(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】繊維強化3Dプリント
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20220419BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220419BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20220419BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20220419BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220419BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220419BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20220419BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/295
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/10
(21)【出願番号】P 2020539041
(86)(22)【出願日】2018-01-18
(86)【国際出願番号】 FI2018050037
(87)【国際公開番号】W WO2019141892
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520132403
【氏名又は名称】アークティック・バイオマテリアルズ・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Arctic Biomaterials Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ・フットゥネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンネ・ピヒラヤマキ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520459(JP,A)
【文献】中国実用新案第206048811(CN,U)
【文献】特表2003-534159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368739(US,A1)
【文献】国際公開第2015/188017(WO,A1)
【文献】特開2005-138422(JP,A)
【文献】特開2010-007052(JP,A)
【文献】国際公開第2018/001690(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(700)の積層造形法のための3次元プリンタ(300)であって、
3次元プリンタ(300)は、
製造される部品(700)を支持するビルドプラテン(100)と、
フィラメント(800)の熱可塑性マトリクス材料内に延在する1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む熱可塑性予備含浸繊維複合フィラメント(800)が積み込まれた繊維複合フィラメント供給部を含むまたはそれと接続されたプリントヘッド(500)と、を備え、
前記プリントヘッド(500)は、
前記繊維複合フィラメント供給部と加熱ノズル(2)の間の第1の加熱領域(1)であって、前記第1の加熱領域(1)は、前記予備含浸繊維複合フィラメント(800)を予備加熱するために、前記熱可塑性マトリクス材料の融解温度より高く、第1のヒータによって加熱可能である、第1の加熱領域(1)と、
前記部品(700)に前記繊維複合フィラメント(800)を取り付けるために、前記繊維複合フィラメント(800)に統合力及び/または圧縮力を与えるように前記加熱ノズル(2)の後に配置される、統合要素(9)であって、前記統合要素(9)は、ビルドプラテン及び前にプリントされた前記部品の構造物の少なくとも1つと対向し、前記加熱ノズル(2)は、前記繊維複合フィラメント(800)を加熱するために前記マトリクス材料の少なくとも融解温度に第2のヒータによって加熱可能である、統合要素(9)と、
選択された供給速度において、第1の加熱領域(1)を通って前記加熱ノズル(2)に、前記1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む前記繊維複合フィラメント(800)を運ぶためのフィラメントドライブ部(4)と、
前記マトリクス材料の融解温度未満に前記繊維複合フィラメント(800)の温度を維持するための、前記フィラメントドライブ部(4)と前記第1の加熱領域(1)の間の冷たい供給領域(6)と、
前記第1の加熱領域(1)と、前記加熱ノズル(2)の間の温度差を作り出すための前記第1の加熱領域(1)と前記加熱ノズル(2)の間の加熱されないヒートブレイク領域(7)と、を含み、
前記3次元プリンタ(300)は、3自由度で、前記ビルドプラテン(100)に対して、前記統合要素(9)を含む少なくとも前記プリントヘッド(500)を動かすために複数のアクチュエータを備える、3次元プリンタ。
【請求項2】
前記統合要素(9)を含む前記プリントヘッド(500)は、その選択された軸の周りを動作可能であり、
前記統合要素(9)を含む前記プリントヘッド(500)は、選択された回転において、回転可能であり、
