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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】レチクル保持システム及び保持システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220419BHJP
   B65D 25/10 20060101ALI20220419BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20220419BHJP
   B65D 85/38 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D25/10
B65D85/30 500
B65D85/38 310
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020133062
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2021064776
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】62/915,652
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520256488
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ミン-チェン チウ
(72)【発明者】
【氏名】チア-ホ チャン
(72)【発明者】
【氏名】イ-シュアン リー
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン シュエ
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0214287(US,A1)
【文献】特表2019-528578(JP,A)
【文献】特開2009-227304(JP,A)
【文献】特開2012-255958(JP,A)
【文献】特開2018-120200(JP,A)
【文献】米国特許第08220630(US,B1)
【文献】登録実用新案第3181255(JP,U)
【文献】特開平07-297272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 25/10
B65D 85/30
B65D 85/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ポッドを備え、
前記内側ポッドが、
レチクルを受け入れるように構成された内側ベースと、
前記内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、
前記内側カバーを貫通して配置され、前記受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、前記押圧部の反対側に配置された受圧部、及び前記受圧部よりも幅広の肩部を含む押さえピンであって、電荷散逸特性を有する押さえピンと、
前記内側カバー上に配置され、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記受圧部がその中に延在するようにウインドウを画定する制限キャップと、
前記制限キャップと前記押さえピンの肩部との間に配置された第1弾性要素と、
を備え、
電荷散逸特性を有する押圧要素が前記押さえピンを押圧して前記レチクルが押圧されると、前記受け入れたレチクルから前記押さえピンを経て前記押圧要素に至る電荷散逸経路が確立される、
レチクル保持システム。
【請求項2】
前記肩部と前記内側カバーとの間に配置された第2弾性要素をさらに備える、請求項1に記載のレチクル保持システム。
【請求項3】
前記第1弾性要素が、前記押さえピンの前記受圧部を取り囲む環状構造を有する、請求項1に記載のレチクル保持システム。
【請求項4】
外側ポッドをさらに備え、
前記外側ポッドが
前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベース、
前記外側ベースを連結するように構成された外側カバー、
及び、前記外側カバー上に配置され、前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記押さえピンを押圧して前記レチクルを押圧するように構成された押圧要素を備え、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記制限キャップの上面と前記受圧部の上面とが同一平面上にある、
請求項1に記載のレチクル保持システム。
【請求項5】
前記外側カバーが電荷散逸特性を備え、
前記押圧要素が前記押さえピンを押圧して前記レチクルが押圧されると、前記受け入れたレチクルから前記押さえピン及び前記押圧要素を通って前記外側カバーへと続く電荷散逸経路が確立される、
請求項4に記載のレチクル保持システム。
【請求項6】
前記内側ポッドが、前記内側ベース上に配置されると共に、前記レチクルを支持するように構成された支持要素をさらに備え、
前記外側ポッドが、前記外側ベース上に配置されると共に、前記内側ベースを支持するように構成された支持構造をさらに備え、
前記支持構造及び前記支持要素が、電荷散逸特性を備え、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記支持要素が、前記受け入れたレチクルに接触して、前記受け入れたレチクルから前記内側ベース及び前記支持構造を通って前記外側ベースへと続く電荷散逸経路を確立する、
請求項4に記載のレチクル保持システム。
【請求項7】
前記押さえピンの受圧部が、前記押圧要素に対向する受圧面を有し、
前記制限キャップが、前記押さえピンの前記受圧面を露出するウインドウを画定し、
前記押圧要素が、前記押さえピンが前記レチクルを押圧するように、前記押さえピンをその露出部分で押圧するように構成され、
前記受圧面の露出部分の投影面積の幅が、前記押圧要素の投影面積の幅よりも小さい、
請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載のレチクル保持システム。
【請求項8】
前記制限キャップが、前記押圧要素に対向する制限面を有し、
前記押圧要素が、前記制限キャップに物理的に接触するようにさらに構成され、
前記押圧要素が前記制限面に物理的に接触したときに、前記制限面と前記受圧面の露出部分とが同一平面上にある、
請求項7に記載のレチクル保持システム。
【請求項9】
前記制限キャップが、前記押圧要素に対向する制限面を有し、
前記押圧要素が、前記制限キャップに物理的に接触するようにさらに構成され、
前記押圧要素が前記制限面に物理的に接触したときに、前記押さえピンの前記受圧面及び前記制限面の一方が、他方よりも前記受け入れたレチクルに近い、
請求項7に記載のレチクル保持システム。
【請求項10】
前記押圧要素が、
前記押圧要素が前記制限面に物理的に接触したときに、前記制限キャップによって画定された前記ウインドウ内に延在するように構成された湾曲凸部を有する、
請求項9に記載のレチクル保持システム。
【請求項11】
ワークピースを受け入れるように構成された内側ベースと、前記内側ベースに連結するように構成され、それにより受け入れたワークピースを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、前記内側カバーを貫通して移動可能に配置され前記受け入れたワークピースを押圧するように構成された押圧部、押圧部に対向する受圧部、及び受圧部よりも幅広の肩部とを含み、前記押圧部は受圧面を有する押さえピンと、を備える内側ポッドと、
前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、前記外側ベースを連結するように構成された外側カバーと、前記外側カバー上に配置された押圧要素と、を備える外側ポッドと、
を備え、
前記受圧面が、前記押圧要素に対向し、
前記内側ポッドが、前記内側カバー上に配置され、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記押さえピンの前記受圧面を露出するウインドウを画定する制限キャップと、前記制限キャップ及び前記押さえピンに物理的に接触するように配置された弾性要素と、をさらに備え、
