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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220418BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220418BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220418BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61B1/00 513
A61B1/045 610
G02B23/24 B
G02B23/26 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020504647
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2018029674
(87)【国際公開番号】W WO2019171615
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2018038793
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 圭
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 誠
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-046687(JP,A)
【文献】国際公開第2013/042396(WO,A1)
【文献】特開2006-341078(JP,A)
【文献】特開2014-023591(JP,A)
【文献】特開2014-221168(JP,A)
【文献】特許第5427318(JP,B1)
【文献】特開2017-164393(JP,A)
【文献】特表2013-531538(JP,A)
【文献】特開2013-202167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に照射する照明光を発生するように構成された光源部と、
前記照明光が照射された前記被写体を撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、
前記撮像部から出力される前記撮像信号に基づき、赤色域から近赤外域までの第1の波長範囲内において酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性における吸光係数が相対的に低くなる前記第1の波長範囲よりも狭い波長範囲であ615nm付近を下限値とした第2の波長範囲内に中心波長を有する第1の光に応じた第1の色成分データと、青色域または緑色域に中心波長を有する第2の光に応じた第2の色成分データと、をそれぞれ生成し、前記第1の色成分データを画像表示装置の青色チャンネル、緑色チャンネル及び赤色チャンネルの3つのチャンネルのうちの2つのチャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記3つのチャンネルのうちの残りの1つのチャンネルに割り当てることにより第1の観察画像を生成する画像処理部と、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記第1の光は、中心波長が630nm付近に設定された光であることを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記第1の色成分データを前記緑色チャンネルおよび前記赤色チャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記青色チャンネルに割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1の観察画像に含まれる赤色成分の割合を緑色成分の割合よりも大きくするための処理を行う、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記画像処理部は、さらに、前記緑色チャンネルおよび前記赤色チャンネルに割り当てる前記第1の色成分データに対して構造強調処理を施す、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記光源部は、前記第1の光及び前記第2の光を含む光を前記照明光として発生する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
特殊光観察画像である前記第1の観察画像を生成する特殊光観察モードと、
前記照明光として白色光を照射し、白色光観察画像である第2の観察画像を生成する白色光観察モードと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記光源部は、
前記特殊光観察モードの場合に前記第1の光と、前記青色域に中心波長を有する前記第2の光とを含む光を前記照明光として発生し、
前記白色光観察モードの場合に前記第1の光と、前記青色域に中心波長を有する前記第2の光と、前記緑色域に中心波長を有する第3の光と、を含む光を前記照明光として発生し、
前記画像処理部は、
前記白色光観察モードの場合に前記撮像部から出力される前記撮像信号に基づき、前記第1の色成分データと、前記第2の色成分データと、前記第3の光に応じた第3の色成分データと、をそれぞれ生成し、
