(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 9/24 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
H01R9/24
(21)【出願番号】P 2018126271
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕之
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-250960(JP,A)
【文献】特開2011-034735(JP,A)
【文献】実開平06-023171(JP,U)
【文献】特開2005-174863(JP,A)
【文献】実開平01-127171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/24-9/26
H01R 9/00
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フレームと、
軸方向に沿う第1方向にヘッドを備えて逆の第2方向に雄ネジ部を備える端子ネジと、
前記雄ネジ部が螺合する雌ネジ部と、
前記端子ネジの首部に外嵌された角ワッシャと、
前記角ワッシャの一辺から突出するガイド突起と、
前記絶縁フレームに設けられて前記軸方向に沿って延在するガイド溝と、
前記一辺は第1辺であり、前記第1辺に隣接する第2辺から突出する受け突起と、
前記絶縁フレームに設けられて前記軸方向に沿って延在するスプリング溝と、
前記スプリング溝に配置される復帰スプリングと、
を有し、
前記ガイド突起は、前記第1方向に延在しながら前記一辺よりも側方に突出し、前記ガイド溝に嵌って案内され
ており、
前記受け突起は前記第1方向に延在し、先端に前記第2辺に沿う屈曲部を備え、
前記復帰スプリングは、前記端子ネジが前記雌ネジ部に螺合するときに前記屈曲部によって圧縮され、前記端子ネジが前記雌ネジ部から抜けたときに弾性力によって前記屈曲部を介して前記角ワッシャを前記第1方向に持ち上げることを特徴とするネジアップ式端子台。
【請求項2】
請求項1に記載のネジアップ式端子台において、
前記角ワッシャから前記第1方向への前記ガイド突起の突出量は、前記ヘッドの高さ以下であることを特徴とするネジアップ式端子台。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のネジアップ式端子台において、
前記角ワッシャから前記第1方向への前記受け突起の突出量は、前記ヘッドの高さ以下であることを特徴とするネジアップ式端子台。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載のネジアップ式端子台において、
前記絶縁フレームは、前記軸方向に沿って設けられて前記第1辺および前記第2辺に当接するガイド壁を有することを特徴とするネジアップ式端子台。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のネジアップ式端子台において、
前記絶縁フレームは、前記角ワッシャの
前記第2辺に対向する第3辺および
前記第1辺に対向する第4辺の方向から電線を挿入する2つの電線挿入部を有することを特徴とするネジアップ式端子台。
【請求項6】
請求項
1~5のいずれか1項に記載のネジアップ式端子台が一対設けられたネジアップ式接点ユニットにおいて、
双方の前記ネジアップ式端子台における前記第2辺が対向する向きになるよう並列配置されていることを特徴とするネジアップ式接点ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ネジアップ式端子台は、固定接点の雌ネジ部から端子ネジを離脱させた状態で復帰スプリングにより角ワッシャを浮かせることにより、電線端子の挿入とネジ締結作業とを容易に行うことができる。角ワッシャは正方形として1以上の辺を絶縁フレームの壁に当接させることによって回り止めとしている。
【0003】
ネジアップ式端子台では、角ワッシャを浮かせるための復帰スプリングを適切に配置する必要がある。特許文献1では角ワッシャに突起を設け、該突起の先端が復帰スプリングを圧縮させるようにしている。この突起は角ワッシャからネジのヘッド方向に突出し、さらにL字に屈曲した先端が復帰スプリングの端部に当接するようになっている。
【0004】
ネジアップ式端子台では、配線の自由度が高められるように縦横2方向からそれぞれ電線を接続可能なものがある。縦横2方向から電線を接続可能なネジアップ式端子台では、角ワッシャを固定接点から電線の端子2枚分以上浮き上がる必要があり、それだけ角ワッシャの動作ストロークも長くなる。