前記押さえピン、前記外側カバー、及び前記押圧要素が、電荷散逸特性を有し、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記押圧要素が、前記押さえピンを押圧して前記ワークピースを押圧すると共に、前記受け入れたワークピースから前記押さえピン及び前記押圧要素を通って前記外側カバーへと続く電荷散逸経路を確立する、 保持システム。
【請求項12】
前記内側ポッドが、前記内側ベース上に配置され、前記受け入れたワークピースを支持するように構成された支持要素をさらに備え、
前記外側ポッドが、前記外側ベース上に配置され、前記内側ベースを支持するように構成された支持構造をさらに備え、
前記支持構造、前記支持要素、及び前記外側ベースが、電荷散逸特性を有し、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記支持要素が、前記ワークピースに接触すると共に、前記受け入れたワークピースから前記内側ベース及び前記支持構造を通って前記外側ベースへと続く電荷散逸経路を確立する、
請求項11に記載の保持システム。
【請求項13】
前記支持要素、前記押さえピン、及び前記押圧要素が、106Ωから1011Ωまでの範囲の表面抵抗値を有する、請求項12に記載の保持システム。
【請求項14】
前記支持要素、前記押さえピン、及び前記押圧要素が、105Ω未満の表面抵抗値を有する、請求項12に記載の保持システム。
【請求項15】
前記内側ベースが、その底面に湾曲した境界面を画定し、
前記支持構造が、前記湾曲した境界面に実質的に一致する湾曲した境界面を有する、
請求項12に記載の保持システム。
【請求項16】
前記受圧面の露出部分の投影面積が、前記押圧要素の投影面積よりも小さい、
請求項11から請求項15までのいずれか1項に記載の保持システム。
【請求項17】
前記制限キャップが、前記押圧要素に対向する制限面を有し、
前記押圧要素が、前記外側カバーが前記外側ベースに連結したときに、前記制限キャップの前記制限面に物理的に接触するようにさらに構成された、
請求項11から請求項16までのいずれか1項に記載の保持システム。
【請求項18】
前記押圧要素が前記制限面に物理的に接触したときに、前記制限面と前記受圧面の露出部分とが同一平面上にある、
請求項17に記載の保持システム。
【請求項19】
内側ポッドと外側ポッドとを備えるレチクル保持システムであって、
前記内側ポッドが、
レチクルを受け入れるように構成された内側ベースと、前記内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、前記内側カバーを貫通して配置され、前記受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、前記押圧部の反対側に配置された受圧部、及び前記受圧部よりも幅広の肩部を含む押さえピンと、前記内側カバー上に配置され、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記受圧部がその中に延在するようにウインドウを画定する制限キャップと、前記制限キャップと前記押さえピンの肩部との間に配置された第1弾性要素と、を備え、
前記外側ポッドが、前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、前記外側ベースを連結するように構成された外側カバーと、前記外側カバー上に配置され、前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記押さえピンを押圧して前記レチクルを押圧するように構成された押圧要素と、を備え、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記制限キャップの上面と前記受圧部の上面とが同一平面上にあり、
前記押さえピン、前記外側カバー、及び前記押圧要素が、電荷散逸特性を備え、
前記押圧要素が前記押さえピンを押圧して前記レチクルが押圧されると、前記受け入れたレチクルから前記押さえピン及び前記押圧要素を通って前記外側カバーへと続く電荷散逸経路が確立される、
レチクル保持システム。
【請求項20】
内側ポッドと外側ポッドとを備えるレチクル保持システムであって、
前記内側ポッドが、
レチクルを受け入れるように構成された内側ベースと、前記内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、前記内側カバーを貫通して配置され、前記受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、前記押圧部の反対側に配置された受圧部、及び前記受圧部よりも幅広の肩部を含む押さえピンと、前記内側カバー上に配置され、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記受圧部がその中に延在するようにウインドウを画定する制限キャップと、前記制限キャップと前記押さえピンの肩部との間に配置された第1弾性要素と、を備え、
前記外側ポッドが、前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、前記外側ベースを連結するように構成された外側カバーと、前記外側カバー上に配置され、前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記押さえピンを押圧して前記レチクルを押圧するように構成された押圧要素と、を備え、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記制限キャップの上面と前記受圧部の上面とが同一平面上にあり、
前記内側ポッドが、前記内側ベース上に配置されると共に、前記レチクルを支持するように構成された支持要素をさらに備え、
前記外側ポッドが、前記外側ベース上に配置されると共に、前記内側ベースを支持するように構成された支持構造をさらに備え、
前記支持構造及び前記支持要素が、電荷散逸特性を備え、
前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記支持要素が、前記受け入れたレチクルに接触して、前記受け入れたレチクルから前記内側ベース及び前記支持構造を通って前記外側ベースへと続く電荷散逸経路を確立する、
レチクル保持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/915652号の利益を主張し、これは参照により本明細書中に取り込まれ、そして本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、フォトマスク、レチクル、及びウエハなどの壊れやすい物体の保管、輸送、出荷、及び処理のための容器に関し、特に、レチクルの保管、輸送、出荷、及び処理のための保持システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業においては、フォトマスク保持装置(またはレチクル保持装置)は、その保持対象(payload)の高精度要件と共に進化し、潜在的な周囲の危険からの保護レベル向上の要求に応える。
【0004】
例えば、より新しい世代のレチクル保持装置は、レチクルを受け入れるための内側ポッドと、内側ポッドを収容するための外側ポッドとを含むデュアルポッド構成を備えていることがある。配送中、レチクルは、内側ポッド内に詰め込まれ得る。リソグラフィプロセスを実行するために、外側ポッドを開いて、そこから内側ポッドを取り出すことができる。次に、露光装置内の指定された位置に到達すると、収容されたレチクルを使用する後続の露光プロセスのために、内側ポッドが開かれ得る。
【0005】
