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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】歩行型耕耘機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/12 20060101AFI20220419BHJP
   A01B 33/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A01B33/12 Z
A01B33/02 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019082214
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020178574
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 恭正
(72)【発明者】
【氏名】富久 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮内 正男
(72)【発明者】
【氏名】沖本 章
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217298(JP,A)
【文献】特開2014-226072(JP,A)
【文献】特開2011-089450(JP,A)
【文献】実開昭63-163103(JP,U)
【文献】特開平11-113305(JP,A)
【文献】実開昭49-051718(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00 - 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪と、
前記走行車輪の後方に配置された操作ハンドルと、
圃場を耕耘する耕耘爪と、
前記走行車輪と前記耕耘爪を回動させるエンジンとを備えた歩行型耕運機であって、
前記エンジンの上方を覆う前フードと後フードを備え、
前記後フードは機体に対して固定手段で固定され、
前記前フードは前記後フードに対して連結合体されており、
前記後フードの前端部の左右両側部には、前記前フードの後端部の左右両側部を案内する第1ガイド部がそれぞれ形成されており、前記前フードが前記後フードに連結合体される際、前記それぞれの第1ガイド部によって、前記前フードの前記後端部の前記左右両側部のそれぞれの第1被ガイド部が案内され、更に前記前フードが前記後フードに連結合体した状態では、前記それぞれの第1ガイド部が前記前フードを支持する、ことを特徴とする歩行型耕運機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場を耕耘し、畝立作業を行う歩行型耕耘機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の歩行型耕耘機においては、エンジンをカバーする前カバーおよび後カバーは、それぞれが別々に機体にボルトなどで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-226072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の歩行型耕耘機の構成によれば、前カバーと後カバーを機体に取り付ける際、前カバーと後カバーとの相互の隙間や距離の調整に手間取る問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来の歩行型耕耘機のこの様な課題に鑑みて、前カバーと後カバーとの間の隙間や距離の調整に手間を要しない歩行型耕耘機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
走行車輪と、
前記走行車輪の後方に配置された操作ハンドルと、
圃場を耕耘する耕耘爪と、
前記走行車輪と前記耕耘爪を回動させるエンジンとを備えた歩行型耕運機であって、
前記エンジンの上方を覆う前フードと後フードを備え、
前記後フードは機体に対して固定手段で固定され、
前記前フードは前記後フードに対して連結合体されており、
前記後フードの前端部の左右両側部には、前記前フードの後端部の左右両側部を案内する第1ガイド部がそれぞれ形成されており、前記前フードが前記後フードに連結合体される際、前記それぞれの第1ガイド部によって、前記前フードの前記後端部の前記左右両側部のそれぞれの第1被ガイド部が案内され、更に前記前フードが前記後フードに連結合体した状態では、前記それぞれの第1ガイド部が前記前フードを支持する、ことを特徴とする歩行型耕運機である。
本発明に関連する第1の発明は、
走行車輪と、
前記走行車輪の後方に配置された操作ハンドルと、
圃場を耕耘する耕耘爪と、
前記走行車輪と前記耕耘爪を回動させるエンジンとを備えた歩行型耕運機であって、
前記エンジンの上方を覆う前フードと後フードを備え、
