IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

<>
  • 特許-編集システム 図1
  • 特許-編集システム 図2
  • 特許-編集システム 図3
  • 特許-編集システム 図4
  • 特許-編集システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】編集システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20220418BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20220418BHJP
   H04N 21/231 20110101ALI20220418BHJP
   G11B 27/00 20060101ALI20220418BHJP
   G11B 27/02 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
H04N5/91
H04N5/92 010
H04N21/231
G11B27/00 D
G11B27/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021501694
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2020001297
(87)【国際公開番号】W WO2020170659
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019029434
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-033630(JP,A)
【文献】特開2009-164894(JP,A)
【文献】特開2009-094900(JP,A)
【文献】特開平11-146334(JP,A)
【文献】特開2008-153739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 - 5/956
H04N 21/00 - 21/858
G11B 27/00 - 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを提供し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が可能な編集システムであって、
コンテナフォーマットのファイルにおけるフッターの生成に必要なフッター用データを、前記映像データの他に格納する格納手段と、
前記映像データの収録が完了する前の特定タイミングにおいて、前記格納手段により格納された前記フッター用データを用いて、収録完了済みと見せかけるフッターを生成して前記映像データと関連付け、当該関連付けに対応した偽装ファイルを作成し、前記偽装ファイルは前記映像データの代わりに外部に参照可能とする偽装参照手段と、
前記偽装参照手段により参照可能となった前記偽装ファイルを外部に送信する再生編集送信手段とを備える
ことを特徴とする編集システム。
【請求項2】
前記特定タイミングは、前記偽装ファイルのファイル名を外部に公開し、前記偽装ファイルが参照された参照タイミング、又は前記偽装ファイルを送信する送信タイミングであり、
前記偽装参照手段は、前記特定タイミングの時点で格納されている前記映像データの終端のフレーム数を把握して、当該フレーム数までの前記フッターを生成することで、収録完了済みと見せかける
ことを特徴とする請求項1に記載の編集システム。
【請求項3】
前記偽装参照手段は、
前記偽装ファイルが参照される毎に、参照させるための偽装ファイルの連番を増やしていき、前記映像データの終端の前記フレーム数が異なる前記フッターを作成可能とする
ことを特徴とする請求項2に記載の編集システム。
【請求項4】
前記映像データのフレームのバイト長を固定値に設定し、
前記偽装参照手段は、
前記固定値に満たない前記フレームのデータはダミーデータで埋めることで、前記固定値のバイト長のフレームに偽装する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の編集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に放送局等で使用される、映像データを提供し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が可能な編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送局等において、映像データを編集用の素材として、素材用のビデオサーバー等に格納し、これをノンリニア編集し、放送用に送出するような編集システムが実用化されている。
【0003】
このような従来の編集システムとして、特許文献1を参照すると、編集用元素材と編集済素材との関係を抜き出した情報である元素材情報データを作成し、再び編集する場合には、編集済素材とプロジェクトデータと元素材情報データとを使用して編集する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-34218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、汎用のノンリニア編集機等の編集装置、送出用の再生装置等では、オフラインで収録完了したファイルしか使用できなかった。このため、これらの装置では、収録中の映像データを追いかけ再生や追いかけ編集で使用できず、特別に構成された、専用の装置が必要となっていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の問題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の編集システムは、映像データを提供し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が可能な編集システムであって、コンテナフォーマットのファイルにおけるフッターの生成に必要なフッター用データを、前記映像データの他に格納する格納手段と、前記映像データの収録が完了する前の特定タイミングにおいて、前記格納手段により格納された前記フッター用データを用いて、収録完了済みと見せかけるフッターを生成して前記映像データと関連付け、当該関連付けに対応した偽装ファイルを作成し、前記偽装ファイルは前記映像データの代わりに外部に参照可能とする偽装参照手段と、前記偽装参照手段により参照可能となった前記偽装ファイルを外部に送信する再生編集送信手段とを備えることを特徴とする。