現代の半導体デバイスにおいて、絶えず縮小し続ける特徴パターンに対して極めて高い解像度を得るために、近年、産業界により、フォトリソグラフィ装置において極端に短い波長を有する極端紫外光源が使用されてきた。このような極端な露光条件下では、露光環境、半導体製造装置、さらにはレチクルなどの半導体製造部品にさえも、より高度な清浄度の基準が課されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レチクルを清浄に保つために、フォトリソグラフィプロセスで使用されるレチクルは、通常、製造、輸送、保管、又は他の処理段階の間、保持システムに格納される。しかしながら、EUVフォトマスク(レチクル)には、EUV露光/リソグラフィプロセス中/後において大量の電荷が蓄積されることが多いので、蓄積された電荷の全てが処理装置のロボットアームを通して散逸され得るわけではない。したがって、フォトマスク上には、顕著な量の残留電荷が存在することがよくある。また、レチクルを移動したり、EUVマシン上で使用すると、空気との摩擦により静電気や他の要因が発生し、それによりデリケートなレチクルが危険な高帯電環境に曝される可能性がある。帯電したレチクルを他の物体に近づけると、スパークを発生させる急激な放電が発生し、デリケートなフォトマスクパターンが損傷する場合がある。さらに、フォトマスク上の残留電荷は、フォトマスクをダストを引きつけ易いものにし、ひいては清浄化を困難にし、その結果、生産歩留まりに悪影響を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、内側ポッドを備え、前記内側ポッドが、レチクルを受け入れるように構成された内側ベースと、前記内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、前記内側カバーを貫通して配置され、前記受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、前記押圧部の反対側に配置された受圧部、及び前記受圧部よりも幅広の肩部を含む押さえピンと、前記内側カバー上に配置され、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記受圧部がその中に延在するようにウインドウを画定する制限キャップと、前記制限キャップと前記押さえピンの肩部との間に配置された第1弾性要素と、を備えるレチクル保持システムを提供する。
【0008】
本開示の他の一態様は、内側ポッドと外側ポッドとを備えるレチクル保持システムであって、前記内側ポッドが、レチクルを受け入れるように構成された内側ベース、前記内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する内側カバー、電荷散逸特性を備え、前記内側カバーを貫通して配置されると共に、前記受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、及び前記押圧部の反対側に配置された受圧面を含む押さえピン、及び、前記内側カバー上に配置されると共に、前記押さえピンの動きを制限するように構成された制限キャップであって、前記受圧面を露出させるウインドウを画定する制限キャップを備え、前記外側ポッドが、前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベース、前記外側ベースを連結するように構成された外側カバー、及び、前記押さえピンが前記レチクルを押圧するように、前記押さえピンをその露出部分で押圧するように構成された押圧要素を備え、前記受圧面の露出部分の投影面積の幅が、前記押圧要素の投影面積の幅よりも小さい、レチクル保持システムを提供する。
【0009】
本開示のさらに他の一態様は、ワークピースを受け入れるように構成された内側ベース、前記内側ベースに連結するように構成され、それにより受け入れたワークピースを収容するための内部空間を形成する内側カバー、及び前記内側カバーを貫通して移動可能に配置され、前記受け入れたワークピースを押圧するように構成された押さえピンを備える内側ポッドと、前記内側ベースを受け入れるように構成された外側ベース、前記外側ベースを連結するように構成された外側カバー、及び前記外側カバー上に配置された押圧要素を備える外側ポッドと、を備え、前記押さえピン、前記外側カバー、及び前記押圧要素が、電荷散逸特性を有し、前記外側カバーが前記外側ベースに連結されたときに、前記押圧要素が、前記押さえピンを押圧して前記ワークピースを押圧すると共に、前記受け入れたワークピースから前記押さえピン及び前記押圧要素を通って前記外側カバーへと続く電荷散逸経路を確立する、保持システムを提供する。
【0010】
本発明は、以下の添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示のいくつかの実施形態による保持システムの等角図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による押圧ユニットの分解図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図である。
図4a】本開示のいくつかの実施形態による第1の位置における押さえピンの断面図である。
図4b】本開示のいくつかの実施形態による、第2の位置における押さえピンの断面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による動作シナリオの断面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、内側ベース及びワークピースの等角図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、内側ベースによって受け入れたワークピースの等角図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による支持要素の断面図である。
図10a】本開示のいくつかの実施形態による保持システムの断面図である。
図10b】本開示のいくつかの実施形態による支持構造の部分拡大側面図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図である。
図12】本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図である。
図13a】本開示のいくつかの実施形態による保持システムの部分拡大図である。
図13b】本開示のいくつかの実施形態による、レチクルを収容する保持システムの部分拡大図である。
図14a】本開示のいくつかの実施形態による保持システムの部分拡大図である
図14b】本開示のいくつかの実施形態によるレチクルを収容する保持システムの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
しかしながら、添付の図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は他の同等に有効な実施形態を許容し得るので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【0013】
これらの図は、特定の例示的な実施形態において利用される方法、構造、及び/又は材料の一般的な特徴を示すこと、及び以下に提供される書面による説明を補足することを意図していることに留意されたい。しかしながら、これらの図面は、一定の縮尺ではなく、所与の実施形態の正確な構造又は性能特性を正確に反映していない可能性があり、例示的な実施形態によって包含される値又は特性の範囲を定義又は限定するものと解釈されるべきではない。例えば、層、領域、及び/又は構造要素の相対的な厚さ及び配置は、明確にするために低減または誇張され得る。様々な図面における類似又は同一の参照番号の使用は、類似若しくは同一の要素、又は類似若しくは同一の特徴の存在を示すことを意図している。
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示をより十分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ十分であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図される。さらに、本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」、又は「有する(has)」及び/又は「有する(having)」という用語は、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の機能、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を妨げるものではないことが理解されよう。
【0016】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0017】
以下、図1図14bの添付図面と併せて、例示的な実施形態について説明する。図面を参照して、本開示を詳細に説明するが、図示された要素は必ずしも一定の縮尺で示されておらず、同様又は類似の要素は、いくつかの図を通した同一又は類似の参照番号と、同一又は類似の用語とで示されている。
