(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】電気接続を備える介入デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20220418BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2021506327
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070892
(87)【国際公開番号】W WO2020030548
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-12-22
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ワイス ウィレム‐ヤン アレンド
(72)【発明者】
【氏名】ウィーカンプ ヨハネス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】レイテン ゲラルドゥス フランシスクス コルネリス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス エグベルトゥス レイニエル
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/030453(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/155630(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/013224(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0111029(US,A1)
【文献】国際公開第2018/095793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
A61B 13/00 - 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入デバイス上に配設されたセンサと電気的接触をなすためのセンサ相互接続領域を備える介入デバイスであって、前記介入デバイスが、
長手軸を有する導電性の細長いシャフトと、
前記センサ、第1の電気導体、第2の電気導体、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び電気的遮蔽層を備える、センサストリップと、を備え、
前記第1の電気導体、前記第2の電気導体、及び前記センサが、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間の、前記第1のポリマー層の第1の側に配設され、前記電気的遮蔽層が、前記第1のポリマー層の第2の側に配設され、
前記第1の電気導体及び前記第2の電気導体が、前記センサと電気的に接触していて、前記センサを含むセンサ領域と窓との間に前記センサストリップの長さ方向に沿って延び、前記窓の中では、前記第1の電気導体及び前記第2の電気導体を露出させるために前記第1のポリマー層及び前記電気的遮蔽層が除去されていて、
前記電気的遮蔽層が、前記センサ領域と、前記窓に隣接する電気的遮蔽接触部分との間に、前記センサストリップの前記長さ方向に沿って延び、
前記センサストリップは、螺旋の形態で前記細長いシャフトの周りに巻き付けられ、それにより、前記電気的遮蔽層が外側を向き、且つ、前記第1の電気導体及び前記第2の電気導体の両方が、前記窓の中を前記長手軸に沿って延び、且つ、前記窓に隣接する前記電気的遮蔽接触部分と、前記窓と、巻き付けられた前記センサストリップを越える前記導電性の細長いシャフトの露出部分とが、前記センサ相互接続領域を提供し、
前記電気的遮蔽層が、前記センサ領域に最も近い遠位端と、前記窓に隣接する近位端とを備え、前記近位端は、前記センサストリップの前記長さ方向に対して鋭角で傾いていて、それにより、前記センサストリップが前記細長いシャフトの周りに巻き付けられたとき、前記窓に隣接する前記電気的遮蔽層の前記近位端は、前記細長いシャフトの前記長手軸に対して直角な平面内に位置する、
介入デバイス。
【請求項2】
前記センサストリップが、前記センサ領域に最も近い遠位端と、前記窓に最も近い近位端との間に延び、前記センサストリップの前記近位端が、前記センサストリップの前記長さ方向に対して鋭角で傾いていて、それにより、前記センサストリップが螺旋の形態で前記細長いシャフトの周りに巻き付けられたとき、前記センサストリップの前記近位端は、前記細長いシャフトの前記長手軸に対して直角な平面内に位置する、請求項1に記載の介入デバイス。
【請求項3】
相互接続基板をさらに備え、前記相互接続基板が、
第1のコンタクトパッドと、
第2のコンタクトパッドと、
ガードリングと、を備え、
前記第1のコンタクトパッドと前記第2のコンタクトパッドとが、前記窓の中で前記第1の電気導体及び前記第2の電気導体との電気的接触をなすために、相互接続軸に沿ってある間隔だけ離れていて、
前記ガードリングは、前記第1のコンタクトパッド及び前記第2のコンタクトパッドを囲むと共に、前記ガードリングを、前記窓に隣接する前記電気的遮蔽接触部分及び前記導電性の細長いシャフトの前記露出部分と位置合わせするために、各前記コンタクトパッドの両側で前記相互接続軸に沿って延び、
前記相互接続軸は、前記長手軸と平行に配置され、それにより、前記第1のコンタクトパッド及び前記第2のコンタクトパッドが、それぞれ前記窓の中で前記第1の電気導体及び前記第2の電気導体との電気的接触をなし、且つ前記ガードリングが、前記窓に隣接する前記電気的遮蔽接触部分及び前記導電性の細長いシャフトの前記露出部分の両方と電気的接触をなす、
請求項1に記載の介入デバイス。
【請求項4】
異方性導電弾性層をさらに備え、
前記異方性導電弾性層は、前記第1のコンタクトパッドと前記第1の電気導体との間、前記第2のコンタクトパッドと前記第2の電気導体との間、並びに前記ガードリングと、前記窓に隣接する前記電気的遮蔽接触部分、及び巻き付けられた前記センサストリップを越える前記導電性の細長いシャフトの前記露出部分との間で、前記長手軸に対して径方向の電気伝導を提供するために、前記相互接続基板と前記センサ相互接続領域との間に配設される、
請求項3に記載の介入デバイス。
【請求項5】
電気ケーブルをさらに備え、前記電気ケーブルが、第1のワイヤと、第2のワイヤと、電気遮蔽体とを備え、
前記電気遮蔽体が、電気的遮蔽を提供するために前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤの周りに配置され、
前記第1のワイヤは、前記第1のコンタクトパッドと電気的に接触していて、
前記第2のワイヤは、前記第2のコンタクトパッドと電気的に接触していて、
前記電気遮蔽体は、前記ガードリングと電気的に接触している、
請求項3又は請求項4に記載の介入デバイス。
【請求項6】
前記センサが超音波センサである、請求項1に記載の介入デバイス。
