(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/55 20110101AFI20220419BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20220419BHJP
H01R 13/115 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H01R12/55
H01R12/91
H01R13/115 A
(21)【出願番号】P 2021145783
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2021-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-339906(JP,A)
【文献】特許第5849166(JP,B1)
【文献】実開昭62-165681(JP,U)
【文献】国際公開第2010/055752(WO,A1)
【文献】実開昭60-183374(JP,U)
【文献】実公昭51-052711(JP,Y1)
【文献】特開2006-237022(JP,A)
【文献】米国特許第06814598(US,B2)
【文献】特開2007-141570(JP,A)
【文献】米国特許第06193567(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/115
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装されて前記回路基板の表面の導電部と相手側接続導体とを接続する金属板によって一体に形成されるコネクタであって、
前記相手側接続導体を挿通可能な窓孔部を備える天面部と、
前記導電部に固定及び接続される一対の固定部と、
前記天面部と前記一対の固定部とを各々接続する一対のフローティング部と、
前記窓孔部を挿通する前記相手側接続導体と接続する接続部と、
を有し、
前記一対のフローティング部の各々は、
前記天面部の端部より二股に分かれて下方に延設される垂下部と、前記二股の前記垂下部の各々に対向する一対の対向部と、前記垂下部の下端と前記対向部の下端とを接続する折返部と、を備え、
前記一対の固定部は、
前記対向部の上端より外方に折り曲げられており、
前記接続部は、
前記垂下部の前記二股の間において前記天面部の前記端部より下方に延設され
、
前記接続部の下端は、
前記一対の固定部よりも下方に位置している、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
前記第1の接続部と前記第2の接続部とは、前記相手側接続導体と接続していない状態において正面視で互いに重なり合っている、
ことを特徴とする
請求項7記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装されて回路基板の表面の導電部と相手側接続導体とを接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装されるコネクタとしては、特許文献1において開示されている基板取付型コネクタが知られている。特許文献1の基板取付型コネクタは、略矩形の嵌合面の四隅から表面実装用の脚が垂下され、嵌合面には開口が形成される。また、特許文献1の基板取付型コネクタは、嵌合面の外側から接触片が内方且つ下方に向けて延びて対向する接触部を形成すると共に、開口の内縁には下向きに傾斜したガイド部が形成されている。そして、特許文献1の基板取付型コネクタは、挿入されるタブ端子が僅かに位置ずれしている場合はこのガイド部により案内され、タブ端子の位置ずれが大きい場合は嵌合面に当接することにより、接触片の変形を阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、タブ端子が接触部に接触している状態で接触片の弾性変形方向に大きく位置ずれした場合に、接触片を介して嵌合面の四隅から垂下されている脚に負荷が掛かるため、脚の先端の接続部と接続回路とを接続している半田の剥離を生じて接続部と接続回路とが電気的に接続できなくなるという課題を有する。
【0005】
本発明の目的は、相手側接続導体との接続時又は接続後において、相手側接続導体の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、回路基板に実装されて前記回路基板の表面の導電部と相手側接続導体とを接続する金属板によって一体に形成されるコネクタであって、前記相手側接続導体を挿通可能な窓孔部を備える天面部と、前記導電部に固定及び接続される一対の固定部と、前記天面部と前記一対の固定部とを各々接続する一対のフローティング部と、前記窓孔部を挿通する前記相手側接続導体と接続する接続部と、を有し、前記一対のフローティング部の各々は、前記天面部の端部より二股に分かれて下方に延設される垂下部と、前記垂下部に対向する対向部と、前記垂下部の下端と前記対向部の下端とを接続する折返部と、を備え、前記一対の固定部は、前記対向部の上端より外方に折り曲げられており、前記接続部は、前記垂下部の前記二股の間において前記天面部の前記端部より下方に延設される。
【0007】
