(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】パッケージング方法及びパッケージング構造
(51)【国際特許分類】
B81C 1/00 20060101AFI20220418BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20220418BHJP
H01L 23/10 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B81C1/00
B81B7/02
H01L23/10 B
(21)【出願番号】P 2021515586
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2019078541
(87)【国際公開番号】W WO2020133732
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】201811595035.9
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520281859
【氏名又は名称】中芯集成電路(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 天倫
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0148327(US,A1)
【文献】特開2017-090069(JP,A)
【文献】特開2014-182170(JP,A)
【文献】特表2010-511524(JP,A)
【文献】特開2010-223599(JP,A)
【文献】特開2012-122838(JP,A)
【文献】特開2018-069395(JP,A)
【文献】特開2016-008935(JP,A)
【文献】特許第6221965(JP,B2)
【文献】特許第6501382(JP,B2)
【文献】特開2014-212411(JP,A)
【文献】特開2009-16717(JP,A)
【文献】特許第5270104(JP,B2)
【文献】特開2016-72345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81C 1/00
B81B 7/02
H01L 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング方法であって、
キャップウェハを提供するステップであって、前記キャップウェハ内に
凹部が形成され、前記
凹部内に犠牲層が形成され、且つ前記犠牲層上に第1デバイスが形成されるステップと、
第2デバイスが形成される基板ウェハを提供するステップと、
前記第1デバイスが
接合構造を通じて前記第2デバイスと電気的に接続されるように、前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するステップと、
前記第1デバイスと前記第2デバイスとが電気的に接続された後に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記犠牲層を除去し、キャビティを前記キャップウェハと前記基板ウェハとの間に形成するステップであって、前記第1デバイスが前記キャビティ内に位置する
とともに前記接合構造を介して前記第2デバイスに支持されるステップと、を含む、
ことを特徴とするパッケージング方法。
【請求項2】
前記犠牲層を前記
凹部内に形成する前に、先に保護層を前記
凹部の側壁及び底壁に形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージング方法。
【請求項3】
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前に、
前記接合構造としての第1接合構造を前記第1デバイス上に形成するとともに前記第1接合構造に対応する
前記接合構造としての第2接合構造を前記第2デバイス上に形成し、前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するときに、前記第1接合構造と前記第2接合構造とを位置合わせして接合することにより、電気的接続を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージング方法。
【請求項4】
前記第1接合構造と前記第2接合構造の材料は、それぞれAl、Ge、Cu、Au、Ni、Sn及びAgのうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項3に記載のパッケージング方法。
【請求項5】
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前に、第1密封リングを前記
凹部の外周側の前記キャップウェハの表面上に位置するように前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面上に形成するステップと、第2密封リングを前記第1密封リングに対応するとともに前記第2デバイスの外周側の前記基板ウェハの表面上に位置するように前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面上に形成するステップと、をさらに含み、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するときに、前記第1密封リングと前記第2密封リングとを位置合わせして接合することにより、前記キャビティを封止する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージング方法。
【請求項6】
前記第1密封リングと前記第2密封リングの材料は、絶縁媒体又は金属である、
ことを特徴とする請求項5に記載のパッケージング方法。
【請求項7】
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前又は後に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記キャップウェハをエッチングすることにより、前記犠牲層を露出させる少なくとも1つの開放孔を形成し、前記開放孔によって、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記犠牲層を除去するステップと、
前記犠牲層を除去した後に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記開放孔を密封し、前記第1デバイスを前記キャビティ内に密封するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージング方法。
【請求項8】
前記キャップウェハをエッチングして前記開放孔を形成する前に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記キャップウェハを薄型化する、
ことを特徴とする請求項7に記載のパッケージング方法。
【請求項9】
前記第1デバイスは、独立型デバイスの全てを含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの動作をサポートする回路構造を含み、
又は、前記第1デバイスは、前記独立型デバイスの一部を含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの他部を含み、前記第1デバイスと前記第2デバイスとを電気的に接続することにより前記独立型デバイスが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージング方法。
【請求項10】
前記独立型デバイスはMEMSデバイスである、
ことを特徴とする請求項9に記載のパッケージング方法。
【請求項11】
パッケージング構造であって、
凹部が形成されるキャップウェハと、
第1デバイスと、
第2デバイスが
埋設される基板ウェハと
、
前記第1デバイスと前記第2デバイスとが電気的に接続されるように前記第1デバイスと前記第2デバイスとの間に位置する接合構造と、を含み、
前記凹部が形成される前記キャップウェハの表面が、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面と接合され
、前記キャップウェハと前記基板ウェハとの間にキャビティが形成され、
前記第1デバイス
は、前記キャビティ内に位置する
とともに前記接合構造を介して前記第2デバイスに支持される、
ことを特徴とするパッケージング構造。
【請求項12】
前記
凹部の内面には、保護層がさらに形成される、
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージング構造。
【請求項13】
前記第1デバイス上に形成される
前記接合構造としての第1接合構造と、
