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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】鉄道用電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 3/06 20060101AFI20220419BHJP
   H02J 9/04 20060101ALI20220419BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220419BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220419BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220419BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B60M3/06 B
H02J9/04
H02J7/00 P
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
H02J7/34 G
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017249606
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019112036
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 博寿
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024689(JP,A)
【文献】特開2013-023074(JP,A)
【文献】特開2015-036280(JP,A)
【文献】特開2001-260718(JP,A)
【文献】特開2013-141374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 3/06
H02J 9/04
H02J 7/00
H02J 7/34
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用の車両と電気的に接続される第一配線と、
前記第一配線と接続され、前記車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と、
前記回生用蓄電部と接続される第二配線と、
前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、
前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を前記車両以外の電力負荷に供給する第二制御部と、を備え、
前記第二配線は、前記電力負荷と電気的に接続され、
前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOC(State Of Charge)を示す値が回生用第二閾値以上の場合に、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給し、
前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が前記回生用第二閾値よりも小さい場合においても、緊急信号を受信して緊急時であると判断した場合には、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給可能なように制御する
鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項2】
鉄道用の車両と電気的に接続される第一配線と、
前記第一配線と接続され、前記車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と、
前記回生用蓄電部と接続される第二配線と、
前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、
前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を前記車両以外の電力負荷に供給する第二制御部と、を備え、
前記第二配線は、前記電力負荷と電気的に接続され、
前記第二制御部は、停電時において、前記回生用蓄電部及び前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷に供給する
鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項3】
鉄道用の車両と電気的に接続される第一配線と、
前記第一配線と接続され、前記車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と、
前記回生用蓄電部と接続される第二配線と、
前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、
前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を前記車両以外の電力負荷に供給する第二制御部と、を備え、
前記第二配線は、前記電力負荷と電気的に接続され、
前記第二制御部は、停電時において、前記回生用蓄電部及び前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両に供給した後に、前記電力負荷に供給する
鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項4】
鉄道用の車両と電気的に接続される第一配線と、
前記第一配線と接続され、前記車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と、
前記回生用蓄電部と接続される第二配線と、
前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、
前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を前記車両以外の電力負荷に供給する第二制御部と、を備え、
前記第二配線は、前記電力負荷と電気的に接続され、
前記第二制御部は、停電後の復電時において、前記非常用蓄電部に電力を供給する
鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項5】
前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合に、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給する
請求項2~4のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項6】
前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が前記回生用第二閾値よりも小さい場合においても、緊急信号を受信して緊急時であると判断した場合には、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給可能なように制御する
請求項5に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項7】
前記第二制御部は、前記車両の運行状況に応じて、前記非常用蓄電部の充放電を制御する
請求項1~6のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項8】
前記第二配線は、前記第一配線と接続される
請求項1~7のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項9】
さらに、前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記第一配線から供給される回生電力を、直接前記電力負荷に供給する第一制御部を備える
請求項8に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項10】
前記第一制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が回生用第一閾値以上の場合に、前記第一配線から供給される回生電力を、前記回生用蓄電部を介さずに前記電力負荷に供給する
請求項9に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項11】
さらに、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方を含む電力使用設備の使用電力に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する第三制御部を備える
請求項1~10のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項12】
前記回生用蓄電部は、前記非常用蓄電部よりも高いハイレート特性を有する
請求項11に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項13】
前記第三制御部は、前記電力使用設備の使用電力が回生用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、前記回生用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する
請求項11または12に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項14】
さらに、前記非常用蓄電部の状態に応じて、前記非常用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給する第四制御部を備える
請求項1~13のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項15】
前記第四制御部は、前記非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合に、前記非常用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給する
請求項14に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項16】
さらに、前記非常用蓄電部を充電する発電設備を備え、
前記第四制御部は、前記非常用蓄電部の状態に応じて、前記発電設備からの電力を前記電力負荷に供給する
請求項14または15に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項17】
前記第四制御部は、前記非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合に、前記発電設備からの電力を前記電力負荷に供給する
請求項16に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項18】
さらに、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方を含む電力使用設備の使用電力に応じて、前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する第五制御部を備える
