(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、通信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/06 20090101AFI20220419BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220419BHJP
【FI】
H04W4/06 170
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2019068017
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-09-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西原 友美
(72)【発明者】
【氏名】八木 敬太
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529849(JP,A)
【文献】特表2016-508325(JP,A)
【文献】特開2008-099086(JP,A)
【文献】特開2017-028552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の子機と無線通信する親機である通信装置であって、
有線通信をする第一インタフェースと、
前記1以上の子機それぞれと無線通信をする第二インタフェースと、
前記第一インタフェースにより受信したブロードキャストフレームを、4アドレス形式のユニキャストフレームに変換して前記第二インタフェースにより前記1以上の子機それぞれに送信する変換部とを備え
、
前記変換部は、
前記第一インタフェースにより受信した前記ブロードキャストフレームのうち、所定条件を満たす前記ブロードキャストフレームのみを、前記ユニキャストフレームに変換して送信し、
前記所定条件は、前記ユニキャストフレームに変換する対象であるブロードキャストフレームのUDPポート番号を示す条件を含む
通信装置。
【請求項2】
前記1以上の子機それぞれに送信される前記ユニキャストフレームは、
当該ユニキャストフレームに含まれるRA(Receiver Address)フィールドに当該子機のMAC(Media Access Contol)アドレスを有し、
前記ユニキャストフレームに含まれるDA(Destination Address)フィールドにブロードキャストアドレスを有する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第二インタフェースは、前記1以上の子機それぞれとの通信リンクを確立したときに、前記1以上の子機それぞれのMACアドレスのリストを生成し、
前記変換部は、
前記変換によって、前記1以上の子機それぞれについて、順次に、当該子機のMACアドレスをRAフィールドに設定した前記ユニキャストフレームを生成して送信する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、
1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、
前記親機と無線通信をする第二インタフェースと、
前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して
前記第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換部とを備える
通信装置。
【請求項5】
親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、
1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、
前記親機と無線通信をする第二インタフェースと、
前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して、又は、ブロードキャストフレームに変換せずに、第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換部とを備え、
前記変換部は、
受信した前記ユニキャストフレームを、前記1以上の端末のうちの予め定められた端末に前記第一インタフェースにより送信する
通信装置。
【請求項6】
親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、
1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、
前記親機と無線通信をする第二インタフェースと、
前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して、又は、ブロードキャストフレームに変換せずに、第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換部とを備え、
前記変換部は、
前記第二インタフェースにより受信した前記ユニキャストフレームのUDP(User
Datagram Protocol)ポート番号が所定条件を満たす場合のみ、前記第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する
通信装置。
【請求項7】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の通信装置を前記親機として備え、
請求項
4~
6のいずれか1項に記載の通信装置を前記子機として備える
通信システム。
【請求項8】
1以上の子機と無線通信する親機である通信装置であって、有線通信をする第一インタフェースと、前記1以上の子機それぞれと無線通信をする第二インタフェースとを備える通信装置による通信方法であって、
前記第一インタフェースにより受信したブロードキャストフレームを、4アドレス形式のユニキャストフレームに変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換した前記ユニキャストフレームを前記第二インタフェースにより前記1以上の子機それぞれに送信する送信ステップとを含
み、
前記変換ステップでは、
前記第一インタフェースにより受信した前記ブロードキャストフレームのうち、所定条件を満たす前記ブロードキャストフレームのみを、前記ユニキャストフレームに変換し、
前記所定条件は、前記ユニキャストフレームに変換する対象であるブロードキャストフレームのUDPポート番号を示す条件を含む
通信方法。
【請求項9】
親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、前記親機と無線通信をする第二インタフェースとを備える通信装置による通信方法であって、
前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記ユニキャストフレームを受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して
