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特許7060272インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置
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  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図1
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図2
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図3
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図4
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図5
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図6
  • 特許-インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B25B21/00 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020211893
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】509305435
【氏名又は名称】呉 昆霖
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】呉 昆霖
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-006041(JP,A)
【文献】特開2020-138299(JP,A)
【文献】登録実用新案第3026697(JP,U)
【文献】特開2006-167894(JP,A)
【文献】特開2017-159415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と、駆動軸と、クラッチスリーブと、深さ制御スリーブと、第1ばねとからなるインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置であって、
前記筒体は円筒形の内空間を備え、前記筒体の第1端には雄ねじが形成され、前記第1端に相対する前記筒体の第2端には蓋体が設けられ、
前記駆動軸は、駆動端と、前記駆動端に相対するソケット端と、を備え、
前記ソケット端は環状壁を備え、
前記環状壁には、軸方向に延在して形成されることによりねじ回しヘッドのソケットを収容且つ保持するソケットが設けられ、
前記環状壁は前記ソケットに通じる複数のラジアル孔を備え、
前記複数のラジアル孔は、それぞれがクラッチ部品を保持し、それにより、駆動位置では前記ねじ回しヘッドが接合されるとともに、離合位置では前記ねじ回しヘッドが離脱され、
前記クラッチ部品は、切頭円錐形端部を備える円柱体であり、それにより、前記駆動位置で前記ねじ回しヘッドが接合され、
前記クラッチスリーブは、頂端と、底端と、前記駆動軸を収容する中心通路を備え、
前記中心通路の頂端のサイズは、前記駆動軸の前記駆動端は通過するが前記駆動軸の前記ソケット端は通過しないように設定され、
前記クラッチスリーブにおける前記中心通路の底端は、環状溝を備え、
前記環状溝は、前記駆動軸が前記離合位置に位置する場合に、対応する前記クラッチ部品を収容し、これにより、前記クラッチ部品の切頭円錐形は、前記ねじ回しヘッドから離脱されても対応する前記ラジアル孔内に保持され、
前記深さ制御スリーブは、前記筒体における前記雄ねじの螺旋に対応して前記筒体底端を取り囲む雌ねじを備え、
前記深さ制御スリーブは底部を備え、
前記底部は、前記ねじ回しヘッドが延在して通過する通路を備え、
前記深さ制御スリーブは、前記筒体の正回転または逆回転に相対することで、前記深さ制御スリーブの底部における中心軸方向の前記筒体に相対する距離が調整され、
前記第1ばねの両端は、前記クラッチスリーブと前記蓋体にそれぞれ作用し、それによって、前記クラッチスリーブが前記駆動位置に向かって押される
