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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電源装置、医用電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05G 1/08 20060101AFI20220419BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H05G1/08 Z
H02J1/00 308A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017251372
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019117739
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(73)【特許権者】
【識別番号】515242467
【氏名又は名称】株式会社ティーアンドエス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】坂部 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清美
(72)【発明者】
【氏名】横島 伸
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-305880(JP,A)
【文献】特開2001-154973(JP,A)
【文献】特表2013-529513(JP,A)
【文献】特開2001-045748(JP,A)
【文献】特開2000-339072(JP,A)
【文献】特開2000-331757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 1/00 - 1/70
G06F 1/26 - 1/3296
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源に接続され、被駆動機器の駆動に必要な電圧を生成する電力変換回路と、
制御器に接続され、前記制御器と前記被駆動機器との間での情報の送受信を行う通信端子と、
前記制御器に接続され、前記制御器から直流電圧が印加される電源制御端子と、
前記外部電源と前記電力変換回路の間に設けられて、前記電力変換回路への電力供給を制御するリレー素子と、
を備え、
前記制御器の電源投入時に前記電源制御端子から印加される直流電圧で前記リレー素子を駆動して、前記電力変換回路に電力を供給する、電源装置。
【請求項2】
前記電源制御端子および前記通信端子は1個の端子により構成されていて、前記制御器のポートに接続可能である、請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記リレー素子は発光素子を有する光絶縁リレーであり、前記発光素子は前記電源制御端子に接続されている、請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項4】
前記リレー素子は電磁開閉器であり、前記電磁開閉器の操作コイルは前記電源制御端子に接続されている、請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御器は機構的に動作する電源スイッチを有し、前記電源スイッチにより前記制御器の電源がオンになると、前記制御器から前記電源制御端子への直流電圧が供給され、前記電力変換回路への電力供給が開始される、請求項1乃至4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記リレー素子と前記制御器とを接続するケーブルをさらに備え、前記ケーブルは機構的に動作するスイッチを有し、前記スイッチは前記制御器からの前記直流電圧を前記リレー素子に伝達するか否かを切り替える、請求項1乃至5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
被駆動機器に高電圧を供給する電力変換回路と、
前記電力変換回路に接続され、前記被駆動機器の動作を制御する制御器と、
前記電力変換回路に接続され、前記電力変換回路に電力を供給する電源装置と、
を備え、
前記電源装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の電源装置である、医用電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、およびこの電源装置を有するレントゲン装置等の医用電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
