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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】超音波伝搬映像の画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/46 20060101AFI20220419BHJP
   G01N 29/06 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N29/46
G01N29/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020508777
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2018013494
(87)【国際公開番号】W WO2019186981
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】511006476
【氏名又は名称】つくばテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】王 波
(72)【発明者】
【氏名】高坪 純治
(72)【発明者】
【氏名】董 居忠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修一
(72)【発明者】
【氏名】劉 小軍
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-300634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0300995(US,A1)
【文献】高坪純治、外4名,レーザ超音波可視化探傷技術の開発 =超音波を視ながら探傷=,超音波TECHNO,2014年06月01日,第26巻第3号,第70頁-第74頁
【文献】YASHIRO S , et al.,Laser-Generation Based Imaging of Ultrasonic Wave Propagation on Welded Steel Plates and Its Applica,Materials Transactions,2010年10月14日,Vol. 51, No. 11,pp.2069-2075,doi:10.2320/matertrans.M2010204
【文献】LEE C ,et al.,Visualization technique for fatigue cracks at steel structures integrating a scanning laser source w,PROCEEDINGS OF SPIE,2013年04月19日,Vol. 8692,p.86922D-1 - 86922D-9,doi: 10.1117/12.2009968
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01B 17/00 - G01B 17/08
G01H 1/00 - G01H 17/00
H04R 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の表面を走査するとともに、複数の計測点に照射され、熱励起の超音波を発生させるパルスレーザ光を生成するパルスレーザ発振器と、
前記被検体に装着して固定され前記複数の計測点で発生した前記熱励起の超音波を前記パルスレーザ光のパルスと同期して検出する受信センサを備える超音波伝搬映像装置によって取得された前記被検体上を伝搬する超音波伝搬映像において、
前記超音波伝搬映像を構成する前記計測点の波形の画像データの集合から、
前記超音波の前進波がX軸方向に進む場合、
X軸方向の複数の行から1つ行のBスコープデータを抽出し、
前記Bスコープデータを二次元フーリエ変換して複素平面上に表し、
二次元フーリエ変換データ上の前記前進波成分をゼロ
すなわち、
前記前進波がX軸の正方向に進む場合には、第二象限及び第四象限の成分をゼロ、
前記前進波がX軸の正と逆の負方向に進む場合には、第一象限及び第三象限の成分をゼロ、
にしたうえで逆フーリエ変換し、
得られた行データについて前記Bスコープデータを抽出したもとの行位置に戻す第一前進波除去処理を行い、
さらに、残りの全ての行についても前記第一前進波除去処理を繰り返し行い、
または、
前記超音波の前進波がY軸方向に進む場合には、
Y軸方向の複数の列から1つ列のBスコープデータを抽出し、
前記Bスコープデータを二次元フーリエ変換して複素平面上に表し、
二次元フーリエ変換データ上の前記前進波成分をゼロ
すなわち、
前記前進波がY軸の正方向に進む場合には、第二象限及び第四象限の成分をゼロ、
前記前進波がY軸の正と逆の負方向に進む場合には、第一象限及び第三象限の成分をゼロ、