前記第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換ステップとを含む
通信方法。
【請求項10】
請求項
8に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項
9に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有線の通信インタフェースだけを有する通信装置を無線ネットワークに接続させるための無線ブリッジ装置が利用されている。基地局(親機ともいう)から無線ブリッジ装置(子機ともいう)に、無線通信によって通信フレーム(単にフレームともいう)が送信されるとき、電波のノイズ又は電波伝搬の不安定さなどによりフレームが失われる、つまりロスすることがある。
【0003】
IEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)でのユニキャスト通信では、ACKによる到達確認および再送制御により、フレームのロスがある程度回復され得る。
【0004】
一方、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信がなされている。このようなコンテンツ配信では、送信元であるサーバから1以上の端末に対してネットワークを介してコンテンツデータがブロードキャスト又はマルチキャストで送信される。
【0005】
特許文献1は、ユニキャストの通信パケットをマルチキャストに変換し、また、マルチキャストの通信パケットをユニキャストに変換する変換装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したブロードキャスト又はマルチキャストでのコンテンツ配信において、無線ネットワークの部分でのフレームのロスが生じ得るという問題がある。フレームのロスが生じると、コンテンツを受信する受信端末にまでコンテンツのデータが到達せず、受信端末におけるコンテンツの再生が適切になされないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制する通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、1以上の子機と無線通信する親機である通信装置であって、有線通信をする第一インタフェースと、前記1以上の子機それぞれと無線通信をする第二インタフェースと、前記第一インタフェースにより受信したブロードキャストフレームを、4アドレス形式のユニキャストフレームに変換して前記第二インタフェースにより前記1以上の子機それぞれに送信する変換部とを備える。
【0010】
これによれば、通信装置である親機は、無線通信の4アドレス形式のユニキャストフレームを用いてデータを子機に対して送信することで、その子機の先に位置する端末にデータを配信する。無線ネットワークの部分でユニキャストフレームを用いるのでフレームロスを抑制することができ、また、4アドレス形式のユニキャストフレームを用いるので子機の先に位置する端末への配信を実現できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0011】
また、前記1以上の子機それぞれに送信される前記ユニキャストフレームは、当該ユニキャストフレームに含まれるRA(Receiver Address)フィールドに当該子機のMAC(Media Access Contol)アドレスを有し、前記ユニキャストフレームに含まれるDA(Destination Address)フィールドにブロードキャストアドレスを有してもよい。
【0012】
これによれば、通信装置である親機は、4アドレス形式のユニキャストフレームにおけるRAフィールド及びDAフィールドを適切に利用して、より容易に、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0013】
また、前記第二インタフェースは、前記1以上の子機それぞれとの通信リンクを確立したときに、前記1以上の子機それぞれのMACアドレスのリストを生成し、前記変換部は、前記変換によって、前記1以上の子機それぞれについて、順次に、当該子機のMACアドレスをRAフィールドに設定した前記ユニキャストフレームを生成して送信してもよい。
【0014】
これによれば、通信装置である親機は、子機それぞれとの無線通信の通信リンクの確立時に生成したリストを用いて、そのリストに含まれている子機のMACアドレスを順次に、RAフィールドに設定して4アドレス形式のユニキャストフレームを生成する。そのため、子機の識別子を取得するために他の処理を必要としない。よって、通信装置は、通信リンクの確立時に生成し得るデータを利用して、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0015】
また、前記変換部は、前記第一インタフェースにより受信した前記ブロードキャストフレームのうち、所定条件を満たす前記ブロードキャストフレームのみを、前記ユニキャストフレームに変換して送信してもよい。
【0016】
これによれば、通信装置である親機は、受信するブロードキャストフレームの全てではなく、特定の一部のブロードキャストフレームのみを子機を介して端末に配信できる。よって、子機に不要なフレームを当該子機に受信させないようにするなどして、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制できる。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、前記親機と無線通信をする第二インタフェースと、前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して、又は、ブロードキャストフレームに変換せずに、第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換部とを備えてもよい。
【0018】
これによれば、通信装置である子機は、親機から送信された4アドレス形式のユニキャストフレームをブロードキャストに変換して端末に送信する。無線ネットワークの部分でユニキャストフレームを用いるのでフレームロスを抑制することができ、また、4アドレス形式のユニキャストフレームを用いるので子機の先に位置する端末への配信を実現できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0019】
また、前記変換部は、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信してもよい。
【0020】
これによれば、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームを、そのユニキャストフレームに変換される前のブロードキャストに戻して端末に送信できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0021】
また、前記変換部は、受信した前記ユニキャストフレームを、前記1以上の端末のうちの予め定められた端末に前記第一インタフェースにより送信してもよい。