前記第1の色成分データを前記赤色チャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記青色チャンネルに割り当て、前記第3の色成分データを前記緑色チャンネルに割り当てることにより前記第2の観察画像を生成する、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記光源部は、
前記第1の光と、前記青色域に中心波長を有する前記第2の光と、前記緑色域に中心波長を有する第3の光と、を含む光を前記照明光として発生し、
前記画像処理部は、
前記撮像部から出力される前記撮像信号に基づき、前記第1の色成分データと、前記第2の色成分データと、前記第3の光に応じた第3の色成分データと、をそれぞれ生成し、
前記第1の色成分データを前記緑色チャンネルおよび前記赤色チャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記青色チャンネルに割り当てることにより前記第1の観察画像を生成し、
前記第1の色成分データを前記赤色チャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記青色チャンネルに割り当て、前記第3の色成分データを前記緑色チャンネルに割り当てることにより前記第2の観察画像を生成する、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記光源部は、中心波長が630nm付近に設定された前記第1の光を発生し、中心波長が460nm付近に設定された前記第2の光を発生するとともに、中心波長が540nm付近に設定された前記第3の光を発生する、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、生体組織の観察に用いられる内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡観察においては、ヘモグロビンの吸光特性に応じて中心波長(波長帯域)を設定した狭帯域光を生体組織に対して照射することにより、当該生体組織の所望の深さに存在する血管を可視化するような観察手法が従来提案されている。
【0003】
具体的には、例えば、日本国特許第5427318号公報には、相対的にヘモグロビンに吸収され易い光である600nm付近の狭帯域光と、相対的にヘモグロビンに吸収され難い光である630nm付近の狭帯域光と、を粘膜に対して照射することにより、当該粘膜の深部に存在する太い血管を高コントラストで表示するような構成が開示されている。
【0004】
ここで、医療分野の内視鏡観察においては、例えば、被写体の表面の少なくとも一部が血液により覆われるような状況が発生した場合に、当該血液により覆われた領域の視認性が粘膜以外の組織の存在の有無を判別不可能な程度まで低下してしまうおそれがある、という問題点が生じている。
【0005】
しかし、日本国特許第5427318号公報には、前述の問題点を解消可能な手法について特に開示等されていない。そのため、日本国特許第5427318号公報に開示された構成によれば、被写体の表面の少なくとも一部が血液により覆われた状態で処置等の作業を行う術者に対して過度な負担を強いてしまう場合がある、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、被写体の表面の少なくとも一部が血液により覆われた状態で作業を行う術者の負担を軽減可能な内視鏡システムを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の内視鏡システムは、被写体に照射する照明光を発生するように構成された光源部と、前記照明光が照射された前記被写体を撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、前記撮像部から出力される前記撮像信号に基づき、赤色域から近赤外域までの第1の波長範囲内において酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性における吸光係数が相対的に低くなる前記第1の波長範囲よりも狭い波長範囲であ615nm付近を下限値とした第2の波長範囲内に中心波長を有する第1の光に応じた第1の色成分データと、青色域または緑色域に中心波長を有する第2の光に応じた第2の色成分データと、をそれぞれ生成し、前記第1の色成分データを画像表示装置の青色チャンネル、緑色チャンネル及び赤色チャンネルの3つのチャンネルのうちの2つのチャンネルに割り当て、前記第2の色成分データを前記3つのチャンネルのうちの残りの1つのチャンネルに割り当てることにより第1の観察画像を生成する画像処理部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】実施形態に係る内視鏡システムの光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長帯域の一例を示す図。
図3】実施形態に係る内視鏡システムの観察モードが白色光観察モードに設定されている場合に表示される観察画像の一例を示す模式図。
図4】酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性を示す図。
図5】脂肪の吸光特性を示す図。
図6】実施形態に係る内視鏡システムの観察モードが特殊光観察モードに設定されている場合に表示される観察画像の一例を示す模式図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0010】
図1から図6は、本発明の実施形態に係るものである。