【請求項7】
前記細長いシャフトが医療用針によって提供される、請求項1に記載の介入デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の介入デバイスであって、前記センサが超音波センサである、介入デバイスと、
超音波場を生成するビーム形成超音波イメージングプローブと、
前記ビーム形成超音波イメージングプローブの前記超音波場に対応する再構成超音波画像を提供する画像再構成ユニットと、
前記ビーム形成超音波イメージングプローブと前記超音波センサとの間で送信される超音波信号に基づいて前記超音波場に対する前記介入デバイスの前記超音波センサの位置を算出し、算出された前記超音波センサの前記位置に基づいて前記再構成超音波画像中にアイコンを提供する、位置判定ユニットと
を備える、超音波に基づく位置判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ相互接続領域を有する介入デバイスに関する。センサ相互接続領域は、介入デバイス上に配設されたセンサに対して外部からの電気的接触をなすために使用される。介入デバイスは、医療分野一般で使用される。様々な感知用途における幅広いセンサの使用が企図される。1つの例示的用途では、センサは、ビーム形成超音波イメージングプローブの超音波場に対する介入デバイスの位置を追跡するために使用される超音波センサである。
【背景技術】
【0002】
医療分野における介入デバイスは、患者の解剖学的構造の内部で介入デバイスの周辺に関するより多くの情報を得るために、センサを組み込むことがますます増えている。これに関して、圧力、温度、流体流、音、及び超音波のセンサが例えば組み込まれる。Jay Mung、Francois Vignon、及びAmeet Jainによる文献[1] 「A Non-disruptive Technology for Robust 3D Tool Tracking for Ultrasound-Guided Interventions」(MICCAI 2011、Part I、LNCS 6891、pp.153-160、2011、A.Martel、及びT.Peters(編集者))により詳細に記載される一例示的用途では、超音波センサを医療用針に取り付け、その超音波センサを使用して、ビーム形成超音波イメージングプローブの超音波場に対する針の位置を追跡する。
【0003】
そのような介入デバイスに関して直面される1つの問題は、センサとの電気的接触を提供する必要性である。
【0004】
これに関して、文献WO2015155671は、医療デバイスのセンサ接点に接続するための内側導電体を含むコネクタを開示している。内側導電体の上に絶縁体が形成される。絶縁体の上に外側導電体が形成され、外側導電体は内側導電体を囲むが、内側導電体から電気的に分離されている。外側導電体は、内側導電体の両側において、医療デバイス上の2つの箇所で接触をなす。
【0005】
別の文献WO2015/155630A1は、薄膜圧電センサを備える針に関する。センサデバイスが、複数の層を含む可撓性の平面ストリップを含む。ストリップは、医療デバイスを少なくとも部分的に封入するように構成される。ストリップは、第1の誘電層と、第1の誘電層の上に配設された導電性遮蔽層と、導電性遮蔽層の上に形成された第2の誘電層と、センサ電極、ハブ電極、及びセンサ電極とハブ電極を接続する配線を含む、パターン形成された導電性層とを含む。
【0006】
別の文献WO2017/013224A1は、トランスデューサ積層体に関する。電気導体とトランスデューサ層との間で電気的接触がなされる。トランスデューサ積層体は、接着剤で被覆された2つの箔を含み、箔の接着剤被覆は、互いに向き合うように配置される。2つの電気導体の長さに沿った第1の位置において、2つの電気導体は、接着剤で被覆された2つの箔の接着剤被覆の間に挟まれていて、またトランスデューサ層も、トランスデューサ層上の電極との電気的接触がなされるように、2つの電気導体の間に挟まれている。2つの電気導体の長さに沿った第2の位置において、2つの電気導体は、接着剤で被覆された2つの箔の接着剤被覆の間に挟まれていて、2つの電気導体の間に挟まれたトランスデューサ層は存在しない。
【0007】
この進歩にも関わらず、介入デバイス上に配設されたセンサとの改良された電気接続を提供する余地が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、介入デバイス上に配設されたセンサへの電気接続を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それに対して、介入デバイス上に配設されたセンサと電気的接触をなすために適するセンサ相互接続領域を含む介入デバイスが提供される。介入デバイスは、長手軸を有する導電性の細長いシャフトと、上記センサ、第1の電気導体、第2の電気導体、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び電気的遮蔽層を備える、センサストリップと、を備える。第1の電気導体、第2の電気導体、及びセンサは、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間の、第1のポリマー層の第1の側に配設される。電気的遮蔽層は、第1のポリマー層の第2の側に配設される。第1の電気導体及び第2の電気導体はセンサと電気的に接触していて、センサを含むセンサ領域と窓との間にセンサストリップの長さ方向に沿って延び、窓の中では、第1の電気導体及び第2の電気導体を露出させるために第1のポリマー層及び電気的遮蔽層が除去されている。電気的遮蔽層は、センサ領域と、窓に隣接する電気的遮蔽接触部分との間に、センサストリップの長さ方向に沿って延びている。センサストリップは、螺旋の形態で細長いシャフトの周りに巻き付けられ、それにより、電気的遮蔽層が外側を向き、且つ、第1の電気導体と第2の電気導体の両方が窓の中を長手軸に沿って延び、且つ、窓に隣接する電気的遮蔽接触部分と、窓と、巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフトの露出部分とが、センサ相互接続領域を提供する。
【0010】
窓の中の電気導体と、巻き付けられたセンサストリップの電気的遮蔽接触部分と、導電性の細長いシャフトとが、そのように、センサのための電気相互接続領域を提供する。利点として、電気相互接続領域は、螺旋状に巻き付けられるセンサストリップの結果として提供されるため、製造が比較的簡易である。さらに、螺旋状に巻き付けられるセンサストリップは、いずれも窓の中で長手軸に沿って延びる第1の電気導体及び第2の電気導体の各露出部分を提供する。電気導体も同様に螺旋の形態で細長いシャフトの周りに巻き付けられるこの延びは、外部の相手側コネクタの対応する接点との電気導体の位置合わせを簡易にする。なぜならば、長手軸に沿った位置合わせは、単に細長いシャフトをその長手軸を中心として回転させ、それにより、第1の電気導体及び第2の電気導体の各露出部分上の接触点を長手軸に沿って軸方向に調節するだけで実現できるためである。
