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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】ホログラフィによる光検出と測距
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20220418BHJP
   G03H 1/08 20060101ALI20220418BHJP
   G03H 1/16 20060101ALI20220418BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20220418BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
G01S17/89
G03H1/08
G03H1/16
G01S7/481 A
G02F1/01 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020523773
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019062373
(87)【国際公開番号】W WO2019224052
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】1808623.1
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519027213
【氏名又は名称】エンヴィシクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】クリスマス ジェイミーソン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング ポール
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3165815(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003392(US,A1)
【文献】特開2016-166814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンを調査するように構成された光検出と測距(LIDAR)システムであって、
前記システムが、
第1の特性を有する光を出力するように構成された光源と、
空間光変調器(SLM)であって、前記光源から前記光を受け取り、前記空間光変調器に表示されるコンピュータ生成ホログラムに従って空間変調された光を出力するように構成されたものと、
複数のコンピュータ生成ホログラムを前記空間光変調器に出力するように構成されたホログラフィックコントローラであって、各コンピュータ生成ホログラムは、前記シーン内の再生フィールドに対応するパターンを有する構造化光を形成するように構成され、前記ホログラフィックコントローラは、前記複数のコンピュータ生成ホログラムのうちの少なくとも1つによって前記再生フィールド内に形成される前記構造化光の前記パターンを変更するようにさらに構成されたものと、
前記シーンから前記第1の特性を有する光を受け取り、光応答信号を出力するように構成された光検出器であって、前記光検出器は光検出素子のアレイを備えるものと、
前記光検出素子の前記アレイに関連付けられた光学システムであって、前記光学システムは、各光検出素子が前記シーン内の前記再生フィールドのそれぞれのサブ領域から前記第1の特性を有する光を受け取るように構成されているものとを備える、
LIDARシステム。
【請求項2】
前記構造化光の前記パターンが、前記構造化光の前記領域内の光および光特徴の形態、形状および/またはパターンを含む、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記複数のコンピュータ生成ホログラムが、あるシーケンスで前記SLMに出力され、任意選択で、各ホログラムが構造化光のパターンを含む光フットプリントを形成する、
請求項1または2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記複数のコンピュータ生成ホログラムが第1のコンピュータ生成ホログラムおよび第2のコンピュータ生成ホログラムを含み、前記第1のコンピュータ生成ホログラムによって前記再生フィールドに形成される前記構造化光の前記パターンは、前記第2のコンピュータ生成ホログラムによって前記再生フィールドに形成される前記構造化光の前記パターンとは異なる、
請求項3に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記光学システムは、前記光検出素子の前記アレイの各光検出素子が、個別の視野(IFOVs)のアレイうちのある個別の視野(IFOV)から反射された光を検出するように構成されるように構成され、IFOVsの前記アレイは前記シーン内の前記再生フィールドに対応し、任意選択で、各光検出素子は、前記対応するIFOVのそれぞれの光応答信号を出力するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記複数のコンピュータ生成ホログラムのうちの少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムによって形成される前記構造化光が、前記シーン内のIFOVsの前記アレイの個別の視野(IFOV)を照明するための光スポットを含むパターンである、
請求項5に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムによって形成された前記構造化光が、複数の個別の光スポットを含むパターンであり、前記光スポットが互いに空間的に分離され、各光スポットは前記シーン内の対応するIFOVを照明するように構成される、
請求項6に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記複数の個別の光スポットが光スポットのアレイを含み、前記光スポットの数は前記シーン内のIFOVsの前記アレイ内のIFOVsの数に対応するため、すべてのIFOVが同時に照明される、
請求項7に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記複数の個別の光スポットが、前記シーン内のIFOVsの前記アレイ内のIFOVsの第1のサブセットを照明するようにパターンまたはアレイに構成され、前記光スポットの数は、前記シーン内のIFOVsの前記アレイ内のIFOVsの数より少ない、
請求項7に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
IFOVsの前記アレイが、IFOVsの行および列のアレイを含み、光スポットは、前記アレイの各行または列内のn番目ごとの位置に配置され、nは1より大きい整数であり、前記アレイ内の隣接する行または列内の前記光スポットは互いに対してオフセットされ、任意選択で、前記複数の個別の光スポットはチェッカーボードパターンに構成される、
請求項9に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記ホログラフィックコントローラが、前記少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムによって形成された前記構造化光の前記アレイ内の少なくとも1つの前記光スポットを再配置して、少なくとも1つの他のコンピュータ生成ホログラムによって形成された前記構造化光の前記アレイ内の異なるパターンで複数の個別の光スポットを提供し、前記シーン内のIFOVの前記アレイ内のIFOVsの第2のサブセットを照明するように構成され、第1のサブセットは第2のサブセットとは異なる
請求項9または10に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記ホログラフィックコントローラが、前記少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムによって形成された前記構造化光の前記複数の光スポットにおける少なくとも1つの光スポットの前記形状を変化させて、少なくとも1つの他のコンピュータ生成ホログラムによって形成された前記構造化光に少なくとも異なる形状の光スポットを提供するように構成される、
請求項7から11のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
各コンピュータ生成ホログラムが、前記構造化光を含む光フットプリントを形成するように構成され、あるシーケンスで第1のコンピュータ生成ホログラムによって形成される前記光フットプリントは、前記シーン内のIFOV内の第1の位置にサブフットプリントを提供し、前記ホログラフィックコントローラは、前記シーケンスで連続する各ホログラムによって提供される前記IFOV内の前記サブフットプリントを再配置するように構成される、
請求項5に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
前記サブフットプリントが、1次元または2次元の形状を有する光の離散領域を含むこと、
前記ホログラフィックコントローラによって出力される前記一連のコンピュータ生成ホログラムが、前記サブフットプリントを前記IFOV内の複数の異なる位置に移動させて、その完全な領域を走査し、任意選択で、前記サブフットプリントを前記IFOV内の複数の異なる位置に再配置する前記一連のコンピュータ生成ホログラムの各コンピュータ生成ホログラムによって形成される前記光フットプリントは、前記シーン内のIFOVsの前記アレイの少なくとも1つの他のIFOV内の位置を選択的に照明するために1つまたは複数の追加のサブフットプリントを含むこと、
前記IFOVが、光フットプリントによる前記IFOVの以前の照明に応答して受け取ったフィードバックに基づいて選択されること、
の1つまたは複数である、
請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
前記光検知素子の前記アレイの各光検知素子と前記シーン内のIFOVsの前記アレイのIFOVとの間に1対1の相関がある、
請求項5から14のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項16】
前記光検出器が、
電荷結合デバイス(CCD)素子のアレイ、または
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)光検出素子のアレイなど、低分解能の光検出素子のアレイを備える、
請求項5から15のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項17】
前記LIDARシステムが、前記複数のコンピュータ生成ホログラムのうちの第1のコンピュータ生成ホログラムに対応する、第1の空間変調された光の出力と、前記オブジェクトから反射された第1の空間変調された光の検出との間の時間差を含む飛行時間測定を実行することにより、前記LIDARシステムから前記シーン内のオブジェクトの距離を決定するように構成されたプロセッサをさらに備える、
請求項1から16のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項18】
前記SLMおよび前記光検出器のうちの少なくとも1つが、携帯用デバイスまたは車両のランプユニット内に配置される、
請求項1から17のいずれか一項に記載のLIDARシステム。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のLIDARシステムを備えるランプユニット。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載のLIDARシステムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光プロジェクタに関する。より具体的には、本開示は、ホログラフィックプロジェクタ、ホログラフィック投影システム、プロジェクタを制御する方法、およびホログラフィック投影システムを制御する方法に関する。実施形態は、光検出と測距システムに関する。いくつかの実施形態は、光検出と測距の方法に関する。いくつかの実施形態は、光検出と測距システムにおける光フットプリントを制御する方法に関する。いくつかの実施形態は、コンピュータ制御された光フットプリントでシーンを調査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトから散乱される光には、振幅と位相の両方の情報が含まれる。この振幅および位相情報は、例えば、周知の干渉技術によって感光性プレート上に捕捉されて、干渉縞を含むホログラフィック記録すなわち「ホログラム」を形成することができる。ホログラムは、元のオブジェクトを表す2次元または3次元のホログラフィック再構成、または再生画像を形成するために、適切な光の照射によって再構成され得る。
【0003】
コンピュータ生成ホログラフィは、干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラム「CGH」は、フレネル変換またはフーリエ変換などの数学的変換に基づく技術によって計算され得る。これらのタイプのホログラムは、フレネルホログラムまたはフーリエホログラムと呼ばれることがある。フーリエホログラムは、オブジェクトのフーリエ領域表現またはオブジェクトの周波数領域表現と見なすことができる。CGHを、例えばコヒーレントレイトレーシングまたはポイントクラウド技術によって計算することもできる。
【0004】
CGHは、入射光の振幅および/または位相を変調するように構成された空間光変調器「SLM」上にエンコードされ得る。光変調は、例えば、電気的にアドレス指定可能な液晶、光学的にアドレス指定可能な液晶、またはマイクロミラーを使用して実現され得る。
【0005】
SLMは、セルまたは素子と呼ばれることもある複数の個別にアドレス指定可能なピクセルを含むことができる。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、または連続であってもよい。あるいは、デバイスは連続的であってもよく(すなわち、ピクセルで構成されていない)、したがって、デバイス全体にわたって光変調が連続的であってもよい。SLMは反射型であってもよく、これは、変調された光がSLMから反射して出力されることを意味する。SLMは同様に透過性であってもよく、これは、変調された光がSLMから透過して出力されることを意味する。
【0006】