前記後フードは機体に対して固定手段で固定され、
前記前フードは前記後フードに対して連結合体されていることを特徴とする歩行型耕運機である。
【0008】
これによって、前フードと後フードとの隙間などの位置調整が容易になる。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、
前記前フードと前記後フードが連結された状態においては、前記前フードの後端部の一部が前記後フードの前端部の一部の内側に入り込み、前記後フードの前記前端部の他の一部が前記前フードの前記後端部の他の一部の内側に入り込んでいる、本発明に関連する第1の発明の歩行型耕運機である。
【0010】
これによって、前フードと後フード同士のけん制により位置ずれを抑制できる。
【0011】
本発明に関連する第3の発明は、
前記前フードの前記後端部と前記後フードの前端部とは係合手段によって連結合体されている、本発明に関連する第1又は第2の発明の歩行型耕運機である。
【0012】
係合手段によっているので連結が簡単である。
【0013】
本発明に関連する第4の発明は、
前記係合手段は、前記前フード側の凸部又は孔部と、前記後フード側の孔部又は凸部で構成されている、本発明に関連する第3の発明の歩行型耕運機である。
【0014】
凸部と孔同士の連結なので組み立てが簡単である。
【0015】
本発明に関連する第5の発明は、
前記後フードの前端部の左右両側部には、前記前フードの後端部の左右両側部を案内する第1ガイド部がそれぞれ形成されており、前記前フードが前記後フードに連結合体される際、前記それぞれの第1ガイド部によって、前記前フードの前記後端部の前記左右両側部のそれぞれの第1被ガイド部が案内され、更に前記前フードが前記後フードに連結合体した状態では、前記それぞれの第1ガイド部が前記前フードを支持する、本発明に関連する第1の発明の歩行型耕運機である。
【0016】
これによって、前フードを後フードに連結合体する場合、ガイド部の存在によって容易にそして正確に位置合わせしながら連結できる。
【0017】
本発明に関連する第6の発明は、
前記連結合体された状態において、前記前フードの前方部の下方に位置する前記機体の一部と前記前フードの下面のうち、いずれか一方に第2被ガイド部が、他方にその第2被ガイド部をガイドする第2ガイド部がそれぞれ設けられており、前記前フードが前記後フードに連結合体される際、前記第2ガイド部によって前記第2被ガイド部材が案内される、本発明に関連する第1の発明の歩行型耕運機である。
【0018】
これによって、前フードを後フードに連結合体する場合、ガイド部の存在によって容易にそして正確に位置合わせしながら連結できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前カバーと後カバーとの間の隙間や距離の調整に手間を要しない歩行型耕耘機を提供することが出来る。さらに、これによって、前フードを後フードに連結合体する場合、ガイド部の存在によって容易にそして正確に位置合わせしながら連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の全体側面図
図2】本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の、連結合体された状態の前フードと後フードの断面図
図3】本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の、連結合体前の、前フードと後フードの斜視図
図4図3の前フードの後端部の一部である左右側部を示す斜視図
図5図3の後フードの前端部の一部である左右側部を示す斜視図
図6図1の歩行型耕耘機の前フードと後フードを外した状態における、機体の前側の構造を示す斜視図
図7図6の機体の一部を示す斜視図
図8図7の舌片の変形例を示す斜視図
図9図7の舌片の別の変形例を示す斜視図
図10図2の前フードの前方部の下面を示す斜視図
図11図10の前フードの前方部の下面の一部を拡大した斜視図
図12】本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の、連結合体されつつある状態の前フードと後フードを示す斜視図
図13】本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の、連結合体された後の状態の前フードと後フードを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の歩行型耕耘機の一実施の形態の歩行型耕耘機についてその構成と動作を説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態1における、歩行型耕耘機の全体側面図である。
【0023】
まず、図1を用いて、本実施の形態の歩行型耕耘機100の全体構成について説明する。
【0024】
