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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】防護管
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20220419BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220419BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
H01B17/58 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018033086
(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2019149883
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝孝
(72)【発明者】
【氏名】阪本 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢二
(72)【発明者】
【氏名】村上 廉士
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-136898(JP,U)
【文献】特開2013-192302(JP,A)
【文献】特開平08-033170(JP,A)
【文献】実開昭53-049697(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
H01B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性の材料からなり、電線に装着される防護管であって、
内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部が設けられ、両端が開口する第1管部と、
前記第1管部よりも硬質の材料で形成され、前記第1管部の内周面に設けられ、前記隙間部の延在方向に沿って配列された複数の第1支持部材と、
前記第1管部の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の第1環状部材と、
前記第1環状部材に設けられ、他の管部に設けられた環状部材と接続できる第1接続部と、を有し、
前記第1環状部材は、前記第1管部の外周の、少なくとも1つの前記第1支持部材と重なる領域に設けられ、前記第1管部の径方向で、前記第1環状部材と前記第1支持部材との間に前記第1管部が設けられる防護管。
【請求項2】
前記第1管部の他方の端部には、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の開閉部材が設けられ、
前記開閉部材は、リング部と、一対の延出部と、を有し、
前記リング部は、周方向の一部に隙間が設けられ、前記第1管部の外周を囲って設けられ、
一対の前記延出部は、前記隙間を挟んで対向する前記リング部の端部のそれぞれに設けられて径方向の外側に延出し、
一対の前記延出部の対向する面の少なくとも一方には、一対の前記延出部を接続する開閉部材接続部を有し、
前記開閉部材は、前記第1管部の外周の、少なくとも1つの前記第1支持部材と重なる領域に設けられ、前記第1管部の径方向で、前記開閉部材と前記第1支持部材との間に前記第1管部が設けられる請求項1に記載の防護管。
【請求項3】
内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部が設けられ、両端が開口する第2管部と、
前記第2管部の内周面に設けられ、前記隙間部の延在方向に沿って配列された複数の第2支持部材と、
前記第2管部の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の第2環状部材と、
前記第2環状部材に設けられ、前記第1接続部と接続できる第2接続部と、を有する請求項1又は請求項2に記載の防護管。
【請求項4】
前記第1接続部又は前記第2接続部の一方は、前記隙間部の延在方向に突出する凸部を有し、