にしたうえで逆フーリエ変換し、
得られた列データについて前記Bスコープデータを抽出したもとの列位置に戻す第二前進波除去処理を行い、
さらに、残りの全ての列についても前記第二前進波除去処理を繰り返し行い、
前記第一又は第二前進波除去装置を行うことで、前記超音波伝搬映像から前記前進波が消去或いは低減し、
前記被検体の欠陥に由来する前記超音波の後退波である欠陥エコーを抽出或いは強調表示した鮮明超音波伝搬映像を得ることを特徴とする
超音波伝搬映像の画像処理方法。
【請求項2】
前記被検体を撮影したデジタル形式のカメラ画像と、
請求項1に記載の超音波伝搬映像の画像処理方法によって得られた前記鮮明超音波伝搬映像において走査枠で切り抜いたトリミング画像を、
前記カメラ画像のカメラ座標と前記トリミング画像の走査枠座標を対応させ、
前記カメラ画像における前記被検体の位置と前記鮮明超音波伝搬映像における被検体の位置を一致させて融合し、被検体上で超音波が伝搬するスーパーインポーズ映像を得ることを特徴とする
超音波伝搬映像の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷による非破壊検査、詳しくはレーザ超音波を利用する被検体の欠陥の映像化に関し、さらに詳しくは欠陥の高精度検出、欠陥位置の特定を容易にする超音波伝搬映像の画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波伝搬映像の画像処理方法として、本願発明者の高坪等が開発した特許文献1の発明が公開されている。
【0003】
特許文献1の発明は、超音波が被検体表面を伝搬する挙動を動画映像として計測・表示する方法に関し、
機器の調整が容易で作業性もよく、また、非接触での高感度な測定が可能な製造や検査等の現場での利用に適した超音波伝搬の映像化方法および装置であって、
要約すると、
発振レーザによって、被検体の表面を走査してパルスレーザ光を走査路に沿って複数の計測点に照射し、これら複数の計測点で熱励起超音波を発生させ、この超音波を、被検体に装着し固定した受信用圧電センサで前記レーザ光のパルスと同期して検出し、この検出した信号をA/D変換器(デジタルオシロスコープ)により波形列データとしてパソコンに収録し、パソコンにより、収録した波形列データを各時刻における振幅値を輝度変調して画像化し、これらの画像を時系列的に連続表示することにより、映像化していた。
【0004】
その原理は、
例えば、あるA点にレーザ光を照射して熱励起超音波を発生させ、この超音波をB点の圧電センサで検出した波は、逆に、B点にレーザ光を照射して熱励起超音波を発生させ、この超音波をA点で検出した波とほぼ同一になる。
【0005】
この超音波伝搬の可逆性を利用すれば、発振レーザを走査させながら、その走査路に沿ってパルスレーザ光を複数の計測点で照射して熱励起超音波を発生させ、この超音波を固定圧電センサで検出した波形列(計測点の数に対応した波形の集合)は、逆に、圧電センサ位置にレーザ光を照射したときに発生する超音波を、圧電センサを走査させながら検出した波形列と同一だと見なすことができる。
【0006】
そして、発振レーザを走査させたときの検出波形列の各時刻における振幅値を輝度変調して画像化し(等高線図を作り)、この画像化した画像を時系列的に連続表示させると、その映像は、受信点で発信した超音波の伝搬映像となる。
【0007】
特許文献1の発明は、受信レーザや受信センサを走査させるのではなく、逆に、発振レーザを走査させて固定圧電素子で受信しているので、非接触で高感度な計測が可能となる。
【0008】
よって、被検体が平坦であること、レーザ光を被検体に垂直に当てかつ一定の焦点距離を保たなければならないこと等、従来の受信レーザや受信センサを走査する場合に必要である事項が、本発明では厳格に要求されない。よって、本発明によれば、作業性が良く、精度においても従来技術に較べると改善される。
【0009】
特許文献1の発明のより具体的な構成は、特許文献1の特許公報(4595117号)の特許請求の範囲に記載の通りで、下記に転載した。
(請求項1)
被検体の表面を走査してパルスレーザ光の走査路の複数の計測点に照射し、熱励起超音波を発生させる発振レーザと、前記被検体に装着して固定され、前記複数の計測点で発生した前記熱励起超音波を前記レーザ光のパルスと同期して検出する受信用圧電センサとを備えた、被検体上を伝搬する超音波の映像化装置。
(請求項2)
被検体の表面を走査してパルスレーザ光の走査路の複数の計測点に照射し、熱励起超音波を発生させる発振レーザと、前記被検体に装着して固定され、前記複数の計測点で発生した前記熱励起超音波を前記レーザ光のパルスと同期して検出する受信用圧電センサと、A/D変換器と、パソコンとを備えた、被検体上を伝搬する超音波の映像化装置であって、
前記A/D変換器は、前記受信用圧電センサで検出した超音波に係る信号をA/D変換して波形列データを得て、
