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特許7059450染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/62 20060101AFI20220418BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20220418BHJP
   D01F 6/84 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
D01F6/62 306D
D01F6/62 302K
D01F6/62 ZBP
C08G63/183
D01F6/84 301H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021536826
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2019113599
(87)【国際公開番号】W WO2020134487
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】201811613993.4
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】範 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
【審査官】橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109735927(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106367835(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107365429(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F1/00-6/96
D02G1/00-3/48
C08G63/00-63/91
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法において、
FDYプロセスにより改質ポリエステル溶融体から改質ポリエステルFDY糸、即ち染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸を製造し、
改質ポリエステルは、テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール、tert-ブチルを有する化合物、及び高温で焙焼した固体ヘテロポリ酸の粉末を均一に混合した後、エステル化反応及び重縮合反応をこの順で行うことにより製造され、
前記2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式は、
【化1】
であり、
前記tert-ブチルを有する化合物の構造式は、
【化2】
であり、式中、Rは、-H、-CHCH、-CH(CH又は-C(CHであり、
固体ヘテロポリ酸の焙焼温度は、400~700℃であり、固体ヘテロポリ酸は、SiO-TiO、SiO-ZrO、B-Al、TiO-ZnO、及びSiO-CaOのうちの一種以上である
ことを特徴とする染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項2】
前記2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの合成方法は、以下の通りであり、
酢酸パラジウムとジメチルジ-tert-ブチルエチレンを均一に混合した後、加熱撹拌しながら、質量濃度が10~15%の過酸化水素溶液を添加し、70~75℃で3~4時間反応させ、冷却、結晶化、精製を行い、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールを取得し、
前記ジメチルジ-tert-ブチルエチレンと、過酸化水素溶液と、酢酸パラジウムとの質量比は、1:1.5~2.0:0.015であり、
前記tert-ブチルを有する化合物の合成方法は、以下の通りであり、
(1)イソブタノールとKOH水溶液を、イソブタノールとKOHとのモル比が5~6:1となるように混合し、100~110℃で攪拌しながら4~5時間反応させてカリウムイソブトキシドを取得し、
前記KOH水溶液の質量濃度は、40~50%であり、
(2)(1)の反応が終了した後、不純物を取り除き、室温まで冷却した後、カリウムイソブトキシドとキシレンとのモル比が1.3~1.5:2.0~3.0となるように(1)にキシレンを添加し、0~5℃まで冷却し、
(3)(2)の反応が終了した後、3-メチル-3-ヒドロキシブチンとMを添加し、25~35℃で3時間反応させ、冷却して結晶化させ、遠心分離、乾燥を行い、オクチンジオールを取得し、
反応の開始時に、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと、Mと、キシレンとのモル比は、1:1.2~1.3:2.0~3.0であり、
(4)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比が2~3:10:0.01~0.03となるように混合し、40~50℃の下で水素ガスを持続的に供給して50~60分間反応させ、反応が完了した後分離、精製してtert-ブチルを有する化合物を取得し、
前記tert-ブチルを有する化合物の構造式において、Rが-H、-CHCH、-CH(CH又は-C(CHである場合、Mは、それぞれ2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンであり、
前記焙焼の時間は、2~4時間であり、
SiO-TiO、SiO-ZrO、B-Al、TiO-ZnO及びSiO-CaOにおけるTiO、ZrO、Al、ZnO及びCaOの含有量は、それぞれ30~50wt%、30~50wt%、20~40wt%、20~40wt%、20~50wt%であり、
固体ヘテロポリ酸を高温で焙焼した後に粉砕を行うことにより、平均粒度が0.5μm未満の粉末が得られる
ことを特徴とする請求項1に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項3】
前記改質ポリエステルの製造工程は、以下のステップを含み、
ステップ(1)エステル化反応
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール、及びtert-ブチルを有する化合物をスラリーに調製し、高温で焙焼した固体ヘテロポリ酸の粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合した後、窒素雰囲気中、常圧~0.3MPaの加圧環境及び250~260℃の温度の下でエステル化反応を行い、生成した水の蒸留量が理論値の90%以上を超える時点で反応を終了し、
ステップ(2)重縮合反応
エステル化反応終了後、負圧で低真空段階の重縮合反応を開始し、この段階において250~260℃の反応温度で30~50分間かけて常圧から500Pa以下の絶対圧力まで真空引きし、その後、引き続き真空引きし、高真空段階の重縮合反応を行い、さらに反応圧力を100Pa以下の絶対圧力まで減圧し、270~282℃の反応温度で50~90分間反応させる
ことを特徴とする請求項2に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項4】
前記テレフタル酸と前記エチレングリコールとのモル比は、1:1.2~2.0であり、
前記2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと前記tert-ブチルを有する化合物との総合添加量は、前記テレフタル酸の添加量の3~5mol%であり、
前記2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと前記tert-ブチルを有する化合物とのモル比は、2~3:3~5であり、
高温で焙焼した固体ヘテロポリ酸の粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は、それぞれテレフタル酸の添加量の0.03~0.05wt%、0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%、0.01~0.05wt%である
ことを特徴とする請求項3に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、三酸化アンチモン、アンチモングリコレート又は酢酸アンチモンであり、
前記艶消し剤は、二酸化チタンであり、
前記安定剤は、リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル又は亜リン酸トリメチルである
ことを特徴とする請求項4に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項6】
前記改質ポリエステルは、数平均分子量が17000~19000であり、分子量分布指数が2.0~2.4である
ことを特徴とする請求項5に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【請求項7】
前記FDYプロセスの手順は、計量、紡糸口金の押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りであり、
前記FDYプロセスにおいて、紡糸温度は、280~290℃であり、冷却温度は、18~20℃であり、インターレースノズル圧力は、0.20~0.30MPaであり、第1ローラ速度は、1800~2200m/minであり、第1ローラ温度は、75~90℃であり、第2ローラ速度は、3200~3400m/minであり、第2ローラ温度は、100~115℃であり、巻取速度は、3150~3360m/minである
ことを特徴とする請求項1に記載の染色、生分解しやすいポリエステルFDY糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種の易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下PETまたはポリエステルと略記する)繊維は、高強度、高弾性率、優れた寸法安定性・バリア性などの機能をもって繊維、ボトル、フィルム及びシートなどの分野に広く用いられ、産量が年々増加し、業界の地位が著しく向上している。昨今、ポリエステル繊維は機能化と差別化の方向に進んでいる、すなわちポリエステルの改質によりその繊維に特別な機能を与えて、静電気防止繊維、毛玉防止繊維、弾性繊維、高吸水・高吸湿繊維、保温繊維、抗菌防臭繊維及び変色繊維などを製造する。