前記第1接続部又は前記第2接続部の他方は、前記凸部と噛み合う凹部を有する請求項3に記載の防護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護管及び防護管の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、配電線、引込線等の縁回り電線付近で作業を行う際に、電線からの感電等の事故を防止するために、電線に非導電性の防護管を装着することが行われている。例えば、下記特許文献1には、軸方向に伸縮可能な蛇腹状の管部を有する電線防護具が記載されている。下記特許文献1の電線防護具は、管部の内側に電線を挿入した状態で、管部の一方の端部に設けられた開閉部材により電線の位置が固定される。そして、他方の端部に設けられた開閉部材を開いたまま電線に沿って動かすと、蛇腹形状の管部が伸張する。これにより、電線防護具は電線を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-155256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電線防護具は、電線を固定しながら、電線の湾曲状態に合わせて管部を伸張するため、装着作業が困難になる可能性がある。また、電線防護具は、管部を鋏などで切断して適切な長さに調整して、他の電線に再利用する場合がある。特許文献1の電線防護具は、電線を挟持する開閉部材を有しているため、再利用することが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決して、電線への装着作業を容易に行うことができる防護管及び防護管の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による防護管は、非導電性の材料からなり、電線に装着される防護管であって、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部が設けられ、両端が開口する第1管部と、前記第1管部の内周面に設けられ、前記隙間部の延在方向に沿って配列された複数の支持部材と、前記第1管部の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の第1環状部材と、前記第1環状部材に設けられ、他の管部に設けられた環状部材と接続できる第1接続部と、を有する。
【0007】
これによれば、第1管部が軟質のシート部材を有するため、第1管部の隙間部に沿って電線を挿入する際に、電線が損傷することを抑制できる。また、第1環状部材は着脱可能に設けられているため、長さの異なる電線に再利用する際に、第1管部を切断して適切な長さに調整することが容易である。したがって、防護管は、電線への装着作業を容易に行うことができる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記第1管部の他方の端部には、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の開閉部材が設けられ、前記開閉部材は、リング部と、一対の延出部と、を有し、前記リング部は、周方向の一部に隙間が設けられ、前記第1管部の外周を囲って設けられ、一対の前記延出部は、前記隙間を挟んで対向する前記リング部の端部のそれぞれに設けられて径方向の外側に延出し、一対の前記延出部の対向する面の少なくとも一方には、一対の前記延出部を接続する開閉部材接続部を有する。これによれば、開閉部材接続部により開閉部材の開閉操作を行うことができる。これにより、第1管部の隙間部の開閉を行うことができるため、防護管の電線への装着作業を容易に行うことができる。
【0009】
本発明の望ましい態様として、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部が設けられ、両端が開口する第2管部と、前記第2管部の内周面に設けられ、前記隙間部の延在方向に沿って配列された複数の第2支持部材と、前記第2管部の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の第2環状部材と、前記第2環状部材に設けられ、前記第1接続部と接続できる第2接続部と、を有する。これによれば、第1環状部材及び第2環状部材を介して第1管部と第2管部とが連結可能となっている。このため、防護管は、電線の長さに応じて長さを適切に調整できる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記第1接続部又は前記第2接続部の一方は、前記隙間部の延在方向に突出する凸部を有し、前記第1接続部又は前記第2接続部の他方は、前記凸部と噛み合う凹部を有する。これによれば、第1管部と第2管部との連結作業を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の一態様による防護管の取付方法は、湾曲部を有する電線への防護管の取付方法であって、前記電線は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた前記湾曲部と、を有し、前記第1部分及び前記第2部分は、前記湾曲部の曲率半径よりも大きい曲率半径を有しており、前記第1部分の長さに対応する長さを有する第1防護管を前記第1部分に取り付けるステップと、前記第2部分の長さに対応する長さを有する第2防護管を前記第2部分に取り付けるステップと、前記第1防護管及び前記第2防護管を前記電線に沿って移動させて、前記第1防護管の端部に設けられた第1環状部材と、前記第2防護管の端部に設けられた第2環状部材とを、それぞれに設けられた接続部を介して接続するステップと、を有する。