レントゲン装置やX線画像生成システム等、種々の医用電気機器においては、その制御をコンピュータなどの制御器画面上で行うものが知られている。
【0003】
具体的には、医用電気機器は操作用の制御器を有し、制御器は医用電気機器本体内のCPU(中央演算装置、いわゆるマイクロコンピュータ)に通信ケーブルで接続されている。制御器は、通信ケーブルを介して設定信号を医用電気機器に送信して制御し、また医用電気機器本体の情報を、通信ケーブルを介して受信する。使用者は、制御器の表示部により医用電気機器を制御したり、医用電気機器の情報を得ることができる。X線照射装置においては、使用者は、制御器画面を通じてX線管に印加する電圧・電流・照射時間を設定したり照射結果をモニターしたりできる。
【0004】
医用電気機器、たとえばレントゲン装置は、X線管などの被駆動機器に直流高電圧とフィラメント電流などを供給する電力変換装置、すなわちX線高電圧発生装置とそれを制御する制御器で構成される。
【0005】
医用電気機器は、販売するための承認、認証などに際し、国際規格IEC60601-1(医用電気機器 第1部 基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項)に適合することが求められている。この規格に適合するために、医用電気機器の電源オンオフは、規格に定められた機構的なスイッチで行われる必要がある。
【0006】
しかし、レントゲン装置の電源は大型で、かつX線管に近い位置に配置されるため、使用者は通常は電源装置から離れた場所で制御器を介して操作を行っている。
【0007】
図4に示すように、従来の構成においては、医用電気機器本体101の中に、交流電源3からトランス45と整流器44などからなり24V程度の低い直流電圧を発生する起動用低電圧直流電源43が設けられていて、起動用低電圧直流電源43は、電磁開閉器6の操作コイル5の一極に接続されていた。操作コイル5の他極は、医用電気機器本体101の外に配置された機構的に動作する電源スイッチ46に、ケーブルを介して接続されていた。
【0008】
電源スイッチ46がオンになると、交流電源3から起動用低電圧直流電源43を介して電磁開閉器6の操作コイル5に直流電流が流れて電磁開閉器6がオンになり、X線高電圧発生装置7への交流電源3からの電力供給が開始される。この構成により、交流電源3からX線高電圧発生装置7への電流供給路を最短に保ったまま、電源スイッチ46を離れた位置に設置できる構成になっているが、起動用直流電源43は常時通電状態であるため待機電力が大きくなっていた。
【0009】
なお、起動用直流電源43を使わずに、交流電源をそのまま利用して電磁開閉器を動作させることは可能であるが、使用者が操作する電源スイッチ46まで高い交流電源電圧を引き回すことは安全上問題があるので行われない。
【0010】
また、医用電気機器本体1を起動する場合には、医用電気機器の機構的な電源スイッチ46および制御器2の機構的な電源スイッチ27を別個にオンにする必要があり、操作が煩雑であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】国際規格IEC60601-1(医用電気機器 第1部 基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、少ない操作で医用電気機器に電力を供給することを目的の1つとする。また、本発明は、機能を保ちつつ電源スイッチ専用の電源ボックスを省略し部品点数を削減することを目的の1つとする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明はほとんどの制御器、例えばパーソナルコンピュータにおいて、パーソナルコンピュータの電源オンスイッチは必ず機構的なスイッチが用いられること、特に、パーソナルコンピュータのUSB端子にはパーソナルコンピュータの電源オンと同期して信号系とは別に外部供給用の直流5V、500mA程度の直流電圧を出力することが規格化されていることに着目した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る電源装置は、外部電源に接続され、被駆動機器の駆動に必要な電圧を生成する電力変換回路と、制御器に接続され、制御器と被駆動機器との間での情報の送受信を行う通信端子と、制御器に接続され、制御器から直流電圧が印加される電源制御端子と、外部電源と電力変換回路の間に設けられて、電力変換回路への電力供給を制御するリレー素子と、を備え、制御器の電源投入時に電源制御端子から印加される直流電圧でリレー素子を駆動して、電力変換回路に電力を供給する。
【0015】
前記電源制御端子および前記通信端子は1個の端子により構成されていて、前記制御器の端子に接続可能であるものとしてもよい。