【0011】
一態様によれば、電気的遮蔽層は、センサ領域に最も近い遠位端と、窓に隣接する近位端とを含む。近位端は、センサストリップの長さ方向に対して鋭角で傾いていて、それにより、センサストリップが細長いシャフトの周りに巻き付けられたとき、窓に隣接する電気的遮蔽層の近位端は、細長いシャフトの長手軸に対して直角な平面内に位置する。その際、窓に隣接する電気的遮蔽層の近位端は、介入デバイスが回転されたときに、細長いシャフトの長手軸に沿って移動しない。したがって、電気的遮蔽層のための基準接触点が、長手軸に沿った固定位置において提供される。これは、電気的遮蔽層が、回転的に変動しない接触点を提供するので、外部の相手側コネクタの対応する接点との電気的遮蔽層の位置合わせを簡易にする。
【0012】
別の態様によれば、センサストリップは、センサ領域に最も近い遠位端と、窓に最も近い近位端との間に延びている。センサストリップの近位端は、センサストリップの長さ方向に対して鋭角で傾いていて、それにより、センサストリップが螺旋の形態で細長いシャフトの周りに巻き付けられたとき、センサストリップの近位端は、細長いシャフトの長手軸に対して直角な平面内に位置する。その際、巻き付けられたセンサストリップの近位端は平面内で終端し、それにより導電性の細長いシャフトの当接露出部分を画定し、この当接露出部分も平面内で終端し、介入デバイスが回転されたときに、細長いシャフトの長手軸に沿って移動しない。したがって、導電性の細長いシャフトのための基準接触点が、長手軸に沿った固定位置において提供される。これは、導電性の細長いシャフトが、回転的に変動しない接触点を提供するため、外部の相手側コネクタの対応する接点との導電性の細長いシャフトの軸方向の位置合わせを簡易にする。
【0013】
別の態様によれば、介入デバイスは、相互接続基板を含む。相互接続基板は、第1のコンタクトパッドと、第2のコンタクトパッドと、ガードリングと、を含む。第1のコンタクトパッドと第2のコンタクトパッドとは、窓の中で第1の電気導体及び第2の電気導体との電気的接触をなすために、相互接続軸に沿ってある間隔だけ離れている。ガードリングは、第1のコンタクトパッド及び第2のコンタクトパッドを囲むと共に、ガードリングを、窓に隣接する電気的遮蔽接触部分及び導電性の細長いシャフトの露出部分と位置合わせするために、各コンタクトパッドの両側で相互接続軸に沿って延びている。さらに、相互接続軸は、長手軸と平行に配置され、それにより、第1のコンタクトパッド及び第2のコンタクトパッドが、それぞれ窓の中で第1の電気導体及び第2の電気導体との電気的接触をなし、且つ、ガードリングが、窓に隣接する電気的遮蔽接触部分及び導電性の細長いシャフトの露出部分の両方と電気的接触をなす。
【0014】
ガードリングは、したがって、相互接続基板上で、介入デバイスの導電性の細長いシャフトを、電気的遮蔽層に電気的に接続する。電気的遮蔽層との組み合わせで、ガードリングは、電磁気干渉、すなわちEMIに対するセンサの影響されやすさを低減する。これに関して平面状のガードリングでも十分なEMI性能が実現されていて、これは、長手軸を中心とした回転に関して相互接続領域を電気遮蔽体で完全に囲む必要をなくす。さらに、介入デバイスの導電性の細長いシャフトを、ガードリングを介して相互接続基板上で電気的遮蔽層と接続することは、そのような電気接続を介入デバイス自体の上で行う必要性なしに、良好なEMI性能を実現するための単純な手段を提供する。さらに、導電性の細長いシャフト及び電気的遮蔽層が相互接続基板のガードリングを介して互いと共に電気的に短絡されるそのような構造によって十分な電気的遮蔽が提供されることが分かった結果、相互接続基板を電子回路に接続するケーブル中で単一の電気的遮蔽層が使用され得る。そのようなケーブル中で、導電性の細長いシャフト及び電気的遮蔽層の各々に1つずつではなく、単一の電気的遮蔽層を使用すると、その重量が低減され、向上した可撓性がもたらされる。
【0015】
別の態様によれば、介入デバイスは、異方性導電弾性層を含む。異方性導電弾性層は、第1のコンタクトパッドと第1の電気導体との間、第2のコンタクトパッドと第2の電気導体との間、並びにガードリングと、窓に隣接する電気的遮蔽接触部分、及び巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフトの露出部分との間で、長手軸に対して径方向の電気伝導を提供するために、相互接続基板とセンサ相互接続領域との間に配設される。その際、従来は平面基板に平面基板を取り付けるために使用される異方性導電弾性層が、ここでは、相互接続基板をセンサ相互接続領域に取り付けるための振動に強い手段を提供するために使用される。
【0016】
別の態様によれば、センサは超音波センサであり、上記介入デバイスを含む、超音波に基づく位置判定システムが提供される。このシステムは、上述した介入デバイスの利点から利益を得る。
【0017】
さらなる態様及びそれらの利点が、添付の特許請求の範囲を参照して説明される。記載される発明からのさらなる利点も当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】センサ102と、センサとの電気的接触をなすためのセンサ相互接続領域101とを含む介入デバイス100の断面図である。
【
図2】センサ102を含むセンサストリップ104の様々な図である。
【
図3】第1のコンタクトパッド351と、第2のコンタクトパッド352と、ガードリング353とを含む相互接続基板350を示す図である。
【
図4】介入デバイス100を含む、超音波に基づく位置判定システム400を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の原理を説明するために、例示的な位置追跡の用途を特に参照して、医療用針の形態である介入デバイスが説明され、ここでは、センサは、ビーム形成超音波イメージングシステムの超音波場に対して介入デバイスの位置を追跡するために使用される超音波センサである。
【0020】
しかし、介入デバイスは、血流の感知及び温度測定を含む、センサを用いる他の医療用途分野でも使用され得ることが理解されるべきである。したがって、温度、音、光学、圧力等を含む、超音波センサ以外のセンサと共に本発明を使用することも企図される。さらに、本発明は、これらに限定されないが、カテーテル、ガイドワイヤ、生検デバイス、ペースメーカの導線、静脈内ライン、又は外科用器具全般を含む、医療用針以外の介入デバイスにも用途を有する。介入デバイスは、例えば、局部麻酔のための日常的な針の挿入から、癌の生検及び経皮アブレーション、並びにより高度な介入手順にわたる、幅広い医療手順で使用される。
【0021】
図1は、センサ102と、センサとの電気的接触をなすためのセンサ相互接続領域101とを含む介入デバイス100の断面図を示す。介入デバイス100は、長手軸A-A’を有する導電性の細長いシャフト103と、センサ102、第1の電気導体105、第2の電気導体106、第1のポリマー層107、第2のポリマー層108及び電気的遮蔽層109を含むセンサストリップ104とを含む。センサ102を含むセンサストリップ104の様々な図を示す