請求項1~17のいずれか1項に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項19】
前記非常用蓄電部は、前記回生用蓄電部よりも高容量である
請求項18に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【請求項20】
前記第五制御部は、前記電力使用設備の使用電力が走行用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する
請求項18または19に記載の鉄道用電力貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用の車両と電気的に接続される蓄電部を備える鉄道用電力貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道用の車両と電気的に接続される蓄電部を備える鉄道用電力貯蔵装置が知られている。例えば、特許文献1には、電気鉄道における電車(車両)に電力を供給するき電回路の電力を蓄電池(蓄電部)に充電し、蓄電池の電力をき電回路に放電する電気鉄道用電力システム(鉄道用電力貯蔵装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-056996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の鉄道用電力貯蔵装置では、蓄電部を有効に活用できていないという問題がある。上記従来の鉄道用電力貯蔵装置では、蓄電部は車両の走行のためのものであって、蓄電部の使用は限定的であるため、蓄電部の有効活用が図られていない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、蓄電部の有効活用を図ることができる鉄道用電力貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る鉄道用電力貯蔵装置は、鉄道用の車両と電気的に接続される第一配線と、前記第一配線と接続され、前記車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と、前記回生用蓄電部と接続される第二配線と、を備え、前記第二配線は、前記車両以外の電力負荷と電気的に接続される。
【0007】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置において、車両と電気的に接続される第一配線が、車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部と接続され、回生用蓄電部と接続される第二配線が、車両以外の電力負荷と電気的に接続されている。つまり、第一配線によって車両からの回生電力を充電する回生用蓄電部が、第二配線によって車両以外の電力負荷と電気的に接続されているため、第二配線を介して電力負荷に電力を供給することができる。例えば、電力負荷に電力を供給しない場合には、第一配線によって車両からの回生電力を回生用蓄電部に充電することができる。回生蓄電部が満充電状態の場合には、第二配線を介して電力負荷に電力を供給することができる。これにより、電力供給の選択肢を増やすことがでる。電力が余った状態では回生受け入れができずに回生ブレーキが効かない、というようなリスクを低減することもできる。このように、電力負荷への電力供給に回生用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0008】
また、前記第二配線は、前記第一配線と接続されることにしてもよい。
【0009】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置において、第二配線が第一配線と接続されているため、車両からの回生電力を電力負荷に直接供給することができる。例えば、回生用蓄電部を充電する必要がない、または、電力負荷に電力を供給する必要性が高い場合には、車両からの回生電力を回生用蓄電部に充電するのではなく、電力負荷に直接供給することができる。回生電力を回生用蓄電部に充電せずに電力負荷に直接供給すれば、回生用蓄電部の内部抵抗によるロスや発熱、充放電能力による制限、回生用蓄電部の劣化等を抑制することができる。このように、回生用蓄電部を充電する必要性、または、電力負荷に電力を供給する必要性に応じて、電力負荷に電力を供給することができる。これにより、蓄電部の有効活用を図りつつ、効率的に電力負荷に電力を供給することができる。
【0010】
また、さらに、前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記第一配線から供給される回生電力を、直接前記電力負荷に供給する第一制御部を備えることにしてもよい。
【0011】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、回生用蓄電部の状態に応じて、車両からの回生電力を電力負荷に直接供給する。例えば、回生用蓄電部を充電する必要がない場合、回生用蓄電部やその監視装置等が異常な場合、回生用蓄電部の劣化が進んでいる場合、回生用蓄電部の温度が高い場合などにおいては、回生用蓄電部を充電することなく、回生電力を電力負荷に直接供給することができる。これにより、回生電力の有効活用を図ることができる。
【0012】
また、前記第一制御部は、前記回生用蓄電部のSOC(State Of Charge)を示す値が回生用第一閾値以上の場合に、前記第一配線から供給される回生電力を、前記回生用蓄電部を介さずに前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0013】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、回生用蓄電部のSOC(State Of Charge)を示す値が回生用第一閾値以上の場合に、車両からの回生電力を電力負荷に直接供給する。例えば、回生用蓄電部のSOCが比較的高い値を示していることで回生用蓄電部を充電する必要がない、または、回生用蓄電部が満充電状態で充電できないというような場合には、車両からの回生電力を捨てることなく、電力負荷に直接供給することができる。これにより、回生電力の有効活用を図ることができる。
【0014】
また、さらに、前記回生用蓄電部の状態に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給する第二制御部を備えることにしてもよい。
【0015】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、回生用蓄電部の状態に応じて、回生用蓄電部からの電力を電力負荷に供給する。例えば、回生用蓄電部が十分に充電されている場合や緊急時等において、回生用蓄電部からの電力を電力負荷に供給することができる。回生用蓄電部が十分に充電されていなかった場合においても、回生用蓄電部からの電力を、冷暖房や生命にかかわるような重要な負荷に供給することができる。このように、電力負荷への電力供給に回生用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0016】
また、前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合に、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0017】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、回生用蓄電部のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合に、回生用蓄電部からの電力を電力負荷に供給する。例えば、車両の走行が行われていない夜間等において、回生用蓄電部のSOCが翌日の車両の走行に必要な値以上を示していれば、回生用蓄電部からの電力のうち、必要な電力(回生用第二閾値)以上の余力を、照明等の電力負荷に供給することができる。このように、夜間等において、電力負荷への電力供給に回生用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0018】
また、さらに、前記車両に電力を供給する非常用蓄電部を備え、前記第二制御部は、前記回生用蓄電部のSOCを示す値が前記回生用第二閾値よりも小さい場合においても、前記回生用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給可能なように制御することにしてもよい。
【0019】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、非常用蓄電部をさらに備えており、回生用蓄電部のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さい場合においても、回生用蓄電部からの電力を電力負荷に供給可能なように制御できる機能を有している。つまり、回生用蓄電部のSOCが小さく(例えば0に)なっても、非常用蓄電部が車両に電力を供給することができるため、回生用蓄電部のSOCを小さくすることができる。例えば、災害時等において、電力負荷に電力を供給する必要が生じた場合には、回生用蓄電部のSOCが0になるまで、回生用蓄電部からの電力を、災害時等に必要な機器への電力負荷に供給することができる。このように、災害時等においても、電力負荷への電力供給に回生用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0020】
また、前記第二制御部は、停電時において、前記回生用蓄電部及び前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0021】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、停電時において、回生用蓄電部及び非常用蓄電部の双方から、車両及び電力負荷に電力を供給する。これにより、停電時の電力不足対策に、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0022】
また、前記第二制御部は、停電時において、前記回生用蓄電部及び前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両に供給した後に、前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0023】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、停電時において、回生用蓄電部及び非常用蓄電部の双方から、車両に電力供給した後に、電力負荷に電力供給する。これにより、停電時に、まず車両を駅舎に移動させた後に、電力負荷に電力供給することができ、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0024】
また、前記第二制御部は、停電後の復電時において、前記非常用蓄電部に電力を供給することにしてもよい。
【0025】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、停電後の復電時において、非常用蓄電部に電力を供給して充電を行う。これにより、復電後に車両を走行させる際に、非常用蓄電部が活用可能な状態になっているため、再度停電したときなど、すぐに非常用蓄電部を活用でき、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0026】
