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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】車載用バックアップ電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220419BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220419BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220419BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J9/06 110
H02J7/00 P
H02M3/00 W
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019098237
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020195177
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸貴
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-511398(JP,A)
【文献】特開2009-247145(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 9/06
H02J 7/00
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位電池が直列に接続された電池部と、前記電池部に蓄積された電荷に基づいて負荷側の導電路へと電力を供給する第1放電動作を行う放電回路と、を備えた車載用電源システムにおける車載用バックアップ電源装置であって、
前記電池部に対するセルバランス動作を行うバランス回路と、
前記バランス回路を制御する制御部と、
を備え、
前記バランス回路は、複数の蓄電素子に蓄積された電荷に基づいて前記負荷側の導電路へ電力を供給する第2放電動作を行う構成をなし、
前記制御部は、前記バランス回路に前記セルバランス動作を行わせる第1制御と前記バランス回路に前記第2放電動作を行わせる第2制御とを行い、前記第1放電動作が正常に行われない失陥が発生した場合に前記第2制御を行う車載用バックアップ電源装置。
【請求項2】
前記バランス回路を複数有し、
前記電池部は、複数の単位電池群を有し、
複数の前記単位電池群の各々に、複数の前記バランス回路の各々が対応しており、
前記制御部は、各々の前記バランス回路を独立して動作させる請求項1に記載の車載用バックアップ電源装置。
【請求項3】
前記放電回路は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有し、
前記制御部は、前記第2制御を行う場合、前記蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して前記負荷側の導電路へ出力電圧を印加するように前記コンバータを動作させる請求項1又は請求項2に記載の車載用バックアップ電源装置。
【請求項4】
前記放電回路は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有し、
前記制御部は、前記第1制御を行う場合、前記蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して前記電池部側に電力を供給するように前記コンバータを動作させる請求項1又は請求項2に記載の車載用バックアップ電源装置。
【請求項5】
前記放電回路は入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有し、
前記制御部は、前記第1制御を行う場合には前記蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して前記電池部側に電力を供給するように前記コンバータを動作させ、前記第2制御を行う場合には前記蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して前記負荷側の導電路へと電力を供給するように前記コンバータを動作させる請求項1又は請求項2に記載の車載用バックアップ電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用バックアップ電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用の電源システムは、主電源からの電力供給が途絶えるような失陥状態が生じると負荷へ電力が供給されなくなり、負荷の電気的な動作が不能になってしまう。しかし、負荷によっては動作の継続を強く求められるものもあるため、このような要求に応える構成として、主電源とは異なる専用のバックアップ電源を別途設けたものが知られている。特許文献1,2には、この種の電源システムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-13136号公報
【文献】特開2018-62253号公報
【文献】国際公開第2015/105923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、失陥時にバックアップ動作を行うためだけに専用のバックアップ電源を設けると、その分、装置の大型化や重量化を招くことになる。
【0005】
そこで、本開示では、専用のバックアップ電源を用いなくても失陥時にバックアップ動作を行い得る技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用バックアップ電源装置は、
複数の単位電池が直列に接続された電池部と、前記電池部に蓄積された電荷に基づいて負荷側の導電路へと電力を供給する第1放電動作を行う放電回路と、を備えた車載用電源システムにおける車載用バックアップ電源装置であって、
前記電池部に対するセルバランス動作を行うバランス回路と、
前記バランス回路を制御する制御部と、
を備え、
前記バランス回路は、複数の蓄電素子に蓄積された電荷に基づいて前記負荷側の導電路へ電力を供給する第2放電動作を行う構成をなし、
前記制御部は、前記バランス回路に前記セルバランス動作を行わせる第1制御と前記バランス回路に前記第2放電動作を行わせる第2制御とを行い、前記第1放電動作が正常に行われない失陥が発生した場合に前記第2制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電池部をバックアップするための専用の構成を設けることなく、簡単な構造でバックアップ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、スイッチ素子が非接続状態である。
図2図2は、実施形態1の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、スイッチ素子が第1動作をしている状態である。
図3図3は、実施形態1の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、スイッチ素子が第2動作をしている状態である。
図4図4は、実施形態1の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、バランス回路が第2放電動作をしている状態である。
図5図5は、実施形態1の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、正常に放電することができなくなった単位電池の端部電極部に端部素子電極部を電気的に接続させると共に、端部電極部に隣合う電池間電極部に端部素子電極部に隣合う素子間電極部を電気的に接続させた状態である。
図6図6は、実施形態2の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、スイッチ素子が非接続状態である。
図7図7は、実施形態3の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子が非接続状態である。
図8図8は、実施形態3の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、第1放電動作をしている状態である。
図9図9は、実施形態3の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、切替部が択一動作をしている状態である。
図10図10は、実施形態4の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子が非接続状態である。