【0011】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検体内に挿入されるとともに、当該被検体内における生体組織等の被写体を撮像して得られた画像データを出力するように構成された内視鏡装置2と、当該被写体に照射される照明光を内視鏡装置2に供給するように構成された光源装置3と、内視鏡装置2から出力される画像データに基づいて観察画像を生成して出力するように構成されたプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される観察画像を画面上に表示するように構成された表示装置5と、を有している。図1は、実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0012】
内視鏡装置2は、細長の挿入部6を備えた光学視管21と、光学視管21の接眼部7に対して着脱可能なカメラユニット22と、を有して構成されている。
【0013】
光学視管21は、被検体内に挿入可能な細長の挿入部6と、挿入部6の基端部に設けられた把持部8と、把持部8の基端部に設けられた接眼部7と、を有して構成されている
挿入部6の内部には、図1に示すように、ケーブル13aを介して供給される照明光を伝送するためのライトガイド11が挿通されている。
【0014】
ライトガイド11の出射端部は、図1に示すように、挿入部6の先端部における照明レンズ15の近傍に配置されている。また、ライトガイド11の入射端部は、把持部8に設けられたライトガイド口金12に配置されている。
【0015】
ケーブル13aの内部には、図1に示すように、光源装置3から供給される照明光を伝送するためのライトガイド13が挿通されている。また、ケーブル13aの一方の端部には、ライトガイド口金12に対して着脱可能な接続部材(不図示)が設けられている。また、ケーブル13aの他方の端部には、光源装置3に対して着脱可能なライトガイドコネクタ14が設けられている。
【0016】
挿入部6の先端部には、ライトガイド11により伝送された照明光を外部へ出射するための照明レンズ15と、外部から入射される光に応じた光学像を得るための対物レンズ17と、が設けられている。また、挿入部6の先端面には、照明レンズ15が配置された照明窓(不図示)と、対物レンズ17が配置された対物窓(不図示)と、が相互に隣接して設けられている。
【0017】
挿入部6の内部には、図1に示すように、対物レンズ17により得られた光学像を接眼部7へ伝送するための複数のレンズLEを具備するリレーレンズ18が設けられている。すなわち、リレーレンズ18は、対物レンズ17から入射した光を伝送する伝送光学系としての機能を具備して構成されている。
【0018】
接眼部7の内部には、図1に示すように、リレーレンズ18により伝送された光学像を肉眼で観察可能とするための接眼レンズ19が設けられている。
【0019】
カメラユニット22は、撮像素子24と、信号処理回路27と、を有して構成されている。また、カメラユニット22は、信号ケーブル28の端部に設けられたコネクタ29を介してプロセッサ4に着脱可能に構成されている。
【0020】
撮像素子24は、例えば、カラーCMOS等のイメージセンサにより構成されている。また、撮像素子24は、プロセッサ4から出力される撮像素子駆動信号に応じた撮像動作を行うように構成されている。また、撮像素子24は、撮像部としての機能を具備し、接眼レンズ19を経て出射される光を撮像し、当該撮像した光に応じた撮像信号を生成して出力するように構成されている。
【0021】
信号処理回路27は、撮像素子24から出力される撮像信号に対し、例えば、相関二重サンプリング処理、ゲイン調整処理、及び、A/D変換処理等のような所定の信号処理を施すように構成されている。また、信号処理回路27は、前述の所定の信号処理を撮像信号に対して施すことにより得られた画像データを、信号ケーブル28が接続されたプロセッサ4へ出力するように構成されている。
【0022】
光源装置3は、光源部としての機能を具備し、少なくとも一部が血液により覆われた被写体の表面を照明するための照明光を発生するように構成されている。また、光源装置3は、発光部31と、合波器32と、集光レンズ33と、光源制御部34と、を有して構成されている。
【0023】
発光部31は、青色LED31Aと、緑色LED31Bと、赤色LED31Cと、を有して構成されている。すなわち、発光部31の各光源は、いずれも半導体光源により構成されている。
【0024】
青色LED31Aは、青色域に中心波長及び強度を有する(狭帯域な)青色光であるB光を発生するように構成されている。具体的には、青色LED31Aは、例えば、図2に示すように、中心波長が460nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定されたB光を発するように構成されている。また、青色LED31Aは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、青色LED31Aは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量を具備するB光を発生するように構成されている。図2は、実施形態に係る内視鏡システムの光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長帯域の一例を示す図である。
【0025】