記載された技術を使用して、イメージング用のホログラフィックプロジェクタが提供されてもよい。そのようなプロジェクタは、例えば、ニアアイデバイスを含むヘッドアップディスプレイ「HUD」、およびヘッドマウントディスプレイ「HMD」に用途を見出した。ホログラフィックプロジェクタは、光検出と測距に使用できる。光検出測距システムは、ポータブルデバイスや車両を含むさまざまな用途で使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、光検出と測距システムの改善に関する。特に、このような改善には、光検出と測距を使用して対象の特徴を検出するために、シーンの領域を調査するためのより高速で、より信頼性の高い、および/またはより正確な技術が含まれてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、添付の独立請求項に定義されている。
【0009】
複数のコンピュータ生成ホログラムを空間光変調器に出力し、第1の特性を有する光で空間光変調器を照明することにより、空間変調された光でシーンを照明するステップを含む光検出と測距の方法が提供される。各ホログラムは、シーン内の再生フィールドに対応するパターンを有する構造化光を形成するように構成される。実施形態では、構造化光は、再生フィールド内の光フットプリントで提供される。各ホログラムによって形成される構造化光/光フットプリントは、定義された形態、形状、および/またはパターンを有することができる。この方法は、複数のコンピュータ生成ホログラムのうちの少なくとも1つによって再生フィールドに形成される構造化光のパターンを変更する。この方法はまた、シーンからの第1の特性を有する反射した空間変調された光を光検出器によって受け取り、光応答信号を出力するステップを含むことができ、光検出器は、光検出素子のアレイと、光検出素子のアレイに関連する光学システムとを含む。光学システムは、各光検出素子(のみ)がシーン内の再生フィールドのそれぞれの(および固有の)サブ領域から光を受け取るように構成される。
【0010】
実施形態では、この方法は、各光検出素子によって、シーンの対応する(および固有の)サブ領域から第1の特性を有する光を受け取り、それぞれの光応答信号を出力するステップを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、シーン内の再生フィールドの構造化光/光フットプリントのサイズ、形状、向き、および/またはパターンを動的に変更するために使用され得る。これは、動的ホログラフィを使用して、構造化光/光フットプリントを形成することによって実現される。
【0012】
この方法は、光検出器からのフィードバックを使用して次の走査または調査を実行する方法および場所を決定するシーンをインテリジェントに走査するまたは調査するステップをさらに含むことができる。これは、メモリから少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムを選択するステップ、または受信信号に基づいてリアルタイムで少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムを計算するステップを含む少なくとも1つのコンピュータ生成ホログラムを計算するステップを含むことができる。
【0013】
「ホログラム」という用語は、オブジェクトに関する振幅情報もしくは位相情報、またはそれらの何らかの組み合わせを含む記録を指すために使用される。「ホログラフィック再構成」という用語は、ホログラムを照明することによって形成されるオブジェクトの光学的再構成を指すために使用される。本明細書では、「再生平面」という用語は、ホログラフィック再構成が完全に形成される空間内の平面を指すために使用される。本明細書では、「再生フィールド」という用語は、空間光変調器から空間変調された光を受け取ることができる再生平面のサブ領域を指すために使用される。
【0014】
「画像」、「再生画像」、および「画像領域」という用語は、ホログラフィック再構成を形成する光によって照明される再生フィールドの領域を指す。
【0015】
「光フットプリント」という用語は、本開示では、ホログラムの再構成によってシーンに形成される照明パターンを指すのが一般的に好ましい。各光フットプリントは、シーン内のホログラフィック再構成の形成に対応している。したがって、光フットプリントは、シーン内(より具体的には、再生フィールド内)の光の領域である。光はパルス状であってもよい。光は、再生フィールド内のその領域全体で均一な輝度を有してもよい。実施形態では、光は、シーン内の再生フィールドに光のパターンを形成するように、再生フィールド内のその領域全体にわたって不均一な輝度を有してもよい。光のパターンは、暗い領域によって分離された複数の個別の光の領域(本明細書では「光スポット」とも呼ばれる)を含んでもよく、または段階的な明るさまたは強度の光のパターンであってもよい。このような光のパターンは、本明細書では「構造化光」と呼ばれる。光フットプリント/構造化光は、その形態、形状、および/またはパターンによって特徴付けられてもよい。本明細書に開示される光検出と測距システムは、シーン内で変化する光フットプリントの時系列を形成するために使用され得る。好適には、本明細書に開示される動的に再構成可能なホログラフィック技術は、光フットプリントのパラメータをリアルタイムで制御するために使用され得る。実施形態では、この技術を使用して、構造化光を投影し、構造化光をリアルタイムで変更する。例えば、この技術は、個別の光スポットのサイズおよび/または形状を変更するか、または再生フィールド内に形成される光フットプリント/構造化光内の光スポットの分布をリアルタイムで変更することができる。
【0016】
「符号化」、「書き込み」または「アドレス指定」という用語は、SLMの複数のピクセルに、各ピクセルの変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値を提供するプロセスを説明するために使用される。SLMのピクセルは、複数の制御値の受信に応答して光変調分布を「表示する」ように構成されていると言えるかもしれない。したがって、SLMは、ホログラムを「表示する」と言えるかもしれない。
【0017】
「走査」および「調査」という用語は、本明細書では同義的に使用され、1つまたは複数の光フットプリントで照明することによってシーンの領域を調べるプロセスを指す。同様に、「走査する」または「調査する」は、シーンの領域を調べるプロセスで使用される、単一のフットプリント、または複数のフットプリントを含むシーケンスを含む。
【0018】
「光」という用語は、本明細書ではその最も広い意味で使用される。実施形態は、可視光、赤外光および紫外光、ならびにそれらの任意の組み合わせに等しく適用可能である。
実施形態は、例としてのみ、単色光フットプリントを説明する。実施形態では、光フットプリントは多色光フットプリントである。実施形態では、複数の単色光フットプリントを組み合わせることにより、複合色光フットプリントが提供される。実施形態では、複数の単色コンピュータ生成ホログラムを使用して、各複合色光フットプリントを形成することができる。このような波長ダイバーシティは、スループットを向上させることができる。
【0019】
実施形態は、例としてのみ、1Dおよび2Dの光フットプリントを説明する。他の実施形態では、光フットプリントは3D光フットプリントである。すなわち、実施形態では、各コンピュータ生成ホログラムは3Dホログラフィック再構成を形成する。
【0020】
許容できる品質のホログラフィック再構成は、元のオブジェクトに関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成できることがわかっている。そのようなホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと呼ばれることがある。実施形態は位相限定ホログラムに関するが、本開示は振幅限定ホログラフィにも同様に適用可能である。
【0021】
本開示は、元のオブジェクトに関連する振幅および位相情報を使用してホログラフィック再構成を形成することにも等しく適用可能である。いくつかの実施形態では、これは、元のオブジェクトに関連する振幅と位相の両方の情報を含むいわゆる完全複素ホログラムを使用した複素変調によって達成される。このようなホログラムは、ホログラムの各ピクセルに割り当てられた値(グレーレベル)が振幅と位相の成分を有するため、完全複素ホログラムと呼ばれることがある。各ピクセルに割り当てられた値(グレーレベル)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成された完全複素ホログラムが計算される。
【0022】
「位相遅延」の省略形として、位相値、位相成分、位相情報、または単に、コンピュータ生成ホログラムもしくは空間光変調器のピクセルの位相を参照することができる。すなわち、記載されている位相値は、実際には、そのピクセルによって提供される位相遅延の量を表す数値(0から2πの範囲など)である。例えば、π/2の位相値を有すると記載されている空間光変調器のピクセルは、受信光の位相をπ/2ラジアンだけ変化させる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の各ピクセルは、複数の可能な変調値(例えば、位相遅延値)のうちの1つで動作可能である。「グレーレベル」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指すために使用され得る。例えば、用語「グレーレベル」は、異なる位相レベルが異なるグレーの濃淡を提供しない場合でも、便宜上、位相限定変調器における複数の利用可能な位相レベルを指すために使用され得る。「グレーレベル」という用語はまた、便宜上、複素変調器において複数の利用可能な複素変調レベルを指すために使用されてもよい。
【0023】
特定の実施形態は、以下の図を参照して例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】スクリーン上にホログラフィック再構成を生成する反射型SLMを示す概略図である。
図2A】Gerchberg-Saxton型アルゴリズムの例の最初の反復を示す図である。
図2B】Gerchberg-Saxton型アルゴリズムの例の2回目以降の反復を示す図である。
図2C図2Bの代替のGerchberg-Saxton型アルゴリズムの例の2回目以降の反復を示す図である。
図3】反射型LCOS SLMの概略図である。
図4】実施形態による、シーン内の再生フィールドにおいてホログラフィック再構成を生成するSLMと、シーン内の再生フィールドの個別の視野(IFOVs)のアレイからの光を検出するように構成されたアレイ検出器とを備えるホログラフィックLIDARシステムを示す概略図である。
図5A】一実施形態による、ホログラフィック走査のそれぞれの第1および第2のフレームによって形成される第1および第2の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、シーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイを照明するためのサブフットプリントまたは「光スポット」のパターンを有する構造化光を含み、光スポットの形状はフレーム間で変更されている。
図5B】別の実施形態による、ホログラフィック走査のそれぞれの第1および第2のフレームによって形成される第1および第2の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、シーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイのIFOVsのサブセットを照明するための光スポットのパターンを有する構造化光を含み、光スポットのパターンは、IFOVsの異なるサブセットを照明するようにフレーム間で変更されている。
図5C】さらに別の実施形態による、図5Bの実施形態と同等の第1および第2の光フットプリントを示す図であり、光スポットの形状はフレーム間でさらに変更されている。
図6】さらに別の実施形態による、ホログラフィック走査の一連のフレームによって形成された一連の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、単一のサブフットプリントまたは「光スポット」を使用してシーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイのIFOVを個別に走査するための構造化光を含む。
図7】さらなる実施形態による、ホログラフィック走査の一連のフレームによって形成される一連の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、1次元のサブフットプリントすなわち「ライン」を使用してシーン内の再生フィールドのIFOVを個別に走査するための構造化光を含む。
図8】さらに別の実施形態による、ホログラフィック走査の対応するフレームによって形成されたn番目と(n+1)番目の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、各IFOVの異なるサブフットプリントを使用してシーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイを照明するための構造化光を含む。
図9】別の実施形態による、ホログラフィック走査の第1から第5のフレームによって形成された第1から第5の光フットプリントを示す図であり、各フットプリントは、シーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイ内の列内の対応する複数のIFOVsを照明するために、ライン内に複数の光スポットを有する構造化光を含み、光スポットのラインがフレーム間で再配置されている。
図10】視野を有する検出器の空間分解能を効果的に増大させるためにホログラフィックプロジェクタをどのように使用できるかを示す図である。
図11】光検出器からの受信信号に基づいて複数のコンピュータ生成ホログラムを決定するためのフィードバックシステムを示す図である。
図12】角拡大システムの例を示す図である。
図13】実施形態による、オブジェクトの検出および測距のための方法を示す図である。
【0025】
同一または類似の部品を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、以下に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の全範囲に及ぶ。すなわち、本発明は、説明の目的のために記載された異なる形態で具体化されてもよく、説明された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0027】
単数形の用語には、特に指定がない限り、複数形が含まれてもよい。
【0028】
他の構造物の上部/下部または他の構造物の上/下に形成されると記載された構造物は、構造物が互いに接触する場合、さらにその間に第3の構造物が配置される場合を含むと解釈されるべきである。
