(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】地理情報システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/29 20190101AFI20220419BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20220419BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G06F16/29
G06T11/60 300
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2018090582
(22)【出願日】2018-05-09
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158883
【氏名又は名称】甲斐 哲平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】芝 隆
(72)【発明者】
【氏名】小山 覚三
(72)【発明者】
【氏名】後藤 浩章
(72)【発明者】
【氏名】光広 淳
(72)【発明者】
【氏名】青柳 謙一
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝一
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-172996(JP,A)
【文献】特開2008-165072(JP,A)
【文献】特開2009-069403(JP,A)
【文献】特開2011-237597(JP,A)
【文献】特開2004-069561(JP,A)
【文献】特開2010-008260(JP,A)
【文献】特開2008-071206(JP,A)
【文献】特開2005-221312(JP,A)
【文献】特開2010-8260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06T 11/60
G09B 29/00
G01C 21/00-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置に関連する情報を有するアイコンを地図上に表示する地理情報システムにおいて、
地図上に
複数のアイコンが表示された状態から、ユーザが主アイコン
を指定する主アイコン指定手段と、
地図上
、前記主アイコンの周囲に表示された
複数のアイコンの中から
、ユーザが1又は2以上の従アイコン
を指定する従アイコン指定手段と、
前記従アイコンを前記主アイコンに統合して、統合アイコンを表示する統合アイコン作成手段と、を備え、
ユーザによって1の前記主アイコンが選択され、
ユーザによって1又は2以上の前記従アイコンが選択されると、前記統合アイコン作成手段が、該従アイコンを非表示にするとともに、該主アイコンの表示位置に前記統合アイコンを表示する、
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項2】
位置に関連する情報を有するアイコンを地図上に表示する地理情報システムにおいて、
地図上に
複数のアイコンが表示された状態から、ユーザが主アイコン
を指定する主アイコン指定手段と、
前記主アイコンの表示位置から所定距離以内にあるアイコンを、従アイコンとして抽出する従アイコン抽出手段と、
前記従アイコンを前記主アイコンに統合して、統合アイコンを表示する統合アイコン作成手段と、を備え、
ユーザによって1の前記主アイコンが選択されると、前記従アイコン抽出手段が前記従アイコンを抽出し、前記統合アイコン作成手段が、該従アイコンを非表示にするとともに、該主アイコンの表示位置に前記統合アイコンを表示する、
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項3】
前記統合アイコン作成手段は、前記主アイコンが有する情報に共通する情報を有するアイコンを前記従アイコンとして抽出する、
ことを特徴とする請求項2記載の地理情報システム。
【請求項4】
前記統合アイコンに統合された前記主アイコンと前記従アイコンの総数を、該統合アイコンの周辺に又は該統合アイコンに重ねて、表示するアイコン数表示手段を、さらに備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地理情報システム。
【請求項5】
前記統合アイコンを元のアイコンに戻す統合解除手段を、さらに備え、
地図上に表示された前記統合アイコンを指定すると、前記統合解除手段が、前記統合アイコンを非表示にするとともに、統合された前記主アイコンを元の位置に表示する
とともに、統合された該主アイコンと前記従アイコンが直線上に一定間隔で配置されるように表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地理情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)の技術に関するものであり、より具体的には、地図上に表示された複数のアイコンを統合することができる地理情報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地理情報システムは、位置に関する情報(以下、「空間データ」という。)を取り扱うシステムであり、位置情報を基に空間データを地図上に表示し、位置情報を手掛かりとして目的の空間データを検索することができ、高度な分析や迅速な判断を行うことができる技術である。
【0003】
地理情報システムは、特許文献1にも開示されているように、空間データに関連づく位置にアイコンを表示するのがひとつの特報である。アイコンを指定(クリック)すると、その空間データの概要情報あるいは詳細情報が表示されるわけである。そして従来の地理情報システムでは、1の空間データに対して1のアイコンを表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、住民からの要望等の情報を管理する地理情報システムでは、同じ施設に対して複数の要望情報が入力されることがある。この場合、同じ施設(つまり同じ位置)について、入力された数だけのアイコンが表示されることになる。そして、その中から目的の情報を確認しようとすると、ひとつずつ順にアイコンをクリックしていかなければならない。