また、前記第二制御部は、前記車両の運行状況に応じて、前記非常用蓄電部の充放電を制御することにしてもよい。
【0027】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、車両の運行本数等の運行状況に応じて、非常用蓄電部の充放電を制御する。これにより、非常用蓄電部において運行状況に応じた必要以上の電力を、車両または電力負荷に供給して、電力消費のピークカット等に使用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0028】
また、さらに、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方を含む電力使用設備の使用電力に応じて、前記回生用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する第三制御部を備えることにしてもよい。
【0029】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、電力使用設備の使用電力に応じて、回生用蓄電部からの電力を、車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給する。これにより、電力消費のピークカット等に回生用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0030】
また、前記車両に電力を供給する非常用蓄電部を備え、前記回生用蓄電部は、前記非常用蓄電部よりも高いハイレート特性を有することにしてもよい。
【0031】
これによれば、回生用蓄電部は、非常用蓄電部よりも高いハイレート特性を有している。このため、瞬時的な大電力が必要な場合に、回生用蓄電部から放電することで、当該瞬時的な大電力にかかる負担を低減することができる。このように、回生用蓄電部を活用して、変電所等の瞬時電力負担を低減することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0032】
また、前記第三制御部は、前記電力使用設備の使用電力が回生用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、前記回生用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給することにしてもよい。
【0033】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、電力使用設備の使用電力が回生用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、回生用蓄電部からの電力を、車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給する。このように、例えば通勤ラッシュ時や瞬間的な電力変動等における使用電力のピーク時に、回生用蓄電部からの電力を車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給することで、瞬時的な電力消費のピークカットを図ることができる。これにより、回生用蓄電部を活用して、電力の負荷平準化を図り、節電対策にも寄与することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0034】
また、さらに、前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、前記非常用蓄電部の状態に応じて、前記非常用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給する第四制御部と、を備えることにしてもよい。
【0035】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、非常用蓄電部の状態に応じて、非常用蓄電部からの電力を電力負荷に供給する。例えば、非常用蓄電部が十分に充電されている場合や緊急時等において、非常用蓄電部からの電力を電力負荷に供給することができる。非常用蓄電部が十分に充電されていなかった場合においても、非常用蓄電部からの電力を、冷暖房や生命にかかわるような重要な負荷に供給することができる。このように、電力負荷への電力供給に非常用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0036】
また、前記第四制御部は、前記非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合に、前記非常用蓄電部からの電力を前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0037】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合に、非常用蓄電部からの電力を電力負荷に供給する。例えば、夜間や災害時等において、非常用蓄電部のSOCが翌日の車両の走行に必要な値以上を示していれば、非常用蓄電部からの電力のうち、必要な電力(非常用第一閾値)以上の余力を、照明等の電力負荷に供給することができる。このように、夜間等において、電力負荷への電力供給に非常用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0038】
また、さらに、前記非常用蓄電部を充電する発電設備を備え、前記第四制御部は、前記非常用蓄電部の状態に応じて、前記発電設備からの電力を前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0039】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、発電設備をさらに備えており、非常用蓄電部の状態に応じて、発電設備からの電力を電力負荷に供給する。例えば、非常用蓄電部を充電する必要がない場合、非常用蓄電部やその監視装置等が異常な場合、非常用蓄電部の劣化が進んでいる場合、非常用蓄電部の温度が高い場合などにおいては、非常用蓄電部を充電することなく、発電設備からの発生電力を電力負荷に直接供給することができる。これにより、当該発生電力の有効活用を図ることができる。
【0040】
また、前記第四制御部は、前記非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合に、前記発電設備からの電力を前記電力負荷に供給することにしてもよい。
【0041】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、非常用蓄電部のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合に、発電設備からの電力を電力負荷に供給する。例えば、非常用蓄電部のSOCが比較的高い値を示していることで非常用蓄電部を充電する必要がない、または、非常用蓄電部が満充電状態で充電できないというような場合には、発電設備からの発生電力を捨てることなく、電力負荷に直接供給することができる。これにより、当該発生電力の有効活用を図ることができる。
【0042】
また、さらに、前記車両に電力を供給する非常用蓄電部と、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方を含む電力使用設備の使用電力に応じて、前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給する第五制御部と、を備えることにしてもよい。
【0043】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、非常用蓄電部を備えており、電力使用設備の使用電力に応じて、非常用蓄電部からの電力を、車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給する。これにより、電力消費のピークカット等に非常用蓄電部を活用することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0044】
また、前記非常用蓄電部は、前記回生用蓄電部よりも高容量であることにしてもよい。
【0045】
これによれば、非常用蓄電部は、回生用蓄電部よりも高容量である。このため、長い時間の電力供給が必要な場合に、非常用蓄電部から放電することで、電力量負担を低減することができる。このように、非常用蓄電部を活用して、変電所等の電力量負担を低減することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0046】
また、前記第五制御部は、前記電力使用設備の使用電力が走行用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、前記非常用蓄電部からの電力を、前記車両及び前記電力負荷の少なくとも一方に供給することにしてもよい。
【0047】
これによれば、鉄道用電力貯蔵装置は、電力使用設備の使用電力が走行用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、非常用蓄電部からの電力を、車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給する。このように、例えば通勤ラッシュ時において使用電力のピークが長い場合に、非常用蓄電部からの電力を車両及び電力負荷の少なくとも一方に供給することで、長い時間、電力消費のピークカットを図ることができる。これにより、非常用蓄電部を活用して、電力の負荷平準化を図り、節電対策にも寄与することができるため、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【0048】
本発明は、このような鉄道用電力貯蔵装置として実現することができるだけでなく、鉄道用電力貯蔵装置と、車両、駅舎、電力負荷、変電所及び運転指令所の少なくとも1つとを備える鉄道用電力貯蔵システムとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明における鉄道用電力貯蔵装置によれば、蓄電部の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置の適用例を示す概略図である。
図2】実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る車両側制御部及び負荷側制御部が回生用蓄電部を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態に係る負荷側制御部が非常用蓄電部を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係る車両側制御部及び負荷側制御部が行うピークカット処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態に係る車両側制御部及び負荷側制御部が行う非常用蓄電部によるピークカット処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係る車両側制御部及び負荷側制御部が行う回生用蓄電部によるピークカット処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程(ステップ)、工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0052】
(実施の形態)
[1 鉄道用電力貯蔵装置10の概略説明]