緑色LED31Bは、緑色域に中心波長及び強度を有する(狭帯域な)緑色光であるG光を発生するように構成されている。具体的には、緑色LED31Bは、例えば、図2に示すように、中心波長が540nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定されたG光を発するように構成されている。また、緑色LED31Bは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、緑色LED31Bは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量を具備するG光を発生するように構成されている。
【0026】
赤色LED31Cは、赤色域に中心波長及び強度を有する(狭帯域な)赤色光であるR光を発生するように構成されている。具体的には、赤色LED31Cは、例えば、図2に示すように、中心波長が630nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定されたR光を発するように構成されている。また、赤色LED31Cは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、赤色LED31Cは、光源制御部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量を具備するR光を発生するように構成されている。
【0027】
合波器32は、発光部31から発せられた各光を合波して集光レンズ33に入射させることができるように構成されている。
【0028】
集光レンズ33は、合波器32を経て入射した光を集光してライトガイド13へ出射するように構成されている。
【0029】
光源制御部34は、例えば、制御回路等を具備して構成されている。また、光源制御部34は、プロセッサ4から出力される制御信号に応じ、発光部31の各LEDを駆動させるためのLED駆動信号を生成して出力するように構成されている。
【0030】
プロセッサ4は、撮像素子駆動部41と、画像処理部42と、観察画像生成部43と、入力I/F(インターフェース)44と、制御部45と、を有して構成されている。
【0031】
撮像素子駆動部41は、制御部45から出力される制御信号に応じ、撮像素子24を駆動させるための撮像素子駆動信号を生成して出力するように構成されている。
【0032】
画像処理部42は、色分離処理部42Aと、マトリクス処理部42Bと、を有して構成されている。
【0033】
色分離処理部42Aは、制御部45から出力される制御信号に応じ、信号処理回路27から出力される画像データを用い、当該画像データに含まれる複数の色成分に対応する複数の分光画像データをそれぞれ生成するための色分離処理を行うように構成されている。また、色分離処理部42Aは、前述の色分離処理の処理結果として得られた複数の分光画像データをマトリクス処理部42Bへ出力するように構成されている。
【0034】
マトリクス処理部42Bは、制御部45から出力される制御信号に応じ、色分離処理部42Aから出力される複数の分光画像データを用いて複数の色成分に対応する画像データを生成するためのマトリクス処理を行うように構成されている。また、マトリクス処理部42Bは、前述のマトリクス処理の処理結果として得られた複数の色成分に対応する画像データを観察画像生成部43へ出力するように構成されている。
【0035】
観察画像生成部43は、制御部45から出力される制御信号に応じ、マトリクス処理部42Bから出力される複数の色成分に対応する画像データを、表示装置5のB(青色)チャンネル、G(緑色)チャンネル及びR(赤色)チャンネルに選択的に割り当てることにより観察画像を生成するように構成されている。また、観察画像生成部43は、前述のように生成した観察画像を表示装置5へ出力するように構成されている。
【0036】
入力I/F44は、ユーザの操作に応じた指示等を行うことが可能な1つ以上のスイッチ及び/またはボタンを具備して構成されている。具体的には、入力I/F44は、例えば、ユーザの操作に応じ、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードまたは特殊光観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示を行うことが可能な観察モード切替スイッチ(不図示)を具備して構成されている。
【0037】
制御部45は、内視鏡システム1の各部の制御を行う際に用いられる制御情報等が格納されたメモリ45Aを有して構成されている。また、制御部45は、入力I/F44の観察モード切替スイッチにおいてなされた指示に基づき、内視鏡システム1の観察モードに応じた動作を行わせるための制御信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部45は、撮像素子24の露光期間及び読出期間等を設定するための制御信号を生成して撮像素子駆動部41へ出力するように構成されている。また、制御部45は、光源制御部34を介して発光部31の各LEDの動作を制御するための制御信号を生成して出力するように構成されている。
【0038】
制御部45は、信号処理回路27から出力される画像データに基づき、入力I/F44において設定された観察モードにおける現在の明るさを検出するための明るさ検出処理を行うように構成されている。また、制御部45は、前述の明るさ検出処理の処理結果として得られた現在の明るさを、入力I/F44において設定可能な観察モード毎に予め設定された明るさ目標値に近づけるような調光動作を行わせるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力するように構成されている。