【0006】
本願発明の課題は、従来が抱える問題を解決することであり、いわば乱立するアイコンを回避することができ、目的のアイコンを検索しやすく、すなわち目的の情報を検索しやすい地理情報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、お互いに近接しているなど相互に関連するアイコンを統合して代表的なアイコンを表示する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
【0008】
本願発明の地理情報システムは、位置に関連する情報を有するアイコンを地図上に表示するシステムであって、主アイコン指定手段と、従アイコン指定手段、統合アイコン作成手段を備えたものである。主アイコン指定手段は、地図上に表示されたアイコンの中から選択されたアイコンを「主アイコン」とする手段であり、従アイコン指定手段は、地図上に表示されたアイコンの中から選択された1又は2以上のアイコンを「従アイコン」とする手段であり、統合アイコン作成手段は、従アイコンを主アイコンに統合して「統合アイコン」を表示する手段である。主アイコンが選択され、従アイコンが選択されると、統合アイコン作成手段が、従アイコンを非表示にするとともに、主アイコンの表示位置に統合アイコンを表示する。
【0009】
本願発明の地理情報システムは、主アイコンの表示位置から所定距離以内にあるアイコンを従アイコンとして抽出するシステムとすることもできる。この場合、主アイコンが選択されると、従アイコン抽出手段が従アイコンを抽出し、統合アイコン作成手段が、従アイコンを非表示にするとともに、主アイコンの表示位置に統合アイコンを表示する、
【0010】
本願発明の地理情報システムは、主アイコンの情報に関連する情報を有するアイコンを従アイコンとして抽出するシステムとすることもできる。
【0011】
本願発明の地理情報システムは、アイコン数表示手段をさらに備えたシステムとすることもできる。アイコン数表示手段は、統合アイコンに統合された主アイコンと従アイコンの総数を、統合アイコンの周辺(あるいは統合アイコンに重ねて)表示する手段である。
【0012】
本願発明の地理情報システムは、統合解除手段をさらに備えたシステムとすることもできる。統合解除手段は、統合アイコンを元のアイコンに戻す手段である。地図上に表示された統合アイコンを指定すると、統合解除手段が、統合アイコンを非表示にするとともに、統合された主アイコンと従アイコンを元の位置に表示する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の地理情報システムには、次のような効果がある。
(1)目的のアイコンが検索しやすく、すなわち目的の情報を容易かつ迅速に取得することができる。
(2)表示されるアイコン数を少なくすることができることから、背景にある地図情報が隠されることなく、従来に比して多くの情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態における本願発明の地理情報システムの主な構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態における本願発明の地理情報システムの主な処理の流れを示すフロー図。
【
図3】本願発明の地理情報システムの主な処理を示すステップ図。
【
図4】統合アイコンを解除して主アイコンと従アイコンを個別表示するステップ図。
【
図5】第2の実施形態における本願発明の地理情報システムの主な構成を示すブロック図。
【
図6】第2の実施形態における本願発明の地理情報システムの主な処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明の地理情報システムの実施形態の一例を、図を参照しながら説明する。本願発明の地理情報システムは、地図上に表示された複数のアイコンのうち1のアイコン(以下、「主アイコン」という。)を定め、この主アイコンの周辺に表示された1又は2以上のアイコン(以下、「従アイコン」という。)を主アイコンに統合することをひとつの特徴としている。そして。本願発明は、ユーザが従アイコンを選択する態様と、自動的に従アイコンを抽出する態様に2分することができる。以下、ユーザが従アイコンを選択する態様を第1の実施形態とし、自動的に従アイコンを抽出する態様を第2の実施形態として、それぞれ分けて説明することとする。
【0016】
1.第1の実施形態
本願発明の地理情報システムの第1の実施形態について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は第1の実施形態における地理情報システム100の主な構成を示すブロック図であり、
図2は第1の実施形態における地理情報システム100の主な処理の流れを示すフロー図、
図3は地理情報システム100の主な処理を示すステップ図である。
【0017】
第1の実施形態における地理情報システム100は、
図1に示すように、主アイコン指定手段101と、従アイコン指定手段102、統合アイコン作成手段103を含んで構成され、さらに空間データ記憶手段104と、アイコン数表示手段105、統合解除手段106を含んで構成することもできる。このうち空間データ記憶手段104は空間データを記憶するものであり、また空間データとは少なくとも位置情報と属性情報を備えたデータである。通常、1の空間データは2以上の種類の属性情報を備えている。
【0018】
従アイコンを主アイコンに統合するにあたっては、
図2に示すようにまず主アイコンを指定する(Step101)。具体的には、地図上に複数のアイコンが表示された状態(
