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特許7059501特に使用済み吸収性衛生用品を滅菌する滅菌装置
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  • 特許-特に使用済み吸収性衛生用品を滅菌する滅菌装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】特に使用済み吸収性衛生用品を滅菌する滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20220419BHJP
   A61L 11/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61L2/07
A61L11/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019535795
(86)(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2018050304
(87)【国際公開番号】W WO2018142234
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】102017000012621
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512292511
【氏名又は名称】ファター エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソンマ、マルチェロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッカロ、ジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】パゴット、アメデオ
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06397492(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0253946(US,A1)
【文献】特開2013-111479(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02596810(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0135851(US,A1)
【文献】特開2013-111478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153693(US,A1)
【文献】国際公開第2012/049482(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104771772(CN,A)
【文献】国際公開第2018/060827(WO,A1)
【文献】特表2019-536606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0051233(US,A1)
【文献】特表平09-504986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/07
A61L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に使用済み吸収性衛生用品を滅菌するための滅菌装置であって、前記滅菌装置は、
閉じられた第1の端部と、取外し可能なドアによって閉じられた装填/取出し開口部が設けられた第2の端部とを有する、長手方向軸を中心に回転可能な容器であって、前記容器が、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる中空空間を囲う内壁と外壁とを含む中空壁を有する、容器と、
前記容器の前記第1の端部に位置し、蒸気入口室と凝縮液排出室とを有する回転継手と、
前記容器の前記第1の端部と前記第2の端部との間に延び、かつ前記容器の前記内壁から内側に突出する少なくとも1つの中空螺旋羽根であって、前記中空螺旋羽根が、前記容器の前記第1の端部において前記蒸気入口室と流体連通している入口と、前記容器の前記第2の端部において前記中空空間と流体連通している出口とを含む螺旋状の空洞を有し、かつ前記入口と前記出口との間で閉じられる、少なくとも1つの中空螺旋羽根と
を備え、
前記回転継手の前記凝縮液排出室が、前記容器の前記第1の端部において前記中空空間と流体連通していることにより、前記蒸気入口室からの蒸気が前記第1の端部から前記第2の端部に向かって前記螺旋状の空洞に流れ込み、続いて前記第2の端部から前記第1の端部に向かって前記中空空間に流れ込む、滅菌装置。
【請求項2】
前記内壁が前記長手方向軸に対する半径を有し、前記中空螺旋羽根が高さ(H)を有し、前記高さ(H)と前記半径との比率が0.2±10%に等しい、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記螺旋状の空洞が高さ(H')を有し、前記空洞の前記高さ(H')と前記中空螺旋羽根の前記高さ(H)との比率が0.4±10%に等しい、請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記中空壁が、前記第1の端部と前記第2の端部との間に円筒形状を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記長手方向軸が水平位置に常に固定される、請求項1から4の何れか一項に記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記容器が前記長手方向軸を中心に回転することにより、前記中空螺旋羽根が、前記第1の端部から前記第2の端部に向かって、および前記第2の端部から前記第1の端部に向かって、前記吸収性衛生用品の輸送を前記容器内で実行する、請求項1から5の何れか一項に記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滅菌装置に関し、特に使用済み吸収性衛生用品を滅菌する滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「吸収性衛生用品」という用語は、一般に乳児用おむつ、大人用の失禁パッド、生理用ナプキン、吸収性タンポン、吸収性ベッドライニングなどの使い捨て吸収性用品を指す。
