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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/04 20060101AFI20220419BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20220419BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B60K13/04 Z
B62D49/00 P
B60Q1/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019158427
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021037779
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-12-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久岡 泰裕
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087919(JP,A)
【文献】特開2014-133517(JP,A)
【文献】特開2013-136359(JP,A)
【文献】特開2001-303946(JP,A)
【文献】米国特許第04011849(US,A)
【文献】米国特許第06026768(US,A)
【文献】特開平08-113043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を備え、作業機を取替自在に連結可能な走行車体と、
前記走行車体に搭載され、前記走行装置および前記作業機の駆動源となるエンジンと、
前記エンジンを覆うボンネットと、
前記ボンネットの前部に取付けられた前照灯と、
前記ボンネットの内部空間内における前記前照灯の下方に配置されたマフラーと、
前記前照灯と前記マフラーとの間に配置された遮熱部材と、
前記前照灯を前記ボンネットに連結する前照灯ステーと、
前記前照灯ステーを前記ボンネットに取付けるための取付プレートと、
前記ボンネットを支持するボンネットフレームと、
を備え
前記ボンネットフレームは、
前記マフラーの下方に位置し、回転自在に支持される左右延在部と、
前記左右延在部の両端から上方へ延伸し、前記取付プレートを介して前記ボンネットに連結される上方延在部と、
を有し、正面視で略U字状に形成されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記遮熱部材は前記前照灯ステーに取付けられ、
前記マフラーは、前記エンジンに連結されて、前記ボンネットフレームおよび前記遮熱部材とは非連結状態にある
ことを特徴とする請求項に記載の作業車両。
【請求項3】
前記遮熱部材は、
前記前照灯の下方に位置する第1の遮熱板部と、
前記第1の遮熱板部の後端から前記前照灯の後部を覆うように屈曲する第2の遮熱板部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記遮熱部材上にホーンが連結されている、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両の一例として、エンジンを覆うボンネット内の前側下部にマフラーを配置し、マフラーの下方に防除用ポンプを配置するとともに、その下側部を底部カバーで覆ったトラクタが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
かかる構成により、マフラーからの発熱は、エンジンの冷却ファンによる冷却風により発散されて底部カバーの過熱が抑えられる。そのため、作業中に底部カバーに作物が接触しても、作物の熱による損傷を防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】2001-303946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記トラクタをはじめとして、マフラーをボンネット内部に配置した従来の作業車両は、前照灯もマフラー近傍に配置されているため、樹脂などで構成された前照灯のカバーやハーネスの被覆部などがマフラーの熱の影響を受けることがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、前照灯などの部品が熱の影響を受けにくい作