【0016】
前記リレー素子は発光素子を有する光絶縁リレーであり、前記発光素子は前記電源制御端子に接続されているものとしてもよい。
【0017】
前記リレー素子は電磁開閉器であり、前記電磁開閉器の操作コイルは前記電源制御端子に接続されているものとしてもよい。
【0018】
前記制御器は機構的に動作する電源スイッチを有し、前記電源スイッチにより前記制御器の電源がオンになると、前記制御器から前記電源制御端子への直流電圧が供給され、前記電力変換回路への電力供給が開始されるものとしてもよい。
【0019】
前記リレー素子と前記制御器とを接続するケーブルをさらに備え、前記ケーブルは機構的に動作するスイッチを有し、前記スイッチは前記制御器からの前記直流電圧を前記リレー素子に伝達するか否かを切り替えるものとしてもよい。
【0020】
また、本発明の別の観点に係る医用電気機器は、被駆動機器に高電圧を供給する電力変換回路と、前記電力変換回路に接続され、前記被駆動機器の動作を制御する制御器と、前記電力変換回路に接続され、前記電力変換回路に電力を供給する電源装置と、を備え、前記電源装置は、上述のいずれかに記載の電源装置である、医用電気機器である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電源スイッチ専用の有線コントローラが不要になり、部品点数を削減することができる。また、起動用直流電源がなく待機電力を抑えることができる。また、少ない操作で医用電気機器本体に電力を供給することができる。
さらに、従来は、医用電気機器本体と制御器のどちらが先に起動するかは使用者により不定なので、医用電気機器の起動シーケンスは、どちらが先に起動しても対応できるようにするため、複雑となっていた。本発明では、医用電気機器本体よりも制御器が必ず先行してオンすることが保証されるので、医用電気機器の起動シーケンスの設計がシンプルになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明にかかる医用電気機器の実施の形態を示す回路構成図である。
図2】本発明にかかる医用電気機器の別の実施の形態を示す回路構成図である。
図3】本発明にかかる医用電気機器のさらに別の実施の形態を示す回路構成図である。
図4】従来の医用電気機器を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
●医用電気機器(1)●
以下、本発明にかかる医用電気機器の例として、X線照射装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明にかかる第1実施形態を図1に示す。医用電気機器111は例えばレントゲン装置であり、主に医用電気機器本体1および医用電気機器本体1を操作するための制御器2からなる。
【0025】
医用電気機器本体1は、受電端子4と、X線高電圧発生装置7と、X線管8と、リレー素子15と、通信・電源制御コネクタ11を有する。受電端子4は、外部の交流電源3に接続される端子である。本体1は、受電端子4から外部の交流電源3を受電して、リレー素子15が有する電磁開閉器6に通電する。交流電源3は、電磁開閉器6を通してX線高電圧発生装置7に接続されている。X線高電圧発生装置7の出力端17は、X線管8に接続されている。X線高電圧発生装置7は、電力変換回路の例である。X線管8は、被駆動機器の例である。
【0026】
X線高電圧発生装置7は内部の情報処理部9で制御される。情報処理部9は、CPU、RAM、通信処理回路により構成されている。情報処理部9は通信端子10を有する。通信端子10は、医用電気機器本体1の外部に配置される制御器2に接続可能に構成されている。
【0027】
通信・電源制御コネクタ11は、通信端子10および電源制御端子12、13を一体にして構成されたコネクタである。電磁開閉器6の操作コイル5の両端は、電源制御端子12、13にそれぞれ接続される。
【0028】
電力変換回路7、通信端子10、電源制御端子12乃至13、およびリレー素子15は、電源装置を構成する。本実施の形態においては、電源装置は、医用電気機器111の構成の1つである医用電気機器本体1の中に組み込まれており、制御器2の電源投入に基づいて所定の電圧を生成して、被駆動機器8を駆動する。なお、電源装置は、電力変換回路7の外部に配置され、適宜の構成により電力変換回路7に接続されるように構成されてもよい。
【0029】
