、いくつかの実施形態では、段付移行部316,416,516の第1,第2弧状面は、第1段315,415,515及び第2段317,417,517のそれぞれの第1厚さT及び第2厚さT間の差よりも少なくとも2倍大きな第1,第2曲率半径を有することができる。1つの実施形態では段付移行部316,416,516の第1,第2弧状面は、第1段315,415,515及び第2段317,417,517のそれぞれの第1厚さT及び第2厚さT間の差よりも約6.5倍大きな第1,第2曲率半径を有する。図4及び図5に示すように、いくつかの実施形態では、段付移行部418,518の第1,第2弧状面は、第2段417,517及び第3段419,519それぞれの第2厚さT及び第3厚さTの差よりも少なくとも2倍大きな第1,第2曲率半径を有することができる。1つの実施形態では、段付移行部418,518の第1,第2弧状面は、第2段417,517及び第3段419,519のそれぞれの第2厚さT及び第3厚さT間の差よりも約6.5倍大きな第1,第2曲率半径を有する。
【0056】
図3に示すように、ゴルフクラブヘッド300等のいくつかの実施形態は、ゴルフクラブヘッド300の重心を下げる重りパッド330を有する。重りパッド330は、隣接段の最終段厚さ321よりも大きい重りパッド厚さ331を有する。この実施例では、隣接段は、第2段317である。重りパッド330を有する多くの実施形態では、内側ソール厚さ320は、最終段厚さ321とほぼ等しくすることができる。いくつかの実施形態では、内側ソール厚さ320は、最終段厚さ321よりも厚くすることができる。いくつかの実施形態では、内側ソール厚さ320は、最終段厚さ321よりも薄い。
【0057】
図4に示すように、ゴルフクラブヘッド400等のいくつかの実施形態は、リブ440を有する。リブ440は、ボディ401に対して内側で、打球面に対してほぼ平行に配置することができる。多くの実施形態では、リブ440は突条またはバーとすることができる。いくつかの実施形態では、リブ440は、第3段厚421、隣接段の厚さ、または、内径移行部410の最終段の厚さよりも厚いリブ厚441を有することができる。リブ440の目的は、ゴルフクラブヘッド400のソールを補強することであり、したがって、ソールの曲げのピークは、段移行領域416及び/または段移行領域418で生じる。
【0058】
図6に移ると、いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド600は、クラウン608においてクラウン内径移行部660を有することができる。クラウン内径移行部660は、クラウン内径移行部660が、ソール移行部に対する打球面の代わりにクラウン移行部に対する打球面に配置されることを除いて、図3の内径移行部310と同様にすることができる。多くの実施形態では、第1段615は、それぞれ図3,4及び5の第1段315,415及び/または515と同様にすることができ、第2段617は、それぞれ図3,4及び5の第2段317,417及び/または517と同様にすることができ、第3段619は、それぞれ図4及び5の第3段419及び/または519と同様にすることができ、段移行領域616及び/または618は、図3,4及び5の段移行領域316,416,516,418及び/または518と同様にすることができる。同様に、クラウン内径移行部660は、複数の内径移行部を有し、2より多くの段を形成することができる。例えば、クラウン内径移行部660は、2,3,4,5,6または7つの段を有することができる。
【0059】
図7では、ゴルフクラブヘッド700は、図7に示すように、スカート内径移行部780を有することができる。図7は、他の実施形態による、図1の断面線VII-VIIと同様な断面線に沿う、ゴルフクラブヘッド100(図1)と同様なゴルフクラブ700の断面図を示す。スカート内径移行部780は、内径移行部210(図2)と同様にすることができ、第1段715は、それぞれ図3,4及び5の第1段315,415及び/または515と同様にすることができ、第2段717は、図3,4及び5の第2段317,417及び/または517と同様にすることができ、第3段719は、それぞれ図4及び5の第3段419及び/または519と同様にすることができ、段移行領域716及び/または718は、図3,4及び5の段移行領域316,416,516,418及び/または518と同様にすることができる。同様に、スカート内径移行部780は、2つより多くの段を有することができる。例えば、スカート内径移行部780は、2,3,4,5,6または7つの段を有することができる。図7に示すように、ゴルフクラブヘッド700は、打球面712の他側部にもスカート内径移行部を有することができる。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド700は、打球面712の片側にスカート内径移行部を有することができる。
【0060】
図8は、実施形態によるゴルフクラブヘッド400(図4)と同様なゴルフクラブヘッド800の一部の図、及び、標準のゴルフクラブヘッド850の同じ区域の図を示す。標準のゴルフクラブヘッド850は、打球面852からソール856まで均一なソール厚さ855と、均一なソール厚さ855よりも厚い内側ソール重り870とを有する。ゴルフクラブヘッド800は、内径移行部410(図4)と同様な内径移行部810を有する。内径移行部810は、第1段415(図4)と同様な第1段815と、第2段417(図4)と同様な第2段817と、第3段419(図4)と同様な第3段819とを有することができる。内径移行部810は、更に、段移行領域416(図4)及び418(図4)と同様な段移行領域816,818と、内側ソール重り870と同様な内側ソール重り820とを有することができる。多くの実施形態では、第1段815、第2段817または第3段819の少なくとも1つは、均一なソール厚さ855よりも薄くすることができる。段の厚さは、クラブヘッドに後に再配分可能な重りを省くことができる。
【0061】
内径移行領域810を有するソール806のより大きな区域にわたって、カスケードソールのないソール856よりも、高応力がより分散される。多くの実施形態では、均一ソール厚さ855と同様なソールの全体的な湾曲は、特定領域におけるゴルフボールからのインパクト力のより大きな特定の集中を吸収することができるが、より大きな区域にわたって力を分散するものではない。内径移行部810等のカスケード構造(または、内径移行部に沿って厚さが変化する段)は、しかしながら、波状または段構造が、特定厚さの1つの内径領域から次に、より大きな応力を伝達するため、より大きな区域にわたってゴルフボールからのインパクト力を「パッケージ」にする技術を提供する。多くの実施形態では、内径移行部810またはカスケード薄肉ソールにわたる応力のブリーディング、オーバーフローまたは貯留が存在する。より大きな応力のより大きな分散は、打球面に対するより大きなリコイル力を形成する。内径移行部810に応力を貯留することも、応力の全てが最も薄い段で直接集まるのを防止することができる。多くの実施形態では、段付機能は、ソールに沿って応力が分散し、1つの大きな応力集中が発生するのを阻止するのを支援することができる。代りに、応力のより均等な分配に対して多数の応力集中がある。応力は、カスケードソールに沿って延設され、ソールがより多くの応力が作用(または、吸収)するのを許可する。しかしながら、応力は、カスケードソールのないソールの最も厚い部分で減少し、最大レベルの応力を経験し、そして、より小さな跳ね返り力を打球面に作用させる。
【0062】
カスケードソールを有するゴルフクラブヘッド(例えば、100,300,400,500,600または700)の実施形態は、カスケードソールを持っていない同様な対照クラブヘッドと比較して試験した。カスケードソールを有するクラブヘッドは、対照クラブヘッドに比較して、約0.5~1.5マイル/時(mph)(0.8~2.4キロメートル/時(kph)、または、約0.5~0.9%のボール速度の増加を示した。中心でのインパクトに対するボール速度の増加は、約0.5~1.0mph(0.8~1.6kph)、中心をずれたインパクトに対するボール速度の増加は、約1~1.5mph(1.6~2.4kph)であった。カスケードソールを有するクラブヘッドは、更に、対照クラブヘッドに比較して、約0.1~0.3度の打出し角度の増加、約275~315回転/分(rpm)のスピンの減少、及び、約3~6ヤード(2.7~5.5メートル)のキャリー距離の増加を示した。
【0063】
いくつかの実施形態では、ドライバタイプ、ハイブリッドタイプまたはウッドタイプのカスケードソール(例えば、100,300,400,500,600、または、700)を有するゴルフクラブヘッドは、更に、第1クラウン厚さ(図示しない)と第2クラウン厚さ(図示しない)とを有してもよい。第1クラウン厚さは、打球面の背部のクラウンまたはクラウン内径移行部に位置してもよい。第2クラウン厚さは、第1クラウン厚さの背部でクラブヘッドの後部に向けてクラウン上に位置してもよい。第1クラウン厚さは、第2クラウン厚さよりも厚い。更に、第1クラウン厚さは、第2クラウン厚さに向けて、任意の外形にしたがって次第に移行してもよく、または、第1クラウン厚さは、例えば階段のように、第2クラウン厚さに急激に移行してもよい。
【0064】
