(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】画像形成装置及び検査基準画像生成方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20220419BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220419BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220419BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 105
G03G21/00 510
G03G21/00 500
G03G21/00 386
H04N1/00 002A
(21)【出願番号】P 2018113252
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 允宣
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-116061(JP,A)
【文献】特開2014-146859(JP,A)
【文献】特開2006-234554(JP,A)
【文献】特開2010-151606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0114220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
B41J 29/00-29/70
G03G 21/00-21/20
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスタ画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙を読み取って、ジョブにおいて前記ラスタ画像に基づいて前記画像形成手段により形成される画像の検査基準画像の候補となる検査基準画像候補を生成する画像読取手段と、
前記ラスタ画像と前記検査基準画像候補の比較に基づいて、前記検査基準画像候補の異常検出を行う異常検出手段と、
前記検査基準画像候補から異常が検出された場合に、前記検出された異常に基づいて、前記検査基準画像候補の異常修復難度を算出する異常修復難度算出手段と、
前記検査基準画像候補における異常修復方法を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された異常修復方法に基づいて前記検査基準画像候補の異常の修復を行う修復手段と、を備え、
前記設定手段は、前記算出された異常修復難度が予め定められた閾値を超えている場合に、前記異常修復方法として、前記ラスタ画像に基づく検査基準画像候補の再生成を設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記異常修復難度算出手段は、前記異常検出手段により検出された異常個所の数に基づいて、前記異常修復難度を算出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異常修復難度算出手段は、前記異常検出手段により検出された異常個所のパターンの複雑度に基づいて、前記異常修復難度を算出する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記修復手段により異常修復が行われた前記検査基準画像候補に対して再度異常検出を行う請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記ラスタ画像に基づく前記検査基準画像候補の再生成を含む予め定められた複数の異常修復方法の中からいずれかを設定する請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の異常修復方法の一つは、前記検査基準画像候補の異常個所を自動的に修復する自動修復である請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検査基準画像候補における異常個所を表示してユーザーに自動修復する異常個所を選択させる自動修復個所選択画面を表示手段に表示させる手段を備える請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の異常修復方法の一つは、前記検査基準画像候補の異常個所をユーザーの編集に応じて修復する手動修復である請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記異常検出手段は、前記修復手段により手動修復が行われた場合に、前記検査基準画像候補においてユーザーの編集が行われた個所にのみ再度異常検出を行う請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記異常検出手段によりユーザーの編集による修復後に異常が検出された場合に、検出された異常個所を表示手段に表示させる手段を備える請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記検査基準画像候補の異常個所とは異なる個所がユーザーにより編集された場合に、警告を行う警告手段を備える請求項8~10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記異常修復方法の選択肢を表示手段に表示させる手段を備え、
前記設定手段は、前記選択肢のうち選択された異常修復方法を最終的に前記修復手段において実施する異常修復方法として設定する請求項5~11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記修復手段により再度前記ラスタ画像に基づいて検査基準画像候補が生成し直された場合であって、前記生成し直された検査基準画像候補から前記異常検出手段により異常が検出された場合、前記修復手段は、生成し直す前の検査基準画像候補と前記生成し直した後の検査基準画像候補の正常領域を組み合わせて検査基準画像を生成する請求項1~12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記検査基準画像候補に検査対象外領域を設定する検査対象外領域設定手段を備え、