【0003】
しかしながら、疎水性繊維に属して親水基がなくて、レーヨン又はタンパク質系繊維のような染料親活基もないPET繊維は、染めにくい素材である。なお、半結晶性のポリエステルにおいては、結晶領域に分子鎖が互いに平行し大体トランス型の立体配座とし非晶領域に分子鎖が大体シス型の立体配座として、緻密な分子凝集状態がある。これはPETの染色性をもっと低下になさせる。汎用PET繊維の染色は、一般的に高温(130℃)高圧で分散染料を用いて高い染着率を保証する。ところが、高温高圧染色について、設備に対する要求が高くてエネルギー消費量が膨大で時間もかかるため、コストが高くになる。これはある程度で着色PET繊維の応用を制限する。多くの研究はこの困難の克服に目指した、そのうち、5-スルホイソフタル酸ビスエチレングリコールエステルナトリウムを改質単体として、ポリエステルにカチオン可染極性基を導入して高均染性、高染色堅牢度、耐洗濯のポリエステル繊維を作ることは、もう汎用の染色改質方法になった。だが、そんなに改質したポリエステルは普通のポリエステルに超分子構造がよく似ている一方、カチオン染料はスルホン基に可及性がより低いため、高温高圧染色がまだ必要である。
【0004】
なお、ポリエステル産業の急速な発展に絆って、PETが環境に直接的な害を及ぼさないだけど、その廃棄物は排出量が膨大で大気環境と微生物に高い耐性を持つため、もう世界的な環境汚染有機物となった。実応用のPET分解方法は多く化学分解とし、化学分解は主に水分解とアルコール分解と分かれて、他はアンモニア分解、アミン分解、熱分解などのやり方もある。ところが、今の化学分解には分解が遅いなどの問題があって、大量の衣類廃棄物の再生利用にまだできない。環境配慮、資源節約及び持続可能な発展によれば、服用ポリエステル繊維の自然分解はもう喫緊な課題になっている。
【0005】
それゆえ、染色性能に優れ分解速度が速い易染性と易分解性を備えたポリエステルFDY(Fully Oriented Yarn)及びその製造方法は重要性が高い課題である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一種の染色性能に優れ分解速度が速い易染性と易分解性を備えたポリエステルFDY及びその製造方法を提供し、従来技術における困難を克服した。
【0007】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0008】
改質ポリエステル融液を延伸糸技術により易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYになさせることである。
【0009】
前記改質ポリエステルの製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール、ターシャリーブチル基を有するヘプタジオール及び高温か焼焼した混合酸化物粉末を均一に混合した後、エステル化させさらに重縮合させることである。
【0010】
該2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールは、以下の構造式と示す。
【化1】
【0011】
本発明は、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールによりポリエステルを改質してポリエステルの空孔型自由体積を著しく増大する。該ジオールに含まれるターシャリーブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の相互作用力さらに主鎖の距離を変化して、ポリエステルの空孔型自由体積を増大する。空孔型自由体積はスリット型自由体積よりもっと広い空間を提供して染料の拡散を促進して、低い染め温度、短い染め時間、少ないエネルギー消費、高い染着率の染色効果を実現する。
【0012】
該ターシャリーブチル基を有するヘプタジオールは、構造式が
【化2】
と示し、そのうちにRは-H(2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオール)、-CH2CH3(2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオール)、-CH(CH32(2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオール)または-C(CH33(2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオール)とする。
【0013】
ターシャリーブチル基を有するヘプタジオールに含まれるターシャリーブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させて、ポリエステルの空孔型自由体積は増大する。空孔型自由体積向上は染料分子の拡散によって有利であって、低い染め温度、短い染め時間、少ないエネルギー消費、高い染着率の染色効果を実現しながら、染色加工の繊維機械的性質に及ぼす影響を低める。
【0014】
該混合酸化物はSiO2-TiO2、SiO2-ZrO2、B23-Al23、TiO2-ZnO及びSiO2-CaOの中の一種以上とし、そのか焼焼温度は400~700℃とする。本発明における高温か焼焼の目的は一定の雰囲気と温度の下で前駆体から不要な硫酸イオンや硝酸イオンを除去し、混合酸化物の中間体(前駆体が混合酸化物になる過程中に、前駆体は酸化や還元などの反応がして形成する成分不明の物質である)を分解させさらに活性化させることである。そのうち、主に中間体の分解と活性化条件を満たすことによって温度を制御した。か焼焼温度は適度に調整できるが、調整幅が大きくするべきない。か焼焼温度は大きすぎると一部のSiO2が気化して設定された混合酸化物の配合比率を変え、小さすぎると中間体の分解と活性化条件を満たられない。
【0015】
一般的に、ポリエステルの水解の発端はエンドカルボン基である。エンドカルボン基は水に当たると、O―H基の酸素の非共有電子対がC=O基のπ電子と共役して非局在化して、O―H結合が弱まってしまう。よって、カルボン基はプロトンを放出して分解する。得られたカルボンアニオンは、負電荷がまた電子非局在化により二つの酸素原子へ均一に分配されるため、安定な状態になる。プロトンはエステル基を攻撃してC=Oの酸素をプロトン化する。C=Oの炭素は、その電子がプロトン化した酸素に求引されてある程度の正電性を持つため、弱い求核剤のH2Oに攻撃されることが易くなる。この求核攻撃により生じる四面体中間体は、C―O結合が破断するために、カルボン酸及びアルコールになる。エステル基は破断続け、もっと多いエンドカルボン基が生じ、こんなに繰り返してポリエステルが分解される。本発明は、水に当たるとプロトンが放出できる混合酸化物をポリエステルに導入して、ポリエステルの水解を促進してポリエステルの分解を加速する。
【0016】
本発明の好適態様は以下に示す。
【0017】
前記易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法における2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールは、酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の10~15%の過酸化水素水を入れ、70~75℃で3~4時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製することより得られたものである。そのうちに、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.5~2.0:0.015とする。
【0018】
前記易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法におけるターシャリーブチル基を有するヘプタジオールの合成は以下の通りである。
(1)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5~6:1によって、40~50wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100~110℃で4~5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(2)不純物を(1)のシステムから取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3~1.5:2.0~3.0によってキシレンを入れ、0~5℃まで冷却する。
(3)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、M及びキシレンのモル比の1:1.2~1.3:2.0~3.0によって3-メチル-3-ヒドロキシブチンとMを(2)のシステムに添加し、25~35℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(4)重量比の2~3:10:0.01~0.03によってオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40~50℃で50~60分間かけて反応させ、最後に分離し純化してテトラブチルヘプタジオールを得る。
そのうち、前記テターシャリーブチル基を有するヘプタジオールの構造式におけるRは別々に-H、-CH2CH3、-CH(CH32または-C(CH33とすれば、対するMが2,2-ジメチルプロピルアルデヒド、2,2-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンとする。
【0019】
前記易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法においては、述べた混合酸化物の高温か焼焼にかける時は2~4時間とし、SiO2-TiO2、SiO2-ZrO2、B23-Al23、TiO2-ZnOならびにSiO2-CaO中のTiO2、ZrO2、Al23、ZnO、CaOの含量は別々に30~50wt%、30~50wt%、20~40wt%、20~40wt%、20~50wt%とする。か焼焼した混合酸化物は粉碎で平均径の0.5ミクロン未満の粉末になさせる。
【0020】
前記易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法における改質ポリエステルの合成は、以下のとおりである。
