(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61H7/00 323D
A61H7/00 322F
A61H7/00 323G
(21)【出願番号】P 2017189168
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
(72)【発明者】
【氏名】濱田 美幸
(72)【発明者】
【氏名】辻井 厚希
(72)【発明者】
【氏名】仲埜 光裕
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-295888(JP,A)
【文献】特開2003-153971(JP,A)
【文献】特開2002-052057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一施療子と、
空気の給排により膨脹・収縮するエアセルである第二施療子と、
前記第一施療子と前記第二施療子が取り付けられたアームと、
前記アームを駆動させるための駆動部と、を有し、
前記駆動部は、
前記アームを左右方向に接近離反させる揉み動作を伝達するための揉み軸と、
前記アームを前後方向に進退させる叩き動作を伝達するための叩き軸と、
前記揉み軸と前記叩き軸とを回転駆動させるための駆動モータと、で構成され、
前記揉み軸と前記叩き軸には、前記アームの一方が連結されており、
前記第二施療子は、前記第一施療子の左右幅方向内側に位置するとともに少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴とするマッサージユニット。
【請求項2】
前記第一施療子と前記第二施療子は、前記アームの上部と下部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
上部に設けられた前記第二施療子と下部に設けられた前記第二施療子は、それぞれ独立して駆動することを特徴とする請求項2に記載のマッサージユニット。
【請求項4】
前記アームは、
前記第一施療子が取り付けられた第一アームと、
前記第一アームの駆動に伴って移動し、かつ、前記第二施療子が取り付けられた第二アームと、で構成されており、
前記第一アームが、前記揉み軸と前記叩き軸とに連結されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージユニット。
【請求項5】
前記第二アームは、前記第一アームに対して揺動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のマッサージユニット。
【請求項6】
前記第二アームは、前記第二アームを前記第一アームの方向へ付勢するための付勢手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載のマッサージユニット。
【請求項7】
前記第二施療子へ空気を給排するための配管を有し、前記配管は前記アーム又は前記第二アームの左右方向外側に沿って設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマッサージユニット。
【請求項8】
前記第二施療子へ空気を給排するための給排気部を有していることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のマッサージユニット。
【請求項9】
前記第一施療子は、前記第二施療子よりも左右幅方向外側に位置することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のマッサージユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のマッサージユニットを備えるマッサージ機であって、
前記マッサージ機は、前記駆動部の駆動と第二施療子の膨脹・収縮を制御する制御部を更に有し、
前記制御部は、前記第一施療子によるマッサージ動作と前記第二施療子によるマッサージ動作とを連動させることを特徴
とするマッサージ機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のマッサージユニットを備えるマッサージ機であって、
前記マッサージ機は、前記駆動部の駆動と第二施療子の膨脹・収縮を制御する制御部を更に有し、
前記制御部は、前記アーム又は第一アームの駆動と、前記第二施療子の膨脹・収縮とを、それぞれ別個独立して制御することを特徴
とするマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、膨張および収縮可能な密閉袋と密閉袋よりも硬質の材料で形成されているとともに少なくとも外周部分が前記密閉袋で覆われた施療子本体とからなる施療子と、を具備するマッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のマッサージ機にあっては、施療子本体の外周部分が密閉袋で覆われているため、使用者がマッサージを受ける際には、施療子によるマッサージ又は密閉袋によるマッサージのどちらか一方でのマッサージしかすることができないため、使用者の好みの体感となるよう密閉袋への空気の流量を調節する必要があるため手間がかかり、使用者に煩わしさを与えているという問題がある。また、施療子によるマッサージと密閉袋によるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができないという問題がある。
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者に煩わしさを与えることなく、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第一施療子と、空気の給排により膨脹・収縮するエアセルで構成された第二施療子と、前記第一施療子と前記第二施療子が取り付けられたアームと、前記アームを駆動させるための駆動部と、を有し、前記駆動部は、前記アームを左右方向に接近離反させる揉み動作を伝達するための揉み軸と、前記アームを前後方向に進退させる叩き動作を伝達するための叩き軸と、前記揉み軸と前記叩き軸とを回転駆動させるための駆動モータと、で構成され、前記揉み軸と前記叩き軸には、前記アームの一方が連結されており、前記第一施療子と前記第二施療子は、幅方向に少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者に煩わしさを与えることなく、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができる。
【0006】
また、前記第一施療子と前記第二施療子は、前記アームの上部と下部にそれぞれ設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、複数の施療箇所に対してマッサージを行うことができる。
【0007】
また、上部に設けられた前記第二施療子と下部に設けられた前記第二施療子は、それぞれ独立して駆動することが好ましい。
このような構成とすることにより、バリエーションに富んだマッサージをすることができる。
【0008】
また、本発明は、第一施療子と、空気の給排により膨脹・収縮するエアセルで構成された第二施療子と、前記第一施療子が取り付けられた第一アームと、前記第一アームの駆動に伴って移動し、かつ、前記第二施療子が取り付けられた第二アームと、前記第一アームを駆動させるための駆動部と、を有し、前記駆動部は、前記第一アームを左右方向に接近離反させる揉み動作を伝達するための揉み軸と、前記第一アームを前後方向に進退させる叩き動作を伝達するための叩き軸と、前記揉み軸と前記叩き軸とを回転駆動させるための駆動モータと、で構成され、前記第一アームは、前記揉み軸と前記叩き軸とに連結されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者に煩わしさを与えることなく、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができる。
【0009】
また、前記第二アームは、前記第一アームに対して揺動可能に取り付けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療範囲を拡大することができる。
【0010】
また、前記第二アームは、前記第二アームを前記第一アームの方向へ付勢するための付勢手段を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、第一アームの動作に第二アームを追従させて移動させることができる。
【0011】
また、前記第二施療子へ空気を給排するための配管を有し、前記配管は前記アーム又は前記第二アームの左右方向外側に沿って設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、挟み込みによる配管の破損を防ぐことができる。
【0012】
また、前記第二施療子へ空気を給排するための給排気部を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、配管を椅子本体に設ける必要がなくなり、配管の長さを短くすることができる。また、挟み込みによる配管の破損を防ぐことができる。
【0013】