ことを特徴とするインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置において、
前記駆動軸の前記駆動端と前記ソケット端の間には止め輪がさらに設けられ、
前記止め輪と前記クラッチスリーブの間には第2ばねが設けられ、
前記第2ばねにより前記駆動軸における中心軸線の方向に緩衝作用が生じ、前記クラッチ部品は円形外端部を備えることにより、前記クラッチ部品は前記離合位置から前記駆動位置まで移動させられ、
前記駆動軸の前記ソケット端は、前記ソケット端の径向平面部に120°の間隔をあけて設けられる3つのラジアル孔を備え、
前記深さ制御スリーブの底部の直径は、前記深さ制御スリーブの頂部の直径より小さい
ことを特徴とするインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置において、
前記深さ制御スリーブの底部は1つのソケットを備え、
前記ソケットは、前記ねじ回しヘッドが延在して突き抜ける通路を取り囲み、
前記ソケットは、磁性部品を収容且つ保持し、それにより、前記駆動軸が前記駆動位置に位置する場合に前記ねじ回しヘッドが保持される
ことを特徴とするインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置。
【請求項4】
請求項3に記載のインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置において、
前記インパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置は、前記駆動軸における前記ソケット端の底部に設けられるスナップリング溝をさらに備え、
前記スナップリング溝には前記ねじ回しヘッドに接合するためのスナップリングが収容され、前記スナップリングにより前記ねじ回しヘッドを前記駆動軸の前記ソケット端内で自由に動ける状態で保持する
ことを特徴とするインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ駆動装置の技術分野に関し、特に、インパクトドライバーに使用されることで、ねじが駆動されて加工品にねじ込まれる深さを制御することができるとともに、ねじを所定の深さで固定するまたは所定の位置までねじを取り出す際に自動で駆動を停止させることのできるインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドリルまたはインパクトドライバーといった電動工具によるねじの駆動は、従来技術である。例えば、台湾特許第098218832号明細書に開示されている「動力伝達式ねじのねじ込み及び抜き取り両用自動停止装置」は、スムーズに、連続駆動できる電動ドリル駆動としては、非常に優れている。しかしながら、現在の建築業において使用されるねじ(ボルト)は長くなってきているため、電動ドリルで長いねじを駆動するのは効率が良くない。従って、インパクトドライバーに装備される電動ドリルは長いねじを駆動するのに用いられている。前記インパクトドライバーによって、長いねじを駆動するのに必要な振動トルクが作用すると同時に、ねじ駆動装置はねじが加工品を突き抜ける深さを制御することによりねじの保持力が最適化される。
【0003】
しかしながら、電動ドリルとインパクトドライバーが振動することで電動ドリルの円形ベアリングによって駆動位置に保持されているねじ回しヘッドの柄縁部が壊れる可能性がある。このような状況が生じると、ベアリングは、ねじ回しヘッドの柄部を保持することができなくなるとともに、駆動位置において自由に動くことができなくなる。 従って、ねじ回しヘッドの先端がその耐用年数に達する前にねじ回しヘッドを交換する必要がある。
【0004】
さらに、台湾特許第098218832号明細書に開示されている「動力伝達式ねじのねじ込み及び抜き取り両用自動停止装置」は、実際のニーズに合わせて効率良くねじをねじ込む深さを調整する、または、素早く反対方向に操作してねじを取り出すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】台湾特許第098218832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、主に、インパクトドライバーの構造と操作を簡易化するとともに、保持されているねじ回しヘッドの辺縁部が取れないインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、筒体と、駆動軸と、クラッチスリーブと、深さ制御スリーブと、第1ばねとからなるインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置を提供し、前記筒体は円筒形の内空間を備え、前記筒体の第1端には雄ねじが形成され、前記第1端に相対する前記筒体の第2端には蓋体が設けられる。