本発明の編集システムは、前記特定タイミングは、前記偽装ファイルのファイル名を外部に公開し、前記偽装ファイルが参照された参照タイミング、又は前記偽装ファイルを送信する送信タイミングであり、前記偽装参照手段は、前記特定タイミングの時点で格納されている前記映像データの終端のフレーム数を把握して、当該フレーム数までの前記フッターを生成することで、収録完了済みと見せかけることを特徴とする。
本発明の編集システムは、前記偽装参照手段は、前記偽装ファイルが参照される毎に、参照させるための偽装ファイルの連番を増やしていき、前記映像データの終端の前記フレーム数が異なる前記フッターを作成可能とすることを特徴とする。
本発明の編集システムは、前記映像データのフレームのバイト長を固定値に設定し、前記偽装参照手段は、前記固定値に満たない前記フレームのデータはダミーデータで埋めることで、前記固定値のバイト長のフレームに偽装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテナフォーマットのファイルにおけるフッターの生成に必要なフッター用データを、映像データの他に格納し、収録が完了する前の特定タイミングにおいて、フッター用データを用いて、収録完了済みと見せかけるフッターを生成して映像データと関連付け、当該関連付けに対応した偽装ファイルを映像データの代わりに参照させることで、収録中の映像データについて、汎用の編集装置又は再生装置にて、追いかけ再生又は追いかけ編集を行わせることが可能な編集システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る編集システムXの概略構成を示すシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る収録中映像提供処理の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態に係る偽装参照処理による偽装ファイルの参照を示す概念図である。
図4】本発明の実施の形態に係る偽装参照処理におけるフレーム数の異なる偽装ファイルの例を示す概念図である。
図5】従来のビデオサーバーシステムを示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔編集システムXの制御構成〕
以下で、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
編集システムXは、放送局等で使用される、映像データ200を提供し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が可能な編集システム(ビデオサーバーシステム)である。編集システムXは、映像データ200の収録が完了する前でも収録完了済みと偽装した偽装ファイル220を再生装置3又は編集装置4に提供し、収録中の追いかけ再生機能又は追いかけ編集を可能とする。
【0011】
図1によると、編集システムXは、蓄積サーバー1と、収録装置2と、再生装置3と、編集装置4とが、ネットワーク5で接続されて構成されている。
【0012】
蓄積サーバー1は、映像データ200を蓄積し、他装置へ送信するサーバー等の装置である。本実施形態において、蓄積サーバー1は、収録装置2で収録された収録素材(素材映像)の映像データ200等を格納する素材映像サーバーとして機能する。これに加えて、蓄積サーバー1は、マルチプレクサ(Multiplexer、MUX)による多重化の機能を含む。具体的には、蓄積サーバー1は、映像データ200そのものを提供(送信)せず、後述する偽装ファイル220として参照、送信させる。
【0013】
収録装置2は、画像データや音声データ等を収録して、これらを画像や音声のエンコーダーを用いて、撮像された各種コーデックに符号化(変換)する装置である。
本実施形態において、収録装置2は、例えば、後述する撮像部20で撮像された非圧縮の画像データを収録して符号化する。また、収録装置2は、専用回線やネットワーク5を介して、他局等にあるサーバー、VTR、その他の機器から画像データを収録してもよいし、MXF(Media eXchange Format)等のファイルで取り込むことで収録してもよい。エンコーダーでの符号化に用いる映像符号化方式(コーデック)は、例えば、MPEG2、H.264、H.265等を用いることが可能であるが、これに限られない。符号化されたデータについて、収録装置2は、映像データ200として、蓄積サーバー1や再生装置3へ送信することが可能である。
【0014】
再生装置3は、いわゆる汎用の放送局用の送出サーバー等を含む送出設備の装置である。再生装置3は、蓄積サーバー1に記録されている素材映像や蓄積サーバー1に記録された放送映像を放送出力(オンエア)する。加えて、再生装置3は、放送映像を、試写のために再生することも可能である。
【0015】
編集装置4は、いわゆる汎用のノンリニア編集機である。編集装置4は、レンダリング編集、カット編集等の編集処理を行う。このうち、レンダリング編集は、蓄積サーバー1に格納された映像データ200を、実際にレンダリングしつつ編集する処理である。カット編集は、レンダリングを行わないでクリップ化する処理である。
【0016】
本実施形態において、編集装置4は、図示しない表示部、キーボード、ポインティングデバイス、操作器等を備えている。さらに、編集装置4は、実際にこの編集作業を行うコンピュータである編集制御手段(編集手段)と、映像データ200や編集のタイムライン等を表示させる表示部(ディスプレイ)と、編集の指示を入力するための操作パネル(操作手段)等を備えている。
【0017】
編集装置4は、蓄積サーバー1に対して映像データ200を参照することで、後述する偽装ファイル220を読み込み、この画像をレンダリングして表示部でユーザに確認させる。この上で、編集装置4は、ユーザに操作パネルを操作させ、編集処理の対象となる部分を指定させて、カット編集やレンダリング編集等を実行する。そして、編集装置4は、編集後の映像データ200やクリップ化のための編集情報を、蓄積サーバー1に送信して格納させる。
【0018】