前記パソコンは、前記波形列データを収録し、該波形列データの、各時刻における振幅値を輝度変調して画像化することを特徴とする、被検体上を伝搬する超音波の映像化装置。
(請求項3)
前記画像化して得た画像を時系列的に連続表示することを特徴とする、請求項2記載の被検体上を伝搬する超音波の映像化装置。
(請求項4)
発振レーザによって、被検体の表面を走査してパルスレーザ光を走査路に沿って複数の計測点に照射し、前記複数の計測点に熱励起超音波を発生させ、該超音波を、前記被検体に装着して固定した受信用圧電センサで前記レーザ光のパルスと同期して検出し、該検出した信号を波形列データとして、該波形列データの各時刻における振幅値を輝度変調して画像化することを特徴とする、被検体上を伝搬する超音波の映像化方法。
(請求項5)
発振レーザによって、被検体の表面を走査してパルスレーザ光を走査路に沿って複数の計測点に照射し、前記複数の計測点に熱励起超音波を発生させ、該超音波を、被検体に装着し固定した受信用圧電センサで前記レーザ光のパルスと同期して検出し、該検出した信号をA/D変換器により波形列データとしてパソコンに収録し、該パソコンにより、前記収録した波形列データを各時刻における振幅値を輝度変調して画像化することを特徴とする、被検体上を伝搬する超音波の映像化方法。
(請求項6)
前記画像化して得た画像を時系列的に連続表示することを特徴とする、請求項4又は5記載の被検体上を伝搬する超音波の映像化方法。とするものである。
【0010】
しかしながら、従来の特許文献1の技術では、欠陥からの超音波反射波(後退波)である欠陥エコーが小さい場合には、超音波の前進波の映像の中に欠陥エコーが埋もれて、被検体の欠陥が見逃されることが起きていた。
また、欠陥エコーを抽出し或いは強調して映像化できたとしても、それが実際の被検体のどの場所から発生しているのか、位置を特定することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2006-300634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、特許文献1の発明に新たな技術を付加することで、被検体にレーザを照射し、被検体の鮮明な超音波映像を取得して、被検体の欠陥の高精度検出、欠陥位置の特定を容易にする超音波伝搬映像の画像処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、
(1)
被検体の表面を走査するとともに、複数の計測点に照射され、熱励起の超音波を発生させるパルスレーザ光を生成するパルスレーザ発振器と、
前記被検体に装着して固定され前記複数の計測点で発生した前記熱励起の超音波を前記パルスレーザ光のパルスと同期して検出する受信センサを備える超音波伝搬映像装置によって取得された前記被検体上を伝搬する超音波伝搬映像において、
前記超音波伝搬映像を構成する前記計測点の波形の画像データの集合から、
前記超音波の前進波がX軸方向に進む場合、
X軸方向の複数の行から1つ行のBスコープデータを抽出し、
前記Bスコープデータを二次元フーリエ変換して複素平面上に表し、
二次元フーリエ変換データ上の前記前進波成分をゼロ
すなわち、
前記前進波がX軸の正方向に進む場合には、第二象限及び第四象限の成分をゼロ、
前記前進波がX軸の正と逆の負方向に進む場合には、第一象限及び第三象限の成分をゼロ、
にしたうえで逆フーリエ変換し、
得られた行データについて前記Bスコープデータを抽出したもとの行位置に戻す第一前進波除去処理を行い、
さらに、残りの全ての行についても前記第一前進波除去処理を繰り返し行い、
または、
前記超音波の前進波がY軸方向に進む場合には、
Y軸方向の複数の列から1つ列のBスコープデータを抽出し、
前記Bスコープデータを二次元フーリエ変換して複素平面上に表し、
二次元フーリエ変換データ上の前記前進波成分をゼロ
すなわち、
前記前進波がY軸の正方向に進む場合には、第二象限及び第四象限の成分をゼロ、
前記前進波がY軸の正と逆の負方向に進む場合には、第一象限及び第三象限の成分をゼロ、
にしたうえで逆フーリエ変換し、
得られた列データについて前記Bスコープデータを抽出したもとの列位置に戻す第二前進波除去処理を行い、
さらに、残りの全ての列についても前記第二前進波除去処理を繰り返し行い、
前記第一又は第二前進波除去装置を行うことで、前記超音波伝搬映像から前記前進波が消去或いは低減し、
前記被検体の欠陥に由来する前記超音波の後退波である欠陥エコーを抽出或いは強調表示した鮮明超音波伝搬映像を得ることを特徴とする
超音波伝搬映像の画像処理方法。
(2)
前記被検体を撮影したデジタル形式のカメラ画像と、
(1)に記載の超音波伝搬映像の画像処理方法によって得られた前記鮮明超音波伝搬映像において走査枠で切り抜いたトリミング画像を、
前記カメラ画像のカメラ座標と前記トリミング画像の走査枠座標を対応させ、