図3(a))から、ユーザがクリック操作等によって主アイコンを指定する(
図3(b))。主アイコンを指定するのが
図1に示す主アイコン指定手段101であり、主アイコンが指定されると主アイコン指定手段101が空間データ記憶手段104から主アイコンの空間データ(位置情報と属性情報)を読み出す。
【0019】
主アイコンを指定すると、次に従アイコンを指定する(Step102)。具体的には、主アイコンの周辺に表示されたアイコンの中からユーザがクリック操作等によって従アイコンを指定する(
図3(c))。このとき、1の従アイコンを指定することもできるし、2以上の従アイコンを指定することもできる。従アイコンを指定するのが
図1に示す従アイコン指定手段102であり、従アイコンが指定されると従アイコン指定手段102が空間データ記憶手段104から従アイコンの空間データ(位置情報と属性情報)を読み出す。
【0020】
主アイコンと従アイコンを指定すると、
図1に示す統合アイコン作成手段103が統合アイコンを作成して地図上に表示する(Step103)。このとき、
図3(d)に示すように、統合アイコンは主アイコンが表示されていた位置に表示され、従アイコンは非表示とされる。
【0021】
統合アイコンは、主アイコンと従アイコンの空間データを備えている。そのため、
図3(d)に示すように、統合アイコンをクリックしたときに主アイコンと従アイコンの属性情報を表示させる仕様とすることができる。また、
図1に示すアイコン数表示手段105によって、統合アイコンを作成する基礎となった主アイコンと従アイコンの総数を表示させる仕様とすることもできる。この場合、統合アイコンの周辺にアイコン総数を表示することもできるし、統合アイコンに重ねて表示することも、あるいは
図3(d)に示すように統合アイコンに一部重ねてアイコン総数(図では、主アイコン数1+従アイコン数4=5)を表示することもできる。
【0022】
統合アイコンを作成したとしても、元の状態、すなわち主アイコンと従アイコンがそれぞれ個別表示される状態を再確認したいこともある。統合アイコンを解除して元の状態を表示するのが、
図1に示す統合解除手段106である。具体的には、統合解除手段106を用いて解除モードとしたうえで、ユーザがクリック操作等によって統合アイコンを指定すると、統合アイコンが非表示にされ主アイコンと従アイコンが個別表示される。
図4では、統合アイコンを解除することで、1の主アイコンと4の従アイコンを個別表示する例を示している。なお、統合解除手段106によって解除された主アイコンと従アイコンは、それぞれ元の位置に表示することもできるし、
図4に示すように所定の配置(この図では、直線上に一定間隔で配置)で表示することもできる。
【0023】
2.第2の実施形態
地理情報システムの第2の実施形態について、
図5~
図6を参照しながら説明する。
図5は第2の実施形態における地理情報システム100の主な構成を示すブロック図であり、
図6は第2の実施形態における地理情報システム100の主な処理の流れを示すフロー図である。
【0024】
第2の実施形態における地理情報システム100は、
図5に示すように、主アイコン指定手段101と、従アイコン抽出手段107、統合アイコン作成手段103を含んで構成され、さらに空間データ記憶手段104と、アイコン数表示手段105、統合解除手段106を含んで構成することもできる。なお、主アイコン指定手段101と、統合アイコン作成手段103、空間データ記憶手段104、アイコン数表示手段105、統合解除手段106は第1の実施形態と同様のものであり、したがって第1の実施形態と重複する内容の説明は避け、第2の実施形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、第1の実施形態で記載したものと同様である。
【0025】
主アイコン指定手段101によって主アイコンが指定される(Step201)と、従アイコン抽出手段107が統合すべき従アイコンを抽出する。ここで「統合すべき従アイコン」は、主アイコンから所定の距離(以下、「距離閾値」という。)以内にある(位置情報を有する)アイコンとされる。したがって、主アイコンが指定されると、従アイコン抽出手段107は主アイコンから距離閾値以内にあるアイコンを検出し(Step202)、これを従アイコンとして抽出する(Step204)。もちろん、1の従アイコンが抽出されることもあれば、2以上の従アイコンが抽出されることもある。
【0026】
従アイコンの抽出は、距離閾値以内にあるという条件に加え、主要な属性が主アイコンと共通することを条件とすることもできる。ここで主要な属性情報とは、複数種類の属性データのうちあらかじめ定められるものであって、例えば、施設情報(施設を特定する識別子など)や時間(入力時刻や事象発生時刻など)、あるいは入力者など、統合するためのキーとなる属性情報を設定するとよい。この場合、
図5に示すように、距離閾値以内にあるアイコンの中から、さらに主要な属性情報が主アイコンと共通する(例えば、施設情報が同じなど)従アイコンを検出し(Step203)、これを従アイコンとして抽出する(Step204)。
【0027】
従アイコンが抽出されると、第第1の実施形態と同様、統合アイコン作成手段103が統合アイコンを作成して地図上に表示する(Step205)。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明の地理情報システムは、要望情報を管理する地理情報システムや、上下水道といった施設の情報を管理する地理情報システムなど、種々の地理情報システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 地理情報システム
101 (地理情報システムの)主アイコン指定手段
102 (地理情報システムの)従アイコン指定手段
103 (地理情報システムの)統合アイコン作成手段
104 (地理情報システムの)空間データ記憶手段
105 (地理情報システムの)アイコン数表示手段
106 (地理情報システムの)統合解除手段
107 (地理情報システムの)従アイコン抽出手段