(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】配送計画作成装置、配送計画作成方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20220419BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220419BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018089708
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【氏名又は名称】渥美 元幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126538
【氏名又は名称】嶺 直道
(72)【発明者】
【氏名】矢野 純史
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-058345(JP,A)
【文献】特開2003-044702(JP,A)
【文献】特開2002-149766(JP,A)
【文献】特開2004-062490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0033058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、
少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、
取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、
取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、
作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部と、を備え
、
前記移動経路情報は、前記ユーザの移動完了時刻、目的地及び移動手段を含み、
前記配送計画作成部は、前記移動経路情報および前記突発事象に基づいて、前記ユーザが前記移動完了時刻までに前記目的地に移動可能かを判断し、移動不可能と判断した場合に、前記ユーザを前記移動経路情報に含まれる前記移動手段とは異なる移動手段である前記車両により前記目的地に配送する前記配送計画を作成する、配送計画作成装置。
【請求項2】
前記移動経路情報取得部は、複数の前記ユーザの各々の前記移動経路情報を取得し、
前記突発事象検知部は、前記ユーザごとに、前記突発事象を検知し、
前記配送計画作成部は、前記ユーザごとに、前記配送計画を作成し、
前記配送計画通知部は、前記ユーザごとに、作成された前記配送計画を当該ユーザに通知する、請求項1に記載の配送計画作成装置。
【請求項3】
前記配送計画作成部は、
前記ユーザが前記移動経路情報に従って前記移動完了時刻までに前記目的地に移動不可能と判断した場合に、前記移動経路の少なくとも一部が共通
し、かつ、各前記ユーザの前記移動経路情報に含まれる前記移動完了時刻までに前記目的地に移動不可能と判断された複数の前記ユーザを集約した前記配送計画を作成する、請求項2に記載の配送計画作成装置。
【請求項4】
前記配送計画作成部は、前記ユーザごとの相乗りの許否に関する情報に基づいて、複数の前記ユーザを集約可能か否かを判断する、請求項3に記載の配送計画作成装置。
【請求項5】
前記配送計画作成部は、前記車両による配送区間の少なくとも一部が共通する複数の前記ユーザのうち少なくとも一人が相乗りを拒否する場合には、拒否するユーザを除いて前記配送計画を作成しなおす、請求項4に記載の配送計画作成装置。
【請求項6】
前記突発事象検知部は、前記外部環境情報に基づいて、突発事象を検知し、前記移動経路情報に基づいて、検知した前記突発事象の中から、ユーザの移動経路上に発生した前記突発事象を検知する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の配送計画作成装置。
【請求項7】
前記外部環境情報は、道路交通情報、鉄道情報および天候情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の配送計画作成装置。
【請求項8】
コンピュータによる配送計画作成方法であって、
外部環境情報を取得するステップと、
少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得するステップと、
取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知するステップと、
取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成するステップと、
作成された前記配送計画を前記ユーザに通知するステップと、を含
み、
前記移動経路情報は、前記ユーザの移動完了時刻、目的地及び移動手段を含み、
前記配送計画を作成するステップでは、前記移動経路情報および前記突発事象に基づいて、前記ユーザが前記移動完了時刻までに前記目的地に移動可能かを判断し、移動不可能と判断した場合に、前記ユーザを前記移動経路情報に含まれる前記移動手段とは異なる移動手段である前記車両により前記目的地に配送する前記配送計画を作成する、配送計画作成方法。
【請求項9】
コンピュータを、
外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、
少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、
取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、
取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、
作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部
として機能させるためのコンピュータプログラム
であって、
前記移動経路情報は、前記ユーザの移動完了時刻、目的地及び移動手段を含み、