【0003】
吸収性衛生用品は、一般にプラスチック材料のシート、セルロース綿毛、超吸収性ポリマー、不織シートなどを含む様々な異なる材料からなる。
【0004】
吸収性衛生用品はプラスチックおよびセルロースなどの高品質の材料を含んでいるので、リサイクル原料の市場で使用するため、またはエネルギーを産出するためにこれらの材料を回収することが望ましい。
【0005】
使用済み吸収性衛生用品をリサイクルする際に遭遇する問題の1つは、これらの用品が有機排泄物およびバクテリアを含むことであり、したがって材料を分離する前に用品の滅菌を実行することが必要である。別の問題は、使用済み吸収性衛生用品が、通常はそれら自身の上に折り畳まれて閉じられ、不透過性バリアを形成する用品の外側のプラスチック層によって包まれた状態で捨てられるという事実から生じる。外側の防水層は用品の効果的な滅菌を妨げる。
【0006】
国際公開第2010/065088号は、都市固形廃棄物を処理するオートクレーブを記載しており、蒸気による廃棄物の乾燥を想定している。国際公開第2010/065088号に記載の装置は、オートクレーブ内部へのアクセスを可能にするように開くことができ、かつオートクレーブの加圧を可能にするように密閉することができる少なくとも1つのドアを備えた円筒状回転オートクレーブと、オートクレーブ内に含まれる廃棄物と直接接触する蒸気と接触する入口と、非接触蒸気が供給される断面が矩形状の複数の中空金属棒とを含む。この装置は、都市固形廃棄物の滅菌およびオートクレーブ中の廃棄物の乾燥を可能にする。
【0007】
同じ出願人による欧州特許出願公開第2596810号明細書は、使用済み吸収性衛生用品を処理する方法を記載しており、使用済み吸収性衛生用品を内面を有する円筒形回転オートクレーブに装填することと、オートクレーブを滅菌温度で加熱して加圧すると同時に長手方向軸を中心にオートクレーブを回転させることを想定している。オートクレーブ加熱は、オートクレーブ中に含まれる生成物についての第1の温度状態と、第1の温度状態よりも高いオートクレーブの内面についての第2の温度状態とを提供する。
【0008】
オートクレーブ内に収容されている用品を滅菌するための温度に達するのに必要な熱は、大部分がオートクレーブの内壁を通して伝達される熱エネルギーから生じる。オートクレーブの壁と吸収性衛生用品との間の熱交換が最適ではなく、同じ熱エネルギーが利用可能である場合、用品への熱エネルギーの伝達時間は長くなり、その結果として用品の滅菌サイクルの時間は長くなる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、装置の壁から用品への熱エネルギーの伝達の最適化を可能にする、使用済み吸収性衛生用品を滅菌するための装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明によれば、この目的は、請求項1の主題を構成する特徴を有する装置によって達成される。
【0011】
特許請求の範囲は、本発明に関して本明細書で提供される開示の不可欠な部分を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで、本発明を、添付の図面を参照して詳細に説明し、純粋に非限定的な例として提供する。
【0013】
図1】本発明による装置の軸方向断面図である。
図2図1の装置への蒸気供給を示す図である。
図3図1の矢印IIIによって示す部分を拡大した詳細図である。
図4図1の矢印IVによって示す部分を拡大した詳細図である。
図5図1の矢印Vによって示す部分を拡大した詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、数字10は、使用済み吸収性衛生用品を滅菌するための装置を示す。
【0015】
装置は、複数の固定支持体14によって長手方向軸Aを中心に回転可能に支持された容器12を含み、複数の固定支持体14の少なくとも1つには、軸Aを中心に容器12を回転させる作動手段が設けられている。容器12の長手方向軸Aは、好ましくは水平位置において常に固定された状態である。
【0016】
容器12は、第1の端部16と第2の端部18との間に延びる細長い円筒体20を含む、長手方向軸Aに沿った細長い形状である。第1の端部16は閉鎖されて略半球状であり、第2の端部18には、取外し可能なドア24によって密閉された装填/取出し開口部22が設けられている。
【0017】
特に図2図5を参照して、容器12は、中空空間32を囲う内壁28と外壁30とを含む中空壁26を有する。中空空間32は、第1の端部16から第2の端部18まで円筒体20全体に沿って延びる。好ましくは、中空空間は閉鎖端部16上にも延びる。容器12の内壁28は、処理容積の範囲を定める内面を有する。
【0018】
特に図2および図3を参照して、容器12は、長手方向軸Aと同軸の第1の端部16に位置する回転継手34を含む。回転継手34は、容器12の内部と連通する孔38を有し、容器12の壁26に固定されたハブ36を含む。回転継手34は、中央ハブ36と摺動封止接触するように配置された2つの固定リング40および42を含む。
【0019】
図2を参照して、固定リング40および42は、蒸気供給管44および凝縮液排出管46にそれぞれ接続されている。自動凝縮液排出装置47は凝縮液排出管46上に配置されている。中央ハブ36内には、固定リング40および42とそれぞれ流体連通するように、蒸気入口室48および凝縮液排出室50が形成されている。蒸気入口室48および凝縮液排出室50は、それぞれの管52および54を介して中空空間32の対応する部分に接続されている。
【0020】