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の作業車両は、走行装置(4,5)を備え、作業機(60)を取替自在に連結可能な走行車体(1)と、前記走行車体(1)に搭載され、前記走行装置(4,5)および前記作業機(60)の駆動源となるエンジン(E)と、前記エンジン(E)を覆うボンネット(B)と、前記ボンネット(B)の前部に取付けられた前照灯(6)と、前記ボンネット(B)の内部空間内における前記前照灯(6)の下方に配置されたマフラー(M)と、前記前照灯(6)と前記マフラー(M)との間に配置された遮熱部材(30)と、前記前照灯(6)を前記ボンネット(B)に連結する前照灯ステー(35)と、前記前照灯ステー(35)を前記ボンネット(B)に取付けるための取付プレート(36)と、前記ボンネット(B)を支持するボンネットフレーム(61)と、を備え、前記ボンネットフレーム(61)は、前記マフラー(M)の下方に位置し、回転自在に支持される左右延在部(63)と、前記左右延在部(63)の両端から上方へ延伸し、前記取付プレート(36)を介して前記ボンネット(B)に連結される上方延在部(64)と、を有し、正面視で略U字状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の作業車両によれば、前照灯と熱源になるマフラーとの間に設けられた遮熱部材によって、前照灯が熱による悪影響を受けることを防止することができる。また、作業車両によれば、前照灯をボンネットに連結する前照灯ステーと、前照灯ステーをボンネットに取付けるための取付プレートとを備える構成としたため、前照灯をボンネットに簡単かつ確実に取付けることができる。また、作業車両によれば、ボンネットを支持するボンネットフレームが、マフラーの下方に位置し、回転自在に支持される左右延在部と、左右延在部の両端から上方へ延伸し、取付プレートを介してボンネットに連結される上方延在部とを有し、正面視で略U字状に形成されている構成としたため、開閉自在のボンネットの内部空間の上部に、前照灯をより確実に固定することができる。
【0009】
請求項に記載の作業車両によれば、遮熱部材は、前照灯の下方に位置する第1の遮熱板部と、第1の遮熱板部の後端から前照灯の後部を覆うように屈曲する第2の遮熱板部とを有する構成としたため、請求項1または2の効果に加え、前照灯の後方から熱源であるエンジンからの熱が伝達することを防止できる。
【0012】
請求項に記載の作業車両によれば、遮熱部材は前照灯ステーに取付けられ、マフラーは、エンジンに連結されて、ボンネットフレームおよび遮熱部材とは非連結状態にある構成としたため、マフラーを前照灯とは別系統で支持することになり、請求項の効果に加え、前照灯に熱や振動をより伝達しにくい構成とすることができる。
【0013】
請求項に記載の作業車両によれば、遮熱部材上にホーンが連結されている構成としたため、請求項1からのいずれかの効果に加え、ホーンの音響効果を向上させつつ、ホーンについても、マフラーからの熱の悪影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る作業車両であるトラクタの側面図である。
図2】同上のトラクタの前照灯の取付構造の一態様を示す説明図である。
図3】同上のトラクタのボンネットの内部を示す説明図である。
図4】同上のトラクタの前照灯の取付プレートを示す説明図である。
図5】同上のトラクタのボンネットを示す説明図である。
図6】遮熱部材の説明図である。
図7】作業機を装着したトラクタの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
まず、図1を参照して実施形態に係る作業車両であるトラクタの全体構成について説明する。図1は、トラクタの側面図である。
【0017】
トラクタは、自走しながら圃場などで作業を行う農業用トラクタである。また、トラクタは、操縦者(作業者ともいう)が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業を実行することができる。
【0018】
なお、以下において、トラクタの前後方向とは、トラクタの直進方向を指す。そして、トラクタの前進方向とは、トラクタの直進方向において、操縦席8からステアリングホイール9へ向かう方向へ進むことであり、その反対を後進(後退)方向とする。また、トラクタの前後は、前進方向を基準とする。
