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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電源装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220419BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20220419BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20220419BHJP
【FI】
B60K1/04 ZHV
B60L50/50
B60K6/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018242446
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020104559
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 怜也
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃司
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-22092(JP,A)
【文献】特開平9-309343(JP,A)
【文献】特開2015-107727(JP,A)
【文献】特開2004-127747(JP,A)
【文献】特開2015-182655(JP,A)
【文献】特開2007-15614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60L 50/50
B60K 6/40
B60R 16/02
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの下方に配設される電源装置であって、
前記フロアパネルの下方に配設されると共に、複数のワイヤーハーネスが沿うように配索された配線構造体と、
前記配線構造体の下部に配設されると共に前記複数のワイヤーハーネスに接続された少なくとも一つの高電圧蓄電装置と、
前記配線構造体の下部に配設されると共に前記複数のワイヤーハーネスに接続され、且つ、前記高電圧蓄電装置が出力する電圧よりも小さな電圧を出力する少なくとも一つの低電圧蓄電装置と、
前記配線構造体の下部に配設されると共に、前記高電圧蓄電装置及び前記低電圧蓄電装置の少なくとも一方に前記複数のワイヤーハーネスを介して接続される電気機器と、を備えた電源装置。
【請求項2】
前記電気機器はDC/DCコンバータである、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記高電圧蓄電装置、及び前記低電圧蓄電装置の少なくとも一方は、コネクタを介して前記配線構造体と接続されている、請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記低電圧蓄電装置は、前記配線構造体の前部に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記複数のワイヤーハーネスとは異なる少なくとも一つの補助ワイヤーハーネスが、前記配線構造体に沿って配索されると共に、前記配線構造体の前方及び後方に導出されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記配線構造体は、導電性の金属からなり、
前記配線構造体の下方に前記複数のワイヤーハーネスが配索されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電源装置と、
前記電源装置の上方に位置するフロアパネルを有する車体と、を有する車両であって、
前記電源装置は、前記車両の前後方向の中間位置付近に配されている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、車両に搭載される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関と電動機とを備えるハイブリッド自動車においては、電動機を駆動する駆動源として用いられる高電圧電源は車両の床下や、トランクルーム内に配置されており、車載の電気機器に電力を供給するための低電圧電源は、エンジンルーム内に配置されていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-159772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術によれば、低電圧電源と高電圧電源とを電気的に接続するためには、車両の床下、又はトランクルームから、エンジンルームまで、ワイヤーハーネスを長々と取り回していた。さらに、低電圧電源から車両の後部に搭載された電気機器まで電力を供給する場合には、低電圧電源から、車両の床下を通って車両の後部まで、ワイヤーハーネスを再度引き回していた。このため、配線構造を簡略化することが求められていた。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電源装置の配線構造を全体としてコンパクトにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、車両のフロアパネルの下方に配設される電源装置であって、前記フロアパネルの下方に配設されると共に、複数のワイヤーハーネスが沿うように配索された配線構造体と、前記配線構造体の下部に配設されると共に前記複数のワイヤーハーネスに接続された少なくとも一つの高電圧蓄電装置と、前記配線構造体の下部に配設されると共に前記複数のワイヤーハーネスに接続され、且つ、前記高電圧蓄電装置が出力する電圧よりも小さな電圧を出力する少なくとも一つの低電圧蓄電装置と、前記配線構造体の下部に配設されると共に、前記高電圧蓄電装置及び前記低電圧蓄電装置の少なくとも一方に前記複数のワイヤーハーネスを介して接続される電気機器と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、高電圧蓄電装置と、低電圧蓄電装置と、電気機器とを、車両のフロアパネルの下方に、コンパクトに纏めて配置することができる。これにより、高電圧蓄電装置及び低電圧蓄電装置の少なくとも一方と、電気機器と、を接続するためのワイヤーハーネスの長さを短縮すると共に、複数のワイヤーハーネスを配線構造体に沿うように配索することができるので、電源装置の配線構造を全体としてコンパクトにすることができる。
【0008】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0009】
前記電気機器はDC/DCコンバータである。
【0010】
上記の構成によれば、高電圧蓄電装置、及び低電圧蓄電装置の少なくとも一方の電圧を安定的に出力することができる。
【0011】
前記高電圧蓄電装置、及び前記低電圧蓄電装置の少なくとも一方は、コネクタを介して前記配線構造体と接続されている。
【0012】
上記の構成によれば、高電圧蓄電装置、及び低電圧蓄電装置の少なくとも一方を、配線構造体に、コネクタを介して着脱可能に配設することができる。これにより、高電圧蓄電装置、及び低電圧蓄電装置の少なくとも一方を容易に交換することができる。
【0013】
前記低電圧蓄電装置は、前記配線構造体の前部に配置されている。
【0014】
上記の構成によれば、低電圧蓄電装置を、車両のフロアパネルの前部に配することができる。フロアパネルの前部にはインスツルメントパネルが配設されているので、低電圧蓄電装置から出力される電力をインスツルメントパネルに供給する際に、低電圧蓄電装置とインスツルメントパネルとを接続するワイヤーハーネスの長さを短くすることができる。
【0015】
前記複数のワイヤーハーネスとは異なる少なくとも一つの補助ワイヤーハーネスが、前記配線構造体に沿って配索されると共に、前記配線構造体の前方及び後方に導出されている。
【0016】
上記の構成によれば、補助ワイヤーハーネスを配線構造体に沿わせて配索すると共に、配線構造体の前方及び後方に導出させることにより、車両の前部と後部とに亘ってワイヤーハーネスを配索することができる。これにより、補助ワイヤーハーネスを配索するための構造を別途設ける必要がなくなるので、補助ワイヤーハーネスの配索構造を全体としてコンパクトにすることができる。
【0017】
前記配線構造体は、導電性の金属からなり、前記配線構造体の下方に前記複数のワイヤーハーネスが配索されている。
【0018】
上記の構成によれば、複数のワイヤーハーネスに対して、上方から異物が衝突することを抑制することができる。また、複数のワイヤーハーネスを電磁的にシールドすることができる。
【0019】
上記の電源装置と、前記電源装置の上方に位置するフロアパネルを有する車体と、を有する車両であって、前記電源装置は、前記車両の前後方向の中間位置付近に配されている。
【0020】
上記の構成によれば、車両がフロントモーターのみを有する場合、車両がリアモーターのみを有する場合、及び車両がフロントモーターとリアモーターの双方を有する場合の、いずれにも容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に開示された技術によれば、電源装置の配線構造を全体としてコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る車両、及び電源装置を示す側断面図
図2】車両、及び電源装置を示す平断面図
図3】電源装置を示す平面図
図4】フロアパネルと、電源装置とを示す一部切欠側断面図
図5】電源装置を示す側面図
図6】電源装置から配線構造体を取り外した状態を示す平面図
図7】電源装置を示す背面図
図8図3におけるVIII-VIII線断面図
図9図3におけるIX-IX線断面図
図10図3におけるX-X線断面図
図11図3におけるXI-XI線断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を、自動車等の車両10に取り付けられる電源装置11に適用した実施形態1について、図1から図11を参照しつつ説明する。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付して、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0024】
車両10
図1に示すように、車両10は、金属製のフレーム12と、フレーム12に取り付けられた車体13と、を有する。フレーム12は、前後方向に延びると共に、左右方向に間隔を空けて並ぶ一対のサイドフレーム14と、一対のサイドフレーム14の間を左右方向に連結する複数(本実施形態では6つ)のクロスフレーム15と、を有する。一対のサイドフレーム14は略平行に配されている。一対のサイドフレーム14のうち前端部から後方へ約四分の一の領域は、左右方向についてやや幅狭に形成されている。
【0025】
サイドフレーム14、及びクロスフレーム15は断面が略長方形状をなす角筒状をなしている。サイドフレーム14とクロスフレーム15とは、公知の手法により溶接されている。
【0026】
フレーム12の上方には、板状をなすフロアパネル16が配されている。フロアパネル16の上方には乗員が乗り込む車室17が形成されている。車室17内であって、フロアパネル16の前端部寄りの位置には、インスツルメントパネル18が配置されている(図2参照)。インスツルメントパネル18には、速度メーター、カーナビゲーションシステム、エアコンディショナーの操作パネル等の電装品が配設されている。また、インスツルメントパネル18には、12V用ソケット19と、100V用ソケット20とが配設されている。12V用ソケット19からは12V電圧の直流電力が供給されるようになっており、100V用ソケット20からは100V電圧の交流電力が供給されるようになっている。なお、12V用ソケット19、及び100V用ソケット20は、インスツルメントパネル18に限られず、車室17の任意の位置に配置することができる。
【0027】
フロアパネル16の後端部は、側方から見て、上方に弧状に曲がりながら、後方に延びている。これにより、フロアパネル16が、後輪及び後輪の車軸と干渉しないようになっている。
【0028】
車両10の前端部寄りの位置には、フロントモーター21が配設されている。また、車両10の後端部寄りの位置には、リアモーター22が配設されている。
【0029】
電源装置11
図3に示すように、フロアパネル16の下方には、電源装置11が配設されている。図4及び図5に示すように、電源装置11は、上下方向について扁平な形状をなすと共に前後方向に延びる配線構造体23を有する。配線構造体23の下部には、高電圧蓄電装置24と、第1低電圧蓄電装置25(低電圧蓄電装置との一例)と、第2低電圧蓄電装置26(低電圧蓄電装置の一例)と、100Vチャージャー27(電気機器の一例)と、第1DC/DCコンバータ28(電気機器の一例)と、第2DC/DCコンバータ29(電気機器の一例)とが、配設されている。
【0030】
電源装置11は、上方から見て、略長方形状をなしている。電源装置11の前端部は、フロアパネル16の前端部よりも、やや後方に位置している。電源装置11の後端部は、フロアパネル16のうち上方に屈曲する部分よりもやや前方に位置している。全体として、電源装置11は、フロアパネル16の平坦な部分の下方に配されている。
【0031】
図2に示すように、電源装置11は、一対のサイドフレーム14のうち左右方向に幅狭に形成された領域よりも後方の位置であって、且つ、後ろから二番目に配されたクロスフレーム15よりも前方の位置に配されている。
【0032】
図2に示すように電源装置11は、左右方向について、一対のサイドフレーム14の内側の領域に配されている。電源装置11の左右方向についての幅寸法は、一対のサイドフレーム14の間隔と同じか、やや小さく設定されている。
【0033】
配線構造体23
図4に示すように、フロアパネル16の下方には、フロアパネル16の下面に沿うようにして、配線構造体23が配されている。配線構造体23は、上方から見て略長方形状をなしている。配線構造体23は、天板30と、天板30の側縁から下方に延びる側壁31と、を有する。配線構造体23は、全体として、上下方向について扁平な形状をなすと共に、下方に開口する箱状をなしている。本実施形態に係る配線構造体23は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属からなる。
【0034】
配線構造体23の天板30の下方には、前後方向に延びる、第1高電圧ワイヤーハーネス32(ワイヤーハーネスの一例)、及び第2高電圧ワイヤーハーネス33(ワイヤーハーネスの一例)が配されている(図6参照)。配線構造体23の天板30の下面には、前端部寄りの位置に、概ね左右方向に延びる低電圧ワイヤーハーネス34(ワイヤーハーネスの一例)が配されている。配線構造体23の下面には、前後方向に延びると共に前方及び後方に導出された右側補助ワイヤーハーネス35R(補助ワイヤーハーネスの一例)及び左側補助ワイヤーハーネス35L(補助ワイヤーハーネスの一例)が、左右方向に間隔を空けて並んで配されている。配線構造体23の前端縁には、左右方向の中央付近から、給電ワイヤーハーネス36が前方に導出されている。給電ワイヤーハーネス36の前端は、図示しない給電コネクタに接続されている。この給電コネクタを介して外部から電力が供給されることにより、高電圧蓄電装置24が充電されるようになっている。
【0035】
配線構造体23の右側には右側補助ワイヤーハーネス35Rが配されており、配線構造体23の左側には左側補助ワイヤーハーネス35Lが配されている。右側補助ワイヤーハーネス35R、及び左側補助ワイヤーハーネス35Lの前端部、及び後端部には、それぞれ、センサ51が接続されている。右側補助ワイヤーハーネス35Rと、左側補助ワイヤーハーネス35Lとは冗長化されており、右側補助ワイヤーハーネス35R、及び左側補助ワイヤーハーネス35Lの一方が断線しても、他方に接続されたセンサ51によって、一方に接続されたセンサ51が補完されるようになっている。
【0036】
高電圧蓄電装置24
配線構造体23の下方には、前後方向について配線構造体23の後端部から前方に約四分の三の領域に、複数の蓄電素子37を有する高電圧蓄電装置24が配設されている。複数の蓄電素子37の少なくとも一部が直列接続されることにより、高電圧蓄電装置24は、100Vより高い電圧の直流電力を出力するようになっている。複数の蓄電素子37は、一部が並列接続されていてもよい。
【0037】
高電圧蓄電装置24は、複数の蓄電素子37が左右方向に並べられてなる複数の蓄電素子列38が、前後方向に並べられた状態で、金属製の筐体39内に収容されて構成されている。
【0038】
図8及び図9に示すように、高電圧蓄電装置24の前後方向の中央位置付近で、且つ、左右方向の中央位置付近には、上方に開口する高電圧コネクタ40が配されている。高電圧コネクタ40は、配線構造体23の対応する位置に設けられた待ち受けコネクタ41と嵌合するようになっている。高電圧コネクタ40と待ち受けコネクタ41とが嵌合することにより、高電圧蓄電装置24と配線構造体23とが電気的に接続されるようになっている。
【0039】
図6に示すように、待ち受けコネクタ41の右方の位置には、図示しない制御装置からの信号に基づいて、高電圧蓄電装置24の通電又は断電を実行する高電圧スイッチングボックス42が配されている。高電圧スイッチングボックス42は、上方から見て、左右方向に細長い長方形状をなしている。高電圧スイッチングボックス42の左右方向の幅寸法は、高電圧蓄電装置24の左右方向の幅寸法の略二分の一に設定されている。
【0040】
図6に示すように、高電圧コネクタ40には、高電圧コネクタ40よりも前方に延びる第1高電圧ワイヤーハーネス32が接続されている。第1高電圧ワイヤーハーネス32の前端部は、高電圧蓄電装置24の前部から前方に導出されて、後述するジャンクションボックス43に接続されている。
【0041】
第1高電圧ワイヤーハーネス32の左方には、第2高電圧ワイヤーハーネス33が、第1高電圧ワイヤーハーネス32と並んで、前後方向に延びて配索されている。
【0042】
図8に示すように、第2高電圧ワイヤーハーネス33を構成する第2高電圧電線60の断面形状は、上下方向に扁平な楕円形状、又は、長円形状をなしている。図示はしないが、第1高電圧ワイヤーハーネス32を構成する第1高電圧電線の断面形状も、上下方向に扁平な楕円形状、又は、長円形状をなしている。第1高電圧ワイヤーハーネス32、及び第2高電圧ワイヤーハーネス33は、導電性の金属からなると共に角筒状をなすシールド部材44によって一括して包囲されている。
【0043】
多機能ボックス45
配線構造体23の下方であって、且つ、高電圧蓄電装置24の前方の領域には、多機能ボックス45が配設されている。多機能ボックス45は金属製の筐体46を有する。多機能ボックス45の筐体46の内部には、上述した第1高電圧ワイヤーハーネス32に接続されるジャンクションボックス43と、出力電圧が12Vである第1低電圧蓄電装置25(低電圧蓄電装置の一例)と、出力電圧が48Vである第2低電圧蓄電装置26(低電圧蓄電装置の一例)と、第1低電圧蓄電装置25に接続される第1DC/DCコンバータ28と、第2低電圧蓄電装置26に接続される第2DC/DCコンバータ29と、前述した給電ワイヤーハーネス36に接続される100Vチャージャー27と、12V用コネクタ47、及び100V用コネクタ48が設けられたコネクタボックス49と、が収容されている。
【0044】
ジャンクションボックス43は、多機能ボックス45のうち、後部寄りの位置であって、且つ左右方向の中央付近に配されている。ジャンクションボックス43は、第1高電圧ワイヤーハーネス32から受け取った電力を分岐して、複数の機器に送電する。ジャンクションボックス43の後部からは、第1高電圧ワイヤーハーネス32の左方に並んで、後方へ延びる第2高電圧ワイヤーハーネス33が導出されている。第2高電圧ワイヤーハーネス33は、配線構造体23に配索されて、配線構造体23の後部から後方へと導出されている。第2高電圧ワイヤーハーネス33は、図示しないインバータ等を介してリアモーター22に接続されて、リアモーター22に電力を供給する。第1高電圧ワイヤーハーネス32、及び第2高電圧ワイヤーハーネス33と、ジャンクションボックス43とは、電力コネクタ50を介して電気的に接続されている(図10参照)。
【0045】
ジャンクションボックス43には複数の低電圧ワイヤーハーネス34が接続されている。ジャンクションボックス43に接続された低電圧ワイヤーハーネス34は、分岐されて、多機能ボックス45内に収容された機器に接続されている。
【0046】
第1低電圧蓄電装置25と、第1DC/DCコンバータ28と、コネクタボックス49の12V用コネクタ47とが、ジャンクションボックス43及び低電圧ワイヤーハーネス34を介して接続されている(図11参照)。更に、第1低電圧蓄電装置25と、高電圧蓄電装置24とが、低電圧ワイヤーハーネス34、ジャンクションボックス43、及び第1高電圧ワイヤーハーネス32を介して接続されている。
【0047】
第2低電圧蓄電装置26と、第2DC/DCコンバータ29とが、ジャンクションボックス43及び低電圧ワイヤーハーネス34を介して接続されている。更に、第2低電圧蓄電装置26と、高電圧蓄電装置24とが、低電圧ワイヤーハーネス34、ジャンクションボックス43、及び第1高電圧ワイヤーハーネス32を介して接続されている。
【0048】
また、100Vチャージャー27と、コネクタボックス49の100V用コネクタ48とが、ジャンクションボックス43及び低電圧ワイヤーハーネス34を介して接続されている(図11参照)。100Vチャージャー27は、低電圧ワイヤーハーネス34、ジャンクションボックス43、及び第1高電圧ワイヤーハーネス32を介して、高電圧蓄電装置24に接続されている。
【0049】
なお、図6には、主な低電圧ワイヤーハーネス34を記載し、一部の低電圧ワイヤーハーネス34については省略してある。
【0050】
図6に示すように、多機能ボックス45の右前部には、第1低電圧蓄電装置25が配されている。第1低電圧蓄電装置25は上方から見て長方形状をなしている。第1低電圧蓄電装置25の後方には、第2低電圧蓄電装置26が配されている。第2低電圧蓄電装置26は上方から見て、第1低電圧蓄電装置25よりもやや大きな長方形状をなしている。なお、第1低電圧蓄電装置25と第2低電圧蓄電装置26の、前後方向についての配置は、本実施形態に限定されない。
【0051】
前後方向に並んで配された、第1低電圧蓄電装置25、及び第2低電圧蓄電装置26の左方には、コネクタボックス49が配されている。コネクタボックス49は、上方から見て左右方向に幅狭な長方形状をなしている。コネクタボックス49には、前側に12V用コネクタ47が配されており、後ろ側に100V用コネクタ48が配されている。なお、12V用コネクタ47と、100V用コネクタ48の、前後方向についての配置は、本実施形態に限定されない。
【0052】
コネクタボックス49の上方にはインスツルメントパネル18が配されている。インスツルメントパネル18の12V用ソケット19と、12V用コネクタ47とは、図示しないワイヤーハーネスにより電気的に接続されている。また、インスツルメントパネル18の100V用ソケット20と、100V用コネクタ48とは、図示しないワイヤーハーネスにより電気的に接続されている。
【0053】
多機能ボックス45の左端部には、第1低電圧蓄電装置25に電気的に接続される第1DC/DCコンバータ28と、第2低電圧蓄電装置26に電気的に接続される第2DC/DCコンバータ29とが、前後に並んで配されている。なお、第1DC/DCコンバータ28と、第2DC/DCコンバータ29の前後方向の配置は、本実施形態に限定されない。
【0054】
実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態は、車両10のフロアパネル16の下方に配設される電源装置11であって、フロアパネル16の下方に配設されると共に、第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34が沿うように配索された配線構造体23と、配線構造体23の下部に配設されると共に第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34に接続された高電圧蓄電装置24と、配線構造体23の下部に配設されると共に第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34に接続され、且つ、高電圧蓄電装置24が出力する電圧よりも小さな電圧を出力する第1低電圧蓄電装置25及び第2低電圧蓄電装置26と、配線構造体23の下部に配設されると共に、高電圧蓄電装置24、第1低電圧蓄電装置25及び第2低電圧蓄電装置26の少なくとも一つに第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34を介して接続される、100Vチャージャー27、第1DC/DCコンバータ28、及び第2DC/DCコンバータ29と、を備える。
【0055】
上記の構成によれば、高電圧蓄電装置24と、第1低電圧蓄電装置25及び第2低電圧蓄電装置26と、100Vチャージャー27、第1DC/DCコンバータ28、及び第2DC/DCコンバータ29とを、車両10のフロアパネル16の下方に、コンパクトに纏めて配置することができる。これにより、高電圧蓄電装置24、並びに、第1低電圧蓄電装置25及び第2低電圧蓄電装置26の少なくとも一つと、100Vチャージャー27、第1DC/DCコンバータ28、及び第2DC/DCコンバータ29の少なくとも一つと、を接続するためのワイヤーハーネスの長さを短縮すると共に、第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34を配線構造体23に沿うように配索することができるので、電源装置11の配線構造を全体としてコンパクトにすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る電源装置11は、第1DC/DCコンバータ28、及び第2DC/DCコンバータ29を有しているので、高電圧蓄電装置24、並びに、第1低電圧蓄電装置25及び第2低電圧蓄電装置26の少なくとも一つの電圧を安定的に出力することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る高電圧蓄電装置24は、高電圧コネクタ40及び待ち受けコネクタ41を介して配線構造体23と接続されている。
【0058】
上記の構成によれば、高電圧蓄電装置24を、配線構造体23に、高電圧コネクタ40及び待ち受けコネクタ41を介して着脱可能に配設することができる。これにより、高電圧蓄電装置24を容易に交換することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る第1低電圧蓄電装置25は、配線構造体23の前部に配置されている。
【0060】
上記の構成によれば、第1低電圧蓄電装置25を、車両10のフロアパネル16の前部に配することができる。フロアパネル16の前部にはインスツルメントパネル18が配設されているので、第1低電圧蓄電装置25から出力される12V電圧の直流電力をインスツルメントパネル18に供給する際に、第1低電圧蓄電装置25とインスツルメントパネル18とを接続する低電圧ワイヤーハーネス34の長さを短くすることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、右側補助ワイヤーハーネス35R及び左側補助ワイヤーハーネス35Lが、配線構造体23に沿って配索されると共に、配線構造体23の前方及び後方に導出されている。
【0062】
上記の構成によれば、右側補助ワイヤーハーネス35R及び左側補助ワイヤーハーネス35Lを配線構造体23に沿わせて配索すると共に、配線構造体23の前方及び後方に導出させることにより、車両10の前部と後部とに亘って右側補助ワイヤーハーネス35R及び左側補助ワイヤーハーネス35Lを配索することができる。これにより、右側補助ワイヤーハーネス35R及び左側補助ワイヤーハーネス35Lを配索するための構造を別途設ける必要がなくなるので、右側補助ワイヤーハーネス35R及び左側補助ワイヤーハーネス35Lの配索構造を全体としてコンパクトにすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る配線構造体23は、導電性の金属からなり、配線構造体23の下方に第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34が配索されている。
【0064】
上記の構成によれば、第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34に対して、上方から異物が衝突することを抑制することができる。また、第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34を電磁的にシールドすることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る自動車は、電源装置11と、電源装置11の上方に位置するフロアパネル16を有する車体13と、を有する車両10であって、電源装置11は、車両10の前後方向の中間位置付近に配されている。
【0066】
上記の構成によれば、車両10がフロントモーター21のみを有する場合、車両10がリアモーター22のみを有する場合、及び車両10がフロントモーター21とリアモーター22の双方を有する場合の、いずれにも容易に対応することができる。
【0067】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0068】
(1)低電圧蓄電装置の出力電圧は、12V、又は48Vに限らず、任意の電圧とすることができる。
【0069】
(2)配線構造体23に配設される電気機器は、DC/DCコンバータに限られず、配線構造体23には、任意の電気機器を配設することができる。
【0070】
(3)低電圧蓄電装置は、配線構造体23の任意の位置に配置することができる。
【0071】
(4)補助ワイヤーハーネス35は省略してもよい。
【0072】
(5)車両10は、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車を含む。
【0073】
(6)第1高電圧ワイヤーハーネス32、第2高電圧ワイヤーハーネス33、及び低電圧ワイヤーハーネス34は、配線構造体23の上方において、配線構造体23の上面に沿うように配される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10:車両
11:電源装置
16:フロアパネル
23:配線構造体
24:高電圧蓄電装置
25:第1低電圧蓄電装置(低電圧蓄電装置の一例)
26:第2低電圧蓄電装置(低電圧蓄電装置の一例)
27:100Vチャージャー(電気機器の一例)
28:第1DC/DCコンバータ(電気機器の一例)
29:第2DC/DCコンバータ(電気機器の一例)
32:第1高電圧ワイヤーハーネス(ワイヤーハーネスの一例)
33:第2高電圧ワイヤーハーネス(ワイヤーハーネスの一例)
34:低電圧ワイヤーハーネス(ワイヤーハーネスの一例)
35:補助ワイヤーハーネス
41:待ち受けコネクタ(コネクタの一例)
40:高電圧コネクタ(コネクタの一例)
図1
図2
図3
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図5
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図11