本実施の形態における鉄道用電力貯蔵装置10の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置10の適用例を示す概略図である。
【0053】
図1に示すように、鉄道用電力貯蔵装置10は、鉄道に設けられた電力貯蔵装置(蓄電装置)であり、電力使用設備20と電気的に接続されて、電力使用設備20との間で電力を充放電する。電力使用設備20は、複数の鉄道用の車両21と、複数の駅舎22内等に設けられた電力負荷である負荷23とを有している。鉄道用電力貯蔵装置10は、電力使用設備20内の複数の車両21及び複数の負荷23と電気的に接続されており、当該複数の車両21及び複数の負荷23との間で電力を充放電する。
【0054】
具体的には、鉄道用電力貯蔵装置10は、電力線11及び電車線24を介して、複数の車両21と電気的に接続されており、複数の車両21からの電力(回生電力)を充電し、複数の車両21に電力を供給(放電)する。鉄道用電力貯蔵装置10は、複数の電力線12を介して、複数の負荷23と電気的に接続されており、複数の負荷23に電力を供給(放電)する。電力使用設備20は、1つの車両21しか有していなくてもよいし、1つの負荷23しか有していなくてもよい。鉄道用電力貯蔵装置10は、1つの車両21としか接続されていなくてもよいし、1つの負荷23としか接続されていなくてもよい。
【0055】
車両21は、送電用の架線及び軌条(線路)を電力供給に用いる電気鉄道用の鉄道車両(電車)である。電車線24は、架線及び軌条(線路)からなる線形配置された電力供給体であり、車両21に電力を供給する。車両21は、鉄道用の車両であれば特に限定されず、例えば、送電用の二つの軌条を電力供給に用いる電気鉄道用の車両、第三の軌条を電力供給に用いる電気鉄道用の車両、1つの軌条を電力供給に用いるモノレール等の電気鉄道用の車両、リニアモータ駆動の電気鉄道用の車両等であってもよい。
【0056】
車両21は、制動時に回生電力を発生するように構成された電力回生可能な車両であり、発生した回生電力を、電力線11を介して鉄道用電力貯蔵装置10に供給する。例えば、車両21は、制動時にモータを発電機として回転して発電させる回生ブレーキによって、回生電力を発生させる。当該発生した回生電力は、他の車両21等によって使用された後の余剰分が鉄道用電力貯蔵装置10に供給されることにしてもよいし、当該発生した回生電力の全てが鉄道用電力貯蔵装置10に供給されることにしてもよい。
【0057】
負荷23は、駅舎22内に設けられた電力負荷であって、例えば、照明、エレベータ、エスカレータ、改札、券売機、売店内の電気機器等の電力を使用する各種機器である。負荷23は、車両21以外の電力負荷である。負荷23は、鉄道用電力貯蔵装置10が電力を供給可能な機器であれば駅舎22外に設けられた電力負荷であってもよく、例えば、鉄道会社が所有するビル、コンビニエンスストア及び百貨店等の設備内の電気機器であってもよい。負荷23は、鉄道会社が所有しない設備内の電気機器であってもよく、電気自動車を充電するための負荷等であってもよい。
【0058】
電力使用設備20(車両21及び負荷23)は、変電所30とも電気的に接続されており、変電所30からの電力が供給される。車両21には、電力線31及び電車線24を介して、変電所30からの電力が供給され、負荷23には、電力線32を介して、変電所30からの電力が供給される。
【0059】
変電所30は、鉄道会社が所有する変電設備であり、電力会社の発電所40等からの電力が供給される。変電所30は、発電所40等から送られる三相交流電力を直流電力に変換して降圧すると共に整流し、整流後の直流電力を電力線31及び電車線24を介して、車両21に供給する。車両21は、供給された直流電力を使用して力行する。変電所30は、電力線32を介して、負荷23にも電力を供給する。発電所40は、鉄道会社が所有する発電設備であってもよいし、変電所30は、電力会社等の鉄道会社以外の会社が所有する変電設備であってもよい。どのような設備から車両21及び負荷23に電力を供給することにしてもよい。
【0060】
鉄道用電力貯蔵装置10は、車両21の運転指令所50と電気的に接続されており、運転指令所50からの信号を受信できる構成になっている。運転指令所50は、車両21の運転を監視したり、変電所30の動作を監視し、列車乗務員や駅員に業務指示を行う機関である。運転指令所50は、電力使用設備20の一部として、電力使用設備20に含まれていてもよい。
【0061】
鉄道用電力貯蔵装置10の配置場所は特に限定されない。例えば、鉄道用電力貯蔵装置10は、駅舎22内、変電所30内、駅舎22間の線路に沿った場所、車両21の基地内等に配置することができる。
【0062】
[2 鉄道用電力貯蔵装置10の構成の詳細説明]
鉄道用電力貯蔵装置10の構成について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置10の構成を示すブロック図である。
【0063】
図2に示すように、鉄道用電力貯蔵装置10は、蓄電部100と、車両側コンバータ200と、負荷側コンバータ300と、発電設備400と、記憶部500とを備えている。
【0064】
蓄電部100は、電力使用設備20(車両21及び負荷23)と電気的に接続される蓄電装置であって、回生用蓄電部110と非常用蓄電部120とを有している。具体的には、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120のそれぞれは、充放電可能な二次電池からなる電池セル(単電池)を複数有している。当該電池セルを構成する二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。しかし、当該二次電池は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0065】
回生用蓄電部110は、車両21からの回生電力を充電し、車両21及び負荷23の少なくとも一方に電力を供給する蓄電装置である。回生用蓄電部110の電池セルは、非常用蓄電部120の電池セルよりも繰り返しの充放電に対して耐久性及び性能持続性等の能力の低下が抑えられた特性を有している。回生用蓄電部110の電池セルは、非常用蓄電部120の電池セルよりも、大電流の入出力に適した特性(非常用蓄電部120の電池セルよりも高いハイレート特性)を有している。例えば、回生用蓄電部110は、SOC(State Of Charge)が15%~85%の範囲内で維持されて使用されるのが好ましく、SOCが30%~70%の範囲内で維持されて使用されるのがより好ましく、SOCが50%程度に維持されて使用されるのがさらに好ましい。
【0066】
非常用蓄電部120は、発電設備400からの電力を充電し、車両21及び負荷23の少なくとも一方に電力を供給する蓄電装置である。非常用蓄電部120の電池セルは、回生用蓄電部110の電池セルよりも、高エネルギー密度である、すなわち高容量である特性を有している。例えば、非常用蓄電部120は、SOCが70%以上で維持されて使用されるのが好ましく、SOCが85%以上で維持されて使用されるのがより好ましく、SOCが100%(満充電状態)で維持されて使用されるのがさらに好ましい。
【0067】
鉄道用電力貯蔵装置10は、さらに、回生用蓄電部110と車両側コンバータ200とを接続する第一配線111と、回生用蓄電部110と負荷側コンバータ300とを接続する第二配線112とを備えている。鉄道用電力貯蔵装置10は、非常用蓄電部120と車両側コンバータ200とを接続する第三配線121と、非常用蓄電部120と負荷側コンバータ300とを接続する第四配線122とを備えている。
【0068】
このような構成により、第一配線111は、車両側コンバータ200、電力線11及び電車線24を介して、車両21と電気的に接続される。第二配線112は、負荷側コンバータ300及び電力線12を介して、負荷23と電気的に接続される。第二配線112は、回生用蓄電部110と接続されるとともに、第一配線111と接続される。回生用蓄電部110は、第一配線111及び第二配線112と接続され、かつ、第一配線111と第二配線112とが接続されている。第三配線121及び第四配線122については、第一配線111及び第二配線112における回生用蓄電部110を非常用蓄電部120に言い換えた場合の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
車両側コンバータ200は、直流電力間の変換を行うDC/DCコンバータであり、当該直流電力を制御する車両側制御部210を有している。具体的には、車両側コンバータ200は、電力線11と電気的に接続されており、電力線11から供給される車両21からの回生電力(直流電力)を、回生用蓄電部110で蓄積されるのに適した電圧に調整して、第一配線111に送る。車両側コンバータ200は、回生用蓄電部110または非常用蓄電部120からの直流電力を、車両21に供給するのに適した電圧に調整して、電力線11に送る。車両側コンバータ200は、独立した装置として構成されていてもよく、回路として他の機器に組み込まれていてもよい。本実施の形態では、車両側コンバータ200における上記の電圧調整は、車両側制御部210が行うこととするが、その他の制御部が行ってもよい。
【0070】
負荷側コンバータ300は、直流電力間の変換を行うDC/DCコンバータ、及び、直流電力と交流電力との間の変換を行うDC/ACコンバータの双方の機能を有する装置であり、当該直流電力及び交流電力を制御する負荷側制御部310を有している。具体的には、負荷側コンバータ300は、発電設備400と接続されており、発電設備400が発電した直流電力を、DC/DCコンバータによって、非常用蓄電部120に供給するのに適した電圧に調整して、第四配線122に送る。負荷側コンバータ300は、電力線12と電気的に接続されており、発電設備400が発電した直流電力を、DC/ACコンバータによって、負荷23に供給するのに適した電圧の交流電力に変換して、電力線12に送る。負荷側コンバータ300は、回生用蓄電部110または非常用蓄電部120からの直流電力を、DC/ACコンバータによって、負荷23に供給するのに適した電圧の交流電力に変換して、電力線12に送る。負荷側コンバータ300は、独立した装置として構成されていてもよく、回路として他の機器に組み込まれていてもよい。本実施の形態では、負荷側コンバータ300における上記の電圧調整等は、負荷側制御部310が行うこととするが、その他の制御部が行ってもよい。
【0071】
車両側制御部210及び負荷側制御部310は、車両21からの回生電力、発電設備400からの電力、回生用蓄電部110または非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給するように制御する制御部である。この車両側制御部210及び負荷側制御部310は、後述の第一制御部~第五制御部までの機能を有しているが、これらの機能の詳細な説明については、後述する。
【0072】
本実施の形態では、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、それぞれ、車両側コンバータ200及び負荷側コンバータ300の一部として設けられている。しかし、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、車両側コンバータ200及び負荷側コンバータ300とは別の制御装置等として構成されていてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、マイクロコンピュータを中心とする回路、若しくはマイクロコンピュータを有しない回路等によって構成されていてもよいし、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されることにしてもよい。