【0022】
これによれば、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームを、特定の端末だけに送信できるので、このデータの受信を必要としない端末に送信することが回避される。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0023】
また、前記変換部は、前記第二インタフェースにより受信した前記ユニキャストフレームのUDP(User Datagram Protocol)ポート番号が所定条件を満たす場合のみ、前記第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信してもよい。
【0024】
これによれば、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームのうち、特定のUDPポートのデータだけを端末に送信できるので、このUDPポートのデータの受信を必要としない端末に送信することが回避される。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る通信システムは、上記の通信装置を前記親機として備え、上記の通信装置を前記子機として備える。
【0026】
これによれば、通信システムは、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0027】
また、本発明の一態様に係る通信方法は、1以上の子機と無線通信する親機である通信装置であって、有線通信をする第一インタフェースと、前記1以上の子機それぞれと無線通信をする第二インタフェースとを備える通信装置による通信方法であって、前記第一インタフェースにより受信したブロードキャストフレームを、4アドレス形式のユニキャストフレームに変換する変換ステップと、前記変換ステップで変換した前記ユニキャストフレームを前記第二インタフェースにより前記1以上の子機それぞれに送信する送信ステップとを含む。
【0028】
これによれば、通信方法は、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0029】
また、本発明の一態様に係る通信方法は、親機と無線通信する1以上の子機のうちの一の子機である通信装置であって、1以上の端末それぞれと有線通信をする第一インタフェースと、前記親機と無線通信をする第二インタフェースとを備える通信装置による通信方法であって、前記第二インタフェースにより、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、(a)前記ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに前記通信装置のアドレスを有し、(b)前記ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドにブロードキャストアドレスを有するユニキャストフレームを前記親機から受信する受信ステップと、前記受信ステップで前記ユニキャストフレームを受信した場合に、受信した前記ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して、又は、ブロードキャストフレームに変換せずに、第一インタフェースにより前記1以上の端末に送信する変換ステップとを含む。
【0030】
これによれば、通信方法は、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0031】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0032】
これによれば、プログラムは、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0033】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、通信装置等は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る通信システムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る親機の機能構成を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る子機の機能構成を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る通信システムで送受信されるフレームのアドレスフィールドを示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る親機が有する子機リストの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る親機の処理を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る子機の処理を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る親機が有するルールの第一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る親機が有するルールの第二例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る子機が有する端末リストの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る子機が有する端末リストの一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る子機が有するルールの一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る通信システムにおけるフレームの転送経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0038】
(実施の形態)
本実施の形態において、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制する通信装置などについて説明する。
【0039】
図1は、本実施の形態に係る通信システム1の構成を示す説明図である。
【0040】
図1に示されるように、通信システム1は、サーバ5と、親機A1と、子機B1及びB2と、端末T1、T2、T3、T4、T5及びT6とを備える。サーバ5と、親機A1と、端末T1とは、ネットワークN1によって相互に通信可能に接続されている。親機A1と子機B1及びB2とは、ネットワークN2によって相互に通信可能に接続されている。子機B1と、端末T2、T3及びT4とは、ネットワークN3によって相互に通信可能に接続されている。子機B2と、端末T5及びT6とは、ネットワークN4によって相互に通信可能に接続されている。
【0041】