(1)エステル化反応では、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧~0.3MPaの圧力及び250~260℃の温度の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の90%以上になる際に反応終点を決めることである。
(2)重縮合反応では、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Pa以下まで30~50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250~260℃で30~50分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を100Pa以下まで与え続け、270~282℃で50~90分間かけて高真空の重合反応を行うことである。
【0021】
そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.2~2.0とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の3~5mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールとターシャリーブチル基を有するヘプタジオールとのモル比は2~3:3~5とし、高温か焼焼した混合酸化物粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は別々にテレフタル酸の0.03~0.05wt%、0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%、0.01~0.05wt%とする。なお、本発明における高温か焼焼した混合酸化物の用量は以上の範囲に限らず実運用により調整ができるけれども、調整幅は大きすぎるべきではない。添加量は大き過ぎるとポリエステルの分子均整性を破壊して繊維の結晶度と機械物性に悪影響与えて繊維の製造と応用によって不利であり、添加量は小さすぎると改質効果があまり現れない。
【0022】
そのうちに、重合触媒は三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンとし、艶消し剤は二酸化チタンとし、安定剤はリン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルとする。
【0023】
そのうちに、最後に得られた改質ポリエステルの分子量が17000~19000Daとし、分子量多分散度が1.9~2.4とする。
【0024】
前記易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法におけるFDY技術は、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りの流れを含む工程であり;
紡糸加工のパラメータは、紡糸温度280~290℃、冷却温度18~20℃、インターレースノズル圧力0.20~0.30MPa、ホットローラ1速度1800~2200m/min、ホットローラ1温度75~90℃、ホットローラ2速度3200~3400m/min、ホットローラ1温度100~115℃、巻取り速度3150~3360m/minとする。
【0025】
本発明は、前記製造方法による易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYも提供し、それが改質ポリエステルFDYである。
【0026】
該改質ポリエステル分子鎖においてはテレフタル酸のセグメント、エチレングリコールのセグメント、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールのセグメント及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールのセグメントを含み、該改質ポリエステルにおいては高温か焼焼した混合酸化物が分散されている。
【0027】
前記製造方法の好適態様によれば、本発明における2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール、ターシャリーブチル基を有するヘプタジオールと混合酸化物により改質ポリエステルから得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、
単糸繊度0.5~3.0dtex、破断強度2.5cN/dtex以上、破断伸度40.0±2.0%、系条交絡度15±2個/m、線密度むら2.0%以下、破断強度CV値8.0%以下、破断伸度CV値8.0%以下、ならびに沸水収縮率10.0±1.5%として、普通のポリエステル繊維に比べてあまり低下しない基礎物性を有し、
130℃で染色した普通のポリエステル繊維の染着率86.8%、K/S値22.08、洗濯堅ろう度5級以下(ポリエステル白布にあたると4~5級、綿白布にあたると4級)、乾摩擦堅ろう度4~5級、ならびに湿摩擦堅ろう度3~4級とする染色性能に対して、125℃で染色した後、同じ評価条件による染着率87.3~90.7%、K/S値22.32~25.53、(ポリエステル白布または綿白布にあたる)洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度4級超えとする染色性能を有し
25℃の温度と65%の相対湿度の下で60月間を経た後、普通のポリエステル繊維の5%未満に対する15~21%の固有粘度下りとする自然分解性能を有する。
【0028】
発明原理とするのは、以下の通りである。
【0029】
本発明は、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール、ターシャリーブチル基を有するヘプタジオールと混合酸化物によりポリエステルを改質して、ポリエステルFDYの染色性能を著しく改進し分解速度を高める。詳しくは、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールがターシャリーブチル基を有するヘプタジオールと一緒に、染料分子拡散に有利である空孔型自由体積を増大してポリエステルの染色性能を改進する。一方、混合酸化はポリエステルの水分解における求核アシル置換反応を促進してポリエステルの分解を加速する。
【0030】
ポリエステルの分解を加速する混合酸化物の役割は以下通りである。
ポリエステルの水分解はエステル化反応の逆反応であり、すなわち求核試薬がエステルのカルボニル炭素を求核攻撃して、四面体中間体を与えて、さらにアニオンを消去することである。通常のポリエステルの水分解が遅いことの重要な理由は、一方では求核試薬とするH2Oの求核攻撃能力が低いでああり、他方ではポリエステルのカルボニル炭素の隣にあるのは多く電気陰性基だからカルボニル炭素の求核剤の攻撃を受ける能力が低くいである。
本発明は改質ポリエステルに混合酸化物を入れて、エステル基のカルボニル炭素の求核剤との求引力を向上して、ポリエステルの分解を加速する。本発明における混合酸化物は、酸素により中心原子と配位原子を結合して組み合う強酸性の錯体酸素触媒であって、優れた耐熱性と強い触媒力がある。混合酸化物の触媒力はその表面に存在する触媒活性を持つ酸性部より生じて来る一方、混合酸化物の耐熱性は、それをポリエステル合成の高温に入れることに満たす。なお、改質ポリエステルの重合反応は酸で触媒して行いことだから、混合酸化物の添加は重合反応に不利影響を及ぼさずに反応温度を低め、副反応を低減する。
一般的に、ポリエステルの水解の発端はエンドカルボン基である。エンドカルボン基は水に当たると、O―H基の酸素の非共有電子対がC=O基のπ電子と共役して非局在化して、O―H結合が弱まってしまう。よって、カルボン基はプロトンを放出して分解する。得られたカルボンアニオンは、負電荷がまた電子非局在化により二つの酸素原子へ均一に分配されるため、安定な状態になる。プロトンはエステル基を攻撃してC=Oの酸素をプロトン化する。C=Oの炭素は、その電子がプロトン化した酸素に求引されてある程度の正電性を持つため、弱い求核剤のH2Oに攻撃されることが易くなる。この求核攻撃により生じる四面体中間体は、C―O結合が破断するために、カルボン酸及びアルコールになる。エステル基は破断続け、もっと多いエンドカルボン基が生じ、こんなに繰り返してポリエステルが分解される。本発明は、水に当たるとプロトンが放出できる混合酸化物をポリエステルに導入して、ポリエステルの水解を促進してポリエステルの分解を加速する。
【0031】
ポリエステルの染色性能を改進する2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールとターシャリーブチル基を有するヘプタジオールの役割は以下通りである。
ポリマーは全て緻密な分子鎖凝集体ではない。分子鎖と分子鎖との間に、いつも自由体積という空間がある。低分子の高分子内部に浸透することに対して、適度な大きさの空間すなわち自由体積は必要なければならない。ある程度に、高分子の自由体積が大きければ大きいほど低分子の浸透率または拡散性が高い。自由体積は空孔型自由体積とスリット型自由体積に分けられるが、スリット型自由体積よりもっと大きなサイズを持つ空孔型自由体積は低分子の拡散に更に有利である。
自由体積のサイズと類型は高分子構造に決められている。そのうえ、高分子構造は置換基による立体障害、置換基寸法、置換基構造に関する。高分子主鎖のある位置に結合した側基は、主鎖の活動性に影響を与えて、主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変える。よって、高分子の凝集エネルギーと自由体積も変化する。詳しくは、側基の極性や大きさや長さなどが主鎖の剛性、主鎖の間の相互作用力ならびに高分子の自由体積分率にすべてある程度の影響を与える。つまり、異なる側基を含むポリマーは別々の浸透性能がしてある。
ポリマーに含まれるエチレングリコールや1,4-ブタンジオールなどのようなジオールにおいては、複数のメチレン基がエネルギー的に安定で平面ジグザグのコンホメーションをとる。メチレン基の二つの水素はメチル基に置換されると、中心炭素がsp3混成軌道により隣の炭素と四つの等価なσ結合を作って、隣の炭素が頂点に位置する正四面体構造が生じる。なお、メチル基の三つの水素はさらに他のメチル基で置換するいわゆるターシャリーブチル基を作れば、もっと大きな正四面体が形成できる。こんな置換基の重なりため、ポリマーの自由体積は著しく増大して、低分子の浸透または拡散に有利する。しかしながら、テレフタル酸のベンゼン環に結合する水素またはアジピン酸のメチレン基に結合する水素は長鎖基に置換されると、増大するのは主にスリット型自由体積であって、増大幅がより小さいため、改進効果は限りがある。一方、長鎖の置換基は剛性が低いため、大分子鎖の絡み合いが起きる。それが自由体積の増大に不利である。