窓孔部を挿通する相手側接続導体が接続部と接続すると共に、相手側接続導体と接続部とが接続する際又は接続した後に、コネクタに対して相手側接続導体が位置ずれした際に、相手側接続導体からの負荷をフローティング部によって吸収する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、相手側接続導体との接続時又は接続後において、相手側接続導体の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るコネクタの正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るコネクタの平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るコネクタの底面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るコネクタの側面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装した状態の斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装した状態の正面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装してプラグと接続した状態の斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装して位置ずれしていないプラグと接続した状態の
図3のA-A拡大断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装して位置ずれしていないプラグと接続した状態の
図3のB-B拡大断面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係るコネクタを回路基板に実装して位置ずれしたプラグと接続した状態の
図3のB-B拡大断面図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係るコネクタの正面図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態に係るコネクタの正面図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図18】本発明の第4の実施形態に係るコネクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係るコネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
<コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係るコネクタ1の構成につき、
図1から
図8を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0012】
コネクタ1は、金属板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工することによって一体に形成されていると共に表面がメッキ処理されており、天面部2と、固定部3と、フローティング部4と、接続部5と、接続部6と、呼込部7と、を有している。
【0013】
天面部2は、相手側接続導体としてのプラグ200(
図1から
図8において記載を省略)を上下方向において挿通可能な貫通孔である窓孔部21を備えている。
【0014】
固定部3は、一対設けられており、フローティング部4の後述の対向部42の上端より外方に折り曲げられて形成されている。固定部3は、回路基板100の図示しない回路パターンの導電部に半田付け等によって固定及び接続される。
【0015】
フローティング部4は、天面部2の左右に一対設けられており、天面部2と一対の固定部3とを各々接続していると共に弾性変形可能になっている。フローティング部4は、
図2に示す正面視においてV字形状に形成されている。具体的には、フローティング部4は、垂下部41と、対向部42と、折返部43と、を備えている。
【0016】
垂下部41は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設されている。垂下部41は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0017】
対向部42は、固定部3の内側の端部より二股に分かれて下方に延設されていると共に、二股の垂下部41に対向して一対設けられている。一対の対向部42は、固定部3によって連結されている。対向部42は、少なくとも一部が上方に向かって垂下部41より離れる方向に延設されている。対向部42は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0018】
折返部43は、垂下部41の下端と対向部42の下端とを接続している。
【0019】
接続部5は、垂下部41の二股の間において、天面部2の端部2aより下方に延設されている。接続部5は、
図5に示すように上方側が下方側よりも幅広となるように形成されていると共に、舌状に形成されている。接続部5は、
図6に示す断面形状がくの字状になっている。接続部5の下端5aは、固定部3よりも下方に位置していると共に、
図5に示すように接続部6の二股の間に位置している。
【0020】
接続部6は、垂下部41の二股の間において天面部2の端部2bより二股に分かれて下方に延設されていると共に下端6aにおいて連結されている。接続部6は、
図6に示す断面形状が逆くの字状になっている。接続部6の下端6aは、固定部3よりも下方に位置している。接続部6の下端6aは、
図5に示すように、プラグ200と接続していない状態において接続部5の下端5aよりも下方に位置している。
【0021】