図11図11は、実施形態4の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、切替部が択一動作をしている状態である。
図12図12は、実施形態5の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子、及び蓄電部切替部が非接続状態である。
図13図13は、実施形態5の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、蓄電部切替部が第3動作をしている状態である。
図14図14は、実施形態5の車載用バックアップ電源装置を概略的に示す回路図であって、蓄電部切替部が第4動作をしている状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の車載用バックアップ電源装置は、
複数の単位電池が直列に接続された電池部と、電池部に蓄積された電荷に基づいて負荷側の導電路へと電力を供給する第1放電動作を行う放電回路とを備えた車載用電源システムにおける車載用バックアップ電源装置である。本開示の車載用バックアップ電源装置は電池部に対するセルバランス動作を行うバランス回路と、バランス回路を制御する制御部とを備えている。バランス回路は、複数の蓄電素子に蓄積された電荷に基づいて負荷側の導電路へ電力を供給する第2放電動作を行う構成をなしている。制御部は、バランス回路にセルバランス動作を行わせる第1制御とバランス回路に第2放電動作を行わせる第2制御とを行い、第1放電動作が正常に行われない失陥が発生した場合に第2制御を行う。これによって、本開示の車載用バックアップ電源装置は電池部をバックアップするための専用の構成を設けることなく、簡単な構造でバックアップ動作を行うことができる。
【0010】
(2)本開示の車載用バックアップ電源装置は、バランス回路を複数有し、電池部は、複数の単位電池群を有し、複数の単位電池群の各々に、複数のバランス回路の各々が対応している。制御部は各々のバランス回路を独立して動作させ得る。
このように構成されていれば、1つのバランス回路が動作できない状態になっても、他のバランス回路の動作を継続させることができるため、より確実にバックアップ動作をすることができる。
【0011】
(3)本開示の車載用バックアップ電源装置の放電回路は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有している。制御部は、第2制御を行う場合、蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して負荷側の導電路へ電力を印加するようにコンバータを動作させ得る。
このように構成されていれば、負荷側の導電路に蓄電素子からの電力に基づいて所望の大きさの電力を供給することができる。特に、蓄電素子からの電力をコンバータによって昇圧させる場合、蓄電素子に蓄電されている電力を有効に使うことができる。
【0012】
(4)本開示の車載用バックアップ電源装置の放電回路は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有している。制御部は、第1制御を行う場合、蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して電池部側に電力を供給するようにコンバータを動作させ得る。
このように構成されていれば、バランス回路がセルバランス動作する場合、蓄電部からの電力をコンバータによって昇圧することにより、セルバランス動作がある程度進んだ際に蓄電部と電池部との間に流れる電流が減少することを抑えることができる。これにより、蓄電部から電池部に向けて積極的に電流を流すことができ、バランス動作に要する時間をより短時間にすることができる。
【0013】
(5)本開示の車載用バックアップ電源装置の放電回路は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータを有している。制御部は第1制御を行う場合には蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して電池部に電力を供給するようにコンバータを動作させる。そして、制御部は、第2制御を行う場合には蓄電素子から供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して負荷側の導電路へ電力を供給するようにコンバータを動作させ得る。
このように構成されていれば、バランス回路が第2放電動作をする場合には、負荷側の導電路に対して蓄電部からの電力に基づいて所望の大きさの電力を供給することができる。特に、蓄電部からの電力に基づく入力電圧をコンバータによって昇圧させる場合、蓄電部に蓄電されている電力を有効に使うことができる。そして、セルバランス動作をする場合、蓄電部からの電力に基づく入力電圧をコンバータによって昇圧することにより、セルバランス動作がある程度進んだ際における蓄電部と単位電池との間に流れる電流の減少を抑える。そして、蓄電部と単位電池との間で積極的に電流のやり取りをさせることができる。これによりバランス動作に要する時間をより短時間にすることができる。
【0014】
(6)本開示の車載用バックアップ電源装置は、電池部が端部電極部及び単位電池の間の電池間電極部を有している。バランス回路は、複数の蓄電素子が直列に接続された蓄電部と、複数のスイッチ素子を備える切替部とを有している。蓄電部は端部素子電極部及び蓄電素子の間の素子間電極部を有している。スイッチ素子のそれぞれは単位電池のそれぞれに対応している。スイッチ素子が対応する単位電池の高電位側の電極又は低電位側の電極に、単位電池のそれぞれに対応する素子間電極部又は端部素子電極部を電気的に接続している。制御部は、第1制御を行う場合には単位電池の高電位側の電極と低電位側の電極とに交互に単位電池に対応する素子間電極部又は端部素子電極部を電気的に接続させるように単位電池のそれぞれに対応するスイッチ素子のそれぞれを動作させる。制御部は、第2制御を行う場合には電池間電極部又は端部電極部の内の少なくとも2つのそれぞれに素子間電極部又は端部素子電極部を1つずつ電気的に接続させるようにスイッチ素子を動作させ得る。
このように構成されていれば、電池間電極部又は端部電極部の内の少なくとも2つのそれぞれに素子間電極部又は端部素子電極部を1つずつ電気的に接続させる構成であるため、電池部だけでなく個々の単位電池をバックアップすることが可能である。
【0015】
(7)本開示の車載用バックアップ電源装置は、バランス回路が1つ以上の蓄電素子によって構成される蓄電部と、複数のスイッチ素子を備える切替部とを有している。スイッチ素子のそれぞれは単位電池のそれぞれに対応している。スイッチ素子が対応する単位電池の高電位側の電極に蓄電部の一方の端部素子電極部を電気的に接続すると共に、スイッチ素子が対応する単位電池の低電位側の電極に蓄電部の他方の端部素子電極部を電気的に接続している。制御部は、第1制御を行う場合には1つの単位電池に対して高電位側の電極に蓄電部の一方の端部素子電極部を電気的に接続する。これと共に、制御部は低電位側の電極に蓄電部の他方の端部素子電極部を電気的に接続する動作を複数の単位電池のそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ素子を動作させる。制御部は、第2制御を行う場合には単位電池の高電位側の電極及び低電位側の電極と端部素子電極部とを接続しないように複数のスイッチ素子を動作させ得る。
このように構成されていれば、1つの蓄電素子を用いてセルバランス動作を行うことができるため、電源装置自身の小型化が可能である。
【0016】
(8)本開示の車載用バックアップ電源装置は、バランス回路が1つ以上の蓄電素子によって構成される蓄電部と、複数のスイッチ素子を備える切替部とを有している。スイッチ素子のそれぞれは単位電池のそれぞれに対応している。スイッチ素子が対応する単位電池の高電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の一方の端部素子電極部を電気的に接続すると共に、スイッチ素子が対応する単位電池の低電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の他方の端部素子電極部を電気的に接続している。制御部は、第1制御を行う場合には1つの単位電池に対して高電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の一方の端部素子電極部を電気的に接続する。これと共に、制御部は、低電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の他方の端部素子電極部を電気的に接続する動作を複数の単位電池のそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ素子を動作させる。そして、制御部は、単位電池の両端の電圧と蓄電部の両端の電圧とで電圧が低い側に電力を供給するようにコンバータを動作させる。制御部は、第2制御を行う場合には単位電池の高電位側の電極及び低電位側の電極と端部素子電極部とを接続しないように複数のスイッチ素子を動作させ得る。