【0029】
時間関係を説明する際に、例えば、イベントの時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」などとして説明される場合、特に指定のない限り、本開示は、連続するイベントと連続しないイベントを含むものとする。例えば、「ジャスト」、「イミディエート」、「ダイレクト」などの文言を用いない限り、連続しない場合も含むものとする。
【0030】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語を使用してさまざまな要素を説明することがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。
【0031】
異なる実施形態の特徴は、互いに部分的にまたは全体的に結合または組み合わされてもよく、互いにさまざまに相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、互いに独立して実行されてもよく、または相互依存関係で一緒に実行されてもよい。以下の詳細な説明では異なる実施形態を別々に開示することができるが、任意の実施形態の任意の特徴は、任意の他の特徴と組み合わされてもよく、任意の他の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。すなわち、開示される特徴のすべての可能な組み合わせおよび置換が想定される。
【0032】
光学構成
【0033】
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器でエンコードされている実施形態を示している。コンピュータ生成ホログラムは、再構成のためのオブジェクトのフーリエ変換である。したがって、ホログラムはオブジェクトのフーリエ領域または周波数領域またはスペクトル領域の表現であると言えるかもしれない。この実施形態では、空間光変調器は、シリコン上の反射型液晶「LCOS」デバイスである。ホログラムは空間光変調器でエンコードされ、ホログラフィック再構成が再生フィールド、例えばスクリーンやディフューザなどの受光面で形成される。
【0034】
光源110、例えばレーザまたはレーザダイオードは、コリメートレンズ111を介してSLM140を照明するために配置される。コリメートレンズは、光のほぼ平面の波面をSLMに入射させる。図1では、波面の方向は垂直ではない(例えば、透明層の平面に真に直交する方向から2度または3度離れている)。しかし、他の実施形態では、ほぼ平面の波面が垂直入射で提供され、ビームスプリッタ配置が入力光路と出力光路を分離するために使用される。図1に示す実施形態では、配置は、光源からの光がSLMの鏡面背面から反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するようになっている。出口波面112は、スクリーン125に焦点を合わせたフーリエ変換レンズ120を含む光学系に適用される。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行して、スクリーン125でホログラフィック再構成を生成する。
【0035】
特に、このタイプのホログラフィでは、ホログラムの各ピクセルが全体の再構成に寄与する。再生フィールド上の特定のポイント(または画像ピクセル)と特定の光変調素子(またはホログラムピクセル)には1対1の相関関係はない。言い換えれば、光変調層を出る変調光は、再生フィールド全体に分配される。
【0036】
これらの実施形態では、空間におけるホログラフィック再構成の位置は、フーリエ変換レンズの光学/屈折(集束)パワーによって決定される。図1に示す実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光学フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に実行される。どのレンズもフーリエ変換レンズとして機能できるが、レンズの性能により、実行するフーリエ変換の精度が制限される。当業者は、レンズを使用して光学フーリエ変換を実行する方法を理解している。
【0037】
ホログラム計算
【0038】
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、正レンズのフーリエ変換特性を利用することにより遠視野で画像が再構成されるフーリエ変換ホログラム、または単にフーリエホログラムもしくはフーリエベースのホログラムである。フーリエホログラムは、再生平面内の所望の光フィールドをフーリエ変換してレンズ平面に戻すことによって計算される。コンピュータで生成されたフーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算できる。
【0039】
フーリエ変換ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して計算できる。さらに、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムを使用して、空間領域(写真など)の振幅限定の情報からフーリエ領域のホログラム(つまり、フーリエ変換ホログラム)を計算できる。オブジェクトに関連する位相情報は、空間領域の振幅限定の情報から効果的に「検索」される。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムまたはその変形を使用して、振幅限定の情報から計算される。
【0040】
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、A面とB面の光線の強度断面、それぞれI(x,y)とI(x,y)が既知で、I(x,y)とI(x,y)が単一のフーリエ変換によって関連付けられる場合の状況を考慮する。与えられた強度断面では、A面とB面の位相分布の近似値、それぞれΨ(x,y)とΨ(x,y)が見つかる。Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従ってこの問題の解決策を見つける。より具体的には、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、空間領域とフーリエ(スペクトルまたは周波数)領域との間でI(x,y)とI(x,y)を表すデータセット(振幅と位相)を繰り返し転送しながら、空間制約とスペクトル制約を繰り返し適用する。スペクトル領域の対応するコンピュータ生成ホログラムは、アルゴリズムの少なくとも1回の反復により取得される。このアルゴリズムは収束的であり、入力画像を表すホログラムを生成するように構成されている。ホログラムは、振幅限定ホログラム、位相限定ホログラム、または完全複素ホログラムであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、位相限定ホログラムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる英国特許第2498170号明細書または第2501112号明細書に記載されるようなGerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して計算される。しかしながら、本明細書で開示される実施形態は、単なる例として位相限定ホログラムの計算を説明する。これらの実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、既知の振幅情報T[x,y]を知るために生じさせるデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u,v]を検索し、ここで、振幅情報T[x,y]はターゲット画像(写真など)を表す。大きさと位相はフーリエ変換で本質的に結合されるため、変換された大きさと位相には、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報が含まれる。したがって、アルゴリズムは、振幅と位相の両方の情報に関するフィードバックとともに繰り返し使用され得る。しかしながら、これらの実施形態では、位相情報Ψ[u,v]のみがホログラムとして使用されて、画像平面でターゲット画像のホログラフィック表現を形成する。ホログラムは、位相値のデータセット(2Dアレイなど)である。
【0042】
他の実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して、完全複素ホログラムを計算する。完全複素ホログラムは、大きさ成分と位相成分を有するホログラムである。ホログラムは、各複素データ値が大きさ成分と位相成分を含む複素データ値のアレイを含むデータセット(2Dアレイなど)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは複素データを処理し、フーリエ変換は複素フーリエ変換である。複素データは、(i)実数成分と虚数成分、または(ii)大きさ成分と位相成分を含むと見なすことができる。いくつかの実施形態において、複素データの2つの成分は、アルゴリズムのさまざまな段階で異なって処理される。
【0044】
図2Aは、位相限定ホログラムを計算するためのいくつかの実施形態によるアルゴリズムの最初の反復を示している。アルゴリズムへの入力は、ピクセルまたはデータ値の2Dアレイを含む入力画像210であり、各ピクセルまたはデータ値は大きさ、または振幅の値である。すなわち、入力画像210の各ピクセルまたはデータ値は位相成分を持たない。したがって、入力画像210は、大きさのみ、または振幅のみ、または強度のみの分布と見なすことができる。そのような入力画像210の例は、写真またはフレームの時系列を含むビデオの1フレームである。アルゴリズムの最初の反復はデータ形成ステップ202Aで始まり、このステップは、各データ要素が大きさと位相を含む開始複素データセットを形成するためにランダム位相分布(またはランダム位相シード)230を使用して入力画像の各ピクセルにランダム位相値を割り当てるステップを含む。開始複素データセットは、空間領域の入力画像を表していると言えるかもしれない。
【0045】
第1の処理ブロック250は、開始複素データセットを受け取り、複素フーリエ変換を実行して、フーリエ変換された複素データセットを形成する。第2の処理ブロック253は、フーリエ変換された複素データセットを受け取り、ホログラム280Aを出力する。いくつかの実施形態では、ホログラム280Aは位相限定ホログラムである。これらの実施形態では、第2の処理ブロック253は、ホログラム280Aを形成するために、各位相値を量子化し、各振幅値を1に設定する。各位相値は、位相限定ホログラムを「表示する」ために使用される空間光変調器のピクセル上に表すことができる位相レベルに従って量子化される。例えば、空間光変調器の各ピクセルが256個の異なる位相レベルを提供する場合、ホログラムの各位相値は256個の可能な位相レベルのうちの1つの位相レベルに量子化される。ホログラム280Aは、入力画像を表す位相限定のフーリエホログラムである。他の実施形態では、ホログラム280Aは、受け取ったフーリエ変換された複素データセットから導出された複素データ値(それぞれ振幅成分および位相成分を含む)のアレイを含む完全複素ホログラムである。いくつかの実施形態では、第2の処理ブロック253は、各複素データ値を複数の許容可能な複素変調レベルの1つに制約して、ホログラム280Aを形成する。制約するステップは、各複素データ値を複素平面内の最も近い許容可能な複素変調レベルに設定するステップを含んでもよい。ホログラム280Aは、スペクトルまたはフーリエ領域もしくは周波数領域の入力画像を表していると言えるかもしれない。いくつかの実施形態では、アルゴリズムはこの時点で停止する。
【0046】
しかしながら、他の実施形態では、図2Aの点線矢印で表されるようにアルゴリズムは継続する。言い換えれば、図2Aの点線矢印に続くステップはオプションである(すなわち、すべての実施形態に必須ではない)。
【0047】
第3の処理ブロック256は、第2の処理ブロック253から修正された複素データセットを受け取り、逆フーリエ変換を実行して逆フーリエ変換された複素データセットを形成する。逆フーリエ変換された複素データセットは、空間領域の入力画像を表していると言えるかもしれない。
【0048】
第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットを受け取り、大きさ値211Aの分布および位相値213Aの分布を抽出する。任意選択で、第4の処理ブロック259は、大きさ値211Aの分布を評価する。具体的には、第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットの大きさ値211Aの分布を、それ自体はもちろん大きさ値の分布である入力画像510と比較することができる。大きさ値211Aの分布と入力画像210との差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが許容可能であると判断することができる。すなわち、大きさ値211Aの分布と入力画像210との差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが入力画像210を十分に正確に表すと判断することができる。いくつかの実施形態では、比較のために、逆フーリエ変換された複素データセットの位相値213Aの分布は無視される。大きさ値211Aの分布と入力画像210とを比較するための任意の数の異なる方法を採用することができ、本開示は特定の方法に限定されないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、平均二乗差が計算され、平均二乗差が閾値未満である場合、ホログラム280Aは許容可能と見なされる。第4の処理ブロック259が、ホログラム280Aが許容可能でないと判断した場合、アルゴリズムのさらなる反復が実行され得る。しかしながら、この比較ステップは必須ではなく、他の実施形態では、実行されるアルゴリズムの反復回数は、事前に決定されるか、事前設定されるか、またはユーザ定義される。
【0049】
図2Bは、アルゴリズムの2回目の反復と、アルゴリズムのそれ以降の反復を表している。前の反復の位相値213Aの分布は、アルゴリズムの処理ブロックを通じてフィードバックされる。大きさ値211Aの分布は拒否され、入力画像210の大きさ値の分布が優先される。第1の反復では、データ形成ステップ202Aは、入力画像210の大きさ値の分布をランダム位相分布230と組み合わせることにより、第1の複素データセットを形成した。しかし、2回目以降の反復では、データ形成ステップ202Bは、(i)アルゴリズムの前の反復からの位相値213Aの分布を(ii)入力画像210の大きさ値の分布と組み合わせることにより、複素データセットを形成するステップを含む。
【0050】