X線高電圧発生装置7は、X線管8を駆動するのに必要な電力を発生させる。X線高電圧発生装置7は、例えばスイッチングレギュレータ、フルブリッジまたはハーフブリッジ回路を構成する複数の半導体スイッチ素子、変圧器、整流器、電圧の制御や外部との入出力のための情報処理部9等を備える。X線高電圧発生装置7は、交流電源3から供給される交流電流を、整流器により直流化し、IGBTブリッジ回路によるインバータで交流電圧を発生させる。変圧器はこの交流電圧を昇圧し、整流器が変圧器により昇圧される電圧を整流することで、X線高電圧発生装置7は所定の直流高電圧を発生させる。交流電源3は、例えば200Vの商用電源である。変圧器の2次巻線側の電圧は、例えば40kV乃至150kV程度である。ただし、変圧器の電圧はこれに限られず、200kV乃至400kV程度や、さらに高い出力の変圧器であってもよい。上記高電圧は、X線管8に必要なタイミングで供給される。
【0030】
通信端子10は、制御器2と医用電気機器本体1との間で互いに信号を送受信する端子である。制御器2の制御器コネクタ21を通じて入出力される信号は、情報処理部9等によって処理され、制御器2からの医用電気機器本体1の操作および測定データ取得を可能にする。
【0031】
通信・電源制御コネクタ11は、ケーブルを介して制御器2の制御器コネクタ21に接続され、制御器コネクタ21から直流電圧が印加され得る端子である。
【0032】
通信・電源制御コネクタ11は2個の電源制御端子12、13を有する。電源制御端子12と13間の電圧は例えば5Vである。2個の電源制御端子12、13のそれぞれは、医用電気機器本体1の内部で操作コイル5に接続されている。
【0033】
通信・電源制御コネクタ11は、制御器2が有する、例えば1個のUSB(Universal Serial Bus)端子で構成される制御器コネクタ21に接続されている。すなわち、電源制御端子12、13は、制御器2からの直流電圧がUSB給電により印加される。通信・電源制御コネクタ11も1個のUSB端子に含む構成によれば、部品点数およびケーブル本数を少なくすることができる。
【0034】
なお、通信・電源制御コネクタ11は、電源端子を有するコネクタであればよく、例えばIEEE1394コネクタであってもよい。この場合のケーブルは、IEEE1394ケーブルである。
【0035】
なお、情報処理部9の通信端子10は、物理的な接続端子に代えてBluetooth(登録商標)の送受信機であってもよい。この場合、制御器2も通信端子10と無線で通信可能な送受信機を有し、これらの送信機および受信機により情報を送受信することができる。
【0036】
リレー素子15は、例えばソリッドステートリレーやフォトリレーを用いた光絶縁リレーである。光絶縁リレーとは、入力側にLEDを用いて、出力側のデバイスとしてフォトトライアック/フォトトランジスタ/フォトサイリスタ等の半導体デバイスを用いたリレーで、フォトトライアック/フォトサイリスタは交流負荷に限定される。
【0037】
フォトリレーは入力側の発光ダイオードと出力側MOSFETで構成されたフォトカプラで、メカニカルリレーと比べて長寿命・低電流駆動・高速応答といった点で優れている。
【0038】
リレー素子15は、発光素子としての発光ダイオードおよび受光素子としてのフォトトランジスタにより構成されていてもよい。リレー素子15の入力端は、電源制御端子12に接続されている。リレー素子15の出力端は、X線高電圧発生装置7と交流電源3との接続を制御している。
【0039】
リレー素子15は、これに代る電磁開閉器であってもよい。電磁開閉器の場合も配線は同様となる。USBの電源供給端子が、電磁開閉器6を直接駆動できる電力を供給できる場合、制御器2からのUSB給電により電磁開閉器6をオンオフし、電力変換回路7と交流電源3との接続を制御することができる。
【0040】
給電端子26は、ケーブル等を介して医用電気機器本体1に接続される端子である。給電端子26は、制御器コネクタ21からリレー素子15に給電する。また、通信ケーブル28は、X線高電圧発生装置およびその周辺機器、例えばX線管、コリメータ等からの情報を制御器2に伝達する。さらに、医用電気機器本体1は、制御器2からの命令を通信・電源制御コネクタ11から受信して、各種制御を行う。
【0041】
制御器2は、例えばコンピュータである。制御器2は、具体的には汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。また、制御器2は、医用電気機器用に構成された特別なコンピュータであってもよい。
【0042】
制御器2は、図示を省略された伝達部および操作部、ならびに制御器コネクタ21、電源スイッチ27を備える。
【0043】
伝達部は、制御器コネクタ21を介して受信されるX線高電圧発生装置7からの情報を使用者に伝達する種々の構成であり、具体的には画面などの表示部や、スピーカー等である。
【0044】
制御器2の画面には、X線管電圧(kV)、X線管電流(mA)の設定値をアップダウンするアップダウンボタン201と、その設定値を表示する表示器222、その他アナトミカル プログラミング撮影(APR)用の部位ボタン223などが表示される。