このように構成されていれば、セルバランス動作の際に、切替部によって各単位電池を交互にコンバータに接続することになるため、複数の単位電池に対して1つのコンバータを対応させることが可能になり電源装置自身の構成を簡単にすることができる。
【0017】
(9)本開示の車載用バックアップ電源装置は、バランス回路が1つ以上の蓄電素子によって構成される蓄電部と、複数のスイッチ素子を備える切替部とを有している。スイッチ素子のそれぞれは単位電池のそれぞれに対応している。スイッチ素子が対応する単位電池の高電位側の電極及び低電位側の電極を電池部側の導電路を介してコンバータに電気的に接続している。蓄電部の両方の端部素子電極部を一括して電池部側の導電路又は負荷側の導電路のいずれかへの電気的な接続を切り替える蓄電部切替部を有している。制御部は、第1制御を行う場合には両方の端部素子電極部を一括して負荷側の導電路に電気的に接続さるように蓄電部切替部を動作させ、1つの単位電池に対して高電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の一方の端部素子電極部を電気的に接続する。これと共に、制御部は低電位側の電極にコンバータを介して蓄電部の他方の端部素子電極部を電気的に接続する動作を複数の単位電池のそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ素子を動作させる。そして、制御部は単位電池の両端の電圧と蓄電部の両端の電圧とで電圧が低い側に電力を供給するようにコンバータを動作させる。制御部は、第2制御を行う場合には両方の端部素子電極部を一括して電池部側の導電路に電気的に接続させるように蓄電部切替部を動作させる。制御部は単位電池の高電位側の電極及び低電位側の電極と電池部側の導電路とを接続しないように複数のスイッチ素子を動作させ得る。
このように構成されていれば、蓄電部切替部によって一括して両方の端部素子電極部を電池部側の導電路又は負荷側の導電路に電気的な接続を切り替えるため、蓄電部が電池部側の導電路と負荷側の導電路とにまたがって接続することを抑えることができる。これにより、コンバータに誤作動が生じることを抑えることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
【0018】
<実施形態1>
〔電源装置の構成〕
実施形態1の車載用バックアップ電源装置1(以下、電源装置1ともいう)は、ハイブリッド自動車又は電気自動車(EV(Electric Vehicle))などの車両における電動駆動装置(モータ等)を駆動するための電力を出力する電源として用いられる。電源装置1は、図1に示すように、電池部10、放電回路11、バランス回路70、制御部12を有している。電池部10は複数の単位電池10Aが電気的に直列に接続されている。単位電池10Aは、例えば、リチウムイオンバッテリ等が用いられる。電池部10は電池間電極部10B及び端部電極部10Cを有している。電池間電極部10Bは隣合う単位電池10Aが電気的に直列に接続する部分である。端部電極部10Cは、電池部10において最も高電位に位置する単位電池10Aの高電位側の電極及び電池部10において最も低電位に位置する単位電池10Aの低電位側の電極である。
【0019】
電池部10の端部電極部10Cのそれぞれには車両に搭載された発電装置50が電気的に接続されており、電池部10が発電装置50によって充電され得る構成とされている。発電装置50は、公知の車載用発電機として構成され、エンジン(図示せず)の回転軸の回転によって発電し得る構成とされている。発電装置50が動作する場合、発電装置50の発電によって生じた電力は整流後に直流電力として電池部10に供給される。
【0020】
放電回路11は複数のコンバータ11Aを有している。各コンバータ11Aは、例えば、半導体スイッチング素子及びインダクタなどを備えてなる公知の双方向の昇降圧DCDCコンバータとして構成されており、制御部12によって動作が制御される。各コンバータ11Aは入力された電圧を昇圧又は降圧して出力する。各コンバータ11Aは電池部側の導電路である第1回路部30を介して電池部10に電気的に接続されている。第1回路部30は放電回路11と電池部10との間の電力経路を構成する。第1回路部30は第1導電路30A及び第2導電路30Bを備えている。各コンバータ11Aは第1導電路30Aを介して電池部10における最も高電位側となる電極と電気的に接続されている。各コンバータ11Aは第2導電路30Bを介して電池部10における最も低電位側となる電極と電気的に接続されている。各コンバータ11Aには第1導電路30Aと第2導電路30Bとの間の電位差が入力電圧として入力される。
【0021】
各コンバータ11Aのそれぞれには負荷側の導電路である第3導電路31Aを介して第1負荷51及び第2負荷52が電気的に接続されている。第1負荷51と第2負荷52とは同等の機能を有する構成であるが、あくまで代表例であり、この構成のみに限定されない。また、各コンバータ11Aのそれぞれには負荷側の導電路であるグラウンド経路Gが電気的に接続されている。
【0022】
第1負荷51は、例えば電動式パワーステアリングシステムであり、一方のコンバータ11Aを介して電池部10からの電力供給を受けてモータ等の電気部品が動作する構成をなす。第2負荷52は、第1負荷51と同等の構成及び機能を有する電動式パワーステアリングシステムである。第1負荷51に異常が生じた場合、第2負荷52は第1負荷51に代わって動作することによって第1負荷51の異常時であっても第1負荷51の機能を維持し得る。
【0023】
例えば、第1負荷51が電気的に接続される一方のコンバータ11Aは第1条件の成立に応じて、制御部12によって第1導電路30Aと第2導電路30Bとの間の電位差を入力電圧として昇圧又は降圧して第3導電路31Aに出力電圧を印加する放電動作を実行し得る構成とされている。第1条件の成立とは、例えば、車両内に設けられたイグニッションスイッチ(図示せず)がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態になること等である。
【0024】
また、第1負荷51が正常に動作することができない状況に陥った場合、第2負荷52が電気的に接続される他方のコンバータ11Aは制御部12によって放電動作を実行し、第3導電路31Aを介して第2負荷52に電力を供給する。制御部12は、第1負荷51に接続する第3導電路31Aの電圧値や電流値を検知する検知部からの電圧値を取得し得る構成とされており、この電圧値に基づいて、第1負荷51が正常に動作できない状況に陥ったか否かを判別することができる。
【0025】
バランス回路70は蓄電部71及び切替部72を有している。蓄電部71は電力を一時的に蓄えることができる複数の蓄電素子71Aが電気的に直列に接続された形態で構成されている。蓄電素子71Aには、例えば、電気二重層キャパシタ等が用いられる。蓄電部71は素子間電極部71B及び端部素子電極部71Cを有している。素子間電極部71Bは隣合う蓄電素子71Aが電気的に直列に接続する部分である。端部素子電極部71Cは蓄電部71において最も高電位に位置する蓄電素子71Aの高電位側の電極及び蓄電部71において最も低電位に位置する蓄電素子71Aの低電位側の電極である。
【0026】
切替部72は、複数のスイッチ素子72Aを備えている。スイッチ素子72Aには、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。スイッチ素子72Aのそれぞれには素子間電極部71B及び端部素子電極部71Cのそれぞれが一つずつ電気的に接続されている。スイッチ素子72Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。スイッチ素子72Aは、制御部12によって自身が対応する単位電池10Aの高電位側の電極又は低電位側の電極のいずれかに、自身に接続された素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cの内の1つを電気的に接続し得る構成とされている。また、スイッチ素子72Aは、制御部12によって自身が対応する単位電池10Aの高電位側の電極及び低電位側の電極と、自身に接続された素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cの内の1つとを電気的に接続しない状態(以下、非接続状態ともいう)にすることもできる。
【0027】