次に、図2Bのデータ形成ステップ202Bによって形成された複素データセットは、図2Aを参照して説明したのと同じ方法で処理され、第2の反復ホログラム280Bを形成する。したがって、プロセスの説明はここでは繰り返されない。アルゴリズムは、第2の反復ホログラム280Bが計算されたときに停止してもよい。ただし、アルゴリズムの任意の数のさらなる反復が実行され得る。第3の処理ブロック256は、第4の処理ブロック259が必要な場合、またはさらなる反復が必要な場合にのみ必要であることが理解されよう。出力ホログラム280Bは、通常、各反復で改善される。ただし、実際には、通常、測定可能な改善が見られないポイントに到達するか、さらなる反復を実行することのプラスの利点は、追加の処理時間のマイナスの影響よりも優れている。したがって、アルゴリズムは反復的で収束的であると説明されている。
【0051】
図2Cは、2回目以降の反復の代替実施形態を表している。前の反復の位相値213Aの分布は、アルゴリズムの処理ブロックを通じてフィードバックされる。大きさ値211Aの分布は拒否され、大きさ値の別の分布が優先される。この代替実施形態では、大きさ値の代替の分布は、前の反復の大きさ値211の分布から導出される。具体的には、処理ブロック258は、前の反復の大きさ値211の分布から入力画像210の大きさ値の分布を差し引き、その差をゲイン係数αでスケーリングし、スケーリングされた差を入力画像210から差し引く。これは、数学的に次の方程式で表され、ここで、下付きのテキストと数字は反復回数を示している:
n+1[x,y]=F’{exp(iΨ[u,v])}
Ψ[u,v]=∠F{η・exp(i∠R[x,y])}
η=T[x,y]-α(|R[x,y]|-T[x,y])
【0052】
ここで、
F’は、逆フーリエ変換であり、
Fは、順フーリエ変換であり、
R[x,y]は、第3の処理ブロック256によって出力された複素データセットであり、
T[x,y]は、入力またはターゲット画像であり、
∠は、位相成分であり、
Ψは、位相限定ホログラム280Bであり、
ηは、大きさ値211Bの新しい分布であり、
αは、ゲイン係数である。
【0053】
ゲイン係数αは固定でも可変でもよい。いくつかの実施形態では、ゲイン係数?は、着信ターゲット画像データのサイズとレートに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、ゲイン係数αは反復回数に依存する。いくつかの実施形態では、ゲイン係数αは、単に反復回数の関数である。
【0054】
図2Cの実施形態は、他のすべての点で図2Aおよび図2Bの実施形態と同じである。位相限定ホログラムΨ(u,v)は、周波数領域またはフーリエ領域の位相分布を含むと言えるかもしれない。
【0055】
いくつかの実施形態において、フーリエ変換は、ホログラフィックデータにレンズデータを含めることにより計算的に実行される。すなわち、ホログラムには、レンズを表すデータとオブジェクトを表すデータが含まれている。これらの実施形態では、図1の物理的フーリエ変換レンズ120は省略されている。コンピュータ生成ホログラムの分野では、レンズを表すホログラフィックデータの計算方法が知られている。レンズを表すホログラフィックデータは、ソフトウェアレンズと呼ばれることがある。例えば、位相限定ホログラフィックレンズは、その屈折率と空間的に変化する光路長のために、レンズの各点によって引き起こされる位相遅延を計算することにより形成され得る。例えば、凸レンズの中心の光路長は、レンズの端の光路長よりも長くなる。振幅限定のホログラフィックレンズは、フレネルゾーンプレートによって形成されてもよい。また、物理的フーリエレンズを必要とせずにフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すホログラフィックデータを、オブジェクトを表すホログラフィックデータと組み合わせる方法は、コンピュータ生成ホログラムの分野で知られている。いくつかの実施形態において、レンズデータは、単純なベクトル加算などの単純な加算によってホログラフィックデータと組み合わされる。いくつかの実施形態では、フーリエ変換を実行するために、物理レンズがソフトウェアレンズとともに使用される。あるいは、他の実施形態では、フーリエ変換レンズは、ホログラフィック再構成が遠距離場で行われるように完全に省略される。さらなる実施形態では、ホログラムは、格子データ、すなわち、ビームステアリングなどの格子の機能を実行するように構成されたデータを含むことができる。繰り返しになるが、コンピュータ生成ホログラフィの分野では、そのようなホログラフィックデータを計算し、それを、オブジェクトを表すホログラフィックデータと組み合わせる方法が知られている。例えば、位相限定のホログラフィック回折格子は、ブレーズド回折格子の表面上の各ポイントによって引き起こされる位相遅延をモデリングすることによって形成され得る。振幅限定のホログラフィック回折格子は、振幅限定ホログラムの角度ステアリングを提供するために、オブジェクトを表す振幅限定ホログラムに単純に重ね合わせることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、物理的フーリエ変換レンズとソフトウェアレンズによって一緒に実行される。すなわち、フーリエ変換に寄与するいくらかの光学的パワーはソフトウェアレンズによって提供され、フーリエ変換に寄与する残りの光学的パワーは物理的光学部品によって提供される。
【0057】
いくつかの実施形態では、画像データを受信し、アルゴリズムを使用してリアルタイムでホログラムを計算するように構成されたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは一連の画像フレームを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは事前に計算され、コンピュータメモリに格納され、必要に応じてSLM上に表示するために呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
【0058】
実施形態は、単なる一例として、フーリエホログラフィおよびGerchberg-Saxtonタイプのアルゴリズムに関する。本開示は、フレネルホログラフィおよびポイントクラウド法に基づく技術などの他の技術によって計算されたホログラムに等しく適用可能である。
【0059】
光変調
【0060】
空間光変調器を使用して、コンピュータ生成ホログラムを表示することができる。ホログラムが位相限定ホログラムである場合、位相を変調する空間光変調器が必要である。ホログラムが完全複素ホログラムである場合、位相と振幅を変調する空間光変調器を使用してもよいし、位相を変調する第1の空間光変調器と振幅を変調する第2の空間光変調器を使用してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、空間光変調器の光変調素子(すなわちピクセル)は、液晶を含むセルである。すなわち、いくつかの実施形態では、空間光変調器は液晶デバイスであり、光学的にアクティブなコンポーネントが液晶である。各液晶セルは、複数の光変調レベルを選択的に提供するように構成されている。すなわち、各液晶セルは、複数の可能な光変調レベルから選択された1つの光変調レベルで動作するように一度に構成される。各液晶セルは、複数の光変調レベルとは異なる光変調レベルに動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、空間光変調器は反射型液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器であるが、本開示はこのタイプの空間光変調器に限定されない。
【0062】
LCOSデバイスは、小さな開口(例えば、幅が数センチメートル)内に、光変調素子またはピクセルの高密度アレイを提供する。ピクセルは通常、約10ミクロン以下であり、その結果、数度の回折角になり、これは、光学システムをコンパクトにできることを意味する。LCOS SLMの小さな開口を適切に照明する方が、他の液晶デバイスの大きな開口を照明するより簡単である。LCOSデバイスは通常反射型であり、これは、LCOS SLMのピクセルを駆動する回路を反射面の下に埋め込むことができることを意味する。その結果、開口率が高くなる。言い換えれば、ピクセルは密集しているため、ピクセル間にデッドスペースはほとんどない。これは、再生フィールドの光学ノイズを低減するため好適である。LCOS SLMは、ピクセルが光学的に平坦であるという利点があるシリコンバックプレーンを使用する。これは、位相変調デバイスにとって特に重要である。
【0063】
適切なLCOS SLMを、図3を参照して、単なる例として以下に説明する。LCOSデバイスは、単結晶シリコン基板302を使用して形成される。それは、基板の上面に構成された、ギャップ301aによって間隔を空けられた正方形平面アルミニウム電極301の2Dアレイを有する。電極301のそれぞれを、基板302に埋め込まれた回路302aを介してアドレス指定することができる。各電極は、それぞれの平面鏡を形成する。電極のアレイ上に配向層303が配置され、配向層303上に液晶層304が配置される。第2の配向層305は、例えばガラスの、平面透明層306上に配置される。例えばITOの、単一の透明電極307は、透明層306と第2の配向層305との間に配置される。
【0064】
正方形電極301のそれぞれは、透明電極307の上にある領域および介在する液晶材料とともに、しばしばピクセルと呼ばれる制御可能な位相変調素子308を画定する。有効ピクセル面積、またはフィルファクタは、ピクセル間のスペース301aを考慮に入れた、光学的にアクティブな全ピクセルの割合である。透明電極307に関して各電極301に印加される電圧を制御することにより、それぞれの位相変調素子の液晶材料の特性を変えることができ、それにより、入射する光に可変遅延を与えることができる。効果は、波面に位相限定変調を提供することであり、つまり、振幅効果は発生しない。
【0065】
説明したLCOS SLMは、空間変調された光を反射して出力する。反射型LCOS SLMには、信号線、ゲート線、およびトランジスタが鏡面の下にあるという利点があり、これにより、高いフィルファクタ(通常90%を超える)と高い分解能が得られる。反射型LCOS空間光変調器を使用するもう1つの利点は、透過型デバイスが使用された場合に液晶層を必要な厚さの半分にすることができることである。これにより、液晶のスイッチング速度が大幅に向上する(動いているビデオ画像を投影するための重要な利点である)。しかしながら、本開示の教示は、透過型LCOS SLMを使用して等しく実施されてもよい。
【0066】
光検出と測距(「LiDAR」または「LIDAR」)システム
【0067】
本発明者は、本開示のホログラフィック技術を使用して改善された画像投影を提供するためのさまざまな方法を以前に開示している。発明者は、このホログラフィック技術を使用して、改良されたLIDARシステムの基礎を形成することもできることを認識した。具体的には、本発明者は、この技術を使用して、ホログラフィックに形成された光フットプリントをLIDARのシーン全体にわたって走査できることを認識した。例えば、発明者の以前の英国特許出願第2560491号明細書は、(回転プリズムなどの物理光学系の代わりに)可変格子関数が(再生平面に光フットプリントが形成される領域を定義する)再生フィールドを移動するために提供され、シーン全体で光フットプリントの連続走査を実行する走査LIDARシステムを開示している。
【0068】
本明細書で開示されるさらなる発展によれば、シーン内の光フットプリントの位置、ならびにその形態、形状および/またはパターンなどの光フットプリントの他のパラメータは、コンピュータ生成ホログラムを変更することによって変更され得る。ホログラフィック投影の当業者は、ホログラムを変更することと、表示前にホログラムに数学的に追加される単純な格子関数を変更することとの違いを理解されよう。ホログラフィック投影の当業者は、再生フィールドの光コンテンツを変更することと、(ホログラフィック)再生フィールドを再生平面の周りに移動することとの違いも理解されよう。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムへの変更はリアルタイムで行われて、改善されたリアルタイムLIDARシステムを容易にする。
【0069】
実施形態では、ホログラフィックプロジェクタは、空間分解能を有する光検出器と結合される。実施形態では、ホログラフィックプロジェクタを使用して、光検出器の空間分解能と一致する(または調整される)空間分解能を有する複数(例えば、アレイまたはパターン)の光スポットを投影する。そのような複数の光スポットを用いてシーン内の複数のポイントを同時に探査するために、そのような光検出器が光源および空間光変調器とどのように同期され得るかが理解され得る。より具体的には、適切な同期により、複数の飛行時間測定を同時に行うことができることが理解されよう。光は、第1の特性またはプロパティを有し、これは、それが検出器によって受け取られた他の光と区別され得ることを意味する。光はパルス化され、一連のホログラムと時間的に同期されてもよい。実施形態では、第1の特性またはプロパティは、第1の周波数での振幅変調である。しかしながら、光は他の方法で特徴付けられてもよい。実施形態では、第1の周波数は無線周波数である。
【0070】
発明者は、シーン内の再生フィールドの個別のサブ領域と1対1の相関関係を持つように構成された光検出素子のアレイを含む光検出器を使用することにより、同時に再生フィールドの異なる領域を同時に照明することができる「構造化光」(複数の光特徴を含む光のパターン)を形成するコンピュータ生成ホログラムを使用することが可能である。したがって、再生フィールドの複数のサブ領域は、調査効率を向上させるために、ホログラムによって形成された光フットプリントの対応する光特徴(例えば、光スポット)または「サブフットプリント」を使用して同時に調査されまたは調べられ得る。さらに、発明者は、同じ再生フィールド内の連続するコンピュータ生成ホログラムによって形成された光特徴またはサブフットプリントの形態、形状、サイズ、向き、および/またはパターンを変更することにより、再生フィールド領域に関するより詳細な情報を導出できることが可能である。
【0071】