また、前記第一施療子は、前記第二施療子よりも左右幅方向外側に位置することが好ましい。
このような構成とすることにより、施療範囲を左右幅方向に広くすることができる。
【0014】
また、前記マッサージユニットを備えるマッサージ機であって、前記マッサージ機は、前記駆動部の駆動と第二施療子の膨脹・収縮を制御する制御部を更に有し、前記制御部は、前記第一施療子によるマッサージ動作と前記第二施療子によるマッサージ動作とを連動させることが好ましい。
このような構成とすることにより、バリエーションに富んだマッサージをすることができる。
【0015】
また、前記マッサージユニットを備えるマッサージ機であって、前記マッサージ機は、前記駆動部の駆動と第二施療子の膨脹・収縮を制御する制御部を更に有し、前記制御部は、前記アーム又は第一アームの駆動と、前記第二施療子の膨脹・収縮とを、それぞれ別個独立して制御するが好ましい。
このような構成とすることにより、バリエーションに富んだマッサージをすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者に煩わしさを与えることなく、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の側面図である。
【
図4】マッサージユニットのA-A左断面図であり、右側の施療子とアームを左から見た図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマッサージユニットを構成する右側の施療子とアームの正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマッサージユニットの平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るマッサージユニットの平面図であり、(a)は左右幅を狭くし、左側の第二施療子を膨脹させた状態を示す図であり、(b)は左右幅を広くし、右側の第二施療子を膨脹させた状態を示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るマッサージユニットを構成する施療子とアームの正面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係るマッサージユニットの平面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係るマッサージユニットの平面図であり、(a)は左右幅を狭くし、右側の第二施療子を膨脹させた状態を示す図であり、(b)は左右幅を広くし、左側の第二施療子を膨脹させた状態を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るマッサージユニットの平面図である。
【
図12】第一施療子と第二施療子とによるマッサージ動作を説明するフロー図である。
【
図13】第一施療子と第二施療子とによるマッサージ動作を説明するフロー図である。
【
図14】第一施療子と第二施療子とによるマッサージ動作を説明するフロー図である。
【0018】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の側面図である。
図2はマッサージユニット13の正面図である。
図3はマッサージ機1のブロック図である。
図4はマッサージユニット13のA-A左断面図であり、右側の施療子62とアーム61を左から見た図である。
図5は本発明の一実施形態に係るマッサージユニットを構成する右側の施療子62とアーム61の正面図である。
図6は本発明の一実施形態に係るマッサージユニット13の平面図である。
図7は本発明の一実施形態に係るマッサージユニット13の平面図であり、(a)は左右幅を狭くし、左側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図であり、(b)は左右幅を広くし、右側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図である。
【0019】
図1~
図3に示すとおり、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1は、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に設けられたフットレスト5と、により構成される本体部2を有している。また、マッサージ機1は、使用者に対してマッサージを行なうマッサージ部6と、マッサージ機1が有する機能を制御する制御部7と、マッサージ機1の各種操作を行うためのコントローラ8と、を有している。本体部2は、座部3の両側に設けられた肘掛け部を有していてもよく、肘掛け部にマッサージ部6が設けられていてもよい。