図2を参照すると、第1の電気導体105、第2の電気導体106、及びセンサ102は、第1のポリマー層107と第2のポリマー層108との間の、第1のポリマー層107の第1の側に配設される。電気的遮蔽層109は、第1のポリマー層の第2の側、すなわち反対の側に配設される。
図2では、センサストリップ104の平面図が
図2Aに示され、B-B’、C-C’及びD-D’においてセンサストリップ104を通る断面が、それぞれ
図2B、
図2C及び
図2Dに示されている。B-B’及びC-C’においてセンサストリップ104を通る分解断面が、それぞれ
図2B’及び
図2C’に示される。特に
図2A及び
図2Cを参照すると、第1の電気導体105、第2の電気導体106及びセンサ102は、センサ102を含むセンサ領域111内で、第1のポリマー層107と第2のポリマー層108との間の、第1のポリマー層107の第1の側に配設される。第1の側は、
図2において一番低く、細長いシャフト103の周りに巻き付けられたとき、第1の側は、第1のポリマー層107の反対側の第2の側に対して最も内側になる。電気的遮蔽層109は、第1のポリマー層107の第2の側、すなわち反対側に配設される。特に
図2Cに見られるように、第1の電気導体105及び第2の電気導体106は、センサ102と電気的に接触していて、また特に
図2A及び
図2Dに見られるように、センサ102を含むセンサ領域111と窓112との間に、センサストリップの長さ方向110に沿って延び、窓112の中では、第1の電気導体105の一部分及び第2の電気導体106の一部分を露出させるために第1のポリマー層107及び電気的遮蔽層109が除去されている。特に
図2Aに見られるように、電気的遮蔽層109は、センサ領域111と、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’との間に、センサストリップ104の長さ方向110に沿って延びている。隣接するという用語は、当接する、又は最も近いことを意味する。さらに、
図1を参照すると、センサストリップ104は、螺旋の形態で細長いシャフト103の周りに巻き付けられ、それにより、電気的遮蔽層109が外側を向き、且つ、第1の電気導体105と第2の電気導体106の両方が、窓112の中を長手軸A-A’に沿って延び、且つ、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’と、窓112と、巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフト103’の露出部分とが、センサ相互接続領域101を提供する。
【0022】
上述したように、窓112の中の電気導体105、106、巻き付けられたセンサストリップの電気的遮蔽接触部分109’、及び導電性の細長いシャフト103’の露出部分が、そのように、センサ102のための電気相互接続領域を提供する。利点として、電気相互接続領域101は、螺旋状に巻き付けられるセンサストリップ104の結果として提供されるため、製造が比較的簡易である。さらに、螺旋状に巻き付けられるセンサストリップ104は、いずれも窓112の中で長手軸A-A’に沿って延びる第1の電気導体105及び第2の電気導体106の各露出部分を提供する。電気導体105、106がセンサストリップの長さ方向110に平行に延びる結果、この延びは、螺旋の形態、すなわち
図1に示されるように斜め方向になる。本明細書で使用される場合、平行という用語は、厳密に平行から+/-5度以内の角度を言う。言い換えると、電気導体105、106は、センサストリップ104と同様に、細長いシャフト103の周りに螺旋の形態で巻き付けられた状態になる。これは、外部の相手側コネクタの対応する接点との電気導体105、106の位置合わせを簡易にする。なぜならば、長手軸A-A’に沿った位置合わせは、単に細長いシャフト103をその長手軸を中心として回転させ、それにより、第1の電気導体及び第2の電気導体の各露出部分上の接触点を長手軸に沿って軸方向に調節するだけで実現できるためである。
【0023】
導電性の細長いシャフト103は、例えば、ここで示される医療用針により、又はカテーテル、生検デバイス、ガイドワイヤ、ペースメーカの導線、静脈内ライン、若しくは外科用器具全般によって提供される。細長いシャフト103は、実施態様によっては、長手軸A-A’に対して直角な平面において円形の断面を有する。導電性の細長いシャフト103は、実施態様によっては、金属、好ましくは、これに限定されないがタイプ316ステンレス鋼などの外科用途に適した金属から形成される。
【0024】
センサ102は、超音波、温度、圧力、流量センサ、光学センサ等を含む、各種センサから選択される。帯の形態の平面センサが
図1に及び
図2に示されるが、センサ102の幾何学形状はそのように限定されるものではない。薄膜、厚膜、微小電子機械的構造、すなわちMEMS、又は静電容量型微小機械超音波トランスデューサ、すなわちCMUT、センサの使用が企図されると共に、複数のセンサ、すなわちセンサの配列の使用も企図される。これらは、
図1に示されるように帯の形態で、又は離散した位置に取り付けられた個々のセンサの形態で巻き付けられる。1つの実施態様では、センサ102は圧電センサであり、任意選択で、ホモポリマーポリフッ化ビニリデン、すなわちPVDFから形成されるか、又はポリ(フッ化ビニリデン(VDF)-トリフルオロエチレン(TrFE))コポリマーから形成されるか、又はチタン酸ジルコン酸鉛、すなわちPZTから形成され、超音波を検出するために使用される。
【0025】
電気導体105、106は、金、銅、銀、及びアルミニウムを含む、各種材料から形成される。いくつかの実施態様では、ワイヤの形態の導体が企図され、他の実施態様では、材料の平面ストリップが企図される。圧力接触、ワイヤボンディング、導電性接着剤等を含め、電気導体105、106をセンサ102と電気的に接触させる様々な技術が企図される。好ましくは、
図2に示されるように、そのような接触は圧力接触であり、そのような接触を容易にするための電極113、114を含む。電気的遮蔽層109は、同様に、金、銅、銀、及びアルミニウムを含む各種材料から作られる。
【0026】
センサストリップ104中で使用されるポリマー層107、108は、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)を含む各種ポリマーから形成される。さらに、ポリマー層107、108は、それらの表面の一方又は両方に、接着剤被覆、任意選択で感圧接着剤被覆を含んでよく、それらは
