(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】溶銑撹拌脱硫熱間試験系
(51)【国際特許分類】
C21C 1/02 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
C21C1/02 108
(21)【出願番号】P 2020563584
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2019086123
(87)【国際公開番号】W WO2019218920
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】201810459218.1
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 毓 男
(72)【発明者】
【氏名】孫 興 洪
(72)【発明者】
【氏名】王 睿 之
(72)【発明者】
【氏名】姚 金 甫
(72)【発明者】
【氏名】蒋 暁 放
(72)【発明者】
【氏名】何 平 顕
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106031(JP,A)
【文献】特開2003-213313(JP,A)
【文献】中国実用新案第204714840(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 1/00- 3/00
C21C 5/02- 5/06
C21C 5/52- 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌装置、昇降装置、設備フレーム、熱放射防止装置、炉口固定装置および非真空誘導炉を含む溶銑撹拌脱硫熱間試験系であって、前記撹拌装置が昇降装置に接続されて設備フレームに設けられ、設備フレームが熱放射防止装置の上に設けられ、熱放射防止装置が炉口固定装置により非真空誘導炉の上に設けられ
、
前記撹拌装置は同軸的にこの順に接続される撹拌回転モータ、主軸、出力軸および撹拌翼を含み、その中で、撹拌回転モータが主軸に接続され、主軸が撹拌回転モータにより回転させられ、主軸が出力軸と嵌合接続され、撹拌翼の軸が出力軸と繋ぎ、熱放射防止装置を貫通しており、
前記昇降装置は昇降用モータ、固定振れ止め、回転スクリュー、回転ギア、リードスクリュー、可動板および軸受台を含む;その中で、回転スクリューが昇降用モータと繋ぎ、横方向で固定振れ止めの上に架設される;回転ギアは回転スクリューに設けられ、リードスクリューとネジ勘合される;リードスクリューが可動板と繋ぎ、可動板がリードスクリューとネジ勘合されるねじ山を有する;軸受台が可動板に設けられ、撹拌装置を接続するためのものであり、
前記熱放射防止装置はハウジングと、ハウジングの内側に位置する断熱層を含み、前記ハウジングが頂部と側壁を含み、底部が開口し、前記頂部は撹拌翼の軸が貫通できる穴を有し、前記側壁にはサンプルを添加および採取するための開口が設けられ、
前記軸受台が前記撹拌装置と昇降装置とが繋ぐように撹拌装置の出力軸よってに挿通され、
前記昇降装置は前記撹拌装置における撹拌翼の昇降を制御するためのものであり、前記昇降装置がモータ、動力伝達部品、可動板および軸受台を含み、前記撹拌装置がモータ、動力伝達部品および撹拌翼を含み、前記軸受台が可動板に設けられ、そして前記撹拌装置の動力伝達部品によって挿通され、可動板の昇降により撹拌装置の動力伝達部品が昇降させられるため、撹拌翼の昇降が実現される;前記撹拌翼の軸が前記熱放射防止装置の頂部を貫通し、撹拌装置の動力伝達部品と繋ぎ、
前記設備フレームの底部は前記熱放射防止装置と半田付けされることを特徴とする、溶銑撹拌脱硫熱間試験系。
【請求項2】
前記出力軸は耐熱非磁性ステンレス鋼材を使用することを特徴とする、請求項
1に記載の溶銑撹拌脱硫熱間試験系。
【請求項3】