【0073】
発電設備400は、非常用蓄電部120を充電するために設けられた発電設備である。発電設備400は、例えば、駅舎22の屋根に設置された太陽光発電等の発電設備(分散型電源)であり、電力会社の商用電力系統に連系されることなく配置されている。発電設備400は、太陽光発電には限定されず、風力発電、燃料電池、ガスエンジンまたはガスタービン等の発電設備であってもよいし、電力会社の発電設備等の商用電力系統に連系された発電設備であってもよい。
【0074】
記憶部500は、鉄道用電力貯蔵装置10が制御を行うために必要なデータ等を記憶しているメモリ等である。具体的には、記憶部500は、後述の車両側制御部210及び負荷側制御部310が制御を行う際に用いる閾値(回生用第一閾値、回生用第二閾値、回生用第三閾値、非常用第一閾値、非常用第二閾値、走行用第三閾値等)等を記憶している。
【0075】
[3 鉄道用電力貯蔵装置10が行う処理の説明]
次に、図3図7を用いて、鉄道用電力貯蔵装置10が行う処理、つまり、車両側制御部210及び負荷側制御部310が行う制御処理について、詳細に説明する。
【0076】
[3.1 回生用蓄電部110を制御する処理の説明]
車両側制御部210及び負荷側制御部310が回生用蓄電部110を制御する処理について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る車両側制御部210及び負荷側制御部310が回生用蓄電部110を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図3に示すように、車両側制御部210は、回生用蓄電部110を充放電する(S102)。車両側制御部210は、車両21からの回生電力が発生した場合に、第一配線111を介して当該回生電力を回生用蓄電部110に供給し、回生用蓄電部110を充電する。車両側制御部210は、車両21から発生した回生電力のうち他の車両21等によって使用された後の余剰分を回生用蓄電部110に供給することにしてもよいし、当該発生した回生電力の全てを回生用蓄電部110に供給することにしてもよい。車両側制御部210は、車両21が走行するために電力が必要になった場合に、第一配線111を介して回生用蓄電部110からの電力を車両21に供給する。
【0078】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が、回生用第一閾値以上であるか否かを判断する(S104)。回生用第一閾値は、車両21の走行に極力支障を来さない範囲における上限値であり、予め定められて記憶部500に記憶されている。具体的には、回生用第一閾値は、例えば、SOCが85%であることを示す値である。負荷側制御部310は、記憶部500から回生用第一閾値を読み出して、上記判断を行う。回生用蓄電部110のSOCを示す値とは、回生用蓄電部110のSOCそのものの値だけではなく、例えば、回生用蓄電部110の電圧値や電流値等、SOCを示す様々な値を用いることができる。以降についても同様である。
【0079】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値以上であると判断した場合(S104でYes)に、第一配線111から供給される回生電力を、直接(回生用蓄電部110を介さずに)負荷23に供給する(S106)。この負荷側制御部310が行う処理は、第一制御部が行う処理の一例である。第一制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値以上の場合のみならず、回生用蓄電部110の状態に応じて、回生電力を負荷23に直接供給することにしてもよい。回生用蓄電部110の状態とは、回生用蓄電部110の充電状態(または放電状態)、異常の有無(異常の程度)、劣化状態(劣化の程度)等である。例えば、第一制御部は、回生用蓄電部110やその監視装置等が異常な場合、回生用蓄電部110の劣化が進んでいる場合、回生用蓄電部110の温度が高い場合などにおいても、回生電力を負荷23に直接供給することにしてもよい。
【0080】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCが例えば85%以上であると判断した場合に、車両21からの回生電力を、第一配線111及び第二配線112を介して、負荷23に直接供給する。第一配線111及び第二配線112は接続されているため、回生用蓄電部110のSOCが85%以上のような高い値の場合には、回生電力は、回生用蓄電部110に充電されずに負荷側コンバータ300に向けて流れてくる。このため、負荷側制御部310は、この流れてきた回生電力を、電力線12を介して負荷23に供給する。なお、回生用第一閾値の値は特に限定されず、例えば、SOCが70%であることを示す値等であってもよい。
【0081】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値よりも小さいと判断した場合(S104でNo)には、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上であるか否かを判断する(S108)。回生用第二閾値は、車両21の走行に極力支障を来さない範囲における下限値であり、予め定められて記憶部500に記憶されている。具体的には、回生用第二閾値は、回生用第一閾値よりも小さな値であり、例えば、SOCが15%であることを示す値である。負荷側制御部310は、記憶部500から回生用第二閾値を読み出して、上記判断を行う。
【0082】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上であると判断した場合(S108でYes)に、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給する(S110)。この負荷側制御部310が行う処理は、第二制御部が行う処理の一例である。
【0083】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCが例えば15%以上であると判断した場合に、回生用蓄電部110からの電力を、第二配線112を介して、負荷23に供給する。このように、回生用蓄電部110のSOCが15%程度以上であれば、車両21の走行に支障を来さないため、負荷側制御部310は、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給することができる。例えば、負荷側制御部310は、夜間になったと判断した場合に、回生用蓄電部110からの電力を照明等の負荷23に供給するなど、必要な時間帯に回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給するように制御することにしてもよい。回生用第二閾値の値は特に限定されず、例えば、SOCが30%であることを示す値等であってもよい。
【0084】
負荷側制御部310は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さいと判断した場合(S108でNo)には、所定の条件を満たすか否かを判断する(S112)。負荷側制御部310は、所定の条件を満たすと判断した場合(S112でYes)、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給する(S110)。この負荷側制御部310が行う処理についても、第二制御部が行う処理の一例である。第二制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合、または、回生用第二閾値よりも小さい場合のみならず、回生用蓄電部110の状態に応じて、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給することにしてもよい。回生用蓄電部110の状態とは、上述の通りである。
【0085】
所定の条件とは、例えば、災害時等の緊急時の場合である。例えば、負荷側制御部310は、変電所30または運転指令所50等からの緊急信号を受信することで、緊急時であると判断して、所定の条件を満たすと判断する。負荷側制御部310は、例えば当該緊急信号を受信した場合には、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さい(SOCが例えば15%よりも小さい)場合においても、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給可能なように制御する。これにより、例えば、駅構内の照明、エレベータ、医務室、改札、券売機、運転指令所50などに電力を供給して、安全を図ることができる。
【0086】
負荷側制御部310は、所定の条件を満たさないと判断した場合(S112でNo)には、処理を終了する。以上により、車両側制御部210及び負荷側制御部310が回生用蓄電部110を制御する処理の説明は、終了する。
【0087】
[3.2 非常用蓄電部120を制御する処理の説明]
負荷側制御部310が非常用蓄電部120を制御する処理について、詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る負荷側制御部310が非常用蓄電部120を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図4に示すように、負荷側制御部310は、発電設備400からの電力を非常用蓄電部120に供給して、非常用蓄電部120を充電する(S202)。負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上であるか否かを判断する(S204)。非常用第二閾値は、予め定められて記憶部500に記憶されている所定の値であって、例えば、SOCが90%~100%程度(満充電状態)であることを示す値である。負荷側制御部310は、記憶部500から非常用第二閾値を読み出して、上記判断を行う。
【0089】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上であると判断した場合(S204でYes)に、発電設備400からの電力を負荷23に供給する(S206)。この負荷側制御部310が行う処理は、第四制御部が行う処理の一例である。第四制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合のみならず、非常用蓄電部120の状態に応じて、発電設備400からの電力を負荷23に供給することにしてもよい。非常用蓄電部120の状態とは、非常用蓄電部120の充電状態(または放電状態)、異常の有無(異常の程度)、劣化状態(劣化の程度)等である。例えば、第四制御部は、非常用蓄電部120やその監視装置等が異常な場合、非常用蓄電部120の劣化が進んでいる場合、非常用蓄電部120の温度が高い場合などにおいても、発電設備400からの電力を負荷23に直接供給することにしてもよい。
【0090】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120が例えば満充電状態であると判断した場合に、発電設備400からの電力を、電力線12を介して負荷23に供給する。このように、非常用蓄電部120が満充電状態の場合には、発電設備400からの電力を非常用蓄電部120に充電できないため、負荷側制御部310は、発電設備400からの電力を負荷23に供給する。非常用第二閾値の値は特に限定されず、例えば、SOCが85%であることを示す値等であってもよい。