【0012】
これによれば、電線の長さに応じて複数の防護管を接続することができる。また、複数の防護管は、曲率半径が大きい第1部分及び第2部分に取り付けられる。すなわち、複数の防護管を取り付ける際に、曲率半径が小さい湾曲部に対応する形状に防護管を変形させる必要がない。このため、防護管は、電線への装着作業を容易に行うことができる。また、電線の湾曲部と防護管との接触による電線の損傷を抑制できる。
【0013】
本発明の望ましい態様として、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部が設けられ、両端が開口する管部を用意し、前記管部を前記電線の長さに応じて切断するステップと、前記隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の環状部材を、前記管部の端部に取り付けるステップと、を有する。これによれば、管部を切断して適切な長さに調整することが容易である。したがって、防護管は、電線への装着作業を容易に行うことができ、また、防護管は、長さの異なる電線に再利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様による防護管及び防護管の取付方法によれば、電線への装着作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る防護管の側面図である。
図2図2は、実施形態に係る防護管の縮んだ状態を示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る防護管の正面図である。
図4図4は、図1のIV-IV’線に沿う断面図である。
図5図5は、実施形態に係る防護管が有する第1接続部及び第2接続部の断面図である。
図6図6は、実施形態に係る防護管の取付方法において、防護管の長さ調整方法を説明する説明図である。
図7図7は、実施形態に係る防護管の取付方法において、湾曲部を有する電線への取付方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る防護管及び防護管の取付方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0017】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る防護管の側面図である。図2は、実施形態に係る防護管の縮んだ状態を示す側面図である。図3は、実施形態に係る防護管の正面図である。図4は、図1のIV-IV’線に沿う断面図である。図5は、実施形態に係る防護管が有する第1接続部及び第2接続部の断面図である。
【0018】
本実施形態に係る防護管1は、例えば、活線作業を行う際に電線5を覆うように装着されて電線5を防護する。防護管1の各構成部材は、非導電性の材料からなる。図1に示すように、防護管1は、第1防護管2と、第2防護管3と、を有する。第1防護管2と第2防護管3とは、軸方向に連結されている。
【0019】
第1防護管2は、第1管部21と、第1支持部材22と、開閉部材23と、第1環状部材24と、第1接続部25と、を有する。第1管部21は、両端に開口を有し、電線5に沿った内部空間を有する管状である。第1管部21は、内側に空間ができるように曲げられた軟質のシート部材を有する。第1管部21として、例えば、シート状に形成されたポリエチレンなどの合成樹脂などを用いることができる。第1管部21は、第1管部21の軸方向及び径方向に作用する力によって変形可能である。図3及び図4に示すように、第1管部21の周方向の端部21aと端部21bとの間に隙間部SPが形成されている。隙間部SPは、第1管部21の軸方向に沿って設けられる。電線5は、隙間部SPを通って第1管部21の内部に配置される。
【0020】
図1に示すように、第1支持部材22は、第1管部21の内周面に設けられ、隙間部SPの延在方向に沿って複数配列される。図3及び図4に示すように、第1支持部材22は、第1管部21の内周面に沿う環状の部材である。第1支持部材22の周方向の端部22aと端部22bとの間に隙間部が形成されている。第1支持部材22の隙間部は第1管部21の隙間部SPと重なる位置に設けられる。第1支持部材22は、第1管部21よりも硬質の材料が用いられる。これにより、第1支持部材22は、少なくとも第1支持部材22が設けられた位置で、第1管部21の変形を抑制する。
【0021】