なお、親機A1は、互いに無線通信する親機(一般に基地局又はアクセスポイント(AP)ともいう)及び子機(一般にステーション(STA)ともいう)のうちの親機である。また、子機B1は、互いに無線通信する親機及び子機のうちの子機であり、一般に無線ブリッジ又は無線ブリッジ装置とも呼ばれる。子機B1は、親機つまり基地局の機能(例えば、ビーコン信号の送信機能など)を備えない。子機B2についても子機B1と同様である。
【0042】
なお、子機が2個である場合を例として説明するが、子機の個数は1以上であればいくつであってもよい。
【0043】
なお、ネットワークN2は、無線通信のネットワークであって、ユニキャスト送信の場合に再送制御がなされ、ブロードキャスト又はマルチキャスト送信の場合に再送制御がなされない通信規格での通信が行われるネットワークである。ネットワークN2の通信規格の一例は、IEEE802.11シリーズ(IEEE802.11.a、b、g、n、ac、axなど)の無線LAN(Local Area Network)規格であり、この場合を例として説明するが、これに限られない。
【0044】
また、ネットワークN1、N3及びN4は、どのような通信規格であってもよいが、ネットワークN2より通信ロスが少ない通信規格が想定され、例えば有線通信のネットワークである。ネットワークN1、N3及びN4の通信規格の例は、Ethernet(登録商標)又はIEEE802.3などの有線LANの規格である。
【0045】
サーバ5は、端末T1~T6にデータを配信する配信サーバ装置である。サーバ5は、例えば、音声又は動画などのコンテンツにかかるコンテンツデータを保有しており、コンテンツデータを比較的小さなデータ単位(例えば1000バイト程度)に区切ってフレーム6に含め、そのフレーム6をネットワークN1にブロードキャストで送信する。送信されたフレーム6は、親機A1及び端末T1に受信される。
【0046】
親機A1は、ネットワークN1を介してサーバ5がブロードキャスト送信したフレーム6を受信し、受信したフレーム6をネットワークN2を介して子機B1及びB2にフレーム7として送信する。親機A1は、受信したフレーム6をユニキャストに変換して、子機B1及びB2に順次にユニキャストでフレーム7として送信する。送信されたフレーム7は、子機B1及びB2に受信される。
【0047】
子機B1は、親機A1がユニキャストで送信したフレーム7を受信し、原則的には、受信したフレーム7をブロードキャストに変換して端末T2、T3及びT4にフレーム8として送信する。なお、後述するように、子機B1は、例外的に、受信したフレーム7を、ブロードキャストに変換せずに、端末T2、T3及びT4の一部又は全部の端末にユニキャストで送信することもある。
【0048】
子機B2は、親機A1がユニキャストで送信したフレーム7を受信し、原則的には、受信したフレーム7をブロードキャストに変換して端末T5及びT6にフレーム9として送信する。子機B2は、子機B1と同様の機能を有し、また、子機B1とは独立に動作する。子機B1の例外的な動作は、子機B2についても同様である。
【0049】
端末T1~T6は、受信したフレームに含まれるデータ単位からコンテンツデータを再構成し、音声又は動画のコンテンツを再生する端末装置である。端末T1は、ネットワークN1を介してサーバ5からフレーム6を受信する。端末T2、T3及びT4は、ネットワークN3を介して子機B1からフレーム8を受信する。端末T5及びT6は、ネットワークN4を介して子機B2からフレーム9を受信する。
【0050】
以降において、親機A1及び子機B1等について詳細に説明する。
【0051】
図2は、本実施の形態に係る親機A1の機能構成を示す説明図である。親機A1は、1以上の子機と無線通信する基地局である通信装置である。
【0052】
図2に示されるように、親機A1は、通信IF11と、無線IF12と、変換部13とを備える。通信IF11は、親機A1が備える第一インタフェースに相当し、無線IF12は、親機A1が備える第二インタフェースに相当する。
【0053】
通信IF11は、サーバ5と通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばEthernetに準拠した通信をする。通信IF11は、ブロードキャストフレームであるフレーム6をサーバ5から受信すると、受信したフレーム6を変換部13に提供する。
【0054】
無線IF12は、子機B1及びB2それぞれと無線通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばIEEE802.11シリーズの無線LAN規格に準拠した通信をする。無線IF12は、子機B1及びB2との無線通信の親機のインタフェースとして機能し、例えば定期的にビーコンを送信する。
【0055】
無線IF12は、子機B1及びB2それぞれと無線通信リンクを確立し、無線通信リンクを確立している相手の装置の識別情報(例えばMACアドレス)を変換部13に提供する。無線IF12は、変換部13の制御の下、フレーム7を子機B1及びB2に送信する。
【0056】
変換部13は、通信IF11が受信したフレーム6を変換する処理部である。変換部13は、通信IF11により受信したブロードキャストフレームであるフレーム6を取得し、フレーム6を4アドレス形式のユニキャストフレームに変換して無線IF12により子機B1及びB2それぞれに送信する。なお、変換部13は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0057】
具体的には、変換部13は、ブロードキャストフレームから変換した4アドレス形式のユニキャストフレームを、子機B1及びB2の個数(つまり2個)になるように複製し、各ユニキャストフレームのRA(Receiver Address)フィールドに、宛先である子機のMACアドレスを設定することで、上記変換をする。具体的には、変換部13は、子機B1に送信される4アドレス形式のユニキャストフレームのRAフィールドに子機B1のMACアドレスを設定し、子機B2に送信される4アドレス形式のユニキャストフレームのRAフィールドに子機B2のMACアドレスを設定する。4アドレス形式のユニキャストフレームについては後で詳しく説明する。
【0058】
また、変換部13は、無線通信リンクを確立している相手の装置の識別子を無線IF12から取得し、その識別子をリスト16として保有している。識別子は、無線通信リンクを確立している相手の装置を一意に識別し得る情報であればどのようなものであってもよく、ここでは識別子としてMACアドレスを用いる例を説明するが、これに限られない。変換部13は、リスト16に示されているMACアドレスごとに、生成されるユニキャストフレームのRAフィールドに当該MACアドレスを設定する。
【0059】
なお、変換部13は、ルール17を保有し、ルール17に従ってユニキャストフレームの送信の制御をすることもできる。ルール17およびユニキャストの送信の制御についてはあとで説明する。
【0060】
図3は、本実施の形態に係る子機B1の機能構成を示す説明図である。子機B1は、親機A1と無線通信する1以上の無線ブリッジ装置のうちの一の無線ブリッジ装置である通信装置である。なお、子機B2も、子機B1と同様の構成を有する。
【0061】