【0091】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値よりも小さいと判断した場合(S204でNo)には、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上であるか否かを判断する(S208)。非常用第一閾値は、例えば、変電所30が停電した場合でも車両21を駅舎22に移動できるなど、車両21の走行に極力支障を来さない程度の値であり、予め定められて記憶部500に記憶されている。具体的には、非常用第一閾値は、非常用第二閾値よりも小さな値であり、例えば、SOCが70%であることを示す値である。負荷側制御部310は、記憶部500から非常用第一閾値を読み出して、上記判断を行う。
【0092】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上であると判断した場合(S208でYes)に、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給する(S210)。この負荷側制御部310が行う処理についても、第四制御部が行う処理の一例である。第四制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合のみならず、非常用蓄電部120の状態に応じて、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給することにしてもよい。非常用蓄電部120の状態とは、上述の通りである。
【0093】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCが例えば70%以上であると判断した場合に、非常用蓄電部120からの電力を、第四配線122を介して、負荷23に供給する。このように、非常用蓄電部120のSOCが70%程度以上であれば、車両21の走行に支障を来さないため、負荷側制御部310は、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給することができる。例えば、負荷側制御部310は、夜間になったと判断した場合に、非常用蓄電部120からの電力を照明等の負荷23に供給するなど、必要な時間帯に非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給するように制御することにしてもよい。非常用第一閾値の値は特に限定されず、例えば、SOCが80%であることを示す値等であってもよい。
【0094】
負荷側制御部310は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値よりも小さいと判断した場合(S208でNo)には、処理を終了する。以上により、負荷側制御部310が非常用蓄電部120を制御する処理の説明は、終了する。
【0095】
[3.3 車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理の説明]
車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理について、詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
図5に示すように、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、車両21及び負荷23の少なくとも一方を含む電力使用設備20の使用電力が所定の閾値以上になったことを示す信号(以下、信号Sという)を受信したか否かを判断する(S302)。本実施の形態では、電力使用設備20は、車両21及び負荷23の双方を含んでいるため、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、車両21及び負荷23の双方を含む電力使用設備20の使用電力が所定の閾値以上になったことを示す信号Sを受信したか否かを判断する。信号Sは、変電所30の使用電力が所定の閾値以上になったことを示す信号である、と言い換えることもできる。信号Sは、有線、無線を問わない。
【0097】
本実施の形態では、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、電力使用設備20に電力を供給する変電所30、及び、車両21の運転指令所50の少なくとも一方から、信号Sを受信する。
【0098】
信号Sとは、例えば、通勤ラッシュの時間帯に電力使用設備20の使用電力が増加して、電力会社から受電する電力が所定値を上回る場合や、車両21の発車が重なって電力使用設備20の使用電力が増加し、電車線24の電圧が降下して所定値を下回る場合等に、発せられる信号である。例えば、上記の所定の閾値は、電力会社との契約電力を超えない程度の値であり、信号Sは、電力消費のピーク時に電力会社との契約電力を超えそうな場合に発せられる信号である。変電所30または運転指令所50は、このような場合に信号Sを生成して鉄道用電力貯蔵装置10に送信し、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、送信された信号Sを受信する。なお、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、その他の外部から信号Sを受信することにしてもよいし、自身の内部処理により信号Sを取得することにしてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、特定の日、時間、曜日等によって、主体的に判断して自身の内部処理により信号Sを生成し、処理を行うことにしてもよい。
【0099】
車両側制御部210及び負荷側制御部310は、信号Sを受信したと判断した場合(S302でYes)には、信号Sに従って、蓄電部100からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する(S304)。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、蓄電部100からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給して、電力消費のピークカットを行う。
【0100】
具体的には、車両側制御部210及び負荷側制御部310は、電力使用設備20の使用電力が走行用第三閾値以上になったことを示す信号S1に従って、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。この場合の車両側制御部210及び負荷側制御部310が行う処理は、第五制御部が行う処理の一例である。第五制御部は、信号S1に従う場合のみならず、電力使用設備20の使用電力に応じて、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することにしてもよい。
【0101】
車両側制御部210及び負荷側制御部310は、電力使用設備20の使用電力が回生用第三閾値以上になったことを示す信号S2に従って、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。この場合の車両側制御部210及び負荷側制御部310が行う処理は、第三制御部が行う処理の一例である。第三制御部は、信号S2に従う場合のみならず、電力使用設備20の使用電力に応じて、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することにしてもよい。
【0102】
走行用第三閾値と回生用第三閾値とは、同じ値でもよいし異なる値でもよいが、走行用第三閾値と回生用第三閾値とが同じ値の場合には、信号S1と信号S2とは同じ信号になる。このような車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理について、以下に詳細に説明する。
【0103】
[3.4 非常用蓄電部120によるピークカット処理の説明]
車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理(図5のS304)のうちの非常用蓄電部120によるピークカット処理(上述の第五制御部が行う処理)について、詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る車両側制御部210及び負荷側制御部310が行う非常用蓄電部120によるピークカット処理の一例を示すフローチャートである。以下では、説明の便宜のため、本ピークカット処理においては、車両側制御部210及び負荷側制御部310をまとめて、第五制御部と称して説明する。
【0104】
図6に示すように、第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上であるか否かを判断する(S402)。この第五制御部が行う処理については、図4のS204で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0105】
第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上であると判断した場合(S402でYes)に、信号S1に従って、発電設備400からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する(S404)。
【0106】
第五制御部は、非常用蓄電部120が例えば満充電状態であると判断した場合に、発電設備400からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。このように、非常用蓄電部120が満充電状態の場合には、発電設備400からの電力を非常用蓄電部120に充電できないため、第五制御部は、発電設備400からの電力を、第四配線122及び第三配線121を介して車両21に供給する、または、電力線12を介して負荷23に供給する。第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合のみならず、非常用蓄電部120の状態に応じて、発電設備400からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することにしてもよい。非常用蓄電部120の状態とは、上述の通りである。
【0107】
第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値よりも小さいと判断した場合(S402でNo)には、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上であるか否かを判断する(S406)。この第五制御部が行う処理については、図4のS208で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0108】
第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上であると判断した場合(S406でYes)に、信号S1に従って、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する(S408)。
【0109】
第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCが例えば70%以上であると判断した場合に、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。このように、非常用蓄電部120のSOCが70%程度以上であれば、車両21の走行に支障を来さないため、第五制御部は、非常用蓄電部120からの電力を、第三配線121を介して車両21に供給する、または、第四配線122を介して負荷23に供給することができる。第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合のみならず、非常用蓄電部120の状態に応じて、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することにしてもよい。非常用蓄電部120の状態とは、上述の通りである。