【0018】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による保持システムの等角図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号を付与/図示されていない。図1に示される実施形態において、保持システム100は、内側ポッド110及び外側ポッド150を含む。内側ポッド110は、ワークピースRを受け入れるように構成された内側ベース120と、内側ベース120を連結するように構成され、それによって受け入れたワークピースRを収容するための内部空間を形成する内側カバー130とを含む。いくつかの実施形態では、ワークピースをレチクルRとすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、保持システム100をレチクル保持システムと呼ぶことができる。
【0019】
図示の実施形態では、内側カバー130が内側ベース120に連結されると、内側ベース120と内側カバー130とがその周辺領域で接触し、それによって受け入れたレチクルRを収容するための内部空間(これは周辺領域によって横方向に取り囲まれている)を形成する。内側カバー130の選択された位置に配置されたガイド部材135が設けられており、これらのガイド部材は、閉じている間に内側ベース120と内側カバー130との間の位置合わせを容易にするように構成されている。図示した例では、ガイド部材が内側カバーの側面上に配置されている。さらに、図1に示す実施形態では、一対のガイド部材135が、共に角部を画定する隣接する2つ側面の、内側カバー130の角部付近に配置されている。
【0020】
レチクル保持システムの内側ポッドは、レチクルを受け入れるための少なくとも1つの支持要素(例えば、121)、及びレチクルを押圧/保持するための少なくとも1つの押圧ユニット(例えば、140)を含んでいてもよい。例えば、図1は、内側ポッド110が、内側ベース120の上面に配置された4つの支持要素121(そのうちの1つは内側カバー130によって隠されており、したがって図1では見えない)、及び内側カバー130の上面に対応して配置された4つの押圧ユニット140を含むことを示している。支持要素121は、受け入れたレチクルRの4つの角部のうちの対応する1つを支持するように構成される。一方、対応する押圧ユニット140は、レチクルRの各角部を押圧するように構成される。
【0021】
外側ポッド150は、内側ベース120を受け入れるように構成された外側ベース160と、外側ベース160を連結するように構成された外側カバー170とを備える。いくつかの実施態様において、レチクル保持システムの外側カバー170は、閉じた状態にあるときに外側ベース160を(例えば、図1には図示されていないラッチ機構によって)ロックすることができるように構成される。いくつかの実施形態では、外側ポッドが、内側ポッドを支持するように構成された支持構造を含んでいてもよい。例えば、図示された外側ポッド150は、外側ベース160上に配置された3つの支持構造190(これらのうちの1つは内側ベース120によって隠されており、したがって図1では見えない)を含む。いくつかの実施形態では、外側ベース160及び支持構造190は一体に形成されている。いくつかの実施形態では、支持構造190が、外側ベース160の上面に取り付けられている。いくつかの実施形態では、外側ポッドが、内側ポッドを押すように構成された押圧要素を含んでいる。例えば、図示された外側ポッド150は、内側ポッド110の4つの押圧ユニット140にそれぞれ対応して配置された4つの押圧要素171を含んでいる。いくつかの実施態様において、外側カバー170及び押圧要素171は一体に形成されている。いくつかの実施態様において、押圧要素171は、内側カバー130に対向する外側カバー170の表面に取り付けられている。
【0022】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による押圧ユニットの分解図を示す。図示された実施形態における押圧ユニット240は、内側カバー230上に配置された、押さえピン(hold down pin)241、制限キャップ242、弾性要素243、及び2つの第1の固定要素(例えば、ネジ244)を含む。
【0023】
図示された実施形態では、内側カバー230が、押さえピン241の下部を収容するための貫通孔230aを画定している。押さえピン241は、貫通孔230aを通って内側カバー230を貫通して配置されている。押さえピンは、その下にある受け入れたワークピース(例えば、受け入れたレチクルR)を押圧するように構成されている。例えば、押圧ユニット240の構造的な配置は、弾性要素(例えば、内側カバー230と押さえピン241との間に取り付けられる弾性要素243)の圧縮性により、押さえピン241の下方への移動を可能にする。一方、制限キャップ242は、押さえピン241の動き(例えば、上向き)を制限して、可動の押さえピン241を押圧ユニット組立体内に保持するように構成されている。例えば、制限キャップ242は、内側カバー230上に取り付けられ、押さえピン241の中央部分241aを露出させるウインドウ242aを画定し、それによって押さえピン241の周辺部241bを制限する。したがって、押さえピン241は、内側カバー230に対して垂直に移動可能になるように配置されている。いくつかの実施態様において、弾性要素がさらに、押さえピン241と内側カバー230との間にある程度の気密性を提供するように構成されてもよい。例えば、弾性要素243は、内側カバー230によって画定される貫通孔230aを取り囲む環状構造を有し、それによって押さえピン241と内側カバー230との間にある程度の気密性を提供する。いくつかの実施形態では、弾性要素243はOリングであってもよい。
【0024】
制限キャップ242は、内側カバー230上の固定位置に配置されてもよい。いくつかの実施態様において、制限キャップ242は、ネジ244のような固定要素によって内側カバー230上に固定される。図示された実施形態では、制限キャップ242が、内側カバー230上に画定された着座凹部230b内に受け入れられる。凹部230bは、制限キャップ242のガイド及び方向付けのために、制限キャップ242の輪郭に対応する輪郭を備えている。
【0025】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図を示す。図示された押えピン341は、押圧部3411、押圧部とは反対側の受圧部3412、及びそれらの間に配置された肩部3413を備えている。肩部3413は、他の2つの部分3412、3411よりも幅広に構成されている。受圧面3412aは、受圧部3412によって画定されている。図示された実施形態では、受圧面3412aは、押圧部3411の反対側に配置された平坦面である。いくつかの実施形態では、押さえピンは、例えば、耐食性(erosion-resistance)ポリマーからなる一体的に形成された単一構造とすることができる。ポリマー材料は、パーティクルを発生させる可能性を低減するだけでなく、十分な構造強度を提供することもでき、したがって、それに加えられる外力の適切な伝達を可能にする。いくつかの実施形態では、押さえピン341が、複数のサブ構成要素からなる複合ユニットであってもよい。
【0026】
図4aは、本開示のいくつかの実施形態による第1の位置における押さえピンの断面図を示す。図示されたシナリオでは、内側カバー430が内側ベース420に連結されている。ガイド部材435は、内側ベース420の周囲に弾力的に接触し、内側ポッドが閉じている間は位置合わせ/ガイドを提供する。図4aはさらに、制限キャップ442が、押さえピン441の肩部4413を覆う(それによって制限する)ことを示す。さらに、貫通孔430aは、押さえピン441が貫通孔430aを通って落下せず、むしろ制限キャップ442と内側カバー430との間に閉じ込められるように、肩部4413よりも狭くなるように構成される。図示された実施形態では、押さえピン441(例えば、肩部4413)は、第1の位置(例えば、肩部4413が制限キャップ442と物理的に接触する位置)で、内側カバー430上に配置された弾性要素443によって支持される。このような位置では、押さえピン441は、弾性要素443及び制限キャップ442によって制限される。いくつかの実施態様では、押さえピン441の肩部4413は、肩部4413が弾性要素443によって支持されているときに、制限キャップ442に接触しないように設計されてもよい。