接続部5と接続部6とは、隣り合っていると共に互いに当接しないように設けられており、プラグ200と接続していない状態において
図2に示す正面視で互いに重なり合っている。
【0022】
呼込部7は、一対設けられており、窓孔部21の対向する縁部21aより互いに離れる方向に延設されている。呼込部7の上端は、
図2に示すように、天面部2の上端と上下方向において同じ位置にある。
【0023】
<コネクタの回路基板への実装方法>
本発明の第1の実施形態に係るコネクタ1の回路基板100への実装方法につき、
図9から
図12をも参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0024】
回路基板100は、複数の挿通孔101を有していると共に、表面100aの挿通孔101の周囲に図示しない回路パターンの導電部を有している。
【0025】
コネクタ1は、回路基板100の挿通孔101に対して上方より挿入されて、固定部3が回路基板100の表面100aの図示しない回路パターンの導電部に当接するまで挿通孔101を挿通する。そして、コネクタ1は、固定部3が回路基板100の表面100aの回路パターンの導電部に半田付け等によって接続及び固定されることにより回路基板100に実装される。コネクタ1は、回路基板100に実装された
図7及び
図8に示す状態において、接続部5の下端5a及び接続部6の下端6aが回路基板100の裏面101bよりも下方に位置する。
【0026】
コネクタ1は、上記の方法によって各挿通孔101に挿通されて回路基板100に実装される。これにより、回路基板100には、複数のコネクタ1が実装される。
【0027】
回路基板100に実装されるコネクタ1の数は、ここでは6つを例示する。なお、回路基板には、6つに限らず、1つ又は6つ以外の複数のコネクタ1を実装することができる。
【0028】
<コネクタの動作>
本発明の第1の実施形態に係るコネクタ1の動作につき、
図9から
図12をも参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0029】
複数のプラグ200を実装した回路基板150と、プラグ200と同じ数の複数のコネクタ1を実装した回路基板100と、を予め用意しておく。
【0030】
まず、回路基板150に実装されているプラグ200の接続部201を、回路基板100に実装されているコネクタ1の窓孔部21に上方より挿入する。
【0031】
この際に、接続部201がコネクタ1に対して前後方向において大きく位置ずれしている場合には、接続部201が天面部2に当接して天面部2によって下方への移動が規制されることにより、コネクタ1の塑性変形を防ぐことができる。また、接続部201がコネクタ1に対して左右方向に位置ずれしている場合には、接続部201が呼込部7に当接して呼込部7によって窓孔部21への挿入を案内される。呼込部7を窓孔部21の縁部21aより互いに離れる方向に延設して設けることにより、左右方向において窓孔部21から外れるような接続部201の位置ずれが大きい場合であっても、接続部201を窓孔部21に案内することができる。
【0032】
接続部201は、窓孔部21を挿通して下方に移動することにより接続部5及び接続部6に当接する。
【0033】
そして、接続部5及び接続部6は、接続部201が更に下方に移動することにより、互いに離れる方向に弾性変形する。接続部201は、位置ずれしていない場合に、
図10及び
図11に示すように、窓孔部21の略中央において接続部5及び接続部6と接続する。
【0034】
この際に、接続部5の下端5a及び接続部6の下端6aを一対の固定部3よりも下方に位置させることにより、接続部5及び接続部6は回路基板100と干渉することなく弾性変形することができる。また、接続部5及び接続部6を接続部201と接続していない状態において正面視で互いに重なり合うようにすることにより、接続部201と接続部5及び接続部6との接触圧を高くすることができ、接続部201と接続部5及び接続部6とを確実に接続することができる。更に、垂下部41及び対向部42を二股にすると共に二股の間に接続部5及び接続部6を設けることにより、接続部5及び接続部6が弾性変形する際に垂下部41及び対向部42と干渉しないようにすることができると共に、接続部201が垂下部41及び対向部42と干渉しないようにすることができる。
【0035】
また、接続部201が振動等によって接続部5及び接続部6の弾性変形方向である左右方向において位置ずれした場合には、接続部201より接続部5又は接続部6を介してフローティング部4に負荷が加わる。
【0036】
例えば、
図12に示すように接続部201が接続部5側に偏った位置ずれを生じた場合には、接続部5を介して一対のフローティング部4のうちの
図12において右側のフローティング部4に大きな負荷が加わる。この際に、右側のフローティング部4は、垂下部41が
図12において右方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部42も折返部43を介して右方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。
【0037】
また、接続部201が接続部6側に偏った位置ずれを生じた場合にも、接続部5を介して一対のフローティング部4のうちの
図12において左側のフローティング部4に大きな負荷が加わる。この際に、左側のフローティング部4は、垂下部41が
図12において左方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部42も折返部43を介して左方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。