【0019】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。ここでは、前後方向の「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、オペレータが操縦席8に着いて前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。さらに、上下方向とは、前後方向および左右方向に対して直交する方向である。したがって、前後方向、左右方向および上下方向は、互いに3次元で直交する。
【0020】
図1に示すように、トラクタは、走行車体1と、連結する作業機を昇降させるための昇降装置12とを備えている。走行車体1は、車体フレーム3と、操舵輪となる前輪4と、後輪5と、ボンネットBと、エンジンEと、操縦部7とを備える。車体フレーム3は、走行車体1のメインフレームである。
【0021】
前輪4は、左右一対であり、走行車体1の前部に位置し、車軸に回転自在に連結されている。後輪5は、左右一対であり、走行車体1の後部に位置する。本実施形態では、前輪4に前駆出力軸22を連結して、前輪4および後輪5が共に駆動輪となる四輪駆動(4WD)の走行装置としているが、後輪5のみを駆動輪とすることもできる。なお、トラクタは、走行装置として、後輪5に代えてクローラ式の履帯を有する構成としてもよい。
【0022】
後輪5の上部は、フェンダ23で覆われており、このフェンダ23には、作業者(操縦者)が乗降時に把持することのできるグリップ28が設けられている。
【0023】
ボンネットBは、走行車体1の前部において開閉自在に設けられる。詳しくは後述するが、ボンネットBは、図示するように、前部を回動中心として上下方向に回動(開閉)可能である。ボンネットBは、閉じた状態で、車体フレーム3上に搭載されたエンジンEを覆う。エンジンEは、トラクタの駆動源であり、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。ボンネットBに覆われたエンジンEから伝達される動力(回転動力)は、トランスミッション(変速機構)により適宜減速され、走行装置である前輪4および後輪5やPTO(Power Take-off)へ伝達される。
【0024】
また、ボンネットBの内部において、エンジンEよりも前方位置はマフラーMが配置されている。そして、詳しくは後述するが、ボンネットBの前端面には、前照灯6が設けられており、かかる前照灯6は、マフラーMよりも上方に位置している。すなわち、ボンネットBの内部空間内における前照灯6の下方にマフラーMは配置される。このように、ボンネットBの内部空間内に前照灯6とマフラーMとを収納したことにより、トラクタ全体の小型化に寄与することができる。
【0025】
操縦部7は、走行車体1の上部に設けられ、操縦者の座席である操縦席8や、操縦者により操作されることで前輪4を操舵することができるステアリングホイール9などを備える。なお、操縦部7は、ステアリングホイール9の前方に、各種情報を表示する表示装置72を備える。
【0026】
また、操縦部7は、ブレーキペダル70の他、アクセルペダル、クラッチペダルなどの各種操作ペダルや、主変速レバー71、副変速レバー、前後進レバー、アクセルレバーなどの各種操作レバーを備える。操縦者がブレーキペダル70を踏み込むことで、制動装置(不図示)が作動して、前輪4および後輪5の回転を停止するブレーキ操作が可能となっている。
【0027】
また、本実施形態に係るトラクタの操縦部7は、キャビンなどを備えない解放型であり、後部にロプスフレームとも呼ばれる安全バー29が傾倒自在に設けられている。なお、操縦部7は、走行車体1上に設けたキャビン内に設けてもよい。
【0028】
本実施形態におけるトラクタの走行車体1の中央下部には、作業機としてモア60(図7参照)が連結可能であるが、走行車体1の後部には、圃場などで、たとえば耕耘作業を行うロータリなどの作業機を連結することができる。そのために、走行車体1の後部には、作業機60を昇降させる昇降装置12が設けられている。
【0029】
昇降装置12は、作業機を上昇させることで、作業機を非作業位置に移動させ、作業機を下降させることで、作業機を対地作業位置に移動させることができる。昇降装置12は、リフトアーム122と、リフトロッド123と、ロアリンク124とを備える他、油圧式の昇降シリンダやトップリンクなどを備える。
【0030】
次に、図2図6を参照して、ボンネットBの内部空間内における前照灯6とマフラーMとの位置関係について具体的に説明する。図2は、実施形態に係るトラクタの前照灯6の取付構造の一態様を示す説明図、図3は、同上のトラクタのボンネットBの内部を示す説明図である。また、図4は、同上のトラクタの前照灯6の取付プレートを示す説明図であり、図5は、同上のトラクタのボンネットBを示す説明図である。そして、図6は、遮熱部材の説明図である。