制御部12は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などのメモリ、A/D変換器等を有した構成とされている。制御部12は電池部10の各単位電池10Aの両端の電位差や電池間電極部10Bや端部電極部10Cにおける各単位電池10Aの接続の状態を監視し得る構成とされている。制御部12は蓄電部71の各蓄電素子71Aの両端の電位差等を監視し得る構成とされている。
【0028】
次に、電源装置1の動作を説明する。
〔第1放電動作〕
電源装置1は、自身が搭載された車両において、例えば、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられると、電池部10から第1回路部30を介して放電回路11の各コンバータ11Aに電力が供給される。放電回路11は制御部12によって、第1負荷51に電気的に接続される一方のコンバータ11Aの動作が開始され、第2負荷52に電気的に接続される他方のコンバータ11Aの動作は停止された状態を維持される。こうして、一方のコンバータ11Aは負荷側の導電路である第3導電路31Aに電力を供給する第1放電動作を行う。
【0029】
第1負荷51が正常に動作できない状況に陥った場合、制御部12によって一方のコンバータ11Aの動作が停止されると共に、第2負荷52が電気的に接続される他方のコンバータ11Aの動作が開始される。これにより、他方のコンバータ11Aは第3導電路31Aに電力を供給する第1放電動作を行う。具体的には、制御部12は第1負荷51に接続する第3導電路31Aの電圧値や電流値を検知する検知部からの電圧値に基づいて、第1負荷51が正常に動作できない状況に陥ったか否かを判別する。制御部12が第1負荷51正常に動作できない状況に陥ったと判別すると、制御部12は一方のコンバータ11Aの動作を停止させて、他方のコンバータ11Aの動作を開始させる。こうして、他方のコンバータ11Aから第2負荷52に対して電力を供給する。
【0030】
〔アクティブ方式のセルバランス動作〕
電池部10の各単位電池10Aのそれぞれが蓄電する電力の量は、各単位電池10Aの温度や劣化の状態等に依存するため、互いにばらつきが生じる。このばらつきを解消するため、バランス回路70はアクティブ方式のセルバランス動作(以下、セルバランス動作ともいう)を実行する。制御部はバランス回路70にセルバランス動作を行われる第1制御を行う。
【0031】
第1制御は、制御部12によって第1動作と第2動作とを交互に繰り返すように複数のスイッチ素子72Aを動作させる制御である。第1動作は制御部12によってスイッチ素子72Aが対応する単位電池10Aの高電位側の電極にこのスイッチ素子72Aに電気的に接続される素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cの内の1つを電気的に接続させる動作(図2参照)である。そして、第2動作は制御部12によって低電位側の電極にこのスイッチ素子72Aに電気的に接続される素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cの内の1つを電気的に接続させる動作(図3参照)である。そして、これら第1動作の時間の長さと第2動作の時間の長さとは、互いに同じ長さでもよいし、必要に応じて異なる長さとすることもできる。第1動作と第2動作との間には、素子間電極部71B及び端部素子電極部71Cがいずれの電池間電極部10B及び端部電極部10Cとも導通しない非接続状態(図1参照)となる一定の非導通時間が設けられる。非導通時間の長さは必要に応じて設定することができる。
【0032】
切替部72の各スイッチ素子72Aが第1動作をすると、電池部10の最も低電位側の単位電池10Aを除いて、蓄電部71の各蓄電素子71Aのそれぞれが各単位電池10Aのそれぞれに並列に接続される(図2参照。)。各単位電池10Aと各蓄電素子71Aとの間で電荷がどのように移動するかは、双方の電圧による。具体的には、1つの単位電池10Aとこの単位電池10Aに並列に接続される1つの蓄電素子71Aとに着目すると、単位電池10Aの電圧の方が蓄電素子71Aの電圧よりも高い場合、単位電池10Aから蓄電素子71Aに電荷が移動して蓄電素子71Aが充電される。逆に、蓄電素子71Aの電圧の方が単位電池10Aの電圧よりも高い場合、蓄電素子71Aから単位電池10Aに電荷が移動して単位電池10Aが充電される。他の単位電池10Aとこの単位電池10Aに並列に接続される他の蓄電素子71Aについても同様である。
【0033】
一方、切替部72の各スイッチ素子72Aが第2動作をすると、電池部10の最も高電位側の単位電池10Aを除いて、蓄電部71の各蓄電素子71Aのそれぞれが各単位電池10Aのそれぞれに並列に接続される(図3参照。)。各単位電池10Aと各蓄電素子71Aとの間での電荷の移動は双方の電圧の大きさによって異なる。具体的には、1つの単位電池10Aとこの単位電池10Aに並列に接続される1つの蓄電素子71Aとに着目すると、単位電池10Aの電圧の方が蓄電素子71Aの電圧よりも高い場合、単位電池10Aから蓄電素子71Aに電荷が移動して蓄電素子71Aが充電される。逆に、蓄電素子71Aの電圧の方が単位電池10Aの電圧よりも高い場合、蓄電素子71Aから単位電池10Aに電荷が移動して単位電池10Aが充電される。他の単位電池10Aとこの単位電池10Aに並列に接続される他の蓄電素子71Aについても同様である。こうして、電源装置1は制御部12による第1制御によって、スイッチ素子72Aが第1動作及び第2動作を交互に繰り返し、セルバランス動作を実行する。
【0034】
例えば、制御部12が各単位電池10Aの両端の電位差のそれぞれの差が所定の値以下になった(すなわち、各単位電池10Aの両端の電位差が同様の大きさになった)と判別すると、一度図4に示す状態になり蓄電部71を充電した後、バランス回路70はセルバランス動作を終了する。セルバランス動作が終了すると各スイッチ素子72Aは非接続状態になる(図1参照。)。これにより、各蓄電素子71Aは蓄電された状態が維持される。
【0035】
〔第2放電動作〕
制御部12は、第1放電動作が正常に行われない失陥(以下、失陥状態ともいう)が発生した場合にバランス回路70に第2放電動作を行わせる第2制御を行う。失陥状態とは、例えば、電池部10の隣合う単位電池10Aの導通がオープン状態になったり、単位電池10A自身が正常に放電することができなくなったりすること等が想定される。
【0036】
失陥状態になると、制御部12は、図4に示すように、最も高電位側の単位電池10Aに並列に接続されるスイッチ素子72A(以下、高電位側のスイッチ素子72Aともいう)において、端部電極部10Cと端部素子電極部71Cとを電気的に接続させる。そして制御部12は、最も低電位側の単位電池10Aに並列に接続されるスイッチ素子72A(以下、低電位側のスイッチ素子72Aともいう)において、端部電極部10Cと端部素子電極部71Cとを電気的に接続させる。また、制御部12は、高電位側のスイッチ素子72A及び低電位側のスイッチ素子72A以外のスイッチ素子72Aを非接続状態にする。これにより、蓄電部71に蓄えられた電荷が第1回路部30を介して放電回路11に供給される。
【0037】
また、図5に示すように、最も高電位側の単位電池10Aが正常に放電することができなくなった場合、端部電極部10Cと端部素子電極部71Cとを電気的に接続させる。これと共に、この端部電極部10Cに隣合う電池間電極部10Bとこの端部素子電極部71Cに隣合う素子間電極部71Bとを電気的に接続させるように制御部12によってスイッチ素子72Aを動作させてもよい。これにより、電源装置1は、正常に放電することができなくなった単位電池10Aを迂回するように蓄電素子71Aを経由する回路を形成することができるため、個々の単位電池10Aをバックアップすることが可能となる。
【0038】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の車載用バックアップ電源装置1は、複数の単位電池10Aが直列に接続された電池部10と、電池部10に蓄積された電荷に基づいて第3導電路31Aへと電力を供給する第1放電動作を行う放電回路11とを備えた車載用電源システムにおけるものである。本開示の車載用バックアップ電源装置1は電池部10に対するセルバランス動作を行うバランス回路70と、バランス回路70を制御する制御部12とを備えている。バランス回路70は、複数の蓄電素子71Aに蓄積された電荷に基づいて第3導電路31Aへ電力を供給する第2放電動作を行う構成をなしている。制御部12は、バランス回路70にセルバランス動作を行わせる第1制御とバランス回路70に第2放電動作を行わせる第2制御とを行う。制御部12は、第1放電動作が正常に行われない失陥が発生した場合に第2制御を行う。これによって、本開示の車載用バックアップ電源装置1は電池部10をバックアップするための専用の構成を設けることなく、簡単な構造でバックアップ動作を行うことができる。
【0039】
