(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ステアリングホイール、加飾部品及び加飾部品の接着方法
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B62D1/06
(21)【出願番号】P 2018076982
(22)【出願日】2018-04-12
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高田 広樹
(72)【発明者】
【氏名】中西 俊介
(72)【発明者】
【氏名】長田 健志
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-280597(JP,A)
【文献】特許第5610328(JP,B1)
【文献】特許第5452781(JP,B1)
【文献】特開平10-317642(JP,A)
【文献】特開2017-128274(JP,A)
【文献】特開2018-008640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0137413(US,A1)
【文献】特開2017-109520(JP,A)
【文献】特開昭53-040928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールのホイール部に加飾部品が接着剤によって取り付けられているステアリングホイールにおいて、
該加飾部品は、該ホイール部の外面に倣う板状部と、該板状部の背面側から立設された枠状部とを有しており、
該枠状部は、1箇所のコーナー部が枠状部の内方に食い込んだ形状となっており、
前記ホイール部には、該枠状部が入り込む凹部と、該凹部によって囲まれたテーブル状部分が設けられており、該凹部及びテーブル状部分と加飾部品との間に接着剤が充填されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記板状部は、前記ホイール部の外面に倣って湾曲していることを特徴とする請求項1のステアリングホイール。
【請求項3】
前記枠状部にスペーサ用凸部が突設されていることを特徴とする請求項1又は2のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾部品を備えたステアリングホイールに係り、詳しくは、加飾部品を接着剤によって接着したステアリングホイールに関する。また、本発明は加飾部品と、その接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールを加飾したり、あるいはステアリングホイールに表示部等を形成するために、ステアリングホイールに加飾部品を取り付けることがある。特許文献1には、加飾部品を接着剤によってステアリングホイールに接着することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加飾部品を接着剤によってステアリングホイールに接着する場合、接着剤を適正量付着させることが重要である。
【0005】
本発明は、接着剤を規定量だけ担持させることができる加飾部品と、この加飾部品を接着したステアリングホイールと、加飾部品の接着方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステアリングホイールは、ステアリングホイールのホイール部に加飾部品が接着剤によって取り付けられているステアリングホイールにおいて、該加飾部品は、該ホイール部の外面に倣う板状部と、該板状部の背面側から立設された枠状部とを有しており、前記ホイール部には、該枠状部が入り込む凹部と、該凹部によって囲まれたテーブル状部分が設けられており、該凹部及びテーブル状部分と加飾部品との間に接着剤が充填されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様では、前記板状部は、前記ホイール部の外面に倣って湾曲している。
【0008】
本発明の一態様では、前記枠状部にスペーサ用凸部が突設されている。
【0009】
本発明の一態様では、前記枠状部は、1箇所のコーナー部が枠状部の内方に食い込んだ形状となっている。
【0010】
本発明の加飾部品は、ステアリングホイールのホイール部の外周面に沿って配置される板状部と、該板状部の背面側から立設された枠状部とを備え、該枠状部の内側が接着剤収容部となっている。
【0011】
本発明の加飾部品の接着方法は、ステアリングホイールのホイール部に加飾部品を接着剤によって接着する接着方法であって、該加飾部品は、該ホイール部の外面に倣う板状部と、該板状部の背面側から立設された枠状部とを有しており、前記ホイール部には、該枠状部が入り込む凹部と、該凹部によって囲まれたテーブル状部が設けられており、前記枠状部内に接着剤をスリ切り状に充填した後、前記テーブル状部が枠状部内に入り込み、枠状部が前記凹部内に入り込むように加飾部品をホイール部の外周面に押し付けて接着する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加飾部品は、規定容積の接着剤収容部を有しているので、規定量の接着剤を該加飾部品に担持させて加飾部品をステアリングホイールに接着することができる。また、枠状部を有するので、接着面積が大きい。従って、本発明のステアリングホイールは、加飾部品の接着強度が高く、また余分な接着剤がはみ出したりすることもないので、外観も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る加飾部品の背面側からの斜視図である。
