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特許7059457尿と便を分別した重量測定方法とその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】尿と便を分別した重量測定方法とその装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/493 20060101AFI20220419BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220419BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220419BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N33/493 B
G01N33/50 R
G01N33/50 Z
G01N33/483 C
G01N21/17 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018077453
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019184478
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(73)【特許権者】
【識別番号】511237276
【氏名又は名称】磐田市
(72)【発明者】
【氏名】三ツ谷佐知
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130462(JP,A)
【文献】特開2003-177105(JP,A)
【文献】特開平11-123206(JP,A)
【文献】米国特許第04785765(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿と便の各々だけの場合の測定のみならず、両者が混在した場合も、各々を分別して測定することが可能な方法であって、尿と便の全重量Mを測定する工程と、便の部分の状態を把握して、前記状態に対応する便部水分率rを決める工程、又は便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定する工程と、尿と便の水分量WH2Oの測定工程又は水分を除去された後の便の固形物重量Hの測定工程とを有し、各測定工程から得られたM、r、WH2O又はHから、尿重量U又は/及び便重量MBを以下の式により計算し、計算値を出力することを特徴とする尿と便を分別した重量測定方法。
尿重量計算U=(WH2O-rM)/(1-r)
便重量計算MB=(M-WH2O)/(1-r)
便重量計算MB=H/(1-r)
尿重量計算U=M-MB=M-H/(1-r)
【請求項2】
前記便部水分率rを決める工程は、前記便の固い状態から下痢便状態までの複数の状態に対応して前記便部水分率rが予め定められた便状態と便部水分率対応テーブルを参照して、前記便状態に対応する前記便部水分率rを決めるか、選択可能な便状態選択ボタンにより、
前記便状態に対応して便部水分率選択テーブルから便部水分率を決めるか、又は前記便部水分率rの値を直接入力して決めるか、又は、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定するか、
のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の尿と便を分別した重量測定方法。
【請求項3】
前記水分量WH2Oの測定は、水分により強度が減衰する電磁波の電磁波照射手段により既知の強度の前記電磁波を前記尿と便に照射し、電磁波受波手段により反射又は透過した前記電磁波を受けて、前記電磁波の強度の変化から求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の尿と便を分別した重量測定方法。
【請求項4】
尿と便の各々だけの場合の測定のみならず、両者が混在した場合も、各々を分別して測定することが可能な装置であって、尿と便の全重量Mを測定する手段と、便の部分の状態を把握して前記状態に対応する便部水分率rを決める、或いは、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定する便部水分率r決定手段と、尿と便の水分量WH2Oの測定する水分重量WH2O測定手段と、又は水分除去手段により水分を除去された後の便の固形物重量Hを測定する便固形部重量測定H測定手段と、各測定から得られたM、r、WH2O又はHから、尿重量U又は/及び便重量MBを以下の式により計算する尿・便 重量計算手段と、前記計算により得られた計算値を出力する出力手段とを有することを特徴とする尿と便を分別した重量測定装置。
尿重量計算U=(WH2O-rM)/(1-r)
便重量計算MB=(M-WH2O)/(1-r)
便重量計算MB=H/(1-r)
尿重量計算U=M-MB=M-H/(1-r)
【請求項5】
前記便部水分率rを決める便部水分率r決定手段は、前記便の固い状態から下痢便状態までの複数の状態に対応して前記便部水分率rが予め定められた便状態と便部水分率対応テーブルを備え、前記便状態と便部水分率対応テーブルを参照して、前記便状態に対応する前記便部水分率rを決めるか、