【0038】
この際に、垂下部41及び対向部42の幅方向の長さを固定部3の幅方向の長さよりも短くすることにより、接続部201より加わる負荷をフローティング部4に集中させて固定部3にできる限り加わらないようにすることができる。
【0039】
これにより、接続部201よりコネクタ1に加わる負荷が固定部3に直接加わることを大幅に低減することができるため、固定部3と回路基板100の導電部とを接続している半田の剥離等を防ぐことができ、接続部201と回路基板100の導電部との電気的に安定した接続を維持することができる。
【0040】
また、左右方向において窓孔部21から外れるような接続部201の位置ずれが大きい場合において、接続部201が呼込部7により案内されて窓孔部21を挿通する場合に、接続部201より接続部5又は接続部6に加わる比較的大きな負荷をフローティング部4によって吸収することができる。
【0041】
また、フローティング部4を設けることにより、呼込部7を窓孔部21の縁部21aより互いに離れる方向に延設して設けることができ、接続部201が左右方向において大きな位置ずれを生じている場合であっても、接続部201とコネクタ1とを接続することができる。
【0042】
また、フローティング部4を正面視でV字形状にすることにより、接続部201より接続部5又は接続部6に加わる負荷をフローティング4の全体で吸収することができる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、回路基板100の導電部に固定及び接続される一対の固定部3と、天面部2と一対の固定部3とを各々接続する一対のフローティング部4と、窓孔部21を挿通するプラグ200の接続部201と接続する接続部5及び接続部6と、を有し、一対のフローティング部4の各々は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設される垂下部41と、二股の垂下部41の各々に対向する一対の対向部42と、垂下部41の下端と対向部42の下端とを接続する折返部43と、を備え、一対の固定部3は、対向部42の上端より外方に折り曲げられており、接続部5及び接続部6は、垂下部41の二股の間において天面部2の端部2a及び端部2bより下方に延設されることにより、プラグ200の接続部201との接続時又は接続後において、接続部201の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、接続部5と接続部6とを互いに当接しないように設けることにより、コネクタ1をメッキ処理する際に接続部5及び接続部6の表面に確実にメッキ層を形成することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
<コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係るコネクタ80の構成につき、
図13及び
図14を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0046】
なお、
図13及び
図14において
図1から
図6と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
コネクタ80は、金属板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工することによって一体に形成されていると共に表面がメッキ処理されており、天面部2と、固定部3と、接続部5と、接続部6と、呼込部7と、フローティング部14と、を有している。
【0048】
固定部3は、一対設けられており、フローティング部14の後述の対向部142の上端より外方に折り曲げられて形成されている。
【0049】
フローティング部14は、天面部2の左右に一対設けられており、天面部2と一対の固定部3とを各々接続していると共に弾性変形可能になっている。フローティング部14は、
図14に示す正面視においてU字形状に形成されている。具体的には、フローティング部14は、垂下部141と、対向部142と、折返部143と、を備えている。
【0050】
垂下部141は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設されている。垂下部141は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0051】
対向部142は、固定部3の内側の端部より二股に分かれて下方に延設されていると共に、二股の垂下部141に対向して一対設けられている。一対の対向部142は、固定部3によって連結されている。対向部142は、垂下部141と平行になるように延設されている。対向部142は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0052】
折返部143は、垂下部141の下端と対向部142の下端とを接続している。
【0053】
接続部5は、垂下部141の二股の間において、天面部2の端部2aより下方に延設されている。
【0054】
接続部6は、垂下部141の二股の間において天面部2の端部2bより二股に分かれて下方に延設されていると共に下端6aにおいて連結されている。
【0055】
なお、本実施形態に係るコネクタ80の回路基板100への実装方法及び動作はコネクタ1の回路基板100への実装方法と同一方法及び同一動作であるので、その説明を省略する。