これらの編集処理において用いる編集情報は、例えば、処理対象となる部分の映像フレーム位置、映像上の座標、音声サンプルの位置の範囲、処理の内容等を含む。上述の編集処理の種類は、処理対象が映像の場合には、各種画像効果、クリップ間の接続とその効果、輝度や色の調整処理、フェードイン、フェードアウト、音量調整等を含む。
【0019】
ネットワーク5は、各装置を結ぶLAN(Local Area Network)、光ファイバー網、c.link、無線LAN(WiFi)、携帯電話網等の各装置を相互に接続して通信を行う通信手段である。ネットワーク5は、専用線、イントラネット、インターネット等を用いてもよく、これらが混在しても、VPN(Virtual Private Network)を構成していてもよい。さらに、ネットワーク5は、TCP/IPやUDP等のIPネットワークを用いて、各種プロトコルで接続されてもよい。
【0020】
より具体的に説明すると、蓄積サーバー1は、ハードウェア資源の一部として、制御部10及び記憶部11を備えている。
【0021】
制御部10は、後述する機能部を実現し、本実施形態の収録中映像提供処理の各処理を実行する情報処理手段である。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Uni t、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Proce ssor、特定用途向けプロセッサー)等で構成される。
【0022】
記憶部11は、一時的でない記録媒体である。記憶部11は、例えば、SSD(Solid State Disk)、HDD(Hard Disk Drive)、磁気カートリッジ、テープドライブ、光ディスクアレイ等のビデオストレージとして構成される。
このビデオストレージには、例えば、素材映像のファイルである映像データ200、完成した番組等の放送映像等が格納される。蓄積サーバー1に格納されたファイルは、番組の放送スケジュールに沿って再生装置3に転送されたり、編集装置4による番組編集処理に用いられたりする。これらのデータの詳細については後述する。
加えて、記憶部11は、一般的なROM(Read Only Memory)、RAM(Random Acces s Memory)等も含んでいる。これらには、制御部10が実行する処理のプログラム、データベース、一時データ、その他の各種ファイル等が格納される。
【0023】
収録装置2は、撮像部20(撮像手段)を備えている。
【0024】
撮像部20は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal O xide Semiconductor)素子等を用いたカメラ等の撮像装置である。撮像部20は、収録装置2に内蔵しても、接続された外付けのカメラであってもよい。
撮像部20は、撮像された画像をデジタル変換し、例えば、HD-SDI規格の画像データとして、収録装置2へ送信する。この際、撮像部20に装着され、又は、外設されたマイクロフォン等からの音声データも、ほぼ同時に収録装置2へ送信してもよい。または、これらの画像データや音声データは、ミキサーや各種機材を介して、収録装置2へ送信することも可能である。
【0025】
次に、蓄積サーバー1の機能構成及びデータの詳細について説明する。
制御部10は、格納手段100、偽装参照手段110、及び再生編集送信手段120を備える。
記憶部11は、映像データ200及びフッター用データ210を格納する。
【0026】
格納手段100は、収録装置2から、映像データ200を取得して、記憶部11に格納する。この他に、格納手段100は、収録装置2から、フッター用データ210を取得し、映像データ200の他に、記憶部11に格納する。
【0027】
偽装参照手段110は、フッターを生成して映像データ200と関連付け、当該関連付けに対応した偽装ファイル220を映像データ200の代わりに参照させる。このフッターは、映像データ200の収録が完了する前の特定タイミングにおいて、格納手段100により格納されたフッター用データ210を用いて、収録完了済みと見せかけるための偽装されたフッターである。
具体的には、偽装参照手段110は、特定タイミングの時点で格納されている映像データ200の終端のフレーム数を把握して、当該フレーム数までのフッターを生成することで、収録完了済みと見せかける。すなわち、偽装参照手段110は、再生装置3、編集装置4と蓄積サーバー1間の通信を媒介する。ここで、フレーム数を把握するための特定タイミングとしては、偽装ファイル220のファイル名を外部に公開し、偽装ファイル220が参照された参照タイミング、又は、偽装ファイル220を送信する送信タイミングを用いてもよい。
さらに、偽装参照手段110は、偽装ファイル220が参照される毎に、参照させるための偽装ファイル220のファイル名の連番を増やしていくことで、映像データ200の終端のフレーム数が異なるフッターを作成可能である。
【0028】
再生編集送信手段120は、偽装参照手段110により参照させた偽装ファイル220をコンテナフォーマットのファイルとして送信し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集を行わせる。
【0029】
映像データ200は、蓄積サーバー1に格納される映像(画像)及び/又は音声データである。本実施形態では、映像データ200は、例えば、音声データ等と多重化されたMXF形式のファイルを用いる。MXFは、いわゆる業務用映像ファイルを格納するコンテナフォーマットのファイルの一種である。具体的には、MXFは、カムコーダ、録画再生機、ノンリニア編集機、送出設備等の放送用装置機材に利用されており、映像や音声等の様々なフォーマットのデータを、メタデータとともにラッピングすることができる。このメタデータは、例えば、フレームレート、フレームサイズ、作成日、撮像部20の撮影者、素材映像の各種情報を含めることができる。この各種情報としては、例えば、タイトルや内容、再生時間、シーンの情報、映像中の人物等を含む物体の情報等を用いることが可能である。
【0030】
ここで、本実施形態において、収録装置2からの収録が継続している収録中においては、映像データ200は、映像ストリームとして、書き込み中(排他書き込み)であり、読み取り専用等の属性が設定される。加えて、映像データ200の末尾には、フッターがないことがある。すなわち、本実施形態では、収録中の映像データ200は、MXF形式として完成していない状態となる。この状態の映像データ200は、汎用の再生装置3や編集装置4によって、そのまま読み出されても、追いかけ編集や追いかけ再生ができないことがある。
