(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電子式落下イベント通信システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/10 20060101AFI20220419BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20220419BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G08B25/10 A
E04G21/32 Z
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2018534037
(86)(22)【出願日】2016-07-12
(86)【国際出願番号】 US2016041830
(87)【国際公開番号】W WO2017116501
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】パーナー,ジュド ジェイ.
【合議体】
【審判長】伊藤 隆夫
【審判官】吉田 隆之
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-104339(JP,A)
【文献】特表2008-505737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下イベント検知通信システムであって、
落下防止システムの一部として実現された少なくとも1つの落下検知ノードを含み、
前記少なくとも1つの落下検知ノードは、
落下イベントが生じたことを示す状態に基づいて、作動信号を生成する少なくとも1つの検知要素と、
前記少なくとも1つの検知要素から前記作動信号を受信すると、少なくとも1つの落下検知信号を送信するノード送信機と、を備え、
更に、
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスに記憶されたパーソナル通信アプリケーションを含み、
前記パーソナル通信アプリケーションは、前記少なくとも1つの落下検知ノードの前記ノード送信機からの前記落下検知信号について前記
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスに監視させ、
更に、前記パーソナル通信アプリケーションは、前記少なくとも1つの落下検知ノードから前記少なくとも1つの落下検知信号を受信することに少なくとも部分的に基づいて、落下イベントが生じたかどうかを前記
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスに判断させ、
更にまた、前記パーソナル通信アプリケーションは、落下イベントが生じたと判断されると、前記
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスにリモート通信デバイスへと落下警告メッセージを送信させるものであり、
前記
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスは携帯電話であって、前記パーソナル通信アプリケーションは、選択時間よりも長い間、前記落下検知信号を連続的に受信した後にのみ、前記携帯電話に前記落下警告メッセージを送信させる、
落下イベント検知通信システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検知要素は、前記落下防止システムの少なくとも1つの構成要素が選択重量を超える荷重を受けると作動するスイッチである、請求項1に記載の落下イベント検知通信システム。
【請求項3】
少なくとも1つの落下検知ノードは、選択時間の間、前記少なくとも1つの検知要素から前記作動信号を受信したときにのみ、前記少なくとも1つの落下検知信号を送信する、請求項1に記載の落下イベント検知通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の落下イベント検知通信システムを用いて落下イベントをリモート通信デバイスに通信する方法であって、
落下防止システムに実現された少なくとも1つの落下検知ノードによって、落下イベントが検知されると、落下検知信号を生成することと、
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスによって、前記落下検知信号について前記少なくとも1つの落下検知ノードを監視することと、
前記
高所作業を行う予定のユーザに取り付けられるパーソナル通信デバイスによって、前記少なくとも1つの落下検知ノードからの落下検知信号の検知に少なくとも部分的に基づいて、落下警告メッセージを生成することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
落下防止は、高所作業が要求される作業者の労働安全衛生にとって重要である。作業者が晒される電気的又は機械的な危険性などの他の種類の危険性とは異なり、重力位置エネルギーは、高所作業が要求される全ての組織に影響を及ぼす普遍的な危険性である。高所作業に伴う危険を撲滅するために、落下防止機器の製造業者は、落下イベント中の作業者の落下を確実に阻止するためのデバイスを開発してきた。これらのデバイスは、意図したように概ね機能し、作業者の落下を確実に阻止するが、作業者が適時に救助されない場合には、依然として作業者に支障が及ぶ可能性がある。この状況は、作業者が遠隔地で単独で作業するときに特に重要である。