選択可能な便状態選択ボタンと便状態選択ボタンに対応した便部水分率選択テーブルを備え、前記便状態選択ボタンの選択により、前記便状態に対応して前記便部水分率rを決めるか、又は数値入力手段を備え、前記便部水分率rの値を直接入力して決めるか、
又は、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定するか、
のいずれかを行うものであることを特徴とする請求項4記載の尿と便を分別した重量測定装置。
【請求項6】
前記水分量WH2Oの測定手段は、水分により強度が減衰するものであって、既知の強度の電磁波を前記尿と便に照射する電磁波照射手段と、前記尿と便により反射又は透過した前記電磁波を受ける電磁波受波手段とを有し、前記電磁波受波手段により得られた、前記電磁波の強度の変化から前記水分量WH2Oを求めることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の尿と便を分別した重量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿(小便)と便(大便)を分別した重量測定方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿量の測定方法は、蓄尿瓶やプラスチックバックに集めた尿をメスシリンダーや重量計等で測定する方法、自動尿量測定器で計測する方法、便器の内部に取り付け外しできる容器で測定する方法が知られている。他に、特許文献1では、蓄尿容器に600~800nmに吸収を持つ物質を添加しておき、蓄尿後にその物質の濃度を測定する方法、これと同様に特許文献2では、酵素基質を含有させ、蓄尿後にこの濃度を計る方法、特許文献3では、直接便器内に尿捕集のボウルを備えて、排泄前後のボウル内の水位に基づき排泄物量を算出する方法が知られている。近年、尿と大便を区別してその量を測定することが望まれているが、そのような要望に対応できるものは、先行技術では、見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-283981
【文献】特許第4771302号
【文献】特開2014-169534
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、尿と便の各々だけの場合の測定のみならず、両者が混在した場合も、各々を分別して測定し、各々の量を算出して出力することが可能な尿と便を分別した重量測定方法とその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
尿と便の全重量Mを測定することと、便の部分の状態を把握して前記状態に対応する便部水分率rを決めることと、尿と便の水分量WH2Oの測定すること又は水分を除去された後の便の固形物重量Hの測定することから尿と便を分別した計算結果を得るものであり、以下請求項に沿い記述する。
【0006】
請求項1記載の発明は、尿と便を分別した重量測定方法であって、
尿と便の各々だけの場合の測定のみならず、両者が混在した場合も、各々を分別して測定することが可能な方法であって、尿と便の全重量Mを測定する工程と、便の部分の状態を把握して、前記状態に対応する便部水分率rを決める工程、又は便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定する工程と、尿と便の水分量WH2Oの測定工程又は水分を除去された後の便の固形物重量Hの測定工程とを有し、各測定工程から得られたM、r、WH2O又はHから、尿重量U又は/及び便重量MBを以下の式により計算し、計算値を出力することを特徴とする。
尿重量計算U=(WH2O-rM)/(1-r)
便重量計算MB=(M-WH2O)/(1-r)
便重量計算MB=H/(1-r)
尿重量計算U=M-MB=M-H/(1-r)
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の尿と便を分別した重量測定方法において、
前記便部水分率rを決める工程は、前記便の固い状態から下痢便状態までの複数の状態に対応して前記便部水分率rが予め定められた便状態と便部水分率対応テーブルを参照して、前記便状態に対応する前記便部水分率rを決めるか、選択可能な便状態選択ボタンにより、
前記便状態に対応して便部水分率選択テーブルから便部水分率を決めるか、又は前記便部水分率rの値を直接入力して決めるか、又は、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定するか、
のいずれかであることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の尿と便を分別した重量測定方法において、前記水分量WH2Oの測定は、水分により強度が減衰する電磁波の電磁波照射手段により既知の強度の前記電磁波を前記尿と便に照射し、電磁波受波手段により反射又は透過した前記電磁波を受けて、前記電磁波の強度の変化から求めることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、尿と便を分別した重量測定装置であって、