【0056】
このように、本実施形態によれば、回路基板100の導電部に固定及び接続される一対の固定部3と、天面部2と一対の固定部3とを各々接続する一対のフローティング部14と、窓孔部21を挿通するプラグ200の接続部201と接続する接続部5及び接続部6と、を有し、一対のフローティング部14の各々は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設される垂下部141と、二股の垂下部141の各々に対向する一対の対向部142と、垂下部141の下端と対向部142の下端とを接続する折返部143と、を備え、一対の固定部3は、対向部142の上端より外方に折り曲げられており、接続部5及び接続部6は、垂下部141の二股の間において天面部2の端部2a及び端部2bより下方に延設されることにより、プラグ200の接続部201との接続時又は接続後において、接続部201の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
<コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係るコネクタ90の構成につき、
図15及び
図16を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0058】
なお、
図15及び
図16において
図1から
図6と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
コネクタ90は、金属板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工することによって一体に形成されていると共に表面がメッキ処理されており、天面部2と、固定部3と、接続部5と、接続部6と、呼込部7と、フローティング部24と、を有している。
【0060】
固定部3は、一対設けられており、フローティング部24の後述の突出部244の外側の下端より外方に折り曲げられて形成されている。
【0061】
フローティング部24は、天面部2の左右に一対設けられており、天面部2と一対の固定部3とを各々接続していると共に弾性変形可能になっている。フローティング部24は、
図16に示す正面視においてU字形状に形成されている。具体的には、フローティング部24は、垂下部241と、対向部242と、折返部243と、を備えている。
【0062】
垂下部241は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設されている。垂下部241は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0063】
対向部242は、固定部3の内側の端部より二股に分かれて下方に延設されていると共に、二股の垂下部241に対向して一対設けられている。一対の対向部242は、固定部3によって連結されている。対向部242は、垂下部241と平行になるように延設されている。対向部242は、幅方向の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。対向部242は、固定部3よりも上方に突出する突出部244を備えている。突出部244は、正面視で逆U字形状に形成されている。
【0064】
折返部243は、垂下部241の下端と対向部242の下端とを接続している。
【0065】
接続部5は、垂下部241の二股の間において、天面部2の端部2aより下方に延設されている。
【0066】
接続部6は、垂下部241の二股の間において天面部2の端部2bより二股に分かれて下方に延設されていると共に下端6aにおいて連結されている。
【0067】
なお、本実施形態に係るコネクタ90の回路基板100への実装方法はコネクタ1の回路基板100への実装方法と同一方法であるので、その説明を省略する。
【0068】
<コネクタの動作>
本発明の第3の実施形態に係るコネクタ90の動作につき、以下に詳細に説明する。
【0069】
接続部201が振動等によって接続部5及び接続部6の弾性変形方向である左右方向において位置ずれした場合には、接続部201より接続部5又は接続部6を介してフローティング部24に負荷が加わる。
【0070】
例えば、接続部201が接続部5側に偏った位置ずれを生じた場合には、接続部5を介して一対のフローティング部24のうちの
図16において右側のフローティング部24に大きな負荷が加わる。この際に、右側のフローティング部24は、垂下部241が
図16において右方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部242も折返部243を介して右方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。また、対向部242に突出部244を設けることにより、フローティング部24において十分な長さのバネスパンを得ることができるため、フローティング部24によってより大きな負荷を吸収することができる。
【0071】
また、接続部201が接続部6側に偏った位置ずれを生じた場合にも、接続部5を介して一対のフローティング部24のうちの
図16において左側のフローティング部24に大きな負荷が加わる。この際に、左側のフローティング部24は、垂下部241が
図16において左方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部242も折返部243を介して左方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。また、対向部242に突出部244を設けることにより、フローティング部24において十分な長さのバネスパンを得ることができるため、フローティング部24によってより大きな負荷を吸収することができる。