第1クラウン厚さは、クラブヘッドの前端におけるクラウンのどの部分を有してもよい。例えば、第1クラウン厚さは、クラブヘッドの前端におけるクラウンの5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%,40%,45%,50%、または、任意の部分を有してもよい。第2クラウン厚さは、クラブヘッドの後部におけるクラウンの任意の部分を有してもよい。例えば、第2クラウン厚さは、クラブヘッドの後部における40%,45%,50%,55%,60%,65%,70%,75%,80%または任意の部分を有してもよい。
【0065】
クラウン厚さは、クラブヘッドのクラウンの任意の部分における第1クラウン厚さと第2クラウン厚さの間で移行してもよく、クラウン厚さ移行部を画定する。クラウン厚さ移行部は任意の形状でよい。例示的な実施形態では、クラウン厚さ移行部は、米国特許第7,892,111号のベル状と同様なベル状曲線を画定し、この米国特許は参照することにより本明細書に包含される。第1クラウン厚さは、打球面とベル状曲線との間でクラウン上に配置され、第2クラウン厚さは、ベル状曲線とクラブヘッドの後部との間に配置される。
【0066】
例示的な実施形態では、ゴルフクラブヘッドがフェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドの場合は、第1クラウン厚さは約0.022インチ(0.056cm)であり、第2クラウン厚さは約0.019インチ(0.048cm)である。更に、例示的な実施形態では、ゴルフクラブヘッドがハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドの場合は、第1クラウン厚さは約0.024インチ(0.061cm)であり、第2クラウン厚さは約0.019インチ(0.048cm)である。
【0067】
フェアウェイウッドタイプまたはハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドの他の実施形態では、第1クラウン厚さは、約0.029(0.074),0.028(0.071),0.027(0.069),0.026(0.066),0.025(0.064),0.024(0.061),0.023(0.058),0.022(0.056),0.021(0.053),0.020(0.051),0.019(0.048),0.018(0.046)、または、0.017(0.043)インチ(cm)より薄く、第2クラウン厚さは、約0.024(0.061),0.023(0.058),0.022(0.056),0.021(0.053),0.020(0.051),0.019(0.048),0.018(0.046),0.017(0.043),0.016(0.041),0.015(0.038),0.014(0.036),0.013(0.033)、または、0.012(0.031)インチ(cm)より薄くてもよい。
【0068】
クラウン内径移行部は、クラブヘッドのクラウンの応力を消散及び/または低減し、これにより、第1,第2クラウン厚さが先のデザインに比して減少する。例示的な実施形態では、先のデザインに比して、第1クラウン厚さは約17.2~24.1%減少し、第2クラウン厚さは約20.8%減少する。第1,第2クラウン厚さの減少は、先のデザインに比して、クラブヘッドの重心の低下(ソールにより近く配置される)を可能とする。クラブヘッドの重心の低下は、ボールのギアリング及びスピンを減少することにより、クラブヘッドの性能特性を改善する。
【0069】
図9に移動すると、段付内側薄肉部を設けたゴルフクラブヘッドの種々の実施形態は、ゴルフクラブヘッドの製造方法900を包含する。方法900は、ボディを準備すること(ブロック910)を包含する。ボディは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有する。いくつかの実施形態では、ボディは更に、クラウンからソールに延びるスカートを有する。方法900は、更に、打球面から、ソール、クラウンまたはスカートの少なくとも1つに内径移行部を設けること(ブロック920)を包含する。方法900は、更に、内径移行部の第1段を設けること(ブロック930)、内径移行部に第2段を設けること(ブロック940)、及び、内径移行領域の第1段と第2段との間に段移行領域を設けること(ブロック950)を包含する。いくつかの実施形態では、ブロック910,920,930,940及び950は、クラブヘッドのボディの鋳込みによる等で、互いに同時に実行することができる。他の実施形態では、ブロック920,930,940及び/または950の1つまたは複数は、実施例として、機械加工工程を通してブロック910の後で実行することができる。
【0070】
II.バックキャビティを有するゴルフクラブヘッド
1つの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブの上部クラウン区域に配置されたバックキャビティを有する。多くの実施形態では、バックキャビティは、ゴルフボールを打球したときにボックススプリング効果を提供することができる。バックキャビティは、クラブヘッドのソールの内径の厚さの変化(カスケードソール)と組合わせ、ばね状効果を提供することができる。
【0071】
いくつかの実施形態は、より「アイアン状」の外観と感覚とを提供する中空構造のクラブヘッドが特徴のクラブヘッド(中空デザインを有するハイブリッドまたはフェアウェイウッドまたはアイアン)に向けている。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、平坦な打球面とアイアン状の外形を特徴とすることができ、これは、アイアンと同様な改善された加工性と正確性とを提供することができる。クラブヘッドの頂部レールの下方に配置され、下部クラウンに沿うバックキャビティは、中空構造を有するハイブリッド、フェアウェイウッド及びアイアン用としてデザインされている。バックキャビティは、ヒールからトウまで、クラブヘッドの頂部レールの直下で上部クラウンまたは後部に沿う全チャンネルでもよい。頂部レール及びキャビティは、任意のデザインでよい。いくつかの実施形態では、キャビティは、約90度の角度を有し、ゴルフクラブヘッドのクラウン領域に目標とするヒンジポイントを提供する。このヒンジまたは座屈領域は、頂部レールが広い体積区域にわたってより大きなインパクト力を吸収し、キャビティ及び頂部レールを、その当初の配置に戻るときに、打球面に戻るより大きなリコイル力により、スプリングボードとして作用させ、これにより、より大きな力をボールに付与するのを可能とする。このキャビティデザインによる大きなクラブ面の撓みは、スピンを減少し、インパクト時のゴルフボールのロフト角を高くし、更に、標準のゴルフクラブヘッドよりも、同じクラブスピードでボールスピードを早くすることができる。
【0072】
標準のハイブリッドクラブヘッドでは、頂部レール及び上部クラウン領域はこのデザインのキャビティを有しない。本開示との比較では、そのような標準のハイブリッドクラブヘッドにおける打球面の曲げまたは撓みは少ない。標準のハイブリッドは、キャビティを有しないことにより、クラブの頂部レールに伝達されるエネルギが少ないため、大きなスプリングバック効果を得ることはできない。開示したバックキャビティを有するゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールのより大きなインパクト力を吸収し、この後、打球面に戻すのを可能とする。多くの実施形態では、キャビティの角度は、打球面が標準のゴルフクラブよりも大きく撓むための座屈ポイント、または、塑性ヒンジ、または、目標ヒンジを提供することができる。
【0073】
打球面におけるキャビティのリコイル効果は、(1)打球面に対するヒンジ領域からボールに伝達されるスプリング効果にある程度起因する、上部クラウンキャビティ(または、バックキャビティ)を有するクラブヘッドと無いものとの同じクラブヘッドスピードに対するより高速のゴルフボール速度、(2)キャビティの上部のヒンジポイントがクラブで吸収されるより大きな力に反作用し、代りに、より大きな力をボールに伝達し、これにより、ボールが打球面から後方にスピンするのを阻止されることにある程度起因する、クラブとのインパクトの後のゴルフボールの少ないスピン、(3)ヒンジ及び打球面がボールに対してダイビングボードまたはカタパルトとして作用することに起因する、インパクト時にゴルフボールに対するより大きなロフト角を提供する。いくつかの実施形態では、キャビティは、ボール速度を約1.0~1.2%増大し、打出し角度を約0.4~0.7度増大し得る。
【0074】
図に移動すると、図10は、ゴルフクラブヘッド1000の実施形態の後部トウ側斜視図を示し、図11は、図10の実施形態によるゴルフクラブヘッド1000の後部ヒール側斜視図を示す。ゴルフクラブヘッド1000は、ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドとすることができる。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドまたはフェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドとすることができる。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、バッジまたは個別調製ポートを有してない。
【0075】