【0039】
なお、本実施形態においては、プロセッサ4における入力I/F44以外の各部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、プロセッサ4が1つ以上のCPUを具備して構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、プロセッサ4における入力I/F44以外の各部の機能を実行させるためのプログラムがメモリ45Aから読み込まれるとともに、当該読み込まれたプログラムに応じた動作がコンピュータにおいて行われるようにしてもよい。
【0040】
表示装置5は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)等を具備し、プロセッサ4から出力される観察画像等を表示することができるように構成されている。
【0041】
続いて、本実施形態の作用について、以下に説明する。
【0042】
術者等のユーザは、例えば、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、入力I/F44の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示を行う。
【0043】
制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、B光、G光及びR光を光源装置3から同時に出射させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、白色光観察モードに応じた動作を行わせるための制御信号を生成して撮像素子駆動部41、画像処理部42及び観察画像生成部43へ出力する。
【0044】
光源制御部34は、制御部45から出力される制御信号に応じ、白色光観察モードにおいて、青色LED31Aと、緑色LED31Bと、赤色LED31Cと、を同時に発光させるためのLED駆動信号を生成し、当該生成したLED駆動信号を発光部31へ出力する。そして、このような光源制御部34の動作に応じ、白色光観察モードにおいて、B光、G光及びR光を含む白色光が照明光として光源装置3(発光部31)から発せられ、当該照明光が被写体に照射され、当該照明光の戻り光(反射光)を撮像することにより生成された撮像信号が撮像素子24から信号処理回路27へ出力され、当該撮像信号に基づいて生成された画像データが信号処理回路27から色分離処理部42Aへ出力される。
【0045】
色分離処理部42Aは、制御部45から出力される制御信号に応じ、白色光観察モード時に信号処理回路27から出力される画像データを用い、当該画像データに含まれる青色成分に対応するB分光画像データと、当該画像データに含まれる緑色成分に対応するG分光画像データと、当該画像データに含まれる赤色成分に対応するR分光画像データと、をそれぞれ生成するための色分離処理を行う。また、色分離処理部42Aは、前述の色分離処理の処理結果として得られたB分光画像データ、G分光画像データ及びR分光画像データをマトリクス処理部42Bへ出力する。
【0046】
マトリクス処理部42Bは、制御部45から出力される制御信号に応じ、白色光観察モードにおいて、色分離処理部42Aから出力されるB分光画像データを用いて青色成分に対応するB成分画像データを生成し、色分離処理部42Aから出力されるG分光画像データを用いて緑色成分に対応するG成分画像データを生成し、色分離処理部42Aから出力されるR分光画像データを用いて赤色成分に対応するR成分画像データを生成するためのマトリクス処理を行う。また、マトリクス処理部42Bは、前述のマトリクス処理の処理結果として得られたB成分画像データ、G成分画像データ及びR成分画像データを観察画像生成部43へ出力する。
【0047】
観察画像生成部43は、制御部45から出力される制御信号に応じ、白色光観察モードにおいて、マトリクス処理部42Bから出力されるB成分画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、マトリクス処理部42Bから出力されるG成分画像データを表示装置5のGチャンネルに割り当て、マトリクス処理部42Bから出力されるR成分画像データを表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより白色光観察画像を生成する。また、観察画像生成部43は、前述のように生成した白色光観察画像を表示装置5へ出力する。
【0048】
ユーザは、表示装置5に表示される白色光観察画像を確認しつつ、挿入部6を被験者の内部に挿入するとともに、当該被験者の内部における所望の被写体の近傍に挿入部6の先端部を配置する。その後、ユーザは、所望の被写体に対する処置の実施等に伴い、例えば、図3に模式的に示すような白色光観察画像WGが表示装置5に表示されている状況において、入力I/F44の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを特殊光観察モードに設定するための指示を行う。なお、図3の白色光観察画像WGは、内視鏡装置2(撮像素子24)により撮像された被写体の表面のうち、血液により覆われていない領域に相当する領域BNAに粘膜以外の組織が存在しないことを判別可能であるとともに、血液により覆われている領域に相当する領域BPAに粘膜以外の組織が存在しているか否かを判別不可能であるような状況の一例を示しているものとする。図3は、実施形態に係る内視鏡システムの観察モードが白色光観察モードに設定されている場合に表示される観察画像の一例を示す模式図である。
【0049】