前記第2デバイス上に形成され且つ前記第1接合構造と位置合わせされて接合されることで、前記第1デバイスと前記第2デバイスとの電気的接続が行われた
前記接合構造としての第2接合構造と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージング構造。
【請求項14】
前記第1接合構造と前記第2接合構造の材料は、それぞれAl、Ge、Cu、Au、Ni、Sn及びAgのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のパッケージング構造。
【請求項15】
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面上に形成されるとともに、前記
凹部の外周側の前記キャップウェハの表面上に位置する第1密封リングと、
前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面上に形成されるとともに、前記第2デバイスの外周側の前記基板ウェハの表面上に位置し、且つ前記第1密封リングと位置合わせされて接合され、前記キャビティを封止する第2密封リングと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のパッケージング構造。
【請求項16】
前記第1密封リングと前記第2密封リングの材料は、絶縁媒体又は金属である、
ことを特徴とする請求項15に記載のパッケージング構造。
【請求項17】
前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側の表面上に、
前記キャビティと連通する開放孔が形成される、
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージング構造。
【請求項18】
ホールブロッキング層をさらに含み、
前記ホールブロッキング層は、少なくとも前記開放孔内に充填される材料層であり、又は、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側の表面上に貼り付けられるテープである、
ことを特徴とする請求項17に記載のパッケージング構造。
【請求項19】
前記第1デバイスは、独立型デバイスの全てを含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの動作をサポートする回路構造を含み、
又は、前記第1デバイスは、前記独立型デバイスの一部を含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの他部を含み、前記第1デバイスと前記第2デバイスとを電気的に接続することにより、前記独立型デバイスが形成される、
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージング構造。
【請求項20】
前記独立型デバイスはMEMSデバイスである、
ことを特徴とする請求項19に記載のパッケージング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージングの技術分野に関し、特にパッケージング方法及びパッケージング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(Micro-Electro-Mechanical System、MEMS)デバイスは、小型化、集積化、高性能、低コストの特徴を備え、自動車、航空宇宙、衛星航法、信号処理、生物学などの分野に広く応用されている。しかし、多くのMEMSデバイスは、真空環境又は不活性ガス気密環境下で動作する必要があるが、シェルアンドチューブレベルの真空パッケージングのコストが高く、MEMSデバイスの低コストのニーズを満たすことができない。近年、MEMSデバイスの発展に伴い、ウェハレベルパッケージング(Wafer-Level Packaging、WLP)プロセス技術が徐々に発展して来て、MEMSデバイスのパッケージングコストを大幅に低減させる。
【0003】
図1に示すように、MEMSデバイスによく使用されているウェハレベルパッケージング方法は、まず、真空環境の下で、MEMSデバイス102の作製を完了した被パッケージングウェハ101の第2表面と、CMOSデバイス100aを有するCMOSウェハ100とを位置合わせして接合し、次に、真空環境の下で、溝103構造を有するキャップウェハ(Cap wafer)104と、前記被パッケージングウェハ101の第1表面とを位置合わせして接合し、溝103によってMEMSデバイス102のパッケージングキャビティを構成し、該MEMSデバイス102へのウェハレベル真空パッケージングを完了し、次に、ダイシングによって独立したパッケージングされたMEMS製品を形成するステップを含む。CMOSウェハ100は、MEMSデバイス102のために必要な種々の回路を提供するために用いられるが、キャップウェハ104は、MEMSデバイス102のために専門的に真空キャッピングする。
【0004】
しかしながら、このようなMEMSデバイスのパッケージング方法には、次のような欠点がある。
1、該製品は、実現するために3枚のウェハを必要として、コストが高く、且つ超薄型の製品の作製に役立たない。
2、中間のウェハ上で、MEMSデバイスの全ての構造を作製する必要があり、該MEMSデバイスが復雑な場合、作製プロセスの難易度が高く、製品の集積度の向上に役立たない。
3、MEMSデバイスの一部又は全ては、一般的に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とするから、これらの部分は、CMOS回路構造の作製と同じプラットフォームで集積できず、3枚のウェハで実現する時、ウェハの有効利用率が低くなる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の1つは、ウェハの数量を減少することができ、ウェハの利用率の向上及びコストの低減に役立つパッケージング方法及びパッケージング構造を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、製品の集積度を向上させ、且つ複雑なデバイスの作製プロセスの難易度を低減させることができるパッケージング方法及びパッケージング構造を提供することにある。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は、
キャップウェハを提供するステップであって、前記キャップウェハ内に溝が形成され、前記溝内に犠牲層が形成され、且つ前記犠牲層上に第1デバイスが形成されるステップと、
第2デバイスが形成される基板ウェハを提供するステップと、
前記第1デバイスが前記第2デバイスと電気的に接続されるように、前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するステップと、
前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記犠牲層を除去し、キャビティを前記キャップウェハと前記基板ウェハとの間に形成するステップであって、前記第1デバイスが前記キャビティ内に位置するステップと、を含むパッケージング方法を提供する。
【0008】
選択的に、前記犠牲層を前記溝内に形成する前に、先に保護層を前記溝の側壁と底壁に形成する。
【0009】
選択的に、前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前に、第1接合構造を前記第1デバイス上に形成するとともに前記第1接合構造に対応する第2接合構造を前記第2デバイス上に形成し、前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するときに、前記第1接合構造と前記第2接合構造とを位置合わせして接合することにより、電気的接続を形成する。
【0010】
選択的に、前記第1接合構造と前記第2接合構造の材料は、それぞれAl、Ge、Cu、Au、Ni、Sn及びAgのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
選択的に、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前に、第1密封リングを前記溝の外周側の前記キャップウェハの表面上に位置するように前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面上に形成するステップと、第2密封リングを前記第1密封リングに対応するとともに前記第2デバイスの外周側の前記基板ウェハの表面上に位置するように前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面上に形成するステップと、をさらに含み、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するときに、前記第1密封リングと前記第2密封リングとを位置合わせして接合することにより、前記キャビティを封止する。