【0005】
ネジアップ式端子台は複数台をまとめてネジアップ式接点ユニットとして構成されることがある。ネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットではなるべくコンパクトな構成が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネジアップ式接点ユニットでは、例えば
図6に示すような復帰スプリングの配設方法が考えられる。
【0008】
図6(a)に示すように、ネジアップ式接点ユニット500は2つのネジアップ式端子台502が並列配置されて構成されている。ネジアップ式端子台502では、端子ネジ504およびスプリングワッシャ506は角ワッシャ508と組み合わされている。角ワッシャ508からは下向きに突起510が突出している。突起510は側方に突出する小突起510aを有し、該小突起510aの下面が復帰スプリング512を圧縮する。この場合、突起510の板厚とは別に小突起510aの長さを確保しなければならず、横幅が長くなる。したがって、2つのネジアップ式端子台502間のピッチ寸法Cが固定されている場合、ギャップG1が狭まってしまい絶縁壁を設けることができない。突起510の側面を固定接点514に当接させると安定するがN.C接点とし使用する場合に絶縁ができなくなる。また、復帰スプリング512は端子ネジ504のヘッドよりもかなり下方に配置されることになり、その分だけネジアップ式端子台502の軸方向寸法が長くなる。
【0009】
図6(b)に示すように、ネジアップ式接点ユニット520は2つのネジアップ式端子台522が並列配置されて構成されている。角ワッシャ508からは下向きに突起524が突出している。突起524は復帰スプリング526の中心に嵌まり込んでいる。復帰スプリング526は突起524の上端屈曲部によって圧縮される。この場合、復帰スプリング526に突起524が挿入されることから復帰スプリング526の径が大きくなる。したがって、2つのネジアップ式端子台522間のピッチ寸法Cが固定されている場合、ギャップG2が狭まってしまい絶縁壁を設けることができない。また、復帰スプリング526は端子ネジ504のヘッドよりも下方に配置されることになり、その分だけネジアップ式端子台522の軸方向寸法が長くなる。
【0010】
ネジアップ式端子台502,522が縦横2方向から電線を接続可能な構成である場合、角ワッシャ508のストロークを長くする必要があり、それだけ突起510,524も長くなる。突起510,524は角ワッシャ508から下方に延在していることから固定接点514とラップする部分が生じ、絶縁性がよくない。
【0011】
特許文献1に記載の端子台では、復帰スプリングを受ける突起がワッシャよりもかなり上方まで突出しており、その分寸法が長くなってしまう。
【0012】
図7に示すように、ネジアップ式端子台530はカバー532で覆われることがある。ネジアップ式端子台530とカバー532との組み立て時に、角ワッシャ508が傾いているとカバー532が干渉して嵌められず、傾きを直さなければならず自動機による組立が困難となる。さらに、組立後においても端子ネジ504を締め上げると、角ワッシャ508もそのトルクによって回転してしまう。角ワッシャ508が回転すると、固定接点との間に挟まれた電線端子に無用な力が加わるとともに電線が傾いてしまう。
【0013】
また、縦横2方向(例えば上方と左方向)から電線を接続可能なネジアップ式端子台では、角ワッシャが2面(例えば下方と右方向)しか支持されず不安定である。さらに、ネジアップ式端子台では角ワッシャを把持機により把持することが困難であり、組立工程における課題となっている。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、角ワッシャがカバーの組立時に干渉することがなく、端子ネジの締め上げによっても回転することがなく、しかも該角ワッシャを把持機により把持しやすいネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるネジアップ式端子台は、絶縁フレームと、軸方向に沿う第1方向にヘッドを備えて逆の第2方向に雄ネジ部を備える端子ネジと、前記雄ネジ部が螺合する雌ネジ部と、前記端子ネジの首部に外嵌された角ワッシャと、前記角ワッシャの一辺から突出するガイド突起と、前記絶縁フレームに設けられて前記軸方向に沿って延在するガイド溝と、を有し、前記ガイド突起は、前記第1方向に延在しながら前記一辺よりも側方に突出し、前記ガイド溝に嵌って案内されることを特徴とする。
【0016】