前記異常検出手段は、前記検査基準画像候補における前記検査対象外領域として設定された領域を異常検出の対象外とする請求項1~13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記異常検出手段により検出された異常個所を前記検査対象外領域として設定するか否かをユーザーに確認するための確認手段を備える請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記異常検出手段により異常が検出されなかった場合に、前記検査基準画像候補を検査基準画像として登録する登録手段を備える請求項1~15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記登録手段は、前記検査基準画像候補を前記ジョブの検査基準画像として登録する請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記登録手段は、前記検査基準画像候補を前記ジョブを複製した別のジョブの検査基準画像として登録する請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項19】
ラスタ画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段を備える画像形成装置における検査基準画像生成方法であって、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙を読み取って、ジョブにおいて前記ラスタ画像に基づいて前記画像形成手段により形成される画像の検査基準画像の候補となる検査基準画像候補を生成する画像読取工程と、
前記ラスタ画像と前記検査基準画像候補の比較に基づいて、前記検査基準画像候補の異常検出を行う異常検出工程と、
前記検査基準画像候補から異常が検出された場合に、前記検出された異常に基づいて、前記検査基準画像候補の異常修復難度を算出する異常修復難度算出工程と、
前記検査基準画像候補の異常修復方法を設定する設定工程と、
前記設定工程において設定された異常修復方法に基づいて前記検査基準画像候補の異常の修復を行う修復工程と、を含み、
前記設定工程は、前記算出された異常修復難度が予め定められた閾値を超えている場合に、前記異常修復方法として、前記ラスタ画像に基づく前記検査基準画像候補の再生成を設定する検査基準画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び検査基準画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物を撮像した画像を基準画像と比較してパターン検査する検査装置において、基準画像の作成時に、被検査物を撮像した仮基準画像と被検査物の設計データの相違点をユーザーに修正させて基準画像として登録する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、修正すべき個所が多い、修正すべき個所が複雑なパターンである等、仮基準画像の修復難度が高い場合は、ユーザーによる手動修正では時間がかかるため、基準画像の生成に時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、検査基準画像を迅速に生成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
ラスタ画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙を読み取って、ジョブにおいて前記ラスタ画像に基づいて前記画像形成手段により形成される画像の検査基準画像の候補となる検査基準画像候補を生成する画像読取手段と、
前記ラスタ画像と前記検査基準画像候補の比較に基づいて、前記検査基準画像候補の異常検出を行う異常検出手段と、
前記検査基準画像候補から異常が検出された場合に、前記検出された異常に基づいて、前記検査基準画像候補の異常修復難度を算出する異常修復難度算出手段と、
前記検査基準画像候補における異常修復方法を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された異常修復方法に基づいて前記検査基準画像候補の異常の修復を行う修復手段と、を備え、
前記設定手段は、前記算出された異常修復難度が予め定められた閾値を超えている場合に、前記異常修復方法として、前記ラスタ画像に基づく検査基準画像候補の再生成を設定する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記異常修復難度算出手段は、前記異常検出手段により検出された異常個所の数に基づいて、前記異常修復難度を算出する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記異常修復難度算出手段は、前記異常検出手段により検出された異常個所のパターンの複雑度に基づいて、前記異常修復難度を算出する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記異常検出手段は、前記修復手段により異常修復が行われた前記検査基準画像候補に対して再度異常検出を行う。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、