尿と便の各々だけの場合の測定のみならず、両者が混在した場合も、各々を分別して測定することが可能な装置であって、尿と便の全重量Mを測定する手段と、便の部分の状態を把握して前記状態に対応する便部水分率rを決める、或いは、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定する便部水分率r決定手段と、尿と便の水分量WH2Oの測定する水分重量WH2O測定手段と、又は水分除去手段により水分を除去された後の便の固形物重量Hを測定する便固形部重量測定H測定手段と、各測定から得られたM、r、WH2O又はHから、尿重量U又は/及び便重量MBを以下の式により計算する尿・便 重量計算手段と、前記計算により得られた計算値を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
尿重量計算U=(WH2O-rM)/(1-r)
便重量計算MB=(M-WH2O)/(1-r)
便重量計算MB=H/(1-r)
尿重量計算U=M-MB=M-H/(1-r)
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の尿と便を分別した重量測定装置において、
前記便部水分率rを決める便部水分率r決定手段は、前記便の固い状態から下痢便状態までの複数の状態に対応して前記便部水分率rが予め定められた便状態と便部水分率対応テーブルを備え、前記便状態と便部水分率対応テーブルを参照して、前記便状態に対応する前記便部水分率rを決めるか、
選択可能な便状態選択ボタンと便状態選択ボタンに対応した便部水分率選択テーブルを備え、前記便状態選択ボタンの選択により、前記便状態に対応して前記便部水分率rを決めるか、又は数値入力手段を備え、前記便部水分率rの値を直接入力して決めるか、
又は、便状態を把握せずに一定の値を便部水分率rとして設定するか、
のいずれかを行うものであることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の尿と便を分別した重量測定装置において、前記水分量WH2Oの測定手段は、水分により強度が減衰するものであって、既知の強度の電磁波を前記尿と便に照射する電磁波照射手段と、前記尿と便により反射又は透過した前記電磁波を受ける電磁波受波手段とを有し、前記電磁波受波手段により得られた、前記電磁波の強度の変化から前記水分量WH2Oを求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に構成されているので、本発明による尿と便を分別した重量測定方法とその装置では、尿と便が混在した場合にあっても、測定から各々の量を算出し出力するので、量的な把握ができ、病院、介護施設等での患者の病態管理に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法及びその装置の便部水分率r決定手段の一実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、水分(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローの一実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、水分(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローに対応した装置構成の一実施態様を示す図である。
図5図4の装置の水分(重)量測定手段の一実施態様を示す図である。
図6図5の水分(重)量測定手段を用いた、図4の装置の一実施態様を示す図である。
図7】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、便固形部(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローの一実施態様を示す図である。
図8】本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、便固形部(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローに対応した装置構成の一実施態様を示す図である。
図9】尿と便が混在する状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの一実施態様を示す図である。図9に示すように尿と便が混在している場合に分別して測定することが一番難しい。先ず図9において、オムツや水分吸収シート、採便・採尿容器等の尿便受け体210と尿220と便230が混在状態を示す。
図2は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法及びその装置の便部水分率r決定手段の一実施態様を示す図である。