2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールに含まれるターシャリーブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させて、ポリエステルの空孔型自由体積は増大する。原因の一方では、ターシャリーブチル基が短い置換基(例えば、メチル基やエチル基など)よりもっと広い空間を位置する。他方では、ターシャリーブチル基がスリット型自由体積を増大する長鎖置換基に比べて空孔型自由体積を増大し、さらに長鎖置換基による分子鎖の絡み合いが避けられる。つまり、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールは改質ポリエステルの空孔型自由体積を向上して水や染料分子の浸透を有利して繊維の染色性能を促進して、低い染め温度、短い染め時間、少ないエネルギー消費及び高い染着率が実現できる。
また、本発明における2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールは、空孔型自由体積を増大して水分子の浸透に有利して、混合酸化物と協同作用としてポリエステルの分解を加速する。
【0032】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、混合酸化物によりポリエステルを改質してポリエステルにおけるカルボニル基炭素の求核攻撃を受ける能力を著しく高めてポリエステルの分解を加速して衣類廃棄物の再生利用問題を解決し、ならびに、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及びターシャリーブチル基を有するヘプタジオールによりポリエステルを改質してポリエステルの空孔型自由体積を増大してポリエステルの染色性能を改進する。
(2)本発明に提出した易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、コストが安くて操業が便利であって、良い実用前景がある。
(3)本発明に提出した易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、機械的性能・分解性能に優れ、25℃の温度と65%の相対湿度の下で60月間を経た後、15~21%の固有粘度下りがある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0034】
実施例1
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物SiO2-TiO2粉末の調製として、
まず1重量部のSiO2粉末と55重量部の水をかき混ぜ、2重量部の4.5wt%の硫酸チタン溶液を滴加し、次に混合液のpH値を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに10wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4 2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過し、無水エタノールでケーキをよく洗浄し、100℃で乾燥し、最後に500℃で2時間かけてか焼焼し、さらに粉砕して平均径の0.4ミクロンの混合酸化物SiO2-TiO2粉末になさせる。そのうちに、TiO2の含量は42wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の10%の過酸化水素水を入れ、72℃で3時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:2.0:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
【化3】
(1.3)2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、43wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で4時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.2でキシレンを入れ、1℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチルプロピルアルデヒド及びキシレンのモル比の1:1.2:2.2で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチルプロピルアルデヒドを(2)のシステムに添加し、25℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.2:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて50℃で50分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-Hとする。
【化4】
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物SiO2-TiO2粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPa及び250℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の90.1%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.2とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の3mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2:3とし、混合酸化物SiO2-TiO2粉末、三酸化アアンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の0.03wt%、0.03wt%、0.20wt%、0.01wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力400Paまで50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、260℃で50分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を80Paまで与え続け、282℃で90分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が18500Daであり分子量多分散度が2.4である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は290℃、冷却温度は20℃、インターレースノズル圧力は0.30MPa、ホットローラ1速度は2200m/min、ホットローラ1温度は90℃、ホットローラ2速度は3400m/min、ホットローラ2温度は115℃ならびに巻取り速度は3360m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.7cN/dtex、破断伸度42.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら2.0%、破断強度CV値8.0%、破断伸度CV値8.0%、ならびに沸水収縮率11.5%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率87.3%、K/S値22.32、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4~5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、15%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0035】
比較例1
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において混合酸化物SiO2-TiO2粉末と2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールとを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.8cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら1.9%、破断強度CV値8.0%、破断伸度CV値7.6%、ならびに沸水収縮率10.5%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率85.23%、K/S値21.08、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度4級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、3.2%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0036】
比較例2
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において混合酸化物SiO2-TiO2粉末を使用しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.8cN/dtex、破断伸度42.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら1.8%、破断強度CV値7.7%、破断伸度CV値7.5%、ならびに沸水収縮率11.2%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率87.2%、K/S値22.41、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、4.8%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0037】
比較例3