前記駆動軸は、駆動端と、前記駆動端に相対するソケット端を備え、前記ソケット端は環状壁を備え、前記環状壁は、軸向方向に延在して形成されることによりねじ回しヘッドのソケットを収容するとともに保持し、前記環状壁は前記ソケットに通じる複数のラジアル孔を備え、前記複数のラジアル孔はクラッチ部品をそれぞれ保持することで、駆動位置で前記ねじ回しヘッドが接合されるとともに、離合位置で前記ねじ回しヘッドが離脱され、前記クラッチ部品は、切頭円錐形端部を備える円柱体であることにより、前記駆動位置で前記ねじ回しヘッドを接合することができる。前記クラッチスリーブは、頂端と、底端と、前記駆動軸を収容する中心通路を備え、前記中心通路の頂端のサイズは、前記駆動軸の前記駆動端は通過できるが前記駆動軸の前記ソケット端は通過できないように設定され、前記クラッチスリーブにおける前記中心通路の底端は、環状溝を備え、前記環状溝の大きさは、前記駆動軸が前記離合位置に位置する場合に、対応する前記クラッチ部品を収容するのに適した大きさであることにより、前記クラッチ部品の切頭円錐形は、前記ねじ回しヘッドから離脱されても対応する前記ラジアル孔内に保持される。前記深さ制御スリーブは、前記筒体における前記雄ねじの螺旋に対応して前記筒体底端を取り囲む雌ねじを備え、前記深さ制御スリーブは底部を備え、前記底部は、前記ねじ回しヘッドが延在して通過できる通路を備え、前記深さ制御スリーブは、前記筒体の正回転または逆回転に相対することで、前記深さ制御スリーブの底部における中心軸方向の前記筒体に相対する距離を調整することができる。前記第1ばねの両端は、前記クラッチスリーブと前記蓋体にそれぞれ作用することによって、前記クラッチスリーブを前記駆動位置に向かって押すことができる。
【0008】
本発明では、駆動軸の駆動端とソケット端の間にさらに止め輪が設けられるとともに、止め輪とクラッチスリーブの間に第2ばねが設けられ、前記第2ばねにより駆動軸における中心軸線の方向に緩衝作用が生じることにより、インパクトドライバーの軸方向に対する衝撃力と回転力を効果的に抑制することが好ましい。
【0009】
本発明の好ましい実施例において、前記クラッチ部品は円形外端部を備えることができることにより、前記クラッチ部品を離合位置から駆動位置に容易に移動させることができる。
【0010】
本発明における駆動軸のソケット端は、前記ソケット端の径向平面部上に120°の間隔をあけて設けられる3つのラジアル孔を備え、前記3つのラジアル孔によってそれぞれ1つのクラッチ部品を収容することができることが好ましい。
【0011】
本発明における深さ制御スリーブの底部の直径は、前記深さ制御スリーブの頂部の直径よりも小さいことにより、ねじを所定の深さまで固定する際に深さ制御スリーブの底部によって加工品を容易に保持できることが好ましい。
【0012】
本発明の深さ制御スリーブの底部は、1つのソケットを備えることができ、前記ソケットは、前記ねじ回しヘッドが延在して突き抜ける通路を取り囲み、前記ソケットは磁性部品を収容且つ保持することにより、駆動軸が駆動位置に位置する場合にねじ回しヘッドを保持できることが好ましい。
【0013】
好ましくは、本発明は、さらに、前記駆動軸における前記ソケット端の底部に設けられるスナップリング溝を備えることができ、前記スナップリング溝には前記ねじ回しヘッドに接合するためのスナップリングが収容され、前記スナップリングにより前記ねじ回しヘッドを前記駆動軸の前記ソケット端内で自由に動ける状態で保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
1、クラッチ部品が特殊な切頭円錐形に形成されることで、インパクトドライバーに使用される際にねじ回しヘッドを効果的に挟持することができるとともに、ねじ回しヘッドがすぐに摩耗してしまい駆動に不具合が生じるということがない。
【0015】