【0027】
弾性要素443の圧縮性により、押さえピン441は、レチクルRに向かって移動することができる。換言すれば、押さえピン441は、内側カバー430上で垂直に(例えば、図4aに示すz軸に沿って)移動可能である。一方、押さえピン441の押圧部4411は、図示されるように、貫通孔430aを通って内側カバー430を貫通して配置されており、受け入れたレチクルRを押圧するように構成されている。押さえピン441は、第1の位置にあるときにレチクルRに接触するように図示されているが、いくつかのシナリオでは、押さえピン441は、第1の位置にあるときにレチクルRに接触しなくてもよい。
【0028】
制限キャップ442によって画定されるウインドウ442aは、受圧部4412の受圧面4412aを露出させ、それによって、受圧面4412aの露出された部分が、押圧要素471(例えば、図1に示される要素171のように、外側ポッドの外側カバー上に配置される)から下向きの圧力を受けることを可能にする。いくつかの実施態様において、受圧部は、ウインドウ442aを通って上方に(例えば、図4aに示されるz軸に沿って)延在する。例えば、図示された実施形態では、受圧部4412は、ウインドウ442aを通り、制限キャップ442の上面4421を越えて上方に延在する。ここでは、受圧面4412aは上面4421よりも距離dだけ高い。
【0029】
押圧要素471は、押さえピン441が受け入れたレチクルRに圧力をかけることができるように、押さえピン441をその露出部分(例えば、図4aに示される受圧面4412a)で押圧するように構成されている。いくつかのシナリオでは、閉じている間に外側カバー(例えば、図1に示される外側カバー170)が外側ベース上に配置されるときに、押圧要素471の押圧面471aは受圧部4412を押圧することができる。受圧部4412の上面(例えば、図4aに示される受圧面4412a)は、押圧面471aと面接触する平面として図示されている。外側カバーが外側ベースに向かって移動するにつれて、押圧面471aが押さえピン441を押し下げ続け、押さえピン441がレチクルRを押圧し続ける。より面積が大きい押圧面471a(例えば、押圧面471aの横方向の投影が受圧部4412を完全に覆う)は、受圧部4412の上面との均一な面接触を確保するのに役立つ。このように、押さえピン441は、垂直方向に対して直接下向きに押圧されてもよいので、傾いた押さえピン441の問題を軽減することができる。一方、弾性要素443は、押さえピン441が押圧されている間、緩衝を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、押圧要素471は、さらに、制限キャップ442の上面4421に物理的に接触するように構成される。図4aに示される断面では、受圧面4412aの露出部分の投影領域(すなわち、投影線が互いに平行であり、例えばz軸に沿って延在する、平面上への平行な投影)の幅W2は、押圧要素471の幅(例えば、図4aに示されるW1)よりも小さい。この構造的な配置は、図11図12図13a、図14aに示す実施形態に適用される。このような配置の下では、制限キャップ442の上面4421は、制限面として機能することができる。すなわち、押圧要素471が受け入れたレチクルRに向かって移動されると、押圧要素471が制限キャップ442の制限面(例えば、上面4421)に物理的に接触したときに、その下向きの動きを終了させることができる。したがって、押さえピン441は、既に説明した第1の位置よりも低い第2の位置(図4bに示される)に到達する。いくつかの実施形態では、制限キャップ442の材料は、押圧要素よりも高い構造強度を有していてもよい。例えば、制限キャップ442の材料は、金属、合金、又は同様の材料を含んでいてもよい。したがって、レチクルRに加えられる圧力は、設計された閾値内に制限され、こうしてレチクルRは過度に加圧されないように保護され得る。図示された実施形態では、受圧面4412aが、押さえピン441の移動距離(すなわち、第1の位置と第2の位置との間の距離)でもある距離dだけ、制限キャップ442の上面4421よりも高い高さに配置される。
【0031】
いくつかの実施態様において、受圧面4412aの露出部分の投影面積は、押圧要素471の投影面積よりも小さい。例えば、図4aに示される押圧面471aの面積は、受圧部4412の上面(例えば、受圧面4412a)の面積よりも大きい。
【0032】
図4bは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の位置における押さえピンの断面図を示す。いくつかの実施形態では、外側カバーが外側ベースに連結されると、押さえピンが押し下げられ、第2の位置に維持される。図示された実施形態では、押圧要素471の押圧面471aは、同時に、押さえピン441の受圧部4412と、制限キャップ442の制限面4421とに物理的に接触する。さらに、レチクルRは、押さえピン441によって(例えば、その上面の角領域を)押圧されている。したがって、レチクルRは、その下側が支持要素421によって適切に支持されて、実質的に水平な向きでしっかりと保持され得る。
【0033】
図示された実施形態では、押圧要素471が制限面4421に(例えば、ポッドが閉じた状態で)物理的に接触すると、制限キャップ442の上面(例えば、制限面4421)と、受圧部4412の上面(例えば、受圧面4412a)の露出部分とは、実質的に同一平面上にある。しかしながら、他の実施形態(図11及び図12に示されるような)では、実質的に同一平面上にある代わりに、(例えば、ポッドが閉じた状態で)押圧要素が制限面に物理的に接触するときに、受圧面及び制限面の一方が、他方よりも受け入れたレチクルの近くに配置されてもよい。
【0034】
図5は、本開示のいくつかの実施形態によるシナリオの断面図を示す。レチクル保持システム内の複数の構成要素の累積された組立公差により、押圧面571aが物理的に接触する上面5421上の位置がシフトすることがある。例えば、図5で押圧面571a´が押圧する位置は、(図5に破線で示されるように)協調位置(a concert position)に対してわずかに左にシフトする。それにもかかわらず、押圧面571a´は(例えば、受圧面5412よりも)より大きな面積を有するので、押圧面571a´の横方向の位置がずれても、受圧面5412との確実な面接触は維持され、それによって、累積された組立公差の悪影響を補償する。
【0035】
図6および図7を同時に参照されたい。図6は、本開示の一実施形態による、内側ベース及びワークピースの等角図を示す。図7は、本開示の一実施形態による、内側ベース及び受け入れたワークピースの等角図を示す。図示された実施形態では、内側ベース620が4つの支持要素621を含む。いくつかの実施形態では、支持要素が内側ベース上に固定される。いくつかの実施形態では、図示された実施形態の内側ベース620が、支持要素621を内側ベース620上に固定するための第2の固定要素624をさらに含む。4つの支持要素621は、レチクルが実質的に水平な向きでそれらの支持要素621の各々によって支持され得るように、受け入れたレチクルRの4つの角部の近くにそれぞれ配置される。支持要素621の各々は、それを通してレチクルRをその下側で支持することができる支持バンプ6211を有する。いくつかの実施形態では、支持要素621は、耐食性ポリマーの一体的に形成された構造であってもよい。ポリマー材料は、パーティクルを発生させる可能性を低減するだけでなく、内側ベース620上にレチクルRを適切に支持するのに十分な構造強度を提供することもできる。いくつかの実施態様において、内側カバー(例えば、図1に示される内側カバー130)は、4つの支持要素621に対応する4つの押圧ユニット(例えば、図1に示される押圧ユニット140)を含む。レチクルRの各角部は、押圧ユニットの対応する1つによって押圧され、対応する支持要素621によって支持される。このように、均等に分散された接触面により、レチクルRを実質的に水平な向きでしっかりと保持することができる。
【0036】
