(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】経口液体組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/70 20060101AFI20220419BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20220419BHJP
A61K 36/9062 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220419BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220419BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220419BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220419BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220419BHJP
A23L 2/58 20060101ALI20220419BHJP
A61K 31/352 20060101ALN20220419BHJP
A23L 33/105 20160101ALN20220419BHJP
A61K 125/00 20060101ALN20220419BHJP
【FI】
A23L2/00 K
A61P25/26
A61K36/9062
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/22
A61K9/08
A23L2/00 T
A23L2/00 F
A23L2/58
A61K31/352
A23L33/105
A61K125:00
(21)【出願番号】P 2020190596
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019214446
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新井 司
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027829(JP,A)
【文献】特開2014-169241(JP,A)
【文献】特開2010-235532(JP,A)
【文献】特開2007-274922(JP,A)
【文献】特開2014-132898(JP,A)
【文献】特開2015-000054(JP,A)
【文献】特開2009-057372(JP,A)
【文献】特開2017-070280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A61K
CAPlus/BIOSIS/MEDLINE/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガランガル抽出物、並びに(b)カラメル、バニリン及び3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートからなる群から選ばれる1種以上を含有し、(a)ガランガル抽出物含有量がガランガル乾燥固形分換算量で、組成物全量に対して0.01~0.5重量%含有することを特徴と
し、カラメルを含む場合は経口液体組成物中のカラメルが0.002~0.3重量%である経口液体組成物。
【請求項2】
経口液体組成物中のバニリンが0.0001~0.02重量%である
請求項1に記載の経口液体組成物。
【請求項3】
経口液体組成物中の3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートが0.00001~0.02重量%である
請求項1又は2に記載の経口液体組成物。
【請求項4】
経口液体組成物が炭酸飲料である
請求項1~3のいずれかに記載の経口液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガランガルを配合した経口液体組成物に関する。より詳細には、ガランガルに由来する沈殿が抑制された経口液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気分の高揚やリフレッシュを目的としたエナジードリンクの需要が高まっている。このようなエナジードリンクには、通常、中枢神経を興奮させることで覚醒作用を示すカフェインが含まれており、一般生活者の中には、より強力な覚醒感を求め、カフェイン配合量の多いエナジードリンクを選択することがある。しかしながら、カフェインには、過剰摂取による中毒性や依存性、作用が消失した後に摂取前よりも無気力になるカフェインクラッシュと呼ばれる現象が報告されており、カフェイン高含有のエナジードリンクを多量に摂取した一般生活者の健康被害も報告されている。
【0003】
そのため、カフェインと同様に覚醒作用を有し、かつ中毒性がなく安全性の高い食品素材の開発が望まれてきた。その素材の1つとして、ショウガ科ハナミョウガ属植物であるガランガル(Alpinia galanga L.)の根茎に、集中力を向上させる効果が認められ、注目を集めている(非特許文献1)。
【0004】
一般に動植物の抽出物を配合した経口液体組成物は、基原動植物種やその抽出物の配合濃度、組成物のpHによっては、商品性上好ましくない混濁や沈殿が生じ、飲用に適さなくなることがある。動植物抽出物に由来する沈殿を抑制する方法としては、様々な方法が知られている。
【0005】
特許文献1では、肝臓加水分解物やプラセンタエキスといった、特に、動物性生薬を配合した液剤における沈殿や濁りを抑制する方法として、カラメルを添加する方法が報告されており、植物性生薬に関しては、界面活性剤によって沈殿や混濁を防止する方法の報告があると記載されている。
【0006】