【0031】
フッター用データ210は、コンテナフォーマットのファイルのフッター等を構成するためのデータである。本実施形態では、フッター用データ210は、例えば、MXF形式のファイルのフッターパーティションにおけるファイルフッターを構成するのに必要なデータである。このデータとしては、例えば、映像データ200の記録フォーマット、現時点でのフレーム数やバイト位置等のデータを含む。加えて、フッター用データ210は、映像データ200の内容を解析せずにフッターを作成するための他のデータを含んでいてもよい。フッター用データ210のフォーマット(形式)は、独自形式であっても、データベース形式であっても、テキストファイルであっても、MXFのフッターに容易に変換可能なバイナリー形式であっても、その他の形式であってもよい。
【0032】
ここで、上述の各機能部は、記憶部11に記憶された制御プログラム等が制御部10で実行されることにより実現される。
なお、これらの各機能部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により、回路的に構成されてもよい。
【0033】
〔編集システムXの収録中映像提供処理〕
次に、図2図4を参照して、本発明の実施の形態に係る編集システムXを用いた収録中映像提供処理についてより詳しく説明する。
本実施形態の収録中映像提供処理においては、収録装置2から、映像データ200を送信する。送信された映像データ200は、蓄積サーバー1に格納される。蓄積サーバー1は、この映像データ200が再生装置3又は編集装置4で参照された際等に、収録(完成)済みに偽装された偽装ファイル220を生成、送信する。これにより、再生装置3又は編集装置4で、追いかけ再生又は追いかけ編集が可能となる。
以下で、この編集システムXによる収録中映像提供処理について、図2のフローチャートを用いて、更に詳しく説明する。
【0034】
まず、ステップS101において、格納手段100が、映像データ格納処理を行う。
格納手段100は、収録装置2から、素材データとして映像データ200を取得する。具体的には、収録装置2から送信された、収録中の多重化された映像ストリームを取得し、映像データ200として、記憶部11へ格納する。
【0035】
図3では、映像データ200として、映像ファイル名「sample01.mxf」のファイルが、記憶部11に格納される例を示している。
この例では、「sample01」は、上述の映像データ200の名称を示す。この名称は、収録装置2の設定等により決定されるため、任意である。
一方、拡張子の「.mxf」は、コンテナフォーマットがMXF形式であることを示す。この拡張子は、本実施形態の再生装置3又は編集装置4で参照、編集、又は再生等により扱えることを示すものであればよい。
【0036】
ここで、格納手段100は、映像データ200について、読み取り専用(書き込み中)等の属性に設定しないようにする。これは、読み取り専用に設定されると、他の装置では参照できなくなるからである。または、格納手段100は、読み取り専用等の属性を無効化してもよい。これにより、収録中であっても、従来のような専用再生装置63(図6)や専用編集装置64では、映像データ200を参照可能となる。すなわち、従来のような専用再生装置63や専用編集装置64で、映像データ200そのものが直接、参照された場合は、追いかけ編集や追いかけ再生を行うことが可能である。
【0037】
次に、ステップS102において、格納手段100が、フッター用データ格納処理を行う。
格納手段100は、収録装置2から、映像データ200に対するフッター用データ210を要求して取得し、記憶部11に格納する。
具体的には、収録装置2のエンコーダーからは、フレーム数やバイト位置(バイト長)等の情報も出力されている。収録装置2は、収録を開始したときから、収録完了時に、映像データ200の終端にフッターを書き込むために、これらの情報を保持している。収録装置2は、これらのフッターを構成するために必要なデータを、蓄積サーバー1へ送信する。
格納手段100は、このフッターを構成するために必要なデータを収録装置2から取得して、MXF等のコンテナフォーマットのファイルにおけるフッターの生成に必要なデータとして、映像ファイルと関連付けて記憶部11に格納する。これにより、収録途中であっても、破綻ないMXF形式等のファイルとして多重化可能となる。
【0038】
図3では、映像データ200と関連付けられたフッター用データ210として、「sample01.footer」が格納される例を示している。このフッター用データ210の名称も、映像データ200と対応づければ、任意である。
【0039】
次に、ステップS103において、偽装参照手段110が、偽装参照処理を行う。
偽装参照手段110は、映像データ200の収録が完了する前の特定タイミングにおいて、格納手段100により格納されたフッター用データ210を用いて、収録完了済みと見せかけるフッターを生成して映像データ200と関連付ける。この上で、偽装参照手段110は、当該関連付けに対応した偽装ファイル220を、外部から参照させる。これにより、汎用の再生装置3及び編集装置4にて、汎用のプロトコルで、収録済みに偽装された映像データ200を、偽装ファイル220として取得することが可能となる。
【0040】
具体的に、偽装参照手段110は、偽装ファイル200のファイル名として、例えば、「映像ファイル名_(連番).mxf」のような、連番のファイル名を外部に公開する。この連番としては、映像データ200の映像ファイル名に「_0001」等の数値を付加することが可能である。この連番は、例えば、上述の例のような十進数の数桁の数、十六進数の数桁の数(0~9、A~F)の数値を用いてもよいものの、桁数や連番の表現方法は、任意である。すなわち、16進数の「0x」をつけた連番である「映像ファイル名_0x000A.mxf」「映像ファイル名_0x000B.mxf」のようなファイル名を用いることも可能である。さらに、これらのファイル名は、映像データ200との関連付けができれば、例えば、ランダムな文字列を持つファイル名でもよく、連番でなくてもよく、映像ファイル名を含まなくてもよい。
【0041】
図3は、蓄積サーバー1に格納される実体である映像データ200と、編集装置4及び再生装置3から参照される偽装ファイル220との関係を示す。
本実施形態においては、蓄積サーバー1は、映像データ200のファイル一つにつき、映像データ200そのもののファイル名と、収録完了済みに偽装された偽装ファイル220のファイル名とを含む、少なくとも二種類以上のファイル名を外部に公開しているように見せる。
図3の例では、例えば、映像データ200として、実体の「sample01.mxf」と、偽装ファイル220として「sample01_0001.mxf」とが公開される。
【0042】
この上で、偽装参照手段110は、再生装置3又は編集装置4から偽装ファイル220が参照された場合、このタイミングを、「特定タイミング」と設定する。すなわち、上述の例では、「映像ファイル名_(連番).mxf」のようなファイル名が参照されたタイミングである。
そして、偽装参照手段110は、特定タイミングを収録完了タイミングとした、偽装ファイル220用のフッターのデータを作成する。上述の例では、偽装参照手段110は、「映像ファイル名_(連番).mxf」用のフッターを作成する。この際、偽装参照手段110は、その時点で保管されている映像データ200の終端のフレーム数を把握し、フッター用データ210に基づいたフッターを作成する。そして、偽装参照手段110は、作成したフッターを映像データ200と関連付ける。これにより、偽装参照手段110により作成されたフッターのデータを含めた、完成済みの形式の偽装ファイル220を送信可能となる。
【0043】
図4の具体例により説明すると、偽装参照手段110は、再生装置3及び/又は編集装置4から「sample01_0001.mxf」の参照を受けた特定タイミングで、フッターを作成し、「sample01_0001.mxf」に関連付ける。
この例では、偽装参照手段110は、映像データ200の先頭からXフレームを、特定タイミングと設定する。すなわち、偽装参照手段110は、映像データ200である「sample01.mxf」自体の収録が続いているものの、Xフレーム(尺長)までのデータが記録されていることを確認する。この際、偽装参照手段110は、例えば、「sample01.mxf」のバイト位置YまでがXフレームであることを、フッター用データ210から認識することが可能である。
【0044】
これにより、偽装参照手段110は、フッター用データ210に基づいて、Xフレームまでの映像データ200用のフッターを作成する。ここで、偽装参照手段110は、例えば、フッター用データ210を、そのままコピー等することで(無加工で)フッターにするように構成することが、処理対応時間の関係等から好適である。しかしながら、偽装参照手段110は、フッターの記述内容に対応して、映像データ200及び/又はフッター用データ210を、適宜、解析又は加工してフッターを作成してもよい。また、偽装参照手段110は、既に格納されたフッター用データ210だけでフッターを作成するのが難しい場合、収録装置2から、その都度、フッター用データ210を取得してもよい。
【0045】
これらの偽装によって、蓄積サーバー1は、「sample01_0001.mxf」として、Xフレーム(バイト位置Y)までのフッターを含む映像データ200の偽装ファイル220を応答可能である。
このため、後述する再生編集送信処理により、「sample01_0001.mxf」は、Xフレームまで収録して収録を完了した映像データ200のように偽装されて、再生装置3及び/又は編集装置4で取得できる。このため、追いかけ再生又は追いかけ編集の際に、破綻やエラーを生じさせずに使用可能となる。
【0046】
さらに、偽装参照手段110は、偽装ファイル220が参照される毎に、参照させるための偽装ファイル220の連番を増やしていき、映像データ200の終端のフレーム数が異なるフッターを作成することが可能である。すなわち、偽装参照手段110は、参照を受けるごとに、より長いフレーム数(尺長)で映像データ200を偽装したフッターを作成して、連番を増やしていく。これは、映像データ200が異なるタイミングで参照されることに備えるためである。
具体的に、上述の例でいうと、偽装参照手段110は、「映像ファイル名_(連番).mxf」のフッターが生成される時点で、「映像ファイル名_(連番+1).mxf」のファイル名を追加で公開する。さらに、偽装参照手段110は、「映像ファイル名_(連番+1).mxf」が参照された場合、「映像ファイル名_(連番).mxf」とは異なるフレーム数(バイト位置)のフッターを作成する。この上で、偽装参照手段110は、「映像ファイル名_(連番+2).mxf」のファイル名を追加で公開する。
【0047】
図4の例では、偽装参照手段110は、「sample01_0001.mxf」の参照を受けた時点で同時に「sample01_0002.mxf」を追加して外部に公開する。すなわち、「sample01_0002.mxf」は、Xフレームとは、異なるタイミングで参照される。ここで、「sample01_0002.mxf」を参照された場合、そのタイミングがZフレームであった場合、そのZフレーム(バイト位置W)のフッターが作成され、同様の処理を行われる。つまり、参照タイミングにより、偽装ファイル220のフレーム数(バイト位置、尺長)が異なる。同様に、収録が完了するまで、参照を受けるごとに、より長いフレーム数の映像データ200を偽装したフッターが作成され、連番が増えていく。
【0048】
次に、ステップS104において、再生編集送信手段120が、再生編集送信処理を行う。
再生編集送信手段120は、参照された偽装ファイル220を、コンテナフォーマットのファイルとして送信する。すなわち、再生編集送信手段120は、編集装置4又は再生装置3に送信するときは、偽装参照手段110により作成されたフッターのデータを含めた、完成済みの形式の偽装ファイル220を送信する。このため、データを送信する際には、収録(完成)済みとして成立したように見せかけた偽装ファイル220を提供することが可能である。すなわち、再生編集送信手段120は、「映像ファイル名_(連番).mxf」を再生装置3又は編集装置4に送信する際に、完成済みのコンテナフォーマットのファイルとして「終端フレーム数の映像」+「フッター」を送信する。
これにより、再生装置3及び/又は編集装置4は、参照された特定タイミングで収録完了したようにみえる映像データ200を取得することが可能となる。すなわち、編集装置4又は再生装置3では完成済みファイルとして取り扱うことが可能となる。結果として、再生装置3は、収録中であっても追いかけ再生を行うことが可能となる。または、編集装置4は、収録中であっても追いかけ編集を行うことが可能となる。
【0049】