【0012】
選択的に、前記第1密封リングと前記第2密封リングの材料は、絶縁媒体又は金属である。
【0013】
選択的に、前記パッケージング方法は、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合する前又は後に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記キャップウェハをエッチングすることにより、前記犠牲層を露出させる少なくとも1つの開放孔を形成し、前記開放孔によって、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記犠牲層を除去するステップと、
前記犠牲層を除去した後に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記開放孔を密封し、前記第1デバイスを前記キャビティ内に密封するステップと、をさらに含む。
【0014】
選択的に、前記キャップウェハをエッチングして前記開放孔を形成する前に、前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記キャップウェハを薄型化する。
【0015】
選択的に、
前記第1デバイスは、独立型デバイスの全てを含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの動作をサポートする回路構造を含み、
又は、前記第1デバイスは、独立型デバイスの一部を含み、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの他部を含み、前記第1デバイスと前記第2デバイスとを電気的に接続することにより前記独立型デバイスが形成される。
【0016】
選択的に、前記独立型デバイスはMEMSデバイスである。
【0017】
本発明は、
溝が形成され、前記溝内に除去可能な犠牲層が形成され、前記犠牲層上に第1デバイスが形成されるキャップウェハと、
第2デバイスが形成される基板ウェハと、を含み、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面が、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面と接合され、前記第1デバイスが前記第2デバイスと電気的に接続され、且つ前記犠牲層が除去された後に、前記キャップウェハと前記基板ウェハとの間にキャビティが形成され、前記第1デバイスが前記キャビティ内に位置するパッケージング構造を提供する。
【0018】
従来の技術と比べると、本発明の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する:
本発明のパッケージング方法では、まず、キャップウェハ内に溝を形成し、且つ犠牲層を前記溝内に形成し、次に、第1デバイス(独立型デバイスの構造の全て又は一部であってもよい)を前記犠牲層上に作製し、且つ前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面をフリップの方式で第2デバイス(前記独立型デバイスの別の部分の構造又は前記独立型デバイスの動作をサポートする回路構造であってもよい)が形成される基板ウェハの表面上に接合し、前記キャップウェハ上の第1デバイスの密封及び第2デバイスとの電気的接続を実現し、次に、犠牲層を除去してキャップウェハ上の第1デバイスの動作に必要なキャビティを形成する。本発明のパッケージング方法は、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハを使用すれば、従来のキャップウェハ、被集積ウェハ及び基板ウェハという3つのウェハのパッケージング構造を実現することができ、ウェハの利用率を向上させ、且つコストを低減させることができ、超薄製品の作製に役立つと共に、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハ上にそれぞれ対応するデバイスを作製することができるため、製品の集積度の向上に役立ち、特に、複雑なデバイス(すなわち独立型デバイス)を二つの部分に分けて、それぞれキャップウェハと基板ウェハという2つのウェハに作製することができ、これによって、複雑なデバイスの作製のプロセスの難易度を大幅に低減させることができ、例えば、前記複雑なデバイスがMEMSデバイスの場合、MEMSデバイスの中に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする部分を第1デバイスとして、MEMSデバイスの他の部分及び前記MEMSデバイスの動作をサポートするCMOS回路構造を第2デバイスとして使用することができるため、MEMSデバイスの第1デバイスの作製は、CMOS回路構造の作製と同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。
【0019】
本発明のパッケージング構造は、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハを備え、且つキャップウェハ内に溝が形成され、前記溝内に除去可能な犠牲層が形成され、前記犠牲層上に第1デバイスが形成されるため、前記キャップウェハは、真空パッケージングのキャッピング層として用いられるだけでなく、さらにMEMSなどの独立型デバイスの一部又は全て(すなわち第1デバイス)を作製するためにも用いられ、且つその除去可能な犠牲層がキャップウェハの溝内に形成され、キャップウェハが基板ウェハ上に接合される後に、前記犠牲層を除去すれば、キャップウェハ上の第1デバイスをキャビティ内にパッケージングすることができる。本発明のパッケージング構造は、コストを低減させ、製品の集積度を向上させ、且つ複雑なデバイスのプロセス難易度を低減させることができ、超薄型製品の作製に役立ち、且つMEMSなどの独立型デバイスの一部又は全てには高温又は特別なプロセスを必要として、CMOSデバイス回路と同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来のMEMSデバイスのウェハレベル真空パッケージング方法におけるデバイスの断面構造の概略図である。
【
図2】本発明の具体的な実施例におけるパッケージング方法のフローチャートである。
【
図3A】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3B】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3C】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3D】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3E】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3F】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3G】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3H】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【
図3I】本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、特徴をより明確かつ分かりやすくするために、以下、本発明の発明を実施するための形態について添付図面に関連してさらに説明するが、本発明との混同を避けるために、当分野で周知のいくつかの技術的特徴については説明されていない。しかしながら、本発明は異なる形式で実現することができ、前記実施例のみに限定されるべきではない。当業者であれば明らかなことは、本発明は、1つ又は複数のこれらの詳細を必要とせずに実施することができる。図面において、明確にするために、層と領域のサイズ及び相対的なサイズが誇張されている可能性がある。最後まで同じ符号は、同じ要素を表す。認識すべきことは、本明細書では、ある物を別の物上に形成する場合、その物の一部又は全ては、別の物内に位置してもよく、又は完全に別の物の表面上に位置してもよく、且つ前記別の物との間には直接接触であってもよく、仲介要素又は層があってもよい。様々な要素、部品、領域、層及び/又は部分は、第1、第2、第3などの用語を使用して説明できるが、これらの要素、部品、領域、層及び/又は部分は、これらの用語に限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層及び/又は部分を別の要素、部品、層及び/又は部分と区別するためにのみ用いられる。「…の下に」、「…の下方に」、「下の」、「…の下方の」、「…の上に」、「上の」、「上方の」などの空間的関係用語は、ここで説明を容易にするために使用されてもよく、それにより図に示された1つの要素、又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明する。単数形の「1」、「1つ」及び「前記/該」は、文脈によって他の方式が明確に示されない限り、複数形を含むことをさらに意図している。さらに、認識すべきことは、「構成」及び/又は「含む」という用語は、該明細書で使用される時、前記特徴、ステップ、動作、要素及び/又は部品の存在を決定するが、1つ又は複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、部品及び/又はグループの存在又は追加を排除するものではないここで使用される時、「及び/又は」という用語は、関連して記載される項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0022】