【0110】
第五制御部は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値よりも小さいと判断した場合(S406でNo)には、処理を終了する。以上により、車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理(図5のS304)のうちの非常用蓄電部120によるピークカット処理の説明は、終了する。
【0111】
[3.5 回生用蓄電部110によるピークカット処理の説明]
車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理(図5のS304)のうちの回生用蓄電部110によるピークカット処理(上述の第三制御部が行う処理)について、詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る車両側制御部210及び負荷側制御部310が行う回生用蓄電部110によるピークカット処理の一例を示すフローチャートである。以下では、説明の便宜のため、本ピークカット処理においては、車両側制御部210及び負荷側制御部310をまとめて、第三制御部と称して説明する。
【0112】
図7に示すように、第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が、回生用第一閾値以上であるか否かを判断する(S502)。この第三制御部が行う処理については、図3のS104で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0113】
第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値以上であると判断した場合(S502でYes)に、信号S2に従って、車両21からの回生電力を、直接(回生用蓄電部110を介さずに)負荷23に供給する(S504)。この第三制御部が行う処理については、図3のS106で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値以上の場合のみならず、回生用蓄電部110の状態に応じて、車両21からの電力を、直接負荷23に供給することにしてもよい。回生用蓄電部110の状態とは、上述の通りである。
【0114】
第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値よりも小さいと判断した場合(S502でNo)には、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上であるか否かを判断する(S506)。この第三制御部が行う処理については、図3のS108で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0115】
第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上であると判断した場合(S506でYes)に、信号S2に従って、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する(S508)。
【0116】
第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCが例えば15%以上であると判断した場合に、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。回生用蓄電部110のSOCが15%程度以上であれば、車両21の走行に支障を来さないため、第三制御部は、回生用蓄電部110からの電力を、第一配線111を介して車両21に供給する、または、第二配線112を介して負荷23に供給することができる。
【0117】
第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さいと判断した場合(S506でNo)には、所定の条件を満たすか否かを判断する(S510)。この第三制御部が行う処理については、図3のS112で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。第三制御部は、所定の条件を満たすと判断した場合(S510でYes)、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する(S508)。第三制御部は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合、または、回生用第二閾値よりも小さい場合のみならず、回生用蓄電部110の状態に応じて、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することにしてもよい。回生用蓄電部110の状態とは、上述の通りである。
【0118】
所定の条件とは、例えば、電力消費のピークが大きい等の緊急時の場合である。第三制御部は、当該緊急時に、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さい(SOCが例えば15%よりも小さい)場合においても、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給可能なように制御する。
【0119】
第三制御部は、所定の条件を満たさないと判断した場合(S510でNo)には、処理を終了する。以上により、車両側制御部210及び負荷側制御部310が行うピークカット処理(図5のS304)のうちの回生用蓄電部110によるピークカット処理の説明は、終了する。
【0120】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置10によれば、車両21と電気的に接続される第一配線111が回生用蓄電部110と接続され、回生用蓄電部110と接続される第二配線112が負荷23と電気的に接続されている。第一配線111によって車両21からの回生電力を充電する回生用蓄電部110が、第二配線112によって負荷23と電気的に接続されているため、第二配線112を介して負荷23に電力を供給することができる。例えば、負荷23に電力を供給しない場合には、第一配線111によって車両21からの回生電力を回生用蓄電部110に充電することができる。回生用蓄電部110が満充電状態の場合には、第二配線112を介して負荷23に電力を供給することができる。これにより、電力供給の選択肢を増やすことができる。電力が余った状態では回生受け入れができずに回生ブレーキが効かない、というようなリスクを低減することもできる。このように、負荷23への電力供給に回生用蓄電部110を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0121】
第二配線112が第一配線111と接続されているため、車両21からの回生電力を負荷23に直接供給することができる。例えば、回生用蓄電部110を充電する必要がない、または、負荷23に電力を供給する必要性が高い場合には、車両21からの回生電力を回生用蓄電部110に充電するのではなく、負荷23に直接供給することができる。回生電力を回生用蓄電部110に充電せずに負荷23に直接供給すれば、回生用蓄電部110の内部抵抗によるロスや発熱、充放電能力による制限、回生用蓄電部110の劣化等を抑制することができる。回生用蓄電部110を充電する必要性、または、負荷23に電力を供給する必要性に応じて、負荷23に電力を供給することができる。これにより、蓄電部100の有効活用を図りつつ、効率的に負荷23に電力を供給することができる。
【0122】
鉄道用電力貯蔵装置10は、回生用蓄電部110の状態に応じて、車両21からの回生電力を負荷23に直接供給する。例えば、回生用蓄電部110を充電する必要がない場合、回生用蓄電部110やその監視装置等が異常な場合、回生用蓄電部110の劣化が進んでいる場合、回生用蓄電部110の温度が高い場合などにおいては、回生用蓄電部110を充電することなく、回生電力を負荷23に直接供給することができる。これにより、回生電力の有効活用を図ることができる。
【0123】
鉄道用電力貯蔵装置10は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第一閾値以上の場合に、車両21からの回生電力を負荷23に直接供給する。例えば、回生用蓄電部110のSOCが比較的高い値を示していることで回生用蓄電部110を充電する必要がない、または、回生用蓄電部110が満充電状態で充電できないというような場合には、車両21からの回生電力を捨てることなく、負荷23に直接供給することができる。これにより、回生電力の有効活用を図ることができる。
【0124】
鉄道用電力貯蔵装置10は、回生用蓄電部110の状態に応じて、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給する。例えば、回生用蓄電部110が十分に充電されている場合や緊急時等において、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給することができる。回生用蓄電部110が十分に充電されていなかった場合においても、回生用蓄電部110からの電力を、冷暖房や生命にかかわるような重要な負荷に供給することができる。このように、負荷23への電力供給に回生用蓄電部110を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0125】
鉄道用電力貯蔵装置10は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値以上の場合に、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給する。例えば、車両21の走行が行われていない夜間等において、回生用蓄電部110のSOCが翌日の車両21の走行に必要な値以上を示していれば、回生用蓄電部110からの電力のうち、必要な電力(回生用第二閾値)以上の余力を、照明等の負荷23に供給することができる。このように、夜間等において、負荷23への電力供給に回生用蓄電部110を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0126】
鉄道用電力貯蔵装置10は、回生用蓄電部110のSOCを示す値が回生用第二閾値よりも小さい場合においても、回生用蓄電部110からの電力を負荷23に供給可能なように制御できる機能を有している。つまり、回生用蓄電部110のSOCが小さく(例えば0に)なっても、非常用蓄電部120が車両21に電力を供給することができるため、回生用蓄電部110のSOCを小さくすることができる。例えば、災害時等において、負荷23に電力を供給する必要が生じた場合には、回生用蓄電部110のSOCが0になるまで、回生用蓄電部110からの電力を、災害時等に必要な機器への負荷23に供給することができる。このように、災害時等においても、負荷23への電力供給に回生用蓄電部110を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0127】