【0002】
上述した理由から、及び、本明細書を読んで理解すれば、当業者にとって明らかになるであろう以下で述べる他の理由から、当該分野では、効果的及び効率的な方法で落下イベントを第三者に通信する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
現行のシステムの上述の問題は、本開示の実施形態によって対処され、以下の明細書を読み検討することによって理解されるであろう。以下の概要は、限定としてではなく、例として示される。それは、読者が本開示の態様のいくつかを理解するのを助けるために提示されるにすぎない。
【0004】
一実施形態では、落下イベント検知通信システムが提供される。落下イベント検知通信システムは、少なくとも1つの落下検知ノード及びパーソナル通信アプリケーションを含む。少なくとも1つの落下検知ノードは、落下防止システムの一部として実現される。少なくとも1つの落下検知ノードは、少なくとも1つの検知要素及びノード送信機を含む。少なくとも1つの検知要素は、落下イベントが生じたことを示す状態に基づいて、作動信号を生成する。ノード送信機は、少なくとも1つの検知要素から作動信号を受信すると、少なくとも1つの落下検知信号を送信する。パーソナル通信アプリケーションは、パーソナル通信デバイスに記憶されている。パーソナル通信アプリケーションは、少なくとも1つの落下検知ノードのノード送信機からの落下検知信号についてパーソナル通信デバイスに監視させる。パーソナル通信アプリケーションは、更に、少なくとも1つの落下検知ノードから少なくとも1つの落下検知信号を受信することに少なくとも部分的に基づいて、落下イベントが生じたかどうかをパーソナル通信デバイスに決定させる。パーソナル通信アプリケーションは、更にまた、落下イベントが生じたとの決定に基づいて、パーソナル通信デバイスにリモート通信デバイスと通信させる。
【0005】
別の実施形態では、落下検知ノードが提供される。落下検知ノードは、少なくとも1つの検知要素及び送信機を含む。少なくとも1つの検知要素は、落下防止システムにより実現される。検知要素は落下イベントを検知する。送信機は、少なくとも1つの検知要素と通信状態にある。送信機は、更に、少なくとも1つの検知要素による落下イベントの検知に基づいて、落下検知信号をパーソナル通信デバイスに送信する。
【0006】
また別の実施形態では、落下イベントをリモート通信デバイスに通信する方法が提供される。この方法は、落下防止システムに実装された少なくとも1つの落下検知ノードによって、落下イベントが検知されると、落下検知信号を生成することを含む。少なくとも1つの落下検知ノードは、パーソナル通信デバイスによって落下検知信号について監視される。パーソナル通信デバイスによって、少なくとも1つの落下検知ノードからの落下検知信号の検知に少なくとも部分的に基づいて、落下警告メッセージが生成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
詳細な説明及び以下の図をふまえて考察すれば、本開示をより容易に理解できるとともに、その更なる利点及び使用がより容易に明らかになるであろう。
【0008】
【
図1】落下イベント検知通信システムのブロック図である。
【0009】
【
図2】本開示の一実施形態のアプリケーションフローチャートである。
【0010】
【
図3】本開示の別の実施形態のアプリケーションフローチャートである。
【0011】
一般的な慣習に従い、記載された種々の特徴は縮尺どおりには描かれておらず、本開示に関係する特定の特徴を強調するように描かれている。参照文字は、図及び本文全体を通して同様の要素を表している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を成すとともに、本開示を実施しうる特定の実施形態を例示の目的で示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は当業者が本開示を実施できる程度に十分に詳細に説明されており、他の実施形態が利用可能であること、並びに本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなしに様々な変更が加えられることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は請求項及びその均等物によってのみ定義される。
【0013】
本開示の実施形態は、落下イベント検知通信システムを提供する。落下イベント検知通信システム100の例を
図1に例示している。本実施形態の落下イベント検知通信システム100は、少なくとも1つの落下検知ノード200a、200b又は200c、パーソナル通信デバイス300及びリモート通信デバイス400を含む。本実施形態の各落下検知ノード200a、200b及び200cは、少なくとも1つの検知要素230a、230b又は230c、送信機220及び電源215を含む。落下検知ノード200a、200b及び200cは、高所作業中にユーザが使用する落下防止システムの一部として実現される。少なくとも1つの落下検知ノード200a、200b又は200cの実現の例が、以下で説明される。