【0072】
なお、コネクタ90の上記以外の動作はコネクタ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0073】
このように、本実施形態によれば、回路基板100の導電部に固定及び接続される一対の固定部3と、天面部2と一対の固定部3とを各々接続する一対のフローティング部24と、窓孔部21を挿通するプラグ200の接続部201と接続する接続部5及び接続部6と、を有し、一対のフローティング部24の各々は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設される垂下部241と、二股の垂下部241の各々に対向する一対の対向部242と、垂下部241の下端と対向部242の下端とを接続する折返部243と、を備え、一対の固定部3は、対向部242の上端より外方に折り曲げられており、接続部5及び接続部6は、垂下部241の二股の間において天面部2の端部2a及び端部2bより下方に延設されることにより、プラグ200の接続部201との接続時又は接続後において、接続部201の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができる。
【0074】
また、本実施形態において、フローティング部24を正面視でU字形状にしたが、これに限らず、フローティング部を正面視でV字形状にしてもよい。
【0075】
(第4の実施形態)
<コネクタの構成>
本発明の第4の実施形態に係るコネクタ95の構成につき、
図17及び
図18を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0076】
なお、
図17及び
図18において
図1から
図6と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
コネクタ95は、金属板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工することによって一体に形成されていると共に表面がメッキ処理されており、天面部2と、固定部3と、接続部5と、接続部6と、呼込部7と、フローティング部34と、を有している。
【0078】
固定部3は、一対設けられており、フローティング部34の後述の内側対向部346の上端より外方に折り曲げられて形成されている。
【0079】
フローティング部34は、天面部2の左右に一対設けられており、天面部2と一対の固定部3とを各々接続していると共に弾性変形可能になっている。フローティング部34は、正面視においてV字形状に形成されている。具体的には、フローティング部34は、垂下部341と、対向部342と、折返部343と、を備えている。
【0080】
垂下部341は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設されている。垂下部341は、幅方向(y軸方向)の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0081】
対向部342は、固定部3の内側の端部より二股に分かれて下方に延設されていると共に、二股の垂下部341に対向して一対設けられている。一対の対向部342は、固定部3によって連結されている。対向部342は、幅方向の長さが固定部3の幅方向の長さよりも短い。
【0082】
具体的には、対向部342は、外側対向部344と、中央対向部345と、内側対向部346と、上方折返部347と、下方折返部348と、を備えている。
【0083】
外側対向部344は、折返部343より上方に延設されている。
【0084】
中央対向部345は、外側対向部344と内側対向部346との間に配置されている。
【0085】
内側対向部346は、中央対向部345よりも内側に設けられており、上端が固定部3に接続されている。
【0086】
上方折返部347は、外側対向部344の上端と中央対向部345の上端とを接続している。
【0087】
下方折返部348は、中央対向部345の下端と内側対向部346の下端とを接続している。
【0088】
対向部342は、外側対向部344、中央対向部345及び上方折返部347によって前後方向に沿ってヘアピン状に折り曲げられた形状を有している。対向部342は、中央対向部345、内側対向部346及び下方折返部348によって前後方向に沿ってヘアピン状に折り曲げられた形状を有している。対向部342は、外側対向部344、中央対向部345、内側対向部346、上方折返部347及び下方折返部348によって前後方向に沿って蛇行した形状を有している。
【0089】
折返部343は、垂下部341の下端と外側対向部344の下端とを接続している。
【0090】
接続部5は、垂下部341の二股の間において、天面部2の端部2aより下方に延設されている。
【0091】
接続部6は、垂下部341の二股の間において天面部2の端部2bより二股に分かれて下方に延設されていると共に下端6aにおいて連結されている。
【0092】
なお、本実施形態に係るコネクタ95の回路基板100への実装方法はコネクタ1の回路基板100への実装方法と同一方法であるので、その説明を省略する。
【0093】
<コネクタの動作>
本発明の第4の実施形態に係るコネクタ95の動作につき、以下に詳細に説明する。
【0094】