本開示の車載用バックアップ電源装置1は、電池部10が端部電極部10C及び単位電池10Aの間の電池間電極部10Bを有している。バランス回路70は、複数の蓄電素子71Aが直列に接続された蓄電部71と、複数のスイッチ素子72Aを備える切替部72とを有している。蓄電部71は端部素子電極部71C及び蓄電素子71Aの間の素子間電極部71Bを有し、スイッチ素子72Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。スイッチ素子72Aが対応する単位電池10Aの高電位側の電極又は低電位側の電極に、単位電池10Aのそれぞれに対応する素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cを電気的に接続している。制御部12は、第1制御を行う場合には単位電池10Aの高電位側の電極と低電位側の電極とに交互に単位電池10Aに対応する素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cを電気的に接続させるように単位電池10Aのそれぞれに対応するスイッチ素子72Aのそれぞれを動作させる。制御部12は、第2制御を行う場合には電池間電極部10B又は端部電極部10Cの内の少なくとも2つのそれぞれに素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cを1つずつ電気的に接続させるようにスイッチ素子72Aを動作させる。
このように構成されていれば、電池間電極部10B又は端部電極部10Cの内の少なくとも2つのそれぞれに素子間電極部71B又は端部素子電極部71Cを1つずつ電気的に接続させる構成である。このため、電池部10だけでなく個々の単位電池10Aをバックアップすることが可能である。
【0040】
本開示の車載用バックアップ電源装置1の放電回路11は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータ11Aを有している。制御部12は、第2制御を行う場合、蓄電素子71Aから供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して第3導電路31Aへと電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。
このように構成されていれば、第3導電路31Aに蓄電素子71Aから供給される電力に基づいて所望の大きさの電力を供給することができる。特に、蓄電素子71Aからの電力をコンバータ11Aによって昇圧させる場合、蓄電素子71Aに蓄電されている電力を有効に使うことができる。
【0041】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る車載用バックアップ電源装置2(以下、電源装置2ともいう)について図6を参照しつつ説明する。電源装置2は、バランス回路170を複数有している点、電池部110を複数の単位電池群110A,110Bに分けたそれぞれにバランス回路170が対応している点、第3導電路131Aの構成、第1回路部130の構成等が実施形態1と異なる。実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0042】
〔電源装置の構成〕
電池部110は複数の単位電池10Aが直列に接続されて形成されている。電池部110は複数の単位電池群110A,110Bを有している。
【0043】
各単位電池群110A,110Bにはバランス回路170が1つずつ対応して設けられている。各単位電池群110A,110Bとバランス回路170との電気的な接続の構成は実施形態1と同様である。バランス回路170は蓄電部171及び切替部172を有している。蓄電部171は蓄電素子71Aの数及び素子間電極部71Bの数が実施形態1の蓄電部71と異なるのみである。切替部172はスイッチ素子72Aの数が実施形態1の切替部72と異なるのみである。
【0044】
各コンバータ11Aには第1回路部130を介して電池部110の各単位電池群110A,110Bのそれぞれが1つずつ電気的に接続されている。第1回路部130は放電回路11と電池部110との間の電力経路を構成する。第1回路部130は第1導電路130A及び第2導電路130Bを備えている。一方のコンバータ11Aは第1導電路130Aを介して電池部110の単位電池群110Aにおける最も高電位側となる電極と電気的に接続されている。一方のコンバータ11Aは第2導電路130Bを介して電池部110の単位電池群110Aにおける最も低電位側となる電極と電気的に接続されている。他方のコンバータ11Aは第1導電路130Aを介して電池部110の単位電池群110Bにおける最も高電位側となる電極と電気的に接続されている。他方のコンバータ11Aは第2導電路130Bを介して電池部110の単位電池群110Bにおける最も低電位側となる電極と電気的に接続されている。各コンバータ11Aには第1導電路130Aと第2導電路130Bとの間の電位差が入力電圧として入力される。
【0045】
各コンバータ11Aのそれぞれには負荷側の導電路である第3導電路131Aが1つずつ電気的に接続されている。各コンバータ11Aは第3導電路131Aを介して第1負荷51及び第2負荷52が電気的に接続されている。第3導電路131Aは第1負荷側スイッチ131B及び第2負荷側スイッチ131Cを有している。第1負荷側スイッチ131B及び第2負荷側スイッチ131Cには、例えば、MOSFET等が用いられる。第1負荷側スイッチ131Bは制御部12によってコンバータ11Aと第1負荷51との導通を開状態と閉状態とに切り替えられる構成とされている。第2負荷側スイッチ131Cは制御部12によってコンバータ11Aと第2負荷52との導通を開状態と閉状態とに切り替え得る構成とされている。また、各コンバータ11Aのそれぞれには負荷側の導電路であるグラウンド経路Gが電気的に接続されている。
【0046】
次に、電源装置2の動作を説明する。
〔第1放電動作〕
電源装置2は、自身が搭載された車両において、例えば、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられると、電池部110から第1回路部130を介して放電回路11の各コンバータ11Aに電力が供給される。放電回路11は制御部12によって、各コンバータ11Aの動作が開始される。また、各第3導電路131Aの第1負荷側スイッチ131Bは制御部12によって閉状態にされ、第2負荷側スイッチ131Cは制御部12によって開状態にされる(図示せず。)。こうして、各コンバータ11Aから第1負荷51に対して電力を供給する。
【0047】
第1負荷51が正常に動作できない状況に陥ったと制御部12が判別すると、制御部12は、第1負荷側スイッチ131Bを閉状態から開状態にすると共に、第2負荷側スイッチ131Cを開状態から閉状態にする(図示せず。)。こうして、各コンバータ11Aから第2負荷52に対して電力を供給する。
【0048】
制御部12が蓄電部71の各蓄電素子71Aの両端の電位差等に基づいてバランス回路170のいずれかが正常に動作できない状況に陥ったと判別すると、制御部12は正常に動作できない状態に陥ったバランス回路170に対応するコンバータ11Aの動作を停止させる。これと共に、制御部12はこのコンバータ11Aに電気的に接続される第3導電路131Aの第1負荷側スイッチ131B及び第2負荷側スイッチ131Cを開状態にする。このとき、制御部12は、他のバランス回路170が電気的に接続されるコンバータ11Aの動作を継続させる。これと共に、制御部12はこのコンバータ11Aに電気的に接続される第3導電路131Aの第1負荷側スイッチ131Bの閉状態及び第2負荷側スイッチ131Cの開状態を維持する。こうして、バランス回路170のいずれかが正常に動作できなくなっても、他のバランス回路170が電気的に接続されるコンバータ11Aから第1負荷51に対する電力の供給を維持することができる。
【0049】
なお、制御部12において以下のように判別してもよい。先ず、電池部110の各単位電池10Aの両端の電位差や電池間電極部10Bや端部電極部10Cにおける各単位電池10Aの接続の状態に基づいて電池部110の各単位電池群110A,110Bのいずれかが正常に動作できない状況に陥ったか否かを判別する。そして、各単位電池群110A,110Bのいずれかが正常に動作できない状況に陥ったと判別した場合にも、正常に動作できない状態の単位電池群110A,110Bのいずれかに対応するコンバータ11Aの動作を停止するようにしてもよい。
【0050】
〔アクティブ方式のセルバランス動作〕
各単位電池群110A,110Bにおけるそれぞれのバランス回路170におけるセルバランス動作は実施形態1のバランス回路70と同様である。制御部12はバランス回路170にセルバランス動作を行わせる第1制御を行う。例えば、制御部12が各単位電池10Aの両端の電位差のそれぞれの差が所定の値以下になった(すなわち、各単位電池10Aの両端の電位差が同様の大きさになった)と判別するとバランス回路170はセルバランス動作を終了する。セルバランス動作が終了すると各スイッチ素子72Aは非接続状態になる(図6参照。)。これにより、各蓄電素子71Aは蓄電された状態が維持される。