前記配送計画作成部は、前記移動経路情報および前記突発事象に基づいて、前記ユーザが前記移動完了時刻までに前記目的地に移動可能かを判断し、移動不可能と判断した場合に、前記ユーザを前記移動経路情報に含まれる前記移動手段とは異なる移動手段である前記車両により前記目的地に配送する前記配送計画を作成する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送計画作成装置、配送計画作成方法およびコンピュータプログラムに関し、特に、ライドシェアのための配送計画作成装置、配送計画作成方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人は、普段の生活の中で、それぞれのライフスタイルに合った移動手段を選択し、多くはその手段を繰り返し活用している。例えば、通勤であれば電車や自動車などを利用し、通学であれば電車や自転車などを利用し、保育園の送り迎えであれば自転車などを利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公共交通機関の遅延により通勤または通学等に影響が出たり、天候状況悪化により保育園の送り迎えや通学に利用する自転車運転に影響が出たりする場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような場合、それぞれの影響を受け入れて、通常通りの移動手段を利用することも考えられるが、決して精神衛生上好ましいものではない。
【0006】
また、普段利用している移動手段以外の代替移動手段を探すのには煩雑な手続きを必要とすることもある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザに対して代替移動手段を提供することのできる配送計画作成装置、配送計画作成方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明の一実施態様に係る配送計画作成装置は、外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部と、を備える。
【0009】
(8)本発明の他の実施態様に係る配送計画作成方法は、コンピュータによる配送計画作成方法であって、外部環境情報を取得するステップと、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得するステップと、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知するステップと、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成するステップと、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知するステップと、を含む。
【0010】
(9)本発明の他の実施態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部と、して機能させる。
【0011】
本発明は、配送計画作成装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、配送計画作成装置を含むシステムとして実現したりすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ユーザの移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザに対して代替移動手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るライドシェア提供システムの構成を示す図である。
【
図2】ライドシェア提供システムにおけるデータの流れを示す図である。
【
図3】配送計画作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】配送計画作成装置とユーザが利用する携帯端末との間で事前に行われる移動経路情報の登録処理を示すシーケンス図である。
【
図5】記憶部に記憶された移動経路情報の一例を示す図である。
【
図6】配送計画作成装置によるライドシェアの提供処理を示すフローチャートである。
【
図7】ライドシェア提供システムの運用例を示すシーケンス図である。
【
図8】ライドシェア提供システムの運用例を示すシーケンス図である。
【
図9】ライドシェア提供システムの運用例を示すシーケンス図である。
【
図10】配送対象のユーザの自宅および目的地を含む地図を示す図である。
【
図11】配送計画毎に、各ユーザが目的地に到着するまでの所要時間を示す図である。
【
図12】ユーザの携帯端末に表示される、配送計画に従ったメッセージ例を示す図である。
【
図13】ユーザの携帯端末に表示される、配送計画に従ったメッセージ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本願発明の実施形態の概要]
最初に本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態に係る配送計画作成装置は、外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部と、を備える。
【0015】
この構成によると、ユーザの移動経路上に移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザを車両で配送する配送計画を作成し、配送計画をユーザに通知することができる。例えば、悪天候により自転車での移動が困難な場合には、自転車で移動するユーザに対して、車両による目的地までの配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。また、電車の遅延が発生している場合には、電車で移動するユーザに対して、移動経路上の途中駅または目的地までの車両による配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。さらに、交通事故による交通規制が発生している場合には、交通規制発生区間を避けて目的地まで移動するための配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。通知された配送計画を受け入れたユーザは、車両による配送のサービスを受けることができる。このため、ユーザの移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザに対して代替移動手段を提供することができる。
【0016】
(2)好ましくは、前記移動経路情報取得部は、複数の前記ユーザの各々の前記移動経路情報を取得し、前記突発事象検知部は、前記ユーザごとに、前記突発事象を検知し、前記配送計画作成部は、前記ユーザごとに、前記配送計画を作成し、前記配送計画通知部は、前記ユーザごとに、作成された前記配送計画を当該ユーザに通知する。
【0017】