本開示の別の実施形態による押さえピンの断面図を示す図8を参照する。押さえピン841は、押圧部8411と、反対側に配置された受圧部8412と、押圧部8411と受圧部8412との間に配置された肩部8413とを有する。押さえピン841には、複数の接触凸部8414が設けられている。これらの接触凸部8414は、レチクル(例えば、図4bに示されるレチクルR)との同時接触を可能にするように、実質的に同じ水平レベルで押圧部8411の一端に配置されている。複数の接触凸部8414がレチクルを同時に押圧するとき、レチクルに加えられる圧力がそれらの接触凸部8414上に分散され得るし、それによりレチクルを損傷する危険性をさらに低下させる。いくつかの実施態様では、接触凸部は、押圧部8411の下向きの面に配置された凸状のリングパターンであってもよい。
【0037】
本開示の別の実施形態による支持要素の断面図である図9を参照する。支持要素921は、支持バンプ9211と、支持バンプ9211上に形成され、支持バンプ9211から突出する複数の支持凸部9212とを有する。これらの支持凸部9212は、実質的に同じ水平レベル上に存在し、レチクル(例えば、図4bに示されるレチクルR)との同時接触を可能にする。同様に、複数の支持凸部9212がレチクルを同時に支持する場合、レチクルに加えられる圧力は、それらの支持凸部9212上に分散され得る。いくつかの実施態様において、支持凸部は、支持バンプ9211の上向きの面に配置された凸状のリングパターンであってもよい。図示された実施形態では、位置決めポスト9213が支持要素921上に配置されて、受け入れたレチクルの横方向の動きを抑制する。
【0038】
図10aは、本開示の実施形態による保持システムの概略断面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。例示的なシステムの構成要素(例えば、内側ポッド及び外側ポッド)及び/又はサブ構成要素(例えば、内側カバー及び内側ベース)の、構造的な詳細/配置は、本図では明示的に図示されていない。いくつかの実施形態では、上記の構造的な詳細/配置は、前述の実施形態の構造的な詳細/配置に相当し得る。
【0039】
図10aに示されるように、外側ポッド1050は、内部にワークピース(例えば、レチクル)Rが収容されている内側ポッド1010を受け入れる。外側カバー1070は外側ベース1060に連結され、ここで、押さえピン1041は、押圧要素1071から受けた圧力の下でワークピースRを押圧している。内側ベース1020上に配置された支持要素1021は、受け入れたワークピース(例えば、レチクル)Rに接触し、支持するように図示されている。いくつかの実施形態では、押さえピン1041、外側カバー1070、及び押圧要素1071は、電荷散逸特性(charge dissipation property)を備えている。例えば、押さえピン1041、外側カバー1070、及び押圧要素1071は、静電気拡散性材料(electrostatic dissipative material)(ESD、例えば、106Ω~1011Ωの表面抵抗を有する)、導電性材料(例えば、105Ω未満の表面抵抗を有する)、又はそれらの組合せを含むことができる。例示的なESD材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)などを含むことができる。ESD特性は、導電性を高めるためにプラスチック材料に導電性添加剤(カーボンナノチューブ、カーボンファイバー(CF)、カーボンブラック(CB)など)を添加することによっても付与され得る。いくつかの実施形態では、ESD特性は、グラフェン導電性塗料を塗布するなどの表面処理によって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、銀、銅、金、及びアルミニウムなどの導電性材料を使用して、レチクル保持システムの構成要素の一部又は全体を構築してもよい。いくつかの実施形態では、押さえピン1041、外側カバー1070、及び押圧要素1071は、ESD材料で構成されている。いくつかの実施態様において、押さえピン1041及び押圧要素1071は導電性表面コーティングを備え、外側カバー1070は炭素繊維が埋め込まれたプラスチック材料で構成されている。いくつかの実施形態では、押圧要素1071はアルミニウムで構成され、押さえピン1041は表面コーティングを備え、外側カバー1070は炭素繊維が埋め込まれたプラスチック材料で構成されている。いくつかの実施態様において、外側カバー1070は、導電性表面コーティングを備えている。例えば、外側カバー1070の内側表面は、導電性表面コーティングを備えていてもよい。
【0040】
したがって、外側カバー1070が外側ベース1060に連結されると、押圧要素1071は、押さえピン1041を押圧してワークピースRを押圧すると共に、受け入れたワークピースRから、押さえピン1041及び押圧要素1071を通って、外側カバー1070へと続く電荷散逸経路(例えば、図10aに示す矢印で図示される経路)を確立する。いくつかの実施形態では、外側カバー1070は接地されており(例えば、本図において符号Gを付された表面に接触している)、それにより、受け入れたワークピースRに蓄積された電荷が、上記の電荷散逸経路を通って地面に散逸することを可能にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、支持要素1021、支持構造1090、及び内側ベース1020は、電荷散逸特性を備えている。例えば、いくつかの実施形態では、内側ベース1020は導電性材料を含み、支持要素1021及び支持構造1090は表面コーティングを備えている。いくつかの実施形態では、位置決めポスト(例えば、図9の位置決めポスト9213)が表面コーティングを備えていてもよい。したがって、外側カバー1070が外側ベース1060に連結されたときに(その結果、内側ベース1020上の支持要素1021がワークピースRとの接触を確立すると)、受け入れたワークピースRから、支持要素1021、内側ベース1020及び支持構造1090を通って、外側ベース1060へと続く電荷散逸経路(例えば、図10aに示す矢印で図示される経路)が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、外側ベース1060が接地されて、受け入れたワークピースRに蓄積された電荷の(電荷散逸経路を通って地面への)散逸を可能にする。いくつかの実施形態では、内側ポッド1010素材の材料が導電性材料又は静電気拡散性材料を含んでいてもよく、それにより内側ポッド1010を放電散逸経路の一部にして、それを介した接地を可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、支持要素、位置決めポスト、及び押さえピンの本体(または表面)は、同じ導電性材料又は静電気拡散性材料を使用する。同一の材料は同一の抵抗値を提供し、それによって蓄積された静電荷が同時に複数の場所から放出されることを可能にし、静電荷の効果的な散逸を可能にする。いくつかの実施形態では、支持要素1021、押さえピン1041、及び押圧要素1071は、約106Ωから1011Ωまでの範囲の表面抵抗値を有する。本開示のいくつかの実施形態では、支持要素1021、押さえピン1041、及び押圧要素1071は、約105Ω未満の表面抵抗値を有する。
【0043】
図10bは、本開示の実施形態による支持構造の概略的な部分拡大図を示す。接触表面積を大きくすると、静電荷の放出効率が向上し得る。接触面は、表面積を増やすために湾曲させてもよい。例えば、図10bに示すように、内側ベース1020は、その底面に湾曲した境界面(例えば、凹状の溝1020a)を備えている。これに対応して、外側ベース1060の支持構造1090も、接触面積を大きくするために凹状の溝1020aの表面と実質的に一致する、湾曲した境界面(例えば、凸状の接触面1090a)を備えている。いくつかの実施形態では、電荷放出効率を高め、内側ベースと外側ベースとの間の機械的安定性を高めるために、3つ以上の支持構造(例えば、図1の支持構造190)が設けられている。同様に、内側ベース(例えば、内側ベース1020)には、支持構造1090に対応する位置に、対応する数の凹状の溝(例えば、凹状の溝1020a)が設けられている。内側ポッドはまた、EUVマシーン又はロボットアームとの接触を確立するための、凹状のインターフェース(複数可)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、内側ポッドとロボットアームとの間の接触インターフェイスは、内側ポッドの側面又は底面に配置されてもよい。
