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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】スピーカーシステム及び車両ドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20220419BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B60J5/04 F
B60R11/02 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020514826
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2018015869
(87)【国際公開番号】W WO2019202662
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本地 由和
(72)【発明者】
【氏名】原田 英樹
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-039454(JP,A)
【文献】特開2005-219515(JP,A)
【文献】特開2003-063316(JP,A)
【文献】国際公開第2009/144818(WO,A1)
【文献】特開2017-100570(JP,A)
【文献】特開2009-137416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの外板である第1パネルと、
前記車両ドアのうち車室側に設けられる第2パネルと、
前記第1パネルと前記第2パネルとの間に設けられる第3パネルと、
車室に向けて放音する放音面を有するスピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットと前記第3パネルとの間に設けられたスペーサと
前記第2パネルの前記第3パネル側の面と、前記スピーカーユニットの前記第2パネル側の面との間に挟持された弾性体とを備え、
前記スピーカーユニットの前記第2パネル側の面から前記第2パネルまでの距離は、0.5mm以上10mm以下である、
スピーカーシステム。
【請求項2】
前記第2パネルにおける前記スピーカーユニットの放音面に対向する部分が前記第3パネル側に凹ませて形成されている請求項1に記載のスピーカーシステム。
【請求項3】
前記スペーサは筒状の形状であり、
前記スピーカーユニットは、スピーカー本体と前記スピーカー本体を収容し取付穴を有するハウジングとを備え、
前記取付穴及び前記スペーサに挿し通され、前記第3パネルに前記スピーカーユニットを取り付ける取付ねじを備える請求項1または2に記載のスピーカーシステム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のスピーカーシステムを備える車両ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーシステム及びスピーカーシステムを備えた車両ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両ドアは、アウターパネルと、車室側に設けられるドアトリムと、アウターパネルとドアトリムとの間に設けられるインナーパネルとにより構成されることがある。インナーパネルには、スピーカーユニット及びウインドーレギュレータ等のドア機能部品が取り付けられる。例えば特許文献1に記載のように、スピーカーユニットをインナーパネルに直接取り付けるのではなく、モジュールキャリアプレートを介してスピーカーユニットが取り付けられるものもある。いずれの場合にも、スピーカーユニットがドアトリムから奥まった位置に配置されている。そして、スピーカーユニットの放音面の外周部と、ドアトリムとの間の隙間を閉塞する筒状の閉塞部材が、スピーカーユニットの放音面の外周部とドアトリムとの間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-137416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、車両ドアに取り付けられるスピーカーユニットは、その放音面がドアトリムから奥まった位置に配置されている。このような従来のスピーカーシステムにおいては、閉塞部材を用いるため、車両ドアの厚みが大きくなる。スピーカーユニットから放音された音の一部は、筒状の閉塞部材の内面で反射又は吸収されて車室内に至る。音が閉塞部材の内面で反射又は吸収されることにより、高域の音響特性が劣化するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、高域の音響特性が改善されるスピーカーシステム及び車両ドアを提供することを解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わるスピーカーシステムの一態様は、車両ドアの外板である第1パネルと、前記車両ドアのうち車室側に設けられる第2パネルと、前記第1パネルと前記第2パネルとの間に設けられる第3パネルと、車室に向けて放音する放音面を有するスピーカーユニットと、前記スピーカーユニットと前記第3パネルとの間に設けられたスペーサとを備える。