図2を参照されたいが、本発明の一実施例は、
キャップウェハを提供するステップS1であって、前記キャップウェハ内に溝が形成され、前記溝内に犠牲層が形成され、且つ前記犠牲層上に第1デバイスが形成されるステップS1と、
第2デバイスが形成される基板ウェハを提供するステップS2と、
前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面と、前記第2デバイスが形成される前記基板ウェハの表面とを接合するステップS3であって、前記第1デバイスが前記第2デバイスと電気的に接続されるステップS3と、
前記キャップウェハの前記基板ウェハと背向する片側から前記犠牲層を除去し、キャビティを前記キャップウェハと前記基板ウェハとの間に形成するステップS4であって、前記第1デバイスが前記キャビティ内に位置するステップS4と、を含む、パッケージング方法を提供する。
【0023】
図3Aから
図3Iは本発明の具体的な実施例のパッケージング方法におけるデバイスの断面構造の模式図である。以下、
図2及び
図3Aから
図3Iに関連して本発明の実施例のパッケージング方法を説明する。
【0024】
図3Aを参照されたいが、ステップS1では、まず、反対して設置される第1表面300a(表面とも呼ばれる)と第2表面300b(裏面とも呼ばれる)を備えるキャップウェハ30を提供する。前記キャップウェハ30は、第1基板300を含み、前記第1基板300は、当業者によく知られている任意の適切な基板材料であってもよく、例えば、半導体基板、ガラス基板、石英基板、透明高分子基板、サファイア基板、セラミック基板などであり、前記半導体基板の材料は、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、InAs、GaAs、InP、InGaAs又は他のIII/V化合物半導体のうちの少なくとも1つであってもよく、前記半導体基板は、これらの半導体で構成される多層構造などをさらに含んでもよく、又は絶縁体上シリコン(SOI)、絶縁体上積層シリコン(SSOI)、絶縁体上積層ゲルマニウム化シリコン(S-SiGeOI)、絶縁体上ゲルマニウム化シリコン(SiGeOI)及び絶縁体上ゲルマニウム(GeOI)などであってもよい。前記第1基板300は、ダイであってもよい。次に、熱酸化プロセス等を採用して第1基板300の第1表面300aに、キャップウェハ30の第1表面300aを保護する保護層として、酸化層(図示せず)を形成することができる。
【0025】
次に、引き続き
図3Aを参照されたいが、ステップS1では、フォトレジスト塗布、露光、現像等のフォトリソグラフィプロセスを採用し、溝を定義するためのパターン化フォトレジスト層(図示せず)を第1基板300の第1表面300a上に形成し、且つ前記パターン化フォトレジスト層をマスクとして、前記第1基板300の第1表面300aを所定の深さまでエッチングして溝300’を形成する。前記溝300’の断面(すなわち、キャップウェハ30の第1表面300aに平行な断面)の形状は、四角形、六角形、円形又は楕円形等であってもよく、前記溝300’の縦断面(すなわち、キャップウェハ30の第1表面300aに垂直な断面)の形状は、長方形、正台形、逆台形、U字状等であってもよい。前記溝300’の深さは、第1デバイスのパッケージング要件を満たすために、後に形成される第1デバイスに必要なキャビティの深さに依存し、前記溝300’の深さは、例えば5μm~20μmであり、具体的には、例えば8μm、10μm、12μm、15μm等である。次に、前記パターン化フォトレジスト層を除去する。具体的に実施するときに、エッチング以外の当業者によく知られている他の手段(例えば、レーザーによる溝掘削、ブレードによる切断等)を採用して、溝300’をキャップウェハ30内に形成することもできる。
【0026】
認識すべきことは、本発明の他の実施例では、ステップS1では、提供される第1基板300は、ダイではなく、イオン注入、堆積、エッチングなどの半導体の加工工程によって処理された後の基板材料であってもよく、それは、溝を形成するための領域以外の領域で、様々なデバイスを形成してもよく、金属相互接続構造などを形成してもよく、これらの構造が溝及び後に形成される開放孔を妨げなければよく、これらのデバイスは、メモリ、論理回路、パワーデバイス、バイポーラデバイス、個別のMOSトランジスタなどのアクティブデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよく、発光ダイオードなどの光電デバイスをさらに含んでもよく、さらに、抵抗、容量などの受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
引き続き
図3Aと
図3Bを参照されたいが、ステップS1では、溝300’を形成した後に、犠牲層302を気相堆積、スピンコートなどのプロセスを採用して前記溝内に充填することができる。前記犠牲層302の材料は、ポリイミド(PI)、非晶質炭素(α-C)、酸化シリコン(OX)、リンドープシリコンガラス(PSG)、ボロンドープシリコンガラス(BPSG)などの材料のうちの少なくとも1つを含む。前記犠牲層302の材料は、前記キャップウェハ30の材質と異なる半導体材料のうちの少なくとも1つであってもよく、例えば、前記第1基板300の材料は単結晶シリコンであり、前記第1基板300と異なる半導体材料は、ゲルマニウム、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどであってもよい。
【0028】
犠牲層302と第1基板300との間のエッチング選択が大きい場合、後の犠牲層302の放出に役立つが、犠牲層302を放出するときに、第1基板300に一定のダメージを与える可能性があるという問題を考えると、本実施例では、犠牲層302を溝300’内に充填する前に、まず、熱酸化プロセス又は化学気相堆積(例えばPECVD)などのプロセスによって、溝300’の底壁と側壁上に保護層301を被覆し、前記保護層301は、溝300’領域から第1基板300の第1表面300aの一部又は全ての領域にわたって延在し被覆し、後に前記犠牲層302を除去するときに、前記第1基板300を損傷から保護することができる。前記保護層301の材質は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、反射防止薄膜、吸着剤などの材料であってもよく、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)などの金属材料であってもよく、さらに、窒化チタン(TiN)と窒化モリブデンアルミニウム(MoAlN)などの金属窒化物材料であってもよい。前記保護層301の厚さは、例えば3nm~500nmである。
【0029】
本発明の他の実施例では、前記溝300’及び前記犠牲層302の形成は、上記エッチングと充填のプロセスに限定されず、イオン注入プロセスによって、溝300’に限定される領域内の第1基板300の材料を改質し、溝300’に限定される領域内の第1基板300の材料を犠牲層302に変換してもよく、具体的な過程は次の通りである:まず、前記第1基板300の第1表面300aの所定の領域(すなわち、溝300’に限定される領域)に不純物イオンを注入し、さらに、アニールプロセスによって、ドーピング領域(図示せず)を形成し、前記不純物イオンは、例えば、第1基板300の導電型とは逆型のイオンであり、ドーピング濃度は、第1基板300内のイオンドーピング濃度より大きく、アニール温度は、例えば、900℃~1100℃であり、好ましくは1000℃であり、アニール時間は、例えば、40分間~60分間であり、次に、電気化学腐食プロセスによって、第1基板300の第1表面300aのドーピング領域を、犠牲層302と犠牲層302が位置する溝300’に変換し、このときに犠牲層302は多孔質材料である。
【0030】
図3Cを参照されたいが、ステップS2では、次に、対応するレイアウト設計に従って、且つ対応する半導体作製プロセスを採用し、第1デバイス303を犠牲層302上に作製することができる。前記第1デバイス303は、犠牲層302の上に形成されるが、犠牲層302以外の領域を被覆せず、それによって、後に犠牲層302を除去した後に、キャップウェハ30から完全に分離することができる。