【0051】
〔第2放電動作〕
電源装置2はいずれかのコンバータ11Aから第3導電路31Aに電力が供給されている場合、このコンバータ11Aから第1負荷51に対する電力の供給を維持することによって第1放電動作を維持することができる。そして、電源装置2は電池部10の各単位電池群110A,110Bの双方に失陥状態が発生した場合に制御部12が第2制御を行うことによってバランス回路170に第2放電動作を行わせる。各単位電池群110A,110Bにおけるそれぞれのバランス回路170における第2放電動作は実施形態1のバランス回路70と同様である。
【0052】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の車載用バックアップ電源装置2は、バランス回路170を複数有している。電池部110は複数の単位電池群110A,110Bを有している。複数の単位電池群110A,110Bの各々に、複数のバランス回路170の各々が対応している。制御部12は各々のバランス回路170を独立して動作させる。
このように構成されていれば、1つのバランス回路170が動作できない状態になっても、他のバランス回路170の動作を継続させることができるため、より確実にバックアップ動作をすることができる。
【0053】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る車載用バックアップ電源装置3(以下、電源装置3ともいう)について図7~9を参照しつつ説明する。電源装置3は、バランス回路270の構成等が実施形態2と異なる。実施形態2と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0054】
〔電源装置の構成〕
電源装置3は複数のバランス回路270を備えている。各バランス回路270は切替部272及び蓄電部271を有している。切替部272は複数のスイッチ組272Aを有している。各スイッチ組272Aは第1スイッチ素子272B及び第2スイッチ素子272Cを有している。第1スイッチ素子272B及び第2スイッチ素子272Cには、例えば、MOSFET等が用いられる。蓄電部271は素子間電極部71Bが切替部272に接続されていない点が実施形態2の蓄電部171と異なるのみである。
【0055】
スイッチ組272Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。具体的には、単位電池10Aの高電位側の電極のそれぞれにスイッチ組272Aの第1スイッチ素子272Bのそれぞれが電気的に接続され、低電位側の電極のそれぞれにスイッチ組272Aの第2スイッチ素子272Cのそれぞれが電気的に接続されている。各単位電池群110A、110Bのそれぞれにおいて、各単位電池10Aの高電位側の電極は第1スイッチ素子272Bを介して第1回路部130の第1導電路130A及び蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cに電気的に接続されている。各単位電池群110A、110Bのそれぞれにおいて、各単位電池10Aの低電位側の電極は第2スイッチ素子272Cを介して第1回路部130の第2導電路130B及び蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cに電気的に接続されている。
【0056】
制御部12は電池部110の各単位電池10Aの両端の電位差や電池間電極部10Bや端部電極部10Cにおける各単位電池10Aの接続の状態を監視し得る構成とされている。制御部12は蓄電部271の各蓄電素子71Aの両端の電位差等を監視し得る構成とされている。
【0057】
次に電源装置3の動作を説明する。
〔第1放電動作〕
電源装置3は、自身が搭載された車両において、例えば、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられると、電池部110の各単位電池群110A,110Bの高電位側の電極に接続されている第1スイッチ素子272Bと低電位側の電極に接続されている第2スイッチ素子272Cとが閉状態にされる。これと共に、他の第1スイッチ素子272B及び第2スイッチ素子272Cが開状態にされる(図8参照。)。これにより、電池部110から第1回路部130を介して放電回路11の各コンバータ11Aに電力が供給される。放電回路11は制御部12によって、各コンバータ11Aの動作が開始される。また、各第3導電路131Aの第1負荷側スイッチ131Bは制御部12によって閉状態にされ、第2負荷側スイッチ131Cは制御部12によって開状態にされる。こうして、各コンバータ11Aから第1負荷51に対して電力を供給する。
【0058】
〔アクティブ方式のセルバランス動作〕
制御部12はバランス回路270にセルバランス動作を行わせる第1制御を行う。制御部12は、バランス回路270の切替部272における1つのスイッチ組272Aを択一的に閉状態にし、他のスイッチ組272Aを開状態にする動作をスイッチ組272Aの全てに対して交互に行わせるように切替部272を動作させる(以下、択一動作ともいう)(図9参照。)。スイッチ組272Aが閉状態になるとは、スイッチ組272Aにおける第1スイッチ素子272B及び第2スイッチ素子272Cが共に閉状態になった状態である。また、スイッチ組272Aが開状態になるとは、スイッチ組272Aにおける第1スイッチ素子272B及び第2スイッチ素子272Cが共に開状態になった状態である。各スイッチ組272Aにおける択一動作は、互いに同じ時間の長さでもよいし、必要に応じて異なる時間の長さとすることもできる。また、択一動作の際に、現在閉状態のスイッチ組272Aから次のスイッチ組272Aを閉状態に切り替える間には、全てのスイッチ組272Aが開状態となる一定の非導通時間が設けられる。非導通時間の長さは必要に応じて設定することができる。
【0059】
各バランス回路270の切替部272において択一動作をすると、1つの単位電池10Aと蓄電部271とが並列に接続される(図9参照。)。単位電池10Aと蓄電部271との間で電荷がどのように移動するかは、双方の電圧による。具体的には、単位電池10Aの電圧の方が蓄電部271の電圧よりも高い場合、単位電池10Aから蓄電部271に電荷が移動して蓄電部271が充電される。逆に、蓄電部271の電圧の方が単位電池10Aの電圧よりも高い場合、蓄電部271から単位電池10Aに電荷が移動して単位電池10Aが充電される。択一動作において他のスイッチ組272Aが閉状態になった際における他の単位電池10Aと蓄電部271とについても同様である。例えば、制御部12が各単位電池10Aの両端の電位差のそれぞれの差が所定の値以下になった(すなわち、各単位電池10Aの両端の電位差が同様の大きさになった)と判別するとバランス回路270はセルバランス動作を終了する。
【0060】
〔第2放電動作〕
制御部12は、失陥状態が発生した場合にバランス回路270に第2放電動作を行わせる。失陥状態になると、制御部12は各切替部272の各スイッチ組272Aの全てを開状態にする(図7参照。)。これにより、各蓄電部271に蓄えられた電荷のみが第1回路部30を介して各コンバータ11Aに供給される。各コンバータ11Aは制御部12が第2制御を行うことによって蓄電素子71Aからの電力に基づいた入力電圧を昇圧又は降圧して第3導電路131Aへと電力を供給する第2放電動作を行う。
【0061】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の車載用バックアップ電源装置3の放電回路11は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータ11Aを有している。制御部12は、第2制御を行う場合、蓄電素子71Aから供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して第3導電路131Aへと電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。
このように構成されていれば、第3導電路131Aに蓄電素子71Aからの電力に基づいて所望の大きさの電力を供給することができる。特に、蓄電素子71Aからの電力をコンバータ11Aによって昇圧させる場合、蓄電素子71Aに蓄電されている電力を有効に使うことができる。
【0062】