ゴルフクラブヘッド1000は、ボディ1001を有する。多くの実施形態では、ボディは中空である。いくつかの実施形態では、ボディは少なくとも一部が中空である。ボディ1001は、打球面1012と、ヒール領域1002と、ヒール領域1002に対向するトウ領域1004と、ソール1006と、クラウン1008とを有する。クラウン1008は、上部領域1011と下部領域1013とを有する。上部領域1011は、頂部レール1015を有する。いくつかの実施形態では、頂部レール1015は、平坦で、より高い頂部レールまたはスカートとすることができる。平坦かつより高い頂部レールが、打球面1012上のミスヒットに対してティーからのプレイ性を増大する理由を説明する。
【0076】
いくつかの実施形態では、ボディ1001は、ステンレス鋼、チタニウム、アルミニウム、合金鋼(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti7-4、Ti6-4、T-9S)、アルミニウム合金、または、複合材料を有することができる。いくつかの実施形態では、打球面1012は、ステンレス鋼、チタニウム、アルミニウム、合金鋼(例えば、455鋼、475鋼、431鋼、17-4ステンレス鋼、マルエージング鋼)、チタン合金(例えば、Ti7-4、Ti6-4、T-9S)、アルミニウム合金、または、複合材料を有することができる。いくつかの実施形態では、ボディ1001は、打球面1012と同じ材料を有することができる。いくつかの実施形態では、ボディ1001は、打球面1012と異なる材料を有することができる。
【0077】
多くの実施形態では、キャビティ1030は、頂部レール1015の下側に配置される。多くの実施形態では、キャビティ1030は、頂部ボックススプリングデザインを有する。多くの実施形態では、頂部レール1015及びキャビティ1030は、打球面1012の全体の曲げの増大を提供する。いくつかの実施形態では、打球面1012の曲げは、約2%から約5%のエネルギの増加を許容可能である。キャビティ1030は、打球面1012をより薄くするのを可能とし、付加的な全体曲げを可能とする。いくつかのフェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドの実施形態について、キャビティ1030は、ソール1006に向けてより厚くしたクラウン1008の逆スクープまたはへこみとすることができる。
【0078】
図10を参照すると、いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、更に、クラウン1008の下部領域1013にトウ領域1004の近くにインサート1062を有することができる。いくつかの実施形態は、ソール1006に内部重りを有する。多くの実施形態では、インサート1062は、タングステンまたは他の高密度材料を包含してもよい。多くの実施形態では、インサートは、重心(CG)を打球面1012から後方に約0.04インチ(1mm)~0.10インチ(2.5mm)移動し、打出し角度を3.5%~5.5%増加し、これは、ティーからの高いまたは低いミスヒットのプレイ性を増大することができる。
【0079】
多くの実施形態では、CGは、クラウン1008の下部領域1013で、トウ領域1004とソール1006との交差部の近くにある。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000のCGは、CGy平面に沿って0.597インチでCGz平面に沿って0.541インチにある。慣性モーメントIxxについて、ゴルフクラブヘッド1000により、G30アイアンよりも20.5%増加し、Rapture DIよりも28%増加した。Iyyについて、G30アイアンよりも1.7%増加し、Rapture DIよりも22%増加した。
【0080】
いくつかの実施形態では、約3グラム(g)から約4gが、頂部レール1015に付加される。ほとんどの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の全質量は同じままである。いくつかの実施形態では、ソール1006またはトウ領域1004から質量を除去し、頂部レール1015への質量の付加を相殺することができる。いくつかの実施形態では、約3gから約4gの質量を頂部レール1015に付加することで、回転に抵抗するゴルフクラブヘッドを支援することができる。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのCGは僅かに上昇する。
【0081】
図12は、1つの実施形態による図10の断面線XII-XIIに沿うゴルフクラブヘッド1000の断面を示す。図12に示すように、打球面1012は、高領域1076、中領域1074及び低領域1072を有する。多くの実施形態では、クラウン1008の上部領域1011は、後壁1023と、後壁1023の下側でかつ隣接するキャビティ1030の頂壁1017と、頂壁1017の下側でかつ隣接するキャビティ1030の後壁1019とを有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、クラウン1008の上部領域1011の後壁1023の高さ1280は、約0.125インチ(0.318cm)から約0.75インチ(1.91cm)、または、約0.150インチ(0.381cm)から約0.400インチ(1.02cm)にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、クラウン1008の上部領域1011の後壁1023の高さ1280は、約0.175インチ(0.445cm)、0.275インチ(0.699cm)、0.375インチ(0.953cm)、0.475インチ(1.21cm)、0.575インチ(1.46cm)、または、0.675インチ(1.71cm)にすることができる。いくつかの実施形態では、クラウン1008の上部領域1011の後壁1023の高さ1280は、ゴルフクラブヘッド1000の高さの約5%から約25%とすることができる。いくつかの実施形態では、頂部レール1015の長さは、ヒール領域1002からトウ領域1004まで測定して、ゴルフクラブヘッド1000の長さの約70%から約95%とすることができる。
【0083】
クラウン1008の上部領域1011の後壁1023の高さ1280は、本明細書に記載のように、ゴルフボールとのインパクトの際の打球面1012の応力の少なくとも一部をキャビティ1030で吸収することを可能とする。本明細書に記載の後壁高さ1280よりも高さの高い後壁を有するゴルフクラブヘッドは、キャビティに達する前の頂部レールに沿うインパクトの分散が増大するため、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド1000よりもインパクト時の応力吸収が少ない(そして、打球面の撓みを少なくできる)。
【0084】
いくつかの実施形態では、キャビティ1030は、クラウン1008の下部領域1013の上側に配置され、クラウン1008の上部領域1011と下部領域1013とで少なくとも一部が画定される。キャビティ1030は、頂壁1017と後壁1019と底部傾斜部1021とを有する。第1屈曲ポイント1082が、キャビティ1030の頂壁1017とキャビティの後壁1019との間に配置される。第2屈曲ポイント1086は、キャビティの1030の後壁1019と底部傾斜部1021との間に配置される。
【0085】
いくつかの実施形態では、後壁1019の高さは、第1屈曲ポイント1082から第2屈曲ポイント1086まで測定して、約0.010インチ(0.25mm)から約0.138インチ(3.5mm)、または、約0.010インチ(0.25mm)から約0.059インチ(1.5mm)とすることができる。例えば、後壁1019の高さは、約0.01インチ(0.25mm)、0.02インチ(0.5mm)、0.03インチ(0.75mm)、0.04インチ(1.0mm)、0.05インチ(1.25mm)、0.06インチ(1.5mm)、0.07インチ(1.75mm)、0.08インチ(2.0mm)、0.09インチ(2.25mm)、0.10インチ(2.5mm)、0.11インチ(2.75mm)、0.012インチ(3.0mm)、0.13インチ(3.25mm)、または、0.14インチ(3.5mm)とすることができる。多くの実施形態では、頂壁1017の頂点は、頂部レール1015の頂点の下側、約0.125インチ(0.318cm)から約1.25インチ(3.18cm)、または、約0.25インチ(0.635cm)から約1.25インチ(3.18cm)とすることができる。例えば、頂壁1017の頂点は、頂部レール1015の下側、約0.125インチ(0.318cm)、0.25インチ(0.635cm)、0.375インチ(0.953cm)、0.5インチ(1.27cm)、0.625インチ(1.59cm)、0.75インチ(1.91cm)、0.825インチ(2.10cm)、1.0インチ(2.54cm)、1.125インチ(2.88cm)、または、1.25インチ(3.18cm)とすることができる。
【0086】
多くの実施形態では、キャビティ1030の後壁1019は、打球面1012に実質的に平行にすることができる。他の実施形態では、後壁1019は、打球面1012と実施的に平行ではない。多くの実施形態では、キャビティの頂壁1017は、第1屈曲ポイント1082に向けて移動したときに、打球面1012に向けて傾斜する。この頂壁1017の配置は、インパクトの応力をキャビティ1030に向けて導く座屈ポイントまたはヒンジポイントまたは塑性ヒンジを生成し、インパクト中の打球面1012の撓みが増大するのを可能とする。