【0031】
前記第1デバイス303は、独立した機能を有する独立型デバイスの一部又は全てであってもよく、それによって、後に提供される基板ウェハ内に前記第1デバイス303の動作をサポートするCMOS回路を作製し、それによって、高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする前記第1デバイス303といくつかのCMOSプロセスとは互換性がなく、同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。
【0032】
前記第1デバイス303は、当業者によく知られている適切なプロセスによって、犠牲層302の表面上に形成してもよく、前記第1デバイス303に対応する独立型デバイスは、メモリ、論理回路、パワーデバイス、バイポーラデバイス、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)などのアクティブデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよく、さらには、発光ダイオードなどの光電デバイスを含んでもよく、抵抗、容量などのような受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。前記MEMSは、ジャイロスコープ、加速度計、慣性センサ、圧力センサ、流量センサ、変位センサ、電界センサ、電界強度センサ、電流センサ、磁束センサと磁界強度センサ、温度センサ、熱流束センサ、熱伝導率センサ、光変調器、音センサ、ガスセンサ、湿度センサ、イオンセンサ、バイオセンサ等のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、1つの前記第1デバイス303に対応する独立型デバイスは、1つのコンポーネントのみを含むチップであってもよく、複数の同じ構造のコンポーネントを有するチップであってもよく、さらに、複数の異なる構造及び/又は異なる機能を有するコンポーネントを有するチップであってもよい。
【0033】
本実施例におけるキャップウェハ30の第1表面300aとは、キャップウェハ30に犠牲層302と第1デバイス303が形成される片面を指し、前記第2表面300bとは、前記第1表面300aとは反対するキャップウェハ30の表面を指し、ここで、前記第1表面300aを表面と呼び、前記第2表面300bを裏面と呼ぶことができる。本実施例におけるキャップウェハ30の第1表面300a及び第2表面300bについては、特に明記されていない限り、上記説明を参照する。
【0034】
図3Dを参照されたいが、ステップS3では、まず、リフトオフ(Lift-off)プロセス又は典型的なフォトリソグラフィ、エッチングプロセスによって、第1デバイス303上に位置する第1接合構造307と、前記溝300’の外周側に位置するキャップウェハ30の第1表面300a上に位置する第1密封リング308とを形成することができる。
【0035】
前記第1接合構造307は、導電性ポスト構造であってもよく、例えば金属導電性ポスト構造であり、その材料は、業界で広く使用されている金属導電材料であってもよく、例えば、Al、Ge、Cu、Au、Ni、Sn、Pt、Ag及びWなどの金属材料のうちの少なくとも1つを含む。第1密封リング308は、キャビティの封止を実現するために用いられ、その材料は、接合及び密封のために業界で広く使用されているダイアタッチフィルム(die attach film、DAF)又はドライフィルム等の絶縁媒体、又は金属材料であってもよい。好ましくは、前記第1接合構造307と前記第1密封リング308の上面(すなわち、キャップウェハ30の第1表面300aと背向する表面)とは面一であり、それによって後の基板ウェハ上の対応する第2接合構造(
図3Eにおける403のように)と第2密封リング(
図3Eにおける404のように)の上面とは面一であり、前記第2接合構造と第2密封リングの作製の難易度を低減させ、且つ後の接合プロセスの難易度を低減させ、接合後の構造の安定性を向上させることに役立つ。また、第1密封リング308と前記第1接合構造307は、同ときに形成されてもよく、段階的に形成されてもよく、第1密封リング308と前記第1接合構造307が同ときに形成される場合、第1密封リング308と前記第1接合構造307とは同じ材料であり、例えばいずれも金属材料であり、且つ第1密封リング308が外周側に位置するので、その所在する位置でのキャップウェハ30と後の第2密封リングの位置での基板ウェハの表面は、一般的にいずれも絶縁媒体で被覆されるので、第1密封リング308と後に形成される金属材質の第2密封リングとを接合した後に、該位置でのキャップウェハ30と基板ウェハとの間の電気的接続を引き起こすことはなく、第1密封リング308と前記第1接合構造307が段階的に形成される場合、第1密封リング308と前記第1接合構造307とは異なる材料であってもよく、例えば、前記第1接合構造307は金属材料であり、第1密封リング308はDAF又はドライフィルムなどの絶縁媒体である。
【0036】
典型的な前記リフトオフ(Lift-off)プロセスは、例えば、まず、第1デバイス303が形成されるキャップウェハ30の第1表面300aに、接着剤を塗布してフォトリソグラフィを行い、フォトレジスト(図示せず)をパターン化し、特定領域のキャップウェハ30の第1表面300a及び第1デバイス303の表面からそれを露出させ、次に、金属薄膜(図示せず)を作製し、フォトレジストで被覆される領域では、金属薄膜をフォトレジスト上に形成し、フォトレジストで被覆されていない領域では、金属薄膜をキャップウェハ30の第1表面300a及び第1デバイス303の表面上に直接形成し、次に、溶媒を用いて前記フォトレジストを除去し、このときに不要な金属(すなわちフォトレジスト上に形成される金属薄膜)は、フォトレジストの溶解に伴って溶媒中に脱落するが、キャップウェハ30の第1表面300a及び第1デバイス303の表面に直接形成される金属は、残って図形に形成され、すなわち第1接合構造307の図形を得るステップを含む。当然、本発明のいくつかの実施例では、該プロセスを採用して前記第1接合構造307を形成すると共に、同じ材質の第1密封リング308も形成することができ、それによって、第1接合構造307と第1密封リング308との組み合わせ図形を得て、それによって、プロセスを簡略化することができる。
【0037】
典型的なフォトリソグラフィ、エッチングプロセスは、例えば、まず、物理気相堆積等のようなプロセスによって、金属薄膜(図示せず)を第1デバイス303が形成されるキャップウェハ30の第1表面300aに形成し、次に、金属薄膜上にフォトレジスト(図示せず)を塗布し、且つ露光と現像等のフォトリソグラフィプロセスを行い、フォトレジストをパターン化し、特定の領域の金属薄膜からそれを露出させ、次に、フォトレジストをマスクにして、前記金属薄膜をエッチングし、ポジ型フォトレジストを採用すればポジ型フォトレジストで被覆される金属薄膜部分を残し、ネガ型フォトレジストを採用すればネガ型フォトレジストから露出した金属薄膜部分を残し、残りの金属薄膜を除去することにより、第1接合構造307の図形を得るステップを含む。当然、本発明のいくつかの実施例では、該プロセスを採用して前記第1接合構造307を形成すると共に、同じ材質の第1密封リング308も形成することができ、それによって、第1接合構造307と第1密封リング308との組み合わせ図形を得て、それによって、プロセスを簡略化することができる。
【0038】
別の典型的なフォトリソグラフィ、エッチングプロセスは、例えば、層間誘電体層(図示せず)を、第1デバイス303を含むキャップウェハ30の第1表面300a上に堆積し、次に、層間誘電体層上にフォトレジストを塗布し、且つ露光と現像プロセスを行い、フォトレジストをパターン化し、特定領域の層間誘電体層からそれを露出させ、次に、フォトレジストをマスクにして、前記層間誘電体層をエッチングし、第1接合構造307及び第1密封リングに必要な開口図形を層間誘電体層内に形成し、次に、金属充填プロセス(例えば、メッキプロセス等)によって、前記開口図形内に金属を充填し、開口図形内に金属を充填するときに、前記層間誘電体層の表面もそれに伴って、一定の厚さの金属で被覆されると、化学機械研磨等のプロセスによって余分な金属を除去することができ、次に、必要に応じて、前記層間誘電体層を除去することができるステップを含む。それによって、最上面が面一である第1接合構造307の図形を得る。当然、本発明のいくつかの実施例では、該プロセスを採用して前記第1接合構造307を形成すると共に、同じ材質の第1密封リング308も形成することができ、それによって、第1接合構造307と第1密封リング308との組み合わせ図形を得て、それによって、プロセスを簡略化することができる。
【0039】