前記カメラ画像における前記被検体の位置と前記鮮明超音波伝搬映像における被検体の位置を一致させて融合し、被検体上で超音波が伝搬するスーパーインポーズ映像を得ることを特徴とする
超音波伝搬映像の画像処理方法。
とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、超音波伝搬映像の中から前進波を消去し、欠陥エコー(後退波)を抽出、強調する画像処理方法であるので、鮮明な超音波伝搬映像での確認ができるため、被検体の欠陥の高精度検出を実現でき、被検体における小さな欠陥の見落としも少なくなる。また、欠陥エコーの最大振幅分布図(静止画)で欠陥の有無や欠陥位置を判定できるので、検査時間の短縮につながる。
【0015】
また、本発明は、被検体写真(カメラ画像)に超音波伝搬動画映像を重ねて表示する方法であるので、被検体の上を超音波が伝搬しているようなリアリティのある映像で観察でき、被検体における欠陥エコー(欠陥)位置の特定を容易になり、さらに、欠陥の見落としも減り、検査時間の短縮にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の超音波伝搬映像の画像処理方法に適用する各情報を取得する機器概要図である。図1(A)は全体模式図、図1(B)はだ光学系の拡大模式図である。
図2】パルスレーザ光の走査方法、計測点、画像データの説明図である。
図3】従来の超音波映像元映像を元に、本願発明の処理方法を適用して得られる映像についての概略図である。
図4】パルスレーザ光の照射によって生じた超音波の前進波の消去方法についての説明図である。
図5】被検体のカメラ画像に、本願発明で処理して得られた鮮明超音波伝搬映像をスーパーインポーズするための前処理の説明図A、Bである。
図6】被検体のカメラ画像に、本願発明で処理して得られた鮮明超音波伝搬映像をスーパーインポーズするための前処理の説明図C、Dである。
図7】被検体のカメラ画像に、本願発明で処理して得られた鮮明超音波伝搬映像をスーパーインポーズするための前処理の説明図E、Fである。
図8】被検体と、本願発明で処理して得られた超音波伝搬映像をスーパーインポーズして、欠陥エコーを強調する手法の説明図である。
図9】本願発明の画像処理方法で処理して得られた実施例2(被検体:T字金属ブロック)の鮮明超音波伝搬映像の説明である。
図10】本願発明の画像処理方法で処理して得られた実施例3(被検体:アングル)の鮮明超音波伝搬映像の説明である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はそれら実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1に、本発明の超音波伝搬映像の画像処理方法に適用する各情報を取得し、被検体の欠陥を強調表示可能な鮮明超音波伝搬映像8aを生成する超音波伝搬映像装置1の基本構成を示した。計測、映像化原理は、特許文献1に詳述されているので、ここでは、超音波伝搬映像装置1の概要を説明する。詳しくは、特許文献1を参照のこと。
【0019】
超音波伝搬映像装置1は、図1(A)に示すように、レーザ発振器2と、ミラー装置3と、被検体4に固定される受信センサ5と、増幅器6と、A/D変換器7と、パソコン8と、カメラ9を備えている。
【0020】
レーザ発振器2は、パソコン8からの制御信号8bで、被検体4に向けて10Hz程度の周期でパルスレーザ光2aを照射するためのもので、例えば、YAGレーザ発振器等が例示できる。
【0021】
ミラー装置3は、回転する軸3bと軸3bに設けた回転するミラー3aと、さらに、ダイクロイックミラー3cと、光源3dを含み、パソコン8からの制御信号8cで駆動が制御され、ミラー3aを回転させることで、レーザ発振器2で生成されたパルスレーザ光2aを被検体4の表面で走査路2bに沿って格子状に走査させる。回転するミラー3aとして、例えば、ガルバノミラーなどが採用できる。
【0022】
図1(B)に抽出した光学系に示すように、レーザ発振器2とミラー3aの間に、ダイクロイックミラー3cの中心面が、パルスレーザ光2aの進行方向に対して角度45°になるよう配置する。レーザ発振器2から出射するパルスレーザ光2aの波長は1064nmであるので、ダイクロイックミラー3cの特性により、パルスレーザ光2aはそのまま透過(直進)する。
【0023】
また、レーザ発振器2のパルスレーザ光2aの光路と直交(ダイクロイックミラー3cまで)するガイド光3eを照射する光源3d(波長532nm)を備える。ガイド光3eは可視光で、ダイクロイックミラー3cに照射されると反射され、反射されたガイド光3eは、透過されたパルスレーザ光2aと合流する。そして、ガイド光3eは、パルスレーザ光2aとミラー3aの同じ位置に照射するように調整される。ガイド光3eは可視光であるので、パルスレーザ光2aが見えなくても、ガイド光3eによってパルスレーザ光2aの位置を把握することができる。