前記角ワッシャから前記第1方向への前記ガイド突起の突出量は、前記ヘッドの高さ以下であってもよい。
【0017】
前記一辺は第1辺であり、前記第1辺に隣接する第2辺から突出する受け突起と、前記絶縁フレームに設けられて前記軸方向に沿って延在するスプリング溝と、前記スプリング溝に配置される復帰スプリングと、を有し、前記受け突起は前記第1方向に延在し、先端に前記第2辺に沿う屈曲部を備え、前記復帰スプリングは、前記端子ネジが前記雌ネジ部に螺合するときに前記屈曲部によって圧縮され、前記端子ネジが前記雌ネジ部から抜けたときに弾性力によって前記屈曲部を介して前記角ワッシャを前記第1方向に持ち上げてもよい。
【0018】
前記角ワッシャから前記第1方向への前記受け突起の突出量は、前記ヘッドの高さ以下であってもよい。
【0019】
前記絶縁フレームは、前記軸方向に沿って設けられて前記第1辺および前記第2辺に当接するガイド壁を有してもよい。
【0020】
前記絶縁フレームは、前記角ワッシャの第3辺および第4辺の方向から電線を挿入する2つの電線挿入部を有してもよい。
【0021】
また、本発明にかかるネジアップ式接点ユニットは、前記ネジアップ式端子台が一対設けられたネジアップ式接点ユニットにおいて、双方の前記ネジアップ式端子台における前記第2辺が対向する向きになるよう並列配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかるネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットでは、角ワッシャの一辺からガイド突起が突出している。ガイド突起はヘッドの方向に延在しながら前記一辺よりも側方に突出しており、絶縁フレームに設けられたガイド溝に嵌って案内される。これにより、角ワッシャの傾きが抑制され、該角ワッシャがカバーの組立時に干渉することがなく、しかも端子ネジの締め上げによっても回転することがない。また、ガイド突起はヘッドの方向に突出していることから把持機により把持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかるネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかるネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、可動部を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)は端子ネジおよびスプリングワッシャを省略した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、ネジアップ式接点ユニットの一部断面斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかるネジアップ式接点ユニットにおける一対の可動部およびその周辺を示す図である。
【
図6】
図6は、比較例としてのネジアップ式接点ユニットにおける一対の可動部およびその周辺を示す図であり、(a)はその第1例であり、(b)はその第2例である。
【
図7】
図7は、カバーが装着された状態のネジアップ式接点ユニットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかるネジアップ式端子台およびネジアップ式接点ユニットの実施形態であるネジアップ式端子台10およびネジアップ式接点ユニット12を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1に示すように、ネジアップ式接点ユニット12はネジアップ式端子台10が2台並列配置して構成されている。2台のネジアップ式端子台10はそれぞれ縦横2方向から電線14を挿入して固定可能となっている。電線14としては、例えば丸端子型が適用可能である。仮想線で示すようにネジアップ式接点ユニット12は複数台を前後方向(X’方向)に直列接続することができる。2台のネジアップ式端子台10は左右対称構造であって、絶縁フレーム16およびカバー18は共通となっている。カバー18は絶縁フレーム16の底面側を覆い、フィンガープロテクション構造である。
【0026】
図2に示すように、ネジアップ式端子台10は、絶縁フレーム16をベースとして、ワッシャ体20、端子ネジ22、スプリングワッシャ24、復帰スプリング26および固定接点28が組み合わされて構成されている。ワッシャ体20、端子ネジ22、スプリングワッシャ24、および復帰スプリング26をまとめて可動部30と呼ぶ。
【0027】
以下、2台のネジアップ式端子台10のうち、主に
図1および