図3Eを参照されたいが、ステップS2では、次に、基板ウェハ40を提供し、前記基板ウェハ40は、例えば、CMOSなどのデバイスの作製を完了したデバイスウェハであり、それは、第2基板400と、前記第2基板400上に形成される第2デバイスとを含んでもよく、前記第2デバイスは、CMOSデバイス401と、CMOSデバイス401と電気的に接続される金属相互接続構造402とを含んでもよい。前記第1デバイス303が独立型デバイスの一部のみである場合、前記第2デバイスは、前記金属相互接続構造402と電気的に接続される前記独立型デバイスの別の部分(図示せず)をさらに含んでもよく、基板ウェハ40とキャップウェハ30とを接合した後に、前記第2デバイスは、前記第1デバイス303と電気的に接続され、完全な独立型デバイスを形成する。例えば、前記独立型デバイスはMEMSデバイスであり、前記第1デバイス303は、MEMSデバイスの中に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする構造であり、これらの構造は、CMOSと同じプラットフォームで集積できず、前記第2デバイスは、MEMSデバイスの別の部分の構造を含み、これらの構造は、CMOSと同じプラットフォームで集積でき、それによって、MEMSデバイス構造の一部が高温又は特別なプロセスを必要とするから、CMOSプロセスと互換性がないという欠点を回避することができる。キャップウェハ30と接合するための前記基板ウェハ40の表面には、第1接合構造307に対応する第2接合構造403と、第1密封リング308に対応する第2密封リング404がさらに形成される。
【0040】
前記第2基板400は、当業者によく知られている任意の適切な基板材料であってもよく、前記第2デバイスは、当業者によく知られている適切な半導体プロセスによって、該第2基板400の第1表面400a上に形成されてもよく(第1表面400aの下に位置する部分をさらに含む)、前記第2デバイスのCMOSデバイス401は、個別のMOSトランジスタであってもよく、複数のNMOSトランジスタ又は複数のPMOSトランジスタであってもよく、さらに、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタなどの組み合わせであってもよく、前記第2デバイスは、メモリ、論理回路、パワーデバイス、バイポーラデバイスなどのアクティブデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよく、さらには、発光ダイオードなどの光電デバイス及び抵抗、容量などのような受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。金属相互接続構造402は、基板ウェハ600内の前記第2デバイスの対応するデバイスを外に引き出すために用いられ、キャップウェハ30内の第1デバイス303の動作をサポートし、それにアナログデジタル変換、増幅、記憶、フィルタリングなどの機能を提供するために用いられ、さらには、第1デバイス303と電気的に接続されて完全な独立型デバイスを構成することができる。第2密封リング404は、第1密封リング308とともに、後に形成されるキャビティを外部環境から隔離するように閉鎖するための閉環状構造である。前記第2接合構造403は、導電性ポスト構造であってもよく、例えば金属導電性ポスト構造であり、その材料は、業界で広く使用されている金属導電材料であってもよく、例えばAl、Ge、Cu、Au、Ni、Sn、Pt、Ag及びWなどの金属材料のうちの少なくとも1つを含み、第1接合構造307と第2接合構造403とを接合した後に、電気的接続を形成することができ、それによって第1デバイス303と第2デバイスを電気的に接続する。第2密封リング404は第1密封リング307と接合され、キャビティの封止を実現するために用いられ、第2密封リング404の材料は、接合及び密封のために業界で広く使用されている絶縁媒体(例えばDAF又はドライフィルム等)又は金属材料であってもよい。また、第2接合構造403と第2密封リング404は、同ときに形成されてもよく、段階的に形成されてもよく、且つ第2接合構造403と第2密封リング404の形成プロセスは、第1接合構造307と第2密封リング308の形成プロセスを参照してもよく、ここでは再度言及しない。
【0041】
図3Fを参照されたいが、ステップS3では、キャップウェハ30を倒置し、キャップウェハ30の第2表面300bを上に向け、且つキャップウェハ30の第1表面300aと基板ウェハ40の第1表面400aの対応する領域を位置合わせし、さらに、接合プロセスを採用し、キャップウェハ30の第1表面300aを、基板ウェハ40の第1表面400a(すなわち第2デバイスが形成される表面)上に接合し、この時、第1接合構造307と第2接合構造403とが位置合わせされて接合され、電気的接続が形成され、それにより第2デバイスと第1デバイス303とが電気的に接続され、第2デバイスは、第1デバイス303の動作をサポートすることができるか、又は第2デバイスと第1デバイス303とを電気的に接続して完全な独立型デバイスを形成することができる。第1密封リング308と第2密封リング404は、いずれも閉鎖した環状構造(すなわち閉環状構造)であり、両者は、位置合わせされて接合されて物理的接続を形成し、それによって第1デバイス300を第1密封リング308と第2密封リング404によって囲んで形成される空間内に囲む。キャップウェハ30の第1表面300aを基板ウェハ40の第1表面400a上に接合するときに、溶融接合、共晶接合、静電接合等の任意の適切な接合方式を使用することができる。本実施例では、第1デバイス300は、溝の外周側の第1基板300の表面に対して多く突出し、第1密封リング308と第2密封リング404は、前記第1デバイス303に必要なキャビティを閉鎖するために用いられるほか、キャップウェハ30と基板ウェハ40とを接合する過程において、余分な接合材料が前記キャビティ内に入ることを阻止し(すなわち、第1密封リング308と第2密封リング404によって囲んで形成される、第1デバイス303が位置する空間)、さらには、最終的に形成されるキャビティの形状及び大きさへの影響を回避し、第1デバイス303の移動に必要な空間を確保するためにも用いることができる。
【0042】
図3Gを参照されたいが、ステップS4では、キャップウェハ30の第1基板300が厚いと、開放孔の形成に役立たないため、まず、キャップウェハ30の第2表面300bを薄型化し、それにより、後の開放孔のエッチングプロセスの難易度を低減させることができ、且つ開放孔のアスペクト比の低減は、充填プロセスの難易度を低減させることに役立つ。次に、典型的なフォトリソグラフィ、エッチングプロセスによって、キャップウェハ30の第2表面300bを、犠牲層302を露出させる表面までエッチングし、少なくとも1つの開放孔304を形成し、開放孔304の底部から前記犠牲層302の表面を露出させる。
【0043】
本発明の他の実施例では、前記開放孔304を形成するステップ(すなわちステップS4)は、キャップウェハ30の第1表面300aと基板ウェハ40の第1表面400aとを接合する前に、実行されてもよい。
【0044】
図3Gと
図3Hを参照されたいが、ステップS4では、ドライエッチングプロセス、又はウェットエッチングプロセス、又はドライエッチングとウェットエッチングを組み合わせたプロセスを採用し、各前記開放孔304に沿って犠牲層302を除去してもよい。明らかに、犠牲層302の除去を容易にするために、ステップS1で犠牲層302を形成するときに、様々な材質の相互間のエッチング選択比を考慮すべきであり、ステップS1では、まず、第1基板300をエッチングして溝300’を形成し、次に、犠牲層302を溝300’内に充填するときに、前記犠牲層302の材質は、好ましくは、ポリイミド(PI)、アモルファスカーボン(C)、フォトレジスト(PR)等のアッシング除去可能な材料であり、この時、保護層301を省略してもよく、従って第1デバイス303と第1基板300にいずれも深刻なダメージを与えることがない。本発明のいくつかの実施例では、ステップS1では、まず、第1基板300をエッチングすることによって溝300’を形成し、次に、犠牲層302を溝300’内に充填する時、犠牲層302としてゲルマニウム(Ge)又は酸化物層を選択してもよく、この時、犠牲層302を除去する過程において、第1デバイス303と第1基板300を保護するために、溝300’の側壁と底壁に保護層301を形成する必要がある。本発明の他の実施例では、イオン注入プロセスによって、溝300’に限定される領域内の第1基板300の材料を前記犠牲層302に変換する時、形成される前記犠牲層302の材質は、ポーラスシリコンなどの多孔質の半導体材料であってもよい。
【0045】