本開示の車載用バックアップ電源装置3は、バランス回路270が1つ以上の蓄電素子71Aによって構成される蓄電部271と、複数のスイッチ組272Aを備える切替部272とを有している。スイッチ組272Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。スイッチ組272Aが対応する単位電池10Aの高電位側の電極に蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。これと共に、スイッチ組272Aが対応する単位電池10Aの低電位側の電極に蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cを電気的に接続している。制御部12は、第2制御を行う場合には1つの単位電池10Aに対して高電位側の電極に蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。これと共に、制御部12は低電位側の電極に蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する動作を複数の単位電池10Aのそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ組272Aを動作させる。制御部12は、第2放電制御を行う場合には単位電池10Aの高電位側の電極及び低電位側の電極と端部素子電極部71Cとを接続しないように複数のスイッチ組272Aを動作させる。
このように構成されていれば、1つの蓄電素子71Aを用いてセルバランス動作を行うことができるため、電源装置3自身の小型化が可能である。
【0063】
<実施形態4>
次に、実施形態4に係る車載用バックアップ電源装置4(以下、電源装置4ともいう)について図10、11を参照しつつ説明する。電源装置4は、蓄電部271の両方の端部素子電極部71Cの接続される位置が実施形態3と異なる。実施形態3と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0064】
〔電源装置の構成〕
各バランス回路370は切替部272及び蓄電部271を有している。切替部272及び蓄電部271のそれぞれの構造は実施形態3と同様である。蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cは第3導電路31Aの放電回路11側に電気的に接続されている。蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cは負荷側の導電路であるグラウンド経路Gに電気的に接続されている。グラウンド経路Gには各コンバータ11Aも電気的に接続されている。制御部12は電池部110の各単位電池10Aの両端の電位差や電池間電極部10Bや端部電極部10Cにおける各単位電池10Aの接続の状態を監視し得る構成とされている。制御部12は蓄電部271の各蓄電素子71Aの両端の電位差等を監視し得る構成とされている。
【0065】
次に電源装置4の動作を説明する。
〔第1放電動作〕
電源装置4における第1放電動作は実施形態3と同様である。
【0066】
〔アクティブ方式のセルバランス動作〕
制御部12はバランス回路370にセルバランス動作を行わせる第1制御を行う。各バランス回路370の切替部272において択一動作をすると、1つの単位電池10Aと蓄電部271とがコンバータ11Aを介して並列に接続される(図11参照。)。
【0067】
単位電池10Aの電圧の方が蓄電部271の電圧よりも高いと制御部12が判別すると、コンバータ11Aを介して単位電池10Aから蓄電部271に電荷が移動して蓄電部271が充電される。このとき、コンバータ11Aは単位電池10Aの電圧に基づいて昇圧動作して蓄電部271に電力を供給することによって、早期に蓄電部271に電荷を移動させる。
【0068】
逆に、蓄電部271の電圧の方が単位電池10Aの電圧よりも高いと制御部12が判別すると、コンバータ11Aを介して蓄電部271から単位電池10Aに電荷が移動して単位電池10Aが充電される。このとき、コンバータ11Aは蓄電部271の電圧に基づいて昇圧動作して単位電池10Aに電力を供給することによって、早期に単位電池10Aに電荷を移動させる。例えば、制御部12が各単位電池10Aの両端の電位差のそれぞれの差が所定の値以下になった(すなわち、各単位電池10Aの両端の電位差が同様の大きさになった)と判別するとバランス回路370はセルバランス動作を終了する。
【0069】
〔第2放電動作〕
制御部12は、失陥状態が発生した場合に第2制御を行うことによってバランス回路370に第2放電動作を行わせる。失陥状態になると、制御部12は、図10に示すように、各切替部272の各スイッチ組272Aの全てを開状態にする。これにより、各蓄電部271に蓄えられた電荷のみが第3導電路31Aを介して第1負荷51に供給される。
【0070】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の車載用バックアップ電源装置4の放電回路11は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータ11Aを有している。制御部12は、第1制御を行う場合には蓄電素子71Aから供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して電池部110に電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。
このように構成されていれば、バランス回路370がセルバランス動作する場合、蓄電部271からの電力に基づく入力電圧をコンバータ11Aによって昇圧することにより、セルバランス動作がある程度進んだ際に蓄電部271と電池部110との間に流れる電流の減少を抑え得る。これにより、蓄電部271から電池部110に向けて積極的に電流を流すことができ、バランス動作に要する時間をより短時間にすることができる。
【0071】
本開示の車載用バックアップ電源装置4は、バランス回路370が1つ以上の蓄電素子71Aによって構成される蓄電部271と、複数のスイッチ組272Aを備える切替部272とを有している。スイッチ組272Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。スイッチ組272Aが対応する単位電池10Aの高電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。これと共に、スイッチ組272Aが対応する単位電池10Aの低電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。制御部12は、第1制御を行う場合には1つの単位電池10Aに対して高電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。これと共に、制御部12は低電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する動作を複数の単位電池10Aのそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ組272Aを動作させる。制御部12は、単位電池10Aの両端の電圧と蓄電部271の両端の電圧とで電圧が低い側に電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。制御部12は、第2制御を行う場合には単位電池10Aの高電位側の電極及び低電位側の電極と端部素子電極部71Cとを接続しないように複数のスイッチ組272Aを動作させる。
このように構成されていれば、セルバランス動作の際に、切替部272によって各単位電池10Aを交互にコンバータ11Aに接続することになる。このため、複数の単位電池10Aに対して1つのコンバータ11Aを対応させることが可能になり電源装置4自身の構成を簡単にすることができる。
【0072】
<実施形態5>
次に、実施形態5に係る車載用バックアップ電源装置5(以下、電源装置5ともいう)について図12~14を参照しつつ説明する。電源装置5は、蓄電部271の両方の端部素子電極部71Cの接続される位置が蓄電部切替部273によって一括して変更される点が実施形態3、4と異なる。実施形態3、4と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0073】
〔電源装置の構成〕
各バランス回路470は切替部272及び蓄電部271を有している。切替部272及び蓄電部271のそれぞれの構造は実施形態3、4と同様である。蓄電部271の両方の端部素子電極部71Cのそれぞれには、蓄電部切替部273が1つずつ電気的に接続されている。蓄電部切替部273には、例えば、MOSFET等が用いられる。蓄電部切替部273は制御部12によって動作が制御され得る構成とされている。
【0074】
具体的には、蓄電部切替部273は、第3動作と第4動作とを行い得る。第3動作は、制御部12によって、一方の端部素子電極部71Cを第1回路部130の第1導電路130Aに電気的に接続させると共に、他方の端部素子電極部71Cを第1回路部130の第2導電路130Bに電気的に接続させる動作(図13参照)である。第4動作は、一方の端部素子電極部71Cを第3導電路31Aに電気的に接続させると共に、他方の端部素子電極部71Cをグラウンド経路Gに電気的に接続させる動作(図14参照)である。つまり、蓄電部切替部273は蓄電部271の両方の端部素子電極部71Cを一括して第1回路部130、又は第3導電路131A及びグラウンド経路Gのいずれかへの電気的な接続を切り替える。