【0014】
上で説明したように、
図1の実施形態の落下検知ノード200a、200b又は200cは、少なくとも1つの検知要素230a、230b又は230c、送信機220及び電源215を含む。検知要素230a、230b又は230cの少なくとも1つは、落下イベントを検知するために使用される。各検知要素230a、230b及び230cは、送信機220と通信状態にある。検知要素230a、230b及び230cの例としては、非限定的に、落下イベントが生じたことを示す状態を検知するスイッチ又はセンサが挙げられる。例えば、一実施形態では、検知要素230a、230b又は230cの1つは、選択重量が印加されると作動する、ばね仕掛けのスイッチなどの圧力スイッチである。別の実施形態では、検知要素230a、230b又は230cの1つは加速度センサである。検知要素230a、230b又は230cの少なくとも1つが落下イベントを検知すると、対応する作動信号231a、231b及び231cが送信機220に送信される。作動信号を受信すると、対応する落下検知ノード200a、200b又は200cの送信機220は、電源215により電力供給され、落下検知信号221a、221b又は221cを送信する。一実施形態では、落下検知信号221a、221b及び221cは、非限定的にブルートゥース信号などの近距離通信信号である。ブルートゥース信号は、データを短距離で交換するためのブルートゥース無線技術規格による無線信号である。ブルートゥース規格は短波長UHF電波を使用する。
【0015】
代替的な実施形態では、落下検知ノード200a、200b又は200cの少なくとも1つが、ノードアプリケーション216を記憶するノードメモリ218を更に含む。本実施形態はまた、ノードアプリケーション216を実行するノードコントローラ210、及びノードクロック250を含む。一実施形態では、アプリケーション216に記憶された命令を使用するノードコントローラ210は、検知要素230a、230b又は230cの1つが落下イベントを連続的に検知している間に選択時間が経過したと、クロック250を使用して判断された後にのみ、落下検知信号221a、221b又は221cが送信されるように、送信機220を制御する。3つの落下検知ノード200a、200b及び200c、並びに各落下検知ノード200a、200b及び200cにつき3つの検知要素230a、230b及び230cのみを
図1に例示しているが、少なくとも1つの検知要素を有する任意数の落下検知ノードを使用することができ、本開示は、3つの落下検知ノード200a、200b及び200c、並びに各落下検知ノード200a、200b及び200cにつき3つの検知要素230a、230b及び230cのみの場合に限定されない。
【0016】
パーソナル通信デバイス300は、落下検知ノード200a、200b及び200cの送信機220から落下検知信号を受信するための近傍受信機330を含む。一実施形態では、パーソナル通信デバイス300は携帯電話である。しかし、落下検知信号を受信できる任意の形式のパーソナル通信デバイスを使用することができる。例えば、ブルートゥース規格を近接通信規格として使用する場合、ブルートゥース規格により通信する受信器を有する携帯電話を使用することができる。
図1の実施形態のパーソナル通信デバイス300はまた、プロセッサなどのパーソナル通信コントローラ310、パーソナル通信クロック350、入力/出力部315、パーソナル通信メモリ318及び送受信機340も含む。
【0017】
パーソナル通信コントローラ310は、パーソナル通信デバイスの動作を制御する。パーソナル通信デバイス300を動作させるためにパーソナル通信コントローラ310により実行される命令が、メモリ318に記憶されている。また
図1に例示するように、パーソナル通信デバイス300には、パーソナル通信メモリ318にも記憶されたパーソナル通信アプリケーション320が存在する。パーソナル通信アプリケーション320は、以下で説明する特定用途のためにパーソナル通信コントローラ310により実行される特定の命令セットである。パーソナル通信コントローラ310は、デバイス300の入力/出力部315を通じてユーザがアプリケーションを作動させると、アプリケーション命令を実行する。本実施形態のパーソナル通信クロック350は、他にもいろいろな理由があるが、パーソナル通信デバイス300が落下検知ノード200a、200b又は200cから落下検知信号221a、221b又は221cを受信している時間を計測するために使用される。
【0018】
送受信機340は、信号を長距離で送受信するためにパーソナル通信デバイス300により使用される。携帯電話の例では、送受信機340は、携帯電話ネットワークを介してリモート通信デバイス400に対して信号を送受信する。リモート通信デバイス400は、パーソナル通信デバイス300に対してリモートに位置する別の携帯電話又は固定電話回線であってもよい。パーソナル通信デバイス300のパーソナル通信送受信機340によって、落下警告メッセージ341が、実施形態のリモート通信デバイス400のリモート送受信機420に送信される。また、一実施形態では、パーソナル通信デバイス300は、1つ以上の検知要素317a及び317bを含む。落下検知ノード200a、200b及び200cの検知要素230a、230b及び230cと同様に、落下イベントを検知するために検知要素317a及び317bを使用することができる。検知要素317a及び317bの例が加速度計である。しかし、他の形式の検知要素をパーソナル通信デバイスにおいて使用してもよい。