犠牲層302が完全に除去された後に、キャップウェハ30と基板ウェハ40との間に、第1デバイス303を収容するキャビティ305が形成され、各開放孔304がキャビティ305と連通する。保護層301は、引き続き保持されてもよく、開放孔304を介してさらに除去されてもよい。本実施例では、キャビティ305は、実質的に第1密封リング308と第2密封リング404によって囲んで形成される空間と溝300’を組み合わせて形成されるものである。
【0046】
図3Hと
図3Iを参照されたいが、ステップS4では、化学気相堆積(CVD)プロセスを採用し、より迅速に封口される薄膜材料をキャップウェハ30の第2表面300b上に堆積することができ、例えば、エチルオルトシリケート(TEOS)等であり、ホールブロッキング層306を形成し、且つ前記ホールブロッキング層306が各開放孔304を満充填し、且つキャップウェハ30の第2表面300b上に被覆され、各前記開放孔304の封口を実現し、それにより前記キャビティ305を密封し、それを真空キャビティにする。本発明の他の実施例では、さらに、真空環境の下で、ホールブロッキング層306としてテープを使用し、前記キャップウェハ30の第2表面300bに貼り付け、各前記開放孔304の封口を実現することができる。
【0047】
本発明の他の実施例では、第1デバイス303に開放されるキャビティ構造を必要とする場合、例えば、第1デバイス303がマイクロホンの一部又は全てである場合、306を形成して開放孔304を密封するステップを省略してもよく、開放孔304は、マイクロホンの音孔として機能することができる。
【0048】
次に、必要に応じて、さらに、キャップウェハ30の第2表面300b又は基板ウェハ40の第2表面(すなわち、キャップウェハ30と基板ウェハ40とが接合される後に、基板ウェハ40のキャップウェハ30と背向する片側の表面)から、接合されるキャップウェハ30と基板ウェハ40をダイシングし、ダイシングトラック及び対応するウェハを形成することができる。
【0049】
さらに、射出成形材料(図示せず)を射出成形プロセスによって、キャップウェハ30の第2表面300b上に被覆することができる。例として、前記射出成形材料は、熱硬化性樹脂を含み、成形過程において軟化又は流動することができ、可塑性を有し、一定の形状に作製することができ、また、化学反応を起こして架橋硬化することができ、フェノール樹脂、尿素アルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含んでもよい。前記射出成形材料は、キャップウェハ30と基板ウェハ40を埋め込むことができ、且つ平坦な上面を有し、それによって、後のコンタクトプラグプロセスに必要なプロセス表面を提供する。
【0050】
本実施例のパッケージング方法では、まず、キャップウェハ内に溝を形成し、且つ犠牲層を前記溝内に形成し、次に、第1デバイス(独立型デバイスの構造の全て又は一部であってもよい)を前記犠牲層上に作製し、且つ前記第1デバイスが形成される前記キャップウェハの表面をフリップの方式で第2デバイス(前記独立型デバイスの別の部分の構造又は前記独立型デバイスの動作をサポートする回路構造であってもよい)が形成される基板ウェハの表面上に接合し、前記キャップウェハ上の第1デバイスの密封及び第2デバイスとの電気的接続を実現し、次に、犠牲層を除去してキャップウェハ上の第1デバイスの動作に必要なキャビティを形成する。本発明のパッケージング方法は、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハを使用することによって、従来のキャップウェハ、被集積ウェハと基板ウェハという3つのウェハのパッケージング構造を実現することができ、ウェハの利用率を向上させ、且つコストを低減させることができ、超薄製品の作製に役立つとともに、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハ上でそれぞれ対応するデバイスを作製することができるため、製品の集積度の向上に役立ち、特に複雑なデバイス(すなわち独立型デバイス)を二つの部分に分けて、それぞれキャップウェハと基板ウェハという2つのウェハに作製することができ、これによって複雑なデバイスの作製のプロセスの難易度を大幅に低減させることができ、例えば、前記複雑なデバイスがMEMSデバイスの場合、MEMSデバイスの中に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする部分を第1デバイスとして、MEMSデバイスの他の部分及び前記MEMSデバイスの動作をサポートするCMOS回路構造を第2デバイスとして使用することができるため、MEMSデバイスの第1デバイスの作製は、CMOS回路構造の作製と同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。
【0051】
認識すべきことは、上記実施例では、
図3Aと
図3Bを参照されたいが、ステップS1で提供されるキャップウェハ30内に形成される溝300’が十分に深い場合、溝300’内に充填される犠牲層302は、溝300’を満充填しておらず、それによって、犠牲層302上に形成される第1デバイス303の上面は、溝の外周側の第1基板300の第1表面300aと面一であるか、又は溝の外周側の第1基板300の第1表面300aよりわずかに高くなる(例えば500nm以内しか高くない)場合、第1密封リング308と第2密封リング404の作製を省略してもよく、接着剤又は他の接合材を直接利用し、溝の外周側のキャップウェハ30と基板ウェハ40の対向表面(すなわち300aと400a)を接合することができ、このときに第1デバイス303を構成するために必要なキャビティは、主に溝300によって形成される。
【0052】
図3Hから
図3Iを参照されたいが、本発明の一実施例は、パッケージング構造をさらに提供し、プロセスを簡略化し、コストを低減させるために、好ましくは、本発明のパッケージング方法を採用して作製する。
【0053】
本実施例のパッケージング構造は、接合される2つのウェハ、すなわちキャップウェハ30と基板ウェハ40を含む。前記キャップウェハは、反対して設置される第1表面300aと第2表面300bを備え、前記キャップウェハ30の第1表面300a上に溝(
図3Aにおける300’に示すとおり)が形成され、前記溝内に除去可能な犠牲層302が充填され、前記犠牲層302上に第1デバイス303が形成される。前記基板ウェハ40は、第2デバイス(CMOSデバイス401と、CMOSデバイスと電気的に接続される金属相互接続構造402とを含む)を備え、前記キャップウェハ30の第1表面300aが前記基板ウェハ40の第1表面400aに接合され、且つ前記犠牲層302が除去される時、前記キャップウェハ30と前記基板ウェハ40との間にキャビティ305が形成され、前記第1デバイス303が前記キャビティ305内に位置し、且つ前記第2デバイスと電気的に接続される。
【0054】
本実施例では、前記キャップウェハ30は、当業者によく知られている任意の適切な基板材料であってもよく、例えば半導体、ガラス、石英、透明高分子材料、サファイア、セラミックなどであり、前記キャップウェハ30の溝の断面(すなわち、キャップウェハ30の第1表面300aに平行な断面)の形状は、四角形、六角形、円形又は楕円形等であってもよく、前記溝3の縦断面(すなわち、キャップウェハ30の第1表面300aに垂直な断面)の形状は、長方形、正台形、逆台形、U字状等であってもよい。前記溝の深さは、第1デバイス303の動作に必要なキャビティの深さ要件を満たす必要があり、例えば5μm~20μmである。前記キャップウェハ30には、第1デバイス303のほか、他のデバイス、金属相互接続構造などが形成することもでき、これらの構造が溝及び開放孔304を妨げなければよく、これらのデバイスは、メモリ、論理回路、パワーデバイス、バイポーラデバイス、個別のMOSトランジスタなどのアクティブデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよく、さらには、発光ダイオードなどの光電デバイス及び抵抗、容量などのような受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0055】
前記犠牲層302の材料は、ポリイミド(PI)、非晶質炭素(α-C)、酸化シリコン(OX)、リンドープシリコンガラス(PSG)、ボロンドープシリコンガラス(BPSG)、及び前記キャップウェハ30の材料と異なる半導体材料のうちの少なくとも1つを含み、前記キャップウェハ30の材質と異なる半導体材料は、ゲルマニウム、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含むが、これらに限定されない。前記犠牲層302を除去するときに前記キャップウェハ30を損傷から保護するために、前記犠牲層302と前記溝の表面(すなわち溝の側壁と底壁)との間には、保護層301が形成され、前記保護層301の材質は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、反射防止薄膜、吸着剤などの材料であってもよく、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)などの金属材料、又は窒化チタン(TiN)と窒化モリブデンアルミニウム(MoAlN)などの金属窒化物材料であってもよい。