【0020】
背凭れ部4は、アクチュエータ等を有するリクライニング機構10の作動により、座部3の後部に設けられた左右方向を軸方向とする回動軸C1を中心として、前後方向に移動(リクライニング)可能であることが好ましい。フットレスト5は、アクチュエータ等を有する回動機構11の作動により、座部3の前部に設けられた左右方向を軸方向とする回動軸C2を中心として、上下方向に移動(回動)可能であることが好ましい。フットレスト5は、アクチュエータ等を有する伸縮機構(図示せず)の作動により、下腿の長手方向に沿って移動(伸縮)可能であってもよい。
【0021】
マッサージ部6として、駆動モータとしてのマッサージモータM1、M2により駆動される左右で対をなす施療子62(第一施療子62a、第二施療子62b)を有するマッサージユニット13、空気の給排気により膨張収縮するエアセル14、及びモータにより駆動されるバイブレータ15のうち、少なくとも1つを有している。本実施形態では、背凭れ部4にマッサージユニット13及びバイブレータ15が設けられ、座部3及びフットレスト5にエアセル14及びバイブレータ15が設けられている。なお、各マッサージ部6の配置はこれに限定されない。エアセル14は、空気を給排気することで使用者を押圧することができる。バイブレータ15は、偏心分銅が回転することで使用者に振動を与えることができる。
【0022】
図1、2に示すとおり、背凭れ部4には、使用者の上半身を後方(背面)からマッサージするマッサージユニット13が設けられている。このマッサージユニット13は、左右で対をなす後述するアーム61と、アーム61の上下両端部に設けられた後述する施療子62(第一施療子62a、第二施療子62b)と、を主として構成されており、マッサージモータM1の駆動により左右のアーム61が接近離反する揉み動作、及びマッサージモータM2の駆動により左右のアーム61が交互に使用者側へ進退(前後)する叩き動作を行わせることができる。
【0023】
また、マッサージユニット13は、駆動モータとしての昇降モータM3の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。背凭れ部4には、身長方向に延設された左右で対をなすガイドレール16が設けられており、マッサージユニット13はガイドレール16に沿って移動する。マッサージユニット13が身長方向に移動可能であるため、使用者の首から腰の間を後述する施療子62(第一施療子62a、第二施療子62a)でマッサージすることができる。
【0024】
[マッサージユニットの構成]
図2に示すとおり、マッサージユニット13は、ベースフレーム60aと、ベースフレーム60aに支持された可動フレーム60bと、を有している。ベースフレーム60aは、その左右両側においてガイドレール16に嵌合するガイドローラ63を有している。そして、ラックピニオン等よりなる昇降機構(図示せず)によって、身長方向に沿って移動することができる。可動フレーム60bは、左右方向の揺動軸64を介してベースフレーム60aに支持されている。ベースフレーム60aと可動フレーム60bの間には、エアセル等よりなる進退駆動部65が設けられており、進退駆動部65の駆動により、可動フレーム60bは揺動軸64を中心として使用者に対して進退することができる。なお、可動フレーム60bを進退させる構造でなくてもよく、アーム61に進退駆動部を設けてアーム61のみを進退させる構造であってもよい。なお、マッサージモータM1、M2、昇降モータM3、揉み軸66、叩き軸67など、マッサージユニット13を駆動させるために必要な構成を総称して駆動部17としている。また、マッサージユニット13の内部には、後述する第二施療子62bであるエアセルへ空気の給排気を行うための給排気部53が設けられている。
【0025】
[一実施形態に係るアームの構成]
図2、
図4~
図6に示すとおり、アーム61は、硬質の部材で構成された第一施療子62aと、エアセルで構成された第二施療子62bと、第一施療子62aと第二施療子62bが取り付けられた支持アーム61aと、支持アーム61aを揺動可能に支持する駆動アーム61bとからなる。支持アーム61aは、駆動アーム61bを介して、左右方向に延設された揉み軸66及び叩き軸67に連結されている。揉み軸66の左右両側には、傾斜軸部66bを有する傾斜カム66aが設けられており、この傾斜カム66aに駆動アーム61bが取り付けられている。左右の傾斜軸部66bは、正面視で略ハの字型となるように揉み軸66の軸心に対して傾斜している。叩き軸67の左右両側には、叩き軸67の軸心に対して偏心した偏心軸部67bを有する偏心カム67aが設けられており、この偏心カム67aに駆動アーム61bがコンロッド68を介して取り付けられている。左右の偏心軸部67bは、叩き軸67の軸心に対する位相が互いに異なっており、具体的には180度だけ異なっている。揉み軸66及び叩き軸67は、それぞれマッサージモータM1,M2の駆動により回転する。第一施療子62aは、揉み軸66の回転により揉み動作を行い、叩き軸67の回転により叩き動作を行う。なお、第一施療子62aが設けられた支持アーム61a、揉み軸66、及び叩き軸67は、可動フレーム60bに支持されている。従って、第一施療子62aは、可動フレーム60bの移動を介して使用者に対して進退可能である。