【0019】
図2を参照すると、一実施形態のアプリケーションフローチャート500を例示している。処理は、ユーザが高所作業の準備を整えることによって開始する(502)。一実施形態では、このことは、落下防止システムを実装することを含む。例えば、落下防止システムを実装することは、セーフティハーネスを着用し、パーソナル通信デバイス300のアプリケーション320を設定する(504)ことを含んでもよい。設定としては、落下イベントを検知した場合に呼び出す通信番号、落下警告メッセージ341をリモート通信デバイス400に送信する前に、落下検知ノード200a、200b又は200cが落下検知信号221a、221b又は221cをどの程度の間観測する必要があるか、送信すべき落下警告メッセージ341の種類、及び落下警告メッセージ341の内容などを提供することを含んでもよい。アプリケーション320が設定される(504)と、アプリケーション320は、パーソナル通信デバイス300上で作動する(506)。そしてパーソナル通信デバイスは、高所作業を行う予定のユーザに取り付けられる(508)。そしてユーザは高所作業を行う(510)。
【0020】
ユーザが高所作業を行っている間、パーソナル通信デバイス300は、アプリケーション320により計画された指示に従って落下検知信号221a、221b又は221cについて監視する(512)。落下検知信号221a、221b又は221cが検知されなかった場合(514)、処理は(512)で継続する。落下検知信号221a、221b又は221cが検知された場合(514)、一実施形態では、パーソナル通信デバイス300のコントローラ310は、アプリケーション320の命令に従ってタイマを始動させる(516)(クロック350を使用して時間を追跡する)。コントローラ310は、本実施形態の近傍受信機330が落下検知信号221a、221b又は221cを受信している時間を計測する(518)。落下検知信号221a、221b及び221cを受信している連続時間が、アプリケーションにおいて設定された時間未満である場合(520)、処理は、(512)に戻って落下検知信号221a、221b又は221cについての監視を継続する。落下検知信号221a、221c又は221cを受信している連続時間が、アプリケーションにおいて設定された時間以上である場合(520)、パーソナル通信デバイス300のコントローラ310は、送受信機340を作動させて、落下警告メッセージ341をリモート通信デバイス400に送信する(522)。
【0021】
受信した落下警告メッセージ341に基づいて、落下したユーザを救助するために救助員が派遣される。アプリケーションにおいて設定される時間の例は、10秒を超える時間であり、落下検知信号221a、221b又は221cを送信するために落下検知ノード200a、200b又は200cにより使用される重量の例は、130ポンド以上である。別の実施形態では、上で説明したように、落下検知ノード200a、200b又は200cの少なくとも1つは、対応する検知要素230a、230b又は230cが落下イベントを検知していた連続時間を決定できるよう構成されている。本実施形態では、時間が確認された後にのみ、対応する落下検知信号221a、221b又は221cが送信される。さらに本実施形態では、パーソナル通信デバイスのコントローラ310は、アプリケーション320に記憶された命令に従って、対応する落下検知信号221a、221b又は221cが検知されると直ちに落下警告メッセージ341を送信する。
【0022】
図3は、別の実施形態のアプリケーションフローチャート530を例示している。本実施形態では、落下警告メッセージ341を初期化するときに少なくとも2つの異なる検知要素が使用される。例えば、少なくとも2つの異なる検知要素は、検知要素230a、230b、230c、317a及び317bの中から選択することができる。処理は、ユーザが高所作業の準備を整えることによって開始する(532)。一実施形態では、このことは、落下防止システムを実装することにより行われる。落下防止システムを実装することは、セーフティハーネスを着用し、パーソナル通信デバイス300のアプリケーション320を設定する(534)ことを含んでもよい。設定としては、落下イベントを検知した場合に呼び出す通信番号、落下イベントの判断及び検証に必要とされる、異なる検知要素230a、230b、230c、317a、317bからの異なる信号の数、落下警告メッセージ341をリモート通信デバイス400に送信する前に、検知要素230a、230b、230c、317a及び317bが落下検知信号221a、221b及び221cをどの程度の間観測する必要があるか、送信すべき落下警告メッセージ341の種類、及び落下警告メッセージ341の内容などを提供することを含んでもよい。アプリケーション320が設定される(534)と、アプリケーション320は、パーソナル通信デバイス300上で作動する(536)。そしてパーソナル通信デバイスは、高所作業を行う予定のユーザに取り付けられる(538)。そしてユーザは高所作業を行う(540)。