前記撹拌装置は無段階速度調整方式を用い、その攪拌速度は50~1000回転/分であることを特徴とする、請求項
1に記載の溶銑撹拌脱硫熱間試験系。
【請求項4】
前記撹拌回転モータは周波数変換耐熱減速モータを使用し、速度精度の誤差は±2%であることを特徴とする、請求項
1に記載の溶銑撹拌脱硫熱間試験系。
【請求項5】
前記昇降装置は撹拌翼の挿入深さに対して無段階調整および設定を行うためのものであることを特徴とする、請求項
1に記載の溶銑撹拌脱硫熱間試験系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶銑脱硫予備処理技術に関し、具体的には、溶銑撹拌脱硫熱間試験系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より品質の良い鋼がどんどん求められることにつれて、特に高品質のパイプライン鋼、コンテナ鋼、耐酸性鋼などには、鋼におけるSの含有量が0.005%未満、ひいては0.001%未満であることが要求される。そのため、鉄鋼製錬においては、溶銑脱硫の予備処理工程の重要性が日々高まっている。溶銑の予備脱硫は、鋼の品質向上、鉄鋼生産プロセスの最適化、省エネなどに重要な役割を果たしており、鉄鋼冶金には欠かせないものに発展してきた。数多くの溶銑予備脱硫法の中でも、KR(神原炉)機械的攪拌法は、脱硫効果が良好で、飛び散りが少なく、脱硫後の転炉内における溶銑の再硫化が少ないなどの利点があるため、国内外の製鉄所で広く利用されており、経済的にも良好な結果を得ている。
【0003】
KR溶銑脱硫製造プロセスは、脱硫剤、溶銑の温度、溶銑の組成、溶銑のトップスラグ、取鍋の構造などの多くの要因に影響される。脱硫剤は、脱硫率や脱硫コストを決定する主な要因の一つであり、主に脱硫能力、コスト、資源、環境保全、混銑車の耐火物への侵食、脱硫スラグの性質や状態、および操作安全性などを合わせて考慮して脱硫剤を選択する。実際の生産には多種多様な溶銑脱硫剤が使われており、一般的に使用される溶銑脱硫剤は、単一脱硫剤と複合脱硫剤に分別される。単一脱硫剤は炭化カルシウムCaC2、ソーダNa2CO3、石灰CaOを含む一方、複合脱硫剤は主に2種もしくは2種以上の脱硫剤と融剤が一定の割合で構成したものであり、例えば、炭化カルシウムCaC2を主成分とする炭化カルシウム系脱硫剤、石灰系CaOを主成分とする石灰系脱硫剤、およびマグネシウム複合脱硫剤。脱硫反応は吸熱反応であり、熱力学的には高温が脱硫に有利である。温度が低すぎるとスラグの流動性が低下し、硫黄元素が溶銑からスラグに侵入するための速度論条件が悪化する。従って、安定した熱体制は、より良い脱硫効果を確保するのに役立つ。溶銑に硫黄の活量係数を増加させる元素が存在すれば、これにより硫黄のスラグへの移動が促進されるため、LSが増加する。C、Si、PはfSを高くすることができ、Mn、V、TiはfSを減らすことができる。溶銑には前者の元素の含有量が高いため、fSが4-6に達することができ、これが溶銑の予備脱硫にとって有利な条件である。しかし、例えばバナジウムやチタンを含む溶銑や高マンガン溶銑など、いくつかの特殊な溶銑については、後者の元素の含有量が高いほどfSが減り、溶銑脱硫の熱力学的条件に影響を与える。溶銑における酸素の活量も脱硫効果に影響を与える。Y.F.Zhaoは、溶銑の脱硫プロセスにおける酸素の役割を研究した。実験の結果、酸素活量が低い溶銑の方は脱硫に要する時間が短いこと、溶銑における酸素活量はSi-SiO2バランスで制御されていること、酸素活量が低下すると脱硫速度が速くなること、Al粉末などの脱酸素剤を少量添加することで脱硫が促進されることなどが明らかになった。溶銑を脱硫する前に、溶銑鍋のトップスラグは主に、高炉出銑時に溶銑が帯びる高炉スラグ、出鉄とい材、浸食により剥ぎ取られた取鍋のライナーと人為的に添加された断熱カバー剤で構成され、また、Fe、Mn、Si、V、Tiなどの溶銑における元素が出銑口から溶銑鍋に流れ込むプロセスもしくは溶銑装入・取鍋交換のプロセスにて空気に酸化されて形成した酸化物もある。