前記設定手段は、前記ラスタ画像に基づく前記検査基準画像候補の再生成を含む予め定められた複数の異常修復方法の中からいずれかを設定する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記複数の異常修復方法の一つは、前記検査基準画像候補の異常個所を自動的に修復する自動修復である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記検査基準画像候補における異常個所を表示してユーザーに自動修復する異常個所を選択させる自動修復個所選択画面を表示手段に表示させる手段を備える。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記複数の異常修復方法の一つは、前記検査基準画像候補の異常個所をユーザーの編集に応じて修復する手動修復である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記異常検出手段は、前記修復手段により手動修復が行われた場合に、前記検査基準画像候補においてユーザーの編集が行われた個所にのみ再度異常検出を行う。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、
前記異常検出手段によりユーザーの編集による修復後に異常が検出された場合に、検出された異常個所を表示手段に表示させる手段を備える。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項8~10のいずれか一項に記載の発明において、
前記検査基準画像候補の異常個所とは異なる個所がユーザーにより編集された場合に、警告を行う警告手段を備える。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項5~11のいずれか一項に記載の発明において、
前記異常修復方法の選択肢を表示手段に表示させる手段を備え、
前記設定手段は、前記選択肢のうち選択された異常修復方法を最終的に前記修復手段において実施する異常修復方法として設定する。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1~12のいずれか一項に記載の発明において、
前記修復手段により再度前記ラスタ画像に基づいて検査基準画像候補が生成し直された場合であって、前記生成し直された検査基準画像候補から前記異常検出手段により異常が検出された場合、前記修復手段は、生成し直す前の検査基準画像候補と前記生成し直した後の検査基準画像候補の正常領域を組み合わせて検査基準画像を生成する。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項1~13のいずれか一項に記載の発明において、
前記検査基準画像候補に検査対象外領域を設定する検査対象外領域設定手段を備え、
前記異常検出手段は、前記検査基準画像候補における前記検査対象外領域として設定された領域を異常検出の対象外とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、
前記異常検出手段により検出された異常個所を前記検査対象外領域として設定するか否かをユーザーに確認するための確認手段を備える。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項1~15のいずれか一項に記載の発明において、
前記異常検出手段により異常が検出されなかった場合に、前記検査基準画像候補を検査基準画像として登録する登録手段を備える。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、
前記登録手段は、前記検査基準画像候補を前記ジョブの検査基準画像として登録する。
【0023】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、
前記登録手段は、前記検査基準画像候補を前記ジョブを複製した別のジョブの検査基準画像として登録する。
【0024】
請求項19に記載の発明は、
ラスタ画像に基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段を備える画像形成装置における検査基準画像生成方法であって、
前記画像形成手段により画像が形成された用紙を読み取って、ジョブにおいて前記ラスタ画像に基づいて前記画像形成手段により形成される画像の検査基準画像の候補となる検査基準画像候補を生成する画像読取工程と、
前記ラスタ画像と前記検査基準画像候補の比較に基づいて、前記検査基準画像候補の異常検出を行う異常検出工程と、
前記検査基準画像候補から異常が検出された場合に、前記検出された異常に基づいて、前記検査基準画像候補の異常修復難度を算出する異常修復難度算出工程と、
前記検査基準画像候補の異常修復方法を設定する設定工程と、
前記設定工程において設定された異常修復方法に基づいて前記検査基準画像候補の異常の修復を行う修復工程と、を含み、
前記設定工程は、前記算出された異常修復難度が予め定められた閾値を超えている場合に、前記異常修復方法として、前記ラスタ画像に基づく前記検査基準画像候補の再生成を設定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検査基準画像を迅速に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】画像複雑度決定テーブルのデータ格納例を示す図である。
【
図4】異常修復方法切替テーブルのデータ格納例を示す図である。
【
図6】
図2の制御部により実行される検査基準画像生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図2の制御部により実行される検査基準画像生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】異常修復方法選択画面の一例を示す図である。
【
図9】読取画像の合成による自動修復を説明するための図である。
【
図10】自動修復個所選択画面の一例を示す図である。
【
図11】自動修復結果確認画面の一例を示す図である。
【
図15】検査基準画像登録画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0028】
[画像形成装置1の構成]