【0031】
図2に示すように、本実施形態に係るトラクタの前照灯6は、左右に配置される2つの前照灯6,6をボンネットBに連結するための前照灯ステー35に取付けられている。そして、この前照灯ステー35は、ボンネットBに取付けるための取付プレート36に連結されている(図4)。
【0032】
すなわち、左右にそれぞれ前照灯6を配設した前照灯ステー35は、取付プレート36を介してボンネットBに取付けられる。こうして、前照灯6を、ボンネットBの上部側に確実に固定することができるため、たとえばボンネットBを上下方向に回動させると、前照灯6も一緒に上下方向へ回動することになる。
【0033】
また、ボンネットBは、ボンネットフレーム61により支持されている。このボンネットフレーム61は、図2に示すように、正面視で略U字状に形成されており、マフラーMの下方に位置する左右延在部63と、この左右延在部63の両端から上方へ延伸し、取付プレート36を介してボンネットBに連結される上方延在部64とを有する。
【0034】
すなわち、左右の上方延在部64の先端に、それぞれボンネットBとの連結部となる取付座部65が設けられ、図示しないボルトによって、ボンネットフレーム61の上端部分と取付プレート36とが一体的に連結される。また、図2に示すように、左右延在部63と上方延在部64とは、共に連結部材66に溶接されて一体的に連結されており、この連結部材66は、ボンネットBの側面下部に連結される。かかる構成により、前照灯6は、間接的ではあるが、ボンネットフレーム61や取付プレート36などを介してボンネットBに取付けられることになる。
【0035】
ところで、ボンネットフレーム61の左右延在部63は、図2図5に示すように、機体側(車体フレーム3)に設けられた枢支部300に回転自在に支持されている。したがって、ボンネットBは、図1に示すように、前部を中心に上下方向に回動(開閉)可能となっている。
【0036】
図3に示すように、前照灯6とマフラーMとの間には、断面視略L字状に形成された遮熱部材30が配置される。遮熱部材30の材料としては、遮熱効率や加工性やコストなどを勘案して適宜設定することができる。
【0037】
本実施形態に係る遮熱部材30は、前照灯ステー35に取付けられており、図2および図6に示すように、前照灯6の下方に位置する第1の遮熱板部と、第1の遮熱板部の後端から前照灯6の後部を覆うように屈曲する第2の遮熱板部33とを有する。第1の遮熱板部は、略水平に延在する前側遮熱板部31と、この前側遮熱板部31の後端から所定の傾きで後方上部へ延在する後側遮熱板部32とから構成されている。
【0038】
エンジンEに連結されるマフラーMは、高熱を発する熱源となるが、上述したように、前照灯6とマフラーMとの間に遮熱部材30を設けたことで、前照灯6が熱による悪影響を受けることを防止することができる。
【0039】
しかも、遮熱部材30は、前照灯6の後部を覆うように屈曲する第2の遮熱板部33を有するため、エンジンEからの熱による悪影響も排除することができる。
【0040】
また、第1の遮熱板部の前側遮熱板部31の上には、左右の前照灯6,6の間に位置するようにホーンHが連結されている。したがって、前照灯6と同じように、ホーンHについてもマフラーMの熱による悪影響が受け難くなる。
【0041】
しかも、遮熱部材30(前側遮熱板部31)の中央部にホーンHを取付けたため、ボンネットフレーム61が回動する際に、ホーンHと前照灯6とが一体的に回動するため、回動支点となる枢支部300までのホーンHおよび前照灯6のハーネス経路を同一とすることが可能となり、ボンネットB内のレイアウトをシンプルな構成にすることができる。
【0042】
ところで、ホーンHは、図6に示すように、遮熱部材30(前側遮熱板部31)に予めナットを溶接して形成した取付部301に取付けられている。したがって、ホーンHの取付けが簡単かつ確実に行える。また、遮熱部材30の左右方向における略中央位置にホーンHを取付けたため、ホーンHの前方には遮蔽物などを可及的に少くすることができ、ホーンの音響効果を高めることができる。
【0043】
また、マフラーMは、あくまでもエンジンEに連結されており、ボンネットフレーム61および遮熱部材30とは非連結状態にある。このように、マフラーMを前照灯6とは別系統の支持構造を備えるため、遮熱部材30による遮熱効果に加え、前照灯6に対する熱の伝達をより効果的に防止することができる。さらに熱ばかりではなく、振動の伝達も防止することができる。
【0044】
