(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20220419BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220419BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220419BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/81
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2018063145
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165021
【氏名又は名称】千々松 宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
(72)【発明者】
【氏名】志津田 有成
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002242(JP,A)
【文献】特開2019-019077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/36
A61K 8/34
A61K 8/81
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数12~18の飽和脂肪酸塩〔成分(A)〕を15~50質量%、
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位(b)とその他の構成単位(x)とを含み、前記2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位(b)とその他の構成単位(x)とのモル比〔(b):(x)〕が1:0.2~1:5であり、前記その他の構成単位(x)を構成する単量体がブチルアクリレート又は2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドである、ポリマー〔成分(B)〕を0.001~0.5質量%、
フェノキシエタノール〔成分(C)〕を0.001~0.5質量%含有する、
皮膚用洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に安息香酸塩〔成分(D)〕を0.0001~0.05質量%含有する、請求項1に記載の
皮膚用洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗顔料、ボディソープ及びハンドソープ等に使用される洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚用の洗浄剤組成物においては、洗浄性、すすぎ時のぬるつきのなさが優れる点から、主成分として脂肪酸石けんが多く使用されてきた。しかし、脂肪酸石けんは、洗い上がりのさっぱりとした感触が優れるものの、使用後のしっとり感が十分ではなく、使用後に肌が乾燥することが問題であった。特に、敏感肌では肌の状態によっては、かゆみやヒリヒリ感といったスティンギング性のように感じてしまう場合があった。また、脂肪酸石けんは、水溶性の汚れに対する洗浄力は高いものの、毛穴に存在する皮脂に由来する汚れに対する洗浄力は低かった。更に経時での皮脂の分泌が原因となり、毛穴が目立たない状態を持続することは困難であった。
【0003】
これらの問題を解決するための技術として、例えば特許文献1には、洗浄後の肌にうるおいを与え、肌にはりを与えることを目的として、脂肪酸石けん、両性界面活性剤、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成モノマーとするポリマーを含有する洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、毛穴等の細かな部位の汚れに対する洗浄力に優れ、すすぎ時にぬるつきがない洗浄剤組成物として、グリコシルトレハロース、脂肪酸石けん、グリセリン又はジグリセリンを含有する洗浄剤組成物が開示されている。更に特許文献3には、毛穴に対する洗浄力、すすぎ性に優れた皮膚洗浄組成物として、疎水性シリカ、水溶性高分子、アニオン性界面活性剤、ポリオール又はポリオールエーテルを含有する洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-72998号公報
【文献】特開2011-105787号公報
【文献】特開2017-137292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された洗浄剤組成物は、毛穴の汚れに対する洗浄力が十分ではなく、また、特許文献2及び3に記載された洗浄剤組成物は、毛穴の汚れに対する洗浄力は優れるものの、経時での皮脂の分泌が原因となり、毛穴が目立たない状態を持続することはできなかった。毛穴が目立たない状態を持続するためには、毛穴の汚れをしっかりと取り除き、かつ皮脂の分泌を抑制して、毛穴の汚れがない状態を持続することが重要であるが、このような洗浄剤組成物は未だ開発されていないのが現状である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであり、毛穴の汚れに対する洗浄力に優れ、ぬるつきがなく洗い流すことができ、使用後の保湿感に優れると共に、毛穴が目立たない状態を持続できる洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の[1]及び[2]に係るものである。