特許文献2では、動物性生薬エキス、特許文献3では、イカリソウやエゾウコギといった、植物抽出物を配合した液剤における沈殿や濁りを抑制する方法として、カラメルを添加する方法が報告されている。しかしながら、特許文献2、3において開示されているのは、高濃度の動植物抽出物を配合した際の沈殿発生に関してのみであり、低濃度における沈殿の発生、及びその抑制については何ら記載がない。また、特許文献2、3に記載された液剤におけるカラメル濃度は高い。カラメル濃度が高い液剤は、液色が黒色に限定されるため液色選択の余地がなく、商品の特徴として外観も重視される清涼飲料水等では、商品展開や商品のイメージ戦略において不利であり、液色が限定されないより自由度の高い経口液体組成物が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平8-198762
【文献】特開2009-57373
【文献】特開2009-57272
【非特許文献】
【0008】
【文献】Shalini, S. et al. (2017) Journal of the American College of Nutrition, 36(8), 631-639.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液色が黒色に限定されない経口液体組成物で、ガランガルに由来する沈殿が抑制された経口液体組成物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ガランガル含有液剤に、液色が黒色に限定されない範囲で特定の成分を含有させ、ガランガルに由来する沈殿が抑制されることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)(a)ガランガル抽出物、並びに(b)カラメル、バニリン及び3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートからなる群から選ばれる1種以上を含有し、(a)ガランガル抽出物含有量がガランガル乾燥固形分換算量で、組成物全量に対して0.01~0.5重量%含有することを特徴とする経口液体組成物、
(2)経口液体組成物中のカラメルが0.002~0.3重量%である(1)に記載の経口液体組成物、
(3)経口液体組成物中のバニリンが0.0001~0.02重量%である(1)又は(2)に記載の経口液体組成物、
(4)経口液体組成物中の3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートが0.00001~0.02重量%である(1)~(3)のいずれかに記載の経口液体組成物、
(5)経口液体組成物が炭酸飲料である(1)~(4)のいずれかに記載の経口液体組成物、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の経口液体組成物は、液色が黒色に限定されることなく、ガランガルに由来する沈殿が抑制されており、その外観が一般生活者の選択を狭めることのない液状の商品を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるガランガル抽出物とは、ショウガ科ハナミョウガ属植物であるガランガル(Alpinia galanga L.)(別名として、ガランガ、ナンキョウ等と呼ばれることもある)の根茎をそのまま、あるいは必要に応じて、乾燥、破砕、粉砕処理等を行った後に抽出することにより得られる。抽出処理方法は、特に限定されず、例えば、エタノール等の有機溶媒や水またはそれらの混合物を用いた撹拌・振盪・浸漬抽出法や、減圧水蒸気蒸留抽出法等公知の抽出方法にて行えばよく、必要に応じて遠心処理、酵素処理、カラム又はろ過等により不溶物を除去してもよい。また、ガランガル抽出物として、市販品(Enovate Biolife製のenXtraTM等)を用いることもできる。
【0013】
本発明におけるガランガル抽出物の含有量は、特に限定されないが、ガランガル抽出物の乾燥固形分換算量として、本発明の経口液体組成物中、例えば、0.01~0.5重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、特に好ましくは、0.03~0.3重量%である。さらには、0.05~0.3重量%、0.1~0.3重量%、0.1~0.15重量%としてもよい。ここで、「乾燥固形分換算量」とは水分を除いた部分の量に換算した量をいう。水分は、従来公知の加熱乾燥法やカール・フィッシャー法等を用いて測定することができる。なお、ガランガル抽出物には、ガランギンが含まれており、ガランギン量をガランガル抽出物の含有量の指標としてもよい。この場合のガランギン量は、特に限定されないが、本発明の経口液体組成物中、例えば、0.0001~0.005ppm、好ましくは0.0001~0.003ppm、特に好ましくは、0.0003~0.003ppmである。さらには、0.0005~0.003ppm、0.001~0.003ppm、0.001~0.0015ppmとしてもよい。ガランガル抽出物中のガランギン量はHPLC等を用いた公知の方法によって測定することができる。
【0014】
「カラメル」とは、食品添加物公定書第9版に定義されている、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物を、熱処理して得られたもの又は酸若しくはアルカリを加えて熱処理して得られる食品添加物であり、製造工程中での亜硫酸化合物ならびにアンモニウム化合物の使用の有無により、カラメルIからカラメルIVに分類される。本発明におけるカラメルの種類は特に限定されず、公知の方法により製造することができ、市販品(池田糖化工業製のカラメルCN、カラメルS等、昭和化学工業製のカラメルFS等)を用いることもできる。
【0015】
経口液体組成物全量に対するカラメル含有量は、特に限定されないが、例えば0.002~0.3重量%、好ましくは0.002~0.2重量%、特に好ましくは0.01~0.2重量%である。さらには、0.01~0.1重量%、0.02~0.1重量%としてもよい。また、本発明のガランガル抽出物に対するカラメル含有量は、ガランガル乾燥固形分換算量1質量部に対して、例えば0.004~30質量部、好ましくは0.0067~20質量部、特に好ましくは0.033~6.67質量部であり、さらには、0.033~2質量部、0.133~1質量部としてもよい。ガランギン1質量部に対して例えば4000~30000000質量部、好ましくは6600~20000000質量部、特に好ましくは33300~6600000質量部である。さらには33300~2000000質量部、133300~1000000質量部としてもよい。
