(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/16 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
F15B11/16 Z
(21)【出願番号】P 2020556511
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2018042158
(87)【国際公開番号】W WO2020100236
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 宙潤
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006417(WO,A1)
【文献】特開平11-210705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータに接続されるポートを有するボディと、前記ボディ内に形成された流路を通過する作動液の流量を調整する流量調整部材と、圧力補償弁と、を各々備えた流体制御弁を、複数個列設した構成を有するクローズドセンター回路方式の流体制御装置であって、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁に供給される作動液の圧力に対応したメインリリーフバルブと、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁に供給される作動液の圧力に対応したセカンダリーリリーフバルブと、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインと、前記メインリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁における各圧力補償弁とを接続する第1通路と、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁の荷役ラインと前記セカンダリーリリーフバルブとを接続する第2通路と、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁の荷役ラインと前記第2通路とを接続する通路に各々配設されたチェックバルブと、
前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインにおける作動液と前記第2通路における作動液とのうちの圧力の高い方の作動液を、前記第1通路を介して、前記メインリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁における各圧力補償弁とに送液する通路切替手段と、
を備えたことを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御装置において、
前記通路切替手段は、供給口が前記第2
通路と前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインとに接続され、吐出口が前記前記第1通路に接続されたシャトルバルブである流体制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体制御装置において、
前記通路切替手段は、前記第2通路と前記第1通路との間に配設されたチェックバルブと、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインと前記第1通路との間に配設されたチェックバルブとを有する流体制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流体制御装置において、
前記流量調整部材は、前記ボディ内を移動するスプールである流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の流体制御弁を備えたクローズドセンター回路方式の流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような複数の流体制御弁(コントロールバルブ)を列設した構成を有する流体制御装置においては、作動液の液圧が過度に上昇することを防止するためにリリーフバルブが使用される。例えば、フォークリフトに使用される流体制御装置においては、リフト機能等の作動液に対して最大の圧力を必要とする領域に対しては、その最大圧力に対応したリリーフバルブが使用され、それよりも作動液の液圧が低い領域に対しては、各領域毎にリリーフバルブを設けた構成が採用されている。このため、各機能毎にリリーフバルブが必要となり、装置が複雑化かつ大型化し、また、装置コストが高くなるという問題を生ずる。
【0003】
このため、メインリリーフバルブとセカンダリーリリーフバルブとの両方を利用した流体制御装置も使用されている。特許文献1には、複数の機能に対応した流体制御弁を列設したオープンセンター回路方式の流体制御装置において、最大の圧力を必要とする機能に対応した流体制御弁については、そのポート圧がメインリリーフバルブに導かれ、その他の機能に対応した複数の流体制御弁については、そのポート圧がセカンダリーリリーフバルブに導かれる構成を有する流体制御装置が開示されている。
【0004】
ところで、単一の液圧源からの作動液を複数の機能に対応した流体制御弁に供給する構成においては、複数の機能を同時に使用した場合には、各機能の負荷に対応して応答速度が変化するという現象が生ずる。例えば、このような流体制御装置をフォークリフトに使用した場合において、リフトの上昇とチルトの後傾のように複数の機能を同時に実行した場合においては、負荷の軽い機能に作動液が優先的に流入することから、負荷が大きい機能は動作が遅くなり、負荷が小さい機能は動作が速くなるという現象が生ずる。このような現象が生じた場合においては、オペレータによる操作に支障をきたす。
【0005】