図3に示されるように、子機B1は、通信IF21と、無線IF22と、変換部23とを備える。通信IF21は、子機B1が備える第一インタフェースに相当し、無線IF22は、子機B1が備える第二インタフェースに相当する。
【0062】
通信IF21は、端末T2、T3及びT4と通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばEthernetに準拠した通信をする。通信IF21は、変換部23の制御の下、フレーム8を端末T2、T3及びT4に送信する。
【0063】
無線IF22は、親機A1と無線通信可能に接続されている通信インタフェース装置であり、例えばIEEE802.11シリーズの無線LAN規格に準拠した通信をする。無線IF22は、親機A1と無線通信リンクを確立している。無線IF22は、親機A1から4アドレス形式のユニキャストフレームであるフレーム7を受信すると、受信したフレーム7を変換部23に提供する。
【0064】
変換部23は、無線IF22が受信したフレーム7を変換する処理部である。なお、変換部23は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0065】
ここで、フレーム7は、4アドレス形式のユニキャストフレームであって、当該ユニキャストフレームに含まれるRAフィールドに、自装置(つまり子機B1)のアドレスが設定されている。また、当該ユニキャストフレームに含まれるDAフィールドに、ブロードキャストアドレスが設定されている。
【0066】
変換部23は、無線IF22によりフレーム7を受信した場合に、受信した当該ユニキャストフレームを、ブロードキャストフレームに変換して、又は、ブロードキャストフレームに変換せずに、通信IF21によりフレーム8として端末T2、T3及びT4に送信する。変換部23は、原則的には、無線IF22により受信したフレーム7をブロードキャストフレームに変換して、通信IF21によりフレーム8として送信する。また、変換部23は、所定条件が成立する場合に、無線IF22により受信したフレーム7をブロードキャストフレームに変換せずに、ユニキャストのまま通信IF21によりフレーム8として送信する。ここで、ブロードキャストフレームに変換して送信するか、又は、そのようにしないかは、例えば変換部23がリスト25を保有するか否かにより制御され得る。リスト25の内容、および、上記制御については後で詳しく説明する。
【0067】
また、変換部23は、ルール26を保有し、ルール26に従ってユニキャストフレームの送信の制御をすることもできる。ルール26およびユニキャストの送信の制御についてはあとで説明する。
【0068】
図4は、本実施の形態に係る通信システム1で送受信されるフレームのアドレスフィールドを示す説明図である。具体的には、
図4の(a)にフレーム6のアドレスフィールドが示されており、
図4の(b)にフレーム7のアドレスフィールドが示されており、
図4の(c)にフレーム8のアドレスフィールドが示されている。
【0069】
フレーム6は、サーバ5が送信し親機A1が受信するフレームであり、Ethernetフレームのフレームフォーマットを有する。
【0070】
図4の(a)に示されるように、フレーム6のアドレスフィールドは、DA(Destination Address)フィールドと、SA(Source Address)フィールドとを含む。
【0071】
DAフィールドは、フレーム6の宛先のアドレスを示すフィールドであり、ブロードキャストのアドレスが含まれている。ブロードキャストのアドレスは、「ff:ff:ff:ff:ff:ff」であり、マルチキャストのアドレスは、「01:00:5E」で始まるアドレスである。
【0072】
SAフィールドは、フレーム6の送信元のアドレスを示すフィールドであり、サーバ5のMACアドレスが含まれている。
【0073】
フレーム7は、親機A1が送信し子機B1が受信するフレームであり、IEEE802.11シリーズの無線LANの4アドレス形式のフレームフォーマットを有する。このフレームフォーマットは、一般にWDS(Wireless Distribution System)における基地局間の通信に用いられているものと同じである。
【0074】
図4の(b)に示されるように、フレーム7のアドレスフィールドは、RAフィールドと、TA(Transmitter Address)フィールドと、DAフィールドと、SAフィールドとを含む。
【0075】
RAフィールドは、フレーム7の次転送先のアドレスを示すフィールドであり、子機B1のMACアドレスが含まれている。
【0076】
TAフィールドは、フレーム7の転送元のアドレスを示すフィールドであり、親機A1のMACアドレスが含まれている。
【0077】
DAフィールドと、SAフィールドとは、上記フレーム6の同名のフィールドと同じである。
【0078】
フレーム8は、子機B1が送信し端末T2が受信するフレームであり、Ethernetフレームのフレームフォーマットを有する。
【0079】
図4の(c)に示されるように、DAフィールドと、SAフィールドとは、上記フレーム6の同名のフィールドと同じである。
【0080】
親機A1がフレーム6を受信してフレーム7を送信するまでの処理は以下のとおりである。
【0081】
すなわち、親機A1がフレーム6を受信したときに、変換部13は、受信したフレーム6のDAフィールドがブロードキャストアドレスであるか否かを判定する。ブロードキャストアドレスであると判定した場合、変換部13は、フレーム6のDAフィールドとSAフィールドとを維持し、RAフィールドとTAフィールドとを付加することで4アドレス形式のユニキャストフレームを生成する。言い換えると、フレーム7は、子機B1及びB2それぞれについて、RAフィールドに当該子機のMACアドレスを有し、DAフィールドにブロードキャストアドレスを有する。このようにして、変換部13によりフレーム7が生成される。
【0082】
また、子機B1がフレーム7を受信してフレーム8を送信するまでの処理は以下のとおりである。
【0083】
すなわち、子機B1がフレーム7を受信したとき、変換部23は、フレーム7のRAフィールドが自装置(つまり子機B1)のアドレスであるか否かを判定する。自装置のアドレスであると判定した場合、変換部23は、フレーム7のRAフィールド及びTAフィールドを消去し、DAフィールドとSAフィールドとを維持する。このようにして、変換部23によりフレーム8が生成される。
【0084】
仮に4アドレス形式でないフレームフォーマット、具体的には一般の無線通信の基地局と端末との通信で用いられる、3つのアドレスだけを含むフレームフォーマットが用いられるとすれば、子機B1は、フレーム7を受信した後で、端末に送信するフレームのDAフィールドに所定のMACアドレスを設定しなければならないことになる。よって、子機B1は、サーバ5が送信したフレーム6のDAフィールドに設定されていたMACアドレスそのものを復元することができない。
【0085】
通信システム1ではフレーム7に4アドレス形式のフレームフォーマットを用いるので、子機B1は、受信したフレーム7のDAフィールドを編集せずに維持するだけで、サーバ5が送信したフレーム6のDAフィールドを利用することができ、DAフィールドの設定のための他の処理を必要としないという利点がある。特に、サーバ5が送信したフレーム6のDAフィールドがマルチキャストアドレスである場合には、そのマルチキャストアドレスがそのまま、子機B1が送信するフレーム8のDAフィールドに設定される利点がある。