図2で接着層124、125、126、127として示されている。接着剤は、ポリマー層の各々を互いに接合する働きをする。接着層127は、センサストリップ104を細長いシャフト103に取り付けるために使用される。感圧接着剤は、圧力を加えられると接着結合を形成する部類の材料である。米国の3M Corporationは、適切な感圧接着剤の供給者の1つである。これらは、PSA被覆ポリマーシートとして供給されることがある。片面又は両面にPSAを備えるポリマー層が使用されてよい。PSA被覆ポリマーシートは、通常、接着剤被覆を露出させるために剥離される取外し可能な除去層を備え、それにより、接着層の接着性が必要とされるまで接着層を保護する。ポリマー層107、108によって提供されるセンサストリップ104は、好ましくは、その幅よりも大きい長さを有する。
【0027】
特に
図2Aを参照すると、電気的遮蔽層109は、センサ領域111に最も近い遠位端130と、窓112に隣接する近位端131とを備える。任意選択で、近位端131は、センサストリップ104の長さ方向110に対して鋭角αで傾いていて、それにより、センサストリップ104が細長いシャフト103の周りに巻き付けられたとき、窓112に隣接する電気的遮蔽層109の近位端131は、細長いシャフト103の長手軸A-A’に対して直角な平面P
1内に位置する。
【0028】
図2Aを参照すると、これは、鋭角アルファ及びセンサストリップ104の幅寸法Wを適切に設定することにより実現される。センサストリップ104は、第1の縁部121及び反対側の第2の縁部122を含み、これらの縁部は幅寸法Wだけ離れている。第1の縁部121及び第2の縁部122は各々、トランスデューサストリップ104の長さ方向110に沿って延びている。長さ方向110は、幅寸法Wが測定される方向に対して直交する。センサストリップ104は、窓112に隣接する電気的遮蔽層109の近位端131が、細長いシャフト103の長手軸A-A’に対して直角な平面P
1内に位置するようにするために、電気的遮蔽層109の近位端131を長手軸A-A’に対して垂直にして、長手軸A-A’の周りに巻き付けられる。この巻き付けは、隣接する巻き付けられた巻き同士が、互いと当接するか、ちょうど重なり合うか、又は互いとの間に隙間を有するようなものである。螺旋の連続する巻きが互いと当接する、すなわちちょうど触れ合うためには、以下の式が満たされなければならない。
W=π・D・Sin(α) 式1
ここで、αは、長さ方向110に対して上記で定義された鋭角であり、Dは、円形断面の細長いシャフト103の直径である。Wが上記値を超えるようにすることにより、螺旋の連続した巻きが互いと重なり合う。同様に、Wがこの値未満になるようにすることにより、螺旋の連続した巻き同士の間に小さな隙間が設けられる。上述したように、窓112に隣接する電気的遮蔽層109の近位端131が、細長いシャフト103の長手軸A-A’に対して直角である平面P
1内に位置するようにすることにより、窓112に隣接する電気的遮蔽層109の近位端131は、介入デバイス100が長手軸A-A’を中心として回転されたときに、細長いシャフト103の長手軸(A-A’)に沿って移動しない。したがって、電気的遮蔽層109のための基準接触点が、長手軸A-A’に沿った固定位置において提供される。これは、電気的遮蔽層が、回転的に変動しない接触点を提供するので、外部の相手側コネクタの対応する接点との電気的遮蔽層の軸方向の位置合わせを簡易にする。
【0029】
図2A及び
図1を参照すると、任意選択で、センサ102は、鋭角αでセンサストリップ104の幅寸法Wにわたって延びる細長いストリップの形態である。その際、細長いシャフト103の周りの帯の形態でセンサが提供される。
【0030】
特に
図2Aを参照すると、センサストリップ104は、センサ領域111に最も近い遠位端140と、窓112に最も近い近位端141との間を延びている。任意選択で、センサストリップ104の近位端141は、センサストリップ104の長さ方向110に対して鋭角αで傾いていて、それにより、センサストリップ104が螺旋の形態で細長いシャフト103の周りに巻き付けられたとき、センサストリップ104の近位端141は、細長いシャフト103の長手軸A-A’に対して直角な平面P
2内に位置する。
【0031】
上述したように、その際、巻き付けられたセンサストリップ104の近位端141は平面P2内で終端し、それにより、導電性の細長いシャフト103の当接露出部分を画定し、この当接露出部分も平面P2内で終端し、介入デバイス100が長手軸A-A’を中心として回転されたときに、細長いシャフト103の長手軸A-A’に沿って移動しない。したがって、導電性の細長いシャフト103のための基準接触点が、長手軸A-A’に沿った固定位置において提供される。これは、導電性の細長いシャフト103が、回転的に変動しない接触点を提供するため、外部の相手側コネクタの対応する接点との導電性の細長いシャフト103の軸方向の位置合わせを簡易にする。
【0032】
いくつかの実施態様では、介入デバイス100は、センサ相互接続領域101と電気的接触をなすための相互接続基板を備える。それに加えて、
図3は、第1のコンタクトパッド351と、第2のコンタクトパッド352と、ガードリング353とを含む相互接続基板350を示す。任意選択で、相互接続基板350は平面状である。相互接続基板350は、例えば、第1のコンタクトパッド351、第2のコンタクトパッド352及びガードリング353が一方の表面に配設されたプリント回路基板によって提供される。
図3を参照すると、第1のコンタクトパッド351と第2のコンタクトパッド352とは、窓112の中で第1の電気導体105及び第2の電気導体106と電気的接触をなすのに適する相互接続軸E-E’に沿って間隔354だけ離れている。ガードリング353は、相互接続基板350の表面に配設され、第1のコンタクトパッド351及び第2のコンタクトパッド352を囲むと共に、ガードリング353を、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’、及び導電性の細長いシャフト103’の露出部分と位置合わせするために、コンタクトパッド351、352の両側で相互接続軸E-E’に沿って延びている。さらに、相互接続軸E-E’は、長手軸A-A’と平行に配置され、それにより、第1のコンタクトパッド351及び第2のコンタクトパッド352が、それぞれ窓112の中で第1の電気導体105及び第2の電気導体106との電気的接触をなし、且つ、ガードリング353が、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’、及び導電性の細長いシャフト103’の露出部分の両方と電気的接触をなす。
【0033】
ガードリング353は、したがって、相互接続基板上で、介入デバイス100の導電性の細長いシャフト103を、電気的遮蔽層109に電気的に接続する。電気的遮蔽層109との組み合わせで、ガードリング353は、EMIに対するセンサ102の影響されやすさを低減する。平面状のガードリング353でも十分なEMI性能が実現されていて、これは、長手軸A-A’を中心とした回転に関して相互接続領域101を電気遮蔽体で完全に囲む必要をなくす。さらに、介入デバイス100の導電性の細長いシャフト103を、ガードリング353を介して相互接続基板350上で電気的遮蔽層109と接続することは、そのような電気接続を介入デバイス100自体の上で行う必要性なしに、良好なEMI性能を実現するための単純な手段を提供する。