また、本発明の一態様に係わる車両ドアは、上記スピーカーシステムを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態のスピーカーシステムを備えた車両ドアを示す分解斜視図である。
図2】同スピーカーシステムの縦断面図である。
図3図2の一部拡大断面図である。
図4】本発明の第2実施形態のスピーカーシステムを、第2パネルの車室側から見た図である。
図5】本発明の第2実施形態のスピーカーシステムを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1.第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異ならせてある。また、以下に記載する実施形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
図1は、第1実施形態に係るスピーカーシステムを備えた車両ドアの構成を示す分解斜視図である。また、図2はこの実施形態の縦断面図であり、図3はその部分拡大図である。スピーカーシステム100は、スピーカーユニット5とエンクロージャーとを備える。本実施形態において、車両ドア1の一部はエンクロージャーとして機能する。
車両ドア1は、外側に位置し外板である第1パネル2と、車両ドア1において車室側に内装材として設けられ、ドアトリムと称される第2パネル3とを備える。また、車両ドア1は、第1パネル2と第2パネル3との間に設けられ、インナーパネルと称される第3パネル4と、車室に向けて放音する放音面5aを有し、第3パネル4に取り付けられるスピーカーユニット5とを備える。
【0010】
第1パネル2と第3パネル4には一般的に鋼板が用いられる。第1パネル2と第3パネル4は結合される。第1パネル2と第3パネル4には、例えば、アルミニウム合金あるいは炭素材を使用することも可能である。第2パネル3には、例えば合成樹脂成形板が用いられる。第1パネル2と第3パネル4との上部には、窓ガラス6を上下動可能に収容した枠体7が設けられる。
【0011】
第3パネル4には、スピーカーユニット5を収容するための開口部4a及び複数の開口部4bが設けられている。複数の開口部4bには、窓ガラス6を上下動させるための不図示のモータ及びドアロックアクチュエータ等の部品が収容され得る。この実施形態においては、複数の開口部4bの少なくとも一部は、各種の部品によって閉塞されず、開口部4bを閉塞する専用の部材も設けられない。
【0012】
第2パネル3は第3パネル4に対し、複数の連結機構9により固定される。本実施形態の連結機構9は、第3パネル4に設けた筒状の受部9aと、第2パネル3に一体に設けた挿入体9bとからなる。挿入体9bは弾性体である。挿入体9bは、受部9aの挿入穴9c内に挿入される際に縮径され、受部9a内で元の大きさに戻る。連結機構9は第3パネル4に第2パネル3を固定している。この連結機構9は、第2パネル3を第3パネル4に固定するものであればよい。例えば、受部9aを第2パネル3側に設け、挿入体9bを第3パネル4側に設ける等、この例以外に種々の構造を連結機構9として採用できる。
【0013】
第2パネル3の外縁部分には外縁部分に沿って溝状のパッキン取付部3aが設けられ、パッキン取付部3aにはパッキン10が嵌め込まれている。このパッキン10が第2パネル3と第3パネル4との間に介在することにより、第2パネル3及び第3パネル4とに囲まれた空間11の気密性が保持される。第3パネル4に設けられた少なくとも一部の開口部4bにより、第1パネル2と第3パネル4とに囲まれた空間12と空間11は連通する。
【0014】
この例のスピーカーユニット5は、ボイスコイル、磁石及び振動板等を含むスピーカー本体5bと、このスピーカー本体5bを収容する筒状のハウジング5cとを有する。スピーカー本体5bは、その第2パネル3側に鍔部5dを有する。この鍔部5dを、ねじ13によりハウジング5cに固定することにより、スピーカーユニット5が構成される。
【0015】
ハウジング5cは、第3パネル4側に開口部を有する。ハウジング5cは、開口部の外側に鍔部5eを有する。鍔部5eは、スピーカーユニット5を取り付けるための取付穴5fを有する。スペーサ15は、スピーカーユニット5と第3パネル4との間に設けられ、スピーカーユニット5と第3パネル4との間隔を一定に維持するための部材である。スペーサ15を用いることによって、スピーカーユニット5の放音面5aを第2パネル3に近づけることができる。スペーサ15の形状は、例えば、筒状である。この実施形態においては、筒状のスペーサ15を、鍔部5eに設けた取付穴5fと同芯に、鍔部5eの第3パネル4側の面に固定して設けている。スペーサ15の鍔部5eに対する固定は、一体成形、溶着、接着、あるいは鍔部5eに穴を設けてその穴にスペーサ15を嵌め込む等の手段を採用することができる。
【0016】
スピーカーユニット5と第3パネル4との間に弾性体16が設けられる。この弾性体16は第3パネル4の開口部4aに連なる開口部16aを有する。第3パネル4にはスピーカーユニット5を取り付けるためのねじ穴4cを有する。スピーカーユニット5の第3パネル4への取り付けは、取付ねじ17を鍔部5eの取付穴5fと、スペーサ15と、弾性体16に設けた取付穴16bとに挿し通し、第3パネル4のねじ穴4cにねじ込むことによりなされる。弾性体16はスピーカーユニット5の背面側に放射される音がハウジング5cから漏れることを低減又は防止する。第3パネル4にねじ穴4cを設ける代わりに貫通穴を設け、その貫通穴に取付ねじ17を通してナットに締結する構成としてもよい。