図1に示す第1防護管2は、軸方向に沿った長さL1を有する。図2は、第1防護管2が長さL1aに縮んだ状態を示す。長さL1aは、長さL1よりも短い。図2に示すように、第1管部21は、第1径d1の部分と、第2径d2の部分とが、軸方向に沿って交互に設けられ、蛇腹形状を有している。第2径d2は、第1径d1よりも大きい。ここで、第1径d1及び第2径d2は、第1管部21の軸方向と直交する方向での外径である。第1管部21の第2径d2の部分には、第1支持部材22が設けられている。第1管部21の第1径d1の部分は、第1支持部材22が設けられていない。このような構成により、第1防護管2は軸方向に沿って伸縮可能となっている。また、図1及び図2に示すように、第1支持部材22が複数設けられているため、第1管部21が電線5に装着された場合での第1管部21の形状を維持することができる。
【0022】
なお、第1支持部材22の数や配置間隔は適宜変更できる。また、図3及び図4に示すように、第1支持部材22の端部22a及び端部22bは、それぞれ、第1管部21の端部21a及び端部21bと重なる位置に設けられる。ただし、第1支持部材22の端部22a及び端部22bは、それぞれ第1管部21の内周面と重なる位置に設けられていてもよい。第1支持部材22は、第1管部21の内周に沿って設けられた複数の部材で構成されていてもよい。
【0023】
図1に示すように、第1環状部材24は第1管部21の一方の端部に着脱可能に設けられている。開閉部材23は第1管部21の他方の端部に設けられている。開閉部材23は、第1管部21の隙間部SPを閉じる方向に弾性付勢される。図3に示すように、開閉部材23は、リング部231と、延出部232と、を有する。リング部231は、第1管部21の外周を囲って設けられる。リング部231は、第1管部21の軸方向において、第1支持部材22が設けられた部分と重なって設けられる。言い換えると、リング部231と第1支持部材22との間に第1管部21が設けられる。これにより、リング部231からの弾性力を第1支持部材22が受けることで、リング部231が第1管部21の端部に良好に固定される。また、軟質のシート部材を有する第1管部21は、リング部231と第1支持部材22との間に挟まれる。これにより、第1防護管2の強度が向上する。
【0024】
リング部231の周方向の一部には、隙間部SPと重なる位置に隙間部が形成されている。リング部231の端部231aと端部231bは周方向に対向する。一対の延出部232は、それぞれリング部231の端部231a、231bと接続され、リング部231から径方向の外側に延出する。一対の延出部232の対向する面には、それぞれ開閉部材接続部233a、233bが設けられている。開閉部材接続部233a、233bは、図5に示す第1接続部25及び第2接続部36と同様に、互いに接続可能であればよい。例えば、開閉部材接続部233a、233bの一方は軸方向に突出する凸部を有し、他方は凸部と噛み合う凹部を有する。
【0025】
開閉部材接続部233a、233bを接続することで、リング部231は、隙間部が小さくなるように変形する。これにより、第1管部21の隙間部SPが小さくなり、第1防護管2が電線5から脱落することを抑制できる。また、開閉部材接続部233a、233bの接続を解除することで、リング部231は、隙間部が大きくなるように変形する。この場合、ホットスティック(絶縁操作棒)などの間接活線工具により、延出部232の間隔を拡げるように操作してもよい。これにより、第1管部21の隙間部SPが大きくなる。隙間部SPを介して電線5を第1管部21の内部空間に配置することで、第1防護管2は電線5に装着される。又は、第1防護管2は隙間部SPを介して電線5から取り外される。
【0026】
図4に示すように、第1環状部材24は、環状の部材であり、第1管部21の外周を囲って設けられる。第1環状部材24は、第1管部21の隙間部SPを閉じる方向に弾性付勢される。第1環状部材24の外周の一部には、第1管部21の隙間部SPと重なる位置に隙間部が形成されている。第1環状部材24は、第1管部21の軸方向において、第1支持部材22が設けられた部分と重なって設けられる。言い換えると、第1環状部材24と第1支持部材22との間に第1管部21が設けられる。これにより、第1環状部材24からの弾性力を第1支持部材22が受けることで、第1環状部材24が第1管部21の端部に良好に固定される。また、軟質のシート部材を有する第1管部21は、第1環状部材24と第1支持部材22との間に挟まれる。これにより、第1防護管2の強度が向上する。
【0027】
第1環状部材24の、軸方向と交差する面には、複数の第1接続部25が設けられている。複数の第1接続部25は、第1環状部材24の周方向に沿って配列されている。第1接続部25は、図1に示す他の第2管部31に設けられた第2環状部材33と接続できる。これにより、第1防護管2と第2防護管3とが、軸方向に沿って連結される。
【0028】
なお、図4に示す第1環状部材24の周方向の端部24a、24bは、第1管部21の端部21a、21bと重なる位置に設けられる。ただし、第1環状部材24の端部24a、24bは、第1管部21の外周面と重なる位置に設けられていてもよい。また、第1接続部25の数や配置間隔は適宜変更できる。