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0029】
画像形成装置1は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)及びROM103(Read Only Memory)を有する制御部10、記憶部11、操作部12、表示部13、通信部14、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、搬送部19、画像読取部20等を備える。制御部10は、バス21を介して記憶部11、操作部12、表示部13、通信部14、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、搬送部19、画像読取部20と接続されている。
【0030】
CPU101は、ROM103又は記憶部11に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0031】
RAM102は、CPU101に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0032】
ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM103に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0033】
これらのCPU101、RAM102及びROM103を備える制御部10は、ROM103に記憶されているプログラムと協働して
図2に示す画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
また、制御部10は、後述する検査基準画像生成処理を実行することにより、異常検出手段、異常修復難度算出手段、設定手段、修復手段、警告手段、検査対象外領域設定手段、確認手段、登録手段として機能する。
【0034】
記憶部11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、通信部14を介して外部のPC(Personal Computer)等から入力されたジョブ(ジョブの設定情報や画像データ)や、ジョブに対応する検査基準画像の画像データ等が記憶される。なお、これらのデータはRAM102に記憶されても良い。
また、記憶部11には、画像複雑度決定テーブル111及び異常修復方法切替テーブル112が記憶されている。画像複雑度決定テーブル111は、
図3に示すように、異常個所の領域に対するエッジの割合と、画像複雑度とを対応付けて格納したテーブルである。異常修復方法切替テーブル112は、
図4に示すように、読取画像の異常修復方法を自動修復と判定する異常修復難度閾値(自動修復可能閾値)と、手動修復と判定する異常修復難度閾値(手動修復可能閾値)を格納したテーブルである。
【0035】
操作部12は、操作キーや表示部13の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部10に出力する。
【0036】
表示部13は、LCD(Liquid crystal display)等の表示装置を備え、画像形成装置1の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0037】
通信部14は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、PC)との間で各種データの送受信を行う。
【0038】
画像処理部16は、例えばラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を備え、記憶部11に記憶された画像データに各種画像処理を施して記憶部11に記憶させる。
【0039】
画像形成部17は、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色成分に各々対応する4組の露光部171、感光体172及び現像部173を備えるとともに、転写体174及び2次転写ローラー175を備え、画像処理部16で画像処理された画像データ(ラスタ画像)に基づき、電子写真方式により用紙に画像を形成する。
【0040】
定着部18は、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧してトナーを用紙に定着させる定着処理を行う。
【0041】
搬送部19は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙を搬送し、画像形成及び定着済みの用紙を画像読取部20に搬送する。
【0042】
画像読取部20は、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、画像形成済みの用紙を読み取って、得られた読取画像を制御部10に出力する。
【0043】
[画像形成装置1の動作]
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
通信部14により外部のPC等からジョブを受信すると、制御部10は、ジョブに含まれる画像データ(ベクタ画像(PostScript等))を画像処理部16によりラスタ画像に変換し、ジョブに対応付けて記憶部11に記憶する。記憶部11に記憶されたジョブは、表示部13に表示されるジョブ管理画面131から確認可能である。
【0044】
図5は、ジョブ管理画面131の一例を示す図である。
図5に示すように、ジョブ管理画面131には、ジョブ一覧131a、出力(検査あり)ボタン131b、出力(検査なし)ボタン131c、検査基準画像生成ボタン131dが表示されている。ジョブ一覧131aには、記憶部11に記憶されているジョブのファイル名、ページ数、部数、検査基準画像の登録の有無等が一覧表示されている。
【0045】