以前に提案されたホログラフィック「走査LIDAR」システムでは、通常、単一の光検出器を使用して、光フットプリントからの光戻り信号を検出する。光フットプリントは一定であり(形状、サイズ、形態など)、通常、その領域全体で均一な明るさである。光フットプリントの位置は、(例えば、格子関数を使用して)「ビームステアリング」によって変更され、SLMで表されるホログラムを連続的かつ時間的に変更することで、シーンのさまざまな領域を照明するようにする。本開示による以下の実施形態では、アレイ検出器が使用される。アレイ検出器は、空間分解能を有する検出器である。アレイ検出器を使用すると、複数の光戻り信号を同時に検出できる。より複雑な光フットプリント、例えば、複数の光スポットまたは「サブフットプリント」を含む光パターンを使用して、シーン内の複数のポイントを同時に照明することができる。光フットプリントは「構造化光」を含むとも言えるかもしれない。以下の実施形態では、SLM上に表されるホログラムを連続的かつ時間的に変化させることによって、光フットプリント/構造化光が変化する。重要なのは、ホログラフィック「走査LIDAR」システムとは対照的に、SLMで表される一連の2つ以上のホログラムを使用して、同じ再生フィールド内に光フットプリント/構造化光を形成する(つまり、「ビームステアリング」なし)。
【0072】
図4は、本開示によるホログラフィックLIDARシステムの実施形態を示している。ホログラフィックLIDARシステムは、光をシーン400に向けるように構成されたホログラフィックプロジェクタの空間光変調器(SLM)410と、シーン400からの反射光414を収集するように構成された光検出器420とを備える。図1を参照して上述したように、SLM410は、光源(図示せず)から光を受け取り、SLM410上に表される、または「表示される」動的に変化するコンピュータ生成ホログラムに従って空間変調された光412を出力するように構成される。SLM410は、シーン400内の光フットプリントの対応する時系列を形成するために、ホログラフィックコントローラ(図示せず)から一連のコンピュータ生成ホログラムを受け取る。SLM410は、シーン400内の再生平面上の再生フィールド430に各光フットプリントを形成する。光フットプリントは、「構造化光」、例えば、再生フィールド430の対応する複数の個別のサブ領域に光を形成する複数の個別の光特徴またはサブフットプリントの光パターンを含む。
【0073】
光検出器420は、アレイに構成された複数の個別の光検出器422(「光検出素子」とも呼ばれる)を含むアレイ検出器である。各個別の光検出器422は、シーン400内の対応する個別の視野(IFOV)432から光を受け取るように構成される。光検出器420は、光フットプリントが形成される再生フィールド430から反射された光414を収集するように構成される。したがって、各個別検出器422のIFOVは、検出器アレイ420内の個別の検出器422の位置に対応または相関する再生フィールド430内の位置を有する再生フィールド430のサブ領域432である。したがって、再生フィールド430は、シーン400内の個別の視野432(IFOVs)のアレイを含み、各IFOV432は他のIFOVs432と重複しないと言えるかもしれない。したがって、各光検出器422は、対応するIFOV432内のオブジェクトによって反射された光を受け取るように構成される。個別の検出器422とシーン内の対応するIFOV432との間には1対1の相関関係があると言えるかもしれないが、それらは異なるサイズを有し得る。したがって、アレイ検出器420の各検出器422は、シーン400の固有のサブ領域(IFOV)から光を受け取り、シーン400の他のサブ領域(IFOVs)のいずれからも光を受け取らない。
【0074】
実施形態では、アレイ検出器420は、上述したように、各個別の光検出器(または光検出素子)422が、再生フィールド430の対応するIFOV432からのみ光を受け取り、他のIFOVs432から光を受け取らないように構成された関連光学システム(図4には示さず)を有する。光学システムは、図4に示すように、(空間内の)再生フィールド430を複数のIFOVs432(非重複サブ領域)に分割して、再生フィールド430の一意のサブ領域(IFOVs)と個別の光検出器422との間の1対1のマッピングを提供すると言えるかもしれない。当業者は、さまざまなタイプの光学システムを使用して、シーン400内の個別の検出器422とそれに対応するIFOV432との間に1対1の相関を提供できることを理解されよう。実施形態では、光学システムは、(カメラの場合のように)単一のレンズ、または各マイクロレンズが個別の検出器422に関連付けられているマイクロレンズアレイを含むことができる。
【0075】
実施形態では、アレイ検出器420は、電荷結デバイス子(CCD)カメラを含むことができ、各検出器422は、CCD素子のアレイの個別のCCDである。他の実施形態では、アレイ検出器420は、SPAD素子のアレイを含む単一光子アバランシェダイオード(SPAD)アレイであってもよい。この実施形態では、光検知素子のアレイを含む他の任意の適切な形態のフォトディテクタが可能であり、企図される。
【0076】
実施形態では、光検出素子422のアレイを備える光検出器420は、各光検出素子422から光応答信号を出力する。したがって、飛行時間値は、対応する光検出素子422によって出力された光応答信号に基づいて、再生フィールド430の各サブ領域またはIFOV432について計算され得る。したがって、再生フィールド430に対応するIFOVs432のアレイの1つまたは複数のIFOVs432内で検出されたオブジェクトへの飛行時間値は、同時に計算されてもよい。
【0077】
したがって、シーンを走査する(すなわち調査する)ように構成された光検出と測距「LIDAR」システムが提供され、このシステムは、第1の特性またはプロパティを有する光を出力するように構成された光源と、空間光変調器であって、光源から光を受け取り、空間光変調器に表示されるコンピュータ生成ホログラムに従って空間変調された光を出力するように構成された空間光変調器と、複数のコンピュータ生成ホログラムを空間光変調器に出力するように構成されたホログラフィックコントローラであって、各コンピュータ生成ホログラムは、シーン内の再生フィールドに対応するパターンを有する構造化光を形成するように構成され、ホログラフィックコントローラは、複数のコンピュータ生成ホログラムのうちの少なくとも1つによって再生フィールド内に形成される構造化光のパターンを変更するようにさらに構成される、ホログラフィックコントローラと、シーンから第1の特性またはプロパティを有する光を受け取り、光応答信号を出力するように構成された光検出器であって、光検出器は光検出素子のアレイを備える、光検出器と、光検出素子のアレイに関連付けられた光学システムであって、光学システムは、各光検出素子がシーン内の再生フィールドのそれぞれの(および固有の)サブ領域から第1の特性を有する光を受け取るように構成されている、光学システムと、を備える。
【0078】
実施形態では、構造化光のパターンは、再生フィールド内のそのエリア全体にわたる光および光特徴の形態、形状および/またはパターンを含む。本開示において、形態、形状および/またはパターンの変化は、限定されないが、構造化光の領域のサイズ、形状、向き、パターン、周期性および明るさの変化および/または再生フィールドの領域内の個別の特徴を含む。光は、用途の要件に応じて、赤外線(IR)光、可視光、または紫外光であってもよい。実施形態では、LIDARシステムはIR光を使用する。
【0079】
図5Aは、一実施形態の、第1および第2のホログラムをそれぞれ表示するSLMによって形成された光フットプリントまたは画像に対応する第1および第2のフレームを示している。各フレームは、個別の光領域のパターンを含む構造化光の形態で光フットプリントまたは画像を提供する。特に、光フットプリントは、特定の形状を有する均一な輝度の離散した領域または「光スポット」の規則的なアレイを含む。光スポットのそれぞれは、光フットプリントの「サブフットプリント」であり、シーン内の再生フィールドに対応する領域(IFOVsのアレイ)のサブ領域(すなわち、IFOV)を照明すると言えるかもしれない。光フットプリントは、SLMによってホログラフィックに投影されるため、そのホログラフィック再構成の光スポットは、シーン内の再生フィールドの対応するIFOVsを照明する。ホログラフィック「LIDAR走査」のようにフレーム間で光フットプリントが移動するのではなく、代わりにフレーム間で光スポットの形状が変化する。この例の光フットプリントは、シーン内の同じ再生フィールド(IFOVsのアレイ)の同じサブ領域(IFOVs)を照明しているが、異なるフレームの光フットプリントは、異なる形状、形態、または構造の光を使用している。この例では、各光スポットの形状が第2のフレームで変更されるが、これは、本開示に従って行われ得る構造化光への変更の一例にすぎないことが理解されよう。誤解を避けるために、本開示は、各光スポットの形状のみを変更することに限定されず、あるフレームから次のフレームへの構造化光の性質への変更を包含する添付の請求項の全範囲に及ぶ。図5Aは、光フットプリントの光スポットの形状が、第1のフレームの正方形の光スポットから第2のフレームの円形の光スポットに変化する、第1と第2のフレームのシーケンスを示している。したがって、第1および第2のフレームは、シーン内の同じIFOVs内の異なる形状の領域または光スポットを照明する。図5Aは2つの異なる形状の光スポットを示しているが、光スポットの形状は、(もしあれば)さらなるフレームを含む走査または調査中に、他の形状を使用して、3回以上など複数回変化することがある。
【0080】
図5Aの実施形態では、光フットプリント/画像は、アレイ内のIFOVsの数(すなわち、アレイ検出器内の光検出素子の数)に対応する、多数の均一に照明される離散領域または「光スポット」を含み、各光スポットは比較的大きい。結果として、SLMの光出力は、比較的広い領域にわたって分配され、光スポットの輝度は、上述のように、ホログラフィックプロセスのために比較的低い。これは、特にCCDカメラなどの従来のフォトディテクタアレイを使用する場合に限定されるわけではないが、結果の「画像」の解像度などの調査品質に悪影響を与える可能性がある。
【0081】
したがって、いくつかの実施形態では、SPADアレイ(など)のより感度の高いフォトディテクタのアレイを使用することができる。ただし、SPADアレイ検出器を使用する場合、フレーム/ホログラフィック画像間の時間は、SPAD素子の「回復時間」を考慮する必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、フレームレートは、必要に応じて、SPAD素子の回復時間に基づいて変更可能である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光スポットの光パワーは、任意選択で少なくとも1つの対応するSPAD素子の回復時間に基づいて変更可能である。いくつかの実施形態では、光スポットまたは光スポットの選択されたサブセットの光パワーは、空間光変調器に入射する光の強度を低減するか、またはホログラムパターンを変更することによって変更される。SPADアレイでは、連続するフレームからのすべてのSPAD素子によるフォトン検出が繰り返されると、飽和状態になる可能性がある。その結果、光子検出に必要なバイアス電圧に回復するには、アバランシェ回復技術を実行する必要がある。アバランシェ回復プロセス中、SPAD素子はフォトンを検出できない。したがって、アバランシェ回復のためのフレーム間の十分な時間が許可される。
【0082】
図5Bは、別の実施形態の、第1および第2のホログラムをそれぞれ表示するSLMによって形成された光フットプリントまたは画像に対応する第1および第2のフレームを示している。各フレームは、明るい領域またはサブフットプリントのパターンの形態で、光フットプリントまたは画像を提供する。特に、光フットプリントは、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイに対応するアレイに周期的な間隔で構成された、均一な輝度の離散的な正方形領域または「光スポット」のパターンを含む。より具体的には、図示の光フットプリントでは、アレイの各行の光スポットは、第2のIFOVごとに(つまり、1つのIFOVだけ間隔を置いて)配置され、周期的なパターンが交互に明るい領域と暗い領域を構成する。光スポットは、いわゆる「チェッカーボード」パターンで構成されていると言えるかもしれない。光フットプリント/画像はSLMによってホログラフィックに投影されるため、光スポットはシーン内の再生フィールドの対応するIFOVsを同時に照明する。各光スポットまたはサブフットプリントは、対応するIFOVを照明するため、光フットプリントは、「チェッカーボード」パターンのIFOVsのアレイのIFOVsの交互のものを含むサブセットを同時に照明する。図5Bは、第1と第2のフレームのシーケンスを示しており、ホログラフィック「LIDAR走査」のようにフレーム間で光フットプリントは移動しないが、同じ再生フィールドを照明し、これにより第1のフレームの光フットプリントのチェッカーボードパターンが第2のフレームで反転する。光フットプリントによって照明される、または調べられるIFOVsのサブセットは、第1のフレームと第2のフレームとの間で変更されると言えるかもしれない。
【0083】
図5Bの実施形態の光フットプリント/画像は、図5Aの実施形態と比較して、より少ない数の個別の光スポットまたはサブフットプリントを含む。したがって、特にCCDアレイを備える光検出器を使用する場合に限定されないが、光スポットの輝度が増加し、したがって、結果として得られる「画像」の解像度などの調査品質が改善される。さらに、図5Bの実施形態は、交互の明るい領域またはスポットと暗い領域またはスポットの周期的パターンを含む光フットプリントを含み、アレイ検出器の個別の要素は、1フレームおき(または2フレームおき)にのみ反射光を受け取る。したがって、SPADアレイ検出器には、飽和からの回復時間が追加される。
【0084】
図5Bの光フットプリント/画像は、明るいスポットと暗いスポットが交互に現れるチェッカーボードパターンである(つまり、光スポットが2つおきのIFOVに構成されている)が、他の周期パターンも可能である。例えば、IFOVsのアレイ内の光スポットは、行および/または列の3つおき(すなわち、n番目)のIFOVに構成されてもよく、光スポット間の間隔(すなわち、n-1)の対応する増加を伴う。光スポット間の間隔を増やし、光スポットの周期性を減らすには、シーン内のIFOVsのアレイを照明するために、対応するフレーム数を増やす必要がある。これにより、例えば、以下に説明する図5Cに示されるように、光スポットの形状の変更と組み合わせて使用される場合、光検出素子(例えば、SPAD素子)の回復時間が長くなる。増加した周期性は、フレーム内の光スポットの総数の減少、したがって光スポットの輝度の増加につながるため、走査の品質をさらに向上させることができる。
【0085】