ハブ36の孔38は第2の蒸気供給管56に接続され、第2の蒸気供給管56は、用品と直接接触して容器12の内部に加圧蒸気を供給する(接触蒸気)。蒸気供給管44および56は、それぞれの弁60および62によって蒸気発生器58に接続されている。ハブ36の孔38もまた、管66および弁68を介して真空ポンプ64に接続されている。真空ポンプ64は、容器12を接触蒸気で加圧する前に容器12から空気を抽出する。
【0021】
容器12は、容器12の内壁28に固定され、かつ容器12の内側に突出する少なくとも1つの中空螺旋羽根70を有する。中空螺旋羽根70は、長手方向軸Aと同軸であり、かつ容器12の第1の端部16と第2の端部18との間で長手方向Aに延びるピッチP(図5)を有するねじを形成する。図4および図5を参照して、中空螺旋羽根70は、中空螺旋羽根70の全長に沿って延びる螺旋状の空洞72を有する。螺旋状の空洞72は、2つの第1の螺旋板74によって横方向に範囲が定められている。第3の螺旋板76は、2つの第1の螺旋板74の間に固定され、2つの第1の螺旋板74の遠位縁を越えて容器12の内側に突出している。螺旋状の空洞72はその短辺に沿って、第3の螺旋板76の縁部および容器12の内壁28の一部によって範囲が定められている。
【0022】
図示の例では、2つの第1の螺旋板74は互いに平行であり、これにより、螺旋状の空洞72は細い矩形状の断面を有する。他の実施形態では、2つの第1の螺旋板74は互いに対して傾斜していてもよく、これにより、螺旋状の空洞72は断面が三角形の形状を有することになる。
【0023】
図5を参照して、中空螺旋羽根70の高さHと容器12の内壁28の半径Rとの比率は、好ましくは0.2±10%に等しい。空洞72の高さH'と中空螺旋羽根70の高さHとの比率は、好ましくは0.4±10%に等しい。
【0024】
図3および図4を参照して、螺旋状の空洞72は、容器12の第1の端部16に位置する入口開口部78(図3)と、容器12の第2の端部18に位置する出口開口部80(図4)とを有する。入口開口部78および出口開口部80は、中空空間32上に開口している。図3を参照して、管54の出口と螺旋状の空洞72の入口開口部78との間に含まれる中空空間32の部分は隔壁82によって閉じられており、これにより、入口開口部78は、中空空間32の一部分を介し、かつ管52によって回転コネクタ34の蒸気入口室48と直接連通する。あるいは、管52の出口と入口開口部78との間の閉じられた中空空間の一部分を介さずに、管52の出口を螺旋状の空洞72の入口開口部78に直接接続することもできる。
【0025】
装置10の動作は以下の通りである。
【0026】
容器12には、リサイクル収集物からの大量の使用済み吸収性衛生用品が装填される。一般的には、吸収性衛生用品はセルロース繊維および超吸収性ポリマーの吸収コアを含む。吸収コアは通常、互いに接合された2枚のプラスチック材料の間に封入されている。一般的には、外側シート(裏シート)は不透過性である一方で、内側シート(表面シート)は多孔質である。使用済み吸収性衛生用品は通常、当該用品が防水性の外側シートの内側に包まれた状態で閉じられるように折り畳まれている。接着性のウイング部は通常、折り畳まれた用品を閉じるために提供される。このように有機排泄物は、密封された防水性プラスチックシート内に封入されている。密閉型吸収性衛生用品は通常、家庭廃棄物を収容するのに通常使用される種類のビニール袋に入れられている。吸収性衛生用品は、収集されてきた際に滅菌処理を受ける。
【0027】
吸収性衛生用品を収容する袋は、ドア24を取り外した後に開口部22を介して容器12の中に装填される。用品の装填中、容器は、螺旋羽根70が第2の端部18から第1の端部16に向かって用品を輸送するように回転する。容器に(例えばロードセルで測定することができる)所定量の用品を装填した場合、ドア24は閉じられ、かつ真空ポンプ64は処理容積から空気を抜くように作動される。次いで、処理容積は、回転継手34の孔38を介して供給される加圧接触蒸気で満たされる。
【0028】
同時に、容器12の壁26および中空螺旋羽根70が非接触蒸気によって加熱される。非接触蒸気は、回転継手34の室48から中空螺旋羽根70の入口開口部78に供給される。非接触蒸気は、中空螺旋羽根70の螺旋状の空洞72を通って移動する。螺旋状の空洞72の出口80では、壁26の中空空間32が非接触蒸気で満たされる。凝縮した蒸気は、凝縮液排出管54および自動凝縮液排出装置47を通って排出される。
【0029】
滅菌処理の間、容器12は軸Aを中心に反対方向に交互に回転する。このようにして用品は連続的に移動され、かつ容器12の内部で反対方向に交互に輸送される。中空螺旋羽根70および中空空間32の内部の非接触蒸気は、袋および吸収性衛生用品の外側プラスチックシートを破壊させる高温点を作り出す。これらの高温点は、プラスチックシートに孔を開けて外側のケーシングを弱める局所的な融点を作り出す。容器および螺旋羽根70の回転によって引き起こされる用品の連続的な移動は、外側ケーシングの破損および用品の破壊を引き起こす。これにより、材料をより効果的に乾燥し分離する動作が可能になる。
【0030】
加熱された螺旋羽根70によって容器12の第1の端部16から第2の端部18へ、および容器12の第2の端部18から第1の端部16へ用品を交互輸送することにより、用品と螺旋羽根70とを効果的に接触させ、用品への熱伝達を改善する。
【0031】
本発明の特に有利な態様は、非接触蒸気が最初に螺旋羽根70を通過し、続いて壁26の中空空間32を通過し、これにより、中空螺旋羽根70が壁26よりも高温になることである。したがって、壁26との接触による熱をあまり受けない壁26から最も遠い用品の大部分は、螺旋羽根70との接触によって多くの熱を受ける。これにより、熱は、より効率的かつ均一に非接触蒸気から用品へ伝達される。
【0032】
当然のことながら、本発明の原理を害することなく、構成の詳細および実施形態は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、記載され図示されたものに関して広く変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5