【0026】
支持アーム61aは、前後方向に揺動自在であり、上側の第一施療子62aと第二施療子62bが前方へ突出するようにバネ等よりなる付勢手段(図示せず)により付勢されている。また、マッサージユニット13は、使用者の身体情報を検出するセンサを有していてもよい。センサを設けることにより、支持アーム61aが所定の揺動位置となったことを検出することができ、身体情報を得ることができる。具体的に説明すると、マッサージユニット13を身長方向に沿って上昇させる過程で、上側の第一施療子62aと第二施療子62bが肩の上方に到達すると、上側の第一施療子62aと第二施療子62bに作用する負荷が解除されて、付勢手段(図示せず)の作用により支持アーム61aが前方へ揺動して所定の揺動位置となる。支持アーム61aが所定の揺動位置となったことをセンサが検出し、その際のマッサージユニット13の上下位置に基づいて肩の位置を検出する。肩の位置を基準として、その他の部位(首、背中、腰等)の位置を計算により求める。検出された身体情報は制御部7の記憶部に記憶される。なお、身体情報は使用者自身が入力してもよい。この場合、例えば、コントローラ8を操作して身体情報を入力し、制御部7の記憶部に記憶させることができる。
【0027】
[一実施形態に係る第一施療子の構成]
図4はマッサージユニット13のA-A左断面図であり、右側の施療子62とアーム61を左から見た図である。
図5は本発明の一実施形態に係るマッサージユニット13を構成する右側の施療子62とアーム61の正面図である。
図6は本発明の一実施形態に係るマッサージユニット13の平面図である。
図7は本発明の一実施形態に係るマッサージユニット13の平面図であり、(a)は左右幅を狭くし、左側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図であり、(b)は左右幅を広くし、右側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図である。
【0028】
図4~7に示すとおり、第一施療子62aは、硬質の部材で構成されており、支持アーム61aに設けられた支持軸52に回転可能に取り付けられている。また、支持軸52の内部には、後述する空気の給排気により膨脹・収縮可能なエアセルよりなる第二施療子62bへ空気を給排気するための配管が挿通されている。
【0029】
[一実施形態に係る第二施療子の構成]
図4~
図7に示すとおり、第二施療子62bは、空気の給排気により膨脹・収縮可能なエアセルで構成されている。第二施療子62bは固定部材54を介して支持軸52に固定されている。第二施療子62bは、略長方形をなしている。第一配管55は、支持軸52の内部を通って、後述する給排気部53と接続されている。第二施療子62bは、3連のエアセルより構成されている。なお、本実施形態においては、エアセルを3連のエアセルで構成したが、それぞれ別々のエアセルで構成してもよく、各エアセルどうしの固定箇所を変えることにより、膨脹方向を変更することができる。例えば、
図5のような構成の場合、上側の第二施療子62bを構成する3連のエアセルの各エアセルの下端どうしを取り付けることにより、下端を基点とした扇状に膨脹させることができる。また、下側の第二施療子62bを構成する3連のエアセルの各エアセルの上端どうしを取り付けることにより、上端を基点とした扇状に膨脹させることができる。
また、第一施療子62aと第二施療子62bは、幅方向に一部が重なるように配置されている。そうすることで、第一施療子62aによるマッサージと第二施療子62bによるマッサージと、体感の異なるマッサージをすることができる。また、第一施療子62aと第二施療子62bとを組み合わせたマッサージを行うことができる。
【0030】
[制御系の構成]
図3に示すとおり、マッサージ機1には、マッサージユニット13、エアセル14、バイブレータ15、リクライニング機構10、回動機構11を動作せるためのマイクロコンピュータ等からなる制御部7が設けられている。この制御部7は、座部3の下方に設けられている。また、使用者が操作するコントローラ8と接続されており、使用者がコントローラ8を操作することで各種マッサージ動作が行われる。