図5Cは、図5Aおよび5Bの実施形態の技術を組み合わせる別の実施形態の、それぞれの第1および第2のホログラムを表示するSLMによって形成される光フットプリントまたは画像に対応する第1および第2のフレームを示している。特に、各フレームは、個別の領域のチェッカーボードパターンまたは特定の形状の均一な輝度の「光スポット」(つまり、サブフットプリント)の形態で光フットプリント/画像を提供する。光フットプリント/画像は、SLMによってホログラフィックに投影されるため、光スポット/サブフットプリントは、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの対応するIFOVsを同時に照明する。ホログラフィック「LIDAR走査」のようにフレーム間で光フットプリントが移動するのではなく、チェッカーボードパターンと光スポットの形状の両方がフレーム間で変更される。図5Cは、光スポットの形状が正方形から三角形に変更され、チェッカーボードが第2のフレームで第1のフレームから逆になっている、第1および第2のフレームのシーケンスを示している。したがって、第1と第2のフレームは、シーン内の同じ再生フィールドの代替IFOVs内の異なる形状の領域を照明する。第3と第4のフレームは、第1と第2のフレームの光フットプリントのチェッカーボードパターンを繰り返すが、光スポットの形状を逆にすることができ、これにより、アレイ内のすべてのIFOVsは、第1のフレームから第4のフレームまでのシーケンスによって同じ光スポットで照明される。ここでも、誤解を避けるために、各光スポットは、円形、楕円形、または任意の数の辺を含む多角形を含む任意の形状を有することができる。
【0086】
図5A図5Cの実施形態では、光フットプリントは、複数の別個の領域または「光スポット」を含む。したがって、光スポットは、ホログラムによって形成されるホログラフィック画像内の個別の「サブフットプリント」と見なすことができる。サブフットプリントは、シーン内の対応するIFOVsを同時に照明する、または「調べる」。これは、図11を参照して以下で説明されるように、(例えば、潜在的に関心のある領域の比較的細かい/高い品質の走査または領域の調査を可能にするために)インテリジェント走査のフィードバックとして使用され得る初期情報(例えば、比較的粗い/低い品質の走査を提供する)を取得するための高速走査または調査に役立つことができる。
【0087】
さらなる実施形態では、一連の光フットプリントは、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの1つまたは複数のIFOVsが個別に走査されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のIFOVsが同時に走査される。IFOVを個別に走査する実施形態は、図6および図7を参照して以下に説明される。
【0088】
図6は、一実施形態のシーン内でIFOVを走査するためのフレームシーケンスを示している。特に、図6は、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイ内の単一のIFOVを走査するための16フレームのシーケンスを示している。図示されたフレームは、16個のホログラムを表示するSLMによって形成され、単一のIFOVに対応する領域内に入る画像の少なくとも一部に対応する。以下でさらに説明するように、ホログラフィック画像の他の領域は、他のIFOVsに対応する領域内にあり、異なる場合がある。各フレームは、単一のIFOVのみを照明するため、光の「サブフットプリント」を提供する。図6の実施形態では、サブフットプリントは、フレーム間のIFOV内に再配置される、均一な輝度の単一の正方形領域または個別の「光スポット」である。サブフットプリントはホログラフィックに投影されるため、シーン内の対応するIFOVの全領域(再生フィールドのサブ領域)の一部のみを照明する。図6では、各光スポットがIFOVの総面積の16分の1(1/16)を照明している。第1のフレーム(フレーム1)では、光スポットはIFOVの左上隅にあり、シーン内のIFOVの対応する領域を照明している。走査の連続する各フレームでは、フレーム2~15に示すように、光スポットがIFOV内で左から右と上から下に移動する。最後に、最後のフレーム(フレーム16)では、光スポットはIFOVの右下隅にある。図16の例では、光スポットをIFOVs内の4×4アレイの16個の位置に移動するが、対応するフレーム数により、他のアレイサイズも可能である。さらに、光スポットは、ラスタ走査順などの他の順序で16個の位置に移動できる。
【0089】
図6の実施形態のいくつかの実装形態では、シーン内のIFOVsのアレイの単一のIFOVは、フレームのシーケンスを使用して個別に走査され得る。単一のIFOVは、ランダムに、またはその他の方法で、フィードバックに基づいて選択され得る。残りのIFOVsは、用途の要件に応じて、フレーム1~16の1つまたは複数で、任意の所望の形状、サイズ、または向きの光スポットで照明され得るか、照明なしで提供され得る。他の実装形態では、シーン内の再生フィールド(アレイ内のすべてのIFOVsを含んでもよい)に対応するIFOVsのアレイの選択されたサブセットの各IFOVは、図6のフレームシーケンスを使用して、個別に独立して同時に走査され得る。
【0090】
図6の実施形態において、単一の光スポット/サブフットプリントは、IFOVの領域の16分の1のみを照明し、その結果、光スポットの輝度が増加され得、したがって、調査品質が改善される。ただし、シーン内の各IFOVの走査を実行するには、比較的多数の16フレーム/ホログラムが必要であり、SLMに関連する時間とリソースを消費する。
【0091】
図7は、別の実施形態のシーン内でIFOVを走査するためのフレームシーケンスを示しており、フレーム/ホログラムの数は、図6の実施形態と比較して低減されている。特に、図7は、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイ内の単一のIFOVを走査するための8フレームのシーケンスを示している。図示されたフレームは、単一のIFOVに対応する領域内に入る、8つのホログラムを表示するSLMによって形成される画像の少なくとも一部に対応する。各フレームは、単一のIFOVのみを照明するため、光の「サブフットプリント」を提供する。図7の実施形態では、サブフットプリントは、フレーム間の単一のIFOVで再配置される、均一な輝度の1次元領域すなわち「ライン」である。したがって、「ライン」は、他の実施形態の「光スポット」に対応する1次元のサブフットプリントと見なすことができる。サブフットプリントはホログラフィックに投影されるため、シーン内の対応するIFOVの総面積の一部のみを照明する。特に、ライン/サブフットプリントは、シーン内のIFOVの垂直または水平領域を照明する。図示の例では、ラインはIFOVの総面積の4分の1(1/4)を照明している。特に、フレーム1~4では、ラインはIFOVの左側の垂直領域を照明し、図7に示すように、フレーム間で水平方向に左から右の方向に移動する。同様に、フレーム5~8では、図7に示すように、ラインがIFOVの上部にある水平領域を照明し、IFOVはフレーム間で上から下に垂直に移動する。図7の例では2方向(水平および垂直)でライン走査を実行しているが、これは必須ではない。シーン内のIFOVの単一ライン走査では、例えばフレーム1~4(水平走査)またはフレーム5~8(垂直走査)のように、ラインを一方向にのみ移動できる。
【0092】
したがって、図7の実施形態におけるサブフットプリントの形状は、単一のIFOVの一部(例えば1/4)を照明するラインを含む。ラインを水平/垂直に向ける必要はないが、例えば斜めに延長することができる。図6の実施形態の単一の光スポットと比較して、ラインの明るさが低減される(しかし、それにもかかわらず、他の実施形態よりも明るい)。ただし、シーン内のIFOVsのアレイのIFOVの走査を実行するために必要なフレーム/ホログラムの数が減るため、必要なSLMの時間とリソースが削減される。
【0093】
図7の実施形態のいくつかの実装形態では、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの選択された単一のIFOVは、一連のフレームを使用して個別に走査され得る。単一のIFOVは、ランダムに、またはその他の方法で、フィードバックに基づいて選択され得る。残りのIFOVsは、用途の要件に応じて、フレーム1~8の1つまたは複数で、任意の所望の形状、サイズ、または向きの光スポットで照明され得るか、照明なしで提供され得る。他の実装形態では、図7のフレームシーケンスを使用して、シーン内の再生フィールド(すべてのIFOVsを含んでもよい)に対応するIFOVsのアレイの選択されたサブセットの各IFOVが同時に独立して走査され得る。いくつかの実施形態では、複数のIFOVsが同時に走査され、任意選択で、異なる方向または向きで走査される。実施形態は、図8を参照して以下に説明される。
【0094】
図8は、別の実施形態のフレームシーケンスの2つの連続するフレームを示している。特に、図示された各フレームは、それぞれが対応するIFOVを照明するための複数のサブフットプリントの形態で光フットプリント/画像を提供する。光フットプリント/画像はホログラフィックに投影されるため、光のサブフットプリントは、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの対応するIFOVsを同時に照明する。
【0095】
この実施形態では、選択された複数のIFOVsにおいて、図7の実施形態による「ライン」すなわち1次元のサブフットプリントを使用して個別のIFOVsが走査される。特に、IFOVsのアレイの左上のIFOVで、図7のフレーム1~8を使用してライン走査が実行される。図8では、フレームNは、光フットプリントが左上IFOV内の1つのフレーム位置の垂直領域を照明するライン/サブフットプリントを含むのを示しており、フレームN+1は、左上のIFOV内の隣接するフレーム位置の垂直領域を照明するライン/サブフットプリントを示している。したがって、フレームシーケンスを使用して、左上のIFOV(つまり、シーン内のIFOVsの5×5アレイの位置(1,1)で)の細かい走査が実行される。アレイ内の他の選択されたIFOVs(つまり、位置(2,2),(3,3)および(2,4))もラインによって走査される。残りのIFOVsは、必要に応じて整形およびサイズ設定された光スポットで照明される(例えば、正方形の光スポットが示されている)。上記のように、残りのIFOVsは、フレーム1から8の選択されたフレーム中にのみ照明され得る。
【0096】
個別の走査のIFOVsの選択は、例えば前の走査からのフィードバックに基づいて実行され得る。走査のための光フットプリントおよび/または一連の光フットプリントや領域を決定または選択するためのフィードバックの使用については、図11に関連して以下でさらに説明する。
【0097】
IFOV内での走査、例えば図6のような光スポットまたは図7および図8のようなラインを使用した走査は、上記のSPADアレイなどの高感度または低分解能の検出器と相乗的に機能する。特に、従来のLIDARおよび同様の用途では、SPADアレイの空間分解能は通常、低すぎると考えられている。図6図8の上記の実施形態による、各IFOVのホログラフィック走査の使用は、これを補償することができる。ホログラフィックプロジェクタの時間分解能および/または機能は、SPADアレイを使用できる範囲で、より高い空間分解能を提供するために使用されると言えるかもしれない。
【0098】
図9は、別の実施形態の、第1から第5のコンピュータ生成ホログラムそれぞれを表示するSLMによって形成された光フットプリントまたは画像に対応する5つのフレームのシーケンスを示している。各フレームは、ともに(垂直)ラインに似た、均一な輝度を有する正方形の個別の領域または「光スポット」の列を含む光フットプリントまたは画像を提供する。光スポットまたはサブフットプリントのラインは、「疑似ライン」と見なすことができる。光フットプリント/画像はホログラフィックに投影されるため、光スポットはシーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの列にある対応するIFOVsを照明する。したがって、シーン内のIFOVsの列は、光フットプリントによって同時に照明される。図9は、5つのフレームのシーケンスを示しており、光フットプリント/サブフットプリントの列は、隣接するIFOV列を照明するために、連続するフレーム間のシーン内で再配置される。疑似ラインは、シーン内の再生フィールドのIFOVsのアレイを横切って水平に移動すると言えるかもしれない。したがって、フレーム1はIFOVsの第1(左側)の列を照明し、フレーム2はIFOVsの第2の列を照明し、フレーム5がIFOVsの第5(右側)の列を照明するまで続く。
【0099】
いくつかの実施形態では、光フットプリントは、車両の道路を含む現実のシーンを調べるために使用される。特にこれらの実施形態では、光フットプリントの上部の光スポットは、光フットプリントの下部の光スポットに対応するオブジェクトよりも遠くにある、車両などのオブジェクトに対応し得ることが理解されよう。同様に、パターンの左側の光スポットは高速道路の車線1のオブジェクトに対応してもよく、中央の光スポットは車線2に対応してもよく、右側の光スポットは車線3に対応してもよい。動的に変化する光フットプリントによって複数の範囲が調べられていると言えるかもしれない。図9は、垂直ライン(疑似ライン)の水平走査を示している。他の実施形態では、水平ラインが垂直に走査される。いくつかの実施形態では、水平ラインによる垂直走査は、好適には、シーンの最下部(最も近い範囲)から始まり、シーンの最上部(最も遠い範囲)に向かって移動する。最小範囲に対応する領域で走査を開始し、連続するフレームごとに範囲を拡大するというこの概念は、上記のIFOVsの走査に拡張できる。より一般的には、いくつかの実施形態では、シーンまたはIFOVの走査は、衝突の最も直接的なリスクを含むかまたは表すものとして識別されたシーンまたはIFOVの領域から始まる。
【0100】
図4図5A図5C図8および図9の実施形態は、例示のみを目的として、再生フィールドに対応する5×5アレイのIFOVsを示している。光検出器アレイ(例えば、SPADアレイ)は、再生フィールドの対応するIFOVsを有し、任意の所望の構成(例えば、矩形アレイ)にある、任意の数の光検出素子(例えば、SPAD素子)を含み得る。したがって、実施形態に示されているフレームのシーケンスは、光検出器アレイの光検出器の数および配置によって異なり得る。
【0101】