【0075】
また、蓄電部切替部273は、制御部12によって両方の端部素子電極部71Cを第1回路部130、第3導電路31A及びグラウンド経路Gのいずれとも電気的に接続しない状態(以下、非接続状態ともいう)にすることもできる(図12参照。)。
【0076】
次に電源装置5の動作を説明する。
〔第1放電動作〕
電源装置5における第1放電動作は実施形態3と同様である。
【0077】
〔アクティブ方式のセルバランス動作〕
各バランス回路470がセルバランス動作を行う場合、制御部12は蓄電部切替部273に対して第4動作を行わせる(図14参照。)。制御部12はバランス回路470にセルバランス動作を行わせる第1制御を行う。そして、制御部12によって各バランス回路470の切替部272が択一動作をすると、1つの単位電池10Aと蓄電部271とがコンバータ11Aを介して並列に接続される(図示せず。)。単位電池10Aの電圧の方が蓄電部271の電圧よりも高い場合、コンバータ11Aを介して単位電池10Aから蓄電部271に電荷が移動して蓄電部271が充電される。このときコンバータ11Aが昇圧動作することによって、早期に蓄電部271に電荷を移動させることができる。
【0078】
逆に、蓄電部271の電圧の方が単位電池10Aの電圧よりも高い場合、コンバータ11Aを介して蓄電部271から単位電池10Aに電荷が移動して単位電池10Aが充電される。このときコンバータ11Aが昇圧動作することによって、早期に単位電池10Aに電荷を移動させることができる。
【0079】
例えば、制御部12が各単位電池10Aの両端の電位差のそれぞれの差が所定の値以下になった(すなわち、各単位電池10Aの両端の電位差が同様の大きさになった)と判別するとバランス回路470はセルバランス動作を終了する。
バランス回路470はセルバランス動作が終了すると蓄電部切替部273が非接続状態になる(図12参照。)。これにより、蓄電部271は蓄電された状態が維持される。
【0080】
〔第2放電動作〕
失陥状態になると、制御部12は、蓄電部切替部273に対して第3動作を行わせる(図13参照。)。そして、各切替部272の各スイッチ組272Aの全てを開状態にする。これにより、各蓄電部271に蓄えられた電荷のみが第1回路部30を介して各コンバータ11Aに供給される。各コンバータ11Aは制御部12によって第2制御を行うことによって蓄電素子71Aからの電力に基づいた入力電圧を昇圧又は降圧して第3導電路131Aへと電力を供給する動作を行う。
【0081】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示の車載用バックアップ電源装置5の放電回路11は、入力された電圧を昇圧又は降圧して出力するコンバータ11Aを有している。制御部12は第1制御を行う場合には蓄電素子71Aから供給される電圧に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して電池部110に電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。そして、制御部12は、第2制御を行う場合には蓄電素子71Aから供給される電力に基づく入力電圧を昇圧又は降圧して第3導電路131Aへ電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。
このように構成されていれば、バランス回路470が第2放電動作をする場合には、第3導電路131Aに対して蓄電部271の電圧に基づいて所望の大きさの電力を供給することができる。特に、蓄電部271の電圧をコンバータ11Aによって昇圧させる場合、蓄電部271に蓄電されている電力を有効に使うことができる。そして、セルバランス動作をする場合、蓄電部271からの電力をコンバータ11Aによって昇圧することにより、セルバランス動作がある程度進んだ際における蓄電部271と単位電池10Aとの間に流れる電流の減少を抑える。そして、蓄電部271と単位電池10Aとの間で積極的に電流のやり取りをさせることができる。これによりバランス動作に要する時間をより短時間にすることができる。
【0082】
本開示の車載用バックアップ電源装置5は、バランス回路470が1つ以上の蓄電素子71Aによって構成される蓄電部271と、複数のスイッチ組272Aを備える切替部272とを有している。スイッチ組272Aのそれぞれは単位電池10Aのそれぞれに対応している。スイッチ組272Aが対応する単位電池10Aの高電位側の電極及び低電位側の電極を第1回路部130を介してコンバータ11Aに電気的に接続している。蓄電部271の両方の端部素子電極部71Cを一括して第1回路部130又は第3導電路131Aのいずれかへの電気的な接続を切り替える蓄電部切替部273を有している。制御部12は、第1制御を行う場合には両方の端部素子電極部71Cを一括して第3導電路131Aに電気的に接続さるように蓄電部切替部273を動作さる。そして、制御部12は1つの単位電池10Aに対して高電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の一方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する。これと共に、制御部12は低電位側の電極にコンバータ11Aを介して蓄電部271の他方の端部素子電極部71Cを電気的に接続する動作を複数の単位電池10Aのそれぞれに対して交互に行わせるように複数のスイッチ組272Aを動作させる。そして、制御部12は単位電池10Aの両端の電圧と蓄電部271の両端の電圧とで電圧が低い側に電力を供給するようにコンバータ11Aを動作させる。制御部12は、第2制御を行う場合には両方の端部素子電極部71Cを一括して第1回路部130に電気的に接続させるように蓄電部切替部273を動作させる。そして、制御部12は単位電池10Aの高電位側の電極及び低電位側の電極と第1回路部130とを接続しないように複数のスイッチ組272Aを動作させる。
このように構成されていれば、蓄電部切替部273によって一括して両方の端部素子電極部71Cを第1回路部130又は第3導電路131Aに電気的な接続を切り替えるため、蓄電部271が第1回路部130と第3導電路131Aとにまたがって接続することを抑え得る。これにより、コンバータ11Aに誤作動が生じることを抑えることができる。
【0083】
<他の実施形態>
本構成は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
実施形態1、2では、1つの蓄電素子71Aが1つの単位電池10Aに対応した構成を例示しているが、複数の蓄電素子を直列又は並列に接続した構成を1つの単位電池に対応させてもよい。
【0085】
実施形態1では、制御部12がマイクロコンピュータを主体として構成されていたが、マイクロコンピュータ以外の複数のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0086】
実施形態2~5では、電池部110の各単位電池群110A,110Bの単位電池10Aの数が3つずつであるが、単位電池の数は2つでもよく、4つ以上であってもよい。また、各単位電池群の単位電池の数は同じでなくてもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3,4,5…電源装置
10,110…電池部
10A…単位電池
10B…電池間電極部
10C…端部電極部
11…放電回路
11A…コンバータ
12…制御部
30,130…第1回路部(電池部側の導電路)
30A,130A…第1導電路
30B,130B…第2導電路
31A,131A…第3導電路(負荷側の導電路)
50…発電装置
51…第1負荷
52…第2負荷
70,170,270,370,470…バランス回路
71,171,271…蓄電部
71A…蓄電素子
71B…素子間電極部
71C…端部素子電極部
72,172,272…切替部
72A…スイッチ素子
110A,110B…単位電池群
131B…第1負荷側スイッチ
131C…第2負荷側スイッチ
272A…スイッチ組(スイッチ素子)
272B…第1スイッチ素子
272C…第2スイッチ素子
273…蓄電部切替部
G…グラウンド経路(負荷側の導電路)
図1
図2
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図5
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図10
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