【0029】
図1に示すように、第2防護管3は、第2管部31と、第2支持部材32と、第2環状部材33と、第3環状部材34と、を有する。第2防護管3の軸方向の長さL2は、第1防護管2の長さL1よりも短い。ただし、長さL2は、長さL1と同じであってもよく、或いは長さL1よりも長くてもよい。
【0030】
第2管部31は、第1管部21と同様に、軟質のシート部材を有する。第2管部31は、軸方向に沿う隙間部(図示を省略する)が設けられ、両端が開口する。また、第2支持部材32は、第2管部31の内周面に設けられ、軸方向に沿って複数配列される。なお、第2管部31及び第2支持部材32は、第1防護管2の第1管部21及び第1支持部材22と類似した構成を有しているため、詳細な説明は省略する。図2に示すように、第2管部31も蛇腹形状を有している。図2に示す第2管部31は、長さL2aに縮んだ状態である。すなわち、第2支持部材32が設けられた部分と、第2支持部材32が設けられていない部分とで、第2管部31の径が異なっている。このような構成により、第2防護管3は軸方向に沿って伸縮可能となっている。
【0031】
図1に示すように、第2管部31の一方の端部に第2環状部材33が設けられ、他方の端部に第3環状部材34が設けられる。第2環状部材33及び第3環状部材34は、それぞれ第2管部31に着脱可能に設けられる。第2環状部材33及び第3環状部材34は、第2管部31の隙間部を閉じる方向に弾性付勢される。第2環状部材33及び第3環状部材34は、いずれも図4に示す第1環状部材24と類似した構成であり、詳細な説明は省略する。
【0032】
図1に示すように、第2環状部材33の、第1環状部材24と対向する面には、第2接続部36が設けられている。第2接続部36は、第1接続部25と対向する位置に設けられている。
【0033】
第1接続部25及び第2接続部36は、互いに接続可能な構成を有していればよい。図5に示すように、第1接続部25は、ベース部材251と、凸部252と、を有する。凸部252は、ベース部材251に設けられ、第1管部21の隙間部SPの延在方向に沿って前記ベース部材251から突出する。第2接続部36は、ベース部材361と凸部362と、を有する。凸部362は、内部空間を有し、第1接続部25に向かって突出する。凸部362の、第1接続部25と対向する面に開口362aが設けられている。これにより、凸部362の内部に凹部362bが形成される。凹部362bは、第1接続部25の凸部252と噛み合う。これにより、第1接続部25と第2接続部36とが接続される。
【0034】
このような構成により、図1に示すように、第1防護管2と第2防護管3とが軸方向に沿って連結される。これにより、防護管1は、電線5の長さに応じて長さを適切に調整できる。なお、図5に示す第1接続部25及び第2接続部36は、あくまで一例であり、適宜変形できる。また、第1接続部25及び第2接続部36は、それぞれ少なくとも1つずつ設けられていればよい。
【0035】
図1に示すように、第3環状部材34の、軸方向と直交する面には、第3接続部38が設けられている。第3接続部38は、図示しない他の防護管と連結可能に設けられている。つまり、図1に示す防護管1は、3つ以上の防護管を軸方向に沿って連結することもできる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の防護管1は、非導電性の材料からなり、電線5に装着される防護管1であって、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部SPが設けられ、両端が開口する第1管部21と、第1管部21の内周面に設けられ、隙間部SPの延在方向に沿って配列された複数の第1支持部材22と、第1管部21の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、隙間部SPを閉じる方向に弾性付勢される環状の第1環状部材24と、第1環状部材24に設けられ、他の管部(第2管部31)に設けられた環状部材(第2環状部材33)と接続できる第1接続部25と、を有する。
【0037】