【0044】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図を示した。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。図示された実施形態では、押圧要素1171は、押圧要素1171が制限面1142bに物理的に接触するときに制限キャップ1142のウインドウ1142a内に延在するように構成された、湾曲凸部1172を有する。例示的な実施形態では、湾曲凸部1172は、押圧面1171aの中央領域に形成され、ウインドウ1142aから露出する受圧面1141aの一部を押圧するように配置されている。一方、押圧面1171aの周辺領域は、制限キャップ1142に物理的に接触するように構成されている。受圧面1141aは、制限面1142bよりも受け入れたワークピースRに近いように図示されている。湾曲凸部1172の湾曲面は、押圧要素とウインドウ1142a(または受圧面1141aの露出部分)との間のセルフガイド/位置合わせを容易にする。
【0045】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による押さえピンの断面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。図示された実施形態では、受圧部1241は、押圧要素1271が制限面1242bに物理的に接触するときに、制限面1242bを越えて上方に延在する。押圧要素1271は、受圧部1241を受け入れるための凹状のプロファイルを備えている。制限面1242bは、受圧面1241aよりも受け入れたワークピースRに近いように図示されている。いくつかのシナリオでは、受圧部1241の斜面は、押圧要素1271を、ウインドウ1242a及び受圧面1241aの露出部分に位置合わせするのに役立つ。
【0046】
図13aは、本開示のいくつかの実施形態による保持システムの部分拡大図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。
【0047】
いくつかの実施形態では、押さえピンと内側カバーとの間に配置される弾性要素(例えば、図4a、図4bに示されるような弾性要素443)に加えて、追加の弾性要素が、押さえピンと制限キャップとの間に設けられてもよい。例えば、図示された実施形態では、第1弾性要素1341が、制限キャップ1343と押さえピン1344の肩部1344aとの間に設けられており、第2弾性要素1342が、肩部1344aと内側カバー1330との間に配置されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1弾性要素1341はさらに、押さえピン1344と制限キャップ1343との間にある程度の気密性を提供するように構成されてもよい。例えば、図示された実施形態では、第1弾性要素1341は、制限キャップ1343及び押さえピン1344に物理的に接触した状態で配置され、押さえピン1344の受圧部1344bの周りを取り囲む環状構造プロファイルを備えている。同様に、第2弾性要素1342は、押さえピン1344と内側カバー1330との間に気密性を提供するように構成されてもよい。例えば、図示された実施形態では、第2弾性要素1342は、押さえピン1344及び内側カバー1330に物理的に接触するように配置され、また、押さえピン1344の押圧部1344cの周りを取り囲む環状構造を備えている。さらに、肩部1344aが第1弾性要素1341と第2弾性要素1342との間に挟まれるときに、押さえピン1344の長さ方向の向き(例えば、レチクルに垂直)がしっかりと維持され、それにより押圧動作中の押さえピンの直立性をより確実にすることができる。
【0049】
図4aに示される例示的な実施形態(肩部4413が制限キャップ442に物理的に接触する)と比較すると、図13a/図13bに示されるダブル弾性要素構成は、押さえピン1344が操作されるときに、肩部1344aと制限キャップ1343との間の物理的磨耗をさらに低減し得る。1つには、押さえピン1344と制限キャップ1343との間の接触面の減少は、可動部分とその周囲の構成要素との間の摩擦を低減するのに役立つ。摩耗が減少すると、動作中のダスト/パーティクル(または静電荷)の発生の可能性も減少し得る。いくつかの実施態様において、第1弾性要素1341は、制限キャップ1343及び押さえピン1344と比較して、より柔らかい材料で構成されてもよい。
【0050】
図13bは本開示のいくつかの実施形態による、内部に収容されたワークピース(例えば、レチクルR)を有する保持システムの部分拡大図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。
【0051】
いくつかの実施形態では、ワークピースが内側ポッドによって受け入れられるときに、押さえピンが、受け入れたワークピースによって持ち上げられてもよい。図示された実施形態では、押さえピン1344が、受け入れたレチクルRによって上昇位置(突出位置)まで押し上げられる。その位置では、押さえピン1344の受圧面1344dは、制限キャップ1343の制限面1343aのレベルよりも高いレベルまで持ち上げられている。この段階では、押さえピン1344が持ち上げられている間、第1弾性要素1341が緩衝を提供する。
【0052】
図14aは、本開示のいくつかの実施形態による保持システムの部分拡大図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。
【0053】
いくつかの実施態様において、第1弾性要素は、断面において丸い輪郭を有することができる。例えば、第1弾性要素1441は、その断面において丸い輪郭を有するように図示されている。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、その輪郭が正方形、五角形などの多角形であってもよい。
【0054】
図14bは、本開示のいくつかの実施形態によるワークピースを受け入れている保持システムの部分拡大図を示す図である。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの構成要素は、この図では明示的に符号を付されていない。
【0055】
いくつかの実施形態では、ワークピース(例えば、レチクルR)が内側ポッドによって受け入れられると、受け入れたワークピースによって押さえピンが持ち上げられる。図示された実施形態では、押さえピン1444が受け入れたレチクルRによってある位置まで押し上げられる。その位置において、保持ピン1444の受圧面1444dは、制限キャップ1443の制限面1443aのレベルよりも高いレベルまで持ち上げられる。この段階では、押さえピン1444が持ち上げられている間、第1弾性要素1441が緩衝を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2弾性要素は、隣接する要素と構造的に係合するように構成された係合部分を備えていてもよい。例えば、係合部分は、制限キャップ又は内側カバーと構造的に係合するように構成されてもよい。図示された実施形態では、第2弾性要素1442は、制限キャップ1443上に配置されたほぞ(tenon)構造1443bと係合する(かつ保持力を増大する)ように構成された、ほぞ穴(mortise)プロファイル1442a(例えば、凹状の断面プロファイル)を画定する。いくつかの実施形態では、第2弾性要素1442の断面プロファイルは、実質的にC字形状に類似していてもよい。
【0057】