鉄道用電力貯蔵装置10は、電力使用設備20の使用電力に応じて、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。これにより、電力消費のピークカット等に回生用蓄電部110を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0128】
回生用蓄電部110は、非常用蓄電部120よりも高いハイレート特性を有している。このため、瞬時的な大電力が必要な場合に、回生用蓄電部110から放電することで、当該瞬時的な大電力にかかる負担を低減することができる。このように、回生用蓄電部110を活用して、変電所30等の瞬時電力負担を低減することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0129】
鉄道用電力貯蔵装置10は、電力使用設備20の使用電力が回生用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、回生用蓄電部110からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。このように、例えば通勤ラッシュ時や瞬間的な電力変動等における使用電力のピーク時に、回生用蓄電部110からの電力を車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することで、瞬時的な電力消費のピークカットを図ることができる。これにより、回生用蓄電部110を活用して、電力の負荷平準化を図り、節電対策にも寄与することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。また、電力会社から受電する電力を低減するピークカット用の電源として回生用蓄電部110を活用することができるため、電力会社の契約電力を下げて、電気料金を低減することができる。
【0130】
鉄道用電力貯蔵装置10は、非常用蓄電部120の状態に応じて、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給する。例えば、非常用蓄電部120が十分に充電されている場合や緊急時等において、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給することができる。非常用蓄電部120が十分に充電されていなかった場合においても、非常用蓄電部120からの電力を、冷暖房や生命にかかわるような重要な負荷23に供給することができる。このように、負荷23への電力供給に非常用蓄電部120を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0131】
鉄道用電力貯蔵装置10は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第一閾値以上の場合に、非常用蓄電部120からの電力を負荷23に供給する。例えば、夜間や災害時等において、非常用蓄電部120のSOCが翌日の車両21の走行に必要な値以上を示していれば、非常用蓄電部120からの電力のうち、必要な電力(非常用第一閾値)以上の余力を、照明等の負荷23に供給することができる。このように、夜間等において、負荷23への電力供給に非常用蓄電部120を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0132】
鉄道用電力貯蔵装置10は、非常用蓄電部120の状態に応じて、発電設備400からの電力を負荷23に供給する。例えば、非常用蓄電部120を充電する必要がない場合、非常用蓄電部120やその監視装置等が異常な場合、非常用蓄電部120の劣化が進んでいる場合、非常用蓄電部120の温度が高い場合などにおいては、非常用蓄電部120を充電することなく、発電設備400からの発生電力を負荷23に直接供給することができる。これにより、当該発生電力の有効活用を図ることができる。
【0133】
鉄道用電力貯蔵装置10は、非常用蓄電部120のSOCを示す値が非常用第二閾値以上の場合に、発電設備400からの電力を負荷23に供給する。例えば、非常用蓄電部120のSOCが比較的高い値を示していることで非常用蓄電部120を充電する必要がない、または、非常用蓄電部120が満充電状態で充電できないというような場合には、発電設備400からの発生電力を捨てることなく、負荷23に直接供給することができる。これにより、当該発生電力の有効活用を図ることができる。
【0134】
鉄道用電力貯蔵装置10は、電力使用設備20の使用電力に応じて、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。これにより、電力消費のピークカット等に非常用蓄電部120を活用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0135】
非常用蓄電部120は、回生用蓄電部110よりも高容量である。このため、長い時間の電力供給が必要な場合に、非常用蓄電部120から放電することで、電力量負担を低減することができる。このように、非常用蓄電部120を活用して、変電所30等の電力量負担を低減することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0136】
鉄道用電力貯蔵装置10は、電力使用設備20の使用電力が走行用第三閾値以上になったことを示す信号に従って、非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給する。このように、例えば通勤ラッシュ時において使用電力のピークが長い場合に、非常用蓄電部120からの電力を車両21及び負荷23の少なくとも一方に供給することで、長い時間、電力消費のピークカットを図ることができる。これにより、非常用蓄電部120を活用して、電力の負荷平準化を図り、節電対策にも寄与することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。電力会社から受電する電力を低減するピークカット用の電源として非常用蓄電部120を活用することができるため、電力会社の契約電力を下げて、電気料金を低減することができる。
【0137】
[5 変形例の説明]
本発明の実施の形態に係る鉄道用電力貯蔵装置10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0138】
上記実施の形態において、車両側制御部210及び負荷側制御部310(例えば、第二制御部)は、停電時において、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120からの電力を、車両21及び負荷23に供給するように制御することにしてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、上記実施の形態で説明したうちのどのタイミングにおいても、停電時に上記制御を行うことにしてもよい。これにより、鉄道用電力貯蔵装置10は、停電時において、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120の双方から、車両21及び負荷23に電力を供給することで、停電時の電力不足対策に、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0139】
上記実施の形態において、車両側制御部210及び負荷側制御部310(例えば、第二制御部)は、停電時において、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120からの電力を、車両21に供給した後に、負荷23に供給するように制御することにしてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、上記実施の形態で説明したうちのどのタイミングにおいても、停電時に上記制御を行うことにしてもよい。これにより、鉄道用電力貯蔵装置10は、停電時において、まず車両21を駅舎22に移動させた後に、負荷23に電力供給することができ、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0140】
上記実施の形態において、車両側制御部210及び負荷側制御部310(例えば、第二制御部)は、停電後の復電時において、非常用蓄電部120に電力を供給するように制御することにしてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、上記実施の形態で説明したうちのどのタイミングにおいても、復電時に上記制御を行うことにしてもよい。これにより、鉄道用電力貯蔵装置10は、復電後に車両21を走行させる際に、非常用蓄電部120が活用可能な状態になっているため、再度停電したときなど、すぐに非常用蓄電部120を活用でき、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0141】
上記実施の形態において、車両側制御部210及び負荷側制御部310(例えば、第二制御部や第三制御部)は、車両21の運行状況に応じて、蓄電部100の回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120の少なくとも一方の充放電を制御することにしてもよい。車両側制御部210及び負荷側制御部310は、上記実施の形態で説明したうちのどのタイミングにおいても、上記制御を行うことにしてもよい。これにより、鉄道用電力貯蔵装置10は、車両21の運行本数等の運行状況に応じて、蓄電部100の充放電を制御することで、蓄電部100において運行状況に応じた必要以上の電力を、車両21または負荷23に供給して、電力消費のピークカット等に使用することができるため、蓄電部100の有効活用を図ることができる。
【0142】
上記実施の形態では、回生用蓄電部110は、非常用蓄電部120よりも繰り返し充放電に適した特性かつハイレート特性を有し、非常用蓄電部120は、回生用蓄電部110よりも高容量特性を有するとした。しかし、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120として、上記を満たさない種々の特性を有するものを選択可能である。
【0143】
上記実施の形態では、蓄電部100は、回生用蓄電部110及び非常用蓄電部120からなる二系統の蓄電部を備えていたが、三系統以上の蓄電部を備えてもよい。
【0144】
上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0145】
本発明は、このような鉄道用電力貯蔵装置10として実現することができるだけでなく、鉄道用電力貯蔵装置10と、車両21、駅舎22、負荷23、変電所30及び運転指令所50の少なくとも1つとを備える鉄道用電力貯蔵システムとしても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、蓄電部の有効活用を図ることができる鉄道用電力貯蔵装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0147】
10 鉄道用電力貯蔵装置
11、12、31、32 電力線
20 電力使用設備
21 車両
22 駅舎
23 負荷
24 電車線
30 変電所
40 発電所
50 運転指令所
100 蓄電部
110 回生用蓄電部
111 第一配線
112 第二配線
120 非常用蓄電部
121 第三配線
122 第四配線
200 車両側コンバータ
210 車両側制御部
300 負荷側コンバータ
310 負荷側制御部
400 発電設備
500 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7