【0023】
ユーザが高所作業を行っている間、パーソナル通信デバイス300は、アプリケーション320により計画された命令に従って落下検知信号について監視する(542)、(552)及び(556)。落下検知信号は落下検知信号221a、221b、221cであってもよい。また、落下検知信号は、検知要素317a及び317bからのものであってもよい。アプリケーションフローチャート530が、本例で使用されるものとして、3つの異なる検知要素230a、230b及び230cからの落下検知信号221a、221b及び221cなどの3つの異なる種類の落下検知信号を示しているが、任意数の異なる種類の検知要素を使用してもよい。
【0024】
図3のアプリケーションフローチャート530では、パーソナル通信デバイス300が、第1の検知要素230aからの落下検知信号221aなどの第1の落下検知信号について監視する。本実施形態では、第1の落下検知信号221aが検知される(544)と、タイマが始動される(546)。コントローラ310は、本実施形態の近傍受信機330が落下検知信号221aを受信している時間を計測する(548)。落下検知信号221aを受信している連続時間が、アプリケーションにおいて設定された時間未満である場合(550)、処理は、(542)に戻って落下検知信号221aについての監視を継続する。落下検知信号221aを受信している連続時間が、アプリケーションにおいて設定された時間以上である場合(550)、本実施形態のコントローラ310は、少なくとも1つの他の落下検知信号が検知されたか否かを確認する(560)。例えば、通信デバイス300は、第2の検知要素230bからの落下検知信号231bなどの第2の落下検知信号について(552)で監視し、第3の検知要素230cからの落下検知信号231cなどの第3の落下検知信号について(556)で監視する。
【0025】
上述したように、本実施形態では、落下警告メッセージ341は、2つ以上の落下検知信号221a、221b及び221cが検知される(544)、(554)及び(558)と、リモート通信デバイス400に送信される(562)。よって、本実施形態では、少なくとも2つの独立した落下検知システムに落下イベントを同時に検知することを要求することによって、落下イベントの確認が可能である。このことは、誤った落下検知イベントを削減する。例えば、1つの検知要素230aは荷重を測定するセンサでもよく、一方、検知要素230bは、所定の大きさの力が加わると作動するスイッチであり、検知要素230cは加速度計でもよい。また、上で説明したように、パーソナル通信デバイスは、落下イベントを検知し確認するために、単独で使用できる、又は落下検知ノード200a、200b及び200cの検知要素230a、230b及び230cと共にも使用できる検知要素317a及び317b(非限定的に、加速度計及び/又は減速度計など)を含んでもよい。また、別の実施形態では、少なくとも1つの落下検知ノード200a、200b又は200cは、検知要素230a、230b、及び230cが落下イベントを検知する時間を計測できるように構成されている。本実施形態では、パーソナル通信コントローラ310は、少なくとも1つのノード200a、200b及び200cからの対応する落下検知信号221a、221b又は221cが検知されると直ちに、落下イベントが検知されたと識別するように構成されている。本実施形態のコントローラ310は、落下警告メッセージを送信するまで、検証のために少なくとも1つの他の落下検知信号を待機する。
【0026】
本明細書では、特定の実施形態を例示して説明したが、当業者は、示した特定の実施形態が、同じ目的を達成するように計画された任意の構成に置き換えられうることを理解するであろう。本出願は、本開示のあらゆる適合形態又は変形形態を包含することを意図している。したがって、本開示は、請求項及びその均等物によってのみ限定されることが、明白に意図されている。以下、本開示の実施形態の一例を挙げる。
[1]
落下イベント検知通信システムであって、
落下防止システムの一部として実現された少なくとも1つの落下検知ノードを含み、
前記少なくとも1つの落下検知ノードは、
落下イベントが生じたことを示す状態に基づいて、作動信号を生成する少なくとも1つの検知要素と、
前記少なくとも1つの検知要素から前記作動信号を受信すると、少なくとも1つの落下検知信号を送信するノード送信機と、を備え、
更に、パーソナル通信デバイスに記憶されたパーソナル通信アプリケーションを含み、
前記パーソナル通信アプリケーションは、前記少なくとも1つの落下検知ノードの前記ノード送信機からの前記落下検知信号について前記パーソナル通信デバイスに監視させ、
更に、前記パーソナル通信アプリケーションは、前記少なくとも1つの落下検知ノードから前記少なくとも1つの落下検知信号を受信することに少なくとも部分的に基づいて、落下イベントが生じたかどうかを前記パーソナル通信デバイスに判断させ、
更にまた、前記パーソナル通信アプリケーションは、落下イベントが生じたと判断されると、前記パーソナル通信デバイスにリモート通信デバイスと通信させる、落下イベント検知通信システム。
[2]