この構成によると、複数のユーザに対して、ユーザごとに配送計画を作成し、通知することができる。つまり、移動経路情報の異なるユーザそれぞれに対して、適切な配送計画を作成し、通知することができる。このため、ユーザごとに、適切な代替移動手段を提供することができる。
【0018】
(3)さらに好ましくは、前記配送計画作成部は、前記移動経路の少なくとも一部が共通する複数の前記ユーザを集約した前記配送計画を作成する。
【0019】
この構成によると、移動経路の少なくとも一部が共通する複数のユーザを同じ車両で配送する配送計画を作成することができる。これにより、複数のユーザを効率的に配送することができる。また、ユーザ一人当たりの配送に要するエネルギーコストを低減させることができる。
【0020】
(4)さらに好ましくは、前記配送計画作成部は、前記ユーザごとの相乗りの許否に関する情報に基づいて、複数の前記ユーザを集約可能か否かを判断する。
【0021】
相乗りを希望しないユーザもいる。この構成によると、相乗りを許容できるユーザを集約して同じ車両で配送することができる。これにより、ユーザの要望に合致した適切な代替移動手段を提供することができる。
【0022】
(5)さらに好ましくは、前記配送計画作成部は、前記車両による配送区間の少なくとも一部が共通する複数の前記ユーザのうち少なくとも一人が相乗りを拒否する場合には、拒否するユーザを除いて前記配送計画を作成しなおす。
【0023】
この構成によると、相乗りを希望しないユーザに対しては、運転者以外の搭乗者がいない車両による配送計画を作成することができる。これにより、ユーザの要望に合致した適切な代替移動手段を提供することができる。
【0024】
(6)また、前記突発事象検知部は、前記外部環境情報に基づいて、突発事象を検知し、前記移動経路情報に基づいて、検知した前記突発事象の中から、ユーザの移動経路上に発生した前記突発事象を検知してもよい。
【0025】
この構成によると、移動経路に関連しない広いエリア内での突発事象を検知し、検知した突発事象の中から、ユーザの移動経路上に発生した突発事象を絞り込むことができる。このように段階的に突発事象を絞り込むことにより、効率的に各ユーザに対する突発事象を検知することができる。
【0026】
(7)また、前記外部環境情報は、道路交通情報、鉄道情報および天候情報のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0027】
この構成によると、交通事故、鉄道遅延、悪天候などによりユーザが移動の制限を受ける場合に、ユーザに対して配送計画を通知することができる。これにより、ユーザに対して代替移動手段を提供することができる。
【0028】
(8)本発明の他の実施形態に係る配送計画作成方法は、コンピュータによる配送計画作成方法であって、外部環境情報を取得するステップと、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得するステップと、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知するステップと、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成するステップと、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知するステップと、を含む。
【0029】
この構成は、上述の配送計画作成装置が備える主な処理部に対応するステップを含む。このため、上述の配送計画作成装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0030】
(9)本発明の他の実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、外部環境情報を取得する外部環境情報取得部と、少なくともユーザの移動経路を示す前記ユーザの移動に関する情報である移動経路情報を取得する移動経路情報取得部と、取得された前記外部環境情報および前記移動経路情報に基づいて、前記ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する突発事象検知部と、取得された前記移動経路情報および検知された前記突発事象に基づいて、前記ユーザを車両で配送する配送計画を作成する配送計画作成部と、作成された前記配送計画を前記ユーザに通知する配送計画通知部と、して機能させる。
【0031】
この構成によると、コンピュータを上述の配送計画作成装置として機能させることができる。このため、上述の配送計画作成装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0032】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0033】
<ライドシェア提供システムの全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るライドシェア提供システムの構成を示す図である。
【0034】
図1を参照して、ライドシェア提供システム10は、ユーザにライドシェアを提供するシステムであって、道路交通情報管理サーバ1と、鉄道情報管理サーバ2と、天候情報管理サーバ3と、配送計画作成装置4と、携帯端末5および6とを備える。これらの装置は、有線または無線によりインターネット等のネットワークに接続する機能を有し、ネットワークを介して相互に接続される。
【0035】
ライドシェアとは、自動車の相乗りの需要をマッチングさせるためのサービスを指す。例えば、ライドシェアにおいては、自動車の運転者と、移動手段として自動車に乗りたいユーザとを結びつけるためのサービスが提供される。
【0036】
道路交通情報管理サーバ1は、高速道路や一般道路などの各種道路で発生した渋滞、交通事故、交通規制などを示す道路交通情報を管理する。道路交通情報管理サーバ1は、例えば、交通管制センターなどに設置される。
【0037】
鉄道情報管理サーバ2は、鉄道路線で発生した列車遅延、鉄道事故、列車運休などを示す鉄道情報を管理する。鉄道情報管理サーバ2は、例えば、各鉄道会社などに設置される。
【0038】
天候情報管理サーバ3は、天気、気温、風速などの天候情報を管理する。天候情報管理サーバ3は、例えば、天気予報を行う公的施設または民間施設に設置される。
【0039】
