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  • 特許-旋回主軸装置 図1
  • 特許-旋回主軸装置 図2A
  • 特許-旋回主軸装置 図2B
  • 特許-旋回主軸装置 図3
  • 特許-旋回主軸装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】旋回主軸装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 19/00 20060101AFI20220419BHJP
   B23Q 1/70 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B23B19/00
B23Q1/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018124113
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020001132
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 善昭
(72)【発明者】
【氏名】若杉 直矢
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-76603(JP,A)
【文献】米国特許第5413439(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1457405(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第102485418(CN,A)
【文献】特開平8-39320(JP,A)
【文献】実開昭57-142177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 19/00
B23Q 1/50-1/54
B23Q 1/64
B23Q 1/70
B23Q 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回軸を回転可能に支持する固定本体部と、
前記旋回軸の旋回軸線に対し傾斜した主軸を有する主軸装置を有し、前記固定本体部に対し前記旋回軸線の回りで回転可能な旋回本体部と、
前記旋回本体部に一体化又は連結され、前記旋回軸線の方向に見たときに前記旋回本体部よりも径方向に大きく形成され、前記旋回軸に連結されるフランジ部と、
を備え、
前記フランジ部は、前記旋回軸と連結するために連結部材がそれぞれ差し込まれる第一連結部及び第二連結部を有し、
前記第一連結部は、前記主軸装置に対し比較的遠方の位置に設けられ、前記第二連結部は、前記主軸装置に対し比較的近傍の位置に設けられ、
前記旋回本体部の外部から前記第二連結部に前記連結部材を差し込むための空間部が、前記第二連結部と前記固定本体部の間に形成される、旋回主軸装置。
【請求項2】
前記第一連結部における前記連結部材の差し込み方向は、前記第二連結部における前記連結部材の差し込み方向と異なるように設けられる、請求項1に記載の旋回主軸装置。
【請求項3】
前記第一連結部は、第一ピッチ円の円周上に設けられ、前記第二連結部は、前記第一ピッチ円の直径よりも大径の第二ピッチ円の円周上に設けられる、請求項1又は2に記載の旋回主軸装置。
【請求項4】
前記第一連結部は、前記連結部材の連結位置よりも外周に設けられるシールにより封止され、前記第二連結部は、前記連結部材が差し込まれる有底穴により封止される、請求項1-3の何れか一項に記載の旋回主軸装置。
【請求項5】
前記空間部は、前記フランジ部と前記旋回軸との間を封止するラビリンスシール構造として利用される、請求項1-4の何れか一項に記載の旋回主軸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回主軸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、旋回主軸装置を備える工作機械が記載されている。この旋回主軸装置は、旋回軸を45度に傾斜させた状態で回転可能に支持する固定本体部と、旋回軸と共に回転可能な旋回本体部と、旋回軸回りで旋回本体部に支持される主軸装置とを備える。旋回主軸装置は、主軸装置を旋回軸回りで旋回させて垂直姿勢と水平姿勢の間で旋回割出しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-1206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旋回主軸装置の旋回本体部は、45度姿勢での主軸装置の保持や旋回運動に必要な部品(ベアリング、エンコーダ等)の結合等、重要な機能を多く受け持っている。特に、旋回本体部の旋回軸に対する締結構造においては、設計要件(組付性、メンテナンス性等)と品質(剛性、コスト等)を両立させることが重要である。旋回本体部の旋回軸に対する締結構造は、例えば、固定本体部の内側からボルトを挿入して締結する構造や、旋回本体部から旋回軸にかけて貫通ボルト穴を穿孔し、旋回本体部の外側から貫通ボルト穴にボルトを挿入して締結する構造がある。