ジョブ管理画面131において、操作部12によりジョブ一覧131aからジョブが選択され、出力(検査あり)ボタン131bが選択されると、制御部10は、選択されたジョブに対応するラスタ画像に基づいて、画像形成部17により用紙に画像形成を行わせ、定着部18により用紙上の画像を定着させる。そして、ジョブにおいて画像が形成された用紙を画像読取部20に読み取らせ、得られた読取画像と検査基準画像を比較して、用紙に形成された画像の検査を行う。検査で検査基準画像と異なる異常個所が検出された場合、制御部10は、異常個所を表示した警告画面を表示部13に表示させ、ジョブを一時停止させる。操作部12によりジョブの続行が指示された場合、制御部10は、ジョブを再開する。操作部12によりジョブの中止が指示された場合、制御部10は、ジョブを中止する。
【0046】
ジョブ管理画面131において、操作部12によりジョブ一覧131aからジョブが選択され、出力(検査なし)ボタン131cが選択されると、制御部10は、選択されたジョブに対応するラスタ画像に基づいて、画像形成部17により用紙に画像形成を行わせ、定着部18により用紙上の画像を定着させ、そのまま画像検査を行わずに出力する。
【0047】
ジョブ管理画面131において、操作部12によりジョブ一覧131aからジョブが選択され、検査基準画像生成ボタン131dが選択されると、制御部10は、後述する検査基準画像生成処理を実行して検査基準画像を生成し、選択されたジョブに対応付けて記憶部11に記憶(登録)する。
【0048】
図6~
図7は、検査基準画像生成処理の流れを示すフローチャートである。検査基準画像生成処理は、制御部10のCPU101とROM103に記憶されているプログラムとの協働により実行される。以下、
図6~
図7を参照して、検査基準画像生成処理について説明する。
【0049】
まず、制御部10は、選択されたジョブに対応するラスタ画像を記憶部11から読み出す(ステップS1)。
【0050】
次いで、制御部10は、搬送部19に用紙を給紙させ、画像形成部17により、読み出したラスタ画像に基づいて用紙上に画像を形成させる(ステップS2)。
【0051】
次いで、制御部10は、画像が形成された用紙を画像読取部20に読み取らせ、読取画像を取得する(ステップS3)。この読取画像は、ジョブにおいてステップS1で読み出されたラスタ画像に基づいて画像形成部17で用紙に形成される画像の検査基準画像の候補となる検査基準画像候補である。
【0052】
次いで、制御部10は、取得した読取画像とステップS1で読み出したラスタ画像とのレジストレーション(位置合わせ)を行った後、両画像を比較して、画素値に所定の閾値以上の差分がある領域を異常個所として検出する(ステップS4)。
なお、例えば、バリアブル印刷の可変部分や断裁を行うジョブの断裁してしまう領域等は、検査する必要がないため、制御部10は、これらの領域を検査対象外領域として設定し、検査対象外領域を異常検出対象から除外する。検査対象外領域として設定された領域は、ジョブで形成された画像を検査基準画像を用いて検査する場合においても検査対象から除外される。
【0053】
次いで、制御部10は、読取画像が検査合格であるか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5において、制御部10は、読取画像から異常個所が検出されなかった場合は検査合格と判断し、読取画像から異常個所が検出された場合は、検査不合格と判断する。
【0054】
読取画像が検査不合格であると判断した場合(ステップS5;NO)、制御部10は、抽出された異常個所に基づいて、読取画像における異常修復難度を算出する(ステップS6)。
ここで、異常修復難度とは、異常修復の難しさの度合いを示す値である。ステップS6においては、例えば、各異常個所に対して、エッジ検出(例えば、キャニー法、微分エッジ検出法等)を行い、画像複雑度決定テーブル111を参照して、異常個所の領域に対するエッジ領域の割合から画像複雑度を算出する。そして、各異常個所の画像複雑度の総和を異常修復難度として算出する。または、読取画像における異常個所の個数を算出し、その個数(または、個数に係数をかけたもの)を異常修復難度としてもよい。または、画像複雑度と異常個所の個数との組み合わせと、異常修復難度との対応関係を示すテーブルを記憶部11に記憶しておき、画像複雑度と異常個所の個数との組み合わせに基づいて異常修復難度を求めることとしてもよい。
なお、上記説明では、異常個所の領域に対するエッジ領域の割合に基づいて画像複雑度を算出する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、異常個所の色味等に基づいて画像複雑度を算出することとしてもよい。
【0055】
次いで、制御部10は、異常修復方法切替テーブル112を参照し、異常修復難度が自動修復可能閾値未満であるか否かを判断する(ステップS7)。
異常修復難度が自動修復可能閾値未満であると判断した場合(ステップS7;YES)、制御部10は、デフォルトの異常修復方法を自動修復に設定し(ステップS8)、ステップS12に移行する。自動修復は、制御部10が自動的に異常個所を修復する方法である。
【0056】
一方、異常修復難度が自動修復可能閾値以上であると判断した場合(ステップS7;NO)、制御部10は、異常修復方法切替テーブル112を参照し、異常修復難度が手動修復可能閾値未満であるか否かを判断する(ステップS9)。
異常修復難度が手動修復可能閾値未満であると判断した場合(ステップS9;YES)、制御部10は、デフォルトの異常修復方法を手動修復に設定し(ステップS10)、ステップS12に移行する。手動修復は、ユーザーの編集により異常個所を修復する方法である。
異常修復難度が手動修復可能閾値以上であると判断した場合(ステップS9;NO)、制御部10は、デフォルトの異常修復方法を再生成に設定し(ステップS11)、ステップS12に移行する。再生成は、ステップS1で読み出したラスタ画像に基づいて画像形成部17により用紙に画像を形成し、画像形成済みの用紙を画像読取部20により読み取って読取画像を生成し直す方法である。
【0057】
ステップS12において、制御部10は、異常修復方法選択画面132を表示部13に表示させる(ステップS12)。
【0058】