【0031】
[給排気部の構成]
図2に示すとおり、マッサージユニット13の内部には、第二施療子62bへ空気を給排するための給排気部53が設けられている。給排気部53は、空気の給排を行うためのポンプ(図示せず)と、ポンプから送出される空気を第二施療子62bへ供給するための配管(第一配管55、第二配管56)と、第二施療子62bへの空気の給排気量を調整するための電磁弁(図示せず)とからなる。配管(第一配管55、第二配管56)は、右側の第二施療子62bへ空気を給排させるための第一配管55と左側の第二施療子62bへ空気を給排させるための第二配管56とで構成されている。マッサージユニット13の内部に給排気部53を設けることにより、配管(第一配管55、第二配管56)の長さを短くすることができ、破損を防止することができる。
【0032】
[第一配管と第二配管の構成]
第一配管55は、右側の第二施療子62bへ空気を給排させるための配管であり、第二配管56は、左側の第二施療子62bへ空気を給排させるための配管である。第一配管55と第二配管56の構成は同じであるため、第一配管55に基づいて説明し、第二配管56の説明は省略する。
第一配管55は、2本の配管からなる。1本は、右上側の第二施療子62bへ空気を給排させるための配管であり、もう1本は、右下側の第二施療子62bへ空気を給排させるための配管である。第一配管55を構成する2本の配管の一方はポンプ53aと連結されており、他方は第二施療子62bと連結されている。第一配管55を構成する2本の配管には、それぞれ電磁弁が設けられており、各電磁弁を開閉することにより、右側の上下の第二施療子62bへそれぞれ空気を給排させることができる。このようにすることで、右側の上下の第二施療子62bはそれぞれ独立して駆動することができる。
【0033】
また、
図4~
図7に示すとおり、第一配管55は、駆動アーム61bと支持アーム61aの左右方向外側に沿うように設けられている。左右方向外側に沿うように設けることで、第一施療子62aと第二施療子62bによるマッサージ動作によって第一配管55の挟み込みによる破損を防止することができる。また、支持アーム61aに設けられた支持軸52は中空構造をなしており、第一配管55は、支持軸52の内部を通って、第二施療子62bと給排気部53と接続されている。
【0034】
図7(a)に示すとおり、左右のアーム61を駆動させ、左右幅を狭くした状態で左側の第二施療子62bを膨脹させることにより、施療部位を第一施療子62aで挟んだ状態で施療部位の左側を更に押圧することができるため、施療部位の左側を重点的にマッサージすることができる。また、
図7(b)に示すとおり、左右のアーム61を駆動させ、左右幅広くした状態で右側の第二施療子62bを膨脹させることにより、施療部位を第一施療子62aで伸ばした状態で施療部位の右側を更に押圧することができるため、施療部位の右側を重点的にマッサージすることができる。施療部位の左右のコリ度合いに応じて第一施療子62aによるマッサージと第二施療子62bの膨脹・収縮とを組み合わせることにより、コリの強い箇所を重点的にマッサージすることができる。
【0035】
図8は、本発明の他の実施形態に係る施療子62とアーム41、42の正面図である。
図9は本発明の他の実施形態に係るマッサージユニット13の平面図である。
図10は本発明の他の実施形態に係るマッサージユニット13の平面図であり、(a)は左右幅を狭くし、右側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図であり、(b)は左右幅を広くし、左側の第二施療子62bを膨脹させた状態を示す図である。
図11は本発明の他の実施形態に係るマッサージユニット13の平面図である。
【0036】
[他の実施形態に係る第一施療子の構成]
図8~
図10に示すとおり、第一施療子62aと第二施療子62bは、それぞれ異なるアーム61に対して取り付けられている。第一施療子62aは、硬質の部材で構成されており、支持アーム61aと駆動アーム61bからなる第一アーム41に設けられた支持軸52に回転可能に取り付けられている。支持アーム61aには、後述する付勢手段としてのバネ41aが設けられている。
【0037】
[他の実施形態に係る第二施療子の構成]
図8~