2、本発明は、筒体内部とクラッチスリーブの間にスプリングが設けられる構造により、インパクトドライバーの軸方向に対する衝撃力と回転力を効果的に抑制することができるとともに、筒体前端に設けられる深さ制御スリーブによって前端の長さを調整することができ、さらに、ねじがねじ込まれる深さを調整することができることにより、加工品の様々な材質または異なる深さのニーズに応じることができるとともに、ねじをねじ込む際にねじ頭を平らに保つことができる。
【0016】
3、本発明における深さ制御スリーブの底端には磁性部品が設けられ、素早くねじを引き付けることができるため、作業効率が向上する。
【0017】
4.本発明は、すでに加工品にねじ込まれたねじを取り出す必要がある場合、ねじ回しヘッドによりねじを保持した後、筒体を軸方向且つ後方に駆動位置まで移動させるとともに電動ドリルを逆回転させることで、素早くねじを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に基づく両用停止装置の外観斜視図である。
図2】本発明の両用停止装置が備える部品の組み合わせを示す斜視分解図である。
図3】本発明の両用停止装置の構造を示すとともに、駆動軸が駆動位置に位置することを示した平面断面図である。
図4】本発明の駆動軸が離合位置に位置することを示す平面断面図である。
図5】本発明の両用停止装置がねじを取り出す場合に、ねじ回しヘッドによりねじ頭を保持した後、筒体を上に引くことで駆動軸を駆動位置に位置させることを示す平面断面図である。
図6】本発明の両用停止装置が所定の高さまでねじを取り出す場合、クラッチ部品が離合位置に位置することでねじの取り出しが停止されることを示す平面断面図である。
図7】本発明におけるクラッチ部品の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図3に示す通り、本発明による調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置は、筒体1と、クラッチスリーブ2と、第1ばね3と、駆動軸4と、深さ制御スリーブ6からなる。そのうち、筒体1は円筒形の内空間を備えるとともに、筒体1の第1端には雄ねじ11が形成され、前記第1端に相対する筒体1の第2端には蓋体12が設けられる。筒体1の第1端は、本文では前端、または、図に示す通り頂端と呼ぶことができ、電動ドリルを操作する際の加工品に面する方向のことである。筒体1の第2端は、第1端と反対の方向であり、後端、または、図に示す通り底端と呼ぶことができ、電動ドリルを操作する際の加工品に反対する方向のことである。
【0020】
駆動軸4の相対する両端は、ソケット端41と、駆動端42をそれぞれ備えるとともに、ソケット端41の外径は駆動端42の外径より大きい。ソケット端41には環状壁410が形成され、環状壁410には、軸方向に一定の深さまで延在するソケット411が形成され、ソケット411は、1つのねじ回しヘッド7を収容且つ保持することができ、環状壁410には複数のソケット411に通じる複数のラジアル孔412が設けられ、複数のラジアル孔412は、ソケット端41の径向平面部に120°の間隔をあけて配置されることが好ましい。各ラジアル孔412は、1つのクラッチ部品47をそれぞれ収容且つ保持し、クラッチ部品47は、切頭円錐形端部を備える円柱体であることにより、駆動位置にソケット411内のねじ回しヘッド7の外径に形成される多角形軸71の表面が接合且つ挿入されるとともに、離合位置からねじ回しヘッド7が離脱される。ソケット411の内底面には軸方向孔45が形成され、軸方向孔45内には1つのボールベアリング46が可動に配置されることで、ボールベアリング46が軸方向孔45内で自由に転がることによって、ソケット411を挿入した後のねじ回しヘッド7の尾端とボールベアリング46が転がり接触することで摩擦力が減少する。駆動軸4におけるソケット端41に近いソケット411の内壁面には、スナップリング溝48がさらに設けられ、スナップリング溝48内にはスナップリング49が設けられ、ねじ回しヘッド7がソケット411に挿入されると、スナップリング49がねじ回しヘッド7の外径に形成される溝72に嵌め込まれることにより、ねじ回しヘッド7が位置決めされる。
【0021】
クラッチスリーブ2は筒状体であり、クラッチスリーブ2は、頂端と、底端と、駆動軸4を収容するための中心通路20を備え、中心通路20の頂端は、駆動軸4の駆動端42は通過できるが駆動軸4のソケット端41は通過できない貫通孔を備える。クラッチスリーブ2における中心通路20の底端の内壁面は、環状溝21を備え、環状溝21の大きさは、駆動軸4が離合位置に位置する場合に、対応するクラッチ部品47を収容するのに適した大きさであることにより、クラッチ部品47の切頭錐形端は、ねじ回しヘッド7から離脱されても対応するラジアル孔412内に保持される。