本願では、便の状態(便秘などかなり固め、普通、下痢など水っぽい)を把握する工程を取る。一般に便は、2-Cに示すように、便状態により、水分の量が、便秘などかなり固めで70%、普通で80%、下痢状態で90%と言われる。これらの事情をまず説明する。オムツや水分吸収シート、採便・採尿容器等の尿便受け体210に尿220と便230が混在していたとする。このような状態を医者や看護人が見れば、便の状態を見て、おおよその水分率を判断は容易である。2-Bにおいては、便状態の把握を人的に行った場合の便部水分率r決定手段を示す。医者や看護人など人的に便部を見れば、固い便か、普通の便か、下痢状の便か、或いは、それらの中間の状態か、一目瞭然であるから、例えば、下痢状態なら、それに対応する便状態選択ボタン240を押す。押された便状態選択ボタン240の出力により水分率選択テーブル250のなかから対応する便部水分率rが決定され出力され、後の計算に用いられる。例えば、下痢状態に対応するボタンが押され、便部水分率rは0.9として決定される。
【0015】
2-Aにおいては、機械的な判断の例である。
もっとも容易なのは、便230の画像を撮影することである。
画像等便状態出力(この図ではカメラによる映像)は、便部水分率r決定手段410に入力される。
尿220部と便230部は、便部水分率r決定手段410内の便部特定手段260でパターンマッチングすれば、容易に分別できる。尿220部は、水分だけで構成されているし、固形部を含んだ部分は、便230部と判断すればよい。便230部の映像は、便部水分率r決定手段410内の便状態と水分率対応テーブル270のデータを参照して、便状態が同じか近い状態の便部水分率rを求める。これを行うのが、便状態マッチング手段280である。その結果が出力され、後の計算に使われる。
尚、医者や看護人などが、便状態から適当と思われる便部水分率rの値自体を直接入力することも可能である。
上記の3段階の値でも誤差は少ないが、予め、色々な既知(計測されて)の便部水分率rの便状態を比較のための値として用意することもでき、測定精度を上げることができる。
例えば、便部の全重量200gとして、普通状態と固い又は、下痢状態を入れた水分の量は、160±20g(12%)に過ぎない。従って、3段階でも十分な精度で計算に使えるのである。従って、上記の12%の誤差を許容すれば、便部水分率rを0.8と固定した値に設定して計算することも可能であり、その場合には、便状態の把握を省くこともでき便利である。
【0016】
このように、便状態を把握した後では、便部水分率rが求まるので、これを使い計算を行う。再び、図1に戻る。
次に、尿と便の全体の重量Mを計る。
その後、尿と便の水分重量WH2O又は、便の固形物重量Hを計る。前者では、水分のみを検出する測定が必要であり、図3で説明する。後者では、尿を含む水分の除去を行った後、固形分の重量を計る。この場合は、図7で説明する。いずれの測定も、尿便受け体210の重量は、既知であるため、これを差し引いた正味の重量値であることは当然である。
次に、尿重量Uと便重量MBを算出する。算出に使う式は図1に示される通りである。
計算した結果を出力手段により出力する。
このようにして、尿と便が混在した場合も、両者を分別して各々の重量を求めることができる。
【0017】
図3は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、水分重量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローの一実施態様を示す図である。
この測定の長所は、水分を除去することが必要なく、短時間で測定可能なことである。
図1で説明した、便部水分率rの決定と、尿と便の全体重量Mの測定は、同じである。尿と便の水分重量WH2Oの測定を行う。これができれば、尿重量Uと便重量MBを算出する。算出に使う式は図3に示される通り、
尿重量計算U=(WH2O-rM)/(1-r)
便重量計算MB=(M-WH2O)/(1-r)である。
計算結果を出力する。
水分だけの重量WH2Oの測定は、どのように行うのがよいか、その例を図5を使い説明する。図5は、図4の装置の水分重量測定手段の一実施態様を示す図である。
【0018】
載置台510の上に、尿便受け体210上に尿220と便230が混在して、存在している。電磁波照射手段520から既知の強度の電磁波が照射され、尿便受け体210、尿220と便230を透過する。尿便受け体210と載置台510と便固体は、電磁波に対して吸収性でないか、有っても水より弱い。電磁波としては、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波が水に吸収される。図の真ん中には、水の無い場合を参照基準にして、水分量に応じた吸収があることを示す。すなわち、水分量に応じて電波強度が低下する。右には、この傾向を示している。このように、電磁波の吸収量(電磁波強度の低下量)から水分だけの重量WH2Oを測定できる。既知の水分量に対して較正すれば、重量が求まる。特に、電子レンジに使われるマイクロ波が使用して都合がいい。水を加熱して昇温することが目的ではないので、弱い強度で瞬時に測定が可能である。尚、載置台510の下側に電磁波受波手段530を設けたが、反射波を測定すれば、載置台510の上側に電磁波受波手段530を設けることができる。電磁波受波手段530は、水による吸収がされたあとの電磁波の強度を測定するものである。尚、載置台510以外に、オムツや水分吸収シート、採便・採尿容器等の尿便受け体210は、電磁波の吸収性が低く透過性であることがよいのは当然である。
【0019】