【0005】
しかし、前者の構造では、ボルトは固定本体部の内蔵部品に隠れるため、ボルト締結の作業性が非常に悪く、組付性やメンテナンス性に劣るという問題がある。また、後者の構造では、主軸装置の近傍の貫通ボルト穴は、主軸装置のハウジングを旋回本体部とは別部品にしないと加工できない。このため、旋回本体部は、形状自由度が低下して低剛性となり、また、上記別部品化によるコスト高になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、設計要件及び品質を両立できる旋回本体部の旋回軸に対する締結構造を有する旋回主軸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の旋回主軸装置は、旋回軸を回転可能に支持する固定本体部と、前記旋回軸の旋回軸線に対し傾斜した主軸を有する主軸装置を有し、前記固定本体部に対し前記旋回軸線の回りで回転可能な旋回本体部と、前記旋回本体部に一体化又は連結され、前記旋回軸線の方向に見たときに前記旋回本体部よりも径方向に大きく形成され、前記旋回軸に連結されるフランジ部と、を備え、前記フランジ部は、前記旋回軸と連結するために連結部材がそれぞれ差し込まれる第一連結部及び第二連結部を有し、前記第一連結部は、前記主軸装置に対し比較的遠方の位置に設けられ、前記第二連結部は、前記主軸装置に対し比較的近傍の位置に設けられ、前記旋回本体部の外部から前記第二連結部に前記連結部材を差し込むための空間部が、前記第二連結部と前記固定本体部の間に形成される。
【0008】
従来の旋回主軸装置では、旋回本体部と旋回軸の連結作業は、旋回本体部における主軸装置側に作業スペースを設け難いため困難であったが、本発明の旋回主軸装置では、旋回本体部における主軸装置側に旋回本体部の外部から第二連結部に連結部材を差し込むための空間部を設けているので、旋回本体部の組立性やメンテナンス性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の旋回主軸装置を備える工作機械の斜視図である。
図2A】旋回主軸装置の斜視図である。
図2B】旋回主軸装置における主軸の旋回範囲を旋回軸線方向から見た図である。
図3】旋回主軸装置の旋回本体部と旋回軸及び固定本体部との連結状態のみをX軸線方向に見た断面図である。
図4】旋回本体部及び主軸装置をフランジ部側から旋回軸線方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.旋回主軸装置を備える工作機械の構成)
本実施形態の旋回主軸装置を備える工作機械を例に挙げて説明する。図1に示すように、工作機械1は、5軸マシニングセンタであり、ベッド11、コラム12、サドル13、旋回主軸装置20、スライドテーブル14及びターンテーブル15を備える。ベッド11は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ベッド11上には、コラム12が起立して設けられる。
【0011】
コラム12の側面には、サドル13がX軸線方向に移動可能に設けられる。サドル13の側面には、主軸装置30が取り付けられる旋回主軸装置20がY軸線方向に移動可能に設けられる。また、ベッド11上には、スライドテーブル14がZ軸線方向に移動可能に設けられる。スライドテーブル14上には、ターンテーブル15がY軸線回り(B軸)に回転可能に設けられる。ターンテーブル15には、図略の工作物が治具を介して固定される。
【0012】
図2A及び図3に示すように、旋回主軸装置20は、旋回軸21、旋回本体部22及び固定本体部23を備える。本例の旋回主軸装置20は、固定本体部23に対して旋回軸21を旋回本体部22と共に回転させて、図2Bに示すように、主軸装置30の姿勢(回転軸線Rの向き)を水平方向(0度)から垂直方向(180度)を経て所定角度θ(例えば、210度)までの間で変化させて主軸装置30の旋回割出しを行う装置である。
【0013】
図3に示すように、旋回軸21は、略中空円筒状の旋回軸本体21A、中空円筒状の回転スリーブ24及び中空円筒状の固定スリーブ25を有し、旋回軸線DがZ軸線に対し45度傾斜するように固定本体部23内に配置される。旋回軸本体21Aは、固定本体部23内で図略のモータ及び減速機構により回転駆動可能に支持される。回転スリーブ24は、旋回軸本体21Aの内周に同軸(旋回軸線D)で挿入され、旋回軸本体21Aと共に回転可能に設けられる。固定スリーブ25は、回転スリーブ24の内周に同軸(旋回軸線D)で嵌入され、固定本体部23に固定され回転規制される。
【0014】
旋回本体部22は、旋回軸線D方向に見たときに旋回本体部22よりも径方向に大きいフランジ部22Aを備える。すなわち、フランジ部22Aは、旋回本体部22の旋回軸21側の開口周縁部から径方向外側に張り出すように一体的に設けられる。旋回本体部22は、フランジ部22Aと略同径の円盤部材40を介して旋回軸21の下端に旋回軸線D回りに回転可能に設けられる。このフランジ部22Aは、設計要件及び品質を両立できる旋回本体部22の旋回軸21に対する締結構造を実現する部材であり、詳細構成は後述する。