配送計画作成装置4は、道路交通情報管理サーバ1、鉄道情報管理サーバ2および天候情報管理サーバ3からそれぞれ提供される道路交通情報、鉄道情報および天候情報と、ユーザの移動経路を示す移動経路情報とに基づいて、ユーザの移動を妨げる突発事象が発生したか否かを判断する。配送計画作成装置4は、突発事象が発生したと判断した場合には、当該突発事象により影響を受けるユーザのために、ライドシェアを利用した自動車の配送計画を作成し、該ユーザに通知する。また、配送計画作成装置4は、ライドシェアを提供する自動車の運転者に対して、配送計画で示される場所および時間に基づく配車を指示する
【0040】
携帯端末5は、ライドシェアの提供を受けるユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどの端末装置である。ライドシェアを利用するユーザは複数存在する。このため、携帯端末5も複数存在する。ただし、複数のユーザが1台の携帯端末5を共有してもよい。
【0041】
携帯端末6は、ライドシェアの提供を行う自動車の運転者が利用するスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどの端末装置である。ライドシェアを提供する運転者は複数存在する。このため、携帯端末6も複数存在する。ただし、複数の運転者が1台の携帯端末6を共有してもよい。なお、携帯端末6は、自動車に設置された車載装置であってもよい。
【0042】
図2は、ライドシェア提供システム10におけるデータの流れを示す図である。
道路交通情報管理サーバ1は、配送計画作成装置4に対して道路交通情報を送信する。道路交通情報管理サーバ1は、所定の周期(例えば、10分毎)で道路交通情報を送信してもよいし、配送計画作成装置4から道路交通情報の送信要求信号を受信した場合に、当該信号に応答して道路交通情報を送信してもよい。
【0043】
鉄道情報管理サーバ2は、配送計画作成装置4に対して鉄道情報を送信する。鉄道情報管理サーバ2は、所定の周期(例えば、15分毎)で鉄道情報を送信してもよいし、配送計画作成装置4から鉄道情報の送信要求信号を受信した場合に、当該信号に応答して鉄道情報を送信してもよい。
【0044】
天候情報管理サーバ3は、配送計画作成装置4に対して天候情報を送信する。天候情報管理サーバ3は、所定の周期(例えば、1時間毎)で天候情報を送信してもよいし、配送計画作成装置4から天候情報の送信要求信号を受信した場合に、当該信号に応答して天候情報を送信してもよい。
【0045】
携帯端末5は、配送計画作成装置4に対してユーザの移動経路情報を送信することにより、ユーザの移動経路情報を配送計画作成装置4に登録する。移動経路情報は、ユーザの移動開始時刻、移動完了時刻、出発地、目的地、移動手段を含む情報であり、例えば、ユーザが、通勤、通学、送り迎え等に利用する移動経路を示す情報である。
【0046】
配送計画作成装置4は、道路交通情報管理サーバ1、鉄道情報管理サーバ2および天候情報管理サーバ3からそれぞれ受信した道路交通情報、鉄道情報および天候情報と、携帯端末5から登録された移動経路情報とに基づいて、ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する。配送計画作成装置4は、検知した突発事象と移動経路情報とに基づいて、ユーザを自動車などの車両で配送する配送計画を作成する。配送計画作成装置4は、作成した配送計画を示す配送計画情報を、ライドシェアを受けるユーザの携帯端末5に送信する。また、配送計画作成装置4は、作成した配送計画に基づく配車の指示を示す配車指示情報を、ライドシェアを提供する自動車の運転者の携帯端末6に送信する。
【0047】
<配送計画作成装置4の構成>
図3は、配送計画作成装置4の構成を示すブロック図である。
配送計画作成装置4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。配送計画作成装置4は、通信部41と、記憶部42と、移動経路情報取得部43と、外部環境情報取得部44と、突発事象検知部45と、配送計画作成部46と、配送計画通知部47と、配車指示部48とを備える。
【0048】
通信部41は、配送計画作成装置4をネットワークに接続するための通信インタフェースを含んで構成され、ネットワークを介して他装置と各種データの送受信を行う。
【0049】
記憶部42は、ROM、RAM、HDD(Hard Disk Drive)などにより構成され、配送計画作成装置4で実行されるコンピュータプログラムや、各種データを記憶する。
【0050】
以下に説明する各処理部43~48は、記憶部42に記憶されているコンピュータプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能的な処理部である。
【0051】
移動経路情報取得部43は、通信部41を介して、携帯端末5から移動経路情報を取得する。移動経路情報取得部43は、取得した移動経路情報を、記憶部42に記憶させる。
【0052】
外部環境情報取得部44は、通信部41を介して、道路交通情報管理サーバ1、鉄道情報管理サーバ2および天候情報管理サーバ3から、それぞれ、道路交通情報、鉄道情報および天候情報を取得する。道路交通情報、鉄道情報および天候情報などを総称して外部環境情報という。なお、外部環境情報は、ユーザの移動に影響を与え得る環境情報であれば、道路交通情報、鉄道情報および天候情報に限られない。例えば、広域通信障害が発生した場合には自動運転車やコネクティッドカーでの走行が困難になる場合が想定される。このため、このような自動車で移動するユーザにとっては、通信障害情報が外部環境情報となり得る。また、電気自動車の充電残量が少ない場合には目的地に到達できない場合がある。このため、電気自動車で移動するユーザにとっては、電気自動車の充電残量情報が外部環境情報となり得る。外部環境情報取得部44は、取得した外部環境情報を、記憶部42に記憶させる。
【0053】
突発事象検知部45は、記憶部42に記憶されている移動経路情報および外部環境情報に基づいて、ユーザの移動経路に発生したユーザの移動を妨げる突発事象を検知する。例えば、突発事象検知部45は、移動経路情報および天候情報に基づいて、自転車で移動するユーザの移動経路上の悪天候を突発事象として検知する。また、突発事象検知部45は、移動経路情報および鉄道情報に基づいて、列車で移動するユーザの移動経路上の列車遅延を突発事象として検知する。さらに、突発事象検知部45は、移動経路情報および道路交通情報に基づいて、自動車で移動するユーザの移動経路上の走行規制を突発事象として検知する。なお、ここで挙げた突発事象は一例であり、ユーザの移動を妨げる事象であれば、その他の事象も突発事象とされる。突発事象検知部45は、検知した突発事象を示す突発事象情報を記憶部42に記憶させる。
【0054】