【0086】
図5は、本実施の形態に係る親機A1が有するリスト16の一例を示す説明図である。リスト16は、親機A1と通信リンクを確立している相手の子機の一覧を示している。
【0087】
親機A1は、子機との無線通信に先立ち、子機との間で帰属要求(Association Request)、及び、帰属応答(Association Response)、並びに、認証要求(Authentication Request)、及び、認証応答(Authentication Response)の各フレームの送受信を経て、子機との無線通信の通信リンクを確立する。このように通信リンクを確立したときに、無線IF12は、通信リンクを確立した相手である子機の識別子としてMACアドレスを変換部13に提供する。変換部13は、提供された子機のMACアドレスを含めたリスト16を生成する。
【0088】
図5に示されるリスト16は、親機A1が子機B1及びB2それぞれと通信リンクを確立しているときのリストであり、子機B1及びB2のMACアドレスが含まれている。
【0089】
このリスト16を有している状態で親機A1が通信IF11によってブロードキャストフレームを受信すると、変換部13は、リスト16に含まれているアドレス、つまり、子機B1及びB2のMACアドレスを、順次にRAフィールドに設定したユニキャストフレームを生成して無線IF12によって送信する。このようにして、親機A1は、サーバ5から受信したブロードキャストフレームを、子機B1及びB2それぞれに順次にユニキャストフレームとして送信する。
【0090】
図6は、本実施の形態に係る親機A1の処理を示すフロー図である。
【0091】
ステップS101において、変換部13は、通信IF11によりブロードキャストフレームを受信したか否かを判定する。ブロードキャストフレームを受信したと判定した場合(ステップS101でYes)には、ステップS102に進み、そうでない場合(ステップS101でNo)には、ステップS101を再び実行する。つまり、変換部13は、通信IF11によりブロードキャストフレームを受信するまでステップS101で待機する。
【0092】
ステップS102において、変換部13は、ループAの開始処理を実行する。ループAでは、親機A1が通信リンクを確立している相手である子機それぞれに順次に着目して、ステップS103からステップS104までの処理が実行される。
【0093】
ステップS103(変換ステップに相当)において、変換部13は、ステップS101で受信したブロードキャストフレームを4アドレス形式のユニキャストフレームに変換する。この変換は、
図4の(a)から(b)への変換に相当する。変換によって生成されるユニキャストフレームのRAフィールドには、ループA処理において着目している子機のMACアドレスが設定されている。
【0094】
ステップS104(送信ステップに相当)において、変換部13は、ステップS103の変換で生成されたユニキャストフレームを無線IF12により送信する。
【0095】
ステップS105において、変換部13は、ループAの終了処理を実行する。具体的には、親機A1が通信リンクを確立している相手である子機全部について、ステップS102からステップS104までの処理の実行が完了したか否かを判定する。子機全部について上記処理の実行が完了していない場合には、ループA内の最初の処理(ステップS103)に戻って、次の子機についての処理を行い、そうでない場合には、ループAを抜けて本フロー図に示される一連の処理を終了する。
【0096】
上記一連の処理により、親機A1は、サーバ5から受信したブロードキャストフレームを、子機B1及びB2に順次にユニキャストで送信する。
【0097】
図7は、本実施の形態に係る子機B1の処理を示すフロー図である。
【0098】
ステップS201(受信ステップに相当)において、変換部23は、無線IF22により4アドレス形式のユニキャストフレームを受信したか否かを判定する。上記ユニキャストフレームを受信したと判定した場合(ステップS201でYes)には、ステップS202に進み、そうでない場合(ステップS201でNo)には、ステップS201を再び実行する。つまり、変換部23は、無線IF22により上記ユニキャストフレームを受信するまでステップS201で待機する。
【0099】
ステップS202において、変換部23は、ステップS201で受信したユニキャストフレームをブロードキャストフレームに変換する。この変換は、
図4の(b)から(c)への変換に相当する。
【0100】
ステップS203において、変換部23は、ステップS202の変換で生成されたブロードキャストを通信IF21により送信する。
【0101】
なお、ステップS202及びS203が変換ステップに相当する。
【0102】
上記一連の処理により、子機B1は、親機A1から受信した4アドレス形式のユニキャストを、ブロードキャストに変換して端末T2、T3及びT4に送信する。
【0103】
以降において、親機A1のルール17、並びに、子機B1のリスト25及びルール26があるときの動作を順に説明する。
【0104】
(1)親機A1のルール17について
親機A1の変換部13による、ルール17を用いたユニキャストフレームの送信の制御について説明する。
【0105】
変換部13は、通信IF11により受信したブロードキャストフレームのうち、所定条件を満たすブロードキャストフレームのみを、ユニキャストフレームに変換して送信する、という制御をすることができる。所定条件を規定するためにルール17が用いられる。
【0106】
このような制御の一例として、変換部13は、UDPポート番号の単位で、ユニキャストフレームに変換して送信するか、又は、しないかを制御する。この場合、ルール17には、ユニキャストフレームに変換する対象であるブロードキャストフレームのUDPポート番号が記載される。変換部13は、通信IF11により受信したブロードキャストフレームのうち、ルール17に記載されたUDPポート番号を有するフレームをユニキャストフレームに変換する。
【0107】
図8は、親機A1が有するルール17の第一例を示す説明図である。
図8に示されるルール17では、変換部13がユニキャストフレームに変換する対象であるブロードキャストフレームのUDPポート番号が示されている。
【0108】
具体的には、
図8のルール17には、UDPポート番号として12345と、23456とが示されている。
【0109】
このとき、変換部13は、UDPポート番号が12345又は23456であるブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換して子機B1及びB2に送信し、それ以外のブロードキャストフレームを送信しないように制御する。
【0110】
これにより、コンテンツデータでないブロードキャストフレームが通信システム1全体にブロードキャストされることを回避することができる。
【0111】