脱硫後のトップスラグは、脱硫前のトップスラグと脱硫工程で形成されたスラグとの混合物からなり、脱硫前の溶銑が帯びるスラグの量や脱硫剤の種類および用量など、具体的な脱硫工程によって化学組成やスラグの量が異なる。L.K.ChiangとG.A.Ironsは、トップスラグが脱硫に及ぼす影響について調査した。実験は異なる初期条件のトップスラグとして、トップスラグなし、乾燥トップスラグ(CaOとSiO2との重量比が1:2で調製された混合スラグ)、液状トップスラグ、および粉末噴霧を行う前にアルミニウム(Al)を添加して予備脱酸素した後に液状トップスラグを加えるものの4種類を選択した。実験の結果、トップスラグなし、乾燥トップスラグが粉末噴霧脱硫したものについては、脱硫剤が一定の時間でスラグを溶かすことにより、トップスラグを形成し、脱硫生成物を吸収するため、吹き付き始めから30-50秒以内に、溶銑における硫黄には大きな変化はなく、すなわち、この期間は脱硫培養期間である。これに対し、液体トップスラグおよびAlで脱酸素した後に液体トップスラグを加える場合での粉末噴霧脱硫は、溶銑における硫黄がすばやく減り、培養してトップスラグを形成する必要がない。また、全脱硫量に対するトップスラグの脱硫量の割合を算出し、トップスラグの支配的な役割が脱硫生成物の吸収であることを明らかにした。取鍋内に設けられたバッフルプレートは、中央の渦の形成を抑制し、液面上昇の高さを減少させ、流体の水平方向の接線運動を変化させることができるので、KR溶銑の機械的混合における石灰の利用率を効果的に改善し、脱硫剤の中央凝集現象を減少させることができる。
【0004】
現在、溶銑の脱硫製造プロセス技術に関する国内外の研究には、工業試験法が広く利用されている。工業試験研究は、操作プロセスパラメータの脱硫効果への影響をより直接的に反映させることができるが、工業的な生産条件によって制限されるため、溶銑の脱硫率、脱硫効率、撹拌時間などに影響を与えるプロセス要素、例えば脱硫剤の種類、溶銑トップスラグの組成、溶銑の温度、溶銑の初期硫黄含有量、溶銑の初期酸素含有量の範囲を大幅に拡張することができない。また、壁バッフルなどが脱硫効率の向上への影響などの一部の溶銑脱硫効率を向上させる先端技術については、工業試験で研究するのが困難である。また、工業試験は、コストが高く、周期が長く、プロセス安定性の管理が難しいなどのデメリットがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、溶銑撹拌脱硫熱間試験系を提供することである。本発明により、溶銑撹拌脱硫に影響を与えるプロセス要素の研究範囲を大幅に拡大させることが可能になると同時に、溶銑脱硫效率を向上させる先端技術に対する研究を行うことができ、操作プロセスパラメータ及び溶銑とスラグ成分に対して精密なオンライン制御を行うことができ、且つ試験データのオンライン採取が可能になる。本発明には精密な試験、広い適応性、容易な操作、低コスト、短い周期および高度の自動化などの利点がある。
【0006】
具体的に、本発明は撹拌装置、昇降装置、設備フレーム、熱放射防止装置、炉口快速固定装置および非真空誘導炉を含む溶銑撹拌脱硫熱間試験系であって、前記撹拌装置が昇降装置に接続されて設備フレームに設けられ,設備フレームが熱放射防止装置の上に設けられ,熱放射防止装置が炉口快速固定装置により非真空誘導炉の上に設けられる溶銑撹拌脱硫熱間試験系を提供する。
【0007】
一つ又は複数の実施形態においては、前記昇降装置は前記撹拌装置における撹拌翼の昇降を制御するためのものであり、前記昇降装置がモータ、動力伝達部品、可動板および軸受台を含み、前記撹拌装置がモータ、動力伝達部品および撹拌翼を含み、前記軸受台が可動板に設けられ、且つ前記撹拌装置の動力伝達部品によって挿通され、可動板の昇降により動力伝達部品が昇降させられるため、撹拌翼の昇降が実現される;前記撹拌翼の軸が前記熱放射防止装置の頂部を貫通し、前記動力伝達部品と繋ぐ。