図2における左側のものを例にして説明する。また、端子ネジ22の軸に沿う方向をX方向とし、螺入による端子ネジ22の進行方向をX2方向(第2方向)、その逆をX1方向(第1方向)とする。さらに、2台のネジアップ式端子台10が並列する方向をY方向とする。ネジアップ式接点ユニット12は複数台が直列接続される方向(
図1参照)をX’方向とする。X方向とX’方向との角度差は、例えば20°となっており、これにより、ネジアップ式接点ユニット12を複数台接続しても端子ネジ22に対するドライバ操作が可能となる。絶縁フレーム16およびカバー18の底面はX’-Y平面を形成している。
【0028】
固定接点28は絶縁フレーム16に固定されており、中心に雌ネジ部28aが形成されている。固定接点28は表面がひだ形状となっており、電線14の端子が滑りにくい。固定接点28は金属であり、一部が絶縁フレーム16の奥に延在して内部接点28b(
図4参照)を形成している。
【0029】
図3に示すように、ワッシャ体20は正方形の角ワッシャ20aがベースとなっていて、該角ワッシャ20aと固定接点28との間で電線14の端子を挟み込む部品である。角ワッシャ20aは中心のネジ孔20bおよびX2方向への複数の小さい膨出部20cを備えている。端子ネジ22はヘッド22a、首部22bおよび雄ネジ部22cからなる。首部22bは、角ワッシャ20aのネジ孔20bに挿入されている。つまり、首部22bには角ワッシャ20aが外嵌されている。雄ネジ部22cは固定接点28の雌ネジ部28aに螺入可能である。
【0030】
端子ネジ22は角ワッシャ20aから脱落しないように構成されている。角ワッシャ20aとヘッド22aとの間にはスプリングワッシャ24が設けられている。膨出部20cは固定接点28との間で電線14の端子を強く挟持する。
【0031】
ワッシャ体20はさらに、角ワッシャ20aから突出するガイド突起32および受け突起34を有する。ガイド突起32は角ワッシャ20aの第1辺20aaの端部からX1方向に延在しながら側方(
図3(b)では下側)に突出している。すなわち、ガイド突起32は、X1方向よりもやや開き気味のX’方向に突出している。このX’方向は、カバー18を絶縁フレーム16に対して着脱する方向(
図2参照)に等しい。ガイド突起32は、X’方向に延在していることから、先端に向かって第1辺20aaよりもやや下方に突出しており、この部分が後述するガイド溝40(
図4参照)に嵌合する。ガイド突起32は、例えば一度下方に短く延出してから90°屈曲してX1方向に延在していてもよい。第1辺20aaはY方向に沿う辺とする。
【0032】
図3(a)に示すように、X方向に対して垂直な方向から見て、角ワッシャ20aからX2方向へのガイド突起32の突出量は、ヘッド22aの高さよりやや小さくなっている。より詳細には、ヘッド22aによってスプリングワッシャ24が押圧されて平坦となったときに、ガイド突起32の突出量とヘッド22aの高さとはほぼ等しくなる。受け突起34の突出量もガイド突起32と同じである。
【0033】
受け突起34は、第1辺20aaにおけるガイド突起32に近い側に隣接する第2辺20abから突出している。受け突起34の一辺は第2辺20abと段差なくつながっている。受け突起34は第2辺20abの中央からY方向にやや突出し、L字に屈曲してX1方向に延在し、さらに先端が第2辺20abに沿う方向で上に向かい小さく屈曲して屈曲部34aを形成している。屈曲部34aには復帰スプリング26の一端が当接するようになっている。角ワッシャ20aにおける第3辺20acおよび第4辺20adには突起物がない。
【0034】
復帰スプリング26は、端子ネジ22が雌ネジ部28aに螺合するときに屈曲部34aによって圧縮され、端子ネジ22が雌ネジ部28aから抜けたときに弾性力によって屈曲部34aを介して角ワッシャ20aをX1方向に持ち上げる。
【0035】
図2に戻り、ネジアップ式端子台10は下ガイド壁36と、内側ガイド壁38と、ガイド溝40と、スプリング溝42と、上ガイド壁44とを有しており、これらは絶縁フレーム16に形成されている。下ガイド壁36、内側ガイド壁38、および上ガイド壁44で囲われた空間46のX2方向端には固定接点28が設けられている。この空間46で内側ガイド壁38の逆側(
図2の左側)は開口している。上ガイド壁44は固定接点28の上部は覆ってなく、隙間(電線挿入部)が形成されており、この隙間から電線14(
図1参照)が挿入可能となっている。空間46には可動部30が配置される。
【0036】