このような問題に対応するため、特許文献2においては、圧力補償弁を備えたクローズドセンター回路方式の圧力補償器付液圧制御バルブ装置が提案されている。この特許文献2に記載された装置においては、流体制御弁毎に圧力補償弁を備え、各機能のうち最も負荷圧の高い作動液の圧力がロードセンシング通路を通じて各圧力補償弁に導かれる。この最も高い圧力とポート圧との差は、各圧力補償弁の差動圧が同一であれば常に一定となることから、各流体制御弁のスプール開度に応じてポートに導かれる作動液の流量が決定される。従って、負荷圧が異なる機能を同時に操作した場合においても、負荷圧に依存せず、常に一定の操作性を担保することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2017/006417号
【文献】特開平11-210705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載されたようなクローズドセンター回路方式の流体制御装置においても、特許文献1に記載されたようなメインリリーフバルブとセカンダリーリリーフバルブとを使用することにより、簡易な構成で複数の流体制御弁において作動液の圧力を制御したいという要請がある。
【0008】
このとき、圧力補償弁を備えたクローズドセンター回路方式の流体制御装置において、メインリリーフバルブとセカンダリーリリーフバルブとを使用して複数の流体制御弁における作動液の圧力を制御するためには、各圧力補償弁に対して複数の流体制御弁のうち最も負荷圧が大きい機能に圧力を導くためのロードセンシング通路と、複数の流体制御弁のうち最大の圧力を必要とする機能以外の機能の最大圧力をセカンダリーリリーフバルブに導くためのセカンダリーリリーフ通路とを形成する必要がある。これらの通路を形成するためには、複数の流体制御弁を備えた流体制御装置全体のサイズが大きくなるばかりではなく、部品点数増加やそれに伴う組立工数の増加等が問題となる。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、圧力補償弁を備えたクローズドセンター回路方式の流体制御装置においても、装置構成を複雑化することなく、メインリリーフバルブとセカンダリーリリーフバルブとの両方を利用して作動液の圧力を制御することが可能な流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、アクチュエータに接続されるポートを有するボディと、前記ボディ内に形成された流路を通過する作動液の流量を調整する流量調整部材と、圧力補償弁と、を各々備えた流体制御弁を、複数個列設した構成を有するクローズドセンター回路方式の流体制御装置であって、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁に供給される作動液の圧力に対応したメインリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁に供給される作動液の圧力に対応したセカンダリーリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインと、前記メインリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁における各圧力補償弁とを接続する第1通路と、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁の荷役ラインと前記セカンダリーリリーフバルブとを接続する第2通路と、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁以外の複数の流体制御弁の荷役ラインと前記第2通路とを接続する通路に各々配設されたチェックバルブと、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインにおける作動液と前記第2通路における作動液とのうちの圧力の高い方の作動液を、前記第1通路を介して、前記メインリリーフバルブと、前記複数の流体制御弁における各圧力補償弁とに送液する通路切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記通路切替手段は、供給口が前記第2通路と前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインとに接続され、吐出口が前記前記第1通路に接続されたシャトルバルブである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記通路切替手段は、前記第2通路と前記第1通路との間に配設されたチェックバルブと、前記複数の流体制御弁のうち負荷圧が最大の流体制御弁の荷役ラインと前記第1通路との間に配設されたチェックバルブとを有する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記流量調整部材は、前記ボディ内を移動するスプールである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項4に記載の発明によれば、圧力補償弁を備えたクローズドセンター回路方式の流体制御装置においても、装置構成を複雑化することなく、メインリリーフバルブとセカンダリーリリーフバルブとの両方を利用して作動液の圧力を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明に係る流体制御装置の縦断面概要図である。
【
図2】この発明に係る流体制御装置における油圧回路図である。
【
図3】シャトルバルブ91により作動油の通路を切り替える構成を示す説明図である。
【
図4】一対のチェックバルブ98、99により作動油の通路を切り替える構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る流体制御装置の縦断面概要図である。また、