これによれば、第1管部21が軟質のシート部材を有するため、第1管部21の隙間部SPに沿って電線5を挿入する際に、電線5が損傷することを抑制できる。また、第1環状部材24は着脱可能に設けられているため、長さの異なる電線5に再利用する際に、第1管部21を切断して適切な長さに調整することが容易である。したがって、防護管1は、電線5への装着作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の防護管1において、前記第1管部の他方の端部には、隙間部SPを閉じる方向に弾性付勢される環状の開閉部材23が設けられ、開閉部材23は、リング部231と、一対の延出部232と、を有する。リング部231は、周方向の一部に隙間が設けられ、第1管部21の外周を囲って設けられる。一対の延出部232は、隙間を挟んで対向するリング部の端部231a、231bのそれぞれに設けられ、径方向の外側に延出する。一対の延出部232と、一対の延出部232の対向する面の少なくとも一方には、延出部232を接続する開閉部材接続部233a、233bが設けられる。これによれば、開閉部材接続部233a、233bにより開閉部材23の開閉操作を行うことができる。これにより、第1管部21の隙間部SPの開閉を行うことができるため、第1防護管2の電線5への装着作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態の防護管1において、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部SPが設けられ、両端が開口する第2管部31と、第2管部31の内周面に設けられ、隙間部SPの延在方向に沿って配列された複数の第2支持部材32と、第2管部31の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられ、隙間部を閉じる方向に弾性付勢される環状の第2環状部材33と、第2環状部材33に設けられ、第1接続部25と接続できる第2接続部36と、を有する。これによれば、第1環状部材24及び第2環状部材33を介して第1管部21と第2管部31とが連結可能となっている。このため、防護管1は、電線の長さに応じて長さを適切に調整できる。
【0040】
また、本実施形態の防護管1において、第1接続部25又は第2接続部36の一方は、隙間部SPの延在方向に突出する凸部252を有し、第1接続部25又は第2接続部36の他方は、凸部252と噛み合う凹部362bを有する。これによれば、第1管部21と第2管部31との連結作業を容易に行うことができる。
【0041】
(防護管の取付方法)
図6は、実施形態に係る防護管の取付方法において、防護管の長さ調整方法を説明する説明図である。図6では、使用済みの第1防護管2Aを、他の電線5の防護に再利用する場合を説明する。図6に示すように、第1防護管2Aを用意する(ステップST11)。第1防護管2Aは、図1等に示す第1防護管2と同様の構成である。すなわち、第1防護管2Aの第1管部21は、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部SPが設けられ、両端が開口する。
【0042】
次に、第1防護管2Aを装着する予定の電線5の長さに応じて、ステップST11に示す仮想線A1の位置で第1管部21を切断する(ステップST12)。第1管部21のうち開閉部材23と接続された部分を取り外す。これにより、第1管部21の軸方向の長さが長さL3に短くなる。第1管部21の一方の端部に第1環状部材24が設けられ、他方の端部には、第1支持部材22のみが設けられる。
【0043】
第1管部21の他方の端部に第4環状部材26を取り付ける(ステップST13)。第4環状部材26は、第1環状部材24と類似した構成を有する。すなわち、第4環状部材26は隙間部SP(図3参照)を閉じる方向に弾性付勢される。このような方法により、第1管部21を切断して、第1防護管2Aの長さを電線5の長さに応じて調整することができる。これにより、第1防護管2Aを、軸方向の長さL3を有する第2防護管3Aとして再利用することができる。
【0044】
図7は、実施形態に係る防護管の取付方法において、湾曲部を有する電線への取付方法を説明する説明図である。図7に示すように、電線5は、変圧器100からの電力を工場や一般家庭等の建設物に供給する引込線である。電線5の一方の端部5aは、電柱などに設けられた変圧器100に接続される。電線5の他方の端部5bは、建設物に設置された引込線取付点(図示しない)に接続される。なお、電線5は、縁回り線等、他の電線5であってもよい。
【0045】
電線5は、第1部分5cと、第2部分5dと、第1部分5cと第2部分5dとの間に設けられた湾曲部5eと、を有する。第1部分5c及び第2部分5dは、湾曲部5eの曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。
【0046】
まず、第1防護管2と第2防護管3とを用意する(ステップST21)。なお、第1防護管2及び第2防護管3は、図1等で示したものと同様の構成であり、詳細な説明は省略する。第1防護管2は、第1部分5cの長さに対応する長さL1(図1参照)を有している。第2防護管3は、第2部分5dの長さに対応する長さL2(図1参照)を有している。なお、第2防護管3として、図6に示したように、使用済みの第1防護管2Aを再利用して長さを調整した第2防護管3Aを用いることもできる。
【0047】