【0017】
スピーカーユニット5の放音面5aに対向する第2パネル3の領域には、スピーカーユニット5で発生する音を車室内に放音するための複数の開口部3bが設けられている。第1パネル2におけるスピーカーユニット5の背面に対向する面には、スピーカーユニット5で発生する音を吸収して定在波を抑制する吸音部材18が設けられている。
【0018】
この実施形態においては、スピーカーユニット5の第2パネル3側の面と、第2パネル3の第3パネル4側の面との間に、第2パネル3の開口部3bを囲むように、リング状の弾性体20が設けられる。この弾性体20としては種々の材料を用いることが可能であるが、伸縮可能なゴム等の弾性材や、伸縮可能な合成樹脂製発泡材等を用いることが好ましい。
【0019】
この例の弾性体20は、スピーカーユニット5の放音面5a側の鍔部5dに、接着剤21により取り付けられている。
【0020】
第2パネル3を第3パネル4に連結機構9により固定した状態においては、弾性体20はスピーカーユニット5と第2パネル3との間で挟持される。弾性体20によって、スピーカーユニット5の放音面5aの外周部と第2パネル3との間の隙間が閉塞される。第2パネル3に設けられた放音用の開口部3bは、車室からスピーカーユニット5を視た平面視において、弾性体20で囲まれた領域に位置する。
【0021】
上述のように、この実施形態のスピーカーシステム100は、スピーカーユニット5と第3パネル4との間にスペーサ15を設けたので、図3に示されるスピーカーユニット5の第2パネル3側の面から第2パネル3までの距離tを短くすることができる。この例において、スピーカーユニット5の第2パネル3側の面は鍔部5dの第2パネル3側の面である。距離tを短くすることができるので、放音面5aから放射された音が第2パネル3とスピーカーユニット5との間の部材である弾性体20の内面で反射される回数又は吸収される割合を小さくすることができ、高域での音質を向上させることができる。
【0022】
スピーカーユニット5の第2パネル3側の面と第2パネル3との間の距離tは、好ましくは0.5mm以上、10mm以下であることが好ましい。距離tが10mmを超えると、弾性体20の内周面における音の反射の回数又は放音面5aから放射された音が弾性体20の内周面で吸収される割合が増大し、高域での音質が劣化するためである。また、距離tが0.5mm以上であると、スピーカーユニット5の取り付けが容易で、弾性体20等の取り付けも容易となるためである。そして、距離tは1mm以上、5mm以下であることがさらに好ましい。距離tを5mm以下とすることにより、弾性体20等のように、スピーカーユニット5と第2パネル3との間に介在する部材の内周面における音の反射又は放音面5aから放射された音が弾性体20の内周面で吸収される割合が更に低減されるため、高域での音質を高めることができる。また、距離tを1mm以上とするとスピーカーユニット5の取り付け及び弾性体20の取り付けが更に容易になる。
【0023】
この実施形態においては、スピーカーユニット5と第2パネル3との間で弾性体20が挟まれている。この弾性体20の弾性変形により、スピーカーユニット5の位置決め誤差が許容されるので、スピーカーユニット5の位置決めが容易となる。また、図2に点線25に示すような、スピーカーユニット5の背面側からの音のスピーカーユニット5の放音面5a側への回り込みが低減又は防止される。このため、スピーカーユニット5の放音面5aから本来発生させるべき正面放射音が、スピーカーユニット5の背面側から回り込む背面放射音によって影響を受けて、音質が低下することを低減又は防止できる。その結果、スピーカーユニット5の放音面5aから本来発生させるべき音を得やすくなり、音質が向上する。
【0024】
またこの実施形態においては、第1パネル2と第3パネル4との間で形成された空間12と、第2パネル3と第3パネル4との間で形成された空間11とが開口部4bを通して連通するので、スピーカーユニット5のエンクロージャーの容積は、空間11の容積と空間12の容積との合計の容積となる。このため、空間12のみをエンクロージャーとして用いていた従来のスピーカーシステムに比較し、スピーカーシステムとしてのキャビネット容積が増大する。その結果、最低共振周波数を低下させ、低音域の再生音圧を高めることができる。ただし、本発明は、空間11と空間12とが隔離された構成にも適用できる。
【0025】
なお、第3パネル4の開口部4bは、合成樹脂製のフィルム等によりカバーされてもよい。これらのフィルムは低音域での透過損失は十分に低いため、これらのフィルムがある場合でも、第1パネル2と第2パネル3とで囲まれた空間は、特に低音域において一体のエンクロージャーとして機能する。
【0026】
<2.第2実施形態>
図4は本発明の第2実施形態のスピーカーシステムを、第2パネルの車室側から見た図であり、図5は第2実施形態のスピーカーシステムの構成を示す縦断面図である。
この実施形態は第2パネル3におけるスピーカーユニット5の放音面5aに対向する部分3cを、第3パネル4側に凹ませて形成している。この実施形態におけるスピーカーユニット5の構造や第3パネル4への取付構造や弾性体20の取付構造は第1実施形態と同じである。
【0027】