[1]炭素数12~18の飽和脂肪酸塩〔成分(A)〕を15~50質量%、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位を有するポリマー〔成分(B)〕を0.001~0.5質量%、フェノキシエタノール〔成分(C)〕を0.001~0.5質量%含有する、洗浄剤組成物。
[2]更に安息香酸塩〔成分(D)〕を0.0001~0.05質量%を含有する、前記[1]に記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物によれば、毛穴の汚れに対する洗浄力に優れ、ぬるつきがなく洗い流すことができ、使用後の保湿感に優れると共に、毛穴が目立たない状態を持続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限及び下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上5以下を表す。本明細書において「(メタ)アクリル」は「アクリル」又は「メタクリル」を表し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」又は「メタクリロイル」をそれぞれ表す。
【0010】
[洗浄剤組成物]
<成分(A):炭素数12~18の飽和脂肪酸塩>
本発明に用いる成分(A)は炭素数12~18の飽和脂肪酸塩である。炭素数12~18の飽和脂肪酸塩を用いることにより、毛穴の汚れに対する洗浄力が向上し、すすぎ時にぬるつきが発生することを防止することが可能になる。
飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸は、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、及びステアリン酸等が挙げられる。これらの飽和脂肪酸は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A)としては、毛穴の汚れに対する洗浄力を向上させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸がより好ましく、これらを組み合わせて用いることが好ましい。
【0011】
前記成分(A)として用いる飽和脂肪酸塩は、前記飽和脂肪酸のアルカリ金属塩や有機アミン塩であることが好ましい。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。また、有機アミン塩を構成する有機アミンとしては、メチルアミン及びエチルアミン等の第一級アミン;ジメチルアミン、エチルメチルアミン及びジエチルアミン等の第二級アミン;トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン及びトリエチルアミン等の第三級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
飽和脂肪酸塩としては、洗浄力を向上させる観点から、飽和脂肪酸のアルカリ金属塩が好ましく、中でも、飽和脂肪酸のカリウム塩がより好ましい。飽和脂肪酸塩は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明における成分(A)は、予め飽和脂肪酸のアルカリ塩としたものを用いてもよく、また、製造の途中で飽和脂肪酸に相当量のアルカリ剤を加えることによりアルカリ塩としたものを用いてもよい。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)は、スティンギングを抑制する観点から、遊離脂肪酸を含有すること、すなわち、過脂肪酸であることが好ましい。成分(A)が遊離脂肪酸を含有する場合の調製方法は、脂肪酸塩を調製した後、これに脂肪酸を添加することにより調製してもよく、また、脂肪酸とアルカリ剤とを反応させる時にアルカリ剤の添加量を少なくして未反応の遊離脂肪酸を残存させることにより調製してもよい。この場合、アルカリ剤の添加量を脂肪酸に対して、0.7~0.9当量とすることが好ましい。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物における成分(A)の含有量は、洗浄剤組成物全量中、15~50質量%であり、好ましくは17~48質量%、より好ましくは19~46質量%である。成分(A)の含有量が15質量%未満であると毛穴の汚れに対する洗浄力が十分ではなく、すすぎ時にぬるつきが発生することがある。一方、成分(A)の含有量が50質量%を超えるとスティンギングが発生することがある。
【0015】
<成分(B):2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位を有するポリマー>
本発明に用いる成分(B)は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位を有するポリマーである。本発明においては、成分(B)を含有することにより、スティンギングを抑制させ、洗浄後の保湿感が向上すると共に、毛穴が目立たない状態を長時間持続させることが可能になる。
成分(B)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位以外のその他の構成単位を含有してもよい。
その他の構成単位を構成する単量体としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル単量体、酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、及びカチオン性基含有単量体から選ばれる重合性単量体が挙げられる。