なお、変換部23は、さらに詳細な制御をすることもできる。例えば、上記制御において変換部23がユニキャストフレームに変換して送信する宛先である子機を制限することができる。このルールをルール17Aとする。
【0112】
この場合、ルール17Aには、ユニキャストフレームに変換する対象であるブロードキャストフレームのUDPポート番号と、そのUDPポート番号を有するユニキャストフレームを送信する宛先となる子機とが記載される。変換部13は、通信IF11により受信したブロードキャストフレームのうち、ルール17Aに記載されたUDPポート番号を有するフレームをユニキャストフレームに変換し、変換により生成したユニキャストフレームを、ルール17Aで対応付けられた子機に送信し、それ以外の子機に送信しない。このようにして、変換部13は、ユニキャストフレームの送信の宛先を、ルール17Aで対応付けられた子機に制限する。
【0113】
図9は、親機A1が有するルール17の第二例であるルール17Aを示す説明図である。
図9に示されるルール17Aでは、変換部13がユニキャストフレームに変換する対象になるブロードキャストフレームのUDPポート番号とともに、そのUDPポート番号を有するフレームの宛先である子機が示されている。
【0114】
具体的には、
図9のルール17Aには、UDPポート番号として12345と、23456とが示されている。
【0115】
このとき、変換部13は、UDPポート番号が12345であるブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換して子機B1に送信し、子機B2には送信しない。また、変換部13は、UDPポート番号が23456であるブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換して子機B1及びB2に送信する。そして、変換部13は、UDPポート番号が上記以外であるブロードキャストフレームを、どの子機にも送信しないように制御する。
【0116】
これにより、子機又は端末が受信する必要のないフレームが通信システム1全体にブロードキャストされることを回避することができる。
【0117】
(2)子機B1のリスト25について
子機B1の変換部23による、リスト25を用いたユニキャストフレームの送信の制御について説明する。
【0118】
変換部23は、無線IF22により受信したユニキャストフレームのうち、所定条件を満たすユニキャストフレームのみを、ブロードキャストフレームに変換せずにユニキャストフレームのまま送信する、という制御をすることができる。所定条件を規定するためにリスト25が用いられる。
【0119】
このような制御の一例として、変換部23は、端末ごとに、ブロードキャストフレームに変換するか、ブロードキャストフレームに変換せずにユニキャストフレームのまま送信するかを制御する。この場合、リスト25には、ユニキャストフレームのまま送信する対象である端末の識別子(例えば端末のMACアドレス)が記載される。変換部23は、リスト25を保有している場合には、無線IF22により受信したユニキャストフレームを、リスト25に記載された端末にユニキャストフレームのまま送信する。このとき、リスト25に複数の端末が記載されていれば、その複数の端末あてに順次にユニキャストフレームを送信する。リスト25に記載されていない端末には、無線IF22により受信したユニキャストフレームが送信されない。
【0120】
図10は、子機B1が有するリスト25の一例を示す説明図である。
図10に示されるリスト25では、変換部23がユニキャストフレームを送信する宛先である端末の識別子が示されている。
【0121】
具体的には、
図10のリスト25には、端末T2が示されている。
【0122】
このとき、変換部23は、親機A1から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームを、Ethernetのユニキャストフレームに変換して端末T2に送信し、それ以外の端末(つまり端末T3及びT4)に送信しないように制御する。
【0123】
(3)子機B1のルール26について
子機B1の変換部23による、ルール26を用いたユニキャストフレームの送信の制御について説明する。
【0124】
変換部23は、無線IF22により受信したユニキャストフレームのうち、所定条件を満たすユニキャストフレームのみを端末に送信する、という制御をすることができる。所定条件を規定するためにルール26が用いられる。
【0125】
このような制御の一例として、変換部23は、UDPポート番号の単位で端末に送信するか、又は、しないかを制御する。この場合、ルール26には、端末に送信するUDPポート番号が記載される。変換部23は、無線IF22により受信したユニキャストフレームのうち、ルール26に記載されたUDPポート番号を有するフレームを端末に送信する。
【0126】
図11は、本実施の形態に係る子機B1が有するルール26の第一例を示す説明図である。
【0127】
図11に示されるルール26では、変換部23が送信するブロードキャストフレームのUDPポート番号が示されている。
【0128】
具体的には、
図11のルール26には、UDPポート番号である12345が示されている。
【0129】
このとき、変換部23は、親機A1から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームのうち、UDPポート番号が12345であるものをEthernetのブロードキャストに変換して端末T2、端末T3及びT4に送信する。
【0130】
変換部13は、さらに詳細な制御をすることもできる。例えば、上記制御において変換部13がユニキャストフレームを送信する対象であるUDPポート番号に、送信する宛先となる子機を指定することができる。この場合、ルール26には、ユニキャストフレームに変換するUDPポート番号と、そのUDPポート番号を有するユニキャストフレームを送信する宛先となる端末とが記載される。変換部23は、無線IF22により受信したユニキャストフレームのうち、ルール26に記載されたUDPポート番号を有するユニキャストを、ルール26で対応付けられた子機だけに送信する。
【0131】
図12は、本実施の形態に係る子機B1が有するルール26の第二例であるルール26Aを示す説明図である。
【0132】
図12に示されるルール26Aでは、変換部23が送信するブロードキャストフレームのUDPポート番号と、そのUDPポート番号を有するブロードキャストフレームをユニキャストフレームに変換して送信する対象である端末の識別子が示されている。
【0133】
具体的には、
図12のルール26Aには、UDPポート番号である12345と端末T2とが対応付けて示されている。
【0134】
このとき、変換部23は、親機A1から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームのうち、UDPポート番号が12345であるものを、Ethernetのユニキャストフレームに変換して端末T2に送信し、それ以外の端末(つまり端末T3及びT4)に送信しないように制御する。
【0135】