【0022】
前記駆動位置とは、クラッチ部品47をねじ回しヘッド7に接合させることのできる位置を指し、前記駆動位置において駆動軸4によりねじ回しヘッド7を駆動させることができる。前記離合位置とは、クラッチ部品47をねじ回しヘッド7に接合させることのできない位置を指し、前記離合位置では駆動軸4によりねじ回しヘッド7を駆動させることはできない。
【0023】
深さ制御スリーブ6の底部の直径は、頂部の直径より小さく、頂部の内壁は筒体1の雄ねじ11の螺旋に対応する雌ねじ61を備え、雌ねじ61と雄ねじ11の螺旋が組み合わされ、それにより、深さ制御スリーブ6は筒体1の底端の周囲を取り囲む。深さ制御スリーブ6は底部62を備え、底部62は、ねじ回しヘッド7が突き抜けるための通路63を備える。従って、深さ制御スリーブ6が筒体1に相対して正回転する場合、深さ制御スリーブ6を筒体1に沿って軸方向且つ前方に移動させることができ、それにより、深さ制御スリーブ6の底部62における中心軸方向の筒体1に相対する距離が延長調整される、つまり、底部62と、挿入ソケット411内におけるねじ回しヘッド7の前端との間の距離Hが縮められる(図3に図示)。深さ制御スリーブ6が筒体1に相対して逆回転する場合、深さ制御スリーブ6を筒体1に沿って軸方向且つ後方に移動させることができ、それにより、深さ制御スリーブ6の底部62における中心軸方向の筒体1に相対する距離が縮短調整される、つまり底部62と、挿入ソケット411内におけるねじ回しヘッド7の前端との間の距離Hが延長される。さらに、深さ制御スリーブ6の通路63は、内部まで延在することでソケット64を形成することができ、ソケット64の中には、磁性部品5が収容且つ保持され、磁性部品5は素早くねじを引き付けるため、ねじを締める効率が向上する。
【0024】
図7に示す通り、各クラッチ部品47のサイズと形状は同じである。好ましい実施例において、クラッチ部品47は、切頭円錐内端部471と円形外端部472を備える円柱体である。前記円柱体は全長「a」を備える。円形外端部472の長さ「b」は、1/4 a(0.25a)である。円柱体中段部473の長さ「c」は、1/2 a(0.5a)である。さらに、切頭円錐内端部471の長さは、1/4 a(0.25a)である。円柱体中段部473の直径は、1a(1.0a)であり、切頭円錐内端部471の平面部474の直径「e」は、3/4a(0.75a)である。円形外端部472の半径「r」は、1/2 a(0.5a)である。1つの実施例において、クラッチ部品47の全長aは、4mmであり、直径は4mmであり、円柱体中段部473の長さは、2mmである。円形外端部の半径は2mmであり、円形外端部472の長さbは1mmである。切頭円錐内端部471の長さdは1mmであり、平面部474の直径eは3mmである。注意すべき点として、クラッチ部品47の両端も切頭円錐形であることができる。
【0025】
第1ばね3は、筒体1の内空間に設けられるとともに、その両端はクラッチスリーブ2と蓋体12にそれぞれ作用することによって、クラッチスリーブ2を前記駆動位置に向かって押すことができる。さらに、本発明は、駆動軸4の駆動端42とソケット端41の間に止め輪43をさらに設けることができるとともに、止め輪43とクラッチスリーブ2の間に第2ばね44が設けられることによって、第2ばね44により駆動軸4における中心軸線の方向に緩衝作用が備わる。
【0026】
本発明の操作方法は以下に説明する通りである。
【0027】
図3に示す通り、電動ドリルを正方向に回転させてねじをねじ込む必要がある場合、まず、ねじ回しヘッド7が深さ制御スリーブ6の通路63を下から上に突き抜けて、駆動軸4のソケット411に挿入されるようにし、この時、第1ばね3は、クラッチスリーブ2を下向きに押し動かすことで、クラッチ部品47を鎖定位置に位置させてねじ回しヘッド7に接合させ、同時に、スナップリング49は、ねじ回しヘッド7の周囲に設けられるスナップリング溝48に嵌め込まれてねじ回しヘッド7が位置決めされる。その後、ねじをねじ込む深さに応じて深さ制御スリーブ6を回転させることにより、ねじ回しヘッド7の端部と深さ制御スリーブ6の底部62との間の距離Hを調整することができ、それにより、電動ドリルを起動させて回転させることで、ねじ回しヘッド7を駆動させ、ねじ8を加工品にねじ込むことができ、ねじ8が加工品の底部62までねじ込まれ、加工品にに接触すると、深さ制御スリーブ6は筒体1と共にクラッチスリーブ2を駆動軸4に相対して軸方向に移動させて、環状溝21をクラッチ部品47の位置まで移動させることにより、クラッチ部品47は離合位置に位置し(図4に図示)、この時、ねじ回しヘッド7は、駆動させることができずねじのねじ込みは停止される。