下ガイド壁36は、X方向に沿って設けられており、角ワッシャ20aの第1辺20aaに当接して支持する。下ガイド壁36の上方には該下ガイド壁36と平行な上ガイド壁44が設けられている。内側ガイド壁38は絶縁フレーム16の中央近傍に設けられており、角ワッシャ20aの第2辺20abに当接して支持する。内側ガイド壁38は上壁38aと下壁38bとからなる。上壁38aは第2辺20abにおける受け突起34よりも上側を支持し、下壁38bは第2辺20abにおける受け突起34よりも下側を支持する。上壁38aはほぼX方向に沿って形成され、下壁38bはほぼX’方向に沿って形成されている。
【0037】
図4に示すように、ガイド溝40は
図4の下に向かって窪んだ溝であり、下ガイド壁36と下壁38bとの間でX方向に沿って設けられ、X1方向が開口している。ガイド溝40の底面40aはX’方向に沿った面となっており、X1方向の開口部は適度に広くなっている。ガイド溝40にはガイド突起32がほぼ隙間なく嵌まり込み、ワッシャ体20はガイド溝40によってX方向に案内される。
【0038】
スプリング溝42は復帰スプリング26が配置される半円溝であり、X方向に沿って設けられ、X1方向が開口している。スプリング溝42はX1方向側の半分以上は下に開口したU字溝であり、X2方向の端部は復帰スプリング26の全周を覆う有底穴42aとなっている。復帰スプリング26はX2方向端が有底穴42aの底面42bで支持され、X1方向端が屈曲部34aで支持される。復帰スプリング26のX2方向端は有底穴42aで安定して保持され、X1方向端はスプリング溝42と受け突起34によって安定して保持される。スプリング溝42は、端子ネジ22の軸心高さよりも上側に設けられており、下側に設けられたガイド溝40からはやや離れた位置となってレイアウト上の自由度がある。
【0039】
図2に戻り、カバー18は底面板48と、一対の側面板50と、一対のドライバ孔52とを有する。底面板48は絶縁フレーム16の底面を覆う板であり、ドライバ孔52が形成されている。ドライバ孔52からは端子ネジ22のヘッド22aが露呈される。ドライバ孔52からはドライバが挿入可能であって、端子ネジ22のドライバ操作が可能になっている。ドライバ孔52は角ワッシャ20aよりは小さく形成されており、可動部30が外部に抜け出ることはない。ドライバ孔52は2つの可動部30に合わせて一対設けられている。側面板50は絶縁フレーム16のY方向両面を覆う板であり、絶縁フレーム16の側面、固定接点28の側方辺および角ワッシャ20aの側方辺に対してほとんど隙間なく配置される。側面板50には、側方から電線14を挿入するための孔(電線挿入部)50aが設けられている。カバー18は絶縁フレーム16に対してX’方向に沿って近づけて押し込むことによりスナップフィット式に固定される。
【0040】
図5に示すように、ネジアップ式接点ユニット12では、ネジアップ式端子台10が
左右対称に一対設けられており、双方のネジアップ式端子台10における第2辺20abが対向する向きになるよう並列配置されている。したがって、受け突起34も対向するように内向きとなり、外向きの第3辺20acからは電線14が挿入可能となる。
【0041】
ネジアップ式端子台10の受け突起34では
図6(a)に示した例のように内向きに突出する小突起510aがないことから、その分だけY方向寸法を短くすることができる。また、ネジアップ式端子台10では復帰スプリング26端部が屈曲部34aによって支持されており、
図6(b)に示した例のように復帰スプリング526の中に入り込んでいない。したがって、その分だけ復帰スプリング26を小径にすることができ、ネジアップ式端子台10のY寸法も短くすることができる。
【0042】
このようにネジアップ式端子台10はY寸法が短くなることから、左右一対のネジアップ式端子台10のピッチ寸法Cが固定された場合でも、そのギャップGを比較的大きくすることができギャップGの範囲に絶縁壁54を設けることが可能になり、絶縁性が保たれる。
【0043】
ネジアップ式端子台10では、受け突起34がX1方向に延在していることから、X2方向に設けられている固定接点28からは離れており、絶縁性が一層高まる。復帰スプリング26を絶縁材で構成し、または絶縁被覆を設けることで絶縁性がさらに高まる。
【0044】
次に、このように構成されるネジアップ式端子台10およびネジアップ式接点ユニット12を組み立てる手順および使用手順について説明する。
【0045】
まず、ネジアップ式端子台10およびネジアップ式接点ユニット12を組み立てる際には、絶縁フレーム16に固定接点28を固定しておき、さらにスプリング溝42に復帰スプリング26を入れておく。
【0046】
さらに、