図10は、SPADアレイの1つの例示的なSPAD素子1095を示している。SPAD素子1095は、立体角円錐1096によって画定される視野(すなわち、個別の視野(IFOV))を有する。立体角円錐1096は、空間分解能の尺度である。SPAD素子1095は、視野内の光のみを検出する。視野が広い場合、空間分解能は低くなる。すなわち、視野内で検出された光の光源は、低精度でしか識別できず、例えば、100cm単位までである。視野が狭い場合、空間分解能は高くなる。すなわち、視野内で検出された光の光源は、より高い精度で識別でき、例えば、1cm単位までである。SPADアレイは、一般に低(空間)分解能アレイ検出器と見なされる。アレイ検出器は、各検出器からのデータを並列に提供する個別の検出器のグループである。すなわち、アレイ検出器は、検出器素子からのデータの並列性を提供する。本明細書では、ホログラフィックプロジェクタの高フレームレート(例えば、ビデオフレームレート以上)を使用して、SPADアレイなどの視野を有するアレイ検出器の空間分解能を効果的に増大させるLIDARシステムについて説明する。これは、例えば図6および図7に関連して上述したように、SPAD素子1095の視野を個別に走査することにより達成される。第1の表示フレームでは、光スポットまたはサブフットプリントは、視野(IFOV)の第1の領域1091に向けられる。すなわち、第1の光スポットは、第1の領域1091においてホログラフィックに再構成される。第1のオブジェクト1097は、第1の領域1091に存在する。第1のオブジェクト1097は、SPAD素子のアレイのSPAD素子1095に向かって光を反射する。この光は、SPAD素子1095によって検出され、飛行時間測定を使用して、第1のオブジェクト1097までの距離を示すことができる。ホログラフィックプロジェクタとアレイ検出器は、第1のオブジェクト1097が第1の領域1091にあることをシステムが識別するように同期され、これは、照明された視野(IFOV)の唯一のサブ領域だからである。第1の表示フレームよりも後で(時間的に)表示される第2の表示フレームでは、第2の光スポットまたはサブフットプリントは、視野(IFOV)の第2の領域1092に向けられる。オブジェクトは第2の領域1092に存在しないため、SPAD素子1095に反射する光はなく、システムはオブジェクトが第2の領域1092に存在しないことを識別する。同様に、第2の表示フレームの後の第3の表示フレームでは、光は第2のオブジェクト1098を含む第3の領域1093にホログラフィックに向けられ、第3の表示フレームの後の第4の表示フレームでは、光は第3のオブジェクト1099を含む第4の領域1094にホログラフィックに向けられる。このシステムでは、SPAD素子が4倍の精度で視野(IFOV)内のオブジェクトの位置を識別できることが理解されよう。表示システムの高い時間レートは、検出の空間分解能を高めるために使用される。視野(IFOV)の4つの領域は例としてのみ記載されており、視野は任意の数の領域に分割されて、SPADアレイなどのアレイ検出器の有効空間分解能を高めることができることが理解されよう。記載された方法は、集合的な視野にわたるアレイ検出器全体の空間分解能を高めるために、SPADアレイの各SPAD素子に適用されてもよいことが理解されよう。
【0102】
したがって、第1のコンピュータ生成ホログラムが第1の構造化光パターンを形成し、第2のコンピュータ生成ホログラムが第2の構造化光パターンを形成するLIDARシステムが説明され、検出器素子の空間分解能を高めるために、第1の構造化光パターンは、検出器素子のアレイの検出器素子の個別の視野の第1の領域に第1の光スポットを含み、第2の構造化光パターンは、個別の視野の第2の領域に第2の光スポットを含む。これは、ホログラフィック画像をビデオレート以上で更新(つまり変更)でき、ホログラフィックプロジェクタで表示できる最小の特徴が検出器素子の個別の視野よりも小さいために実現可能である。
【0103】
実施形態は、第1の走査または調査の結果を使用して、第2の走査または調査のためのコンピュータ生成ホログラムを決定するフィードバックシステムを提供する。第2の調査のためのコンピュータ生成ホログラムを決定するステップは、ホログラムのリポジトリからホログラムを選択するステップ、またはホログラムを計算するステップを含むことができる。
【0104】
図11は、光をシーン1100に向けるように構成されたホログラフィックプロジェクタの空間光変調器1110と、シーンからの反射光を収集するように構成された光検出器1120とを含む実施形態を示している。空間光変調器1110は、光源(図示せず)から光を受け取り、空間光変調器1110上に表されるかまたは「表示される」動的に変化するコンピュータ生成ホログラムに従って空間変調された光を出力するように構成される。図11は、空間光変調器1110上に表された第1のコンピュータ生成ホログラム(図示せず)に従ってシーン1100内の再生フィールドに第1の光フットプリント1151を形成する第1の空間変調された光1131を出力する空間光変調器1110を示している。本明細書で説明するように、光検出器1120は、アレイ検出器を備えることができ、アレイ内の各検出素子は、シーン1100内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの個別の視野(IFOV)を有する。第1の光フットプリントは、例えば図5A図5Cのようにシーン内の複数のIFOVsを照明するための複数の光スポットまたはサブフットプリントを含む第1の調査の一部であり得る。
【0105】
図11は、第1の光フットプリント1151によって照明されたシーン1100の領域からの反射光1141を受け取る光検出器1120を示している。例えば、光はシーン内のオブジェクトで反射され得る。実施形態では、光検出器1120は、複数の光検出素子を備える。図11は、光検出素子に関連する光学システム1118をさらに示している。光学システム1118は、実施形態の光検出器1120の光検出素子と再生フィールドのサブ領域との間に1対1の相関を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、光学システム1118は、マイクロレンズなどのレンズまたはレンズのアレイである。当業者は、説明された機能を有する光学システムなどを提供する方法を知っている。例えば、光学システムは、個別のCCDピクセルとシーンのサブ領域との間に1対1の相関を提供するために、CCDカメラで使用されるレンズに類似しているかもしれない。反射光1141の受信に応答して、光検出器1120は、光応答信号1174を出力する。ホログラフィックコントローラ1170は、光応答信号1174を受信し、第2の調査のために第2の複数のコンピュータ生成ホログラムを決定するように構成される。例えば、以下で説明するように、第2の複数のコンピュータ生成ホログラムは、例えば図6または図7のように、シーン内のオブジェクトを含むIFOVを個別に走査するための一連の光フットプリントを出力できる。
【0106】
ホログラフィックコントローラ1170は、第2の複数のコンピュータ生成ホログラムを決定するために、光応答信号1174のプロパティを評価することができる。実施形態では、ホログラフィックコントローラ1170は、光応答信号1174が、第1の光フットプリントによって照明されまたは「調べられる」再生フィールド(例えば、IFOVsのアレイ)の領域(例えば、IFOV)にオブジェクトが存在することを示すかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、光応答信号1174のプロパティは、光応答信号1174の最大(またはピーク)強度またはアベレージ(または平均)強度である。他の実施形態では、光応答信号1174のプロパティは、光応答信号1174の強度の変化または光応答信号1174の強度の変化率である。光応答信号のプロパティは、光応答信号1174の任意のプロパティ、または光応答信号1174の任意の特徴であってもよく、これにより、第1の光フットプリント1151によって調べられた領域または調べられた領域内の任意のオブジェクトに関する情報が提供され得る。例えば、ホログラフィックコントローラ1170は、光応答信号1174の大きさが閾値を超えるかどうかを決定することができる。例えば、実施形態において、ホログラフィックコントローラ1170は、第1の光フットプリント1151によって調べられる再生フィールド(例えば、IFOVsのアレイ)のサブ領域(例えば、IFOV)にオブジェクトが存在することを決定し、オブジェクトが存在するサブ領域(IFOVなど)を高分解能で再び走査するように構成された第2の複数のコンピュータ生成ホログラムを決定する。例えば、他の実施形態では、ホログラフィックコントローラ1170は、光応答信号1174が決定的でない(例えば、比較的ノイズが多い)と決定し、シーンの同じ領域(再生フィールド)を再度、しかし異なる方向に調査するように構成された第2の複数のコンピュータ生成ホログラムを決定する。
【0107】
したがって、実施形態では、一連のフレーム/サブフットプリントは、例えば図6および図7を参照して上述したように、シーン内の再生フィールドに対応するIFOVsのアレイの選択されたIFOVを個別に走査または調査することができる。一連のフレーム/サブフットプリントを使用した個別の走査のための1つまたは複数のIFOVsの選択は、例えば、比較的粗い/低い品質の走査または調査を使用して、シーン内のIFOVs(再生フィールド)のアレイの第1の走査または調査からの、フィードバックに基づいて実行され得る。したがって、第1の複数のコンピュータ生成ホログラムは、IFOVsのアレイを含む領域(再生フィールド)の第1の調査を提供するように構成されてもよい。ホログラフィックコントローラは、第1の調査に応答して光応答信号を受信し、光応答信号のプロパティを評価して、(例えば、比較的細かい/高い品質の走査または調査のために)対象のIFOVs(オブジェクトが潜在的に存在するIFOVsなど)のアレイの1つまたは複数のIFOVsを識別するように構成され得る。次に、ホログラフィックコントローラは、IFOVsのアレイを含む同じ領域(再生フィールド)の第2の調査として、識別されたIFOV(s)を個別に走査するためのサブフットプリントを含む一連の光フットプリントを提供するために、第2の複数のコンピュータ生成ホログラムを決定または選択し得る。
【0108】
実施形態の変形
【0109】
実施形態では、空間光変調器は、位相限定の空間光変調器である。振幅を変調することによって光エネルギーが失われないため、これらの実施形態は好適である。
【0110】
したがって、効率的なホログラフィックLIDARシステムが提供される。しかしながら、本開示は、振幅限定の空間光変調器または振幅および位相変調器に等しく実装されてもよい。ホログラムは相応して位相限定、振幅限定、または完全複素であることは理解されよう。
【0111】
実施形態は、システムの視野を拡大する(すなわち、再生フィールドのサイズを拡大する)角拡大システムを含む。図12は、第1の角度で空間光変調器1210から空間変調された光を受け取るように構成された角拡大システム1225を示している。角拡大システム1225は、空間変調された光を、第1の角度よりも大きい第2の角度で出力し、シーン1200内の再生フィールドを照明する。図12は、角拡大システム1225が、第1の角度で光1222を受け取り、第1の角度より大きい第2の角度で光1224を出力するように構成されることを示している。角拡大システムは、空間変調された光の角度を拡大すると言えるかもしれない。すなわち、実施形態では、LIDARシステムは、空間光変調器からの空間変調された光の角偏向を拡大するように構成された角拡大システムをさらに備える。実施形態では、角拡大は屈折によって提供される。すなわち、実施形態では、角拡大システムは、空間変調された光を屈折させるように構成される。実施形態では、角拡大システムは、第1の角度で空間変調された光を受け取り、第2の角度で空間変調された光を出力するように構成され、第2の角度は第1の角度より大きい。いくつかの実施形態では、角拡大システム1225は、(光検出器の)各光検出素子が、再生フィールドの対応する/一意のサブ領域からのみ光を受け取るように構成された光学システムである。再生フィールドの各サブ領域のサイズは、対応する光検出素子のサイズよりも大きくてもよい。
【0112】
実施形態では、光はパルス状である。したがって、実施形態では、システムは、次の光フットプリントがシーンを照射する前に、反射信号が検出器によって受信されるように構成される。したがって、システムは、次の光フットプリントの前に任意の戻り信号を処理することができ、どのフットプリントが戻り信号を生じさせたかの間で混乱は起こり得ない。当業者は、この機能を提供するために、光源、ホログラフィックコントローラ、空間光変調器、光検出器、および必要なプロセッサをどのように同期させるかを理解するので、詳細な説明はここでは提供されない。
【0113】
各光フットプリントは、対応するコンピュータ生成ホログラムを使用して形成される。各コンピュータ生成ホログラムは、空間光変調器に提供されるホログラフィックデータに従って、空間光変調器上に表示される。各コンピュータ生成ホログラムは、異なるデータコンポーネントで構成されてもよい。データは、空間光変調器の各光変調ピクセルを個別にアドレス指定する空間光変調器の命令を提供する。具体的には、データは、光をどれだけ変調するかについて各ピクセルに指示を与えることができる。実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、光フットプリントのサイズおよび形状を画定する第1のホログラフィックデータと、シーン内の光フットプリントの位置を画定する第2のホログラフィックデータとを含む。第1のホログラフィックデータは、光学効果を提供するホログラフィックデータを含み得る。実施形態では、第1のホログラフィックデータはレンズ機能を含む。上記のように、第2のホログラフィックデータは、可変の「ビームステアリング」情報を提供する。実施形態では、第2のホログラフィックデータは、格子関数を含む。
【0114】
図13は、空間光変調器1310および光検出器1320と通信するプロセッサ1370を備える実施形態を示している。動作中、プロセッサ1370は、光検出器1320から光応答信号1374を受信し、空間光変調器1310から同期情報1372を受信するように構成される。空間光変調器1310は、シーン内のある位置に光フットプリント(図示せず)を形成する空間変調された光1351を出力するように構成される。シーン内の位置にあるオブジェクト1305は、空間変調された光1351を反射し、反射光1341は、光検出器1320によって検出される。例えば、光検出器1320は、単一の光検出素子(例えば、単一のフォトダイオード)、または、実施形態では、光フットプリントおよび/または設計要件に応じて、光検出素子のアレイ(例えば、フォトダイオードの1次元または2次元アレイ)を含み得る。光検出器1320、またはアレイ検出器の場合、各光検出素子は、シーン内に視野を有するように構成される。前述のように、システムのコンポーネント間の光のパルシングと同期は、空間光変調器1310からオブジェクト1305を介して光検出器1320に移動するときの空間変調された光の飛行時間を決定するために使用される。この飛行時間測定を使用して、空間光変調器1310からオブジェクト1305までの直線距離1376を決定することができる。したがって、光検出と測距(LIDAR)システムが提供される。実施形態では、空間光変調器1310を含むLIDARエミッタ(例えば、ホログラフィックプロジェクタ)および光検出器1320を備えるLIDAR受信機のうちの少なくとも1つは、車両のヘッドランプユニットなどのランプユニットまたはポータブルデバイスまたは車両内に配置され得る。プロセッサ1370は、LIDARエミッタおよび/またはLIDAR検出器とともに配置されてもよく、または離れて配置されてもよい。