【0045】
操作部は、使用者が操作することでX線高電圧発生装置7への命令を生成する種々の構成であり、具体的には、キーボードやマウス等である。コンピュータがタブレット型の場合は、キーボードやマウスの無いタッチパネルでもよい。
【0046】
制御器コネクタ21は、通信・電源制御コネクタ11と接続される端子である。制御器コネクタ21は、例えばUSB端子であり、制御器2からその外部へ電流を供給することに用いられる。
【0047】
制御器コネクタ21はX線照射装置の通信端子10に対し操作情報や測定情報を送受信するための制御器通信端子25を有する。制御器通信端子25からの通信信号はシリアル変換されて、通信・電源制御コネクタ11を通して情報処理部9の通信端子10に接続される。
【0048】
また、制御器コネクタ21には、外部供給用の給電端子26がある。給電端子26は、通信・電源制御コネクタ11が有する電源制御端子12、13を通して操作コイル5に接続される。給電端子26から供給される電源は、例えば5Vの直流電圧である。
【0049】
電源スイッチ27は機構的なスイッチであり、例えば押しボタンスイッチや、切替スイッチである。使用者は、電源スイッチ27を操作することにより、制御器2の電源のオンおよびオフを切り替えることができる。
【0050】
またX線高電圧発生装置7は、ハンドスイッチ40に接続されている。ハンドスイッチ40は、X線高電圧発生装置7に交流電源3からの電力供給が行われているときに、X線高電圧発生装置7からX線管8への通電状態を制御するためのスイッチである。ハンドスイッチ40は、X線高電圧発生装置7内において互いに異なる箇所に接続される第1スイッチ41および第2スイッチ42を有する。第1スイッチ41および第2スイッチ42は、使用者が物理的に操作可能なスイッチであり、例えば押しボタンスイッチや、切替スイッチである。
【0051】
制御器2は、電源スイッチ27がオンになると、制御器2の電源がオンになると共に、給電端子26に直流電圧が印加されるように構成されている。給電端子26に印加される電圧は、給電端子26に接続されるケーブルを介して医用電気機器本体1の電源制御端子12、13に供給される。電源制御端子12、13に電圧が印加されると、リレー素子15がオンになるのに十分な電流が流れる。リレー素子15がオンになると、交流電源3からX線高電圧発生装置7への電力供給が開始されて、制御用のマイコンの起動や電源コンデンサへの充電が行われて、X線照射装置がいつでもX線管8からX線の照射を開始できる運転準備状態へと遷移する。運転準備状態でハンドスイッチ40による操作が行われると、第1スイッチ41の操作でX線管8のフィラメント通電が行われ、第2スイッチ42の操作でX線照射が行われる。
【0052】
制御器2の電源スイッチ27がオフにされて制御器2が電源オフの状態になると、給電端子26に電圧が印加されなくなるため、リレー素子15に流れる電流がオフになる。したがって、リレー素子15がオフになり、交流電源3はX線高電圧発生装置7への電力供給を停止する。また、電源制御端子12、13と給電端子26とを接続するケーブルが抜かれた場合も同様に、自動でリレー素子15がオフになりX線高電圧発生装置7への電力供給が停止する。
【0053】
このように、本発明にかかる医用電気機器の実施形態によれば、制御器2の電源スイッチ27をオンにすることで、交流電源3からX線高電圧発生装置7への電力供給を開始することができる。したがって、本体1および制御器2の電源を別個の操作で起動させていた従来の構成と比較して、少ない操作で医用電気機器に電源を印加することができる。また、本構成によれば本体1および制御器2が電源スイッチを共用するため、本体1に機構的に動作する電源スイッチを配置する必要がない。したがって、従来の構成と比較して少ない部品点数で医用電気機器を構成することができる。
【0054】
また、本発明にかかる医用電気機器の実施形態によれば、通信・電源制御コネクタ11と制御器2の制御器コネクタ21とを接続するケーブルが抜かれた場合、医用電気機器への電力供給が停止する。したがって、不測の事態でケーブルによる接続が外れた場合にも、直ちに医用電気機器を緊急停止させることができる。従来は、医用電気機の電源スイッチと制御器2の電源スイッチが別個に設けられており、使用者は通常制御器2の傍にいるため、緊急停止の場合には電源スイッチまで急いで移動する必要があった。これに対し本発明にかかる医用電気機器によれば、制御器2の傍にいながら医用電気機器をオフにすることができる。
【0055】
さらに、本発明にかかる医用電気機器の実施形態によれば、医用電気機器本体1に機構的なスイッチを設ける必要がないため、医用電気機器本体1を小型にすることができる。したがって、本発明にかかる電源装置は、ポータブルなX線照射装置に適用する場合にも有用である。