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら2.0%、破断強度CV値7.7%、破断伸度CV値8.0%、ならびに沸水収縮率11.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率86.5%、K/S値22.01、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度4級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、12%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0038】
比較例4
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において混合酸化物2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.6cN/dtex、破断伸度40.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら1.8%、破断強度CV値7.8%、破断伸度CV値7.9%、ならびに沸水収縮率10.8%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率86.3%、K/S値21.89、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、13%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1と比較例1~4の結果を検討すると、本発明における混合酸化物SiO2-TiO2粉末と2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールは、ポリエステル繊維の自然分解性能と染色性能が著しく改進することを結論できる。具体的に、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールはポリエステルの空孔型自由体積を増大して酸素と水の浸透に有利して染色性能を改進し、さらに混合酸化物と一緒に自然分解を加速する。混合酸化物SiO2-TiO2粉末と2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールはそんな協同作用ができるが、繊維の加工性能と機械的性質に影響をあまり及ぼさない。
【0039】
比較例5
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの代わりに1,2-ドデシルジオールを使うことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.7cN/dtex、破断伸度40.6%、系条交絡度17個/m、線密度むら2.0%、破断強度CV値7.7%、破断伸度CV値8.0%、ならびに沸水収縮率11.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率86.8%、K/S値22.01、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度4級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、12%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1に比べて、2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールは長い側鎖の1,2-ドデシルジオールよりポリエステル繊維の染色性能向上にもっと有利することが結論できる。原因の一方では、2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールのターシャリーブチル基が主に空孔型自由体積を増大し、しかし1,2-ドデシルジオールの長い側鎖が主にスリット型自由体積を増大することである。他方では、2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールのターシャリーブチル基は1,2-ドデシルジオールの長い側鎖よりもっと大きな剛性を持ってポリエステル分子の絡み合いを低めてポリエステルの自由体積を増大して染料の繊維内部への浸透を促進して繊維の染色性能を促進することである。
【0040】
比較例6
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、ステップ(1)において2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの代わりに1,2-ドデシルジオールを使うことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度3.0dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度17個/m、線密度むら2.0%、破断強度CV値7.7%、破断伸度CV値8.0%、ならびに沸水収縮率11.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率86.3%、K/S値22.17、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度4級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、11.6%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1に比べて、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールは長い側鎖の1,2-ドデシルジオールよりポリエステル繊維の染色性能向上にもっと有利することが結論できる。原因の一方では、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールのターシャリーブチル基が主に空孔型自由体積を増大し、しかし1,2-ドデシルジオールの長い側鎖が主にスリット型自由体積を増大することである。他方では、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールのターシャリーブチル基は1,2-ドデシルジオールの長い側鎖よりもっと大きな剛性を持ってポリエステル分子の絡み合いを低めてポリエステルの自由体積を増大して染料の繊維内部への浸透を促進して繊維の染色性能を促進することである。
【0041】
実施例2
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物SiO2-ZrO2粉末の調製としては、
まず1重量部のSiO2粉末と58重量部の水をかき混ぜ、2重量部の4~5wt%の硫酸ジルコニア溶液を滴加し、次に混合液のpH値を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに10wt%の硫酸で8に調整し、1時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4 2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過し、無水エタノールでケーキをよく洗浄し、100℃で乾燥し、最後に400℃で4時間かけてか焼焼し、さらに粉砕して平均径の0.45ミクロンの混合酸化物のSiO2-ZrO2になさせる。そのうちに、ZrO2の含量は45wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の11%の過酸化水素水を入れ、70℃で4時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.8:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.5:1で、40wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.0でキシレンを入れ、3℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチルプロピルアルデヒド及びキシレンのモル比の1:1.3:2.5で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチルプロピルアルデヒドを(2)のシステムに添加し、30℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.5:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて50℃で55分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-Hとする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物SiO2-ZrO2粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧及び260℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の99%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:2.0とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の5mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は3:5とし、混合酸化物SiO2-ZrO2粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の0.05wt%、0.05wt%、0.250wt%、0.05wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力499Paまで30分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250℃で30分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を99Paまで与え続け、270℃で50分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が17000Daであり分子量多分散度が2.0である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は280℃、冷却温度は18℃、インターレースノズル圧力は0.20MPa、ホットローラ1速度は1800m/min、ホットローラ1温度は75℃、ホットローラ2速度は3200m/min、ホットローラ2温度は100℃ならびに巻取り速度は3150m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度1.5dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度38.0%、系条交絡度13個/m、線密度むら1.6%、破断強度CV値6.4%、破断伸度CV値6.4%、ならびに沸水収縮率8.9%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率90.7%、K/S値25.53、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、21%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0042】