【0087】
クラウン1008の下部領域1013は、キャビティ1030の底部傾斜部1021を有する。多くの実施形態では、第2屈曲ポイント1086は、底部傾斜部1021に隣接して、頂部レール1015の頂点の下側、少なくとも約0.25インチ(0.635cm)から約2.0インチ(5.08cm)、または、約0.5インチ(1.27cm)から約1.5インチ(3.81cm)とすることができる。例えば、第2屈曲ポイント1086は、頂部レール1015の頂点の下側、少なくとも約0.25インチ(0.635cm)、0.5インチ(1.27cm)、0.75インチ(1.91cm)、1.0インチ(2.53cm)、1.25インチ(3.18cm)、1.5インチ(3.81cm)、1.75インチ(4.45cm)または2.0インチ(5.08cm)とすることができる。いくつかの実施形態では、底部傾斜部の最大高さは、クラブヘッド1000のソール1006から第2屈曲ポイント1086まで測定して、ソールの最も下のポイントの上側1006、少なくとも約0.25インチ(約0.635cm)から約3インチ(約7.62cm)、または、約0.50インチ(1.27cm)から約2インチ(5.08cm)とすることができる。例えば、第2屈曲ポイント1086は、ソールの最も下のポイントの上側、少なくとも約0.25インチ(0.635cm)、0.375インチ(0.953cm)、0.5インチ(1.27cm)、0.625インチ(1.59cm)、0.75インチ(1.91cm)、0.825インチ(2.10cm)、1.0インチ(2.54cm)、1.125インチ(2.88cm)、1.25インチ(3.18cm)、1.375インチ(3.49cm)、1.5インチ(3.81cm)、1.625インチ(4.12cm)、1.75インチ(4.45cm)、1.875インチ(4.76cm)、2.0インチ(5.08cm)、2.125インチ(5.40cm)、2.25インチ(5.71cm)、2.375インチ(6.03cm)、2.5インチ(6.35cm)、2.625インチ(6.67cm)、2.75インチ(7.00cm)、2.875インチ(7.30cm)、または、3.0インチ(7.62cm)とすることができる。
【0088】
キャビティ1030は、更に、少なくとも1つのチャンネル1039(図10)を有する。多くの実施形態では、チャンネル1039は、ヒール領域1002からトウ領域1004に延びる。チャンネル幅1032(図12)は、チャンネル1039を通して実質的に一定とすることができる。いくつかの実施形態では、チャンネル幅1032(図12)は、約0.008インチ(0.2mm)から約1インチ(25mm)、または約0.008インチ(0.2mm)から約0.31インチ(8mm)とすることができる。例えば、チャンネル幅1032は、約0.008インチ(0.2mm)、0.016インチ(0.4mm)、0.024インチ(0.6mm)、0.031インチ(0.8mm)、0.039インチ(1.0mm)、0.079インチ(2mm)、0.12インチ(3mm)、0.16インチ(4mm)、0.20インチ(5mm)、0.24インチ(6mm)、0.28インチ(7mm)、0.31インチ(8mm)、0.39インチ(10mm)、0.59インチ(15mm)、0.79インチ(20mm)、または、0.98インチ(25mm)である。他の実施形態では、チャンネル1039のチャンネルトウ領域幅は、チャンネルのチャンネルヒール領域よりも小さい。他の実施形態では、チャンネルヒール領域幅は、チャンネルトウ領域幅よりも小さい。他の実施形態では、チャンネル1039のチャンネル中央領域幅は、チャンネルヒール領域幅またはチャンネルトウ領域幅の少なくとも一方よりも小さくすることができる。他の実施形態では、チャンネル中央領域幅は、チャンネルヒール領域幅またはチャンネルトウ領域幅の少なくとも一方よりも小さくすることができる。いくつかの実施形態では、チャンネル1039は対称である。他の実施形態では、チャンネル1039は非対称である。他の実施形態では、チャンネル1039は更に、少なくとも2つの部分的チャンネルを有することができる。いくつかの実施形態では、チャンネル1039は、1つまたは複数のブリッジで遮断された一連の部分的チャンネルを有することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のブリッジは、クラウン1008の上部領域1011の厚さとほぼ同じにすることができる。
【0089】
本明細書に示すように、チャンネル幅1032は、インパクト時に打球面1012から応力を吸収可能である。本明細書に記載のチャンネル幅よりも狭いチャンネル幅を有するゴルフクラブヘッド(例えば、明瞭でないキャビティを有するゴルフクラブヘッド)は、インパクト時に打球面から吸収できる応力は少なく(クラウン1008の上部領域1011の材料が少ないため)、したがって、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド1000よりも打球面が受ける撓みが少ない。
【0090】
多くの実施形態では、キャビティ1030は、更に、バックキャビティ角度1035を有する。バックキャビティ角度は、キャビティ1030の頂壁1017と後壁1019との間で測定される。多くの実施形態では、バックキャビティ角度1035は、約70度から約110度とすることができる。いくつかの実施形態では、バックキャビティ角度1035は、約80度から約100度とすることができる。いくつかの実施形態では、バックキャビティ角度1035は、約70,75,80,85,90,95,100、または、110度である。多くの実施形態では、バックキャビティ角度1035は、ゴルフクラブヘッド1000がゴルフボールをインパクトしたときに、頂部レールヒンジポイント1070における座屈ポイントまたは塑性ヒンジまたは目標ヒンジを提供する。いくつかの実施形態では、頂部レールヒンジポイント1070における壁厚は、キャビティ1030の頂壁1017におけるよりも薄い。
【0091】
図13は、図12のゴルフクラブヘッド1000の断面におけるクラウン1008を、図10の同様な断面線XII-XII線に沿うキャビティ無しのゴルフクラブヘッド1200に平行に配置した図を示す。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、後角度1040と、頂部レール角度1045と、打球面角度1050とを有する。上部領域角度1040は、上部領域1011の頂壁1017から後壁1023まで測定する。多くの実施形態では、後角度1040は、約70度から約110度とすることができる。いくつかの実施形態では、後角度1040は、約90度である。頂部レール角度1045は、上部領域1011の後壁1023から頂部レール1015まで測定する。多くの実施形態では、頂部レール角度1045は、約35度から約120度、または、70度から約110度とすることができる。いくつかの実施形態では、頂部レール角度1045は、約35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115、または、120度とすることができる。打球面角度1050は、打球面1012から頂部レール1015まで測定する。多くの実施形態では、打球面角度1050は、約70度から約160度、または、70度から約110度とすることができる。いくつかの実施形態では、打球面角度1050は、約70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150,155、または、160度である。
【0092】
図13を参照すると、いくつかの実施形態では、打球面1012と後壁1019との間の最小間隙1090は、約0.079インチ(2mm)から約0.39インチ(10mm)である。例えば、打球面1012と後壁1019との間の最小間隙1090は、約0.079インチ(2mm)、0.16インチ(4mm)、0.24インチ(6mm)、0.31インチ(8mm)または0.39インチ(10mm)とすることができる。いくつかの実施形態では、打球面1012と後壁1019との間の最小間隙1090は、約0.55インチ(14mm)未満、0.47インチ(12mm)未満、約0.39インチ(10mm)未満、約0.31インチ(8mm)未満、約0.24インチ(6mm)未満、または、約0.16インチ(4mm)未満である。更に、いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の上部領域1011の打球面1012と後壁1023との間の最大間隙は、最小間隙1090よりも大きい。更に、いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の下部領域1013の打球面1012と底部傾斜部1021との最大間隙は、上部領域1011の最小間隙1090及び最大間隙よりも大きい。
【0093】