図8は、異常修復方法選択画面132の一例を示す図である。
図8に示すように、異常修復方法選択画面132には、読取画像を表示する画像表示領域132aと、異常修復方法として自動修復を選択するための自動修復ボタン132bと、手動修復を選択するための手動修復ボタン132cと、再生成を選択するための再生成ボタン132dと、異常修復の実行を指示するための実行ボタン132eと、異常修復の中止を指示するための中止ボタン132fと、が設けられている。
【0059】
図8に示すように、画像表示領域132aにおいては、読取画像において抽出された異常個所が、例えば四角や丸等のマーカー(A1~A4)で囲んで表示される。また、自動修復ボタン132b、手動修復ボタン132c、再生成ボタン132dのうち、デフォルトの異常修復方法として設定された修復方法に対応するボタンが予め選択された状態で表示される。
図8においては、再生成ボタン132dが選択された状態であることを示している。デフォルトの異常修復方法以外の方法で異常修復を行いたい場合、ユーザーは、操作部12により他のボタンを押下することで、他の異常修復方法に変更することができる。
【0060】
異常修復方法選択画面132において、自動修復ボタン132b、手動修復ボタン132c、再生成ボタン132dのいずれかが選択された状態において、操作部12により実行ボタン132eが押下されると、制御部10は、ステップS13に移行する。
【0061】
ステップS13において、制御部10は、異常修復方法として自動修復が選択されたか否かを判断する(ステップS13)。
異常修復方法として自動修復が選択されたと判断した場合(ステップS13;YES)、制御部10は、異常修復対象の読取画像が再生成された読取画像であるか否かを判断する(ステップS14)。
【0062】
異常修復対象の読取画像が再生成された読取画像であると判断した場合(ステップS14;YES)、制御部10は、再生成前の読取画像と再生成後の読取画像を合成し(ステップS15)、ステップS16に移行する。
ステップS15において、制御部10は、再生成前の読取画像と再生成後の読取画像のレジストレーション(位置合わせ)を行う。そして、
図9に示すように、再生成前の読取画像から異常個所のない正常領域R1を抽出し、抽出した正常領域R1を再生成後の読取画像の正常領域R2と合成することで異常修復を行う。なお、
図9において、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2は異常個所のマーカーを示す。
異常修復対象の読取画像が再生成された読取画像ではないと判断した場合(ステップS14;NO)、制御部10は、ステップS16に移行する。
【0063】
ステップS16において、制御部10は、表示部13に自動修復個所選択画面133を表示させ、修復対象の異常個所の選択を受け付ける(ステップS16)。
図10は、自動修復個所選択画面133の一例を示す図である。
図10に示すように、自動修復個所選択画面133には、読取画像を表示する画像表示領域133aと、異常個所の選択欄133bと、が設けられている。画像表示領域132aには、異常個所(異常1~4)が、例えば四角や丸等のマーカーA1~A4で囲まれた読取画像が表示される。異常個所の選択欄133bには、画像表示領域133aに表示されている各異常個所に対応するチェックボックスが設けられている。ユーザーの操作部12の操作によりチェックボックスにチェックを入れることで、修復対象の異常個所を選択することができる。OKボタン133cが押下されると、制御部10は、ステップS17に移行する。
【0064】
ステップS17において、制御部10は、選択された異常個所に対して自動修復を実施する(ステップS17)。例えば、制御部10は、異常個所の画素の画素値を近隣画素から推測して補間する等により、異常個所を修復する。
【0065】
次いで、制御部10は、表示部13に自動修復結果確認画面134を表示させる(ステップS18)。
図11は、自動修復結果確認画面134の一例を示す図である。
図11に示すように、自動修復結果確認画面134には、「自動修復が完了しました。結果に問題がないか確認してください」等のメッセージと、自動修復済みの読取画像を表示する画像表示領域134aと、OKボタン134bと、手動修復を指示するための手動修復ボタン134cが設けられている。ユーザーは、自動修復済みの読取画像を確認し、OKであればOKボタン134bを、手動修復が必要な場合には手動修復ボタン134cを押下する。
【0066】
操作部12によりOKボタン134bが押下されると(ステップS19;YES)、制御部10は、ステップS20に移行する。操作部12により手動修復ボタン134cが押下された場合(ステップS19;NO)、制御部10は、ステップS24に移行する。
【0067】
ステップS20において、制御部10は、未修復の異常個所が存在するか否かを判断する(ステップS20)。未修復の異常個所が存在しないと判断した場合(ステップS20;NO)、制御部10は、ステップS4に戻り、修復した読取画像について再検査を行う。
【0068】
未修復の異常個所が存在すると判断した場合(ステップS20;YES)、制御部10は、表示部13に未修復警告画面135を表示させ、手動修復するか、検査対象外領域に設定するかをユーザーに確認する(ステップS21)。
【0069】
図12は、未修復警告画面135の一例を示す図である。
図12に示すように、未修復警告画面135には、「未修復の異常個所があります。手動修復しますか。検査対象外領域に設定しますか。」等のメッセージと、未修復の異常個所(異常3)を示すマーカー(A3)が表示された読取画像を表示する画像表示領域135aと、手動修復を指示するための手動修復ボタン135bと、異常個所を検査対象外領域に設定することを指示するための検査対象外領域設定ボタン135cと、が設けられている。ユーザーは、手動修復を行うのであれば操作部12により手動修復ボタン135bを、検査対象外領域に設定するのであれば検査対象外領域設定ボタン135cを押下する。
【0070】