配送計画作成部46は、記憶部42に記憶されている移動経路情報および突発事象情報に基づいて、突発事象により移動の影響を受けるユーザを車両で配送するための配送計画を作成する。配送計画作成部46は、作成した配送計画を示す配送計画情報を記憶部42に記憶させる。
【0055】
配送計画通知部47は、記憶部42に記憶されている配送計画情報を、ユーザが利用する携帯端末5に通信部41を介して送信することにより、配送計画をユーザに通知する。配送計画に従うユーザは、配送計画に従って配車を待つこととなる。
【0056】
配車指示部48は、記憶部42に記憶されている配送計画情報に基づいて、配車の指示を示す配車指示情報を、ライドシェアを提供する自動車の運転者が利用する携帯端末6に、通信部41を介して送信することにより、運転者に配車指示を行う。配車指示を受けた運転者は、配送指示が示す時刻および場所に自動車を配車し、配車指示が示す目的地までユーザを運送する。
【0057】
<移動経路情報の登録処理について>
図4は、配送計画作成装置4とユーザが利用する携帯端末5との間で事前に行われる移動経路情報の登録処理を示すシーケンス図である。
【0058】
携帯端末5は、ユーザが利用する移動経路を示す移動経路情報を、配送計画作成装置4に送信する(S1)。例えば、ユーザは、携帯端末5を操作して、ユーザが通勤や通学等で日常的に利用する移動経路を入力する。具体的には、ユーザは、移動経路として、移動開始時刻、移動完了時刻、出発地、目的地、移動手段などを入力する。携帯端末5は、入力された移動経路を示す移動経路情報を、配送計画作成装置4に送信する。なお、携帯端末5は、移動経路情報にユーザの識別情報(例えば、ユーザ名またはユーザ識別子)を含めて送信する。
【0059】
配送計画作成装置4の移動経路情報取得部43は移動経路情報を受信し、受信した移動経路情報を記憶部42に記憶させる(S2)。
【0060】
図5は、記憶部42に記憶された移動経路情報の一例を示す図である。
移動経路情報は、ユーザごとの移動経路を示し、ユーザ名、移動開始時刻、移動完了時刻、出発地、目的地、移動手段などの情報を含む。
【0061】
例えば、移動経路情報には、ユーザAは、平日8:20-8:40の間に自宅Aを出発し、自転車で移動し、9:00までにC保育園に到着しなければならないことが示されている。
【0062】
また、ユーザBは、平日8:30-8:45の間に自宅Bを出発し、自転車で移動し、9:00までにC保育園に到着しなければならないことが示されている。
【0063】
また、ユーザCは、平日8:30-8:35の間に自宅Cを出発し、X駅まで徒歩で移動し、9:00にX駅に到着し、9:10にX駅からK線の電車に乗り、Y駅に9:20に到着し、9:20から徒歩で移動し、9:30までにZ会社に到着しなければならないことが示されている。
【0064】
また、ユーザDは、平日6:30-6:35の間に自宅Dを出発し、自動車で移動し、7:30までにT会社に到着しなければならないことが示されている。
【0065】
なお、
図5に示した出発地および目的地には、各地点を一意に特定するための住所情報や位置情報(緯度および経度情報)が含まれていてもよい。
【0066】
図4に示した移動経路情報の登録処理は、移動経路が変更、追加された場合など、ユーザが所望する任意のタイミングで実行される。
【0067】
<ライドシェアの提供処理について>
図6は、配送計画作成装置4によるライドシェアの提供処理を示すフローチャートである。
【0068】
外部環境情報取得部44は、道路交通情報管理サーバ1、鉄道情報管理サーバ2および天候情報管理サーバ3から、外部環境情報として、道路交通情報、鉄道情報および天候情報をそれぞれ取得する(S11)。例えば、配送計画作成装置4は、ライドシェアを提供可能なサービスエリア内の外部環境情報を、所定の周期で取得する。
【0069】
突発事象検知部45は、取得された外部環境情報に基づいて、ユーザの移動に影響を及ぼす突発事象を検知する(S12)。例えば、突発事象検知部45は、道路交通情報に基づいて、サービスエリア内の道路で発生した渋滞、交通事故、交通規制を突発事象として検知する。また、突発事象検知部45は、鉄道情報に基づいて、サービスエリア内の鉄道路線で発生した列車遅延、鉄道事故、列車運休を突発事象として検知する。さらに、突発事象検知部45は、天候情報に基づいて、サービスエリア内の悪天候を突発事象として検知する。具体的には、突発事象検知部45は、雨量が雨量閾値以上の場合または風速が風速閾値以上の場合などに、悪天候と判断する。
【0070】
配送計画作成装置4は、突発事象を検知した場合に(S12でYES)、移動経路情報を事前に登録したユーザごとに、以下に説明するステップS13~S15の処理を繰り返し実行する(ループA)。
【0071】
つまり、突発事象検知部45は、ユーザの移動経路上に発生した突発事象を検知する(S13)。例えば、
図5に示したユーザAにおいて、自宅AからC保育園までの間に悪天候(例えば、雨量閾値以上の降雨)が発生している場合には、突発事象検知部45は、当該悪天候を、ユーザAに対する突発事象として検知する。また、ユーザDにおいて、自宅DからT会社までの移動経路上の道路において走行規制が発生している場合には、突発事象検知部45は、当該走行規制を、ユーザDに対する突発事象として検知する。
【0072】
突発事象を検知した場合には(S13でYES)、配送計画作成部46は、ユーザが突発事象に巻き込まれたとしても移動完了時刻までに移動可能か否かを判断する(S14)。例えば、配送計画作成部46は、
図5に示すユーザDについて、移動経路に交通渋滞が発生しているものの、交通渋滞による遅延は10分程度であり、経路計算を行うことにより、6:30-6:35の間に自宅Dを出発したとしても7:30にT会社に到着可能であると判断した場合には、移動完了時刻までに移動可能であると判断する。一方、配送計画作成部46は、
図5に示すユーザCについて、K線の電車に30分程度の遅れが生じており、経路計算を行うことにより、8:30-8:35の間に自宅Cを出発したのでは9:30までにZ会社に到着することができないと判断した場合には、移動完了時刻までに移動不可能であると判断する。
【0073】
配送計画作成部46は、移動完了時刻までに移動不可能であると判断した場合には(S14でNO)、ループAにおいて現在処理中のユーザを、ライドシェアの対象ユーザとして、記憶部42に登録する(S15)。つまり、配送計画作成部46は、対象ユーザの識別情報を記憶部42に記憶させる。
【0074】
ループAの処理を実行することにより、突発事象により移動完了時刻までに目的地に到着できない対象ユーザの識別情報が記憶部42に記憶されることになる。
【0075】