図21は、図12に示すゴルフクラブヘッド1000の断面と同様な、ゴルフクラブヘッド1000の断面図を示す。ゴルフクラブヘッド1000は、キャビティ1030と、上部領域1011と、下部領域1013とを有する。上部領域1011は、上部外側後壁1023を有し、キャビティ1030は、キャビティ外壁1025を有し、下部領域1013は、下部外壁1027を有する。多くの実施形態では、打球面1012から垂直に上部領域1011の後壁1023まで測定した最大上部距離1092は、約0.20~0.59インチ(5~15mm)とすることができる。例えば、最大上部距離1092は、約0.20インチ(5mm)、0.24インチ(6mm)、0.28インチ(7mm)、0.31インチ(8mm)、0.35インチ(9mm)、0.39インチ(10mm)、0.43インチ(11mm)、0.47インチ(12mm)、0.51インチ(13mm)、0.55インチ(14mm)、または、0.59インチ(15mm)である。更に、打球面1012から垂直にキャビティ外壁1025まで測定した最小キャビティ距離1094は、約0.16~0.47インチ(4~12mm)とすることができる。例えば、最小キャビティ距離1094は、約0.16インチ(4mm)、0.20インチ(5mm)、0.24インチ(6mm)、0.28インチ(7mm)、0.31インチ(8mm)、0.35インチ(9mm)、0.39インチ(10mm)、0.43インチ(11mm)、または、0.47インチ(12mm)である。更に、打球面1012から垂直に下部外壁1027まで測定した最大下部距離1096は、約0.98~1.57インチ(25~40mm)とすることができる。例えば、最大下部距離1096は、約0.98インチ(25mm)、1.02インチ(26mm)、1.06インチ(27mm)、1.10インチ(28mm)、1.14インチ(29mm)、1.18インチ(30mm)、1.22インチ(31mm)、1.26インチ(32mm)、1.30インチ(33mm)、1.34インチ(34mm)、1.38インチ(35mm)、1.42インチ(36mm)、1.46インチ(37mm)、1.50インチ(38mm)、1.54インチ(39mm)、または、1.57インチ(40mm)である。多くの実施形態では、最大下部距離1096は、最大上部距離1092よりも大きく、最大上部距離1092は、最小キャビティ距離1094よりも大きい。
【0094】
多くの実施形態では、キャビティ1030は、ゴルフクラブヘッド1200または他の標準のゴルフクラブヘッドよりもゴルフボールの速度を増大することができ、標準のハイブリッドクラブヘッドのスピン速度を低下でき、標準のハイブリッド及びアイアンクラブヘッドよりも打出し角度を増大することができる。多くの実施形態では、キャビティ1035の形状は、ばねのレベル及びゴルフクラブヘッド1000の応答タイミングを決定する。ゴルフボールが、キャビティ1030を有するクラブヘッド1000の打球面1012をインパクトしたときに、打球面1012は、ドラム状にスプリングバックし、クラウン1008は、制御された潰れ態様で屈曲する。多くの実施形態では、頂部レール1015は、キャビティ1030を有しないゴルフクラブヘッドの頂部レールよりも、より大きな容積空間にわたってより大きな応力を吸収できる。キャビティ1030の長さ、深さ及び幅を変更できる。これらのパラメータは、クラブヘッド1000の全体のデザインに、どの程度スプリングバックを設けるかについて、コントロールする。
【0095】
ゴルフボールをインパクトしたときに、打球面1012は、キャビティ1030の無いゴルフクラブよりもより大きな距離に内方に屈曲することができる。いくつかの実施形態では、打球面1012は、キャビティ1030の無いゴルフクラブヘッドの打球面よりも、約10%から約50%多くの撓みを有する。いくつかの実施形態では、打球面1012は、キャビティ1035の無いゴルフクラブヘッドの打球面よりも、約5%から約40%、または、約10%から約20%多くの撓みを有する。例えば、打球面1012は、キャビティ1035の無いゴルフクラブヘッドの打球面よりも、約5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%、または、40%多くの撓みを有することができる。多くの実施形態では、キャビティ無しでクラブのバック部を有しない標準の打球面よりも、ヒンジに起因する打球面1012による引込み距離、及び、キャビティ1030の曲げの双方がより大きくなる。
【0096】
多くの実施形態では、ゴルフボールをインパクトしたときの頂部レールヒンジポイント1070に沿ってより大きな座屈が生じるため、キャビティ1030を有するクラブヘッド1000で面撓みがより大きい。しかしながら、キャビティ1030は、頂部レールの頂部レールヒンジポイント1070に沿う大きな応力分散を提供し、スプリングバック力は、キャビティ1030及び頂部レール1015から打球面1012に伝達される。キャビティの無い標準の頂部レールは、このヒンジ/座屈効果を有せず、頂部レールの大きな容積区域にわたる高レベルの応力吸収も無い。したがって、標準の打球面は、打球面1012ほど多くの接触及びリコイルが無い。更に、打球面1012の大きな領域及び頂部レール1015の双方が、標準の頂部レールを有しかつキャビティの無い標準のゴルフクラブヘッドの同じクラウン領域よりも、より大きな応力を吸収する。多くの実施形態では、キャビティ無しの標準のクラブにおける同じ区域よりも、キャビティ1030の上により大きな区域に沿ってより大きな応力が存在するが、キャビティを有するクラブヘッドとキャビティの無いクラブヘッドの耐久性は同じである。クラブの後端により大きなスプリングを付加することにより(打球面1012に向く頂壁1017の内方傾斜により)、構造体の容積全体でより大きな力が移動する。応力は、ゴルフクラブヘッド1000の打球面1012及び頂部レール1015のより大きな区域にわたって観察される。ピーク応力は、標準の頂部レールクラブヘッドで見ることができる。しかしながら、より多くのピーク応力がゴルフクラブヘッド1000に見られるが、材料の大きな容積にわたって分散される。ゴルフクラブヘッド1000のヒンジ及び曲げ領域(すなわち、キャビティ1030の上の領域及びキャビティ1030自体)は、応力が限界座屈閾値に達しない限り変形しない。キャビティ1030及びその移動は、座屈閾値の臨界K値より下となるようにデザインすることができる。
【0097】
III.カスケードソール及びバックキャビティを有するゴルフクラブヘッド
いくつかの実施形態では、バックキャビティを有するゴルフクラブヘッドは、更に、段付薄肉部を有するカスケードソールを備える。図14は、実施形態によるゴルフクラブヘッド1100の断面を示し、これは図10の同様な断面線XII-XIIに沿うゴルフクラブヘッド1000(図10)と同様にすることができる。ゴルフクラブヘッド1000(図10)と同様に、ゴルフクラブヘッド1100は、ボディ1101を有する。ボディ1101は、打球面1112と、ソール1106と、クラウン1108とを有する。打球面1112は、高領域1176と、中領域1174と、低領域1172とを有する。クラウン1108は、上部領域1111と下部領域1113とを有する。上部領域1111は、頂部レール1115を有する。多くの実施形態では、キャビティ1130は、頂部レール1115の下側に配置される。ゴルフクラブヘッド1100は、更に、内径移行部310と同様なカスケードソール1310を有する(図3)。内径移行部1310は、第1厚さの第1段1315と、第2厚さの第2段1317と、段移行領域1316とを有することができる。いくつかの実施形態では、カスケードソール1310は、頂部レール1115に対して更に柔軟性を付与することができる。多くの実施形態では、カスケードソールに組み合わされるバックキャビティは、打球面に更に大きなスプリング効果を付与する。いくつかの実施形態では、カスケードソールを有するバックキャビティは、打球面の撓みに約3%~5%多くのエネルギを許容する。カスケードソール1310は、2段以上の任意数の段を有することができる。例えば、カスケードソール1310は、2,3,4,5,6または7つの段を有することができる。
【0098】
カスケードソール及びバックキャビティを有するゴルフクラブヘッド1100は、カスケードソールまたはバックキャビティのみを有するゴルフクラブヘッドよりも、打球面に対してより大きなリコイル力を付与することができる。これは、上述のように、内径移行部及びバックキャビティの双方から組み合わされて増大されたリコイル力による。打球面に対して増大したリコイル力は、撓みを増大させ、これは、ゴルフボールに適用されるインパクト力を増大し、これにより、ゴルフボールの速度を増大する。いくつかの実施形態では、キャビティ1130と内径移行部1310とを双方を有するゴルフクラブヘッド1100は、球速を増大し、打出し角度を増大し、良好な距離コントロールを提供することができる。種々の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1100は、球速を約1%から約4%増大することができる。種々の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1100は、球速を約1%,2%,3%または4%増大することができる。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1100は、ゴルフボールを打球面の高領域1176でインパクトしたときに、球速をより大きく増大する。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1100は、打出し角度を約0.5度から約1.1度増大することができる。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1100は、打出し角度を約0.5度、0.6度、0.7度、0.8度、0.9度、1.0度または1.1度増大することができる。