【0024】
計測点2cは、走査路2b上に、任意の数、縦横各100点、合計10,000点程度設定される。
【0025】
パルスレーザ光2aが被検体4に照射されると、被検体4の計測点2cは急激な熱膨張が生じ、それに伴い、熱励起の超音波が発生する。
【0026】
受信センサ5は、パルスレーザ光2aのパルスと同期して、各計測点2cで発生した熱励起の超音波を電気的に検出する。受信センサ5として、例えば、圧電素子センサ、AE(Acoustic Emission)センサなど採用できる。受信センサ5により検出された検出電気信号5aは、増幅器6で増幅され、さらにA/D変換器7(デジタルオシロスコープ)でデジタル信号7aに変換され、波形7bの画像データ7cとしてパソコン8に送信、格納され、超音波伝搬映像8aの元データとなる。
【0027】
以上の構成により、特許文献1同様に、パソコン8に格納された波形7bの画像データ7cから、各時刻(同一時刻)における振幅値についてパルスレーザ光2aを照射した計測点2cにおける超音波変位と見なして、輝度変調(前記段落0006参照)した画像を作成する。なお、走査路2bはX方向にNx点、Y方向にNy点、総計測点2cはNx*Ny個になる。各計測点2cの同じ時刻の振幅値は、一つのNx*Ny個の振幅画像になる。
【0028】
このようにして得た画像を、時系列的に連続表示(連続描画)すれば、あたかも、受信センサ5の固定位置で超音波が発振したかのような映像(鮮明超音波伝搬映像8a、後述のスーパーインポーズ映像8d)となる。
【0029】
カメラ9は、被検体4の欠陥位置の特定を容易にするため、本願発明の鮮明超音波伝搬映像8aと被検体4のカメラ画像9bを融合(スーパーインポーズ)し、スーパーインポーズ映像8dに利用するために被検体4の画像を取得し、有線、無線でパソコン8に送る。
【0030】
鮮明超音波伝搬映像8aは、2軸のミラー装置3によるパルスレーザ光2aの走査で計測されるので、パルスレーザ光2aの走査可能範囲(レーザ視野2d)と、カメラ9の撮影範囲(カメラ視野9a)が、概ね一致するよう、カメラ9をミラー3aの軸3bの中心に近い位置3fに取り付けて、被検体4を撮影すればよい。
【0031】
そうすることで、鮮明超音波伝搬映像8aと被検体の写真(カメラ画像)はほぼ同視野で取得したような画像になる。ただし、鮮明超音波伝搬映像8aと被検体の写真の画像サイズや空間分解能(縦横の解像度)、Z軸強度(超音波強度と写真色相・明暗)は異なる。カメラ9としては、Webカメラなどが採用できる。
【0032】
ミラー装置3による視野(レーザ視野2d)の角度は50°程度あるので、その視野角内にある被検体4の写真(カメラ画像)を撮れるような視野角を有するカメラ9を、パルスレーザ光2aの走査路X方向とカメラ9のモニターの枠の横方向が平行になるようにミラー装置3に取り付ける。走査路X方向とカメラ9のモニターの枠の横方向が平行でないと、レーザ視野2dとカメラ視野9aとの対応関係がもっと複雑になり、カメラ画像をトリミングする時にそれを補正しなければならなくなり、煩雑となる。
【0033】
図2は、パルスレーザ光の走査方法、計測点、画像データの説明図である。黒点が、計測点2cで、計測点2cごとに、波形7bのデータが生成され、パソコン8に送られる。ここでは、縦(Y軸方向)にNy行、横(X軸方向)にNx列のデータが、パルスレーザ光2aの走査路2bに沿って取得される。ここでは、点(Ix,Iy)の波形7bイメージを示した。
【0034】
図3Aは、従来の超音波伝搬映像10であり、被検体4の欠陥に起因する欠陥エコー10bが、前進波10aに埋もれ、明瞭でない。
図3Bは、Aに、本願発明の処理方法を適用して得られる、鮮明超音波伝搬映像8aである。前進波10aが消去、低減することで欠陥エコー8eが明瞭に視認できる。
図3Cは、Bの鮮明超音波伝搬映像8aと被検体4が撮影されたカメラ画像9bと融合して、スーパーインポーズ映像8dとしたものである。欠陥エコー8eが被検体4のどの位置であるかも、容易に把握できる。左右点線は、視野幅が一致していることを示している(以下同様)。
【0035】
図4は、パルスレーザ光2aの照射によって生じた超音波の前進波10aの消去方法についての説明図である。
【0036】
図4Aは、従来の超音波伝搬映像10で、欠陥エコー10bが前進波10aに埋もれ、不明瞭である。そこで、欠陥エコー10bを明瞭化するため、計測点行ごとに、Bスコープを抽出し、二次元フーリエ変換、そのデータを加工して、逆フーリエ変換操作などする。以下、欠陥エコー10bの明瞭化(抽出)をより詳細に説明する。
【0037】
図4Aの前進波10aが右から左にX軸において負方向に進む場合について説明する。先ず、各行(図2に示すNy)において、Bスコープを抽出する。図4Bが、図4Aに示す行位置IyのBスコープ画像である。前進波11aは画像中において左上から右下に向かう縞模様であり、欠陥エコー11bは前進波11aから右上に向け視認できる縞模様である。