【0008】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記撹拌装置の動力伝達部品は同軸的にこの順に接続される主軸と出力軸を含む。好ましい実施形態においては、主軸は出力軸と嵌合接続され、出力軸のもう一方の端が撹拌翼の軸に接続され、撹拌翼の軸は熱放射防止主軸の頂部を貫通する。
【0009】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記撹拌装置は同軸的にこの順に接続される撹拌回転モータ、主軸、出力軸および撹拌翼を含み、出力軸が昇降装置と繋ぎ、撹拌翼の軸が熱放射防止装置の頂部を貫通し、出力軸に接続される。
【0010】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記昇降装置の動力伝達部品は回転スクリュー、回転ギアおよびリードスクリューを含み、その中で、回転ギアが回転スクリューに設けられ、且つリードスクリューとネジ勘合される。
【0011】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記昇降装置は昇降用モータ、固定振れ止め、回転スクリュー、回転ギア、リードスクリュー、可動板および軸受台を含み、昇降用モータが固定振れ止めによって横方向で設備フレームに固定され、回転スクリューが昇降用モータと繋ぎ、回転ギアが回転スクリューに設けられ、且つリードスクリューとネジ勘合され、リードスクリューが可動板と繋ぎ、軸受台が可動板に設けられ、且つ出力軸によって挿通される。
【0012】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記撹拌装置はその出力軸と昇降装置の可動板との間の接続により昇降装置に接続される。
【0013】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記熱放射防止装置はハウジングと、ハウジングの内側に位置する断熱層を含み、前記ハウジングが頂部と側壁を含み、底部が開口し、前記頂部は撹拌翼の軸が貫通できる穴を有し、前記側壁にはサンプルを添加および採取するための開口が設けられる。
【0014】
また、一つ又は複数の実施形態においては、前記軸受台は前記撹拌装置と昇降装置とが繋ぐように撹拌装置の出力軸によって挿通される。
【0015】
前記出力軸は耐熱非磁性ステンレス鋼材を使用する。
前記撹拌装置は無段階速度調整方式を用い、その攪拌速度は50~1000回転/分である。
【0016】
前記撹拌回転モータは周波数変換耐熱減速モータを使用し、速度精度の誤差は±2%である。
【0017】
前記昇降装置は撹拌翼挿入深さに対して無段階調整および設定を行うためのものである。
【0018】
本発明の技術方案により、溶銑撹拌脱硫に影響を与えるプロセス要素の研究範囲を大幅に拡大させることが可能になると同時に、溶銑脱硫效率を向上させる先端技術に対する研究を行うことができる。それに伴って、操作プロセスパラメータ及び溶銑とスラグ成分に対して精密なオンライン制御を行うことができ、且つ試験データのオンライン採取が可能になる。本発明には精密な試験、広い適応性、容易な操作、低価格、短い周期および高度の自動化などの利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる溶銑撹拌脱硫熱間試験系は撹拌装置、昇降装置、設備フレーム、熱放射防止装置、炉口快速固定装置および非真空誘導炉を含む。
【0020】