【0099】
カスケードソール及びバックキャビティを有するゴルフクラブヘッド1100の実施形態をテストした。全体として、カスケードソール及びバックキャビティを欠いた対照ゴルフクラブヘッドを比較したときに、キャビティ付ゴルフクラブヘッドはゴルフボールの速度の増加及び打出し角度の増加を示した。キャビティ付ゴルフクラブヘッドは、カスケードソール1310(図14)及びキャビティ1130(図14)の組合わせからの組合されたスプリング効果により、打球面のあらゆる接触位置に対して、ゴルフボールの速度の上昇及び打出し角度の増加を示した。いくつかの実施形態では、部分的にキャビティ1130(図14)のスプリング効果により、ゴルフボールの速度及び打出し角度のより大きな増大が、打球面の高い部分(例えば高領域1076(図12)または高領域1176(図14))での接触で観測された。図19~20は、閉じたバックデザイン及びキャビティ付ゴルフクラブヘッドと同様なロフト角を有する標準のアイアンタイプのゴルフクラブヘッド(対照ゴルフクラブヘッド)と比較したゴルフクラブヘッド1100(キャビティ付ゴルフヘッド)の実施形態のテストの結果を示す。図19は、ゴルフボールを打球面の高領域でインパクトするときの対照ゴルフクラブヘッドと比較したキャビティ付ゴルフクラブヘッドのゴルフボール速度の増加を示し、図20は、ゴルフボールを打球面の高領域でインパクトしたときの対照ゴルフクラブヘッドと比較したキャビティ付ゴルフクラブヘッドの打出し角度の増加を示す。
【0100】
特に、図19は、対照ゴルフクラブヘッドと比較したときに、キャビティ付ゴルフクラブヘッドのゴルフボール速度は、ゴルフボールを打球面の高トウ領域でインパクトしたときに、約1.9%(または、約2.5mph)、ゴルフボールを打球面の高中央領域でインパクトしたときに、約2.1%(または、約2.8mph、若しくは、約4.5kph)、ゴルフボールを打球面の高ヒール領域でインパクトしたとき(キャビティ付ゴルフクラブヘッドの全て)に、約1.5%(または、約2.0mph、若しくは、約3.2kph)増加することを示す。対照ゴルフクラブヘッドの高トウ領域でゴルフボールを打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールの速度約132.5mph(213.2kph)であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高トウ領域で打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールは、約135.0mph(217.3kph)に達する。対照ゴルフクラブヘッドの高中央領域でゴルフボールを打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールの速度約133.4mph(214.7kph)であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高中央領域で打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールは、約136.2mph(219.2kph)に達する。対照ゴルフクラブヘッドの高ヒール領域でゴルフボールを打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールの速度約134.0mph(215.7kph)であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高ヒール領域で打球面にインパクトしたときに、ゴルフボールは、約136.0mph(218.9kph)に達する。
【0101】
図20は、対照ゴルフクラブヘッドと比較したときに、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの打出し角度は、ゴルフボールを打球面の高トウ領域でインパクトしたときに、約4.2%(または、約0.6度)、ゴルフボールを打球面の高中央領域でインパクトしたときに、約4.8%(または、約0.7度)、ゴルフボールを打球面の高ヒール領域でインパクトしたとき(キャビティ付ゴルフクラブヘッドの全て)に、約6.4%(または、約0.9度)増加することを示す。ゴルフボールが対照ゴルフクラブヘッドの高トウ領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約14.4度であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高トウ領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約15.0度である。ゴルフボールが対照ゴルフクラブヘッドの高中央領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約14.5度であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高中央領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約15.2度である。ゴルフボールが対照ゴルフクラブヘッドの高ヒール領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約14.1度であり、一方、キャビティ付ゴルフクラブヘッドの高ヒール領域で打球面をインパクトしたときに、打出し角度は約15.0度である。
【0102】
図17は、ゴルフクラブヘッドを製造する方法1700を示す。方法1700は、ボディを準備すること(ブロック1705)を包含する。ブロック1705でボディを準備することは、打球面と、ヒール領域と、ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有するボディを備える。多くの実施形態では、クラウンは、上部領域と下部領域とを有する。いくつかの実施形態では、上部領域は頂部レールを有する。多くの実施形態では、キャビティは、頂部レールの下側に配置され、クラウンの下部領域の上側に配置される(ブロック1710)。いくつかの実施形態では、キャビティは、少なくとも一部がクラウンの上部及び下部領域で画定される。キャビティは、頂部壁と、頂部壁に隣接する後壁と、後壁に隣接する底部傾斜部と、キャビティの頂部壁及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法1700は、更に、クラウンの下部領域にトウ領域に向くインサートを準備することを包含する。いくつかの実施形態では、インサートはインサート1062(図10)と同様である。
【0104】
いくつかの実施形態では、ブロック1705において、カスケードソールを有するボディを更に備えるボディを準備する。カスケードソールは、打球面からソールまで内径移行部を備える。多くの実施形態では、内径移行領域は、内径移行部またはカスケードソール1310(図14)と同様にすることができる。いくつかの実施形態では、内径移行領域は、第1厚さを有する第1段と、第1厚さよりも薄い第2厚さを有する第2段と、第1段と第2段との間の段移行領域とを備える。
【0105】
IV.カスケードソール及びバックキャビティを有するゴルフクラブ
図15に移ると、図15は、ゴルフクラブヘッド1500と、ゴルフクラブヘッド1500に連結されるシャフト1590とを備えるゴルフクラブ1500を示す。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブ1500のゴルフクラブヘッド15000は、ハイブリッドタイプのゴルフクラブヘッドを備える。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド1500は、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドまたはフェアウェイウッドタイプのゴルフクラブヘッドとすることができる。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド1500は、ゴルフクラブヘッド100またはゴルフクラブヘッド1000(図10)と同様とすることができる。ゴルフクラブヘッド1500は中空ボディとすることができ、打球面1512と、ヒール領域1502と、ヒール領域1502に対向するトウ領域1504と、ソール1506と、クラウンと1508を有する。クラウン1508は、上部領域1511と下部領域1513とを有する。上部領域1511は、頂部レール1515を有する。ゴルフクラブヘッド1500は、更に、頂部レール1515の下側で、クラウン1508の下部領域1513の上側に配置されるキャビティ1530を備える。
【0106】