【
図4】加飾部品とステアリングホイールとの接着方法を示す断面図である。
【
図5】加飾部品が接着されたステアリングホイールの断面図である。
【
図6】加飾部品を備えたステアリングホイールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図6に示すように、ステアリングホイール1のホイール部2の一部(例えば、ホイール部2の6時側。ただし、これに限定されない。)に、加飾部品3が接着により固着されている。
【0015】
加飾部品3は、ホイール部2の外周面と略面一状となるように、
図6のθ方向すなわちホイール部2を握る指方向に湾曲して延在する板状部4と、該板状部4の背面側すなわちホイール部2と重なる側から立設された枠状部5とを有する。
【0016】
枠状部5は、板状部4の長手方向に延在する一対の略平行な長手壁6,7と、該長手壁6,7の長手方向一端側同士をつなぐ短手壁8と、長手壁の長手方向他端側同士をつなぐ短手壁9,11及び連結壁10とを有する。長手壁7は長手壁6よりも短い。長手壁6,7は、各々の一端側の位置を揃えており、短手壁8は長手壁6,7と直交方向に延在している。
【0017】
短手壁9は、長手壁6の該他端側から短手壁8と平行方向に延出している。短手壁9の長さは短手壁8よりも小さい。短手壁11は、長手壁7の他端側から長手壁6に向って延出している。短手壁9,11の長さの合計は、短手壁8の長さと略同一である。連結壁10は、短手壁9,11の端部同士を連結している。連結壁10は、長手壁6,7と略平行である。短手壁8,9,11同士も略平行である。連絡壁10と短手壁11とは、枠状部5の1つのコーナー部から内方へ食い込んでいる。このため、枠状部5は、
図2の左右方向において非対称形状となるので、加飾部品3の左右方向を逆にしてホイール部2に取り付けることが防止される。
【0018】
長手壁6,7の長手方向の途中の内側面すなわち対向面には、スペーサ用凸部12,13が突設されている。短手壁8の長手方向の途中の内側面すなわち短手壁9,11に対面する側の面にスペーサ用凸部14が突設されている。各凸部12,13,14は、板状部4から起立し、各壁6,7,8の立設方向先端にまで達している。
【0019】
板状部4と枠状部5とで囲まれた部分が接着剤の収容部を構成している。
【0020】
ホイール部2の外周面には、枠状部5に合致した枠形の凹部2bが設けられており、該凹部2bで囲まれた部分がテーブル状部分2Tとなっている。また、ホイール部2の外周面には、板状部4の厚さと略同一深さの凹陥部2aが設けられている。
【0021】
この加飾部品3をホイール部2に接着するには、
図4の通り、枠状部5の内側である該接着剤収容部に接着剤Aを充填する。この際、接着剤Aを枠状部5の上端と面一となるようにスリ切り状に充填する。これにより、接着剤Aは接着剤収容部の容積分だけ加飾部品3に担持される。
【0022】
この接着剤担持加飾部品3の枠状部5を凹部2bに差し込むと共に、板状部4を凹陥部2aに嵌合させる。そうすると、凹部2bで囲まれたテーブル状部分2Tが枠状部5内に入り込み、接着剤Aが収容部内から押し出され、凹部2bと各壁6~11との間の隙間に密実に充填されると共に、テーブル状部分2Tと板状部4との間にも接着剤が密実に残留する。さらに、凹部2bを回り込んだ接着剤は、枠状部5よりも外周側の板状部4と凹部2bの外周側の凹陥部2aとの間にも入り込む。
【0023】
このように、板状部4の背面側の全体だけでなく、各壁6~11と凹部2bの内面との間にも万遍なく接着剤Aが充填され、各壁6~11がアンカーのように作用するので、加飾部品3がホイール部2に強固に接着される。この接着剤Aの充填量は、正確に接着剤収容部の容積に合致するので、接着剤不足となったり、余剰な接着剤がはみ出したりすることがない。この実施の形態では、枠状部5に凸部12,13,14を設けているので、凹部2bの内面と各壁6~11との隙間を正確に所定間隔とすることができる。
【0024】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。例えば、加飾部品1はホイール部に2箇所以上設けられてもよい。また、スペーサ用凸部は壁6~11の外面に設けられてもよい。板状部は図示以外の形状とされてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 ステアリングホイール
2 ホイール部
2a 凹部
2T テーブル状部分
3 加飾部品
4 板状部
5 枠状部
6,7 長手壁
8,9,11 短手壁
10 連結壁
12,13,14 凸部