【0034】
任意選択で、
図3に示されるように、介入デバイス100は、異方性導電弾性層355を含む。適切な層が、米国のFujipolyにより「Zebraエラストマーコネクタ」として販売されている。異方性導電弾性層355は、第1のコンタクトパッド351と第1の電気導体105との間、第2のコンタクトパッド352と第2の電気導体106との間、並びに、ガードリング353と、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’、及び巻き付けられたセンサストリップ104を越える導電性の細長いシャフト103’の露出部分との間で、長手軸A-A’に対して径方向の電気伝導を提供するために、相互接続基板350とセンサ相互接続領域101との間に配設される。異方性導電弾性層355は、任意選択で、層355内の導電性ピラーの使用により、細長いシャフト103を通る断面に対して正接方向にも電気的分離を提供する。これらの構成は、細長いシャフト103が、長手軸A-A’に対して直角な平面内に円形の断面を有する場合に特に有用である。上述したように、その際、従来は平面基板に平面基板を取り付けるために使用される異方性導電弾性層355が、ここでは、相互接続基板350をセンサ相互接続領域101に取り付けるための振動に強い手段を提供するために使用される。これは、センサ相互接続領域101が、円形断面の細長いシャフト103によって提供されるものなどの湾曲した表面を有する場合に特に有用である。
【0035】
相互接続基板350は、任意選択で、図示されない電気ケーブルを備える。電気ケーブルは、第1のワイヤと、第2のワイヤと、電気遮蔽体とを含む。電気遮蔽体は、電気的遮蔽を提供するために第1のワイヤ及び第2のワイヤの周りに配置される。第1のワイヤは、第1のコンタクトパッド351と電気的に接触していて、第2のワイヤは、第2のコンタクトパッド352と電気的に接触している。電気遮蔽体は、ガードリング353と電気的に接触している。導電性の細長いシャフト103及び電気的遮蔽層109が相互接続基板350のガードリング353を介して互いと共に電気的に短絡される構造によって、十分な電気的遮蔽が提供されることが分かっている。これにより、相互接続基板を外部の電子回路に接続するケーブル中で単一の電気的遮蔽層を使用することが可能になる。そのようなケーブル中で、導電性の細長いシャフト及び電気的遮蔽層の各々に1つずつではなく、単一の電気的遮蔽層を使用すると、その重量が低減され、向上した可撓性がもたらされる。
【0036】
上記で説明した介入デバイス100は、医療分野における多くの分野に用途を有する。ここで、1つの特定の用途を、介入デバイス100を含む、超音波に基づく位置判定システム400を示す
図4を参照して説明する。超音波に基づく位置判定システム400は、ビーム形成超音波イメージングプローブ460、画像再構成ユニット462、及び位置判定ユニット463も含む。
図4のセンサ102は超音波センサである。上記で説明されたような圧電センサ、又はCMUTデバイスは、適切な超音波センサの非制限的な例である。ビーム形成超音波イメージングプローブ460は、超音波場461を生成するように構成される。画像再構成ユニット462は、ビーム形成超音波イメージングプローブ460の超音波場461に対応する再構成超音波画像を提供するように構成される。位置判定ユニット463は、ビーム形成超音波イメージングプローブ460と超音波センサ102との間で送信される超音波信号に基づいて超音波場461に対する介入デバイス100の超音波センサ102の位置を算出し、算出された超音波センサ102の位置に基づいて再構成超音波画像中にアイコンを提供するように構成される。
図4に示されるオプションのディスプレイ464、イメージングシステムインターフェース465、及びイメージングシステムプロセッサ466も含まれる。様々なユニット間のリンクは、各自それぞれの通信リンクを示している。
【0037】
ユニット460、462、464、465及び466は共に、従来の超音波イメージングシステムを形成する。ユニット462、464、465及び466は、従来、ビーム形成超音波イメージングプローブ460と有線又は無線通信するコンソール内に位置する。ユニット462、464、465及び466の一部は、代替として、例えばPhilips Lumify超音波イメージングシステムのように、ビーム形成超音波イメージングプローブ460の内部に組み込まれてもよい。ビーム形成超音波イメージングプローブ460は超音波場461を生成する。
図4には、関心領域ROIに交差する超音波場461の中で超音波エネルギーを送信及び受信する線形超音波トランシーバ配列を含む2Dビーム形成超音波イメージングプローブ460が示されている。超音波場は、
図4では扇型であり、図示される画像面を共に提供する複数の超音波ビームB
1..kを含む。
図4は扇型のビームを示すが、本発明は、特定の形状の超音波場、又は実際、平面の超音波場を伴う使用に限定されないことに留意されたい。ビーム形成超音波イメージングプローブ460は、超音波信号を生成し、超音波ビームB
1..k中の超音波信号を検出するために、送信又は受信する信号の位相を増幅する及び/又は調整するように構成された、図示されない電子ドライバ及び受信器回路も含んでよい。
【0038】
使用中、上記で説明した従来の超音波イメージングシステムは、以下のように操作される。作業者が、イメージングシステムインターフェース465を介して超音波手順を計画する。操作手順が選択されると、イメージングシステムインターフェース465がイメージングシステムプロセッサ466をトリガして、ビーム形成超音波イメージングプローブ460に対して送信される信号を生成し、ビーム形成超音波イメージングプローブ460によって検出された信号を解釈する、特定用途向けプログラムを実行させる。そのようなプログラムを記憶するために、図示されないメモリが使用される。メモリは、例えば、ビーム形成超音波イメージングプローブ460によって送信及び/又は受信される一連の超音波信号を制御するように構成された超音波ビーム制御ソフトウェアを記憶する。画像再構成ユニット462は、ビーム形成超音波イメージングプローブ460の超音波場461に対応する再構成超音波画像を提供する。画像再構成ユニット462は、したがって、超音波場461によって定められ、関心領域ROIに交差する画像面に対応する画像を提供する。画像再構成ユニット462の機能は、代替として、イメージングシステムプロセッサ466によって実行されてもよい。画像は、その後、ディスプレイ464に表示される。再構成画像は、例えば、「2Dモード」画像としても知られる超音波輝度モード「Bモード」画像、「Cモード」画像若しくはドップラーモード画像、又は実際どのような超音波画像でもよい。
【0039】