実施例3
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物B23-Al23粉末の調製としては、
まず1重量部のホウ酸に2.5重量部の4wt%の硫酸アルミニウム溶液を滴加し、次に混合液のpH値を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに9wt%の硫酸で8に調整し、1.5時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4 2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過し、無水エタノールでケーキをよく洗浄し、100℃で乾燥し、最後に700℃で2時間かけてか焼焼し、さらに粉砕して混合酸化物のB23-Al23になさせる。そのうちに、Al23の含量は30wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の12%の過酸化水素水を入れ、74℃で4時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.6:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、48wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、105℃で4.5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.5:2.5でキシレンを入れ、0℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.25:2.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、30℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2:10:0.02でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて42℃で60分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-CH2CH3とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物B23-Al23粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPa及び255℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の95%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.6とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の4mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2.5:4とし、混合酸化物B23-Al23粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の0.04wt%、0.04wt%、0.22wt%、0.03wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力450Paまで40分間かけて徐々に下がる負圧を与え、255℃で40分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を90Paまで与え続け、275℃で70分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が18000Daであり分子量多分散度が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は19℃、インターレースノズル圧力は0.250MPa、ホットローラ1速度は2000m/min、ホットローラ1温度は80℃、ホットローラ2速度は3300m/min、ホットローラ2温度は108℃ならびに巻取り速度は3250m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度2.3dtex、破断強度2.6cN/dtex、破断伸度40.0%、系条交絡度15個/m、線密度むら1.7%、破断強度CV値7.1%、破断伸度CV値7.3%、ならびに沸水収縮率8.5%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率88.9%、K/S値23.83、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0043】
実施例4
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物TiO2-ZnO粉末の調製としては、
まず1重量部の硫酸亜鉛に3重量部の5wt%の硫酸チタン溶液を滴加し、次に混合液のpH値を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに10wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4 2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過し、無水エタノールでケーキをよく洗浄し、100℃で乾燥し、最後に600℃で2.5時間かけてか焼焼し、さらに粉砕して平均径の0.45ミクロンの混合酸化物TiO2-ZnO粉末になさせる。そのうちに、ZnOの含量は35wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の13%の過酸化水素水を入れ、74℃で3.5時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.6:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の6:1で、41wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、110℃で4.8時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.4:3.0でキシレンを入れ、0℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.3:2.6で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、35℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の3:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40℃で60分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-CH2CH3とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物TiO2-ZnO粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.25MPa及び260℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の94%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.8とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の3mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2:5とし、混合酸化物TiO2-ZnO粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の0.05wt%、0.05wt%、0.25wt%、0.01wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力450Paまで50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、255℃で50分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を85Paまで与え続け、280℃で90分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が19000Daであり分子量多分散度が2.1である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は280℃、冷却温度は18℃、インターレースノズル圧力は0.20MPa、ホットローラ1速度は1800m/min、ホットローラ1温度は750℃、ホットローラ2速度は3400m/min、ホットローラ2温度は100℃ならびに巻取り速度は3360m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度1.9dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度16個/m、線密度むら1.6%、破断強度CV値6.8%、破断伸度CV値6.9%、ならびに沸水収縮率9.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率87.7%、K/S値22.52、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4~5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、16%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0044】