【0038】
次に、図4Bを二次元フーリエ変換処理する。図4Cが、その二次元フーリエ変換データ12である。第一象限12a、第三象限12cに前進波11aの成分(前進波成分12e)が存在し、第二象限12b、第四象限12dに欠陥エコー11bの成分が存在する。したがって、第一象限12a、第三象限12cの前進波成分12eをゼロにしたうえで逆フーリエ変換する。
【0039】
得られた行データ(図4Dの前進波を消去したBスコープ11c)についてBスコープデータを抽出した元のIy行に戻す(第一前進波除去処理)。その後、残りの全ての行についても第一前進波除去処理を繰り返し(ここでは、Ny回)行う。
【0040】
一方、超音波の前進波が図4AのX軸において、図4Aとは逆の正方向に進む場合には、第二象限12b、第四象限12dに前進波成分が存在することになるので、その成分をゼロにしたうえで逆フーリエ変換し、上記同様の処理を行う。
【0041】
従来の超音波伝搬映像10では超音波伝搬映像装置1の原理により、前進波10aが受信センサ5から放射状に進んでいく。受信センサ5を、パルスレーザ光2aの走査範囲の真横右側に設定した場合には、前進波10aが、概ね図4AのX軸において右から左へ進むとみなすことができる。逆に、受信センサ5を、パルスレーザ光2aの走査範囲の真横左側に設定した場合には、前進波10aがおおむね図4AのX軸において左から右へ進むとみなすことができる。
【0042】
即ち、前進波10aの進む方向が受信センサ5の位置により決められる。また、従来の超音波伝搬映像10からも判断できる。したがって、前進波10aの進行方向、二次元フーリエ変換データにおける前進波成分12eの存在象限は、自動で判定することができる。もちろん、目視により判定し、手動で選定してもよい。
【0043】
他方、超音波の前進波がY軸方向に進む場合には、X軸方向に進んだ場合の行同様に全ての列において、Bスコープデータの抽出、二次元フーリエ変換、前進波成分が存在する対角象限(Y軸の負方向へ進行する場合(下から上へ)には第一象限12aと第三象限12cをゼロ、他方、Y軸の正方向へ進行する合(上から下へ)には第二象限12bと第四象限12d)の成分をゼロにしたうえで逆フーリエ変換、Bスコープデータを抽出したもとの列位置に戻す(第二前進波除去処理)。
【0044】
前進波の進む方向は従来の超音波伝搬映像10を再生により、マニュアルで判断する。前進波消去の計算する時に入力パラメーターとする。このパラメーターは四つ(X正方向、X負方向、Y正方向、Y負方向の選択肢にすることができる。
【0045】
前進波の進む方向が前記四つでない方向の場合に、前記四つの中の一番近い進行方向を選択して消去処理をする。もし受信センサ5がパルスレーザ光2aの走査範囲の中にあるときに、前進波は受信センサ5から放射状に周囲へ進んでいく。この場合に前記四つの中の一番近い進行方向を選択する。
【0046】
そうすることで、従来の超音波伝搬映像10から前進波10aが消去或いは低減し、被検体4の欠陥に由来する超音波の後退波である欠陥エコー10bを抽出或いは強調表示した図4Eの前進波10aを消去した伝搬映像である鮮明超音波伝搬映像8aを得ることができる。
【0047】
時間領域の信号波形の遅延差分をとって特定の伝搬速度で進む波を消去する方法はこれまでにもあったが、周波数領域のB-スコープスペクトルを利用して、特定方向に進む前進波を一度に全て消去する方法は知られていない。
【0048】
各計測点2cで検出した画像データ7cは、超音波信号波形列であり、パソコン8のハードディスクから記憶部に3次元配列Z(X,Y,t)として読み込まれる。XYは空間位置、tは波形7bの伝搬時間に対応する。
【0049】
図5-7は、被検体4のカメラ画像9bに、本願発明で処理して得られた鮮明超音波伝搬映像8aをスーパーインポーズするための前処理の説明図A~Fである。
【0050】
図5Aは、レーザ走査可能範囲とレーザ走査枠の関係の説明図である。符号9c’はレーザ走査枠である、外側の枠は、レーザ走査可能な最大範囲を示す最大走査枠9k、符号9gはレーザ走査枠9c‘の中心である。図5Aの座標の数字はレーザ走査分解能縦横の最大値(16ビット)であり、記号M’はミラー座標2fの中心である。
【0051】
図5Bは、カメラ9で撮影した被検体4を含むカメラ画像9bである。図5Bの外側の枠は、カメラ視野9aの最大範囲を示し、座標の数字はカメラ画像9bの分解能縦横の最大値である。記号Oはカメラ画像9bの中心である。
【0052】
被検体4のカメラ画像9bを撮るときに、レーザ走査枠9c’とレーザ走査枠9c’の中心9gにガイド光3eで照射しておくと、レーザ走査枠9c’とレーザ走査枠9c‘の中心9gをカメラ画像9bに写し込むことができる。
【0053】