配送計画作成部46は、記憶部42に登録された対象ユーザの中から、移動経路の少なくとも一部が共通する対象ユーザ、つまり、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザを集約する(S16)。つまり、配送計画作成部46は、対象ユーザに対応する移動経路情報を記憶部42から読み出し、読み出した移動経路情報に基づいて、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザを集約する。例えば、
図5に示したユーザA~Dを対象ユーザとする場合には、ユーザAおよびBは、8時台に同じC保育園に向かって移動する。また、自宅Aおよび自宅BとC保育園との位置関係より、同じ方向に向かって移動するものとする。このような場合に、配送計画作成部46は、ユーザAおよびBを、同じ自動車により配送するユーザとして集約する。
【0076】
配送計画作成部46は、対象ユーザそれぞれを、ライドシェアを利用して移動完了時刻までに目的地に配送するための配送計画を作成する(S17)。この際、配送計画作成部46は、集約処理(S16)で集約された対象ユーザについては、同じ自動車で配送するための配送計画を作成する。これにより、集約された対象ユーザについては、配送区間の少なくとも一部が共通する配送計画が作成される。なお、配送計画作成部46は、集約された対象ユーザの全てを移動完了時刻までに配送する配送計画の作成が不可能であると判断した場合には、移動完了時刻までに配送が可能となるまで、集約された対象ユーザを複数の組に分離して、各組ごとに配送計画を作成しなおす。
【0077】
配送計画作成部46は、例えば、出発地、目的地、移動開始時刻、移動完了時刻、各交通機関の移動時間、ライドシェアを提供する車両の位置等を制約条件とし、対象ユーザの移動時間をコストとするコスト最小化問題を解くことにより、配送計画を作成することができる。なお、対象ユーザ移動距離をコストとすることもできるし、対象ユーザの移動時間および移動距離を組み合わせた値をコストとすることもできる。
【0078】
配送計画通知部47は、配送計画作成部46が作成した配送計画を示す配送計画情報を、各対象ユーザの携帯端末5に送信することにより、各対象ユーザに配送計画を通知する(S18)。通知を受けた対象ユーザは、配送計画による配送を許可するか否かを示す許否情報を携帯端末5に入力する。携帯端末5は、入力された当該許否情報を配送計画作成装置4に送信する。例えば、他ユーザとの相乗りによる配送計画を通知された対象ユーザが相乗りを拒否する場合には、携帯端末5は、相乗りを理由として配送計画を拒否することを示す許否情報を、配送計画作成装置4に送信する。また、対象ユーザが自動車による配送区間の変更を希望する場合には、携帯端末5は、配送区間の希望との不適合を理由として配送計画を拒否することを示す許否情報を、配送計画作成装置4に送信する。
通信部41は、各携帯端末5から、許否情報を受信する(S19)。
【0079】
配送計画作成部46は、許否情報に基づいて、配送計画の変更を希望する対象ユーザが存在するか否かを判断する(S20)。
【0080】
配送計画の変更を希望する対象ユーザが存在する場合には(S20でYES)、配送計画作成部46は、当該対象ユーザの希望に沿うように、配送計画を作成しなおす(S17)。例えば、配送計画作成部46は、相乗りを希望しない対象ユーザについては、運転者以外の搭乗者が存在しないことを制約条件に追加して、配送計画を作成しなおす。また、配送計画作成部46は、相乗りを希望しない対象ユーザと当初相乗り予定であった他の対象ユーザについても、配送計画を作成しなおす。また、配送計画作成部46は、配送区間の変更を希望する対象ユーザについては、当該対象ユーザと集約可能な他の対象ユーザを集約した上で、当該対象ユーザが希望する配送区間を制約条件に追加して、配送計画を作成しなおす。
【0081】
配送計画の変更を希望する対象ユーザが存在しない場合には(S20でNO)、配車指示部48は、作成された配送計画に基づいて、配車の指示を示す配車指示情報を、ライドシェアを提供する自動車の運転者の携帯端末6に送信する(S21)。これにより、運転者に配車の指示を行う。配車指示を受けた運転者は、配送指示が示す時刻および場所に自動車を配車し、ユーザを配車指示が示す目的地まで配車する。
【0082】
以下、
図6に示したフローチャートに従って配送計画作成装置4が処理を行った場合の、ライドシェア提供システム10の運用例について説明する。
【0083】
<運用例その1>
図7は、ライドシェア提供システム10の運用例を示すシーケンス図である。
配送計画作成装置4の突発事象検知部45は、
図5に示すユーザAおよびBについて、自転車での移動が困難な悪天候を突発事象として検知する(S31)。
【0084】
配送計画作成部46は、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザであるユーザAおよびBを集約する(S32)。
【0085】
配送計画作成部46は、集約したユーザAおよびBの配送計画を作成する(S33)。例えば、配送計画作成部46は、ユーザAおよびBを同乗させ、自動車でC保育園まで配送する配送計画を作成する。具体的には、8:30にユーザAを自宅Aで乗車させ、自宅Bに向かい、8:35にユーザBを自宅Bで乗車させ、C保育園に向かい、8:45に到着する予定の配送計画が作成されたものとする。
【0086】
配送計画作成部46は、ユーザAの普段の移動開始時刻である8:20よりも前の8:15に、ユーザAが利用する携帯端末5(以下、「携帯端末A」という。)に対して、ユーザAの配送計画を送信する(S34)。携帯端末Aは、受信した配送計画に従い、「悪天候により自転車での移動は困難であるため8:30頃ご自宅へ配車いたします。C保育園への到着予定時刻は8:45です。」とのメッセージを画面に表示する。
【0087】
配送計画作成部46は、ユーザBの普段の移動開始時刻である8:30よりも前の8:15に、ユーザBが利用する携帯端末5(以下、「携帯端末B」という。)に対して、ユーザBの配送計画を送信する(S35)。携帯端末Bは、受信した配送計画に従い、「悪天候により自転車での移動は困難であるため8:35頃ご自宅へ配車いたします。C保育園への到着予定時刻は8:45です。」とのメッセージを画面に表示する。
【0088】
ユーザAおよびBは、いずれも配送計画を許可したものとする。つまり、携帯端末AおよびBは、それぞれ、配送計画を許可する許否情報を配送計画作成装置4に送信する(S36およびS37)。
【0089】