本発明の撹拌装置は撹拌に必要な構造および動力を提供するためのものであり、撹拌回転モータ、動力伝達部品および撹拌翼を含む。動力伝達部品はモータから生じる動力を撹拌翼に伝達するためのものである。本発明の複数の実施形態においては、動力伝達部品は同軸的にこの順に接続される主軸および出力軸を含む。撹拌回転モータは撹拌翼の回転に必要な動力を提供するためのものであり、適切な固定装置により昇降装置の固定振れ止めもしくは設備フレームに固定される。主軸は撹拌回転モータに接続され、撹拌回転モータにより回転させられる。主軸は出力軸と嵌合接続され、出力軸内に嵌め込まれてもよい。この設計によって撹拌翼の高さが調整でき、且つ出力軸が回転させられる。撹拌翼の軸は、例えば接続フランジを介して出力軸に脱着可能に接続されることによって、撹拌翼を回転させる。撹拌翼の軸は放射防止装置の頂部を貫通する。出力軸は耐熱非磁性ステンレス鋼材を使用してもよい。撹拌装置は無段階速度調整方式を使用してもよく、その攪拌速度は50~1000回転/分である。撹拌回転モータは周波数変換耐熱減速モータを使用してもよく、速度精度の誤差は±2%である。
【0021】
本発明の昇降装置は撹拌翼の昇降を制御するためのものであり、撹拌翼の挿入深さに対して無段階調整および設定を行うことができる。昇降装置は昇降用モータ、固定振れ止め、動力伝達部品、可動板および軸受台を含む。動力伝達部品はモータから生じる動力を可動板に伝達するためのものである。本発明の複数の実施形態においては、動力伝達部品は回転スクリュー、回転ギアおよびリードスクリューを含み、その中で、回転ギアが回転スクリューに設けられ、且つリードスクリューとネジ勘合される。昇降用モータは撹拌翼の昇降を制御するために必要な動力を提供する。回転スクリューは昇降用モータと繋ぎ、横方向で固定振れ止めの上に架設される。昇降用モータは回転スクリューによって固定振れ止めに固定されてもよく、および/または、昇降用モータ本体は設備フレームに設置される固定装置によって設備フレームの上に架設されてもよい。固定振れ止めは昇降装置全体を設備フレームに固定させるためのものである。固定振れ止めの構造に関しては、設備フレームに固定され、且つ少なくとも回転スクリューを架設する機能さえ実現できればよく、特に限定されない。回転ギアは回転スクリューに設けられ、且つリードスクリューとネジ勘合される。リードスクリューは少なくとも二本があり、通常は撹拌装置の主軸を枢軸として対称設置される。リードスクリューの一方の端は適切な接続装置によって回転ギアに接続され、もう一方の端は熱放射防止装置の頂部外壁まで伸ばし、頂部外壁とリードスクリュー端部とが接触するところに固定装置が設けられ、リードスクリューを固定させる。リードスクリューは可動板と繋ぐ;可動板にねじ山が設けられ、リードスクリューとネジ勘合される。軸受台は可動板に設けられ、且つ出力軸によって挿通される。稼動の際、昇降用モータが回転スクリューを回転させ、回転スクリューが回転ギアとリードスクリューを回転させ、リードスクリューの回転が可動板を昇降させ、可動板が出力軸を昇降させ、さらに撹拌翼を昇降させる。
【0022】
本発明の設備フレームは撹拌装置と昇降装置を架設するためのものである。設備フレームの構造に関しては、撹拌装置と昇降装置を架設する機能さえ実現できればよく、特に限定されない。設備フレームの底部は熱放射防止装置と半田付けされる。
【0023】
熱放射防止装置は主に熱放射防止機能を果たし、ハウジングと断熱層を含む。断熱層はハウジングの内側に位置し、断熱の機能を果たす。断熱層の材料に関しては特に制限がなく、当分野における常用な断熱材であればもれなく本発明に利用することができる。ハウジングは頂部と側壁を含み、底部が開口する。頂部には撹拌翼の軸が貫通できる穴が設けられている。側壁にはサンプル(例えば、溶銑トップスラグと脱硫剤)を添加および採取するための開口が設けられている。
【0024】
なお、熱放射防止装置の側壁の底部には非真空誘導炉に接続させるための炉口快速固定装置が設置されている。炉口快速固定装置は本発明の系の非真空誘導炉以外の部分を炉口に快速固定させるためのスナップフィットなどの構造を適用してもよい。
【0025】
非真空誘導炉は溶銑を溶かすためのものである。非真空誘導炉の製造に使用される材料が当分野で製鋼炉を製造するための常用の材料であってもよい。同様に、非真空誘導炉の形状および大小に関しても特に制限がない。