実施例5
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物SiO2-CaO粉末の調製としては、
まず1重量部のSiO2粉末と50重量部の水をかき混ぜ、3重量部の5wt%の硫酸カルシウム溶液を滴加し、次に混合液のpH値を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに10wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4 2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過し、無水エタノールでケーキをよく洗浄し、100℃で乾燥し、最後に650℃で3.5時間かけてか焼焼し、さらに粉砕して平均径の0.45ミクロンの混合酸化物SiO2-CaO粉末になさせる。そのうちに、CaOの含量は45wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の14%の過酸化水素水を入れ、71℃で3.5時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.7:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.4:1で、50wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、110℃で5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.4:2.6でキシレンを入れ、4℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.2:3.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4-トリメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、28℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.5:10:0.03でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて44℃で53分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-C(CH32とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物SiO2-CaO粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.15MPa及び260℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の92%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.6とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の4mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は3:3とし、混合酸化物SiO2-CaO粉末、三酸化アアンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の0.03wt%、0.03wt%、0.25wt%、0.05wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力420Paまで40分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250℃で50分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を90Paまで与え続け、282℃で90分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が18600Daであり分子量多分散度が2.0である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は280℃、冷却温度は18℃、インターレースノズル圧力は0.30MPa、ホットローラ1速度は2200m/min、ホットローラ1温度は75℃、ホットローラ2速度は3200m/min、ホットローラ2温度は115℃ならびに巻取り速度は3150m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度2.4dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度40.1%、系条交絡度14個/m、線密度むら1.8%、破断強度CV値7.3%、破断伸度CV値6.9%、ならびに沸水収縮率10.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率88.3%、K/S値23.72、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、17%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0045】
実施例6
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物粉末の調製として、
平均径の0.45ミクロンのSiO2-TiO2粉末とSiO2-ZrO2粉末を重量比の1:1でかき混ぜて混合酸化物粉末になさせる。そのうちに、SiO2-TiO2中のTiO2含量は30wt%とし、SiO2-ZrO2中のZrO2含量は50wt%とする。SiO2-TiO2粉末又はSiO2-ZrO2粉末の調製方法は別々に実施例1または実施例2とほぼ同じであり、違いは粉砕程度と原料添加量しかないである。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の15%の過酸化水素水を入れ、75℃で3時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.9:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、40wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、106℃で4.5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.0でキシレンを入れ、2℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.3:2.5で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4-トリメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、32℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて48℃で50分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式II]にRが-C(CH32とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPa及び250℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の94%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.2とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の3mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2:3とし、混合酸化物粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の0.04wt%、0.03wt%、0.25wt%、0.02wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力400Paまで50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、260℃で40分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を80Paまで与え続け、270.5℃で80分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が17900Daであり分子量多分散度が2.1である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は280℃、冷却温度は20℃、インターレースノズル圧力は0.20MPa、ホットローラ1速度は2200m/min、ホットローラ1温度は90℃、ホットローラ2速度は3200m/min、ホットローラ2温度は115℃ならびに巻取り速度は3150m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度2.5dtex、破断強度2.5cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度15個/m、線密度むら1.8%、破断強度CV値6.6%、破断伸度CV値6.7%、ならびに沸水収縮率9.2%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率87.9%、K/S値23.02、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、16%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0046】
実施例7
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物粉末の調製として、