したがって、本開示の一態様は、内側ポッドを備えるレチクル保持システムを提供する。内側ポッドは、内側ベース、内側カバー、押さえピン、制限キャップ、及び第1弾性要素を備える。内側ベースは、レチクルを受け入れるように構成されている。内側カバーは、内側ベースを連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する。押さえピンは、電荷散逸特性を有し、内側カバーを貫通して配置され、受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部、押圧部とは反対側の受圧部、及び受圧部よりも幅広の肩部を備える。制限キャップは、内側カバー上に配置されて、押さえピンの動きを制限するように構成されており、制限キャップはその中に受圧部が延在するようにウインドウを画定する。第1弾性要素は、制限キャップと押さえピンの肩部との間に配置される。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態では、システムは、内側カバーと肩部との間に配置された第2弾性要素をさらに備える。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態では、第1弾性要素は、押さえピンの受圧部を取り囲む環状構造を有する。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態では、システムは、外側ポッドをさらに備える。外側ポッドは、内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、外側ベースを連結するように構成された外側カバーと、外側カバーが外側ベースに連結されたときに、押さえピンを押圧してレチクルを押圧するように構成された押圧要素とを備える。ここで、外側カバーが外側ベースに連結されたときに、制限キャップの上面と受圧部の上面とは実質的に同一平面上にある。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態において、押さえピン、外側カバー、及び押圧要素は、電荷散逸特性を有し、押圧要素が押さえピンを押圧してレチクルを押圧するときに、受け入れたレチクルから押さえピン及び押圧要素を通って外側カバーへと続く電荷散逸経路が確立される。
【0062】
本開示のいくつかの実施態様において、内側ポッドは、内側ベース上に配置され、レチクルを支持するように構成された支持要素をさらに備え、外側ポッドは、外側ベース上に配置され、内側ベースを支持するように構成された支持構造をさらに備え、支持構造及び支持要素が電荷散逸特性を有し、外側カバーが外側ベースに連結されたときに、支持要素が、受け入れたレチクルに接触すると共に、受け入れたレチクルから内側ベース及び支持構造を通って外側ベースへと続く電荷散逸経路を確立する。
【0063】
したがって、本開示の一態様は、内側ポッド及び外側ポッドを備えるレチクル保持システムを提供する。内側ポッドは、内側ベース、内側カバー、押さえピン、及び制限キャップを備える。内側ベースは、レチクルを受け入れるように構成されている。内側カバーは、内側ベースに連結するように構成され、それにより受け入れたレチクルを収容するための内部空間を形成する。押さえピンは、電荷散逸特性を有し、内側カバーを貫通して配置され、受け入れたレチクルを押圧するように構成された押圧部と、押圧部の反対側に配置された受圧面とを含む。制限キャップは、内側カバー上に配置され、押さえピンの動きを制限するように構成されており、受圧面を露出するウインドウを画定する。外側ポッドは、内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、外側カバーと、押さえピンがレチクルを押圧するように、その露出部分で押さえピンを押圧するように構成された押圧要素とを備えており、受圧面の露出部分の投影面積の幅は、押圧要素の投影面積の幅よりも小さい。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態では、制限キャップは、押圧要素に対向する制限面を有し、押圧要素は制限キャップに物理的に接触するようにさらに構成され、押圧要素が制限面に物理的に接触するとき、制限面と受圧面の露出部分とは実質的に同一平面上にある。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態において、押さえピンは、制限キャップのウインドウを貫通して配置され、受圧面を画定する受圧部と、受圧部と押圧部との間に配置され、受圧部よりも幅広である肩部とを、さらに備える。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、制限キャップは、押圧要素に対向する制限面を有し、押圧要素は、制限キャップに物理的に接触するようにさらに構成されており、そして、押圧要素が制限面に物理的に接触するときに、押さえピンの受圧面及び制限面の一方が、他方よりも受け入れたレチクルに近くなる。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態では、押圧要素は、押圧要素が制限面に物理的に接触したときに、制限キャップによって画定されるウインドウ内に延在するように構成された湾曲凸部を有する。
【0068】
したがって、本開示の一態様は、内側ポッド及び外側ポッドを備える保持システムを提供する。内側ポッドは、ワークピースを受け入れるように構成された内側ベースと、内側ベースに連結するように構成され、それにより受け入れたワークピースを収容するための内部空間を形成する内側カバーと、内側カバーを貫通して移動可能に配置され、受け入れたワークピースを押圧するように構成された押さえピンとを備える。外側ポッドは、内側ベースを受け入れるように構成された外側ベースと、外側ベースに連結するように構成された外側カバーと、外側ベース上に配置された押圧要素とを含む。ここでは、押さえピン、外側カバー、及び押圧要素は、電荷散逸特性を有する。ここでは、外側カバーが外側ベースに連結されるときに、押圧要素は、押さえピンを押圧してワークピースを押圧し、受け入れたワークピースから押さえピン及び前押圧要素を通って外側カバーへと続く電荷散逸経路を確立する。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態において、内側ポッドは、内側ベース上に配置され、受け入れたワークピースを支持するように構成された支持要素をさらに備え、外側ポッドは、外側ベース上に配置され、内側ベースを支持するように構成された支持構造をさらに備えており、支持構造、支持要素、及び外側ベースは、電荷散逸特性を有し、外側カバーが外側ベースに連結されたときに、支持要素が、ワークピースに接触し、受け入れたワークピースから支持要素、内側ベース、及び支持構造を通って外側ベースへと続く電荷散逸経路を確立する。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、支持要素、押さえピン、及び押圧要素は、約106Ωから1011Ωまでの範囲の表面抵抗値を有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、支持要素、押さえピン、及び押圧要素は、約105Ω未満の表面面抵抗値を有する。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態では、内側ベースは、その底面に湾曲した表面領域(a curved surface area)を画定し、そして支持構造は、湾曲した表面領域に実質的に一致する湾曲した端面(a curved end surface)を有する。
【0073】
本開示のいくつかの実施態様において、内側ポッドは、内側カバー上に配置され、押さえピンの動きを制限するように構成され、押さえピンを露出させるウインドウを画定する制限キャップをさらに備え、受圧面の露出部分の投影面積は、押圧要素の投影面積よりも小さい。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態では、制限キャップは、押圧要素に対向する制限面を有し、押圧要素は、外側カバーが外側ベースに連結されたときに、制限キャップの制限面に物理的に接触するようにさらに構成される。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、押圧要素が制限面に物理的に接触するときに、制限面と受圧面の露出部分とは実質的に同一平面上にある。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、システムは、制限キャップ及び押さえピンに物理的に接触するように配置された弾性要素をさらに備える。
【0077】
上記に図示され、説明された実施形態は単なる例示である。したがって、そのような詳細の多くは、図示も説明もされていない。本技術の多くの特徴及び利点が、構造及び機能の詳細と共に前述の説明で述べられたとしても、開示は例示にすぎず、詳細について、特に、部品の形状、サイズ、及び配置について、原則の範囲内で、即ち、特許請求の範囲で使用されている用語の幅広い一般的な意味によって確立された全範囲にまで及び全範囲を含めて、変更を加えることができる。したがって、上述の実施形態は、特許請求の範囲内で変更され得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b