図4の仮想線で示すように把持機53によりガイド突起32を把持しながら、該ガイド突起32をガイド溝40に挿入する。これによりワッシャ体20および端子ネジ22が正しい位置に配置される。ガイド突起32は手前側に突出していることから把持機53による把持が可能である。ガイド突起32は適度に長いことからガイド溝40に対して安定して挿入され、案内される。ガイド突起32はX方向よりもやや開き気味のX’方向に延在していることから、第1辺20aaよりもやや側方に突出して、ヘッド22aとの間に多少の隙間が設けられており、ガイド突起32の上面が把持機53により把持しやすい。ガイド溝40の開口は適度に広く、底面40aとガイド突起32との間には隙間が設けられていることから、ガイド突起32の下面が把持機53により把持しやすい。
【0047】
端子ネジ22が雌ネジ28aに螺入されると、角ワッシャ20aは第1辺20aaおよび第2辺20abの2辺だけが下ガイド壁36、内側ガイド壁38によって支持されるが、さらにガイド突起32がガイド溝40に嵌まり込んでいることにより一層正確かつ確実に位置決めと回り止めがなされる。
【0048】
また、受け突起34はX1方向に突出していて屈曲部34aもX1方向に寄った配置となっていることから、復帰スプリング26を適度に長い寸法にすることができ、可動部30のストロークを長く確保することができる。ガイド突起32および受け突起34の突出量は、ヘッド22aの高さよりやや低いことから、底面板48(
図2参照)はヘッド22aの頂部に近い位置に配置されることになり、奥行き寸法が長くならない。ガイド突起32および受け突起34は角ワッシャ20aの傾きを抑制するため、ネジアップの際に復帰スプリング26の荷重をX1方向に正確に伝えることができる。
【0049】
復帰スプリング26が屈曲部34aを支持していることから角ワッシャ20aはX1方向に浮き上がった状態となり、端子ネジ22の雄ネジ部22cと固定接点28との間にはある程度の隙間が形成されており、電線14の端子が配置され得る。
【0050】
この後、カバー18を絶縁フレーム16に装着する。カバー18の側面板50はワッシャ体20の角ワッシャ20aの側辺、つまり第3辺20acに対してほとんど隙間がないが、角ワッシャ20aは正しい位置に配置されていて側面板50に干渉することがない。つまり、ガイド突起32がガイド溝40に挿入されていることにより角ワッシャ20aの角部が側方に突出することはなく、側面板50に当たらない。これにより、角ワッシャ20aの角度を目視して人手によって調整するという手間がなく、組立工程が簡略化され、例えば自動機による組立が容易となる。
【0051】
次に、ネジアップ式端子台10およびネジアップ式接点ユニット12に対して電線14を装着する場合には、上方および/または側方から電線14の端子を固定接点28と角ワッシャ20aとの間に挿入する。
【0052】
そして、ドライバ孔52から図示しないドライバを挿入して先端をヘッド22aの頂面溝に合わせて押し込む。ワッシャ体20は受け突起34の屈曲部34aが復帰スプリング26を圧縮しながらX2方向に押しこまれ、雄ネジ部22cが雌ネジ部28aの開口部に当接する。このとき、ガイド突起32はガイド溝40によって案内されることから、ワッシャ体20は正しい向きに維持されていて回転ズレが防止される。
【0053】
ドライバを回転させることにより雄ネジ部22cが雌ネジ部28aに螺入されてX2方向にさらに前進する。電線14の端子は角ワッシャ20aと固定接点28との間で挟持され強い圧力で固定される。このとき、角ワッシャ20aにはドライバからヘッド22aおよびスプリングワッシャ24を介して大きなトルクが作用することになるが、ガイド突起32がガイド溝40に嵌まり込んでいることから角ワッシャ20aの回転ずれがなく、固定接点28との間で挟持されている電線14の向きが変わらない。
【0054】
このように、本実施の形態に係るネジアップ式端子台10では、ガイド突起32の作用により、角ワッシャ20aの回転が防止されカバー18の装着時に干渉することがなく、ネジ止め時にも連れ回りすることがない。ガイド突起32は把持機53で把持することができるので、自動組み立てに適する。受け突起34はX1方向に延在しており固定接点28からは離れていて絶縁性に優れる。
【0055】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
10 ネジアップ式端子台
12 ネジアップ式接点ユニット
14 電線
16 絶縁フレーム
18 カバー
20 ワッシャ体
20a 角ワッシャ
20aa 第1辺
20ab 第2辺
20ac 第3辺
20ad 第4辺
22 端子ネジ
22a ヘッド
22b 首部
22c 雄ネジ部
26 復帰スプリング
28 固定接点
28a 雌ネジ部
32 ガイド突起
34 受け突起
34a 屈曲部
40 ガイド溝
42 スプリング溝