パルスレーザ光2aを照射しないで、ガイド光3eだけを照射して、それからミラー3aを動かしてレーザ走査枠9c’→レーザ走査枠9c‘の中心9g→レーザ走査枠9c’の順番で繰り返し照射しながら写真(カメラ画像9b)を撮る。
カメラで撮影すると、図5B上の写り込んだガイド光3e(パルスレーザ光2a)のレーザ走査枠9c(破線線)になる、符号9fはレーザ走査枠9cの中心である。記号Mは仮にミラー3aが図5Aのミラー座標中心M‘に位置する時に図5B上の写り込んだガイド光3eの位置である。
【0054】
そして、レーザ走査枠9cの枠内画像を切り出して、図7に示すトリミング画像9eとする。
【0055】
しかし、計測毎にカメラ画像に写り込んだレーザ走査枠9cを確認してトリミングすることは不便であるので、レーザ走査枠9c’から図5B上のレーザ走査枠9cへの対応関係を正確に求めることで、後でレーザ走査枠9c’が変更されでもカメラ画像9bから正確なレーザ走査枠9cを計算でき、そしてレーザ走査枠9c内の画像を自動で抜き取ることができる。以下はその対応関係の求める方法を説明する。
【0056】
図1に示すように、カメラ視野9aとレーザ視野2dとは完全に重なっていない。二つの視野の中心位置にズレがあり(図5B上に記号Mと記号Oで示すように)、視野の範囲と分解能も(図5A図5B)違う。
【0057】
まず、カメラ視野9aとレーザ視野2dの中心位置のズレ、同じ横視野に対してカメラ画像9bの横画素範囲とミラー3aの横走査範囲との比率j及び同じ縦視野に対してカメラ画像9bの縦画素範囲とミラー3aの縦走査範囲との比率kをそれぞれある値に仮定して、レーザ走査枠9c’に対して下記の変換式でカメラ画像9b上の予測走査枠9h(図6Cに示す)を計算する。符号9iは予測走査枠9hの中心である。

Xc=Mx+j*Xm
Yc=My+k*Ym
Mx=Ox+Δx
My=Oy+Δy

(Xm、Ym)はミラー座標2f上にある位置(レーザ走査枠9c’のコーナー位置、ミラー座標中心M‘点等)の座標である。
(Xc、Yc)はカメラ画像9b上にある位置(レーザ走査枠9cのコーナー位置、レーザ走査枠9cの中心9f点等)の座標である。
(Mx、My)はカメラ画像9b上のM点の座標である。
(Ox、Oy)はカメラ画像9b上のO点(カメラ画像9bの中心位置)の座標である。
(Δx、Δy)はカメラ画像9b上に二つ視野のズレである。
【0058】
上記では(Ox、Oy)は既知であるので、ズレ(Δx、Δy)と比率jと比率kでレーザ走査枠9c‘から予測走査枠9hが決められる。
【0059】
レーザ走査枠9cと予測走査枠9hを重ねてパソコン8に表示する。カメラ視野9aとレーザ視野2dの中心位置間のズレ(Δx、Δy)が正しく設定してない時に図6Cに示すようにレーザ走査枠9cと予測走査枠9h重ならない。カメラ画像9b上のレーザ走査枠9cの中心9fにマウスを指してクリックしたら、レーザ走査枠9cの中心9fのカメラ画像9bの画素位置をソフトに入力することができる。その画素位置を使ってズレ(Δx、Δy)を正確に計算でき、そして新しいズレ(Δx、Δy)で再計算した予測走査枠9hの中心9iがレーザ走査枠9cの中心9fと重なるようになる。
【0060】
図6Dはズレを適切に設定され、比率jと比率kが未だ適切に設定されていない時のレーザ走査枠9cと予測走査枠9hである。
【0061】
もし比率jが適切に設定されていないと図6Dに示すように予測走査枠9hと実際のレーザ走査枠9cの横長さに違いが生じる。比率jをソフト上で手入力修正できるので、予測走査枠9hの横長さがレーザ走査枠9cより長い時は現在のj数値より小さい数値を入力し、逆に短い時は大きい数値を入力することで予測走査枠9hとレーザ走査枠9cの横長さを同じぐらいに調整できる。
【0062】
図7Eはズレと比率jを適切に設定され、比率kが未だ適切に設定されていない時のレーザ走査枠9cと予測走査枠9hである。
【0063】
他方、もし比率kが適切に設定されていないと図7Eに示すように予測走査枠9hと実際のレーザ走査枠9cの縦長さに違いが生じる。比率kをソフト上で手入力修正できるので、予測走査枠9hの縦長さがレーザ走査枠9cより長い時は現在のk数値より小さい数値を入力し、逆に短い時は大きい数値を入力することで予測走査枠9hとレーザ走査枠9cの縦長さを同じぐらいに調整できる。
【0064】
ズレ、比率jと比率kを全て適切に設定されていったら、レーザ走査枠9cと予測走査枠9hが図7Fに示すように重なる。
【0065】
カメラ9とミラー3a及びレーザ発振器2の位置関係は固定されているので、上記の二つ視野のズレと比率j、kは一度調整しておけばよい。
【0066】
予測走査枠9hの枠内画像を切り出して、図7に示すトリミング画像9eとする。
【0067】
そして、図7に示すように、カメラ画像9bから切り出されたトリミング画像9eと、鮮明超音波画像8aを融合(+)することにより、図7Cのスーパーインポーズ映像8dになる。欠陥エコーが明瞭に視認できる。
【0068】