【0056】
さらに、本発明にかかる医用電気機器の実施形態によれば、X線照射装置が電源オフの時はリレー素子15により交流電源3とX線高電圧発生装置7が電気的に遮断されており、待機電力をほぼゼロにすることができる。
【0057】
●医用電気機器(2)●
本発明にかかる医用電気機器の別の実施形態について、先に説明した実施の形態と異なる部分を中心に説明する。本実施の形態は、制御器2のUSB供給電流では電磁開閉器の操作コイルを直接駆動するには不十分な場合で、第2リレー素子が交流電源および起動用補助電源間の導通を制御する点において、先に説明した実施の形態と異なる。なお、以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付した。
【0058】
図2に示すように、医用電気機器本体211は、操作コイル5を有する主回路の電磁開閉器6と、起動用補助電源の入力に挿入された第2リレー素子としてのフォトトライアック51を有する。
【0059】
フォトトライアック51は、発光ダイオード52、およびフォトトライアック53により構成されている。なお、第2リレー素子51は、第1リレー素子と同様電磁開閉器であってもよいが、操作コイルの駆動電流が、USBの供給可能電流より小さくなければならない。
【0060】
発光ダイオード52は、電源制御端子12、13に接続されている。尚、発光ダイオード52には、直列に電流制限抵抗54を接続することが望ましい。
【0061】
フォトトライアック51は、交流電源3と起動用直流電源43の入力間の導通を制御している。電源スイッチ27が押されて制御器2が起動し、電源制御端子12、13に直流電圧が印加されると、発光ダイオード52がオンになり、フォトトライアック51がオンして、起動用直流電源トランス45と整流器44を介して操作コイル5がオンになるのに十分な直流電流が流れる。電磁開閉器6がオンになると、交流電源3からX線高電圧発生装置7への電力供給が開始されて、運転準備状態へ遷移する。
【0062】
図2の医用電気機器211によれば、制御器2から電源制御端子12に供給される電力が不足して、コイル電圧やコイル電流が大きな電磁開閉器6の操作コイル5を直接駆動できない場合にあっても、より小さなリレー素子51を介して電磁開閉器6を駆動することができる。
【0063】
●医用電気機器(3)●
本発明にかかる医用電気機器の別の実施形態について、先に説明した実施の形態と異なる部分を中心に説明する。本実施の形態は、医用電気機器本体の電源制御端子と制御器を接続するケーブルが直列にスイッチが設けられている点において、先に説明した実施の形態と異なる。なお、以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付した。
【0064】
図3に示すように、医用電気機器311においては、制御器2と医用電気機器本体1を接続するケーブルにスイッチ35が直列に設けられている。スイッチ35は例えば押しボタンスイッチや、切替スイッチ等の機構的なスイッチである。スイッチ35は、例えば制御器2との接続部の付近、制御器2の操作者がすぐに操作できる位置に設けられている。電源スイッチ27の場合と同様に、スイッチ35のオンオフによって給電端子26への給電状態が切り替わり、医用電気機器本体1の電源オンオフを操作することができる。
【0065】
第3実施形態に係る医用電気機器によれば、例えばケーブルとしてUSBケーブルまたはIEEE1394ケーブルを用いた場合、新たにケーブルやコントローラを追加することなく、従来の電源スイッチ専用の有線コントローラと同等の機能を実現することができる。また、普段はスイッチ35をオンにしたまま使用する場合、第1実施形態の場合と同様に、普段のスイッチ操作の負担を減らしつつ、スイッチ35を緊急停止時の遮断スイッチとして使うことができる。
【0066】
また、第3の実施形態においては、制御器2はその起動状態に関わらず、常に給電端子26に直流電圧を供給するようにしても良い。その場合、スイッチ35が医用電気機器の電源をオンオフする物理的なスイッチとして機能する。
【0067】
上記した実施形態では、医用電気機器としてX線照射装置を例示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、他の医用電気機器や、同様の課題を持つ医用以外の電気機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 医用電気機器本体
2 制御器
7 電力変換回路
11 通信端子
12 電源制御端子
13 電源制御端子
15 リレー素子
111 医用電気機器
図1
図2
図3
図4