【0016】
直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びスチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸等が挙げられる。
【0019】
アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン性基含有単量体としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0020】
成分(B)のポリマーが前記その他の構成単位を含有する場合、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構成単位(b)とその他の構成単位(x)とのモル比〔(b):(x)〕は、1:0.1~1:10が好ましく、1:0.2~1:5がより好ましい。
【0021】
前記その他の構成単位を構成する単量体としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、及びカチオン性基含有単量体が好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、及びカチオン性基含有単量体から選ばれる重合性単量体がより好ましく、ブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが更に好ましい。
【0022】
その他の構成単位を構成する単量体がブチルアクリレートである成分(B)は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチルアクリレート(メタクリル酸ブチル)とを共重合させることによって得ることができる。ポリマー中の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチルアクリレート(メタクリル酸ブチル)とのモル比は1:0.2~1:3であることが好ましい。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びメタクリル酸ブチルを構成モノマーとするポリマーの市販品としては、商品名「LIPIDURE-PMB」〔日油(株)製、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン80モル%、メタクリル酸ブチル20モル%、重量平均分子量:60万〕が挙げられる。
【0023】
その他の構成単位を構成する単量体が2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドである成分(B)は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドとを共重合させることによって得ることができる。共重合体中の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドとのモル比は、好ましくは1:0.05~1:1であり、より好ましくは1:0.2~1:0.5である。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを構成モノマーとするポリマーの市販品としては、商品名「LIPIDURE-C」〔日油(株)製、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン70モル%、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド30モル%、重量平均分子量:42万〕が挙げられる。
【0024】
成分(B)のポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5,000~2,000,000であり、より好ましくは100,000~1,000,000、更に好ましくは200,000~800,000、より更に好ましくは300,000~700,000である。なお、重量平均分子量は実施例に記載の測定に基づいてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量は、0.001~0.5質量%であり、好ましくは0.01~0.4質量%、より好ましくは0.03~0.3質量%、更に好ましくは0.05~0.2質量%である。成分(B)の含有量が0.001質量%未満では使用後の保湿感が十分ではなく、毛穴が目立たない状態を持続できないことがある。一方、成分(B)の含有量が0.5質量%を超えるとすすぎ時にぬるつきが発生することがある。
【0026】
<成分(C):フェノキシエタノール>
本発明に用いる成分(C)は、フェノキシエタノールである。本発明の洗浄剤組成物は、成分(C)としてフェノキシエタノールを用いるため、毛穴汚れに対して優れた洗浄力を示す。
本発明の洗浄剤組成物中の成分(C)の含有量は、0.001~0.5質量%であり、好ましくは0.01~0.4質量%、より好ましくは0.02~0.3質量%、更に好ましくは0.05~0.2質量%である。成分(C)の含有量が0.001質量%未満では毛穴の汚れに対する洗浄力が不十分となることがある。一方、成分(C)の含有量が0.5質量%を超えるとスティンギングが発生することがある。
【0027】
<成分(D):安息香酸塩>
本発明の洗浄剤組成物は毛穴の良好な状態を持続させることを目的として、安息香酸塩〔成分(D)〕を加えることが好ましい。