図1に示す通り、歩行型耕耘機100の機体1は、側面視で、トランスミッションケース2と該トランスミッションケース2の前側に設けられた支持フレーム3等を備える。トランスミッションケース2を構成する前側ケースの下部には車軸を突設し左右一対の走行車輪4が回動可能に設けられており、また、後側ケースの下部には耕耘軸を突設して複数の耕耘爪6が設けられて耕耘装置を構成している。トランスミッションケース2にはハンドル10が取り付けられている。
【0025】
図1において、7はエンジンであり、その上に点火プラグを点検するために着脱可能な前フード8が設置されている。70はマフラーカバーである。11は燃料タンクであり、その燃料タンク11を覆う後フード9が設置されている。12はその燃料タンク11のキャップである。
【0026】
次に、上記前フード8と後フード9の構造を、図2乃至図11を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態における、連結合体された状態における、前フード8と後フード9と燃料タンク11を中心とする断面図であり、図3は本発明の実施の形態における歩行型耕耘機の、連結合体前の、前フード8と後フード9の斜視図である。また、図4乃至図11は前フード8の一部、後フード9の一部、車体1の一部を拡大した斜視図である。
【0028】
後フード9は天井部91と、後側部92と、左右側部93から構成される丸みを帯びた箱型をしており、その前方部94は開いており、前端部96を構成している。
【0029】
この後フード9は機体1に対してボルト13、燃料タンク11に対してリングナット14で固定されている。
【0030】
この後フード9の下には燃料タンク11が配置されている。なお、95は天井部91の中央に形成されたすり鉢状の凹みの底面964に形成されてた孔であって、燃料タンク11が取り付けられる場所である。
【0031】
その後フード9における天井部91における前端部96は、左右側部961に対して中央部962が前方へ突出した形状をしている。その中央部962には孔部963が穿孔されている。この孔部963は本発明の係合手段の一部の例である。
【0032】
なお、この天井部91の前端部96は、本発明の後フードの前端部の一例であり、本発明の後フードの前端部は左右側部93の前端部96も含む。
【0033】
また、図5に示すように、後フード9の左右側部93の前端部96の前端縁931の下方部にはそれぞれ内側に向けて折り曲げられて形成されたガイド面部932が設けられている。このガイド面932は本発明の第1ガイド部の一例である。そのガイド面部932は後ろ方向に向かって上がっている傾斜面を形成している。この傾斜面は後述するように、前フード8を連結合体する際に、合体する位置まで前フード8を少しづつ上昇させながらガイドする役割を果たす。また、そのガイド面部932の上端縁932aは、前フード8が合体し終わった状態で前フード8を下から支持する役割を果たす部分である。
【0034】
さらに、そのガイド面部932の内側縁には、ほぼ前方に向かって折り曲げられて形成され、ガイド機能も有する左右方向案内面部933が設けられている。その左右方向案内面部933は少し斜め内側に向けて折れ曲がっている。後述するように前フード8を連結合体する際に、前フード8を左右方向にぶれないように案内する機能を果たす。その際、その左右方向案内面部933が少し斜め内側に向けて折れ曲がっていることで、前フード8が挿入しやすいようになっている。
【0035】
一方、前フード8は天井部81と左右側部82と前方部83を有する丸みを帯びた箱型の形状をしている。その後方部85は開いており、後端部84を構成している。
【0036】
その前フード8における天井部81の後端部84は、その左右側部841の間の中央部842が前方へ引っ込んだ形状をしている。ちょうど後フード9の前端部96に対応するような形状をしている。
【0037】
なお、この天井部81の後端部84は、本発明の前フードの後端部の一例であり、本発明の前フードの後端部は左右側部82の後端部84も含む。
【0038】
なお、前フード8の天井部81の後端部84の最後端縁84aは、連結合体した状態において、後フード9の天井部91の前端部96の最前端縁96aの下側(内側)へ潜り込み篏合されるように構成されている。この最後端縁84aは、本発明の前フード8の後端部の一部の一例である。また、後フード9の天井部91の前端部96の最前端縁96aは、本発明の後フードの前端部の一部の一例である。
【0039】
この前フード8の天井部81の後端部84の中央部842にはその縁から後方に向けて延設形成された係合部材80が設けられている。図2に示すようにこの係合部材80の延設部分80cは一部屈曲している。それによって、弾力性を持たせている。この係合部材80の後端には凸部の形状を有する押下げ部80aが形成されており、この凸部の形状は、上記後フード9の孔部963の形状に対応している。この押下げ部80aと孔部963は、本発明の係合手段の一例である。
【0040】
さらに、図3に示すように、前記中央部842の縁の、係合部材80の根本が延設形成されている位置には、左右の2か所にそれぞれ切り込み842aが穿設され、係合部材80が上下方向に弾力をもって撓みやすいようになっている。