【0026】
通常、熱放射防止装置の炉口快速固定装置が非真空誘導炉と接続して固定したら、撹拌装置における主軸、出力軸および撹拌翼の枢軸と非真空誘導炉の中心が同軸になる。
【0027】
本発明において、同じ参照番号は常に同じ特徴を示し、その中で:
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の溶銑撹拌脱硫熱間試験系の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術方案は、図面および実施例と併せて以下にさらに説明される。
図1で示されるように、本発明にかかる溶銑撹拌脱硫熱間試験系は主に撹拌装置、昇降装置、設備フレーム、熱放射防止装置、炉口快速固定装置および非真空誘導炉を含み、その中で:
撹拌装置は上から下の順に接続される撹拌回転モータ1、主軸2、出力軸3、接続フランジ4および撹拌翼5を含み、撹拌回転モータ1が撹拌翼5を回転させるための動力を提供して主軸2を回転させ、主軸2が出力軸3と嵌合接続される設計により撹拌翼5の高さ調整を可能にし、さらに出力軸3を回転させ、出力軸3が接続フランジ4によって撹拌翼5の軸に接続され、撹拌翼5を回転させる。
【0030】
昇降装置は昇降用モータ6、固定振れ止め7、回転スクリュー8、回転ギア9、リードスクリュー10、可動板11および軸受台12を含む。昇降用モータ6は固定振れ止め7によって横方向で設備フレーム13に固定され、撹拌翼5を昇降させるための動力を提供し、当該昇降用モータの回転により回転スクリュー8が回転させられ、回転スクリュー8が回転ギア9とリードスクリュー10を回転させ、リードスクリュー10の回転により可動板11が昇降させられ、可動板11が出力軸3用の軸受台12に接続され、出力軸3を昇降させ、さらに撹拌翼5を昇降させる。
【0031】
熱放射防止装置はハウジング14と断熱層15を含み、主に熱放射防止機能を果たす。熱放射防止装置は設備フレーム13の底部と半田付けされ、そして炉口快速固定装置16によってその下に位置する非真空誘導炉17に接続される。炉口快速固定装置はスナップフィットなどの構造を適用することによって本発明の系(非真空誘導炉以外)を炉口に快速固定させることができる。
【0032】
本発明にかかる試験系での溶銑撹拌脱硫熱間試験の実施は、次のようなステップを含む:
1)非真空誘導炉を用いて所定成分の溶銑(例えば、C:5wt%、S:0.05wt%)を溶かす;
2)溶銑が溶かし所定温度(例えば、1400℃)まで至ったら、サンプルを採取して溶銑成分を分析し、そして所定成分の溶銑トップスラグ(例えば、CaO:50%、SiO2:40%、Al2O3:10%)を加える;
3)撹拌装置、昇降装置、設備フレームおよび熱放射防止装置を炉口快速固定装置によって非真空誘導炉に接続させる;
4)昇降装置により撹拌翼を溶銑の所定深さ(例えば、200mm)まで挿入する;
5)撹拌装置を作動し、撹拌翼を溶銑の中に回転させ、そして所定回転速度(例えば、500回転/分)まで速度を上げる;
6)所定成分の脱硫剤(例えば、CaO:90%、CaF2:10%)を手動で溶銑に入れる;
7)撹拌過程において、所定時間間隔(例えば、1min)でスラグサンプルと溶銑サンプルを連続採集し、スラグ成分の変化、溶銑成分の変化および脱硫効果を分析することができる;
8)所定の撹拌時間(例えば、20min)が終わったら、撹拌翼の回転を止め、それを溶銑表面まで上げる;
9)温度を測定し、サンプルを採取して分析を行い、熱間試験が終了する。
【0033】
当技術分野における通常の技術者は、上記の説明が本発明の多数の実施例における1つまたは複数の実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図しないことを認識すべきである。上記の実施例に対するいかなる均等の変更、変体、および均等の置換などの技術方案は、本発明の実質的な精神に準拠している限り、本発明の請求項の保護範囲に含まれる。