安息香酸塩としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、安息香酸ナトリウム、及び安息香酸カリウムが好ましく、毛穴の良好な状態を持続させる観点から、安息香酸ナトリウムが好ましい。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量は、好ましくは0.0001~0.05質量%であり、より好ましくは0.0005~0.04質量%、更に好ましくは0.001~0.03質量%である。安息香酸塩の含有量が前記範囲内であると、毛穴が目立たない状態を長時間持続させることが可能になると共に、スティンギングの発生を抑制することができる。
【0029】
<水>
本発明の洗浄剤組成物は、各成分の濃度及び洗浄剤組成物の粘度を調整することを目的として水を含有してもよい。水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましい。
水の含有量は、好ましくは20~90質量%、より好ましくは50~85質量%、更に好ましくは55~82質量%である。
【0030】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物は、成分(A)~成分(D)、及び水の他にも、洗浄剤に使われる一般的な成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、植物油脂、動物油脂等の油脂類;pH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;色素;香料;顔料等が挙げられる。
【0031】
<本発明の洗浄剤組成物の製造方法>
本発明の洗浄剤組成物の製造方法に特に制限はなく、一般的な洗浄剤組成物の製造方法に従って製造することができる。具体的には、成分(A)~成分(D)の各成分と、水、必要に応じて用いるその他の成分とを混合することにより製造することができる。
また、本発明の洗浄剤組成物の用途に制限はなく、ボディーソープ、洗顔料、ハンドソープ等の皮膚洗浄剤やシャンプー等の毛髪洗浄剤等に用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例及び比較例において用いた成分は以下のとおりである。
<成分(A)>
下記表1に記載の配合にしたがって飽和脂肪酸塩を混合することにより調製した脂肪酸塩(A1)及び(A2)を成分(A)として用いた。
【0033】
【0034】
<成分(B)>
成分(B)として以下のポリマー(B1)及び(B2)を用いた。
〔ポリマー(B1)〕
日油(株)製「LIPIDURE-PMB」(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(b)80モル%、メタクリル酸ブチル(x)20モル%、重量平均分子量:60万、モル比〔(b):(x)〕=1:0.25)
【0035】
〔ポリマー(B2)〕
日油(株)製「LIPIDURE-C」(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(b)70モル%、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(x)30モル%、重量平均分子量:42万、モル比〔(b):(x)〕=1:0.43)
【0036】
なお、本実施例においてポリマー(B1)及び(B2)の重量平均分子量は、得られた各ポリマー5mgをメタノール/クロロホルム混液(質量比:80/20)に溶かして試料溶液とし、以下の分析条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
カラム:PLgel-mixed-C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器 :示差屈折計RI-8020(東ソー(株)製)
重量平均分子量の算出法:分子量計算プログラム(SC-8020用GPCプログラム)
流量 :毎分1mL
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度
【0037】
<成分(B’):比較用成分>
成分(B’)として下記ポリマー(B’)を用いた。
〔ポリマー(B’)〕
DOC Japan(株)製「DOCQUAT10」(塩化o-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)
【0038】
<成分(C)>
クラリアントジャパン株式会社製、フェノキシエタノール
<成分(D)>
DSP五協フード&ケミカル株式会社製、安息香酸ナトリウム
<その他の成分>
クラリアントジャパン株式会社製、4-ヒドロキシ安息香酸メチル
株式会社エーピーアイ コーポレーション製、サリチル酸ナトリウム
【0039】
<実施例1~9、比較例1~7>
表2~4に示す配合にしたがって洗浄剤組成物を調製し、下記の方法により評価した。
具体的には、下記(1)~(5)の評価について20名のパネラーによる各評価の合計点を下記〔合計点の評価基準〕に従って評価した。結果を表2~4に示す。なお、「◎」及び「○」を合格と判定した。
【0040】
〔合計点の評価基準〕
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上35点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
【0041】
(評価方法)
(1)スティンギングの評価
洗顔料を使用した際にかゆみやヒリヒリ感を感じやすい敏感肌の25歳から55歳までの男性および女性20名をパネラーとし、洗浄剤組成物1gをとり、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗った。その際のスティンギングについて下記基準で評価を行った。