図2は、この発明に係る流体制御装置における油圧回路図である。
【0017】
この流体制御装置は、作動液として作動油を使用し、フォークリフトの各機能への作動油の供給を制御するものである。この流体制御装置は、油圧源10から作動油が供給されるフロントカバー1と、リフトシリンダ20に作動油を供給するための流体制御弁(コントロールバルブ)2と、チルトシリンダ30に作動油を供給するための流体制御弁3と、回転アタッチメント用の回転駆動部40に作動油を供給するための流体制御弁4と、リアカバー5とを列設した構成を有する。
【0018】
フロントカバー1は、モータ11の回転で駆動するポンプ12と、タンク13とを備える油圧源10と接続されている。油圧源10から供給された高圧の作動油は、ポンプ通路103を介して各流体制御弁2、3、4に供給され、タンク通路104を介して回収される。このフロントカバー1には、フォークリフトの座面に運転者が着座したときに閉止されるアンロード弁9と、流体制御弁2、3、4のいずれの機能も使用されていないときに作動油をタンク13に案内するためのアンロードリリーフ弁8と、メインリリーフバルブ6とが配設されている。
【0019】
流体制御弁2は、フォークリフトにおけるフォークを昇降するためのリフトシリンダ20に作動油を供給するためのものであり、作動油の流れを制御するための流量調整部材としてのスプール22と、圧力補償弁21と、安全機構としてのリフトロックバルブ29とを備える。この流体制御弁2においては、スプール22が
図2における上方に移動したときには、リフトシリンダ20に対してリフトを上昇させるように作動油が供給され、スプール22が
図2における下方に移動したときには、リフトシリンダ20に対してリフトを下降させるように作動油が供給される。
【0020】
流体制御弁3は、フォークリフトにおけるフォークをチルトするためのチルトシリンダ30に作動油を供給するためのものであり、作動油の流れを制御するための流量調整部材としてのスプール32と、圧力補償弁31と、安全機構としてのチルトロックバルブ39とを備える。この流体制御弁3においては、スプール32が
図2における上方に移動したときには、チルトシリンダ30に対してリフトを左方向に移動させるように作動油が供給され、スプール32が
図2における下方に移動したときには、チルトシリンダ30に対してリフトを右方向に移動させるように作動油が供給される。
【0021】
流体制御弁4は、フォークリフトにおける回転アタッチメントを回転させるための回転アタッチメント用の回転駆動部40に作動油を供給するためのものであり、作動油の流れを制御するための流量調整部材としてのスプール42と、圧力補償弁41とを備える。この流体制御弁4においては、スプール42が
図2における上方に移動したときには、回転駆動部40に対して回転アタッチメントを一方向に回転させるように作動油が供給され、スプール42が
図2における下方に移動したときには、回転駆動部40に対して回転アタッチメントを他方向に回転させるように作動油が供給される。
【0022】
リアカバー5には、セカンダリーリリーフバルブ7が配設されている。
【0023】
なお、フォーク昇降の機能に使用されるリフトシリンダ20の負荷圧は、チルトシリンダ30の負荷圧や回転駆動部40の負荷圧より大きなものとなっている。フロントカバー1に配設されたメインリリーフバルブ6は、負荷圧が最大の流体制御弁2に供給される作動油の圧力に対応したリリーフ特性を有している。一方、フォークチルトの機能に使用されるチルトシリンダ30の負荷圧や回転アタッチメント回転の機能に使用される回転駆動部40の負荷圧は、リフトシリンダ20の負荷圧より小さなものとなっている。リアカバー5に配設されたセカンダリーリリーフバルブ7は、流体制御弁3、4に供給される作動油の圧力に対応したリリーフ特性を有している。
【0024】
流体制御弁2、3、4のうち負荷圧が最大の流体制御弁2の荷役ライン122と、メインリリーフバルブ6と、各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41とは、ロードセンシング通路およびメインリリーフ通路として機能する第1通路101により接続されている。また、流体制御弁2、3、4のうち負荷圧が最大の流体制御弁2以外の流体制御弁3、4の荷役ライン132、142と、セカンダリーリリーフバルブ7とは、ロードセンシング通路およびセカンダリーリリーフ通路として機能する第2通路102により接続されている。
【0025】
流体制御弁3の荷役ライン132と第2通路102との間には、チェックバルブ(逆止弁)92が配設されている。また、流体制御弁4の荷役ライン142と第2通路102との間には、チェックバルブ93が配設されている。さらに、第1通路101と第2通路102の間には、第2通路102における作動油と流体制御弁2の荷役ライン122における作動油のうちの圧力の高い方の作動油を、第1通路101を介して、メインリリーフバルブ6と、各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41とに送液する通路切替手段としてのシャトルバルブ91が配設されている。
【0026】
図3は、シャトルバルブ91により作動油の通路を切り替える構成を示す説明図である。
【0027】
シャトルバルブ91における一方の供給口は、流体制御弁2、3、4のうち負荷圧が最大の流体制御弁2の荷役ライン122に接続されている。また、シャトルバルブ91における他方の供給口は、セカンダリーリリーフバルブ7に接続されたロードセンシング通路およびセカンダリーリリーフ通路として機能する第2通路102に接続されている。そして、シャトルバルブ91における吐出口は、メインリリーフバルブ6に接続されたロードセンシング通路およびメインリリーフ通路として機能する第1通路101と接続されている。これにより、荷役ライン122と第2通路102とのうち、作動油の圧力が高い方の通路が、第1通路101と接続される。