図7は、作業機(モア60)を装着したトラクタの概略側面図である。図7に示すトラクタは、図1に示したトラクタとは別のトラクタではあるが、前照灯6とマフラーMとの位置関係および遮熱部材30(図2図4参照)を備える特徴点などは共通している。
【0045】
図7に示すように、機体の略中央に配置されたモア60は、PTO軸11から自在継手27を介して動力が伝達される。PTO軸11からは、トランスミッションによって適宜減速された回転動力が出力される。
【0046】
また、図7に示したトラクタは、伝動機構として、エンジンEとHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式無段階変速機のHSTPポンプ15とを自在継手を有する伝動軸14で連結している。なお、HSTは、HSTPポンプ15とHSTモータ18とで構成される。図中、符号E1はファン、E2はラジエーター、E3はバッテリーを示すとともに、符号16は油圧切替バルブを示している。
【0047】
上述してきた実施形態により、以下のトラクタが実現する。
【0048】
(1)走行装置である前輪4および後輪5を備え、作業機としてのモア60を取替自在に連結可能な走行車体1と走行車体1に搭載され、前輪4,後輪5およびモア60の駆動源となるエンジンEと、エンジンEを覆うボンネットBと、ボンネットBの前部に取付けられた前照灯6と、ボンネットBの内部空間内における前照灯6の下方に配置されたマフラーMと、前照灯6とマフラーMとの間に配置された遮熱部材30とを備えるトラクタ。
【0049】
かかるトラクタによれば、前照灯6と熱源になるマフラーMとの間に設けられた遮熱部材30により、前照灯6が熱による悪影響を受けることを防止することができる。
【0050】
(2)上記(1)において、遮熱部材30は、前照灯6の下方に位置する第1の遮熱板部と、第1の遮熱板部の後端から前照灯6の後部を覆うように屈曲する第2の遮熱板部33とを有するトラクタ。
【0051】
かかるトラクタによれば、(1)の効果に加え、前照灯6がエンジンEからの熱による悪影響も防止することができる。
【0052】
(3)上記(1)または(2)において、前照灯6をボンネットBに連結する前照灯ステー35と、前照灯ステー35をボンネットBに取付けるための取付プレート36と、を備えるトラクタ。
【0053】
かかるトラクタによれば、(1)または(2)の効果に加え、前照灯6を、ボンネットBの上部側に簡単かつ確実に固定することができる。
【0054】
(4)上記(3)において、ボンネットBを支持するボンネットフレーム61を備え、ボンネットフレーム61は、マフラーMの下方に位置し、回転自在に支持される左右延在部63と、左右延在部63の両端から上方へ延伸し、取付プレート36を介してボンネットBに連結される上方延在部64とを有し、正面視で略U字状に形成されているトラクタ。
【0055】
かかるトラクタによれば、上記(3)の効果を、より高めることができる。
【0056】
(5)上記(4)において、遮熱部材30は前照灯ステー35に取付けられ、マフラーMは、エンジンEに連結されて、ボンネットフレーム61および遮熱部材30とは非連結状態にあるトラクタ。
【0057】
かかるトラクタによれば、マフラーMを前照灯6とは別系統の支持構造を備えることになり、遮熱部材30による遮熱効果に加え、前照灯6に対する熱の伝達をより効果的に防止することができるとともに、熱ばかりではなく、振動の伝達も防止することができ、上記(5)の効果をより高めることができる。
【0058】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、遮熱部材30の上にホーンHが連結されているトラクタ。
【0059】
かかるトラクタによれば、上記(1)から(5)のいずれかの効果に加え、ホーンHの取付けが簡単かつ確実に行えるとともに、遮熱部材30の左右方向における略中央位置にホーンHが位置するため、ホーンHの前方には遮蔽物などを可及的に少くすることができ、ホーンの音響効果を高めることができる。
【0060】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 走行車体
4 前輪(走行装置)
5 後輪(走行装置)
6 前照灯
30 遮熱部材
35 前照灯ステー
36 取付プレート
60 モア(作業機)
61 ボンネットフレーム
63 左右延在部
64 上方延在部
B ボンネット
E エンジン
H ホーン
M マフラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7