2点:かゆみやヒリヒリ感が全くないと感じた場合。
1点:かゆみやヒリヒリ感がほとんどないと感じた場合。
0点:かゆみやヒリヒリ感があると感じた場合。
【0042】
(2)毛穴の汚れに対する洗浄力の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗浄剤組成物1gをとり、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗った。その後、毛穴の汚れに対する洗浄力について下記基準で評価を行った。
2点:毛穴の黒ずみが全くないと感じた場合。
1点:毛穴の黒ずみがほとんどないと感じた場合。
0点:毛穴の黒ずみがあると感じた場合。
【0043】
(3)すすぎ時のぬるつきの評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗浄剤組成物1gをとり、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗った。その後、ぬるま湯ですすぎ、ぬるつきについて下記基準で評価を行った。
2点:ぬるつきが全くないと感じた場合。
1点:ぬるつきがほとんどないと感じた場合。
0点:ぬるつきがあると感じた場合。
【0044】
(4)乾燥後のしっとり感の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗浄剤組成物1gをとり、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗った後、ぬるま湯ですすいだ。その後、タオルドライをしてよく乾燥させ、しっとり感について下記基準で評価を行った。
2点:非常にしっとり感があると感じた場合。
1点:ややしっとり感があると感じた場合。
0点:しっとり感がないと感じた場合。
【0045】
(5)翌朝の毛穴の状態の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、洗浄剤組成物1gをとり、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗った後、ぬるま湯ですすいだ。その後、タオルドライをしてよく乾燥させ、化粧水や乳液、クリーム等を使用したスキンケアは行わずに、翌朝の毛穴の状態を評価した。
2点:毛穴の黒ずみが全くなく、毛穴が目立たない状態であると感じた場合。
1点:毛穴の黒ずみがほとんどなく、毛穴があまり目立たない状態であると感じた場合。
0点:毛穴の黒ずみがあり、毛穴が目立つ態であると感じた場合。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
実施例1~9の洗浄剤組成物はいずれも、毛穴の汚れに対する洗浄力に優れ、ぬるつきがなく洗い流すことができ、使用後の保湿感に優れるとともに、毛穴が目立たない状態を持続させることができた。
【0050】
これに対して比較例1~7では十分な性能が得られていない。比較例1は成分(A)の含有量が少なすぎるので、毛穴の汚れに対する洗浄力が十分ではなく、すすぎ時にぬるつきがあり、毛穴が目立たない状態を持続することができなかった。
比較例2は成分(B)が配合されていないので、スティンギングがあり、乾燥後のしっとり感が十分ではなく、毛穴が目立たない状態を持続することができなかった。
【0051】
比較例3は成分(B)の代わりに比較用ポリマーが配合されているので、スティンギングがあり、乾燥後のしっとり感が十分ではなく、毛穴が目立たない状態を持続することができなかった。
比較例4及び5は成分(C)が配合されていないので、毛穴の汚れに対する洗浄力が十分ではなく、毛穴が目立たない状態を持続することができなかった。
比較例6及び7は成分(C)の代わりに4-ヒドロキシ安息香酸メチル又はサリチル酸ナトリウムが配合されているので、スティンギングがあり、毛穴の汚れに対する洗浄力が十分ではなく、毛穴が目立たない状態を持続することができなかった。
【0052】
(実施例10)
下記に示す配合処方により、洗顔料を調製し、実施例と同様に評価を行った。
(A)ラウリン酸カリウム 6.00質量%
(A)ミリスチン酸カリウム 14.00質量%
(A)パルミチン酸カリウム 6.00質量%
(A)ステアリン酸カリウム 14.00質量%
(B)ポリマー(B1) 0.10質量%
(C)フェノキシエタノール 0.10質量%
(D)安息香酸ナトリウム 0.01質量%
(その他の成分)
エチドロン酸4ナトリウム 0.10質量%
水 残部
合計配合量 100.00質量%
【0053】
実施例10の洗顔料は、毛穴の汚れに対する洗浄力に優れ、ぬるつきがなく洗い流すことができ、使用後の保湿感に優れるとともに、毛穴が目立たない状態を持続させることができた。
【0054】
(実施例11)
下記に示す配合処方により、ボディソープを調製し、実施例と同様に評価を行った。
(A)ラウリン酸カリウム 9.00質量%
(A)ミリスチン酸カリウム 6.00質量%
(A)パルミチン酸カリウム 3.00質量%
(B)ポリマー(B2) 0.01質量%
(C)フェノキシエタノール 0.01質量%
(D)安息香酸ナトリウム 0.01質量%
(その他の成分)
エチドロン酸4ナトリウム 0.05質量%
水 残部
合計配合量 100.00質量%
【0055】
実施例11のボディソープは、毛穴の汚れに対する洗浄力に優れ、ぬるつきがなく洗い流すことができ、使用後の保湿感に優れるとともに、毛穴が目立たない状態を持続させることができた。