【0041】
なお、変形例として、後フード9側に係合部材を設け、前フード8側に孔部を設けた場合でも、その後フード9側の係合部材の根本の左右2か所に切り込みを入れることが望ましい。
【0042】
また、図2に示すように、その押下げ部80aが指によって上から押し下げられた際に、所定の余裕のスペースを空けながらその下に上記燃料タンク11の上面11aが位置するように設計されている。これによって、押下げ部80aを指で押して押し下げる際、強く押しすぎても下の燃料タンク11の上面11aに当接することで、押し下げすぎになり押下げ部80aが折れるような事故を防ぐことができる。
【0043】
なお、変形例として、係合部材が後フード9側に設けられている場合も、その押下げの際のストッパーとして、燃料タンク11の上面11aが機能することが望ましい。
【0044】
なお、押下げ部80aの先端側80bはテーパ状となっており、連結合体する際に、後フード9の前端部96の中央部962の縁に、押下げ部80aが当たり下へ潜り込みやすいようになっている。
【0045】
一方、図3図4に示すように、前フード8の左右側部82のそれぞれの後端縁821には、下半分に前方への切り欠き部821aが形成されている。その切り欠き部821aの前側部821a-1は傾斜しており、下方向へいくに従ってその前方への切込みが深くなっている。この傾斜の程度は、上述した後フード9のガイド面部932の傾斜に対応している。
【0046】
また、切り欠き部821aの上側部821a-2には内側へ向かってフランジ部821a-3が折り曲げ形成されている。このフランジ部821a-3が、連結合体した状態において、前記後フード9のガイド面部932の上端縁932aの上に乗っかる形となり、その上端縁932aがそのフランジ部821aー3を支持することになる。これによって、後フード9は前フード8を支持することになる。
【0047】
上記切り欠き部821aの前側部821a-1と、上側部821a-2とフランジ部821a-3は、本発明の第1被ガイド部の一例である。
【0048】
さらに、連結合体した状態において、前記後フード9のガイド面部932と前記左右方向案内面部933が、前フード8の切り欠き部821aの前側部821a-1の内側に位置することになる。その前フード8の後端部84の切り欠き部821aの前側部821a-1は、本発明の前フードの後端部の他の一部の一例である。また、その後フード9の前端部96のガイド面部932と前記左右方向案内面部933は、本発明の後フードの前端部の他の一部の一例である。
【0049】
さらに、前フード8のフランジ部821a-3は、連結合体する際に、上述した後フード9の左右方向案内面部933に当接することによって、左右にブレずにガイドされることになる。
【0050】
また、前フード8の左右側部82のそれぞれの後端縁821の上半分部821bは、連結合体した場合、前記後フード9の左右側部93の前端縁931の上半分部931aの内側へ挿入篏合された状態となる。これによって、連結合体後は、前フード8は左右方向への動きが規制されることになる。その前フード8の後端縁821の上半分部821bは本発明の前フードの後端部の一部の一例である。また、その後フード9の前端縁931の上半分部931aは本発明の後フードの前端部の一部の一例である。
【0051】
次に、前フード8の前方部83の機体1への連結構造について説明する。
図6において、機体1の一部である受け部ステー101に第2ガイド部1aが設けられている。この受け部ステー101はボルトA,B,Cによってエンジン7へ装着されている。また、燃料タンク11の前部はボルトDによって、機体1の一部である燃料タンクステー102に固定されている。さらに、マフラーカバー70の前側はボルトEによって受け部ステー101に固定されている。
【0052】
その第2ガイド部1aについて以下に詳しく説明する。図2図6図7において、上述したように、機体1には第2ガイド部1aが設けられている。すなわち、前記前フード8が連結合体された状態において、前記前フード8の前方部83の下方に位置する機体1の一部には、第2ガイド部1aが設けられている。
【0053】
この第2ガイド部1aは、上向きの断面Uの字状であって前後に長く伸びている。1a1はその底面、1a2はその底面1a1の両側に立設された規制プレートである。そして、その両側の規制プレート1a2は上方ほど間隔が広くなっている。そのことによって前フード8を上から降ろしてくる際、前フード8の後述する第2被ガイド部801が入り易くなる。
【0054】
さらに望ましくは、その両側の規制プレート1a2の開き具合は前方ほど後方より、より間隔が広くなるように開いている。前フード8をより上から入れやすくするためである。
【0055】
さらに、その第2ガイド部1aの後方に位置する、機体1の他の一部には多少の弾力性をもつ舌片1bが前方へ突出した形で設けられている。
【0056】
図8はその舌片1bの変形例であって、下側に弾性体1b-1が張り付けられている。この弾性体1b-1の存在によって、後述するように、前フード8を押さえた場合にその上下振動を抑制することができる。