図10に示すとおり、第二施療子62bは、空気の給排気により膨脹・収縮可能なエアセルで構成されている。第二施療子62bは固定部材54を介して第二アーム42に固定されている。第二施療子62bは、略長方形をなしている。そして、第二施療子62bの一方は空気の給排気を行うための第一配管55が設けられており、第一配管55の他方は給排気部53と接続されている。第二施療子62bに設けられた第一配管55は、第二アーム42に設けられた孔51を通って、第二アーム42の左右方向外側に沿うように設けられている。第二施療子62bは、3連のエアセルより構成されている。なお、本実施形態において、エアセルを3連のエアセルで構成したが、それぞれ別々のエアセルで構成してもよく、各エアセルどうしの固定箇所を変えることにより、膨脹方向を変更することができる。例えば、
図8のような構成の場合、上側の第二施療子62bを構成する3連のエアセルの各エアセルの下端どうしを取り付けることにより、下端を基点とした扇状に膨脹させることができる。また、下側の第二施療子62bを構成する3連のエアセルの各エアセルの上端どうしを取り付けることにより、上端を基点とした扇状に膨脹させることができる。また、第一施療子62aと第二施療子62bは、幅方向に一部が重なるように配置されている。そうすることで、第一施療子62aによるマッサージと第二施療子62bによるマッサージと、体感の異なるマッサージをすることができる。また、第一施療子62aと第二施療子62bとを組み合わせたマッサージを行うことができる。
【0038】
第一アーム41を構成する支持アーム61aと第二アーム42を構成する支持アーム61aには、付勢手段としてのバネ41aが設けられており、第二アーム42を第一アーム41の方向へ付勢し、第一アーム41の動作に第二アーム42の動作を追従させて移動させることができるようになっている。
【0039】
図9に示すとおり、第二施療子62bを支持する支持アーム61aは揺動可能に取り付けられている。支持アーム61aには、付勢手段としてのバネ41aが取り付けられている。第一施療子62aを支持する支持アーム61aには、付勢手段としてのバネ41aが取り付けられている。つまり、バネ41aは、一方が第二施療子62bを支持する支持アーム61aに、他方が第一施療子62aを支持する支持アーム61aに取り付けられている。第二施療子62bは、バネ41aによって第一施療子62aの方向へ付勢されている。
図10(a)に示すとおり、第一アーム41の駆動に伴って第二アーム42も移動し左右幅を狭くする。そして、左右幅を狭くした状態で右側の第二施療子62bを膨脹させることにより、施療部位を第一施療子62aで挟んだ状態で更に左方向へ身体を押圧することができるため、施療部位の左側を重点的にマッサージすることができる。また、
図10(b)に示すとおり、第一アーム41を駆動させると、付勢手段としてのバネ41aによって第二アーム42も追従して移動する。そうすることにより、左右幅広くした状態で左側の第二施療子62bを膨脹させることにより、施療部位を第一施療子62aで伸ばした状態で更に右方向へ身体を押圧することができるため、施療部位の右側を重点的にマッサージすることができる。施療部位の左右のコリ度合いに応じて第一施療子62aによるマッサージと第二施療子62bの膨脹・収縮とを組み合わせることにより、コリの強い箇所を重点的にマッサージすることができる。
【0040】
また、第二アーム42を第一アーム41に対して取り付けられるように構成してもよい。
図11は本発明の他の実施形態に係るマッサージユニット13の平面図である。
図11に示すとおり、第二アーム42は、揺動軸42aを介して第一アーム41に取り付けられている。第二アーム42には、第二アーム42を第一アーム41から離れる方向に移動させるための移動手段としてのエアセル62cが設けられている。エアセル62cを膨脹させることで、第二アーム42を第一アーム41から離れる方向に移動させることができる。第二アーム42と第一アーム41の施療子側には、付勢手段としてのバネ41aが取り付けられている。エアセル62cを収縮させると付勢手段としてのバネ41aにより、第二アーム42は第一アーム41に近づく方向に移動する。
このような構成とすることにより、簡単な構成で、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができる。また、より細かなマッサージ動作を行うことができる。
【0041】
[動作パターン1]
図12は第一施療子62aと第二施療子62bとによるマッサージ動作を説明するフロー図である。なお、本動作パターンにおいては、本実施形態に係るマッサージユニット13の構成に基づいて説明する。
動作パターン1は、第一施療子62aが取り付けられたアーム61の駆動と第二施療子62bの膨脹・収縮とを連動させる動作である。