【0016】
本発明におけるバニリンとは、バニラ特有の芳香を有する代表的な合成香料であり、天然においてもバニラ豆、安息香、トルーバルサム、クローブ油などに少量存在する。バニラ香料として大量に使用されるほか、ミルク香料、ヨーグルト香料、バター香料、チョコレート香料、フルーツ香料など各種香料に用いられる(技術文献1:香りの総合辞典 日本香料協会)。本発明におけるバニリンは特に限定されず、公知の方法により製造することができ、市販品(関東化学製等)を用いることもできる。また、前記の各種香料中にバニリンが配合されている場合も有効である。
【0017】
経口液体組成物全量に対するバニリン含有量は、特に限定されないが、例えば、0.00001~0.02重量%、好ましくは0.0001~0.01重量%、特に好ましくは0.0015~0.01重量%である。さらには、0.005~0.01重量%としてもよい。また、本発明のガランガル抽出物に対するバニリン含有量は、ガランガル乾燥固形分換算量1質量部に対して、例えば0.0002~2質量部、好ましくは0.00033~1質量部、特に好ましくは0.005~0.33質量部であり、さらには、0.016~0.1質量部、0.033~0.1質量部としてもよい。ガランギン1質量部に対して例えば200~2000000質量部、好ましくは330~1000000質量部、特に好ましくは5000~330000質量部である。さらには16700~100000質量部、33300~100000質量部としてもよい。
【0018】
本発明における3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートとは、ストロベリー様の甘いフルーツ香を有する合成香料であり、天然には存在しないが、ストロベリー香料、バナナ香料、グレープ香料、パイナップル香料などの各種香料に用いられる(技術文献1)。本発明における3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートは、特に限定されないが、公知の方法により製造することができ、市販品(Alfa Aesar製等)を用いることもできる。また、前記の各種香料中に3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートが配合されている場合も有効である。
【0019】
経口液体組成物全量に対する3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート含有量は、例えば、0.00001~0.02重量%、好ましくは0.0001~0.01重量%、特に好ましくは0.0004~0.01重量%である。さらには、0.005~0.01重量%としてもよい。また、本発明のガランガル抽出物に対する3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート含有量は、ガランガル乾燥固形分換算量1質量部に対して、例えば0.00002~2質量部、好ましくは0.000033~1質量部、特に好ましくは0.0013~0.33質量部であり、さらには、0.016~0.1質量部、0.033~0.1質量部としてもよい。ガランギン1質量部に対して例えば20~2000000質量部、好ましくは33~1000000質量部、特に好ましくは1300~330000質量部である。さらには16700~100000質量部、33300~100000質量部としてもよい。
【0020】
本発明の経口液体組成物のpHは、特に限定されず、例えば、2.5~7.0であり、更に好ましくは2.5~4.6である。本発明の経口液体組成物のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸およびそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0021】
また、本発明の経口液体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分として、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類またはその塩類、生薬類、生薬抽出物類、ローヤルゼリー、カフェイン等を適宜に配合することができる。
【0022】
更に、本発明の経口液体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、抗酸化剤、着色料、香料、矯味剤、界面活性剤、増粘剤、安定剤、保存料、甘味料、酸味料等の添加物を適宜配合することができる。
【0023】
本発明における経口液体組成物とは、経口摂取できる液状の組成物を指し、そのまま若しくは水で希釈して飲料としてもよく、炭酸を含有した炭酸飲料であってもよい。また、医薬品や医薬部外品の経口液剤としてもよい。
【0024】
本発明の経口液体組成物は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、水に、ガランガル抽出物、及びカラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート又はこれらを含有する香料を添加し、更に所望により前述した他の成分を添加して溶解させ、更に水を加え容量調整する。必要に応じてpHの調整や加熱殺菌を施し、また、容器に充填することで持ち運びのしやすい経口液体組成物として提供することができる。
【0025】