この実施形態のように、第2パネル3のスピーカーユニット5に対向する部分を凹ませることにより、スピーカーユニット5に対する第2パネル3の対向面を、スピーカーユニット5の放音面5aに近づけることができる。このため、車両ドア1の厚みを短くできる。その結果、向上した音質を維持しつつ、スピーカーユニット5や、スピーカーユニット5と第3パネル4との間に介在させる弾性体16のサイズを小さくすることができ、材料の節約が可能となる。
【0028】
<変形例>
以上の実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形な態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
(1)上述したスペーサ15は、スピーカーユニット5第3パネル4と別体に設けてもよい。また、スペーサ15は第3パネル4と一体に設けてもよい。
(2)上述した実施形態では、複数の筒状のスペーサ15を用いてスピーカーユニット5と第3パネル4との間の距離を確保した。スペーサ15は、スピーカーユニット5を第2パネル3に近づけることができるのであれば、どのような形状であってもよい。スペーサ15は、例えば、リンク状の形状であってもよい。この場合、鍔部5eの取付穴5fに対応してリング状のスペーサ15に貫通穴を設け、取付ねじ17を取付穴5fと貫通穴とに挿し通し、取付ねじ17をねじ穴5cにねじ込んでもよい。
(3)上述した実施形態では、スピーカーユニット5は鍔部5dを備えたが、スピーカーユニット5は鍔部5dを備えなくてもよい。この場合、スピーカーユニット5の第2パネル3側の面は、ハウジング5cの第2パネル3側の面となる。
【0029】
<実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した実施形態及び各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
スピーカーシステムの一態様は、車両ドアにおいて外部と接する第1パネルと、前記車両ドアにおいて車室側に設けられる第2パネルと、前記第1パネルと前記第2パネルとの間に設けられる第3パネルと、前記車室に向けて放音する放音面を有するスピーカーユニットと、前記スピーカーユニットと前記第3パネルとの間に設けられたスペーサとを備えることが好ましい。この態様によれば、スピーカーユニットの放音面と第2パネルとの間の距離を短くすることができる。このようにこの距離を短くすることができるので、放音面から放射された音が第2パネルとスピーカーユニットとの間の部材の内面において反射又は吸収される割合が小さくなり、高域での音質を向上できる。
【0030】
上述したスピーカーシステムの一態様として、前記スピーカーユニットの前記第2パネル側の面から前記第2パネルまでの距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましい。この態様によれば、スピーカーユニットと第2パネルとの間に介在する部材の内周面において音が反射又は吸収される割合が低減され、高域での音質を高めることができる。また、スピーカーユニット5の取り付けが容易で、弾性体等の取り付けも容易となる。
【0031】
上述したスピーカーシステムの一態様として、前記第2パネルの前記第3パネル側の面と、前記スピーカーユニットの前記第2パネル側の面との間に挟持された弾性体を備えることが好ましい。この態様によれば、弾性体の弾性変形により、スピーカーユニットの位置決め誤差が許容されるので、スピーカーユニットの位置決めが容易となる。また、スピーカーユニットの背面側からの音のスピーカーユニットの放音面側への回り込みが防止される。このため、スピーカーユニットの放音面から本来発生させるべき正面放射音が、スピーカーユニットの背面側から回り込む背面放射音によって影響を受けて、音質が低下することを低減又は防ぐことができる。その結果、スピーカーユニットの放音面から本来発生させるべき音を得やすくなり、音質が向上する。
【0032】
上述したスピーカーシステムの一態様として、前記第2パネルにおける前記スピーカーユニットの放音面に対向する部分が前記第3パネル側に凹ませて形成されていることが好ましい。この態様によれば、第2パネルのスピーカーユニットに対する対向面を、スピーカーユニットの放音面に近づけることができる。このため、スペーサの車両ドアの厚み方向の長さを短くすることができる。その結果、向上した音質を維持しつつ、スピーカーユニットや、スピーカーユニットと第3パネルとの間に介在させる弾性体のサイズを小さくでき、材料の節約が可能となる。
【0033】
上述したスピーカーシステムの一態様として、前記スペーサは筒状の形状であり、前記スピーカーユニットは、スピーカー本体と前記スピーカー本体を収容し取付穴を有するハウジングとを備え、前記取付穴及び前記スペーサに挿し通され、前記第3パネルに前記スピーカーユニットを取り付ける取付ねじを備えることが好ましい。この態様によれば、筒状のスペーサを用いることにより、小さな部材で第3パネルとスピーカーユニットとの間隔を保持することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…車両ドア、2…第1パネル、3…第2パネル、4…第3パネル、5…スピーカーユニット、5a…放音面、5b…スピーカー本体、5c…ハウジング、5d、5e…鍔部、5f…取付穴、9…連結機構、15…スペーサ、17…取付ねじ、16、20…弾性体、100…スピーカーシステム。
図1
図2
図3
図4
図5