配車指示部48は、ユーザAおよびBの両方の許可を得たことより、作成した配送計画に基づいた配車を、ライドシェアを提供する運転者の利用する携帯端末6に送信することで、配車を指示する(S38)。
【0090】
<運用例その2>
図8は、ライドシェア提供システム10の運用例を示すシーケンス図である。
配送計画作成装置4の突発事象検知部45は、
図5に示すユーザCについて、ユーザCが利用する電車のK線において発生した遅延を突発事象として検知する(S41)。
【0091】
配送計画作成部46は、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザを集約する(S42)。例えば、配送計画作成部46は、K線の同じ電車を利用する対象ユーザを集約する。ここでは、ユーザCのみが集約されたものとする。
【0092】
配送計画作成部46は、集約したユーザCの配送計画を作成する(S43)。例えば、配送計画作成部46は、ユーザの移動経路のうち、K線による電車移動の代わりに、ユーザCを自動車でX駅からY駅まで配送する配送計画を作成する。具体的には、9:05にユーザCをX駅で乗車させ、Y駅に向かい、9:20に到着する予定の配送計画が作成されたものとする。
【0093】
配送計画作成部46は、ユーザCの普段の移動開始時刻である8;30よりも前の8:20に、ユーザCが利用する携帯端末5(以下、「携帯端末C」という。)に対して、ユーザCの配送計画を送信する(S44)。携帯端末Cは、受信した配送計画に従い、「電車(K線)遅延のため9:05頃X駅に配車いたします。Y駅への到着予定時刻は9:20です。」とのメッセージを画面に表示する。
【0094】
しかし、ユーザCは、配送計画を不服とし、自宅からZ会社までの配送を希望したものとする。つまり、携帯端末Cは、配送計画を拒否する情報とともに、配送区間を自宅からZ会社までに変更する区間変更要請を含む許否情報を配送計画作成装置4に送信する(S45)。
【0095】
配送計画作成部46は、ユーザCの配送区間が変更となったことより、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザの集約を行った結果、ユーザCを集約する(S46)。
【0096】
配送計画作成部46は、区間変更要請に従った配送計画を作成しなおす(S47)。例えば、9:00にユーザCを自宅Cで乗車させ、Z会社へ向かい、9:30に到着する予定の配送計画が作成されたものとする。
【0097】
配送計画作成部46は、ユーザCの普段の移動開始時刻である8:30よりも前の8:25に、携帯端末Cに対して、作成しなおしたユーザCの配送計画を送信する(S48)。携帯端末Cは、受信した配送計画に従い、「電車(K線)遅延のため9:00頃ご自宅に配車いたします。Z会社への到着予定時刻は9:30です。」とのメッセージを画面に表示する。
【0098】
ユーザCは、作成しなおされた配送計画を許可したものとする。つまり、携帯端末Cは、配送計画を許可する許否情報を配送計画作成装置4に送信する(S49)。
【0099】
配車指示部48は、ユーザCの許可を得たことより、作成した配送計画に基づいた配車を、ライドシェアを提供する運転者の利用する携帯端末6に送信することで、配車を指示する(S50)。
【0100】
<運用例その3>
図9は、ライドシェア提供システム10の運用例を示すシーケンス図である。
配送計画作成装置4の突発事象検知部45は、
図5に示すユーザDについて、ユーザが走行する予定の道路J線の区間m-nにおいて発生した走行規制を突発事象として検知する(S51)。
【0101】
配送計画作成部46は、同時間帯に同方向に移動する対象ユーザを集約する(S52)。例えば、配送計画作成部46は、ユーザDが区間m-nを通過するであろう時間帯の前後10分間の時間帯に、区間m-nを通過する予定の対象ユーザを集約する。ここでは、ユーザDのみが集約されたものとする。
【0102】
配送計画作成部46は、集約したユーザDの配送計画を作成する(S53)。例えば、配送計画作成部46は、ユーザDを自動車、電車および徒歩でT会社まで配送する配送計画を作成する。具体的には、6:40にユーザDを自宅Dで自動車に乗車させ、c駅まで向かい、c駅で降車させ、その後は、c駅からd駅まで電車で移動させ、d駅からT会社まで徒歩で移動させる配送計画が作成されたものとする。
【0103】
配送計画作成部46は、ユーザDの普段の移動開始時刻である6:30よりも前の6:20に、ユーザDが利用する携帯端末5(以下、「携帯端末D」という。)に対して、ユーザDの配送計画を送信する(S54)。携帯端末Dは、受信した配送計画に従い、「道路J線 区間m-nで事故による走行規制発生のため7:30までにT会社に到着することは困難です。自宅→c駅,c駅→d駅,d駅→T会社の経路であれば、自宅6:40発で7:30にT会社へ到着可能です。ご自宅に配車いたしますか?」とのメッセージを画面に表示する。
【0104】
ユーザDは、配送計画を許可したものとする。つまり、携帯端末Dは、配送計画を許可する許否情報を配送計画作成装置4に送信する(S55)。
【0105】
配車指示部48は、ユーザDの許可を得たことより、作成した配送計画に基づいた配車を、ライドシェアを提供する運転者の利用する携帯端末6に送信することで、配車を指示する(S56)。
【0106】
<配送計画の作成例>
図10~
図13を参照して、配送計画作成装置4の配送計画作成部46による配送計画の作成例について説明する。
【0107】
図10は、配送対象のユーザの自宅および目的地を含む地図を示す図である。ここで、地点A~Fは、交差点を示している。ユーザGの自宅は、車両が地点Aに移動する途中に存在し、ユーザHの自宅は地点Bと地点Dとの間に存在する。
【0108】
例えば、ユーザGの目的地は目的地1であり、到着完了時刻は9:10であるとする。また、ユーザHの目的地は目的地2であり、到着完了時刻は9:20であるとする。このとき、配送計画作成部46は、車両7によるユーザGおよびユーザHの配送計画として、地点A→地点B→地点D→地点C→目的地2→地点E→地点F→目的地1の順で各ユーザを配送する配送計画1と、地点A→地点B→地点D→目的地1→地点F→地点E→目的地2の順で各ユーザを配送する配送計画2とを算出する。
【0109】
また、地点間の移動時間は、
図10に示すとおりである。例えば、ユーザGの自宅から地点Aまでの移動時間は5分である。また、地点Fから地点Eまでの移動時間は5分であり、地点Eから地点Fまでの移動時間は10分である。配送計画作成部46は、各ユーザの自宅から目的地までの移動経路の移動時間を積算することにより、各ユーザが目的地に到着するまでの所要時間を算出する。
【0110】