図4は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、水分重量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローに対応した装置構成の一実施態様を示す図である。
便部水分率r決定手段410、尿・便全体重量M測定手段420、水分重量WH2O測定手段430、便重量MB・尿重量U計算手段440、出力手段450を備えている。いずれも、前述したことなので説明を省略する。便部水分率r決定手段410は、図2で説明したことであり、水分率r割当手段411は、便状態把握手段412による便状態に対応した便部水分率rを割り当てる。
【0020】
図6は、図5の水分重量WH2O測定手段を用いた、図4の装置の一実施態様を示す図である。
載置台510の上に、尿220と便230が載った尿便受け体210を載せる。搭載センサ610がこれを感知して、便部水分率r決定手段410を構成するカメラ620を駆動して、便230から便部水分率rを求める。勿論、カメラを搭載センサ610とすることもできる。次いで電磁波により水分重量WH2O測定手段を通過して、水分だけの重量WH2Oを測定する。尿と便の全体の重量Mの測定は、重量測定手段630において、どの時点で行ってもよい。重量測定手段630は、通常の重量計りが使える。
水分だけの重量WH2Oと尿と便の全体の重量Mから便重量MB・尿重量U計算手段440により、尿重量Uと便重量MBの各々が求められ、印刷、表示等の出力手段670に出力される。
制御器600は、上記の手段の動作制御部603、便状態と便部水分率rの対応データ、計算結果を記憶するデータメモリ601、外部との間のデータの外部インターフェース602等を有する。
尚、測定の終わった尿220と便230が載った尿便受け体210は、廃棄カゴ640に捨てられる。また、載置台510は、図のようにベルトコンベア又はその他の移動手段で構成してもよい。
【0021】
図7は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、便固形部(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローの一実施態様を示す図である。
図3との違いは、水分重量WH2O測定の代わりに、便の固形物重量Hを計ることであり、その結果として、便重量計算MBと尿重量計算Uは、図7に示す式で求められ、
便重量計算MB=H/(1-r)
尿重量計算U=M-MB=M-H/(1-r)である。
計算値が出力される。
便の固形物重量Hを計るためには、水分除去をしてから重量を測定する。水分除去のための処理として、遠心分離や高温加熱がよく知られているので使用できる。
図8は、本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法の測定フローの内、便固形部(重)量の測定値から尿と便の各量を計算する方法のフローに対応した装置構成の一実施態様を示す図である。図4との違いは、便固形部重量測定H測定手段810と水分除去手段820が水分重量WH2O測定手段430に置き換わっている点である。
【0022】
尿又は便が混在せず、単独である場合にも、水分重量WH2O、便の固形物重量Hから計算を行う両者とも、計算式は使える。例えば、水分重量WH2Oから求める場合で、尿のみの場合では、固形物はないので、r=0、尿量U=WH2O、WH2Oは、Mに等しい。MB=0となり、式は満足されている。逆に、便のみの場合、便の重量MBは全重量Mに等しい。
便の水分は、rMB=rMであるから、尿重量U=WH2O―rM=0(両者は等しいため)、
便重量MB=(M-WH2O)/(1-r)=(M-rM)/(1-r)=Mとなり、前重量Mが便の重量になる。これも式が満足されている。
今度は、便の固形物重量Hから求める場合で、尿のみの場合では、固形物はないので、r=0、又、H=0であるので、MB=0、尿量U=Mとなり、尿量Uは、全重量になる。
これも式が満足されている。逆に、便のみの場合は、便重量Mは全重量Mに等しいので、尿重量U=0となり、便重量MB=H/(1-r)で計算され、式が満足されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明にかかる尿と便を分別した重量測定方法とその装置では、両者が混在した場合でも、両者の量を区別して把握できるので、医療や介護等の患者の状態管理に使用され、産業上利用して極めて好都合である。
【0024】
210 尿便受け体
220 尿
230 便
240 便状態選択ボタン
250 水分率選択テーブル
260 便部特定手段
270 便状態と水分率対応テーブル
280 便状態マッチング手段
410 便部水分率r決定手段
411 水分率r割当手段
412 便状態把握手段
420 尿・便全体重量M測定手段
430 水分重量WH2O測定手段
440 便重量MB・尿重量U計算手段
450、670 出力手段
510 載置台
520 電磁波照射手段
530 電磁波受波手段
600 制御器
610 搭載センサ
620 カメラ
630 重量測定手段
640 廃棄カゴ
601 データメモリ
602 外部インターフェース
603 動作制御部
810 便固形部重量測定H測定手段
820 水分除去手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9