図16は、1つの実施形態による図15の断面線XVI-XVIに沿うゴルフクラブヘッド1500の断面を示す。いくつかの実施形態では、キャビティ1530は、上部領域1511と下部領域1513とで少なくとも一部を画定することができる。多くの実施形態では、キャビティ1530は、頂部壁1517と、後壁1519と、底部傾斜部1521と、頂部壁1517及び後壁1519間で測定されるバックキャビティ角度1535と、少なくとも1つのチャンネル1539とを有する。いくつかの実施形態では、頂壁1517の頂点は、頂部レール1515の頂点の下側、約0.25インチから約1.25インチである。いくつかの実施形態では、頂壁1517の頂点は、頂部レール1515の頂点の下側、約0.375インチである。いくつかの実施形態では、底部傾斜部1521は、頂部レール1515の下側の頂点を少なくとも約0.50インチから約2インチとすることができる。多くの実施形態では、バックキャビティ角度1535は、約70度から約110度とすることができる。いくつかの実施形態では、バックキャビティ角度1535は、約90度とすることができる。
【0107】
多くの実施形態では、上部領域1511は、キャビティの頂部とキャビティの底部傾斜部を有するクラウンの下部領域とを備える。いくつかの実施形態では、上部領域1511は、更に、キャビティの1530の頂部壁1517に隣接する後壁1523と、キャビティ1530の頂部壁1517と上部領域1511の後壁1523との間で測定される後角度1540とを備える。多くの実施形態では、後角度1540は、約70度から約110度である。
【0108】
他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、ホーゼルを有することができる。ホーゼルは、ホーゼルノッチを有することができる。ホーゼルノッチは、ロフトのアイアン状範囲とし、ライ角を調節可能に配置することができる。図16に示してないが、ゴルフクラブヘッド1500は、更に、カスケードソールまたは内径移行部をソールに有してもよい。
【0109】
本明細書で論じたエネルギ貯蔵特性を有するゴルフクラブヘッドは、様々な実施形態で実施することができ、これらの実施形態の前述の議論は、必ずしも全ての可能な実施形態の完全な説明を示すものではない。むしろ、図面の詳細な説明及び図面自体は、エネルギ貯蔵特性を有するゴルフクラブヘッドの少なくとも1つの好ましい実施形態を開示し、段付内側薄肉部を設けたゴルフクラブヘッドの他の実施形態を開示することができる。
【0110】
条項1. 打球面と、ヒール領域と、前記ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンと、打球面からソールまたはクラウンの少なくとも一方への内径移行部とを有するボディを備えるゴルフクラブヘッドであって、前記内径移行部は、ゴルフクラブヘッドの外部から視認できず、第1段と、第2段と、第1段と第2段との間の段移行領域とを備える、前記ゴルフクラブヘッド。
【0111】
条項2. 前記第1段は、第1実質的一定厚を有し、前記第2段は、前記第1実質的一定厚と異なる第2実質的一定厚を有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0112】
条項3. 前記段移行領域は、厚さが直線状の勾配を有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0113】
条項4. 前記段移行領域は、約90度の段を有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0114】
条項5. 前記内径移行領域は、更に、第1段の第1厚さ及び第2段の第2厚さよりも薄い第3厚さを有する第3段を備える、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0115】
条項6. 前記第1段の第1段長は、前記第2段の第2段長とほぼ等しく、前記第1及び第2段長は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に向けて測定される、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0116】
条項7. 前記第1段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に測定したときに、前記第2段よりも長い、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0117】
条項8. 前記第3段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に、前記第2段よりも長い、条項3に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0118】
条項9.前記ボディは、前記ソールに内側重りパッドを更に有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0119】
条項10. 前記内側重りパッドは、前記内径移行部の第1段よりも厚い、条項9に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0120】
条項11. 前記ボディは、更に、前記ソールに、前記打球面とほぼ平行な内側リブを有し、前記内側リブの内側リブ厚は、前記内径移行部の最終段よりも厚い、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0121】
条項12. 前記ゴルフクラブヘッドは、ドライバのゴルフクラブヘッドを有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0122】
条項13. 前記ゴルフクラブヘッドは、フェアウッドのゴルフクラブヘッドを有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0123】
条項14. 前記ゴルフクラブヘッドは、ハイブリッドのゴルフクラブヘッドを有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0124】
条項15. 前記ゴルフクラブヘッドは、アイアンのゴルフクラブヘッドを有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0125】
条項16. 前記第1及び第2段移行領域のそれぞれは、第1及び第2弧状面を有し、前記第1弧状面は第1曲率半径を有し、前記第2弧状面は第2曲率半径を有する、条項1に記載の前記ゴルフクラブ。
【0126】
条項17. 前記第1段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、それぞれ前記第1段及び第2段の前記第1厚さと前記第2厚さとの間の差の少なくとも2倍であり、前記第2段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、前記第2段及び前記第3段のそれぞれ前記第2厚さと前記第3厚さとの間の差の少なくとも2倍である、条項10に記載の前記ゴルフクラブ。
【0127】
条項18. 前記第1段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、それぞれ前記第1段及び第2段の前記第1厚さと前記第2厚さとの間の差の約6.5倍であり、前記第2段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、前記第2段及び前記第3段のそれぞれ前記第2厚さと前記第3厚さとの間の差の約6.5倍である、条項16に記載の前記ゴルフクラブ。
【0128】
条項19. 前記第1段は、約0.030インチから約0.060インチの厚さであり、前記第2段は、約0.020インチから約0.050インチの厚さであり、前記第3段は、約0.010インチから約0.040インチの厚さである、条項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0129】
条項20. 前記第1段は、約0.035インチから約0.065インチの厚さであり、前記第2段は、約0.025インチから約0.055インチの厚さであり、前記第3段は、約0.015インチから約0.045インチの厚さである、条項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0130】
条項21. 前記第1段は、約0.050インチから約0.080インチの厚さであり、前記第2段は、約0.040インチから約0.070インチの厚さであり、前記第3段は、約0.030インチから約0.060インチの厚さである、条項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0131】
条項22. 前記第1段は、約0.055インチから約0.085インチの厚さであり、前記第2段は、約0.045インチから約0.075インチの厚さであり、前記第3段は、約0.030インチから約0.060インチの厚さである、条項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0132】
条項23. 前記内径移行領域は、塑性ヒンジを有する、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0133】
条項24. 更に、キャビティを備え、該キャビティは、頂部壁と、後壁と、底部傾斜部と、キャビティの頂部及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有し、前記キャビティは、クラウンの頂部レールの下側に配置され、クラウンの下部領域の上側に配置され、少なくとも一部がクラウンの上部領域とクラウンの下部領域とで画定される、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0134】