【0015】
さらに、旋回本体部22には、主軸装置30が主軸31の回転軸線Rを旋回軸21の旋回軸線Dに対し45度傾斜させた状態で旋回軸線D回りに旋回可能に支持される。主軸31の先端側には、回転工具32が着脱可能に取り付けられ、主軸31の後端側には、主軸31の図略の回転用モータのモータ軸が連結される。
【0016】
固定本体部23は、サドル13の側面にY軸線方向に移動可能に設けられる。固定本体部23の内部には、主軸装置30への電気を通す図略の電気配線路が設けられる。さらに、固定本体部23の内部には、油気圧を通す図略の流体配管路が設けられる。なお、クーラントは、旋回主軸装置20の外部に設けられる図略のノズル等を用いて回転工具32等に供給される。
【0017】
(2.旋回本体部の旋回軸に対する締結構造)
次に、旋回本体部22の旋回軸21に対する締結構造について図を参照して説明する。図3に示すように、回転スリーブ24の下端には、軸受部材24Aの内輪24AAがベアリング用ボルトB1で連結される。なお、軸受部材24Aの外輪24ABは、固定本体部23に対してベアリング用ボルトB0で連結される。
【0018】
そして、旋回軸本体21Aの下端及び軸受部材24Aの内輪24AAには、円盤部材40が円盤用ボルトB2及びB3でそれぞれ連結される。そして。円盤部材40には、旋回本体部22のフランジ部22Aがフランジ用ボルトB4,B5(本発明の「連結部材」に相当)で連結される。これにより、旋回本体部22は、固定本体部23に対して旋回軸線D回りに回転可能となる。
【0019】
図3及び図4に示すように、フランジ部22Aには、円盤部材40と連結するためにフランジ用ボルトB4,B5がそれぞれ差し込まれる第一ボルト穴22B(第一連結部)及び第二ボルト穴22C(第二連結部)が設けられる。第一ボルト穴22Bは、第一ピッチ円Pc1の円周上であって主軸装置30に対し比較的遠方の位置に複数(本例では、17か所)設けられる。第二ボルト穴22Cは、第二ピッチ円Pc2の円周上であって主軸装置30に対し比較的近傍の位置に複数(本例では、6か所)設けられる。第一ボルト穴22Bの第一ピッチ円Pc1の直径D1は、第二ボルト穴22Cの第二ピッチ円Pc2の直径D2よりも小径である。よって、第一ボルト穴22Bに差し込まれるフランジ用ボルトB4による連結の剛性を向上できる。
【0020】
第一ボルト穴22Bにおけるフランジ用ボルトB4の差し込み方向は、第二ボルト穴22Cにおけるフランジ用ボルトB5の差し込み方向と異なるように設けられる。すなわち、第一ボルト穴22Bにおいては、フランジ用ボルトB4は旋回本体部22側(図4の矢印dで示す下方側)から差し込まれて、円盤部材40に穿孔される第一メネジ穴H4(第一連結部)に締結される。一方、第二ボルト穴22Cにおいては、フランジ用ボルトB5は固定本体部23側(図4の矢印uで示す上方側)から差し込まれて、旋回本体部22に穿孔される第二メネジ穴H5(第二連結部)に締結される。
【0021】
第一ボルト穴22Bは、旋回本体部22の外壁よりも外側に設けられているため、第一ボルト穴22Bの下方側には大きな作業空間が存在する。これにより、作業者は、旋回本体部22の外部において、フランジ用ボルトB4を第一ボルト穴22Bの下方側から容易に差し込んで第一メネジ穴H4に締結することができる。よって、旋回本体部22の円盤部材40に対する組立性やメンテナンス性を向上できる。
【0022】
また、第二ボルト穴22Cは、第二ピッチ円Pc2の直径D2が第一ボルト穴22Bの第一ピッチ円Pc1の直径D1よりも大径となるように設けられているため、第二ボルト穴22Cと固定本体部23の間に空間部S(図4の一点鎖線で示す円形部)が形成される。これにより、作業者は、旋回本体部22の外部において、フランジ用ボルトB5を第二ボルト穴22Cの上方側の空間部Sから容易に差し込んで第二メネジ穴H5締結することができる。よって、旋回本体部22の円盤部材40に対する組立性やメンテナンス性を向上できる。
【0023】
ここで、上述のように、旋回本体部22のフランジ部22Aは、第一ボルト穴22B及び第二ボルト穴22Cにおいて円盤部材40にフランジ用ボルトB4,B5で連結される。そして、円盤部材40は、旋回軸本体21Aの下端に円盤用ボルトB2で連結され、軸受部材24Aの内輪24AAに円盤用ボルトB3で連結される。
【0024】
このため、旋回本体部22の外部において加工時に供給されるクーラント液は、フランジ部22Aの上端面と円盤部材40の下端面との接合面間を通って、旋回本体部22の内部に浸入するおそれがある。また、上述のクーラント液は、円盤部材40の上端面と軸受部材24Aの内輪24AAの下端面との接合面間を通って、旋回本体部22の内部に浸入するおそれがある。また、上述のクーラント液は、第一メネジ穴H4及び第二メネジ穴H5を通って、旋回本体部22の内部に浸入するおそれがある。
【0025】