操作部12により手動修復ボタン135bが押下された場合(ステップS21;手動修復)、制御部10は、ステップS24に移行する。
操作部12により検査対象外領域設定ボタン135cが押下された場合(ステップS21;検査対象外)、制御部10は、読取画像における未修復の異常個所を検査対象外領域に設定し(ステップS22)、ステップS4に戻り、修復した読取画像について再検査を行う。
【0071】
一方、ステップS13において、異常修復方法として自動修復が選択されていないと判断した場合(ステップS13;NO)、制御部10は、異常修復方法として手動修復が選択されたか否かを判断する(ステップS23)。
異常修復方法として手動修復が選択されたと判断した場合(ステップS23;YES)、制御部10は、ステップS24に移行する。
【0072】
ステップS24において、制御部10は、表示部13に手動修復画面136を表示させ、ユーザーによる手動修復を受け付ける(ステップS24)。
図13は、手動修復画面136の一例を示す図である。
図13に示すように、手動修復画面136には、異常個所を示すマーカーA1~A4が表示された読取画像を表示する画像表示領域136aと、ペン136bと、消しゴム136cと、検査対象外領域設定ボタン136dと、完了ボタン136eと、が設けられている。ユーザーは、操作部12の操作により、ペン136b、消しゴム136cを用いて、画像表示領域136aに表示されている読取画像の異常個所を編集することができる。また、検査対象外領域設定ボタン136dを押下した後、画像表示領域136aの読取画像の領域を指定することにより、指定した領域を検査対象外領域に設定することができる。完了ボタン136eを押下すると、手動修復を終了させることができる。
【0073】
手動修復が終了すると、制御部10は、異常個所以外に編集された個所があるか否かを判断する(ステップS25)。
異常個所以外に編集された個所がないと判断した場合(ステップS25;NO)、制御部10は、ステップS4に戻り、修復した読取画像について再検査を行う。
【0074】
なお、手動修復が行われた場合、制御部10は、読取画像におけるユーザーの編集が行われた個所にのみ再検査(すなわち、再度異常検出を行う)こととしてもよい。そして、再検査において異常が検出された場合、制御部10は、異常個所が表示された手動修復画面136を表示部13に表示させ、再度ユーザーに編集を行わせることとしてもよい。
【0075】
異常個所以外に編集された個所があると判断した場合(ステップS25;YES)、制御部10は、表示部13に修復個所警告画面137を表示させる(ステップS26)。
図14は、修復個所警告画面137の一例を示す図である。
図14に示すように、修復個所警告画面137には、異常個所以外で編集が検出された個所がマーカーW1で表示された読取画像を表示する画像表示領域137aと、OKボタン137bと、再修復ボタン137cと、が設けられている。
【0076】
操作部12により再修復ボタン137cが押下されると(ステップS27;YES)、制御部10は、ステップS24に戻る。
操作部12によりOKボタン137bが押下されると(ステップS27;NO)、制御部10は、ステップS4に戻り、修復した読取画像について再検査を行う。
【0077】
ステップS23において、異常修復方法として手動修復が選択されていないと判断した場合(ステップS23;NO)、制御部10は、異常修復方法として再生成が選択されたか否かが判断される(ステップS28)。
異常修復方法として再生成が選択されたと判断した場合(ステップS28;YES)、制御部10は、ステップS2に戻り、ラスタ画像に基づいて読取画像の再生成を行わせる。すなわち、画像形成部17により用紙に画像を形成させ、画像形成済みの用紙を画像読取部20により読み取らせて読取画像を再生成させる。そして、再生成された読取画像に対して検査を行う。
異常修復方法として再生成が選択されず、異常修復方法選択画面132において中止ボタン132fが押下されたと判断した場合(ステップS28;NO)、制御部10は、検査基準画像生成処理を終了する。
【0078】
一方、読取画像が検査合格であると判断した場合(ステップS5;YES)、制御部10は、表示部13に検査基準画像登録画面138を表示させる(ステップS29)。
図15は、検査基準画像登録画面138の一例を示す図である。
図15に示すように、検査基準画像登録画面138には、「画像検査が正常終了しました。検査基準画像の登録方法を選択してください」等のメッセージと、検査が合格した読取画像を表示する画像表示領域138aと、上書き登録ボタン138bと、複製して登録ボタン138cと、が設けられている。
上書き登録ボタン138bは、表示されている読取画像を選択されたジョブ(検査基準画像生成処理を実行するにあたって選択されたジョブ)の検査基準画像として記憶部11に記憶することを指示するためのボタンである。すでに選択されたジョブに対応付けて検査基準画像が登録されている場合には、表示されている読取画像で検査基準画像が上書きされる。
複製して登録ボタン138cは、選択されたジョブを複製し、表示されている読取画像を複製したジョブの検査基準画像として記憶部11に記憶することを指示するためのボタンである。
【0079】
操作部12により、上書き登録ボタン138bが押下されると(ステップS30;YES)、制御部10は、表示されている読取画像を選択されたジョブの検査基準画像として記憶部11に記憶(登録)するとともに、ジョブの検査基準画像登録を「あり」に設定し(ステップS31)、検査基準画像生成処理を終了する。
【0080】
操作部12により、複製して登録ボタン138cが押下されると(ステップS30;NO)、制御部10は、選択されたジョブを複製し、表示されている読取画像を複製したジョブの検査基準画像として記憶部11に記憶する(登録)とともに、複製したジョブの検査基準画像登録を「あり」に設定し(ステップS32)、検査基準画像生成処理を終了する。
【0081】
なお、
図6~