図4には、超音波センサ102を含む、医療用針によって例示される介入デバイス100も示される。この例示的用途では、介入デバイス100、より具体的にはその上に配設された超音波センサ102が、位置判定ユニット463によって提供される信号に基づいて超音波場461に対して追跡される。位置判定ユニットは、相互を接続するリンクによって示されるように、ユニット460、462、464、465及び466、すなわち従来の超音波イメージングシステムと通信する。位置判定ユニット463は、超音波センサ102とも通信し、この通信は例えば有線又は無線である。位置判定ユニット463の機能は、実施態様によっては、従来の超音波イメージングシステムのプロセッサによって実行されてもよい。
【0040】
使用中、超音波センサ102の位置は、ビーム形成超音波イメージングプローブ460と超音波センサ102との間で送信される超音波信号に基づいて、位置判定ユニット463により超音波場461に対して算出される。超音波センサ102は、ビームB1..kに対応する超音波信号を検出する。位置判定ユニット463は、i)超音波センサ102によって検出される各ビームB1..kに対応する超音波信号の振幅に基づいて、及びii)各ビームB1..kの放出と、超音波センサ102によるその検出との間の時間遅延、すなわち飛行時間に基づいて、超音波センサ102の位置を決定する。位置判定ユニット463は、その後、算出された超音波センサ102の位置に基づいて再構成超音波画像中にアイコンを提供する。アイコンは、例えば、算出された超音波センサ102の位置を指示する。アイコンは、任意選択で、介入デバイスの一部分、例えばその遠位端、が位置し得る位置の範囲を指示してもよい。より具体的には、位置は、検出された超音波信号に基づいて超音波場461に対する超音波センサ102の最適位置を見つけることによって算出される。
【0041】
これは次のように説明される。超音波センサ102が超音波場461の近傍にあるとき、ビームB1..kのうちセンサに最も近いものからの超音波信号は、相対的に大きい振幅をもって検出されるのに対し、より遠いビームは、相対的に小さい振幅をもって検出される。通例、最も大きい振幅をもって検出されるビームが、超音波センサ102に最も近いビームとして特定される。このビームは、ビーム形成超音波イメージングプローブ460と超音波センサ102との間の面内角度θIPAを定める。それに対応する範囲は、最も大きい振幅のビームB1..kの放出と、その後のその検出との間の時間遅延、すなわち飛行時間に依存する。この範囲は、したがって、時間遅延に超音波伝搬の速度を乗算することによって決定される。したがって、最も大きい振幅をもって検出されるビームの範囲及び対応する面内角度θIPAを使用して、超音波場461に対する超音波センサ102の最適位置を特定することができる。
【0042】
本開示の様々な例が以下に列挙される。
【0043】
例1.介入デバイス上に配設されたセンサ(102)と電気的接触をなすためのセンサ相互接続領域(101)を備える介入デバイス(100)であって、介入デバイスが、
長手軸(A-A’)を有する導電性の細長いシャフト(103)と、
センサ(102)、第1の電気導体(105)、第2の電気導体(106)、第1のポリマー層(107)、第2のポリマー層(108)、及び電気的遮蔽層(109)を備える、センサストリップ(104)と、を備え、
第1の電気導体(105)、第2の電気導体(106)、及びセンサ(102)が、第1のポリマー層(107)と第2のポリマー層(108)との間の、第1のポリマー層(107)の第1の側に配設され、電気的遮蔽層(109)が、第1のポリマー層(107)の第2の側に配設され、
第1の電気導体(105)及び第2の電気導体(106)がセンサ(102)と電気的に接触していて、センサ(102)を含むセンサ領域(111)と窓(112)との間にセンサストリップの長さ方向(110)に沿って延び、窓(112)の中では、第1の電気導体(105)及び第2の電気導体(106)を露出させるために第1のポリマー層(107)及び電気的遮蔽層(109)が除去されていて、
電気的遮蔽層(109)が、センサ領域(111)と、窓(112)に隣接する電気的遮蔽接触部分(109’)との間に、センサストリップ(104)の長さ方向(110)に沿って延び、
センサストリップ(104)は、螺旋の形態で細長いシャフト(103)の周りに巻き付けられ、それにより、電気的遮蔽層(109)が外側を向き、且つ、第1の電気導体(105)と第2の電気導体(106)の両方が、窓(112)の中を長手軸(A-A’)に沿って延び、且つ、窓(112)に隣接する電気的遮蔽接触部分(109’)と、窓(112)と、巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフト(103’)の露出部分とが、センサ相互接続領域(101)を提供する。
【0044】
例2.例1に記載の介入デバイス(100)であって、電気的遮蔽層(109)が、センサ領域に最も近い遠位端(130)と、窓(112)に隣接する近位端(131)とを備え、近位端(131)は、センサストリップ(104)の長さ方向(110)に対して鋭角(α)で傾いていて、それにより、センサストリップが細長いシャフト(103)の周りに巻き付けられたとき、窓に隣接する電気的遮蔽層(109)の近位端(131)は、細長いシャフト(103)の長手軸(A-A’)に対して直角な平面(P1)内に位置する。
【0045】
例3.例1に記載の介入デバイス(100)であって、センサストリップ(104)が、センサ領域(111)に最も近い遠位端(140)と、窓(112)に最も近い近位端(141)との間に延び、センサストリップの近位端が、センサストリップの長さ方向(110)に対して鋭角(α)で傾いていて、それにより、センサストリップが螺旋の形態で細長いシャフト(103)の周りに巻き付けられたとき、センサストリップの近位端(141)は、細長いシャフト(103)の長手軸(A-A’)に対して直角な平面(P2)内に位置する。
【0046】
例4.例1に記載の介入デバイスであって、相互接続基板(350)をさらに備え、相互接続基板が、
第1のコンタクトパッド(351)と、
第2のコンタクトパッド(352)と、
ガードリング(353)と、を備え、
第1のコンタクトパッド(351)と第2のコンタクトパッド(352)とが、窓(112)の中で第1の電気導体(105)及び第2の電気導体(106)との電気的接触をなすために、相互接続軸(E-E’)に沿ってある間隔(354)だけ離れていて、
ガードリング(353)は、第1のコンタクトパッド(351)及び第2のコンタクトパッド(352)を囲むと共に、ガードリング(353)を、窓(112)に隣接する電気的遮蔽接触部分(109’)及び導電性の細長いシャフト(103’)の露出部分と位置合わせするために、各コンタクトパッド(351、352)の両側で相互接続軸(E-E’)に沿って延び、
相互接続軸(E-E’)は、長手軸(A-A’)と平行に配置され、それにより、第1のコンタクトパッド(351)及び第2のコンタクトパッド(352)が、それぞれ窓(112)の中で第1の電気導体(105)及び第2の電気導体(106)との電気的接触をなし、且つガードリング(353)が、窓(112)に隣接する電気的遮蔽接触部分(109’)及び導電性の細長いシャフト(103’)の露出部分の両方と電気的接触をなす。