図4の例では、映像データ200にXフレームまで格納された場合に、「sample01_0001.mxf」が参照されると、映像データ200のXフレーム(バイト位置Y)を終端とする偽装ファイル220-1が送信される。「sample01_0002.mxf」の場合は、映像データ200のZフレーム(バイト位置W)までを終端とする偽装ファイル220-2が送信される。
【0050】
より具体的に説明すると、図4に示すような「sample01_0001.mxf」そのものは固定のフレーム数のファイルとして送信される。そのため、Xフレームよりも後ろの映像を使用したい場合、適切な運用を行う必要がある。
たとえば、編集用途の場合、適宜、「sample01_0002.mxf」等、後続フレームを含む、その後の連番の偽装ファイル220を参照する必要がある。しかしながら、その後の連番の偽装ファイル220でも、Xフレームまでは「sample01_0001.mxf」と同じ内容となる。このため、「sample01_0001.mxf」を取得することで、Xフレームまでの位置については、先行して編集が可能となる。
【0051】
さらに、再生装置3による再生用途の場合、再生編集送信手段120は、例えば、「sample01_0001.mxf」の終端まで再生したタイミングで、「sample01_0002.mxf」等の後続フレームを含む偽装ファイル220を参照し、バック・トゥ・バックで連続再生するように、再生装置3に指示してもよい。すなわち、再生編集送信手段120は、映像の連続性を維持する必要がある場合、フレーム精度の切り換え制御を行ってもよい。この切替時には音声がフェードイン、フェードアウトされることがあるため、再生編集送信手段120は、切替タイミングでこれをしないように、再生装置3に指示したり、音声レベルを調整したりしてもよい。
さらに、編集装置4により、「sample01_0001.mxf」と「sample01_0002.mxf」とが連結編集される場合も、連結点の音声がフェードイン、フェードアウトされることがある。このため、再生編集送信手段120は、これに合わせて、音声レベルを調整してもよい。
さらに、再生編集送信手段120は、追いかけ再生又は追いかけ編集時に、切り換えの際、映像はディゾルブ効果、音声はクロスフェード効果等を用いることで、不連続性に伴う違和感を緩和するようにしてもよい。
【0052】
なお、偽装参照手段110は、再生装置3及び/又は編集装置4から「sample01.mxf」の参照を受けた場合は、収録中のファイルである「sample01.mxf」の内容を、そのまま応答する。このとき、汎用の再生装置3及び/又は編集装置4では、エラーになる可能性がある。
このため、別途、専用再生装置63(図5)や専用編集装置64を接続し、映像データ200を解析、使用してもよい。あるいは、フッターを扱わない、フッターを特に意識しない、又は、フッターを処理に利用しない再生装置3及び/又は編集装置4の場合、フッターのない「映像ファイル名.mxf」を参照させることも可能である。この場合、「映像ファイル名.mxf」は、常にデータが追記されていくため、このファイルの追いかけ再生を実現することができる。
以上により、収録中映像提供処理を終了する。
【0053】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
放送局等で用いられるビデオサーバーシステム(編集システム)で求められる機能のひとつに、追いかけ再生機能、追いかけ編集機能がある。これは収録装置2で収録中の映像データ200を各装置で取得し、収録が完了する前に再生や編集を行う機能である。
【0054】
図5に、この従来の編集システムPの構成の一例を示す。図5において、図1と同様の構成には、同じ符号を示している。編集システムPは、専用の装置のみを対象としたビデオサーバーシステムとして提供される。
この例の場合、素材サーバー6は、単純な、高速ストレージとして提供される。さらに、この素材サーバー6に、専用再生装置63と、専用編集装置64とが接続され、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が行われていた。すなわち、追いかけ再生、追いかけ編集の実装には専用の装置が必要であった。
これは、収録中、作成中の素材データ(映像データ200)を追いかけで使用したい場合に、汎用の編集機やデコーダ等、オフラインで完成済みのファイルの使用が想定されている装置では対応できなかったためである。すなわち、汎用の編集機やデコーダの装置は、その多くが収録を完了した完成済みの映像データ200を対象としているため、収録中の映像データ200を正常に認識できない等の理由で、対応が難しかった。
【0055】
一方、編集システムPの仕様に対応しない汎用の編集装置4や再生装置3を接続するためには、専用の共有ストレージである専用交換サーバー7が必要であった。これは、汎用の再生装置3及び/又は編集装置4では、収録の完了を待つ必要がある、又は、素材サーバー6にアクセスすることすらできないためである。
この場合、専用交換サーバー7に、収録後の映像データ200のみを送信し、この収録後(完成済み、収録済み)の映像データ200を、汎用の編集装置4や再生装置3により参照させていた。すなわち、汎用の編集装置4や再生装置3では、追いかけ編集や追いかけ再生ができないため、運用のボトルネックになっていた。
さらに、専用交換サーバー7に転送した上で使用することになるため、この設定等の手間が発生し、再生装置3及び/又は編集装置4の追加等が難しかった。
【0056】
このような状態に鑑みて、本発明者が鋭意検討したところ、汎用の編集機やデコーダで収録中の映像データ200を正常に認識できず、編集や再生に対応できない主な理由は、送信のプロトコルの規定ではなく、映像データ200が書き込み中である、又は、映像データ200の末尾にフッターがないことが主な原因となっていた。映像データ200のフッターには、映像フレームのバイト長等が記載されることがあるので、これがないと、フォーマットとして完成しなくなるためである。このため、本発明者は、これらの原因を解消するため、鋭意実験と開発を行って、本発明を完成させるに至った。
【0057】