前記少なくとも1つの検知要素は、前記落下防止システムの少なくとも1つの構成要素が選択重量を超える荷重を受けると作動するスイッチである、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[3]
前記少なくとも1つの検知要素は、スイッチ及びセンサの少なくとも一方である、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[4]
前記パーソナル通信アプリケーションは、選択時間よりも長い間、前記落下検知信号を連続的に受信した後にのみ、前記パーソナル通信デバイスに前記落下警告メッセージを送信させる、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[5]
少なくとも1つの落下検知ノードは、選択時間の間、前記少なくとも1つの検知要素から前記作動信号を受信したときにのみ、前記少なくとも1つの落下検知信号を送信する、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[6]
前記少なくとも1つの落下検知ノードは、
ノードクロックと、
アプリケーションを記憶するノードメモリと、
ノードアプリケーションの命令を実行するノードコントローラであって、前記命令は、前記ノードクロックを使用して前記少なくとも1つの検知要素からの作動信号の時間を計測することを前記ノードコントローラに命令することを含む、ノードコントローラと、
を更に含む、[5]に記載の落下イベント検知通信システム。
[7]
前記パーソナル通信アプリケーションは、2つ以上の落下検知信号が受信された後にのみ、前記パーソナル通信デバイスに前記落下警告メッセージを送信させる、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[8]
前記落下検知信号は近距離通信信号である、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[9]
前記パーソナル通信デバイスは、無線電話システムを介して前記リモート通信デバイスと通信する、[1]に記載の落下イベント検知通信システム。
[10]
落下防止システムにより実現された少なくとも1つの検知要素であって、落下イベントを検知する検知要素と、
前記少なくとも1つの検知要素と通信する送信機であって、前記少なくとも1つの検知要素による落下イベントの前記検知に際して、落下検知信号をパーソナル通信デバイスに送信する送信機と、
を備える落下検知ノード。
[11]
前記落下防止システムに組み込まれたスイッチである前記少なくとも1つの検知要素であって、前記スイッチは、落下防止ハーネスが選択された重量を超える荷重を受けると作動する、少なくとも1つの検知要素と、
前記スイッチが作動している間、前記落下検知信号を前記パーソナル通信デバイスに連続的に送信する送信機と
を更に備える、[10]に記載の落下検知ノード。
[12]
前記スイッチは、ばね仕掛けのスイッチである、[11]に記載の落下検知ノード。
[13]
前記送信機に電力供給する電源
を更に備える、[10]に記載の落下検知ノード。
[14]
ノードクロックと、
ノードアプリケーションを記憶するノードメモリと、
前記ノードアプリケーションの命令を実行するコントローラであって、前記命令は、前記クロックを使用して前記少なくとも1つの検知要素からの作動信号の時間を計測することを前記ノードコントローラに命令することを含む、コントローラと、
を更に備える、[10]に記載の落下検知ノード。
[15]
落下イベントをリモート通信デバイスに通信する方法であって、
落下防止システムに実現された少なくとも1つの落下検知ノードによって、落下イベントが検知されると、落下検知信号を生成することと、
パーソナル通信デバイスによって、前記落下検知信号について前記少なくとも1つの落下検知ノードを監視することと、
前記パーソナル通信デバイスによって、前記少なくとも1つの落下検知ノードからの落下検知信号の検知に少なくとも部分的に基づいて、落下警告メッセージを生成することと
を含む方法。
[16]
前記少なくとも1つの落下検知ノードにより前記落下防止信号が生成される時間量を追跡することと、
追跡された時間量が選択時間量を超えると、前記落下警告メッセージをリモート通信デバイスに送信することと
を更に含む、[15]に記載の方法。
[17]
落下防止システムに実現された少なくとも1つの落下検知ノードによって、落下イベントが検知されると、落下検知信号を生成することは、
前記落下防止システム上の荷重が選択荷重を超えると、前記落下防止システムに組み込まれたばね仕掛けのスイッチを作動させることと、
前記ばね仕掛けのスイッチの前記作動に応答して、前記落下検知信号をパーソナル通信デバイスに送信することと
を更に含む、[15]に記載の方法。
[18]
前記落下警告メッセージを送信する前に前記ばね仕掛けの作動スイッチが作動しなければならないように選択時間を設定すること
を更に含む、[17]に記載の方法。
[19]
少なくとも2つの検知要素によって、前記落下警告メッセージを送信する前に落下イベントを確認すること
を更に含む、[15]に記載の方法。
[20]
前記少なくとも2つの検知要素の少なくとも一方が、前記少なくとも1つの落下検知ノードの一部である、[19]に記載の方法。