【0057】
図9はさらにその舌片1bの変形例であって、周囲に弾性体1b-2が嵌め込まれている。この場合も前フード8を押さえた場合にその上下振動を抑制することができる。
【0058】
一方、図10に示すように、前フード8の前方部83の下面(内面)8aには、第2被ガイド部801が後ろ斜め下方に突出した状態で装着されている。図11はその第2被ガイド部801を拡大した図である。図11に示すように、この第2被ガイド部801はその下端部の幅Lが、上記第2ガイド部1aの幅Mより少し狭いもので、連結合体する際には、その第2ガイド部1a上に乗っかりながらスライドできる形状をしている。その下端部の縦断面形状はほぼ直角形状をしており、第2ガイド部1a上に乗りやすくなっている。
【0059】
また、規制プレート1a2は、そのスライドの際の横ブレを防止する機能を有している。
【0060】
さらに、この第2被ガイド部801の下端部の上面、つまり前フード8の下面8a側に面している面は、後ろ斜め下方に傾斜している傾斜面部801aを形成している。
【0061】
後述するように、連結合体した状態では、この傾斜面部801a上に、上記舌片1bが乗り上げる形となり、この舌片1bがこの傾斜面部801aを押さえ込む形となり、前フード8の前方部83の浮き上がりを防止している。
【0062】
次に、この前フード8を後フード9に連結合体するプロセスを図2図3図12図13に従って説明する。
【0063】
先ず、図3に示すように、前フード8を両手に持ち、その後端部84が、後フード9の前端部96の下に潜り込むような状態で、且つ、左右にある、切り欠き部821aの上側部821a-2あるいはフランジ部821a-3が、後フード9のガイド面部932あるいは左右方向案内部933に当たるような状態で、前フード8を後フード9側へ挿入していく。
【0064】
その際、前フード8の後端部84の係合部材80の押下げ部80aが後フード9の前端部96に到達する前に、前フード8の切り欠き部821aの上側部821a-2やフランジ部821a-3が後フード9のガイド面932や左右方向案内部933に当たるように寸法や形状を設計しておくことが望ましい。それによって、左右のブレがなく、組付けが容易になる。
【0065】
なお、変形例として、後フード9側に切り欠き部を設け、前フード8側にガイド面や左右方向案内部を設けた場合でも、同様に寸法や形状を設計することが望ましい。
【0066】
その際、上述したように、前フード8の下面の第2被ガイド部801の下端が、機体1側に設けられている第2ガイド部1aの上に乗っかり、支持されるようにする。
【0067】
次に、図12に示すように、さらに前フード8を後フード9側へ移動させると、前フード8の後端部84は後フード9の前端部96より少し低い位置で移動させているので、前フード8の係合部材80の押下げ部80aが、後フード9の最前端縁96aの下方へ弾力をもって撓みながら潜り込む。
【0068】
その際、上記切り欠き部821aの上側部821a-2とフランジ部821a-3は、後フード9のガイド面部932に当たり、さらにその傾斜面に沿って当たりながら上がっていき、後フード9の上端縁932aに乗り上げる。
【0069】
また、その際、前フード8の持ち方次第では、前フード8の切り欠き部821aの前側部821aー1や、上記切り欠き部821aの上側部821a-2とフランジ部821a-3が、フード9の左右方向案内部933に当たることで、左右方向へのブレがなく案内される。
【0070】
さらに、その際、前フード8の下面の第2被ガイド部801の下端は、機体1側に設けられている第2ガイド部1aの上に乗っかったままさらに後ろへ案内されながらスライドしていく。その際、規制プレート1a2がそのスライドの際の前フード8の横ブレを防止する。
【0071】
次に図13に示すように、前フード8を後フード9にさらに押し込む。その結果、前フード8の係合部材80が、後フード9の孔部963の位置まで到達し、その弾性力により上方へ上がり、孔部963へ嵌入する。その嵌入後は、係合部材80の付勢力によって、抜けることを防止できる。
【0072】
と同時に、前フード8の切り欠き部821aの前側部821aー1が後フード9のガイド面部932に当接し、それ以上後ろへは行かなくなる。また、この状態で上述したように、切り欠き部821aの上側部821a-2とフランジ部821a-3が、後フード9の上端縁932aによって支持された状態となる。
【0073】
さらに、同時に、図2に示すように、第2ガイド部1aの後方に位置する場所には弾力性をもつ舌片1bが前方へ突出した形で設けられているので、機体1の第2ガイド部1a上をスライドしてきた前フード8の下面の第2被ガイド部801の下端部の上面の傾斜面部801a上に、舌片1bが乗り上がり、この舌片1bがこの傾斜面部801aを押さえ込み、前フード8の前方部83の浮き上がりを防止する。
【0074】
このようにして、前フード8が後フード9に連結され、機体1にもしっかりと装着された状態となる。