本発明の実施の形態に係る編集システムXは、映像データ200を提供し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集が可能な編集システムであって、コンテナフォーマットのファイルにおけるフッターの生成に必要なフッター用データ210を、映像データ200の他に格納する格納手段100と、映像データ200の収録が完了する前の特定タイミングにおいて、格納手段100により格納されたフッター用データ210を用いて、収録完了済みと見せかけるフッターを生成して映像データ200と関連付け、当該関連付けに対応した偽装ファイル220を映像データ200の代わりに参照させる偽装参照手段110と、偽装参照手段110により参照させた偽装ファイル220をコンテナフォーマットのファイルとして送信し、収録中の追いかけ再生又は追いかけ編集を行わせる再生編集送信手段120とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、収録が完了する前でも収録完了済みとして、再生装置3及び/又は編集装置4に映像データ200を提供することが可能となる。結果として、専用装置を用いなくても、汎用装置で直接、追いかけ編集や追いかけ再生を行うことができる。よって、コストを削減し、運用上のボトルネックを解消し、設定等の手間も減らすことができる。さらに、再生装置3及び/又は編集装置4を容易に交換したり、追加したりすることも可能となる。
【0058】
本発明の実施の形態に係る編集システムXは、特定タイミングは、偽装ファイル220のファイル名を外部に公開し、偽装ファイル220が参照された参照タイミングであり、偽装参照手段110は、特定タイミングの時点で格納されている映像データ200の終端のフレーム数を把握して、当該フレーム数までのフッターを生成することで、収録完了済みと見せかけることを特徴とする。
このように構成することで、途中まで収録された映像データ200について、参照された時点のフレーム数までの映像データ200を、汎用の再生装置3又は編集装置4で取得し、追いかけ再生又は追いかけ編集することが可能となる。
【0059】
本発明の実施の形態に係る編集システムXは、偽装参照手段110は、偽装ファイル220が参照される毎に、参照させるための偽装ファイル220の連番を増やしていき、映像データ200の終端のフレーム数が異なるフッターを作成可能とすることを特徴とする。
このように構成することで、異なるタイミングで映像データ200が参照されても、同じ連番の偽装ファイル220については同じフレーム数で取得させることが可能となる。このため、再生や編集における、フレーム数の整合性をとることができ、エラー等の発生を防ぐことができる。
さらに、参照タイミングでフッターを作成することで、連番の順に、フレーム数の多い偽装ファイル220を作成することができ、再生装置3や編集装置4でタイムライン等の構築の際に、分かりやすくなるという効果も得られる。
【0060】
なお、上述の実施の形態では、特定タイミングが、偽装ファイル220が参照された参照タイミングである例について説明した。
しかしながら、特定タイミングは、再生編集送信処理で送信を行う際の送信タイミングであってもよい。この場合、偽装参照手段110又は再生編集送信手段120が、送信時に、映像データ200のフッターを、フッター用データ210から作成することが可能である。
このように構成することで、単に参照される際ではなく、実際に最初に送信される際のフレーム数で偽装ファイル220を送信させることができ、よりフレーム数の多い偽装ファイル220を送信可能となる。
さらにいうと、特定タイミングは、偽装ファイル220のファイル名を外部に公開した際の公開タイミングであってもよい。
【0061】
上述の実施形態では、コンテナフォーマットのファイルとして、MXFを用いる例について記載した。
しかしながら、MXF以外のコンテナフォーマット、例えば、MKV等を用いることも可能である。さらに、映像データ200の記録形式や記録フォーマットは、システム要件に応じて、MP4、AVI、その他のプログラムストリーム(PS)形式、その他のトランスポートストリーム形式(TS)等でもよい。さらに、映像データ200は、各種コーデックで圧縮されていてもよい。
【0062】
上述の実施形態では、フッター用データ210の基になるデータとして、バイト長等のフッター構成に必要な情報を、収録装置2から送信する例について説明した。
しかしながら、蓄積サーバー1上で、映像データ200のバイト長等の解析を実行し、フッター構成に必要な情報を取得して、フッター用データ210を生成してもよい。
【0063】
上述の実施形態では、偽装ファイル220として、映像データ200の最初のフレームを含み、フレーム数が異なる連番のファイル名を公開するように記載した。
しかしながら、連番を増やした偽装ファイル220では、その前の連番の偽装ファイル220との差分のフレームのデータのみ含むようにしてもよい。この場合、連番のファイルに、新たなヘッダーを作成して含めてもよい。
あるいは、後続のフレームとして、偽装参照手段110にて、差分データの偽装ファイル220を別途、提供してもよい。上述の例では、例えば、「sample01_0001-0002.mxf」といった偽装ファイル220を提供可能である。この場合、「sample01_0001.mxf」の参照を受けたタイミングで、「sample01_0002.mxf」と「sample01_0001-0002.mxf」とが外部に公開される。そして、どちらかが参照を受けたZフレームの時点が、「sample01_0002.mxf」の終端フレームとなる。このとき、「sample01_0001-0002.mxf」はX+1フレームからZフレームまでの映像データ200となり、偽装参照手段110が映像データ200の切り出し位置を認識して、「sample01_0001-0002.mxf」のヘッダーやフッターを作成することが可能である。この際、フレームの終端のみを設定する場合と異なり、ヘッダーの作成や映像データ200の先頭バイト位置も考慮して、差分データを提供することが可能である。さらに、この場合も、ヘッダー作成や切り出しに必要な情報を、収録装置2から取得してもよい。
【0064】
上述の実施形態では、フレームのバイト長については、フレーム数に対応するような例について説明した。
しかしながら、映像データ200のフレームのバイト長を固定値に設定することも可能である。この固定値は、例えば、尺長(フレーム数)が規格上最大値となる場合におけるバイト長の値、又は、予め定められた値であることを、収録完了前に設定することが可能である。
このように構成することで、フレームのバイト長として最大値を示せる場合、あるいは映像フレームのバイト長を予め定めておく場合、再生装置3及び/又は編集装置4としては後続フレームでもバイト長が確定しているため、参照が可能となる。
【0065】