本発明の経口液体組成物を炭酸飲料とする場合、例えば、水に、ガランガル抽出物、及びカラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート又はこれらを含有する香料を添加し、更に所望により前述した他の成分を添加して溶解させ、飲料原液を調製する。必要に応じてpHの調整や加熱殺菌をしてから冷却した後、二酸化炭素を圧入(カーボネーション)し、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。そのガスボリュームは0.5~4.0であることが好ましい。前記ガスボリュームとは、標準状態(1気圧、20℃)において、溶媒である液体1に対しそれに溶けている二酸化炭素の体積比である。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、本発明においてはいずれを採用してもよい。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例等を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。なお、カラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート、ショウガ抽出物は、市販品(カラメル:カラメルCN(池田糖化工業製)、バニリン:関東化学製、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート:Alfa Aesar製、ショウガ抽出物:ショウガ抽出液T(松浦薬業製))を以下の実施例、比較例で用いた。
【0027】
ガランガル抽出物の調製:
乾燥したガランガル地下茎を熱水で抽出し、定法を用いて酵素処理、ろ過、減圧濃縮を行い、Brix15の液状の抽出物を得た。以下、当該抽出物をガランガル抽出物として用いた。なお、試験例の表中にはガランガル乾燥固形分換算量を記載した。
【0028】
経口液体組成物の調製:
表2~11に記載の処方および次の方法により経口液体組成物を調製した。水にクエン酸、クエン酸ナトリウムを添加、溶解した後、ガランガル抽出物を所定量添加した。さらに、カラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートを所定量添加したのち、水(実施例1~46)または炭酸水(実施例47)を加え全量とした。バニリンおよび3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートは経口液体組成物全量の1%程度のエタノールで予め溶解させたものを添加した。また、対照としてカラメル、バニリン並びに3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートを添加せずに水(比較例1~8)または炭酸水(比較例9)を加え全量としたものを調製した。同様に、表12に記載の処方では、ガランガル抽出物に代わり、ショウガ抽出物を添加した経口液体組成物も調製した(比較例10~11)。これら経口液体組成物を、透明の密閉容器に充填し、80℃で25分間殺菌したものを55℃条件下で3日間保管し、沈殿および色名の評価に用いた。
【0029】
沈殿の評価:
沈殿の評価は、目視で行い、表1の評価基準を元に、評点を算出した。カラメル、バニリン又は3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートを含有しないサンプルに対し、カラメル、バニリン又は3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートの添加の有無のみ異なるサンプルの評点が1点以上、下回る場合に沈殿の抑制効果があると判断した。結果を表2~12に示した。
【0030】
【0031】
液色の評価:
液色の評価は日本規格協会が規定するJIS Z 8102(物体色の色名)に準拠したJIS色名帳[第2版]を用い、目視で行った。
【0032】
【0033】
表2から明らかなように、ガランガルを乾燥固形分換算で0.01重量%以上含む場合において、沈殿物を目視でとらえることができ、0.0025重量%以下においては、沈殿物が目視で確認できなかった。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
表3~11から明らかなように、カラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデート含有組成物は、それぞれ比較例に対して沈殿の抑制効果を示した。また、表9から明らかなように、カラメル、バニリン、3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートのうち、カラメルを必須とし、バニリン及び/又は3-エチル-3-メチルフェニルグリシデートを組み合わせた場合には、沈殿の抑制効果が増強した。また、表11から明らかなように、炭酸水でも、カラメルの添加により沈殿の抑制効果を示した。また、表12から明らかなように、ショウガに対しては沈殿の抑制効果を示さなかった。
【0045】
(製剤例)
表13に記載の処方および次の方法により炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の水にリボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、安息香酸ナトリウムを除く成分を添加、溶解させた。そこに別途、全量の3%程度の70℃の水にリボフラビン5’-リン酸エステルナトリウムおよび安息香酸ナトリウムを添加、溶解させたものを加え、全量の25%量となるまで水を添加した飲料原液を調製した。この飲料原液を80℃で25分間殺菌し、炭酸水を加え全量とし、透明の密閉容器に充填した。実施例1~47、比較例1~11と同様に55℃条件下で3日間保管し、沈殿および色名を評価した。結果を表13に示した。
【0046】
【0047】
表13から明らかなように、製剤例1および2では、十分な沈殿抑制効果があることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により、沈殿が抑制され、商品性に優れたガランガル配合経口液体組成物を提供することが可能となった。安全性の高い素材であるガランガルを配合した食品、飲料や、医薬品、医薬部外品を提供することにより、これらの産業の発達が期待できる。