【0075】
その結果、互いのフード8、9が互いの内側に入り込んでいるので、上から見た場合も、横から見た場合もそれらフードのあわせ部に隙間が出来ず、組付けの際の調整が不要となる。
【0076】
また、連結合体した状態では、前フード8の凸状である係合部材80が後フード9の孔部963に嵌入しているので、前後にずれる心配がない。
【0077】
なお逆に、前フード8に孔を設け、後フード9の方に凸部を設けてもよい。その場合は前フード8が後フード9の上に来ることが望ましい。
【0078】
なお、前フード8を後フード9から外す場合は、係合部材80を指で押し下げながら、前フード8を前方へ引き出す。上記舌片1bが傾斜面部801aを押圧している状態も、傾斜面部801aが前方向に上がっている傾斜なので、係合部材80が前方へ引き出される際、スムーズに離れる。
【0079】
また、他の実施の形態として、逆に、上面および側部の上半分において、後フード9が前フード8の内側に、入り込み、側部の下半分で後フード9が、前フード8の外側に来るようにしてもよい。このようにしても、組付けの際の調整が不要となる。また、側部において、前フード8と後フード9の互いの入り込みが逆転しているので、後フード9の上端縁932aが前フード8の切り欠き部821aの上側部821a-2を支持することになる。このようにして、そのような前フード8と後フード9の側部における互いの入り込みを入れ替えてもかまわない。それによって、組付け後の前フードの後端の浮き上がりを防止できる。
【0080】
また、係合部材80は上方へ弾力で付勢されているので、押下げ部80aの凸部が孔部963を抜けるようなことを防止できる。また、上述したように、前フード8と後フード9の凸部と孔部の関係が逆の場合でも弾力を持たすことで抜けることを防止できる。
【0081】
また、前フード8の係合部材80は、機体1の、左右方向を基準にした中心に位置することが望ましい。これによって、左右方向のズレ防止の抑え効果が左右均等に掛かり、組付け位置が安定する。また、逆に後フード9の方に係合部材を設けた場合も、その係合部材は、機体1の左右方向を基準とした中心に位置することが望ましい。
【0082】
また、前フード8の係合部材80は2個設けることもでき、その場合は機体1の、左右方向を基準にした中心に対して、左右対称となるように設置する。連結合体がより強くなり、しかも左右のバランスが保持できる。また、逆に後フード9の方に係合部材を2個設けた場合も、その係合部材は左右方向を基準として中心に対して、左右対称となるように設置する。
【0083】
また、変形例として、前フード8側に後ろへの突出部(ガイド面部)が形成され、後フード9側に切り欠き部が設けられている場合は、その前フード8の後ろへの突出部が後フード9の上面から側面側で挿入の際のガイドになる。
【0084】
また、変形例として、機体1の前方に、第2被ガイド部が設けられ、前フード8の下面(内面)に、第2ガイド部を設ける構造も可能である。
【0085】
このような変形例でも、第2ガイド部が下向きの断面Uの字状であって前後に長く伸び、規制プレートが両側に形成され、下方ほど間隔が広くなっており、その広さも前方ほど広くなっていることが望ましい。また、機体1の第2被ガイド部の上端部の断面形状はほぼ直角形状をしており、第2ガイド部上に乗りやすくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明にかかる歩行型耕耘機は、前カバーと後カバーとの間の隙間や距離の調整に手間を要しないという効果を有し、歩行型耕耘機として有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 機体
1a 第2ガイド部
1a1 底面
1a2 規制プレート
1b 舌片
1b-1 弾性体
1b-2 弾性体
101 受け部ステー
102 燃料タンクステー
2 トランスミッションケース
3 支持フレーム
4 左走行車輪
6 耕耘爪
7 エンジン
70 マフラーカバー
8 前フード
80 係合部材
80a押下げ部
80b先端側
80c 延設部分
81 天井部
82 左右側部
821 後端縁
821a 切り欠き部
821a-1 前方側部
821a-2 上方側部
821a-3 フランジ部
821b上半分部
83 前方部
801 第2被ガイド部
801a傾斜面部
84 後端部
84a 最後端縁
841 左右側部
842 中央部
842a 切り込み
9 後フード
91 天井部
92 後側部
93 左右側部
931 前端縁
931a上半分部
932 ガイド面部
932a上端縁
933 左右方向案内面部
94 前方部
95 孔
96 前端部
961 左右側部
96a 最前端縁
962 中央部
963 孔部
964 凹みの底面
10 ハンドル
11 燃料タンク
11a 上面
12 キャップ
13 ボルト
14 リングナット
100 歩行型耕耘機
M 1aの幅
L 下端部の幅
A,B,C,D,E ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13