さらに、この場合、偽装参照手段110は、固定値に満たないフレームのデータはダミーデータで埋める(パディングする)ことで、固定値のバイト長のフレームに偽装してもよい。
これにより、映像データ200のフレーム数が最大値である場合、再生装置3は最大値まで再生を継続することができる。さらに、固定長の映像データ200を必要とするような再生装置3や編集装置4においても、追いかけ再生や追いかけ編集でエラーを生じなくさせることができる。
なお、偽装参照手段110は、再生装置3、編集装置4の仕様等によって異常処理になった場合、これを検出して、固定値の設定を変更することも可能である。さらに、偽装参照手段110は、再生装置3や編集装置4へ、存在しないフレーム位置を再生しない、エラーを許容する、といった設定値に変更するよう指示してもよい。
【0066】
加えて、偽装参照手段110は、映像データ200のフレームのデータについて、バイト長を固定値に設定する場合、ダミーデータで埋めずに、映像や音声の圧縮率を変更してもよい。この場合、偽装参照手段110は、収録装置2にもその旨を通知し、映像を定められたバイト長で符号化させることが可能である。このとき、映像符号化方式が映像内容によって可変長である場合、画質の低下を許容するか、又は、画質の低下を抑えるため、一時的にコーデック等を変更してもよい。その逆に、通常でも常に固定長となる映像符号化方式である場合、一時的に、この固定長を上述の固定値に適応するよう変更したり、可変長のコーデックに変更したりしてもよい。
【0067】
上述の実施の形態では、フッターをフレーム数単位で作成する例について説明した。
しかしながら、映像符号化方式によっては、GOP(Group of Pictures)単位、Iピクチャー単位でフレームを作成してもよい。または、フレーム数単位で偽装ファイル220を送信する場合、Iピクチャーを追加してもよい。
【0068】
さらに、再生編集送信手段120は、偽装ファイル220の切り替え時に、音声のフェードイン、フェードアウトをしないように再生装置3に指示する、又は、音声レベルを調整してもよい。
または、再生編集送信手段120は、偽装ファイル220の切り替え時に、映像はディゾルブ効果、音声はクロスフェード効果等を用いることで、不連続性に伴う違和感を緩和するようにしてもよい。
または、再生編集送信手段120は、偽装ファイル220の追いかけ再生又は追いかけ編集時に、フレーム精度の切り換え制御を行ってもよい。
または、再生編集送信手段120は、追いかけ再生又は追いかけ編集時に、切り換えの際、映像はディゾルブ効果、音声はクロスフェード効果等を用いてもよい。
このように構成することで、フレーム数の異なる連番の偽装ファイル220を複数用いて、追いかけ再生や追いかけ編集を行う際に、不連続性に伴う違和感を緩和することが可能となる。
【0069】
上述の実施の形態では、各機能部の処理を蓄積サーバー1で実行する例について説明した。
しかしながら、再生装置3及び/又は編集装置4に、各機能部を備えるように構成してもよい。この場合でも、一部の機能部は、蓄積サーバー1上で実行してもよい。たとえば、格納手段100は蓄積サーバー1上で機能させ、再生装置3及び/又は編集装置4において偽装参照手段110及び再生編集送信手段120を機能させてもよい。この場合、偽装参照手段110が再生編集送信手段120の機能を兼ねるように構成してもよい。
すなわち、偽装参照手段110を、蓄積サーバー1上で動作することとしても、再生装置3及び/又は編集装置4上で機能させても良い。再生装置3及び/又は編集装置4上で機能させる場合、偽装参照手段110は、再生装置3及び/又は編集装置4にインストールし、例えば蓄積サーバー1をローカルディスクであるかのように見せるデバイスドライバーやミドルウェアやアプリケーションソフトウェエア等を実行することで、機能させてもよい。すなわち、偽装参照手段110を、再生装置3及び/又は編集装置4と蓄積サーバー1との間の通信を媒介するソフトウェアにより実現してもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応可能となる。たとえば、蓄積サーバー1に偽装参照手段110を備えない場合、蓄積サーバー1として、一般的な高速ストレージを用いることも可能となる。
【0070】
なお、編集システムXの装置構成も、上述のものには限られない。たとえば、蓄積サーバー1は、別途、外部のビデオストレージを備えたアーカイブ装置を用いるような構成も可能である。さらに、蓄積サーバー1とは別に、編集用の低解像度用の素材映像を格納する低解像度サーバーを含んでいてもよい。加えて、編集が完了した放送再生用の映像データ200を格納する放送映像管理サーバーを別途備えていてもよい。または、収録装置2と蓄積サーバー1とが一体となった放送映像サーバーとして構成されてもよい。さらに加えて、編集システムX全体を統括的に制御するシステム制御装置(映像管理装置)、映像解析装置等を別途備えていていもよい。さらに、編集装置4や再生装置3は、同一の装置に含まれて構成されてもよい。また、本発明の実施の形態では、再生装置3と編集装置4はネットワークを介した別のシステムとしたが、場合によっては、例えば蓄積サーバー内に再生装置3と編集装置4を設けてもよく、蓄積サーバー内の各装置間での偽装ファイル等の情報のやりとりに関する構成でもよい。
加えて、本実施の形態における収録装置2における各手段は、それぞれ独立したハードウェアで実現されなくてもよく、さらに一つのハードウェアで複数の手段を実現してもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応することができる。
【0071】
また、本発明の実施の形態に係る編集システムは、再生装置3及び/又は編集装置4のみならず、映像データを使用する各種装置に適用できる。たとえば、映像データを使用する装置として、例えば、エンコーダー、デコーダー、編集機、素材サーバー、送出サーバー等にも適用可能である。
【0072】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 蓄積サーバー2 収録装置3 再生装置4 編集装置5 ネットワーク6 素材サーバー7 専用交換サーバー10 制御部11 記憶部20 撮像部63 専用再生装置64 専用編集装置100 格納手段110 偽装参照手段120 再生編集送信手段200 映像データ210 フッター用データ220 偽装ファイルX、P 編集システム
図1
図2
図3
図4
図5