【0056】
前記第1デバイス303は、犠牲層302の上に形成され、犠牲層302以外の領域を被覆せず、それによって、犠牲層302が除去された後に、キャップウェハ30から完全に分離することができ、これによって、犠牲層302の厚さは、第1デバイス303のパッケージング要件を満たすだけでよく、例えば、前記犠牲層302は、前記溝を満充填することができ、且つ前記犠牲層302が第1デバイス303と接触する表面は、前記キャップウェハ30の第1表面300aと面一であるか、又は、前記犠牲層302が前記溝内に充填され、且つ第1デバイス303と接触する面が、前記キャップウェハ30の第1表面300aよりも低いか、又は、前記犠牲層302が前記溝領域内に充填され、且つ第1デバイス303と接触する面が、前記キャップウェハ30の第1表面300aよりも高い。前記第1デバイス303は、独立した機能を有する独立型デバイスの一部又は全てを含んでもよく、それによって、基板ウェハ内の第2デバイスは、前記第1デバイス303の動作をサポートするためのCMOS回路を含んでもよく、それによって、高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする前記第1デバイス303といくつかのCMOSプロセスとは互換性がなく、同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。前記第1デバイス303に対応する独立型デバイスはメモリ、論理回路、パワーデバイス、バイポーラデバイス、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)などのアクティブデバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよく、発光ダイオードなどの光電デバイスを含んでもよく、抵抗、容量などのような受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでもよい。前記MEMSは、ジャイロスコープ、加速度計、慣性センサ、圧力センサ、流量センサ、変位センサ、電界センサ、電界強度センサ、電流センサ、磁束センサと磁界強度センサ、温度センサ、熱流束センサ、熱伝導率センサ、光変調器、音センサ、ガスセンサ、湿度センサ、イオンセンサ、バイオセンサ等のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、1つの前記第1デバイス303に対応する独立型デバイスは、1つのコンポーネントのみを含むチップであってもよく、複数の同じ構造のコンポーネントを有するチップであってもよく、複数の異なる構造及び/又は異なる機能を有するコンポーネントを有するチップであってもよい。
【0057】
本実施例では、前記キャップウェハ30の第2表面300b上に、前記犠牲層302を露出させる少なくとも1つの開放孔304が形成され、前記開放孔304は、前記犠牲層302が除去された後に前記キャビティ305と連通する。選択的に、前記パッケージング構造は、ホールブロッキング層306をさらに含み、前記ホールブロッキング層306は、少なくとも前記開放孔304内に充填される材料層(該材料は、前記開放孔304を満充填することができ、且つキャップウェハ30の第2表面300b全体上に一定の厚さを被覆する)又は前記キャップウェハ30の第2表面300b上に貼り付けられるテープである。
【0058】
前記基板ウェハ40は、CMOS等のデバイスの作製を完了したデバイスウェハであり、それは、第2基板400と、前記第2基板400上に形成される第2デバイスとを含み、前記第1デバイス303が独立型デバイスの全てを含む場合、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの動作をサポートするCMOS回路構造を含み、前記CMOS回路構造は、CMOSデバイス401及び接続される金属相互接続構造402を含むが、前記第1デバイス303が独立型デバイスの一部を含む場合、前記第2デバイスは、前記独立型デバイスの別の部分と、前記独立型デバイスの動作をサポートするCMOS回路構造とを含み、前記第1デバイス303は、前記第2デバイスにおける前記独立型デバイスの別の部分と電気的に接続されて前記独立型デバイスを形成し、それによって、前記第1デバイス303の作製プロセスといくつかのCMOSプロセスとは互換性がないという問題を回避することができ、例えば、前記第1デバイス303がMEMSデバイスの中に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする構造である場合、第2デバイスは、前記MEMSデバイスの他の構造と、前記MEMSデバイスの動作をサポートするCMOS回路構造とを含み、キャップウェハ30と基板ウェハ40とが接合され、第1デバイス303が第2デバイスにおける前記MEMSデバイスの他の構造と電気的に接続され、MEMSデバイスの完全な構造を構成し、MEMSデバイス構造の中に高温又は特別なプロセスによる作製を必要とする構造がCMOS回路と同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避する。
【0059】
本実施例では、前記パッケージング構造は、第1接合構造307と、第1密封リング308と、第2接合構造403と、第2密封リング404とをさらに含む。前記第1接合構造307は、前記第1デバイス303上に形成され、前記第1密封リング308は、前記犠牲層302が位置する溝の外周側の前記キャップウェハ30の第1表面300a上に形成され、前記第2接合構造403は、前記第2デバイス上に形成され、且つ前記第1接合構造307と位置合わせされて接合され、第1デバイス303と第2デバイスとの間の電気的接続を形成するために用いられ、前記第2密封リング403は、前記第2デバイスの外周側の前記基板ウェハ40の第1表面400a上に形成され、且つ前記第1密封リング308と位置合わせされて接合され、キャップウェハ30と基板ウェハ40との間の物理的接続を形成するために用いられ、前記第1密封リング308と前記第2密封リング403は、キャビティ305の閉鎖を実現するための閉環状構造であってもよい。
【0060】
上記から分かるように、本実施例のパッケージング構造は、実質的に半製品構造であり、キャップウェハと基板ウェハという2つのウェハ及び除去可能な犠牲層を備え、前記キャップウェハは、真空パッケージングのキャッピング層として用いられるだけでなく、さらにMEMSなどの独立型デバイスの一部又は全て(すなわち第1デバイス)を作製するためにも用いられ、且つその除去可能な犠牲層がキャップウェハの溝内に形成され、キャップウェハが基板ウェハ上に接合される後に、前記犠牲層を除去すれば、キャップウェハ上の第1デバイスをキャビティ内にパッケージングすることができる。本発明のパッケージング構造は、コストを低減させ、製品の集積度を向上させ、且つ複雑なデバイスのプロセス難易度を低減させることができ、超薄型製品の作製に役立ち、且つMEMSなどの独立型デバイスの一部又は全てには高温又は特別なプロセスを必要として、CMOSデバイス回路と同じプラットフォームで集積できないという欠点を回避することができる。
【0061】
本発明の他の実施例では、第1デバイス303の全て又は大部分が前記溝によって囲まれる時、前記溝は、十分に深く、且つ第1デバイス303の動作に必要な空間を満たすことができ、すなわち、前記キャビティ305には主に溝が形成される場合、前記第1密封リング308と前記第2密封リング403を省略してもよく、溝の外周側のキャップウェハ30の第1表面300aと第2デバイスの外周側の基板ウェハ40の第1表面400aとを接着剤又は他の接合材を介して直接接合する。
【0062】
明らかに、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、発明に対して様々な変更及び変形を行うことができる。したがって、本発明のこれらの変更及び変形が、本発明の特許請求の範囲及び同等の技術の範囲内にある場合、本発明は、これらの変更及び変形を含むことをさらに意図する。
【符号の説明】
【0063】
100-CMOSウェハ、100a-CMOSデバイス、101-被パッケージングウェハ、102-MEMSデバイス、103-溝、104-キャップウェハ、
30-キャップウェハ、30-第1基板、300a-キャップウェハの第1表面、300b-キャップウェハの第2表面、300’-溝、301-保護層、302-犠牲層、303-第1デバイス、304-開放孔、305-キャビティ、306-ホールブロッキング層、307-第1接合構造、308-第1密封リング、
40-基板ウェハ、400-第2基板、401-CMOSデバイス、402-金属相互接続回路構造、403-第2接合構造、404-第2密封リング