【0028】
図4は、一対のチェックバルブ98、99により作動油の通路を切り替える構成を示す説明図である。
【0029】
図2および
図3に示す実施形態においては、通路切替手段としてのシャトルバルブ91により荷役ライン122と第2通路102とのうち作動油の圧力が高い方の通路を第1通路101と接続する構成を採用している。このシャトルバルブ91にかえて、
図4に示すように、流体制御弁2、3、4のうち負荷圧が最大の流体制御弁2の荷役ライン122とメインリリーフバルブ6に接続されたロードセンシング通路およびメインリリーフ通路として機能する第1通路101との間にチェックバルブ98を配設するとともに、セカンダリーリリーフバルブ7に接続されたロードセンシング通路およびセカンダリーリリーフ通路として機能する第2通路102と第1通路101との間にチェックバルブ99を配設することにより、
図3に示すシャトルバルブ91と同様の作用を得ることが可能となる。
【0030】
以上のような構成を有する流体制御装置において、フォークを昇降する機能のためにリフトシリンダ20を駆動するその負荷圧が最大の流体制御弁2を開閉操作した場合においては、流体制御弁2におけるポート圧は、第1通路101を介してメインリリーフバルブ6に導かれ、メインリリーフバルブ6によりその最大圧が制御される。また、同時に、流体制御弁2におけるポート圧は、各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41に導かれる。これにより、流体制御弁2、3、4において負荷圧が異なる機能を同時に操作した場合においても、負荷圧に依存せず、常に一定の操作性を担保することが可能となる。なお、第1通路101と第2通路102との間には、シャトルバルブ91が配設されていることから、流体制御弁2のポート圧がセカンダリーリリーフバルブ7に導かれることはない。
【0031】
また、フォークをチルトする機能のためにチルトシリンダ30を駆動する流体制御弁3を開閉操作した場合には、流体制御弁3のポート圧は、第2通路102を介してセカンダリーリリーフバルブ7に導かれるとともに、第1通路101を介してメインリリーフバルブ6および各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41に導かれる。このとき、セカンダリーリリーフバルブ7の設定圧はメインリリーフバルブ6の設定圧より小さくなっていることから、流体制御弁3の最大圧力はセカンダリーリリーフバルブ7により制御される。
【0032】
同様に、回転アタッチメントを回転させる機能のために回転駆動部40を駆動する流体制御弁4を開閉操作した場合には、流体制御弁4のポート圧は、第2通路102を介してセカンダリーリリーフバルブ7に導かれるとともに、第1通路101を介してメインリリーフバルブ6および各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41に導かれる。このとき、セカンダリーリリーフバルブ7の設定圧はメインリリーフバルブ6の設定圧より小さくなっていることから、流体制御弁4の最大圧力はセカンダリーリリーフバルブ7により制御される。
【0033】
なお、流体制御弁3と流体制御弁4とを同時に開閉操作した場合においては、チェックバルブ92とチェックバルブ93との作用により、流体制御弁3と流体制御弁4とのうち、圧力が高い方のポート圧が、第2通路102を介してセカンダリーリリーフバルブ7に導かれるとともに、第1通路101を介してメインリリーフバルブ6および各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41に導かれる。
【0034】
一方、負荷圧が最大の流体制御弁2と、流体制御弁3または流体制御弁4とを同時に開閉操作した場合には、上述した通路切替手段として機能するシャトルバルブ91の作用により、各流体制御弁2、3、4における各圧力補償弁21、31、41には、負荷圧が最大の流体制御弁2のポート圧が導かれる。これにより、流体制御弁3または流体制御弁4において負荷圧が低い機能を同時に操作した場合においても、負荷圧に依存せず、常に一定の操作性を担保することが可能となる。
【0035】
この時には、シャトルバルブ91の作用により、流体制御弁2の最大圧力はメインリリーフバルブ6により制御され、流体制御弁3または流体制御弁4の最大圧力はセカンダリーリリーフバルブ7により制御される。
【0036】
このような構成を有する流体制御装置においては、各流体制御弁2、3、4に対するロードセンシング通路と、セカンダリーリリーフバルブ7へのリリーフ通路またはメインリリーフバルブ6へのリリーフ通路とを共通化していることから、流体制御装置全体のサイズを小さなものとすることができるとともに、装置の加工工数の低減や部品点数の減少と、それに伴う組立工数の低減が可能となる。
【0037】
また、負荷圧が最大の流体制御弁2に供給される作動油の圧力に対応したリリーフ特性を有するメインリリーフバルブ6と、流体制御弁3、4に供給される作動油の圧力に対応したリリーフ特性を有するセカンダリーリリーフバルブ7とを使用することから、高圧が作用する機能と低圧が作用する機能を同時操作した場合においても、高圧または低圧どちらかが優先されることなく最適な圧力を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 フロントカバー
2 流体制御弁
3 流体制御弁
4 流体制御弁
5 リアカバー
6 メインリリーフバルブ
7 セカンダリーリリーフバルブ
8 アンロードリリーフ弁
10 油圧源
12 ポンプ
13 タンク
20 リフトシリンダ
21 圧力補償弁
22 スプール
30 チルトシリンダ
31 圧力補償弁
32 スプール
40 回転機構
41 圧力補償弁
42 スプール
101 第1通路
102 第2通路
103 ポンプ通路
104 タンク通路
122 荷役ライン
132 荷役ライン
142 荷役ライン