これにより、コンテンツデータでないブロードキャストフレームが不要な端末に送信されることを回避することができる。
【0136】
図12の場合におけるフレームの転送経路を説明する。
【0137】
図13は、実施の形態に係る通信システム1におけるフレームの転送経路を示す説明図である。
図13に示される転送経路は、子機B1が
図10に示されるリスト25、又は、
図12に示されるルール26Aを有しているときの転送経路である。
【0138】
例えば、端末T2~T6のうち、端末T2、T5及びT6が表示画面を備え、端末T3及びT4が表示画面を備えない場合が想定される。この場合、サーバ5が、画像を含むコンテンツにかかるコンテンツデータをブロードキャストフレームで送信するときには、端末T3及びT4にデータを受信させる必要がない。
【0139】
この場合に、子機B1が
図10に示されるリスト25、又は、
図12に示されるルール26Aを有していれば、端末T3及びT4にデータが届けられることを回避することができる。なお、このとき、子機B2にリスト25又はルール26Aが設定されていなければ、子機B2は、受信した4アドレスのユニキャストフレームをブロードキャストに変換して端末T5及びT6に送信する。
【0140】
なお、親機A1と子機B1及びB2との間の無線ネットワークで、ユニキャストを用いる場合とブロードキャストを用いる場合とでの、送信されるフレーム数と、無線通信の帯域占有時間とについて以下で説明する。
【0141】
送信されるフレーム数は、ブロードキャストを用いるほうが少ない。ブロードキャストを用いれば、親機A1が送信したフレームを子機B1及びB2の両方が受信できるからである。これに対し、ユニキャストを用いれば、親機A1は、子機B1を宛先とするフレームと、子機B2を宛先とするフレームとの2個を送信する必要がある。
【0142】
一方、無線通信の帯域占有時間は、ユニキャストを用いる方が短くすることができる可能性がある。ブロードキャストは、通常の通信規格では、当該通信規格での最低の伝送レートが用いられる。例えば、5GHz帯の通信では6Mbpsが用いられ、2.4GHz帯の通信では、1Mbpsが用いられる。これに対して、ユニキャストでの送信には、各子機に合わせた高い伝送レートでの送信が可能となる。例えば、IEEE802.11gでは54Mbps、IEEE802.11nでは300Mbpsが用いられ得る。
【0143】
そのため、ユニキャストを用いる場合には、ブロードキャストを用いる場合より、帯域占有時間を短く抑えることができ、言い換えれば、予め定められた期間により多くのデータを送信できる利点がある。
【0144】
なお、本実施の形態では、通信システム1は、サーバ5と、親機A1と、子機B1及びB2と、端末T1~T6とを備えるものとしたが、通信システム1は、親機A1と子機B1及びB2とを備えるものとしてもよい。
【0145】
以上のように、本実施の形態に係る通信装置は、通信装置である親機は、無線通信の4アドレス形式のユニキャストフレームを用いてデータを子機に対して送信することで、その子機の先に位置する端末に配信する。無線ネットワークの部分でユニキャストフレームを用いるのでフレームロスを抑制することができ、また、4アドレス形式のユニキャストフレームを用いるので子機の先に位置する端末への配信を実現できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0146】
また、通信装置である親機は、4アドレス形式のユニキャストフレームにおけるRAフィールド及びDAフィールドを適切に利用して、より容易に、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0147】
また、通信装置である親機は、子機それぞれとの無線通信の通信リンクの確立時に生成したリストを用いて、そのリストに含まれている子機のMACアドレスを順次に、RAフィールドに設定して4アドレス形式のユニキャストフレームを生成するので、子機の識別子を取得するために他の処理を必要としない。よって、通信装置は、通信リンクの確立時に生成し得るデータを利用して、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0148】
また、通信装置である親機は、受信するブロードキャストフレームの全てではなく、特定の一部のブロードキャストフレームのみを子機を介して端末に配信できる。よって、子機に不要なフレームを当該子機に受信させないようにするなど、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制できる。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0149】
また、通信装置である子機は、親機から送信された4アドレス形式のユニキャストフレームをブロードキャストに変換して端末に送信する。無線ネットワークの部分でユニキャストフレームを用いるのでフレームロスを抑制することができ、また、4アドレス形式のユニキャストフレームを用いるので子機の先に位置する端末への配信を実現できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0150】
また、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームを、そのユニキャストフレームに変換される前の形であるブロードキャストに変換することで、元に戻して端末に送信できる。よって、通信装置は、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0151】
また、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームを、特定の端末だけに送信できるので、このデータの受信を必要としない端末に送信することが回避される。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0152】
また、通信装置である子機は、親機から受信した4アドレス形式のユニキャストフレームのうち、特定のUDPポートのデータだけを端末に送信できるので、このUDPポートのデータの受信を必要としない端末に送信することが回避される。よって、通信装置は、ネットワークに不要なトラフィックが流れることを抑制しながら、一部に無線ネットワークを含むネットワークを介したコンテンツ配信においてフレームロスを抑制することができる。
【0153】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0154】
以上、本発明の通信装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、無線通信の基地局および無線ブリッジとして利用され得る。
【符号の説明】
【0156】
1 通信システム
5 サーバ
6、7、8、9 フレーム
11、21 通信IF
12、22 無線IF
13、23 変換部
16、25 リスト
17、17A、26、26A ルール
A1 親機
B1、B2 子機
T1、T2、T3、T4、T5、T6 端末
N1、N2、N3、N4 ネットワーク