接続部201が振動等によって接続部5及び接続部6の弾性変形方向である左右方向において位置ずれした場合には、接続部201より接続部5又は接続部6を介してフローティング部34に負荷が加わる。
【0095】
例えば、接続部201が接続部5側に偏った位置ずれを生じた場合には、接続部5を介して一対のフローティング部34のうちの
図18において手前側のフローティング部34に大きな負荷が加わる。この際に、手前側のフローティング部34は、垂下部341が
図18において手前方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部342も折返部343を介して
図18において手前方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。また、対向部342を、外側対向部344、中央対向部345、内側対向部346、上方折返部347及び下方折返部348によって前後方向に沿って蛇行した形状にすることにより、フローティング部34において十分な長さのバネスパンを得ることができるため、フローティング部34によってより大きな負荷を吸収することができる。
【0096】
また、接続部201が接続部6側に偏った位置ずれを生じた場合にも、接続部5を介して一対のフローティング部34のうちの
図18において奥行側のフローティング部34に大きな負荷が加わる。この際に、奥行側のフローティング部34は、垂下部341が
図18において奥行方向に弾性変形すると共に、これに伴って対向部342も折返部343を介して
図18において奥行方向に弾性変形して接続部201より加わる負荷を吸収する。また、対向部342を、外側対向部344、中央対向部345、内側対向部346、上方折返部347及び下方折返部348によって前後方向に沿って蛇行した形状にすることにより、フローティング部34において十分な長さのバネスパンを得ることができるため、フローティング部34によってより大きな負荷を吸収することができる。
【0097】
なお、コネクタ95の上記以外の動作はコネクタ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0098】
このように、本実施形態によれば、回路基板100の導電部に固定及び接続される一対の固定部3と、天面部2と一対の固定部3とを各々接続する一対のフローティング部34と、窓孔部21を挿通するプラグ200の接続部201と接続する接続部5及び接続部6と、を有し、一対のフローティング部34の各々は、天面部2の端部2a及び端部2bの各々より二股に分かれて下方に延設される垂下部341と、二股の垂下部341の各々に対向する一対の対向部342と、垂下部341の下端と対向部342の外側対向部344の下端とを接続する折返部243と、を備え、一対の固定部3は、対向部342の内側対向部346の上端より外方に折り曲げられており、接続部5及び接続部6は、垂下部341の二股の間において天面部2の端部2a及び端部2bより下方に延設されることにより、プラグ200の接続部201との接続時又は接続後において、接続部201の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持することができる。
【0099】
なお、本実施形態において、フローティング部34の対向部342を、前後方向に沿って蛇行した形状にしたが、これに限らず、左右方向に沿って蛇行した形状にしてもよい。
【0100】
また、本実施形態において、フローティング部34の対向部342を、ヘアピン状に折り曲げて蛇行した形状にしたが、これに限らず、M字状等の任意の形状に折り曲げて蛇行した形状にすることができる。
【0101】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係るコネクタは、回路基板に実装されて回路基板の表面の導電部と相手側接続導体とを接続するのに好適である。
【符号の説明】
【0103】
1 コネクタ
2 天面部
2a 端部
2b 端部
3 固定部
4 フローティング部
5 接続部
5a 下端
6 接続部
6a 下端
7 呼込部
14 フローティング部
24 フローティング部
34 フローティング部
21 窓孔部
21a 縁部
41 垂下部
42 対向部
43 折返部
80 コネクタ
90 コネクタ
100 回路基板
100a 表面
100b 裏面
101 挿通孔
141 垂下部
142 対向部
143 折返部
150 回路基板
200 プラグ
201 接続部
241 垂下部
242 対向部
243 折返部
244 突出部
341 垂下部
342 対向部
343 折返部
344 外側対向部
345 中央対向部
346 内側対向部
347 上方折返部
348 下方折返部
【要約】
【課題】相手側接続導体との接続時又は接続後において、相手側接続導体の位置ずれを生じた場合であっても、電気的に安定した接続を維持すること。
【解決手段】コネクタ1は、窓孔部21を備える天面部2と、一対の固定部3と、天面部2と一対の固定部3とを各々接続する一対のフローティング部4と、窓孔部21を挿通するプラグ200と接続する接続部5及び接続部6と、を有する。一対のフローティング部4の各々は、天面部2の端部2a及び端部2bより二股に分かれて下方に延設される垂下部41と、二股の垂下部41の各々に対向する一対の対向部42と、垂下部41の下端と対向部42の下端とを接続する折返部43と、を備える。一対の固定部3は、対向部42の上端より外方に折り曲げられている。接続部5及び接続部6は、垂下部41の二股の間において天面部2の端部2a及び端部2bより下方に延設される。
【選択図】
図1