制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを特殊光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、例えば、B光及びR光を光源装置3から同時に出射させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを特殊光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、特殊光観察モードに応じた動作を行わせるための制御信号を生成して撮像素子駆動部41、画像処理部42及び観察画像生成部43へ出力する。
【0050】
光源制御部34は、制御部45から出力される制御信号に応じ、特殊光観察モードにおいて、緑色LED31Bを消光させつつ、青色LED31A及び赤色LED31Cを同時に発光させるためのLED駆動信号を生成し、当該生成したLED駆動信号を発光部31へ出力する。そして、このような光源制御部34の動作に応じ、特殊光観察モードにおいて、B光及びR光を含む混合光が照明光として光源装置3(発光部31)から発せられ、当該照明光が被写体に照射され、当該照明光の戻り光(反射光)を撮像することにより生成された撮像信号が撮像素子24から信号処理回路27へ出力され、当該撮像信号に基づいて生成された画像データが信号処理回路27から色分離処理部42Aへ出力される。
【0051】
色分離処理部42Aは、制御部45から出力される制御信号に応じ、特殊光観察モード時に信号処理回路27から出力される画像データを用い、当該画像データに含まれる青色成分に対応するB分光画像データと、当該画像データに含まれる赤色成分に対応するR分光画像データと、をそれぞれ生成するための色分離処理を行う。また、色分離処理部42Aは、前述の色分離処理の処理結果として得られたB分光画像データ及びR分光画像データをマトリクス処理部42Bへ出力する。
【0052】
マトリクス処理部42Bは、制御部45から出力される制御信号に応じ、特殊光観察モードにおいて、例えば、色分離処理部42Aから出力されるB分光画像データを下記数式(1)に適用することによりB成分画像データを生成するとともに、色分離処理部42Aから出力されるR分光画像データを下記数式(1)に適用することによりG成分画像データ及びR成分画像データを生成するようなマトリクス処理を行う。また、マトリクス処理部42Bは、前述のマトリクス処理の処理結果として得られたB成分画像データ、G成分画像データ及びR成分画像データを観察画像生成部43へ出力する。
【0053】
なお、上記数式(1)の右辺において、BinはB分光画像データに含まれる一の画素の輝度値を表し、RinはR分光画像データに含まれる当該一の画素の輝度値を表し、α及びβは0より大きな値に設定された定数を表すものとする。また、上記数式(1)の左辺において、BoutはB成分画像データに含まれる一の画素の輝度値を表し、GoutはG成分画像データに含まれる当該一の画素の輝度値を表し、RoutはR成分画像データに含まれる当該一の画素の輝度値を表すものとする。また、以降においては、特に言及の無い限り、α=β=1に設定されている場合を例に挙げて説明を行う。
【0054】
観察画像生成部43は、制御部45から出力される制御信号に応じ、特殊光観察モードにおいて、マトリクス処理部42Bから出力されるB成分画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、マトリクス処理部42Bから出力されるG成分画像データを表示装置5のGチャンネルに割り当て、マトリクス処理部42Bから出力されるR成分画像データを表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより特殊光観察画像を生成する。また、観察画像生成部43は、前述のように生成した特殊光観察画像を表示装置5へ出力する。
【0055】
すなわち、以上に述べた動作によれば、画像処理部42は、特殊光観察モードにおいて、撮像素子24から出力される撮像信号に応じて信号処理回路27により生成された画像データに基づき、630nm付近に中心波長を有するR光に応じたR成分画像データと、460nm付近に中心波長を有するB光に応じたB成分画像データと、をそれぞれ生成する。また、以上に述べた動作によれば、画像処理部42は、特殊光観察モードにおいて、信号処理回路27から出力される画像データに基づいて生成したR分光画像データを用いてG成分画像データ及びR成分画像データを生成するとともに、当該画像データに基づいて生成したB分光画像データを用いてB成分画像データを生成する。
【0056】
ここで、特殊光観察モード時に被写体に対して照射される照明光に含まれるR光は、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性における吸光係数がいずれも低くなる(図4参照)とともに、生体組織の散乱特性における散乱係数が低くなるような波長範囲内に中心波長を有しているため、領域BPAに存在する血液を略透過して当該被写体の表面以深(生体組織の深層)に到達することができる。すなわち、特殊光観察モードにおいて、血液に対する透過性が高くかつ生体組織において散乱され難いR光を含む照明光を被写体に対して照射することにより、領域BPAにおける当該被写体の表面以深の情報を含むような戻り光(反射光)を発生させることができる。また、以上に述べたような各部の動作によれば、特殊光観察モードにおいて、R光を含む照明光を被写体に照射してR分光画像データを取得するとともに、当該取得したR分光画像データの輝度値を特殊光観察画像に含まれる3つの色成分のうちの2つの色成分(緑色成分及び赤色成分)として用いるようにしている。図4は、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性を示す図である。