平均径の0.45ミクロンのSiO2-TiO2粉末とB23-Al23粉末とSiO2-ZrO2粉末を、重量比の1:1:1でかき混ぜて混合酸化物粉末になさせる。そのうちに、SiO2-TiO2中のTiO2含量は50wt%とし、B23-Al23中のAl23含量は20wt%とし、SiO2-ZrO2中のZrO2含量は20wt%とする。SiO2-TiO2粉末、B23-Al23粉末またはSiO2-ZrO2粉末の調製方法は別々に実施例1、実施例2または実施例3とほぼ同じであり、違いは粉砕程度と原料添加量しかないである。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製として、
酢酸パラジウムとジメチルジタ―シャリーブチルエチレンを均一に混合した後、重量濃度の13.5%の過酸化水素水を入れ、73℃で3.4時間かけて反応を行い、さらに冷却で結晶化し精製し、そのうち、ジメチルジタ―シャリーブチルエチレンと過酸化水素水と酢酸パラジウムの重量比は1:1.8:0.015とし、得られた2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの構造式が[式I]とする;
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.5:1で、46wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で4時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.6でキシレンを入れ、5℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.24:3.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、25℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の3:10:0.03でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40℃で56分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式I]にRが-C(CH33とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPa及び255℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の95%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.9とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の3.5mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2:5とし、混合酸化物粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の0.04wt%、0.04wt%、0.22wt%、0.02wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力400Paまで50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250℃で30分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を85Paまで与え続け、280℃で50分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が18200Daであり分子量多分散度が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は280℃、冷却温度は18℃、インターレースノズル圧力は0.25MPa、ホットローラ1速度は2000m/min、ホットローラ1温度は75℃、ホットローラ2速度は3400m/min、ホットローラ2温度は110℃ならびに巻取り速度は3360m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度2.0dtex、破断強度2.6cN/dtex、破断伸度41.0%、系条交絡度15個/m、線密度むら1.8%、破断強度CV値6.9%、破断伸度CV値7.2%、ならびに沸水収縮率11.0%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率88.5%、K/S値23.05、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4~5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、17%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0047】
実施例8
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)混合酸化物B23-Al23粉末の調製方法は、実施例3と同じであり、違いは粉砕程度と原料添加量しかないである。本例におけるB23-Al23粉末は、平均径が0.4ミクロンとしAl23の含量が40wt%とする。
(1.2)2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールの調製方法は、実施例7のステップ(1.2)と同じである。
(1.3)2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の6:1で、40wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、102℃で4.5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.5:3.0でキシレンを入れ、5℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.28:2.4で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、30℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.2:10:0.02でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて50℃で60分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールを得る。そして、その構造式の[式I]にRが-C(CH33とする。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、高温か焼焼した混合酸化物B23-Al23粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.25MPa及び255℃の下で反応を行い、生じた水の抜き出す量が理論値の90%以上に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比は1:1.4とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオール及び2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールの総合添加量はテレフタル酸の4mol%とし、2,2,3,4,5,5-ヘキサメチル-3,4-ヘキサンジオールと2,6,6-トリメチル-5-ターシャリーブチル-2,5-ヘプタジオールとのモル比は2:4とし、混合酸化物B23-Al23粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の0.03wt%、0.03wt%、0.20wt%、0.01~0.05wt%とする。
(1.5)重合として、
まずエステル化反応の産物に常圧から絶対圧力400Paまで30分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250℃で30分間かけて低真空の重合反応を行い、さらに負圧を80Paまで与え続け、282℃で90分間かけて高真空の重合反応を行い、最後に数平均分子量が18200Daであり分子量多分散度が2.4である改質ポリエステルを得る。
(2)易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りによりFDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は18℃、インターレースノズル圧力は0.25MPa、ホットローラ1速度は1900m/min、ホットローラ1温度は85℃、ホットローラ2速度は3200m/min、ホットローラ2温度は100℃ならびに巻取り速度は3150m/minとする。
最終的に得られた易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYは、単糸繊度1.8dtex、破断強度2.6cN/dtex、破断伸度40.0%、系条交絡度15個/m、線密度むら1.7%、破断強度CV値7.1%、破断伸度CV値7.3%、ならびに沸水収縮率9.7%とする基礎物性を有し、125℃で染められた後、染着率88.3%、K/S値22.99、洗濯堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、湿摩擦堅ろう度4~5級とする染色性能を有し、25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0048】
実施例9~12
易染性と易分解性を備えたポリエステルFDYの製造方法は、実施例8とほぼ同じであり、違いは混合酸化物の種類と最後の繊維の性能しかないであって、具体的に、以下の(表1)と(表2)と示されている。そのうち、混合酸化物の調製方法は、実施例1~5とほぼ同じであり、違いは粉砕程度と原料添加量しかないである。(表2)においては、A、B、C、D、E、F、G及びHが、別々に最後の繊維の単糸繊度、破断強度、破断伸度、系条交絡度、線密度むら、破断強度CV値、破断伸度CV値、沸水収縮率であって、それらの単位がdtex、cN/dtex、%、個/m、%、%、%、%とし、また、I、J、K、L及びMが、別々に最後の繊維の125℃の染色温度下の染着率、K/S値、洗濯堅ろう度、乾摩擦堅ろう度、湿摩擦堅ろう度であって、それらの単位が%、なし、級、級、級とし、Nが最後の繊維の25℃と65%の相対湿度の下で60月間を経った後の固有粘度下りであって、単位が%とする。
【表1】
【表2】