図7に示す検査基準画像生成処理は、ジョブが1ページにより構成されている場合を例にとり説明したが、複数ページにより構成されている場合は、検査基準画像生成処理において1ページ分の検査が合格すると、次ページに移行して検査基準画像生成処理を行う処理を繰り返し、最終ページの検査が合格すると、ステップS29に移行して、検査基準画像の登録を行う。
【0082】
以上説明したように、画像形成装置1の制御部10は、ジョブのラスタ画像に基づいて画像形成部17により用紙に画像を形成させ、画像形成部17により画像が形成された用紙を画像読取部20により読み取らせることにより、ジョブにおいて用紙に形成される画像の検査基準画像の候補となる読取画像(検査基準画像候補)を生成する。次いで、制御部10は、ラスタ画像と検査基準画像候補の比較に基づいて検査基準画像候補の異常検出を行い、異常が検出された場合に、検出された異常に基づいて検査基準画像候補の異常修復難度を算出する。そして、異常修復難度が予め定められた閾値を超えた場合に、異常の修復方法として、ラスタ画像に基づく検査基準画像候補の再生成を設定する。
しがたって、例えば、異常修復難度が高く自動修復が不可能な場合に、ユーザーが異常個所を修復する手間を省くことが可能となるので、検査基準画像を迅速に生成することが可能となる。
【0083】
例えば、制御部10は、検査基準画像候補から検出された異常個所の数に基づいて異常修復難度を算出することで、異常個所の数の多い検査基準画像候補をユーザーが修復する手間を省くことができる。
【0084】
また、例えば、制御部10は、検査基準画像候補から検出された異常個所のパターンの複雑度に基づいて異常修復難度を算出することで、異常個所のパターンが複雑な検査基準画像候補をユーザーが修復する手間を省くことができる。
【0085】
また、例えば、制御部10は、異常修復が行われた検査基準画像候補に対して再度異常検出を行うことで、異常修復によって異常がなくなったか否かを確認することが可能となる。
【0086】
また、例えば、制御部10は、検査基準画像候補の再生成を含む予め定められた複数の異常修復方法の中からいずれかを異常修復方法として設定するので、複数の異常修復方法のうち好適な異常修復方法を用いて異常修復を行うことが可能となる。例えば、制御部10は、異常修復方法の選択肢を表示部13に表示させ、表示された選択肢のうちユーザーにより選択された異常修復方法を最終的に修復を実施する際の異常修復方法として設定することで、ユーザーが所望する異常修復方法で修復を行うことが可能となる。
【0087】
例えば、複数の異常修復方法の一つを検査基準画像候補の異常個所を自動的に修復する自動修復とすることで、迅速に修復を行うことが可能となる。また、検査基準画像候補における異常個所を表示してユーザーに自動修復する異常個所を選択させる自動修復個所選択画面を表示部13に表示することで、ユーザーが修復が必要だと判断した異常個所を迅速に修復することが可能となる。
【0088】
また、例えば、複数の異常修復方法の一つを検査基準画像候補の異常個所をユーザーの編集に応じて修復する手動修復とすることで、ユーザーが異常個所を修復することが可能となる。また、手動修復が行われた場合に、検査基準画像候補においてユーザーの編集が行われた個所にのみ再度異常検出を行うことで、再検査を迅速に行うことが可能となる。また、ユーザーの編集による修復後に異常が検出された場合に、検出された異常個所を表示部13に表示することで、ユーザーに再度修復が必要であることを認識させることが可能となる。また、検査基準画像候補の異常個所とは異なる個所がユーザーにより編集された場合に、警告を行うことで、異常個所でない部分をユーザーが編集したことを認識させることができる。
【0089】
また、再度ラスタ画像に基づいて検査基準画像候補が生成し直された場合であって、生成し直された検査基準画像候補から異常が検出された場合、制御部10は、生成し直す前の検査基準画像候補と生成し直した後の検査基準画像候補の正常領域を組み合わせて検査基準画像を生成する。したがって、検査基準画像候補を再生成した場合の異常個所の修復を迅速に行うことが可能となる。
【0090】
また、検査基準画像候補における検査対象外領域として設定された領域を異常検出の対象外とすることで、例えば、バリアブル印刷の可変部分や断裁されてしまう部分を異常検出対象から除くことができ、効率よく異常検出を行うことが可能となる。
また、検出された異常個所を検査対象外領域として設定するか否かをユーザーに確認するための確認画面を表示部13に表示することで、必要のない個所への検査を省略することが可能となる。
【0091】
また、制御部10は、検査基準画像候補から異常が検出されなかった場合に、検査基準画像候補を検査基準画像として登録するので、異常のない検査基準画像を登録することが可能となる。例えば、検査基準画像候補をジョブの検査基準画像として登録することができる。または、検査基準画像候補をジョブを複製した別のジョブの検査基準画像として登録することができる。
【0092】
なお、上述の実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態では、異常修復難度が予め定められた閾値以上である場合に、異常修復方法を検査基準画像候補の再生成に設定し、さらにユーザーによる実行指示に応じて、検査基準画像候補の再生成による異常修復を行うこととしたが、異常修復難度が予め定められた閾値以上である場合に、異常修復方法を検査基準画像候補の再生成に設定して自動的に検査基準画像候補の再生成による異常修復を行うこととしてもよい。
【0094】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0095】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
10 制御部
11 記憶部
111 画像複雑度決定テーブル
112 異常修復方法切替テーブル
12 操作部
13 表示部
14 通信部
16 画像処理部
17 画像形成部
18 定着部
19 搬送部
20画像読取部
21 バス
70 記憶部
80 通信部