【0057】
また、特殊光観察モード時に被写体に対して照射される照明光に含まれるB光は、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性における吸光係数がいずれも高くなる(図4参照)とともに、生体組織の散乱特性における散乱係数がR光よりも高くなるような波長範囲内に中心波長を有している。すなわち、特殊光観察モードにおいて、血液に吸収され易くかつ生体組織において散乱され易いB光を含む照明光を被写体に対して照射することにより、領域BNAにおける当該被写体の表面の情報を含むような戻り光(反射光)を発生させることができる。また、特殊光観察モード時に被写体に対して照射される照明光に含まれるB光は、脂肪の吸光特性における吸光係数がR光よりも高くなるような波長範囲内に中心波長を有している(図5参照)。図5は、脂肪の吸光特性を示す図である。
【0058】
従って、本実施形態によれば、図3の白色光観察画像WGが表示装置5に表示されている状況において、内視鏡システム1の観察モードが特殊光観察モードに設定された際に、図6に模式的に示すような、粘膜以外の組織(骨等)が領域BPAに存在していることを視認可能な特殊光観察画像SGを表示装置5に表示させることができる。また、本実施形態によれば、特殊光観察モードにおいて、脂肪が存在する領域を他の領域とは異なる色調(例えば黄色調)で示すような特殊光観察画像を表示装置5に表示させることができる。図6は、実施形態に係る内視鏡システムの観察モードが特殊光観察モードに設定されている場合に表示される観察画像の一例を示す模式図である。
【0059】
以上に述べたように、本実施形態によれば、特殊光観察モードにおいて、被写体の表面のうちの血液により覆われている領域に粘膜以外の組織が存在しているか否かを判別可能な視認性を有するとともに、脂肪が存在する領域を特定可能な特殊光観察画像を表示させることができる。そのため、本実施形態によれば、被写体の表面の少なくとも一部が血液により覆われた状態で作業を行う術者の負担を軽減することができる。
【0060】
なお、出願人の検討によれば、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンに対する吸光係数がいずれも低くなるような波長範囲の下限が615nm付近に存在するとの知見が得られている。そのため、本実施形態においては、615nm以上の中心波長を有するR光を発生する赤色LED31Cが光源装置3に設けられていればよい。または、本実施形態においては、例えば、800nm以下の中心波長を有する近赤外光を発生する近赤外LD(レーザダイオード)が光源装置3に設けられていてもよい。すなわち、本実施形態の光源装置3は、特殊光観察モードにおいて、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性における吸光係数がいずれも低くなる赤色域から近赤外域までの波長範囲内に中心波長を有する光を発生するように構成されていればよい。
【0061】
また、本実施形態においては、画像処理部42が、信号処理回路27から出力される画像データに基づいて生成したR分光画像データを用いて特殊光観察画像に含まれる青色成分、緑色成分及び赤色成分の3つの色成分のうちの2つの色成分を生成するとともに、当該画像データに基づいて生成したB分光画像データを用いて当該特殊光観察画像に含まれる当該3つの色成分のうちの残りの1つの色成分を生成するように構成されていればよい。具体的には、画像処理部42は、特殊光観察モードにおいて、例えば、信号処理回路27から出力される画像データに基づいて生成したR分光画像データを用いてB成分画像データ及びR成分画像データを生成するとともに、当該画像データに基づいて生成したB分光画像データを用いてG成分画像データを生成するように構成されていてもよい。または、画像処理部42は、特殊光観察モードにおいて、例えば、信号処理回路27から出力される画像データに基づいて生成したR分光画像データを用いてB成分画像データ及びG成分画像データを生成するとともに、当該画像データに基づいて生成したB分光画像データを用いてR成分画像データを生成するように構成されていてもよい。
【0062】
また、本実施形態によれば、特殊光観察モードにおいて、R光とともに被写体に照射される光をB光またはG光のいずれかから選択することができるようにしてもよい。さらに、本実施形態によれば、特殊光観察モードにおいて、R光及びG光を含む照明光を被写体に照射する場合に、R分光画像データを用いて特殊光観察画像に含まれる青色成分、緑色成分及び赤色成分の3つの色成分のうちの2つの色成分を生成するとともに、B分光画像データの代わりにG分光画像データを用いて当該特殊光観察画像に含まれる当該3つの色成分のうちの残りの1つの色成分を生成するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態によれば、特殊光観察画像に含まれる各色成分に占める赤色成分の割合を緑色成分の割合よりも大きくするための処理がマトリクス処理部42Bにおいて行われるようにしてもよい。具体的には、例えば、上記数式(1)の右辺の3×2行列に含まれるα及びβの値をα<βの関係を満たすような値(例えばα=0.6かつβ=1)にそれぞれ設定した状態でマトリクス処理が行われるようにしてもよい。