前記ビルドプラテン(100)は、その選択された軸の周りを動作可能であり、及び/または
前記ビルドプラテン(100)は、選択された回転において、回転可能である、請求項1に記載の3次元プリンタ。
【請求項3】
さらに、前記第1及び第2のヒータ、前記フィラメントドライブ部(4)、前記統合要素(9)を含む前記プリントヘッド(500)、及び前記複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラ(200)を備え、
前記コントローラ(200)は、前記部品(700)を形成するために、前記複合フィラメント(800)の押し出し成形を引き起こす命令を実行するように構成される、請求項1または2に記載の3次元プリンタ。
【請求項4】
さらに、ポリマ押し出しノズルにポリマフィラメントを供給するように構成されたポリマドライブ部と、
前記ポリマの融解温度より高い温度へ前記ポリマフィラメントを加熱するように構成されたポリマヒータと、を含み、
前記ポリマ押し出しノズルは、前記部品を形成するために前記ポリマフィラメントを押し出すように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の3次元プリンタ。
【請求項5】
さらに、支持材料押し出しノズルに支持材料を供給するように構成された支持材料ドライブ部と、
前記支持材料の融解温度より高い温度へ、前記支持材料を加熱するように構成された支持材料ヒータと、を含み、
前記支持材料押し出しノズルは、前記部品(700)のために支持構造を形成するように前記支持材料フィラメントを押し出すように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の3次元プリンタ。
【請求項6】
前記コントローラ(200)は、支持材料、ポリマ、及び前記複合フィラメント(800)の層状構造の積層造形法を与える命令を実行する、請求項
3に記載の3次元プリンタ。
【請求項7】
部品の積層造形法のための方法であって、
フィラメントの熱可塑性マトリクス材料内に延在する1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む熱可塑性予備含浸繊維複合フィラメントを供給するステップと、
ビルドプラテンに製造される前記部品を支持するステップと、
繊維複合フィラメント供給部と加熱ノズル(2)の間の第1の加熱領域(1)において、予備含浸繊維複合フィラメントを予備加熱するステップであって、前記第1の加熱領域(1)の温度は、前記熱可塑性マトリクス材料の融解温度より高く設定される、予備加熱するステップと、
前記加熱ノズル(2)で前記繊維複合フィラメントを加熱するステップであって、前記加熱ノズルの温度は、前記マトリクス材料の融解温度より高く設定される、加熱するステップと、
前記部品(700)に前記繊維複合フィラメント(800)を取り付けるために、前記繊維複合フィラメント(800)に統合力及び/または圧縮力を、加熱ノズル(2)に取り付けられた統合要素(9)によって与えるステップと、
3自由度で前記ビルドプラテンに対して前記統合要素(9)を含むプリントヘッド(500)を複数のアクチュエータによって動かすステップと、
選択された供給速度で、前記第1の加熱領域(1)を通って前記加熱ノズル(2)に前記1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む前記繊維複合フィラメントを運ぶステップと、
前記フィラメントドライブ部(4)と前記第1の加熱領域(1)の間に延在する冷たい供給領域(6)において前記マトリクス材料の融解温度未満の温度に維持するステップと、
前記第1の加熱領域(1)と前記加熱ノズル(2)の間の温度差を作り出すために、前記第1の加熱領域(1)と前記加熱ノズル(2)の間の加熱されないヒートブレイク領域(7)において、前記繊維複合フィラメント(800)の加熱を中断するステップと、を備える方法。
【請求項8】
前記部品を形成するために前記複合フィラメントの押し出しを引き起こすステップを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記部品を形成するためにポリマ押し出しノズルによってポリマフィラメントを押し出すステップを備える、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記部品を形成するために支持材料押し出しノズルによって支持材料を押し出すステップを備える、請求項
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持材料、前記ポリマ及び前記複合フィラメントの層状構造の積層造形法を実行するステップを備える、請求項
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
支持、ポリマ及び複合繊維材料層の層厚さを変えることによって、前記支持材料、前記ポリマ及び前記複合フィラメントの層状構造の積層造形法を実行するステップを備える、請求項
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持材料、前記ポリマ及び前記複合フィラメントの自由に配置された3D構造の積層造形法を実行するステップを備える、請求項
11又は12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記支持材料、前記ポリマ及び前記複合フィラメントの自由に配置された3D構造の積層造形法を実行するステップを備え、