次に、第1防護管2を第1部分5cに取り付ける(ステップST22)。この場合、第1部分5cに取り付ける前に、第1防護管2を、第1部分5cの形状に沿うように変形させる。そして、第1管部21の隙間部SP(図3参照)を第1部分5cに沿わせるようにして、第1防護管2を第1部分5cに取り付けることができる。この場合、第1防護管2の第1管部21の内周面に、第1部分5cの一部が接する。
【0048】
次に、第2防護管3を第2部分5dに取り付ける(ステップST23)。この場合、第2部分5dに取り付ける前に、第2防護管3を、第2部分5dの形状に沿うように変形させる。そして、第2管部31の隙間部SPを第2部分5dに沿わせるようにして、第2防護管3を第2部分5dに取り付けることができる。この場合、第2防護管3の第2管部31の内周面に、第2部分5dの一部が接する。
【0049】
次に、第1防護管2及び第2防護管3を電線5に沿って互いに近づく方向に移動させる。第1防護管2の第1環状部材24と、第2防護管3の第2環状部材33とを、それぞれに設けられた接続部(第1接続部25及び第2接続部36(図5参照))を介して接続する(ステップST24)。これにより、第1防護管2と第2防護管3とが電線5に沿って連結される。この場合、第1環状部材24と第2環状部材33とは、湾曲部5eで接続される。なお、図7では第1防護管2と第2防護管3とを連結する例を示したが、3つ以上の防護管を連結してもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の防護管1の取付方法は、湾曲部5eを有する電線5への防護管1の取付方法であって、電線5は、第1部分5cと、第2部分5dと、第1部分5cと第2部分5dとの間に設けられた湾曲部5eと、を有する。第1部分5c及び第2部分5dは、湾曲部5eの曲率半径よりも大きい曲率半径を有している。防護管1の取付方法は、第1部分5cの長さに対応する長さを有する第1防護管2を第1部分5cに取り付けるステップ(ステップST22)と、第2部分5dの長さに対応する長さを有する第2防護管3を第2部分5dに取り付けるステップ(ステップST23)と、第1防護管2及び第2防護管3を電線5に沿って移動させて、第1防護管2の端部に設けられた第1環状部材24と、第2防護管3の端部に設けられた第2環状部材33とを、それぞれに設けられた接続部(第1接続部25及び第2接続部36)を介して接続するステップ(ステップST24)と、を有する。
【0051】
これによれば、電線5の第1部分5c及び第2部分5dのそれぞれの長さに応じて、第1防護管2及び第2防護管3を電線5に取り付けることができる。また、第1防護管2及び第2防護管3は、曲率半径が大きい第1部分5c及び第2部分5dに取り付けられる。すなわち、第1防護管2及び第2防護管3を取り付ける際に、曲率半径が小さい湾曲部5eに対応する形状に第1防護管2及び第2防護管3を変形させる必要がない。このため、防護管1は、電線5への装着作業を容易に行うことができる。また、電線5の湾曲部5eと防護管1との接触による電線の損傷を抑制できる。
【0052】
また、本実施形態の防護管1の取付方法は、内側に内部空間ができるように曲げられたシート部材の、周方向の端部同士の間に隙間部SPが設けられ、両端が開口する第1管部21を用意し、第1管部21を電線5の長さに応じて切断するステップ(ステップST12)と、隙間部SPを閉じる方向に弾性付勢される環状の第1環状部材24を、第1管部の端部に取り付けるステップ(ステップST13)と、を有する。
【0053】
これによれば、第1管部21を切断して適切な長さに調整することが容易である。したがって、防護管1は、電線5への装着作業を容易に行うことができ、また、防護管1は、長さの異なる電線5に再利用することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、第1管部21及び第2管部31は、軸方向から見たときに円形であるが、多角形状等、他の形状であってもよい。また、第1管部21と第2管部31とは、異なる径を有していてもよい。この場合であっても、第1環状部材24と第2環状部材33を介して第1管部21と第2管部31とを連結できる。
【符号の説明】
【0055】
1 防護管
2、2A 第1防護管
3、3A 第2防護管
5 電線
5a、5b 端部
5c 第1部分
5d 第2部分
5e 湾曲部
21 第1管部
21a、21b 端部
22 第1支持部材
22a、22b 端部
23 開閉部材
24 第1環状部材
24a、24b 端部
25 第1接続部
26 第4環状部材
31 第2管部
32 第2支持部材
33 第2環状部材
34 第3環状部材
36 第2接続部
38 第3接続部
100 変圧器
231 リング部
231a、231b 端部
232 延出部
233a、233b 開閉部材接続部
251、361 ベース部材
252 凸部
362 凸部
362a 開口
362b 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7