【0028】
図5に示す通り、電動ドリルを逆回転させてすでに加工品にねじ込まれたねじを取り出す必要がある場合、まず、ねじ回しヘッド7によりねじ頭を保持した後、使用者は、手で筒体1を持ち、筒体1を上方に向かって軸方向に移動させ、クラッチ部品47を環状溝21の下方の別の固定位置(つまり、環状溝21の下方のクラッチスリーブ2の内壁面に対応する位置)にまで移動させてねじ回しヘッド7に接合させることによって、電動ドリルを起動させて逆回転させることでねじ回しヘッド7を駆動させ、ねじ8を加工品から取り出すことができる。ねじ8は加工品から取り出す過程で上昇し、ねじ8が所定の高さまで上昇すると、駆動軸4もそれに伴って上昇してクラッチ部品47が環状溝21の位置まで移動することにより、クラッチ部品47は離合位置(図6に図示)に位置することができる。この時、ねじ回しヘッド7は駆動させることができず駆動が停止される。
【0029】
上述の通り、本発明は、上述のクラッチ部品47が特殊な切頭円錐形構造に形成されることによって、インパクトドライバーに使用される際にねじ回しヘッドを効果的に挟持することができるとともに、ねじ回しヘッドがすぐに摩耗してしまい、駆動に不具合が生じるということがない。さらに、筒体1の内部とクラッチスリーブ2の間には、第2ばね44の構造が設けられることによって、インパクトドライバーの軸方向への衝撃力と回転力を効果的に抑制することができるとともに、筒体1の前端に設けられる深さ制御スリーブ6によって前端の長さを調整することができ、さらに、ねじがねじ込まれる深さを調整することができる。それにより、加工品の様々な材質または異なる深さのニーズに応じることができるとともに、ねじをねじ込む際にねじ頭を平らに保つことができる。さらに、本発明における深さ制御スリーブの底端には磁性部品が設けられ、素早くねじを引き付けることができるため、作業効率が向上する。さらに、本発明は、すでに加工品にねじ込まれたねじを取り出す必要がある場合、ねじ回しヘッドによりねじを保持した後、筒体を軸方向且つ後方に駆動位置まで移動させるとともに電動ドリルを逆回転させることで、素早くねじを取り出すことができ、作業効率が大幅に向上する。
【符号の説明】
【0030】
1 筒体
11 雄ねじ
12 蓋体
2 クラッチスリーブ
20 中心通路
21 環状溝
3 第1ばね
4 駆動軸
41 ソケット端
410 環状壁
411 ソケット
412 ラジアル孔
42 駆動端
43 止め輪
44 第2ばね
45 軸方向孔
46 ボールベアリング
47 クラッチ部品
471 切頭円錐内端部
472 円形外端部
473 円柱体中段部
474 平面部
48 スナップリング溝
49 スナップリング
5 磁性部品
6 深さ制御スリーブ
61 雌ねじ
62 底部
63 通路
64 ソケット
7 ねじ回しヘッド
71 多角形軸
72 溝
8 ねじ
H 距離
【要約】      (修正有)
【課題】ねじが加工品にねじ込まれる深さを制御することができるとともに、ねじを取り出す際に自動で駆動を停止させることのできるインパクトドライバーにおける調整可能式ねじのねじ込み及び取り出し両用停止装置を提供する。
【解決手段】筒体1と、螺旋が筒体の下端に組み合わされる深さ制御スリーブと、筒体内に設けられるクラッチスリーブ2と、クラッチスリーブに穿設される駆動軸4と、駆動軸の周囲とクラッチスリーブの間に配置される複数の切頭円錐形のクラッチ部品47とからなる。クラッチ部品の構造により、駆動軸が駆動位置に位置する場合にねじ回しヘッド7が効果的に挟持されるとともに、ねじ回しヘッドの摩耗が防止され、離合位置に位置する場合にねじ回しヘッドが素早く取り出される。前記筒体と筒体内に設けられるスプリング44により衝撃力と回転力が効果的に抑制される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7