【0047】
例5.例4に記載の介入デバイスであって、異方性導電弾性層(355)をさらに備え、
異方性導電弾性層(355)は、第1のコンタクトパッド(351)と第1の電気導体(105)との間、第2のコンタクトパッド(352)と第2の電気導体(106)との間、並びにガードリング(353)と、窓(112)に隣接する電気的遮蔽接触部分(109’)、及び巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフト(103’)の露出部分との間で、長手軸(A-A’)に対して径方向の電気伝導を提供するために、相互接続基板(350)とセンサ相互接続領域(101)との間に配設される。
【0048】
例6.例4又は例5に記載の介入デバイスであって、電気ケーブルをさらに備え、電気ケーブルが、第1のワイヤと、第2のワイヤと、電気遮蔽体とを備え、
電気遮蔽体が、電気的遮蔽を提供するために第1のワイヤ及び第2のワイヤの周りに配置され、
第1のワイヤは、第1のコンタクトパッド(351)と電気的に接触していて、
第2のワイヤは、第2のコンタクトパッド(352)と電気的に接触していて、
電気遮蔽体は、ガードリング(353)と電気的に接触している。
【0049】
例7.例1に記載の介入デバイスであって、センサ(102)が超音波センサである。
【0050】
例8.例1に記載の介入デバイスであって、細長いシャフト(103)が医療用針によって提供される。
【0051】
例9.超音波に基づく位置判定システム(400)であって、
例1に記載の介入デバイス(100)であって、センサ(102)が超音波センサである、介入デバイスと、
超音波場(461)を生成するように構成されたビーム形成超音波イメージングプローブ(460)と、
ビーム形成超音波イメージングプローブ(460)の超音波場(461)に対応する再構成超音波画像を提供するように構成された画像再構成ユニット(462)と、
位置判定ユニット(463)であって、ビーム形成超音波イメージングプローブ(460)と超音波センサ(102)との間で送信される超音波信号に基づいて超音波場(461)に対する介入デバイス(100)の超音波センサ(102)の位置を算出し、算出された超音波センサ(102)の位置に基づいて再構成超音波画像中にアイコンを提供するように構成された、位置判定ユニットと
を備える。
【0052】
上記では平面状の超音波イメージングプローブが参照されたが、例示されたビーム形成超音波イメージングプローブ460は、介入デバイス100が使用されるビーム形成超音波イメージングシステムの一例に過ぎないことが理解されるべきである。介入デバイス100は、他の種類の2D又は3Dビーム形成超音波イメージングプローブを含む、超音波に基づく位置判定システムにも応用可能である。それらには、例えば、「TRUS」経直腸超音波検査プローブ、「IVUS」血管内超音波プローブ、「TEE」経食道プローブ、「TTE」経胸壁プローブ、「TNE」経鼻プローブ、「ICE」心臓内プローブが含まれる。さらに、介入デバイス100は、位置の追跡以外の医療分野における他の超音波感知用途にも応用可能であることが理解されるべきである。
【0053】
本明細書に開示される方法のステップ、特に位置判定ユニット463のプロセッサに関して説明されたステップは、プロセッサ上で実行されたときに、プロセッサにそのような方法のステップを実行させる命令の形態で記録される。命令は、コンピュータプログラム製品上に記憶される。コンピュータプログラム製品は、専用ハードウェア並びに適当なソフトウェアとの関連でソフトウェアを実行することが可能なハードウェアによって提供される。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサにより、単一の共用プロセッサにより、又は一部が共用され得る複数の個々のプロセッサにより提供され得る。さらに、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すものと解釈されるべきではなく、限定されることなく、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読出し専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性ストレージ等を含み得る。さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムが使用するための、又はそれらとの関連で使用するためのプログラムコードを提供する、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的には、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスが使用するための、又はそれらとの関連で使用するためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は移送する、任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、又は装置若しくはデバイス、又は伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例には、半導体又は固体状態メモリ、磁気テープ、取外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読出し専用メモリ「ROM」、剛性磁気ディスク、及び光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク読出し専用メモリ「CD-ROM」、コンパクトディスク読み出し/書き込み「CD-R/W」、Blu-Ray(商標)及びDVDが含まれる。
【0054】
要約すると、介入デバイス上に配設されたセンサ102と電気的接触をなすためのセンサ相互接続領域101を含む介入デバイスが提供された。介入デバイスは、導電性の細長いシャフトと、センサストリップ104と、電気導体105、106と、電気的遮蔽層109とを含む。電気導体105、106は、センサ領域111と窓112との間にセンサストリップに沿って延び、窓112の中では電気導体105、106が露出されている。センサストリップ104は、細長いシャフト103の周りに螺旋状に巻き付けられ、それにより、電気導体105、106は、窓112の中で長手軸A-A’に沿って延び、且つ、窓112に隣接する電気的遮蔽接触部分109’と、窓112と、巻き付けられたセンサストリップを越える導電性の細長いシャフト103’の露出部分とが、センサ相互接続領域101を提供する。
【0055】
様々な実施形態及びオプションが介入デバイスとの関連で説明されたが、様々な実施形態を組み合わせてさらなる有利な効果を実現することが可能であることに留意されたい。特許請求の範囲内に参照符号がある場合、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでない。