(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】経路通知システム、経路通知方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20220419BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220419BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G08G1/005
G01C21/26 P
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2019021931
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2020-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】日高 健
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-182146(JP,A)
【文献】特開2016-085506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/005
G01C 21/26
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デマンド型交通を含む公共交通機関を利用する利用者に、目的地に到着するまでの経路を通知する経路通知システムであって、
前記公共交通機関を利用する他の利用者の経路情報を含む交通情報を取得する取得部と、
前記交通情報を用いて、前記経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部が探索した前記経路を通知する通知部と、を備え、
前記経路探索部は、前記取得部が新たに取得した交通情報を用いて、前記デマンド型交通の他の利用者の経路を使った前記目的地までの経路を新たに探索し、
前記通知部は、
新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する前に、前記他の利用者に、前記他の利用者が利用する公共交通機関の相乗りの可否確認を通知し、
相乗りは可能と示された可否情報を取得すると、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する、
経路通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路通知システムであって、
前記通知部は、前記利用者から新たに経路の探索が要求されたか否かに関わらず前記新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する、
経路通知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の経路通知システムは、さらに、
前記公共交通機関の予約を行う予約処理部を備え、
前記通知部は、前記新たに探索された経路を通知するとき、前記利用者に対して前記新たに探索された経路を選択するか否かの選択確認を通知可能であり、
前記取得部は、前記利用者の選択結果を示す選択情報を、前記利用者から取得可能であり、
前記予約処理部は、前記利用者が前記新たに探索された経路を選択すると、前記新たに探索された経路に基づいて前記公共交通機関の予約を行う、
経路通知システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の経路通知システムは、さらに、
前記新たに探索された経路に関する情報と複数の前記利用者のそれぞれの通知条件を用いて、前記複数の利用者の中での、前記新たに探索された経路の通知順を設定する設定部を備え、
前記設定部は、前記新たに探索された経路が前記通知条件を満たす場合、前記通知部が前記新たに探索された経路を前記複数の利用者に通知する前に、前記複数の利用者の中での前記新たに探索された経路の通知順を設定し、
前記通知部は、前記設定部で設定された通知順にしたがって前記新たに探索された経路を前記利用者に対して順番に通知する、
経路通知システム。
【請求項5】
デマンド型交通を含む公共交通機関を利用する利用者に、目的地に到着するまでの経路を
経路通知システムが通知する経路通知方法であって、
前記公共交通機関を利用する他の利用者の経路情報を含む交通情報を
取得部が取得する取得工程と、
前記交通情報を用いて、
経路探索部が前記経路を探索する経路探索工程と、
前記経路探索工程で探索した経路を
通知部が通知する通知工程と、を含み、
前記経路探索工程では、前記取得工程で新たに取得した交通情報を用いて、前記デマンド型交通の他の利用者の経路を使った前記目的地までの経路を新たに探索し、
前記通知工程では、
新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する前に、前記他の利用者に、前記他の利用者が利用する公共交通機関の相乗りの可否確認を通知し、
相乗りは可能と示された可否情報を取得すると、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する、
経路通知方法。
【請求項6】
デマンド型交通を含む公共交通機関を利用する利用者に、目的地に到着するまでの経路の通知をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記公共交通機関を利用する他の利用者の経路情報を含む交通情報を取得する取得機能と、
前記交通情報を用いて、前記経路を探索する経路探索機能と、
前記経路探索機能によって探索された経路を通知する通知機能と、を備え、
前記経路探索機能は、前記取得機能によって新たに取得された交通情報を用いて、前記デマンド型交通の他の利用者の経路を使った前記目的地までの経路を新たに探索し、
前記通知機能は、
新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する前に、前記他の利用者に、前記他の利用者が利用する公共交通機関の相乗りの可否確認を通知し、
相乗りは可能と示された可否情報を取得すると、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知することを、前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路通知システム、経路通知方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公共交通機関の利用者が目的地に到着するまでの公共交通機関の経路を、利用者に通知する経路通知システムが知られている。例えば、特許文献1には、公共交通機関を含む移動手段を利用する利用者が、新たに経路の探索を要求するとき、または、利用者が所定の経路を外れたとき、移動手段の経路の再探索を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の経路通知システムは、バスや電車などの、いわゆる路線定期型交通手段を対象として経路の探索を行う。しかしながら、利用者が、タクシーやオンデマンドバスなどのデマンド型交通を利用することを想定している場合、他の利用者による予約によって公共交通機関の状況は、刻一刻と変化する。このため、利用者にとって最適な経路は、他の利用者の予約によって変化するおそれがある。また、公共交通機関の状況は、時間の経過によっても変化するため、利用者が最適な経路を選択するためには、その都度、新たに経路の探索を要求しなければならない。このため、利用者は、最適な経路の探索要求のための労力が必要となる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、利用者に目的地に到着するまでの経路を通知する経路通知システムにおいて、利用者の労力を低減しつつ、より良い経路を利用者に通知することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、公共交通機関を含む移動手段を利用する利用者に、目的地に到着するまでの経路を通知する経路通知システムが提供される。この経路通知システムは、前記移動手段を利用する他の利用者の予約情報を含む交通情報を取得する取得部と、前記交通情報を用いて、前記経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部が探索した前記経路を通知する通知部と、を備え、前記経路探索部は、前記取得部が新たに取得した交通情報を用いて、前記目的地までの経路を新たに探索し、前記通知部は、新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を通知する。
【0008】
この構成によれば、経路通知システムにおいて、経路探索部によって新たに探索された経路があらかじめ設定されている通知条件を満たすと、新たに探索された経路は、利用者に通知される。これにより、利用者には、他の利用者による予約など交通状況の変化に応じた最適な経路が自動的に通知されるため、利用者がその都度、新たに経路を検索する必要がなくなり、利用者の労力を低減することができる。また、交通状況の変化に応じてより良い経路を利用者に提供することができる。
【0009】
(2)上記形態の経路通知システムにおいて、前記通知部は、前記利用者から新たに経路の探索が要求されたか否かに関わらず前記新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知してもよい。この構成によれば、通知部は、通知条件を満たせば、利用者から新たに経路の探索が要求されたか否かに関わらず、新たに探索した経路を利用者に通知する。これにより、利用者の労力を低減することができる。
【0010】
(3)上記形態の経路通知システムは、前記移動手段の予約を行う予約処理部を備え、前記通知部は、前記新たに探索された経路を通知するとき、前記利用者に対して前記新たに探索された経路を選択するか否かの選択確認を通知可能であり、前記取得部は、前記利用者の選択結果を示す選択情報を、前記利用者から取得可能であり、前記予約処理部は、前記利用者が前記新たに探索された経路を選択すると、前記新たに探索された経路に基づいて前記移動手段の予約を行ってもよい。この構成によれば、予約処理部は、利用者が、新たに探索された経路を選択すると、自動的に、選択された新たに探索された経路に基づいて移動手段の予約を行う。これにより、利用者は、移動手段の予約に必要な労力を低減することができる。
【0011】
(4)上記形態の経路通知システムにおいて、前記通知部は、新たな予約情報を含む交通情報を前記取得部が取得した場合、前記他の利用者に対して前記移動手段の相乗りの可否確認を通知可能であり、前記新たに探索された経路に前記他の利用者が新たに予約した移動手段が含まれる場合、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知する前に、前記他の利用者に相乗りの可否確認を通知し、相乗りは可能と示された可否情報を前記取得部が取得すると、前記新たに探索された経路を前記利用者に通知してもよい。
この構成によれば、新たに探索された経路に他の利用者が新たに予約した移動手段が含まれる場合、通知部は、利用者に新たに探索された経路を通知する前に、他の利用者に対して相乗りが可能であるか否かを確認する。これにより、利用者に新たに探索された経路を通知した後に利用者が実際に他の利用者が新たに予約した移動手段を利用するとき、相乗りが拒否されるなどのトラブルの発生を防止することができる。
【0012】
(5)上記形態の経路通知システムは、前記新たに探索された経路に関する情報と複数の前記利用者のそれぞれの通知条件を用いて、前記複数の利用者の中での、前記新たに探索された経路の通知順を設定する設定部を備え、前記設定部は、前記新たに探索された経路が前記通知条件を満たす場合、前記通知部が前記新たに探索された経路を前記複数の利用者に通知する前に、前記複数の利用者の中での前記新たに探索された経路の通知順を設定し、前記通知部は、前記設定部で設定された通知順にしたがって前記新たに探索された経路を前記利用者に対して順番に通知してもよい。
この構成によれば、設定部は、複数の利用者に対して新たに探索された経路を通知する前に、新たに探索された経路に関する情報と利用者が設定している通知条件を用いて複数の利用者の中での通知順を設定する。通知部は、設定部によって設定された通知順にしたがって新たに探索された経路を利用者に対して順番に通知する。これにより、設定部で設定された優先付けに応じて特定の経路を利用する利用者の数を、通知順を用いて制限することができるため、特定の経路への利用者の集中を抑制するとともに、複数の利用者全体における経路通知システムの満足度を向上させることができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、経路通知方法、経路通知をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム、コンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の経路通知システムの概略構成と作用を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の経路通知システムの作用の具体例を示す説明図である。
【
図3】第1実施形態の経路通知処理のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態の経路通知処理での通知条件を説明する説明図である。
【
図7】第1実施形態の経路通知処理での利用者への通知の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における経路通知システム10の概略構成と作用を示した模式図である。本実施形態の経路通知システム10は、公共交通機関20を利用する利用者30に、利用者30の目的地に到着するまでの経路を通知する。
図1は、後述する経路通知処理において、経路通知システム10と関係する構成とのやり取りを示している。
【0016】
公共交通機関20は、路線定期型交通とデマンド型交通を含み、不特定対数の利用者が利用する公共の移動手段を指す。ここで、路線定期型交通とは、事前に決められている運行経路上を、事前に設定されている運行スケジュールに沿って運行される移動手段であって、例えば、路線バスや鉄道などが含まれる。また、デマンド型交通とは、利用者の要望に応じて運行経路や運航スケジュールが設定され、それに合わせて運行される移動手段である。デマンド型交通には、例えば、自動運転型を含むタクシーやデマンドバスなどが含まれるが、デマンド型交通はこれに限定されない。
【0017】
利用者30は、経路通知システム10を利用して、それぞれの目的地までの移動手段の経路を検索する者である。本実施形態では、4人の利用者30A、30B、30C、30Dが、経路通知システム10を利用することとする。
他の利用者40は、公共交通機関20に、移動手段を利用するための予約をする者である。本実施形態では、他の利用者40は、デマンド型交通の一つである自動運転型タクシーを利用するとする。
本実施形態では、利用者30と他の利用者40とのそれぞれは、インターネットを介して、経路通知システム10と通信可能な端末情報を有している。利用者30と他の利用者40とは、この情報端末を用いて、経路通知システム10と情報のやり取りを行う。
【0018】
経路通知システム10は、取得部11と、経路探索部12と、通知部13と、予約処理部14と、設定部15と、利用者データベース16と、を備えている。取得部11と、経路探索部12と、通知部13と、予約処理部14と、設定部15は、CPUがROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開し実現される。利用者データベース16は、CPUとROM、RAMとから構成されている。
【0019】
取得部11は、公共交通機関20に含まれる各種移動手段の、現在位置、運行スケジュール、予約情報、将来の位置などが含まれる交通情報を、定期的に取得する。具体的には、路線定期型交通の交通情報には、現在位置と、運行スケジュールと、運行スケジュールから演算される将来の位置と、料金が含まれる。また、デマンド型交通の交通情報には、現在位置と、デマンド型交通を利用する他の利用者40の予約情報と、予約情報から演算される将来の位置と、料金が含まれる。取得部11は、取得した交通情報を、経路探索部12に出力する。
【0020】
また、取得部11は、利用者30が新たに探索された経路を選択するか否かの結果を示す選択情報と、他の利用者40からの相乗りの可否を示す可否情報を取得可能である。取得部11は、選択情報または可否情報を、通知部13に出力する。取得部11の作用の詳細は後述する。
【0021】
経路探索部12は、取得部11が取得する交通情報を用いて、利用者30の経路を探索する。経路探索部12は、例えば、他の利用者40の予約によって更新された交通情報を取得部11が取得する場合、更新された交通情報を用いて目的地までの経路を新たに探索する。経路探索部12は、探索した経路を、通知部13および設定部15に出力する。経路探索部12の作用の詳細は、後述する。
【0022】
通知部13は、経路探索部12が探索した経路を、利用者30に通知する。また、通知部13は、更新された交通情報を用いて新たに探索された経路を利用者30に通知するとき、利用者30に対して新たに探索された経路の選択確認を通知する。また、通知部13は、新たに探索された経路が通知条件を満たす場合、新たに探索された経路を利用者30に通知する前に、他の利用者40に相乗りの可否確認を通知する。通知部13の作用の詳細は、後述する。
【0023】
予約処理部14は、利用者30の移動手段の予約を行う。具体的には、予約処理部14は、利用者30が新たに探索された経路を選択すると、新たに探索された経路に基づいて公共交通機関20の予約を行う。予約処理部14の作用の詳細は、後述する。
【0024】
設定部15は、通知部13が新たに探索された経路を複数の利用者30に通知する前に、新たに探索された経路に関する情報と複数の利用者30のそれぞれの通知条件を用いて、複数の利用者30の中での新たに探索された経路の通知順を設定する。設定部15は、設定した通知順を、通知部13に出力する。設定部15の作用の詳細は、後述する。
【0025】
利用者データベース16は、通知部13と設定部15とに電気的に接続している。利用者データベース16は、利用者30の個人情報や利用者30に新たに探索された経路を通知するときの通知条件を記憶する。
【0026】
次に、経路通知システム10の経路通知処理の詳細を説明する。本実施形態の経路通知システム10の経路通知処理は、
図1に示す白抜き矢印F1からF11まで、数字の順にしたがって行われる。
【0027】
最初に、
図1の白抜き矢印F1に示すように、取得部11は、公共交通機関20の交通情報を取得する。取得部11による交通情報の取得は、定期的に行われる。なお、取得部11による交通情報の取得は、他の利用者40による移動手段の予約をトリガーとして、取得部11に交通情報が出力されてもよい。
【0028】
次に、
図1の白抜き矢印F2に示すように、経路通知システム10に、複数の利用者30のそれぞれから経路の探索要求が入力される。具体的には、複数の利用者30のそれぞれから、それぞれの現在地または出発地と、目的地と、設定時刻と、後述する新たに探索された経路の通知(
図1の白抜き矢印F8)を行うか否かの判断に用いられる通知条件が経路通知システム10に入力される。経路通知システム10では、利用者30による経路の検索要求が入力されると、経路探索部12は、取得部11が取得している交通情報を用いて、経路を探索する。
【0029】
次に、
図1の白抜き矢印F3に示すように、経路通知システム10は、経路探索部12での探索結果である公共交通機関20の経路を、利用者30に通知する。利用者30は、経路通知システム10によって通知された経路を利用して目的地に向かうこととなる。
【0030】
図2は、本実施形態の経路通知システム10の作用の具体例を示す説明図である。
図2には、路線定期型交通の一例としての地下鉄の路線図を模式的に示している。H08やT13などのアルファベットと数字との組み合わせが記載されている丸や四角は、地下鉄の駅を表している。
【0031】
図2では、例えば、利用者30が、駅H22から駅T20まで移動することを示している。利用者30が経路通知システム10を用いて、駅H22から駅T20まで移動する経路を検索すると、利用者30には、駅H22を出発したのち、駅H16と駅M20とで乗り換えて、駅T20に到達する経路が通知される(
図2の点線L30)。すなわち、駅H22が利用者30の出発地であり、駅T20が利用者30の目的地である。
【0032】
図1に戻り、次に、
図1の白抜き矢印F4に示すように、他の利用者40が公共交通機関20に予約を行う。
具体的には、他の利用者40は、自動運転型タクシーC40を利用して、出発地P1から目的地P2に向かうように、公共交通機関20に予約を行う。このとき、自動運転型タクシーC40が通る経路は、
図2に示すように、出発地P1を出発し、駅H19と駅T19を通り、目的地P2に達する経路である(
図2の二点鎖線L40参照)。
【0033】
次に、
図1の白抜き矢印F5に示すように、取得部11は、公共交通機関20の新たな交通情報を取得する。このとき、取得部11が取得する新たな交通情報は、他の利用者40による自動運転型タクシーの予約情報が含まれる交通情報となる。そこで、経路探索部12は、公共交通機関20の新たな交通情報を用いて、利用者30の出発地から目的地までの経路を、新たに探索する。
【0034】
経路探索部12で探索された新たな経路の具体例を、
図2を用いて説明する。本実施形態では、経路探索部12での新たな経路の探索によって、
図2の一点鎖線で示す経路L31が探索されたとする。具体的には、経路L31をたどると、地下鉄SW30で駅H22を出発したのち、駅H19で、地下鉄SW30から他の利用者40が乗っている自動運転型タクシーC40に乗り換える。自動運転型タクシーC40が駅T19に到着すると、利用者30は、再び地下鉄SW30に乗り換え、駅T19から駅T20に移動する。
経路探索部12は、公共交通機関20の交通情報が更新されると、このようにして、利用者30にとって最適な経路を、新たな経路として探索する。
【0035】
図3は、本実施形態の経路通知処理のフローチャートである。
図4は、
図3の続きのフローチャートである。
図5は、
図4の続きのフローチャートである。
図3から
図5で示すフローチャートは、
図1の白抜き矢印F4から白抜き矢印F9までの処理を示したものである。
最初に、ステップS1において、公共交通機関20に他の利用者40の予約が行われる(
図1の白抜き矢印F4)。
【0036】
次に、経路探索部12は、
図3のフローチャートに示すステップS2とステップS3の判定を行う。
具体的には、ステップS2において、経路探索部12は、新たに探索される経路に新しく加わる移動手段(以下、「追加移動手段」といい、
図2では、自動運転型タクシーC40が相当)が相乗り可能な移動手段であるか否かを判定する。追加移動手段が相乗り可能な移動手段であると判定されると、ステップS3に進む。追加移動手段が相乗り可能な移動手段ではないと判定されると、ステップS1に戻り、新しい予約がなされるまでステップS1にとどまる。
【0037】
次に、ステップS3において、経路探索部12は、追加移動手段が相乗り可に設定されているか否かを判定する。具体的には、経路探索部12は、追加移動手段が相乗り可に設定されているか否かを判定する。追加移動手段が相乗り可に設定されていると判定されると、ステップS4に進む。追加移動手段が相乗り可に設定されていないと判定されると、ステップS1に戻り、新しい予約がなされるまでステップS1にとどまる。
【0038】
次に、ステップS4において、通知条件に合致する人の受け入れ可否の確認を通知する。具体的には、通知部13は、追加移動手段に乗っている他の利用者40に、相乗りの可否確認を通知する(
図1の白抜き矢印F6)。
次に、ステップS5において、他の利用者40が相乗りに承諾したか否かを判定する。具体的には、取得部11は、他の利用者40からの相乗りの可否を示す可否情報を取得する(
図1の白抜き矢印F7)。通知部13は、取得部11が取得する可否情報を用いて、追加移動手段に乗っている他の利用者40が、相乗りを承諾したか否かを判定する。他の利用者40は相乗りを承諾したと判定されると
図4のステップS6に進む。他の利用者40は相乗りを拒否したと判定されると、ステップS1に戻り、新しい予約がなされるまでステップS1にとどまる。
【0039】
次に、ステップS6において、相乗り可能条件を満たす利用者30を抽出する。具体的には、通知部13は、利用者データベース16にアクセスし、複数の利用者30のそれぞれの通知条件を用いて、相乗り可能条件を満たす利用者30をカウントする。
【0040】
図6は、本実施形態の経路通知処理での通知条件を説明する説明図である。
図6では、利用者30の一例として、4人の利用者30A、30B、30C、30Dのそれぞれの、性別と、あらかじめ設定されている通知条件と、新たに探索された経路との比較結果を示している。
図6で通知条件の説明では、他の利用者40として、「性別」が女性であって、「相乗り可能条件」を女性のみとする者を仮定する。
【0041】
4人の利用者30のうち利用者30Aは、「性別」が男性であるため、他の利用者40の相乗り可能条件に合致しない。このため、利用者30Aは、相乗り可能条件を満たす人として抽出されない(
図6の「相乗り判定結果」の×印)。すなわち、利用者30Aには、新たに探索された経路は通知されない。
一方、4人の利用者30のうち利用者30B、30C、30Dは、「性別」が女性であるため、他の利用者40の相乗り可能条件に合致する。これにより、利用者30B、30C、30Dは相乗り可能条件を満たす利用者として抽出される(
図6の「相乗り判定結果」の〇印)。
ステップS6では、このようにして、複数の利用者30から、他の利用者40の相乗り可能条件に合致する人を、相乗り可能条件を満たす利用者として抽出する。
図4に示すフローチャートでは、相乗り可能条件を満たす利用者としてN人が抽出されたとする。
【0042】
次に、ステップS7において、対象者リストの人数「i」を0とし、ステップS8からステップS11までの経路探索処理ループを実行する。具体的には、経路探索部12は、複数の利用者30のそれぞれについて、新たな経路探索を実行する(ステップS8)。通知部13は、経路探索部12が探索した経路が利用者30の通知条件を満たしているか否かを判定し(ステップS9)、通知条件を満たしている場合、その利用者30を優先付け対象者に追加する(ステップS10)。
【0043】
ステップS8からステップS10までの処理について、
図6を用いて具体的に説明する。ステップS8からステップS10までの処理では、利用者30B、30C、30Dのそれぞれの通知条件を用いて、探索された経路がそれぞれの通知条件を満たしているか否かを判定する。
例えば、利用者30Bの場合、「通知条件」は「所要時間は10分短くなる、または、料金は100円安くなる」であるが、過去に探索された経路と「新たに探索された経路との比較結果」では「所要時間は15分短くなり、料金は100円安くなる」となっている。このことから、新たに探索された経路は、利用者30Bの通知条件を満たしていることから、「通知条件」は「〇」となり、利用者30Bは、優先付け対象者に追加される。利用者30Dも同様である。
【0044】
一方、利用者30Cの場合、「通知条件」は「所要時間は20分短くなる、または、料金は300円安くなる」であるが、過去に探索された経路と「新たに探索された経路との比較結果」では「所要時間は15分短くなり、料金は200円安くなる」となっている。このことから、新たに探索された経路は、利用者30Cの通知条件を満たしていないため、「通知条件」は「×」となり、優先付け対象者に追加されない。
【0045】
ステップS10の次の、ステップS11において、「i」を「i+1」とし、相乗り条件が「〇」となった全ての利用者30について、ステップS8からステップS11までを繰り返す。「i」が「N」となり、ステップS8からステップS11までを行った後、経路探索処理ループを終了する。
【0046】
次に、ステップS12において、ステップS10で優先付け対象者に追加された利用者30の人数をカウントする。ここでは、
図5に示すように、M人とする。
【0047】
次に、ステップS13において、優先付け対象者に追加された利用者30を優先順にソートする。具体的には、通知部13は、優先付け対象者に追加された利用者30を、所要時間順または料金順でソートする。
例えば、
図6に示す利用者30Bと利用者30Dとでは、所要時間に着目すると、利用者30Bの短縮時間(マイナス15分)の方が利用者30Dの短縮時間(マイナス5分)に比べ短い。これにより、所要時間順にソートされると、優先順位は、利用者30Bの次に利用者30Dとなる。
また、料金に着目すると、利用者30Dの減額幅(マイナス200円)の方が利用者30Bの減額幅(マイナス100分)に比べ大きい。これにより、料金順にソートされると、優先順位は、利用者30Dの次に利用者30Bとなる。
ステップS13では、このようにして、優先付け対象者に追加された利用者30をソートする。
【0048】
次に、ステップS14において、優先リストの人数「j」を0とし、ステップS15からステップS18までの通知処理ループを実行する。具体的には、通知部13は、ステップS13でソートされた優先順に、新たに探索された経路の通知を行う(
図1の白抜き矢印F8、および、ステップS15)。取得部11は、新たに探索された経路が通知された利用者30から返答があったか否か(
図1の白抜き矢印F9、および、ステップS16)と、新たに探索された経路の選択を承諾するか否か(ステップS17)と、の情報を取得する。
【0049】
図7は、本実施形態の経路通知処理での通知の例を示す模式図である。
図1の白抜き矢印F8およびステップS15において、通知部13は、
図7に示すようなメッセージ60を、利用者30の情報端末に通知する。
図7に示すメッセージ60を見た利用者30は、新たに探索し提案された経路の選択を承諾するときは「承諾」のボタンB1を押し、選択を拒否するときは「拒否」のボタンB2を押す。利用者30による新たに探索された経路の選択の承諾または拒否は、選択情報として取得部11が取得する。
【0050】
ステップS16において、新たに探索された経路が通知された利用者30から返答がない場合、ステップS16を繰り返す。ステップS17において、新たに探索された経路の選択が承諾された場合、通知処理ループを抜け、通知処理ループを終了する。
また、新たに探索された経路が通知された利用者30から返答があり、かつ、新たに探索された経路が選択されずに拒否された場合、ステップS18において、「j」を「j+1」とし、優先付け対象者に追加された全ての利用者30について、ステップS15からステップS18までを繰り返す。「j」が「M」となり、ステップS15からステップS18までを行った後、通知処理ループを終了する。
【0051】
図1に戻り、
図1の白抜き矢印F10に示すように、経路通知システム10は、他の利用者40に、
図5に示す通知処理ループの結果を通知する。具体的には、通知部13は、通知処理ループによって新たに探索された経路の選択を承諾した利用者30がいることを通知する。
【0052】
次に、
図1の白抜き矢印F11に示すように、経路通知システム10は、新たに探索した経路に基づいて、通知処理ループによって新たに探索された経路の選択を承諾した利用者30の移動手段の予約を行う。具体的には、予約処理部14は、通知部13での利用者30の新しく探索された経路の承諾と、他の利用者40への白抜き矢印F10の通知を受け、公共交通機関20に、該当する利用者30の予約を行う。
経路通知システム10は、このようにして、利用者30に、経路を通知する。
【0053】
以上説明した、本実施形態の経路通知システム10によれば、経路通知システム10において、経路探索部12によって新たに探索された経路があらかじめ設定されている通知条件を満たすと、新たに探索された経路は、利用者30に通知される(
図1の白抜き矢印F8)。これにより、利用者30には、他の利用者40による予約など交通状況の変化に応じた最適な経路が自動的に通知されるため、利用者30がその都度、新たに経路を検索する必要がなくなり、利用者30の労力を低減することができる。また、交通状況の変化に応じてより良い経路を利用者30に提供することができる。
【0054】
また、本実施形態の経路通知システム10によれば、通知部13は、利用者30から新たに経路の探索が要求されたか否かに関わらず、新たに探索された経路があらかじめ設定された通知条件を満たす場合、新たに探索された経路を利用者30に通知する。これにより、利用者30の労力を低減することができる。
【0055】
また、本実施形態の経路通知システム10によれば、予約処理部14は、利用者30が、新たに探索された経路を選択する(
図1の白抜き矢印F9)と、自動的に、選択された新たに探索された経路に基づいて移動手段の予約を行う(
図1の白抜き矢印F11)。これにより、利用者30は、移動手段の予約に必要な労力を低減することができる
【0056】
また、本実施形態の経路通知システム10によれば、他の利用者40が新たに予約した移動手段が新たに探索された経路に含まれる場合、通知部13は、利用者30に新たに探索された経路を通知する前に、他の利用者40に対して相乗りが可能であるか否かを確認する(
図1の白抜き矢印F6)。これにより、利用者30に新たに探索された経路を通知した後に利用者30が実際に他の利用者40が新たに予約した移動手段を利用するとき、相乗りが拒否されるなどのトラブルの発生を防止することができる。
【0057】
また、本実施形態の経路通知システム10によれば、設定部15は、複数の利用者30に対して新たに探索された経路を通知する前に、新たに探索された経路に関する情報と利用者30が設定している通知条件を用いて複数の利用者の中での通知順を設定する。通知部13は、設定部15によって設定された通知順にしたがって新たに探索された経路を利用者30に対して順番に通知する。これにより、設定部15で設定された優先付けに応じて特定の経路を利用する利用者30の数を、通知順を用いて制限することができるため、特定の経路への利用者30の集中を抑制するとともに、複数の利用者30全体における経路通知システム10の満足度を向上させることができる。
【0058】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
[変形例1]
上述の実施形態では、予約処理部14は、取得部11が選択情報を取得すると、新たに探索された経路に基づいて移動手段の予約を行うとした。しかしながら、予約処理部14はなくてもよい。
【0060】
[変形例2]
上述の実施形態では、通知部13は、取得部11が可否情報を他の利用者40から取得すると、新たに探索された経路を利用者30に通知するとした。しかしながら、通知部13は、取得部11による可否情報の取得なしに新たに探索された経路を利用者30に通知してもよい。
【0061】
[変形例3]
上述の実施形態では、通知部13は、設定部15で設定された通知順にしたがって新たに探索された経路を利用者30に順番に通知するとした。しかしながら、設定部15はなくてもよい。
【0062】
[変形例4]
上述の実施形態では、通知条件は、所要時間または料金であるとした。しかしながら、通知条件は、これに限定されず、例えば、距離であってもよいし、徒歩時間の短縮度合いであってもよい。
また、上述の実施形態では、相乗り可能条件は、性別であるとした、しかしながら、相乗り可能条件は、これに限定されず、例えば、過去の情報から演算されるレーティングによる閾値によって相乗り可能であるか否かを判断してもよい。
【0063】
[変形例5]
上述の実施形態では、利用者30への通知の優先付けは、所要時間の場合と、料金の場合とを説明した。しかしながら、優先付けの要因はこれに限定されない。距離などであってもよい。
【0064】
[変形例6]
上述の実施形態では、通知処理ループは、優先付け対象者に追加された全ての利用者30について行うとした。しかしながら、通知処理ループを行う対象は、これに限定されない。例えば、新たに探索された経路の追加移動手段に、相乗り可能な人数の制限がある場合、新たに探索された経路の選択を承諾した利用者30がその制限人数となったとき、通知処理ループを終了してもよい。
【0065】
[変形例7]
上述の実施形態では、経路探索部12は、例えば、他の利用者40の予約によって更新された交通情報を取得部11が取得する場合、更新された交通情報を用いて目的地までの経路を新たに探索するとした。しかしながら、交通情報が更新される場合はこれに限定されない。例えば、路線定期型交通における運行遅延や、デマンド型交通における渋滞の発生など、利用者30からの経路の探索要求時に想定されていない事象によって交通情報が更新された場合でも、経路探索部12は、更新された交通情報を「新たに取得した交通情報」として用いて目的地までの経路を新たに探索してもよい。
【0066】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0067】
10…経路通知システム
11…取得部
12…経路探索部
13…通知部
14…予約処理部
15…設定部
16…利用者データベース
20…公共交通機関
30、30A、30B、30C、30D…利用者
40…他の利用者
60…メッセージ
C40…自動運転型タクシー
SW30…地下鉄