図11は、配送計画毎に、各ユーザが目的地に到着するまでの所要時間を示す図である。
図11に示すように、配送計画1に従うと、ユーザGおよびユーザHの所要時間は、それぞれ、70分および35分である。一方、配送計画2に従うと、ユーザGおよびユーザHの所要時間は、それぞれ、25分および25分である。例えば、移動時間の和をコストとした場合には、配送計画1のコストは105分であり、配送計画2のコストは50分であり、配送計画2の方が低コストである。このため、配送計画作成部46は、配送計画として配送計画2を採用する。
【0111】
図12は、ユーザGの携帯端末5に表示される、配送計画2に従ったメッセージ例を示す図である。
【0112】
ユーザGの携帯端末5には、例えば、「悪天候により自転車での移動は困難であるため8:35頃ご自宅へ配車いたします。目的地1への到着予定時刻は9:00です。」とのメッセージが表示される。
【0113】
図13は、ユーザHの携帯端末5に表示される、配送計画2に従ったメッセージ例を示す図である。
【0114】
ユーザHの携帯端末5には、例えば、「悪天候により自転車での移動は困難であるため8:50頃ご自宅へ配車いたします。目的地1への到着予定時刻は9:15です。」とのメッセージが表示される。
【0115】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、配送計画作成装置4は、ユーザの移動経路上に移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザを車両で配送する配送計画を作成し、配送計画をユーザに通知することができる。例えば、悪天候により自転車での移動が困難な場合には、配送計画作成装置4は、自転車で移動するユーザに対して、車両による目的地までの配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。また、電車の遅延が発生している場合には、配送計画作成装置4は、電車で移動するユーザに対して、移動経路上の途中駅または目的地までの車両による配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。さらに、交通事故による交通規制が発生している場合には、配送計画作成装置4は、交通規制発生区間を避けて移動するための配送計画を作成し、ユーザに通知することができる。通知された配送計画を受け入れたユーザは、車両による配送のサービスを受けることができる。このため、ユーザの移動を妨げる突発事象が発生した場合に、ユーザに対して代替移動手段を提供することができる。
【0116】
なお、配送計画作成装置4は、ユーザごとに配送計画を作成し、通知することができる。つまり、配送計画作成装置4は、移動経路情報の異なるユーザそれぞれに対して、適切な配送計画を作成し、通知することができる。このため、ユーザごとに、適切な代替移動手段を提供することができる。
【0117】
また、配送計画作成装置4は、移動経路の少なくとも一部が共通する複数のユーザを同じ車両で配送する配送計画を作成することができる。これにより、複数のユーザを効率的に配送することができる。また、ユーザ一人当たりの配送に要するエネルギーコストを低減させることができる。
【0118】
なお、ユーザによっては、相乗りを希望しない。このような場合には、配送計画作成装置4は、相乗りを拒否するユーザを除いて、配送計画を作成しなおす。これにより、相乗りを許容できるユーザを集約して同じ車両で配送することができる。また、相乗りを希望しないユーザに対しては、当該希望に従った配送計画を作成しなおし、運転者以外の搭乗者がいない車両で配送することができる。よって、ユーザの要望に合致した適切な代替移動手段を提供することができる。
【0119】
また、配送計画作成装置4は、移動経路に関連しない広いエリア内での突発事象を検知し、検知した突発事象の中から、ユーザの移動経路上に発生した突発事象を絞り込んでいる。このように段階的に突発事象を絞り込むことにより、効率的に各ユーザに対する突発事象を検知することができる。
【0120】
また、外部環境情報は、道路交通情報、鉄道情報および天候情報のうちの少なくとも1つを含んでいる。このため、交通事故、鉄道遅延、悪天候などによりユーザが移動の制限を受ける場合に、ユーザに対して配送計画を通知することができる。これにより、ユーザに対して代替移動手段を提供することができる。
【0121】
[付記]
以上、本発明の実施の形態に係るライドシェア提供システム10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0122】
例えば、配送計画作成装置4を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSIから構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMまたはRAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0123】
また、配送計画作成装置4で動作させるコンピュータプログラムをコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、HDD、CD-ROM、半導体メモリなどに記録して流通させてもよい。
【0124】
また、上記コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、配送計画作成装置4は、複数の装置により実現されてもよい。
【0125】
また、配送計画作成装置4の一部または全部の機能がクラウドコンピューティングによって提供されてもよい。つまり、配送計画作成装置4の一部または全部の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。例えば、配送計画作成装置4において、外部環境情報取得部44および突発事象検知部45の機能がクラウドサーバにより実現され、配送計画作成装置4は、クラウドサーバに対して、移動経路情報を送信し、クラウドサーバから、移動経路上に発生した突発事象情報を受信する構成であってもよい。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 道路交通情報管理サーバ
2 鉄道情報管理サーバ
3 天候情報管理サーバ
4 配送計画作成装置
5 携帯端末
6 携帯端末
7 車両
10 ライドシェア提供システム
41 通信部
42 記憶部
43 移動経路情報取得部
44 外部環境情報取得部
45 突発事象検知部
46 配送計画作成部
47 配送計画通知部
48 配車指示部