【0115】
実施形態では、光源は、レーザダイオードなどのレーザ、またはコヒーレント光を提供する別の光源である。実施形態では、光検出器は、CCDまたはSPADアレイなどのフォトディテクタである。実施形態では、LIDARシステムを備える車両が提供される。
【0116】
実施形態では、光源からのレーザ光は、LIDARシステムに固有のコードで変調されてもよい。このようなコーディングは、他のLIDARシステム(例えば、道路上の他の車両内)に関連する光との干渉や混乱を回避するために使用され得る。そのような実施形態では、LIDAR受信機は、受信された光におけるコーディングを探し、対応するコードで変調された受信された光のみを処理する。例えば、固有の2進数パターンによる光振幅の2値変調は、(例えば、所定のコードまたはパターンで光源をオンおよびオフに切り替えることにより)固有のコードを提供するために実行され得る。レーザ光の他のタイプの変調または符号化を使用することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、2つ以上の光源が使用されてもよい。例えば、異なる波長(例えば、IR範囲内)を有する2つ以上のレーザが、LIDARシステムに含まれてもよく、SLMに光を提供するために異なる時間に使用されてもよい。光源として使用されるレーザ、したがって光フットプリントを形成するために使用される光の波長は、霧や他の悪天候条件が検出されたときなどの周囲条件に従って変更され得、光透過を改善する。
【0118】
フィードバックを使用する実施形態では、第1の調査の第1の光フットプリント(および他の任意の光フットプリント)は、第1の波長の光から形成され得、第2の調査の一連の光フットプリントは、第2の波長の光から形成され得る。実施形態では、第1および第2の波長は、可視光の異なる色である。実施形態では、第1および第2の波長の一方または両方は、赤外線の異なる波長である。
【0119】
上述のように、発明者が以前に提案したホログラフィック「走査LIDAR」システムは、ビームステアリングによってシーン全体にわたって単一の光フットプリントを移動させ、これは、光フットプリントの形状、サイズ、および形態を変更せずに、再生フィールドを再配置することを含む。本開示は、再生フィールドがビームステアリングによって再配置されないが、光フットプリントが変更されるホログラフィックLIDARシステムを提案する。特に、光フットプリントは構造化光のパターンを提供し、構造化光のパターンが変更される。実施形態において、光フットプリント/構造化光は、複数の光スポットまたは「サブフットプリント」のパターンを含み、パターンが変更され(例えば、光フットプリント内のサブフットプリントの形状または位置が変更され)、再生平面を異なるように照明し、したがって、シーンからさまざまな情報を導き出す。
【0120】
本開示のホログラフィックLIDARシステムは、用途の要件に基づいて、以前に提案されたホログラフィック「走査LIDAR」システムの態様と組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載されるような再生フィールド(IFOVsのアレイ)の走査または調査の後、再生フィールドはビームステアリングによって再配置されてもよく、走査または調査は新しい再生フィールド(IFOVsのアレイ)に対して繰り返されてもよい。例えば、再生フィールドは、シーン内の隣接するIFOVsのアレイに再配置されてもよく、再配置された再生フィールドに対して走査または調査が実行される。プロセスは、シーン全体またはその任意の所望の領域を調査するために、隣接する再生フィールドに対して繰り返されてもよい。
【0121】
本開示のホログラフィックLIDARシステムは、異なる距離範囲を走査または調査するために使用され得る。実施形態では、LIDARシステムのホログラフィックコントローラは、それぞれの距離範囲についてシーンを走査または調査するために、本明細書で説明するように、ホログラムの異なる時系列をSLMに提供することができる。特に、SLMに提供されるホログラフィックデータは、光フットプリントが必要な距離または範囲に対応する再生平面に集中するように決定され得る(例えば、上記のように、コンピュータ生成ホログラムの再構築に使用されるフーリエ変換レンズに対応するレンズ機能を調整することによって、またはデータ内の対応するレンズデータを変更することによって)。他の実施形態では、物理的フーリエ変換レンズを選択して、必要な距離または範囲に対応する再生平面に光フットプリントを集束させることができる。したがって、実施形態では、光フットプリント、または光フットプリントを形成する複数のコンピュータ生成ホログラムに関連するパラメータまたは要素は、距離範囲に基づいて決定されると言えるかもしれない。特に、この決定は、光フットプリントが距離範囲に対応する距離に集束するようなものである。
【0122】
特定の範囲に対する適切なレンズ機能/データは、範囲選択信号に応答して決定されてもよい。例えば、範囲選択信号は、ユーザによって手動で、または所定の条件が検出されたときに自動的に提供されてもよい。範囲の選択は、車両の速度、交通量の密度、またはその他の運転要因もしくは条件に基づく場合がある。車両がより高速で走行している場合は、より長い距離の走査を選択することが望ましい場合がある。例えば、高速道路の運転には長距離が好まれてもよく、交通量の多い市街地の運転には短距離が好まれてもよい。したがって、実施形態では、距離範囲は、受信信号に基づいて選択される。実施形態では、距離範囲は、車両速度、周囲条件、気象条件、交通状況やその他の運転パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0123】
本開示のホログラフィックLIDARシステムは、発明者が以前に提案した「インターリーブ走査」と一緒に使用されてもよい。特に、第1および第2の交互走査または調査は、シーンの同じまたは異なる領域に関連していてもよい。本明細書で説明するように、異なる光フットプリント(例えば、粗いまたは低分解能の走査に対応する第1の走査/調査の光フットプリント、および細かいまたは高い分解能の走査に対応する第2の走査/調査の光フットプリント)を同時に使用して、シーンの同じ領域(例えば、再生フィールドまたは再生フィールドのサブ領域)を走査または調査することにより、シーンの領域に関する異なる情報が提供され得る。同じまたは異なる光フットプリントを同時に使用してシーンの異なる領域を同時に走査すると、シーンの異なる領域に関する情報を取得できる。第1および第2の走査はインターリーブされ、したがって同時に実行されるため、両方の走査によってキャプチャされた情報は、実質的に同じ時点のシーンに関連している。
【0124】
上記の図5Cの実施形態などの光フットプリントが構造化光を含む実施形態では、第1の走査/調査を構成する第1のパターン(例えば、形状、形態および/またはパターン)を有する構造化光を含む光フットプリントを形成するフレームの第1のシーケンスは、第2の走査/調査を構成する第2のパターン(例えば、形状、形態および/またはパターン)を有する構造化光を含む光フットプリントを形成するフレームの第2のシーケンスとインターリーブされ得る。フレーム/フットプリントのインターリーブされた第1および第2のシーケンスは、シーン内のIFOVsの異なるアレイに対応する、シーンの異なる領域(再生フィールド)で繰り返されてもよい。そのような実施形態の実装では、低分解能SPADアレイなどの図4に示されるアレイ検出器420を使用して、上記のように、用途の要件に応じて、走査時間、走査の品質および/または分解能などのパラメータを最適化することができる。
【0125】
実施形態によれば、第1の走査/調査は、(例えば、図5Aの実施形態と同様に)シーンの周りで(例えば、車両の周りの異なる領域に)ランダムに移動する光フットプリントを投影する確率的走査を含み得る。シーン内の特徴が確率的走査から(例えば、第1の走査に応答する光応答信号から)識別された場合、または識別された特徴を含む領域の第2の走査/調査が(例えば、図5B図5Cまたは図6図8の実施形態と同様により高い分解能で)実行され得る。実施形態では、確率的走査は連続的であり、1秒以上(例えば、より高い分解能)の走査/調査に、確率的走査が挿入される。特に、高分解能の第2の走査/調査は、確率的走査と同時に実行されてもよい。したがって、確率的走査は継続的に実行されてもよく、必要に応じて、限られた期間の第2の走査/調査が導入され、確率的走査に挿入されてもよい。例えば、特定の領域の第2の高分解能走査/調査が追加され、この第2の高分解能走査/調査に確率的走査が挿入されてもよく、第2の高分解能走査/調査は、その領域内で特徴が検出された後、高分解能走査/調査が完了すると削除される。したがって、新しいターゲットは継続的な確率的走査によって継続的に識別され、そのような識別されたターゲットのさらなる詳細は、第2の走査/調査によって引き続き取得される。別の実施形態では、確率的走査の代わりに第2の走査/調査が実行されてもよい(すなわち、第1および第2の走査は同時ではない)。この場合、第1と第2の走査が交互に行われる。
【0126】
ホログラフィック再構成の品質は、いわゆるゼロ次問題の影響を受ける可能性があり、これは、ピクセル化された空間光変調器を使用する回折の性質の結果である。このようなゼロ次光は「ノイズ」と見なすことができ、例えば、鏡面反射光(つまり、非回折光)、およびSLMからの他の不要な光を含む。
【0127】
フーリエホログラフィの例では、この「ノイズ」はフーリエレンズの焦点に集束し、「DCスポット」と呼ばれるホログラフィック再構成の中心に明るいスポットをもたらす。ゼロ次光は単に遮断されるかもしれないが、これは明るいスポットを暗いスポットに置き換えることを意味する。実施形態は、ゼロ次のコリメートされた光線のみを除去するための角度選択性フィルタを含む。実施形態はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、欧州特許第2030072号明細書に記載されているゼロ次を管理する方法も含む。他の実施形態では、空間光変調器は発散光で照明され、光フットプリントから形成された回折光は再生平面に集束されるが、ゼロ次光(回折されない)は発散し続ける。したがって、ゼロ次光は効果的に分散される。
【0128】
いくつかの実施形態では、ホログラムのサイズ(各方向のピクセルの数)は空間光変調器のサイズに等しく、このためホログラムが空間光変調器を満たす。すなわち、ホログラムは空間光変調器のすべてのピクセルを使用する。他の実施形態では、ホログラムのサイズは空間光変調器のサイズよりも小さい。これらの他の実施形態のいくつかでは、ホログラムの一部(すなわち、ホログラムのピクセルの連続サブセット)が未使用のピクセルで繰り返される。この技術は、「タイリング」と呼ばれる場合があり、空間光変調器の表面領域は、それぞれが少なくともホログラムのサブセットを表すいくつかの「タイル」に分割される。したがって、各タイルのサイズは、空間光変調器よりも小さくなる。
【0129】
ホログラフィック再生フィールドのサイズ(つまり、ホログラフィック再構成の物理的または空間的範囲)は、空間光変調器のピクセル間隔(つまり、空間光変調器の隣接する光変調素子、またはピクセル間の距離)によって決定される。再生フィールドで形成され得る最小の特徴は、「分解能要素」、「画像スポット」、または「画像ピクセル」と呼ばれてもよい。通常、空間光変調器の各ピクセルは四角形の形状をしている。四角形の開口のフーリエ変換は正弦関数であるため、各画像ピクセルは正弦関数である。より具体的には、再生フィールド上の各画像ピクセルの空間強度分布は正弦関数である。各正弦関数は、ピーク強度の一次回折次数と、一次次数から半径方向に離れて延びる一連の強度が低下するより高い回折次数を含むと見なすことができる。各正弦関数のサイズ(つまり、各正弦関数の物理範囲または空間範囲)は、空間光変調器のサイズ(つまり、光変調素子のアレイまたは空間光変調ピクセルによって形成される開口の物理範囲または空間範囲)によって決定される。具体的には、光変調ピクセルのアレイによって形成される開口が大きいほど、画像ピクセルは小さくなる。通常、小さな画像ピクセルを有することが望ましい。
【0130】
ホログラフィック再構成は、空間光変調器によって画定されたウィンドウ全体のゼロ次回折内で作られる。いくつかの実施形態では、第1およびそれに続く次数は、画像と重ならないように、およびそれらが空間フィルタを使用してブロックされ得るように十分遠くに変位される。
【0131】
追加の特徴
【0132】
実施形態は、例としてのみ、電気的にアクティブ化されるLCOS空間光変調器に言及する。本開示の教示は、例えば、任意の電気的にアクティブ化されるSLM、光学的にアクティブ化されるSLM、デジタルマイクロミラーデバイスまたはマイクロエレクトロメカニカルデバイスなど、本開示に従ってコンピュータ生成ホログラムを表示できる任意の空間光変調器に等しく実装され得る。
【0133】
本明細書で説明される方法およびプロセスは、コンピュータ可読媒体で具体化されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、およびキャッシュメモリなどのデータを一時的または永続的に格納するように構成された媒体を含む。また、「コンピュータ可読媒体」という用語は、マシンによる実行のための命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンが本明細書に記載されている方法のいずれか1つまたは複数を全体的または部分的に実行するように、この命令を格納できる任意の媒体または複数の媒体の組み合わせを含むものとする。
【0134】
「コンピュータ可読媒体」という用語には、クラウドベースのストレージシステムも含まれる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定ではないが、ソリッドステートメモリチップ、光ディスク、磁気ディスク、またはそれらの任意の適切な組み合わせの例の形態で1つまたは複数の有形かつ非一時的なデータリポジトリ(例えば、データボリューム)を含む。いくつかの例示的な実施形態では、実行のための命令は、キャリア媒体によって通信され得る。そのようなキャリア媒体の例には、一時的な媒体(例えば、命令を伝達する伝播信号)が含まれる。
【0135】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内のすべての修正および変形を包含する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13