図12に示すとおり、まずは、左右の第一施療子62aが取り付けられたアーム61を駆動し、揉み動作を開始する。揉み動作は、第一施療子62aが取り付けられた左右のアーム61間の距離が広くなったり狭くなったりするような楕円状の軌跡を描いている。揉み動作の実行中に第一施療子62aが取り付けられた左右のアーム61の距離が幅広い状態になった時に左右の第二施療子62bを膨脹させる。そして、第一施療子62aが取り付けられた左右のアーム61の距離が幅狭い状態になった時に左右の第二施療子62bを収縮させる。これらの動作を所定時間繰り返し、揉み動作を終了する。
このように第一施療子62aが取り付けられたアーム61と第二施療子62bを連動させることにより、施療範囲を拡大することができるため、より効果的なマッサージをすることができる。
【0042】
[動作パターン2]
図13は第一施療子62aと第二施療子62bとによるマッサージ動作を説明するフロー図である。なお、本動作パターンにおいては、本実施形態に係るマッサージユニット13の構成に基づいて説明する。
動作パターン2は、第一施療子62aが取り付けられたアーム61の駆動と第二施療子62bの膨脹・収縮とマッサージユニット13の昇降動作とを連動させて駆動させる動作である。
図13に示すとおり、まずは、左右の第一施療子62aが取り付けられたアーム61を駆動し、揉み動作を開始する。揉み動作を行いながらマッサージユニット13を肩位置から腰位置へ移動させる。マッサージユニット13が腰位置に移動した後、下側の第二施療子62bを膨脹させる。その後、マッサージユニット13を腰位置から肩位置へ移動させながら下側の第二施療子62bを収縮させる。マッサージユニット13が肩位置に移動した後、上側の第二施療子62bを膨脹させる。その後、上側の第二施療子62bを収縮させる。これらの動作を所定時間繰り返し、揉み動作を終了する。
このように第一施療子と第二施療子が連動した動作と、マッサージユニットの昇降動作の連動を繰り返すことで、施療部位に応じた(肩位置に施療子62が位置した時には肩をしっかりとマッサージすることができるよう上側の施療子62を押出すことができ、腰位置に施療子62が位置した時には腰をしっかりとマッサージすることができるよう下側の施療子62を押出すことができる)バリエーションに富んだマッサージ動作をすることができる。
【0043】
[動作パターン3]
図14は第一施療子62aと第二施療子62bとによるマッサージ動作を説明するフロー図である。なお、本動作パターンにおいては、本実施形態に係るマッサージユニット13の構成に基づいて説明する。
動作パターン3は、第一施療子62aの駆動と左右の第二施療子62bの膨脹・収縮とをそれぞれ独立して駆動させる動作である。
図14に示すとおり、まずは、第一施療子62aを幅狭な状態となるように駆動した後、右側の第二施療子62bを膨脹させる。このようにすることで、施療部位を左右方向から挟み込んだ状態で、右側を更に押圧することができる。また、第一施療子62aを幅狭な状態となるように駆動しながら右側の第二施療子62bを膨脹させるようにしてよい。
その後、右側の第二施療子62bを収縮させるとともに左側の第二施療子62bを膨脹させる。そして、右側の第二施療子62bを膨脹させる。最後に、第一施療子62aを幅広な状態となるように駆動する。
このように第一施療子62aの駆動と第二施療子62bの膨脹・収縮とをそれぞれ独立して駆動することで、左右両方の施療部位を第一施療子62aで抑えた状態で左右どちらか一方の施療部位を第二施療子62bでマッサージすることができるため、まるでマッサージ師にマッサージを受けているかのような体感を得ることができる。また、バリエーションに富んだマッサージ動作をすることができる。
【0044】
また、動作パターンは、上述の動作パターンには限定されない。左右それぞれの施療子62の駆動とマッサージユニット13の昇降動作とを組み合わせることにより、バリエーションに富んだマッサージをすることができる。
【0045】
また、本発明のマッサージ機1は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。本実施例においては、マッサージ機1の背凭れ部4内部に設けられたマッサージユニット13の一構成として説明したが、例えば、フットレスト5内部に本実施例のような構造を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、使用者に煩わしさを与えることなく、施療子によるマッサージとエアセルによるマッサージと、の異なる施療子を組み合わせたマッサージを行うことができるマッサージ機に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
第一施療子 62a
第二施療子 62b
アーム 61
駆動部 17
揉み軸 66
叩き軸 67
駆動モータ M1~M3