トリミング画像9eは、カラーのRGB色相データであるが、これを既知の方法でRGB色相データをYUVデータに変換しその輝度信号だけを抜き出す。
具体的には、Y=0.299*R+0.587*G+0.114*Bで求められる。ここで、「Y」はトリミング画像9eの各ピクセル位置の輝度、「R」、「G」,「B」はトリミング画像9eの各ピクセル位置のRGB色相データである。
【0069】
一方、鮮明超音波伝搬映像8aは、レーザ走査分割数に対応した配列数の強度グラフになるので、前記カメラ画像9bのデータを強度グラフの配列次元に合わせて再配列し、適切な係数を掛けて(1フレームずつ)重ね合わせれば、カメラ画像9bの上で超音波が伝搬して行く動画映像を得ることができる。
【0070】
前記適切な係数とはカメラ画像9bと鮮明超音波伝搬映像8aの両方が適切に表示される係数のことで、カメラ画像9bのデータには係数0.05を掛ける。
【0071】
スーパーインポーズは新規な技術ではないが、被検体4のカメラ画像9bの上で超音波が伝搬する様子を動画映像として観察できるようにすることは知られていない。
【実施例1】
【0072】
図8は、本願発明の画像処理方法で処理して得られた実施例2(被検体:T字金属ブロック)の鮮明超音波伝搬映像の説明である。
【0073】
図8Aが、被検体であるT字金属ブロック14のカメラ画像14aで、受信センサ5が手前の上側の面に取り付けられている。白枠で囲まれた範囲がレーザ走査枠2eである。図8Bは、時刻t=9.34μsのときの従来の超音波伝搬映像14bで、欠陥(白抜き矢印)に起因する欠陥位置14eから生じる欠陥エコー10bは、前進波10aに埋もれて不明瞭である。
【0074】
図8Cでは、本願発明の処理で、前進波10aを消去、低減させ、時刻t=9.34μsのときの鮮明超音波伝搬映像14cを作成した。欠陥位置14eが特定しやすくなっている。そして、図8Cでは、カメラ画像14aからレーザ走査枠2eで切り取ったトリミング画像と鮮明超音波伝搬映像14cを融合して、時刻t=9.34μsのときのスーパーインポーズ映像14dとした。その結果、T字金属ブロック14の駆け上がり部の欠陥位置14eも、明瞭に確認できている。
【実施例2】
【0075】
図9は、本願発明の画像処理方法で処理して得られた実施例3(被検体:アングル)の鮮明超音波伝搬映像の説明である。
【0076】
図9Aが、被検体であるアングル15のカメラ画像15aで、受信センサ5が手前の中央表面に取り付けられている。白枠で囲まれた範囲がレーザ走査枠2eである。図9Bは、時刻t=57.71μsのときの従来の超音波伝搬映像15bで、欠陥(白抜き矢印)に起因する欠陥位置15eから生じる欠陥エコー10bは、前進波10aに埋もれて不明瞭である。また。明瞭に見えるタイミングも異なる。
【0077】
図9Cでは、本願発明の処理で、前進波10aを消去、低減させ、時刻t=57.71μsのときの鮮明超音波伝搬映像15cを作成した。欠陥位置15eが特定しやすくなっている。そして、図9Cでは、カメラ画像15aからレーザ走査枠2eで切り取ったトリミング画像と鮮明超音波伝搬映像15cを融合して、時刻t=57.71μsのときのスーパーインポーズ映像15dとした。その結果、アングル15の屈曲部の欠陥位置15eも、明瞭に確認できている。
【符号の説明】
【0078】
1 超音波伝搬映像装置
2 レーザ発振器
2a パルスレーザ光
2b 走査路
2c 計測点
2d レーザ視野
2e レーザ走査枠
2f ミラー座標
3 ミラー装置
3a ミラー
3b 軸
3c ダイクロイックミラー
3d 光源
3e ガイド光
3f 位置
4 被検体
5 受信センサ
5a 検出電気信号
5b 受信センサ位置
6 増幅器
7 A/D変換器
7a デジタル信号
7b 波形
7c 画像データ
8 パソコン
8a 鮮明超音波伝搬映像
8b 制御信号
8c 制御信号
8d スーパーインポーズ映像
8e 欠陥エコー
9 カメラ
9a カメラ視野
9b カメラ画像
9c レーザ走査枠
9c‘ レーザ走査枠
9d カメラ座標
9e トリミング画像
9f 中心
9g 中心
9h 予測走査枠
9i 中心
9k 最大走査枠
9m 形状
9n 形状
10 従来の超音波伝搬映像
10a 前進波
10b 欠陥エコー
11 Bスコープ
11a 前進波
11b 欠陥エコー
11c 前進波を消去したBスコープ
12 二次元フーリエ変換データ
12a 第一象限
12b 第二象限
12c 第三象限
12d 第四象限
12e 前進波成分
14 T字金属ブロック
14a カメラ画像
14b 従来の超音波伝搬映像
14c 鮮明超音波伝搬映像
14d スーパーインポーズ映像
14e 欠陥位置
15 アングル
15a カメラ画像
15b 従来の超音波伝搬映像
15c 鮮明超音波伝搬映像
15d スーパーインポーズ映像
15e 欠陥位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10