そこで、円盤部材40の下端面には、第一メネジ穴H4よりも外周側であって第二メネジ穴H5よりも内周側に、Oリング41(本発明の「シール」に相当)が嵌め込まれる環状溝部41a(本発明の「シール」に相当)を設ける。そして、第二メネジ穴H5は、旋回本体部22における肉厚が比較的厚くなっている主軸装置30側に穿孔されるため、止まり穴(有底穴)とする。
【0026】
このように、フランジ部22Aの上端面と円盤部材40の下端面との接合面間は、Oリング41により封止され、また、フランジ部22Aの上端面に穿孔される第二メネジ穴H5は、止まり穴(有底穴)となって封止されている。これにより、フランジ部22Aの上端面と円盤部材40の下端面との接合面間においては、旋回本体部22の内部へのクーラント液の浸入を防止できる。
【0027】
また、円盤部材40及び軸受部材24A(固定本体部23)の外周には、ラビリンス構造のシール部材42を設ける。また、円盤部材40は、厚さを可能な限り薄くして軽量化を図るため、第一メネジ穴H4は、止まり穴にはできず、貫通穴となっている。そこで、第一メネジ穴H4におけるフランジ用ボルトB4の締結部よりも上部は、閉塞部材F4(本発明の「シール」に相当)で塞ぐ。
【0028】
ここで、シール部材42は、Vリング43、内側目隠し部材44及び外側目隠し部材45を備える。固定本体部23の下端面には、軸受部材24Aよりも外周側に、Vリング43が嵌め込まれる段差部23aが設けられる。内側目隠し部材44は、円管状であって径がVリング43の径よりも大径に形成される。そして、内側目隠し部材44は、Vリング43を外側から覆うように、一端側(上端側)が固定本体部23の下端側の外周に嵌入固定され、他端側(下端側)が円盤部材40の上端側の外周に嵌入される。
【0029】
外側目隠し部材45は、円管状であって径が内側目隠し部材44の径よりも大径に形成され、一端側(下端側)が内側に折り曲げられた形状、すなわち周面の断面形状がL字状に形成される。そして、外側目隠し部材45は、内側目隠し部材44を外側から覆うように、一端側(下端側)がフランジ部22A及び円盤部材40の外周から僅かに離間するように配置され、他端側(上端側)が固定本体部23の下端側の外周縁部に嵌入固定される。
【0030】
これにより、外側目隠し部材45の内周とフランジ部22A及び円盤部材40の外周との間の空隙は、ラビリンスシール構造となる。そして、第二ボルト穴22C側の旋回本体部22と固定本体部23の間には、空間部Sが形成されているので、この空間部Sを上述のラビリンスシール構造として利用できる。
【0031】
上述のように、円盤部材40の上端面と軸受部材24Aの内輪24AAの下端面との接合面間は、ラビリンスシール構造及びVリング43により封止され、また、第一メネジ穴H4は、閉塞部材F4で封止されている。これにより、円盤部材40の上端面と軸受部材24Aの内輪24AAの下端面との接合面間においては、旋回本体部22の内部へのクーラント液の浸入を防止できる。
【0032】
従来の旋回主軸装置では、旋回本体部と旋回軸の連結作業は、旋回本体部における主軸装置側に作業スペースを設け難いため困難であったが、本発明の旋回主軸装置20では、旋回本体部22における主軸装置30側に旋回本体部22の外部から第二ボルト穴22Cにフランジ用ボルトB5を差し込むための空間部Sを設けている。よって、旋回本体部22の組立性やメンテナンス性が向上する。そして、主軸装置30は、旋回本体部22と一体化して連結部品を削減できるので、主軸装置30の高剛性化や低コスト化が可能となる。
【0033】
(3.その他)
上述した実施形態では、フランジ部22Aは、旋回本体部22と一体的に設ける構成としたが、フランジ部22Aと旋回本体部22を別体で設ける構成としてもよい。
【0034】
また、傾斜した旋回軸21を有する旋回主軸装置20に適用する場合を説明したが、水平な旋回軸を有する旋回主軸装置や垂直な旋回軸を有する旋回主軸装置にも同様に適用可能である。また、旋回軸を有するテーブル(トラニオン、チルト)や主軸チルトにも同様に適用可能である。
【0035】
また、旋回軸21の旋回軸線DがZ軸線に対し45度傾斜する旋回主軸装置20について説明したが、旋回軸の旋回軸線DがZ軸線に対し任意の角度傾斜する旋回主軸装置についても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1:工作機械、 20:旋回主軸装置、 21:旋回軸、 21A:旋回軸本体、 22:旋回本体部、 22A:フランジ部、 22B:第一ボルト穴、 22C:第二ボルト穴、 23:固定本体部、 24:回転スリーブ、 24A:軸受部材、 25:固定スリーブ、 30:主軸装置、 31:主軸、 32:回転工具、 40:円盤部材、 41:Oリング、 41a:環状溝部、 42:シール部材、 43:Vリング、 44:内側目隠し部材、 45:外側目隠し部材、 H4:第一メネジ穴、 H5:第二メネジ穴、 S:空間部、 Pc1:第一ピッチ円、 Pc2:第二ピッチ円、 B4,B5:フランジ用ボルト、 D:旋回軸線
図1
図2A
図2B
図3
図4