そして、このような設定によれば、被写体の表面のうちの血液により覆われている領域に粘膜以外の組織が存在しているか否かを判別可能であるとともに、当該被写体における血液を含む領域の色再現性が高い特殊光観察画像を表示装置5に表示させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、例えば、画像処理部42において、特殊光観察モード時にマトリクス処理部42Bから出力されるB成分画像データ、G成分画像データ及びR成分画像データを、所定の9つの色相(マゼンタ、ブルー、ブルーシアン、シアン、グリーン、イエロー、レッドイエロー、レッド及びレッドマゼンタ)の各々に対応する9本の基準軸によって定義された所定の色空間上の点に変換して補正する処理である9軸色補正処理が行われるようにしてもよい。なお、このような場合には、前述の9軸色補正処理の処理結果として得られたB成分画像データ、G成分画像データ及びR成分画像データが観察画像生成部43に出力されるようにすればよい。
【0065】
また、本実施形態によれば、例えば、画像処理部42において、特殊光観察モード時にマトリクス処理部42Bから出力されるG成分画像データ及びR成分画像データのそれぞれに対し、エッジ強調等の空間フィルタを適用する処理である構造強調処理が施されるようにしてもよい。なお、このような場合には、例えば、マトリクス処理部42Bから出力されるB成分画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、前述の構造強調処理の処理結果として得られたG成分画像データを表示装置5のGチャンネルに割り当て、前述の構造強調処理の処理結果として得られたR成分画像データを表示装置5のRチャンネルに割り当てるような動作が観察画像生成部43において行われるようにすればよい。
【0066】
また、本実施形態によれば、撮像素子24の代わりに、例えば、接眼レンズ19を経て出射される光を青色域の光、緑色域の光及び赤色域~近赤外域の光の3つの波長帯域の光に分離して出射するダイクロイックプリズムと、当該ダイクロイックプリズムを経て出射される当該3つの波長帯域の光をそれぞれ撮像するための3つの撮像素子と、がカメラユニット22に設けられていてもよい。
【0067】
また、本実施形態によれば、例えば、撮像素子24がモノクロのイメージセンサにより構成されていてもよい。なお、このような場合には、例えば、白色光観察モードにおいて、B光、G光及びR光を光源装置3から時分割で(順次)出射させるための制御信号が制御部45から光源制御部34へ出力されるようにすればよい。また、前述のような場合には、例えば、特殊光観察モードにおいて、B光及びR光を光源装置3から時分割で(交互に)出射させるための制御信号が制御部45から光源制御部34へ出力されるようにすればよい。
【0068】
また、本実施形態によれば、例えば、特殊光観察モードにおいて、B光、G光及びR光を混合した光よりも広帯域な白色光が照明光として被写体に照射されるようにしてもよい。なお、このような場合には、被写体からの戻り光が撮像素子24においてB光、G光及びR光に分光されるようにすればよい。
【0069】
また、本実施形態によれば、例えば、特殊光観察モードにおいて、B光を単独で被写体に照射した際に信号処理回路27から出力されるB画像データに対して所定の分光推定マトリクスを適用することにより、R分光画像データを推定して取得するような分光推定処理が画像処理部42の処理として行われるようにしてもよい。なお、このような場合には、色分離処理部42Aが不要となるため、信号処理回路27から出力されるB画像データと、前述の分光推定処理の処理結果として得られたR分光画像データと、がマトリクス処理部42Bへそれぞれ出力されるようにすればよい。
【0070】
また、本実施形態によれば、例えば、特殊光観察モードにおいて、R光を単独で被写体に照射した際に信号処理回路27から出力されるR画像データに対して所定の分光推定マトリクスを適用することにより、B分光画像データを推定して取得するような分光推定処理が画像処理部42の処理として行われるようにしてもよい。なお、このような場合には、色分離処理部42Aが不要となるため、信号処理回路27から出力されるR画像データと、前述の分光推定処理の処理結果として得られたB分光画像データと、がマトリクス処理部42Bへそれぞれ出力されるようにすればよい。
【0071】
また、本実施形態によれば、例えば、光源装置3(発光部31)がB光、G光及びR光を含む光を照明光として発生し、色分離処理部42Aが信号処理回路27から出力される画像データに基づいてB分光画像データ、G分光画像データ及びR分光画像データをそれぞれ生成し、マトリクス処理部42Bが当該B分光画像データ、当該G分光画像データ及び当該R分光画像データを用いて白色光観察画像及び特殊光観察画像に含まれる各色成分を生成し、観察画像生成部43が当該白色光観察画像及び当該特殊光観察画像を併せて表示装置5に表示させるようにしてもよい。なお、このような場合には、例えば、白色光観察モード時の画像処理部42及び観察画像生成部43の動作を援用して白色光観察画像を生成するとともに、特殊光観察モード時の画像処理部42及び観察画像生成部43の動作を援用して特殊光観察画像を生成するようにすればよい。
【0072】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0073】
本出願は、2018年3月5日に日本国に出願された特願2018-38793号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6