条項25. 更に、前記打球面または内径移行部の背部で前記クラブヘッドの前端に位置する第1クラウン厚さと、前記第1クラウン厚さの背部で前記クラブヘッドの後部に向けて位置する第2クラウン厚さとを備え、前記第1クラウン厚さは第2クラウン厚さよりも厚い、条項1に記載の前記ゴルフクラブヘッド。
【0135】
条項26. 打球面と、ヒール領域と、前記ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンと、打球面からソールまたはクラウンの少なくとも一方への内径移行部とを有するゴルフクラブヘッドと、前記ゴルフクラブヘッドに連結されるシャフトとを備えるゴルフクラブであって、前記内径移行部は、ゴルフクラブヘッドの外部から視認できず、第1段と、第2段と、第1段と第2段との間の段移行領域とを備える、前記ゴルフクラブ。
【0136】
条項27. 前記第1段は、第1実質的一定厚を有し、前記第2段は、前記第1実質的一定厚と異なる第2実質的一定厚を有する、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0137】
条項28. 前記段移行領域は、厚さが直線状の斜面を有する、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0138】
条項29. 前記段移行領域は、約90度のステップを有する、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0139】
条項30. 前記内径移行領域は、更に、第1段の第1厚さ及び第2段の第2厚さよりも薄い第3厚さを有する第3段を備える、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0140】
条項31. 前記第1段の第1段長は、前記第2段の第2段長とほぼ等しく、前記第1及び第2段長は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に向けて測定される、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0141】
条項32. 前記第1段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に測定したときに、前記第2段よりも長い、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0142】
条項33. 前記第3段は、前記打球面から前記ゴルフクラブヘッドの後方に、前記第2段よりも長い、条項30に記載の前記ゴルフクラブ。
【0143】
条項34. 前記ゴルフクラブヘッドは、更に、ソールに内側重りパッドを有する、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0144】
条項35. 前記内側重りパッドは、前記内径移行部の第1段よりも厚い、条項34に記載の前記ゴルフクラブ。
【0145】
条項36. 前記ゴルフクラブヘッドは、更に、前記ソールに、前記打球面とほぼ平行な内側リブを有し、前記内側リブの内側リブ厚は、前記内径移行部の最終段よりも厚い、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0146】
条項37. 前記第1及び第2段移行領域のそれぞれは、第1及び第2弧状面を有し、前記第1弧状面は第1曲率半径を有し、前記第2弧状面は第2曲率半径を有する、条項30に記載の前記ゴルフクラブ。
【0147】
条項38. 前記第1段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、それぞれ前記第1段及び第2段の前記第1厚さと前記第2厚さとの間の差の少なくとも2倍であり、前記第2段移行領域の前記第1及び第2曲率半径は、前記第2段及び前記第3段のそれぞれ前記第2厚さと前記第3厚さとの間の差の少なくとも2倍である、条項37に記載の前記ゴルフクラブ。
【0148】
条項39. 前記第1段は、約0.035インチから約0.065インチの厚さであり、前記第2段は、約0.025インチから約0.055インチの厚さであり、前記第3段は、約0.015インチから約0.045インチの厚さである、条項30に記載のゴルフクラブ。
【0149】
条項40. 前記第1段は、約0.050インチから約0.080インチの厚さであり、前記第2段は、約0.040インチから約0.070インチの厚さであり、前記第3段は、約0.030インチから約0.060インチの厚さである、条項30に記載のゴルフクラブ。
【0150】
条項41. 前記第1段は、約0.055インチから約0.085インチの厚さであり、前記第2段は、約0.045インチから約0.075インチの厚さであり、前記第3段は、約0.030インチから約0.060インチの厚さである、条項30に記載のゴルフクラブ。
【0151】
条項42. 前記内径移行領域は、塑性ヒンジを有する、条項26に記載のゴルフクラブ。
【0152】
条項43. 更に、キャビティを備え、該キャビティは、頂部壁と、後壁と、底部傾斜部と、キャビティの頂部及び後壁間で測定されるバックキャビティ角度と、少なくとも1つのチャンネルとを有し、前記キャビティは、クラウンの頂部レールの下側に配置され、」クラウンの下部領域の上側に配置され、少なくとも一部がクラウンの上部領域とクラウンの下部領域とで画定される、条項26に記載の前記ゴルフクラブ。
【0153】
条項44. 打球面と、ヒール領域と、前記ヒール領域に対向するトウ領域と、ソールと、クラウンとを有するボディを準備し、打球面からソールまたはクラウンの少なくとも一方への内径移行部を準備することを包含するゴルフクラブヘッドを製造する方法であって、前記内径移行部は、ゴルフクラブヘッドの外部から視認できず、第1厚さを有する第1段と、第1厚さよりも薄い第2厚さを有する第2段と、第1段と第2段との間の段移行領域とを備える、前記ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0154】
条項45. 前記第1厚さは、実質的に一定であり、前記第2厚さは、実質的に一定でかつ前記第1厚さと異なる、条項44に記載の前記ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0155】
条項46. 前記内径移行領域は、更に、第1段の第1厚さ及び第2段の第2厚さよりも薄い第3厚さを有する第3段を備える、条項44に記載の前記ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0156】
1つまたは複数の請求要素の置換は、再構成を構成し、補綴ではない。更に、問題に対する利点、他の有利な点及び解決を、特別な実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、問題に対する利点、他の有利な点及び解決、並びに、任意の利点、有利な点または解決を発生させまたは明らかとさせる任意の1つまたは複数の要素は、このような利点、有利な点、解決または要素がこのような請求の範囲に明示的に述べられていない限り、請求の範囲の任意またはすべての要素の重大な、必須の、または、本質的な特徴若しくは要素を構成するものではない。
【0157】
ゴルフに対する規則は、時々変更される(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等のゴルフ標準組織及び/または管理機関によって、新しい規則が適用されることがあり、または、古いルールが撤廃若しくは変更されることがある)ため、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、任意の特定時におけるゴルフのルールに適合しまたは適合しないことがある。したがって、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、適合または非適合ゴルフ用品として、公表され、売り出され、及び/または、売却されることがある。本明細書に記載の装置、方法及び製品は、この点について制限されない。
【0158】
上記実施例は、ドライバタイプのゴルフクラブとの関連で記載されているが、本明細書に記載の装置、方法及び製品は、フェアウッドタイプのゴルフクラブ、ハイブリッドタイプのゴルフクラブ、アイアンタイプのゴルフクラブ、ウェッジタイプのゴルフクラブ、または、パタータイプのゴルフクラブ等の他のタイプのゴルフクラブに適用してもよい。一方、本明細書に記載の装置、方法及び製品は、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣り竿、スキーのストック等の他のタイプのスポーツ用品に適用可能としてもよい。
【0159】
更に、本明細書に記載の実施形態及び制限は、実施形態及び/または制限が、(1)請求の範囲に明示的に主張されていない、及び、(2)均等論の下で、請求の範囲における表現要素及び/または制限と等価または潜在的に等価である場合、公開主義の下で公衆に提供するものではない。
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