前記構造は、支持、ポリマ及び複合繊維材料の選択した領域の厚さを有する請求項
11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記統合要素(9)は、統合リング(9)である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3次元プリンタまたは請求項7乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の積層造形法及びさらに特に繊維強化部品の積層造形法のための方法及び3次元プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
次の背景記載技術は、洞察、発見、理解、または開示、または本発明より前の関連技術に知られてないが、本開示によって提供される開示との関連を含むかもしれない。本明細書で開示されるいくつかのそのような貢献は、具体的に以下に指摘される一方で、本開示によって含まれる他のそのような貢献は、発明がその文脈から明白であることを開示する。
【0003】
自動繊維配置(AFP)は、連続繊維が構造物を形成するために層ごとに所定の経路に一列に並べられる、複合構造物の積層造形法のためのプロセスを指す。熱可塑性複合材による自動繊維配置が当該技術分野で知られている。AFP技術は、連続強化繊維(カーボン、ガラスなど)を備える熱硬化性及び熱可塑性ポリマの両方で用いられる。AFPにおいて、熱可塑性ポリマ原料は、含浸され、製造済みであり、及び固められたファイバトウ(fiber tow)の形をしている。ファイバトウは、ファイバトウがマトリクスポリマ(すなわち熱可塑性ポリマ)の融解温度より高く加熱されるプリントヘッドを通って供給される。プリントヘッドは、所定の3次元(X-Y-Z)経路の繊維のプリントを完成させるように構成されたロボットと接続され、その結果、最終部品の所望の構造が形成される。
【0004】
溶融フィラメント製造(FFF)は、熱可塑性材料の連続フィラメントが用いられる3次元(3D)プリント技術である。溶融フィラメント製造技術を用いることによって製造される3Dプリントオブジェクトの機械特性は、これらのオブジェクトが、典型的にポリマのみから構成される事実によって制限される。この制限は、フィラメントをプリントするためにポリマに大きめのみじん切りにした(短い)繊維強化材を加えることによって緩和されるが、これは、3Dプリントオブジェクトの機械特性を際立って改善しない。
【0005】
高強度を提供するためにプラスチック複合材に連続繊維強化材を用いる。しかしながら、これまでの溶融フィラメント製造で連続繊維強化材を用いる際の商業経験は、非常に限られている。
【0006】
米国特許第5936861号は、強化繊維がプリント装置に結びつられた外部含浸バスでのプリントプロセスの間含浸されている、予備含浸連続繊維強化原料を用いる単一ノズルの押し出しによる連続繊維強化材の溶融フィラメント製造(FFF)のための技術を開示する。繊維強化材は、プリント装置前に配置された外部含浸装置で3Dプリントの間含浸される。代わりに、共粉砕ファイバトウが用いられ、ここでマトリクス及び強化繊維は、両方ともマトリクス繊維が溶融し、繊維を含浸する3Dプリントノズルを通って供給される同じファイバトウで繊維の形である。
【0007】
Ryosuke Matsuzakiらによる公表文献「インノズル含浸による連続繊維複合材の3次元プリント」(Scientific Reports 6,Article number:23058(2016),doi:10.1038/srep23058,2016年3月11日オンライン公開(http:www.nature.com/articles/srep23058))は、含浸ノズルを用いる装置を開示し、ここで、繊維は、特別に設計された含浸ノズルでプリントプロセスの間、熱可塑性ポリマによって含浸される。
【0008】
米国特許出願14/491439及び米国特許第9327453号は、ポリママトリクス及び連続繊維強化材をプリントするためにデュアル押し出し機を用いることを開示する。それらは、FFFを用いることを開示し、ここで、連続繊維の3Dプリントは、熱可塑性ポリマによって含浸され、繊維プリントノズルで加熱された予備含浸された、製造済みの、固められた繊維フィラメントを用いて実行される。3Dプリンタは、またマトリクス材料をプリントするためにもっぱら用いられる別のプリントノズルを含む。繊維プリントノズルは、インノズル溶融繊維強化フィラメントに平坦化/アイロン力を与える。平坦化/アイロン力は、自動繊維配置技術の統合力に等しい。
【0009】
連続繊維をプリントするためのFFF法とAFP法の両方は、最終構造を形成するために連続繊維強化材を与えることによって、層ごとに3D構造層を作り出すために用いられる。FFF及びAFPにおいて、熱可塑性または熱硬化性ポリママトリクスに組み込まれる連続繊維は、連続繊維強化3D構造を形成するためにプリントヘッドを通って押し出される。AFP及び連続繊維のFFFは、プリントオブジェクトの大きさ及び形で異なる。AFPにおいて通常非常に大きいオブジェクトが作り出され、AFPは、これに限定されるものではないが、通常空洞構造を作るために用いられる。連続繊維のFFFは、他方で任意の形状の小さいオブジェクトを作り出すために用いられる。
【0010】
連続繊維のFFF及び熱可塑性ポリマのAFP技術の両方において、原料は、含浸された、製造済みで固められた繊維強化トウの形をなす。連続繊維のFFF及び熱可塑性ポリマのAFP技術の両方において、原料トウは、トウがマトリクスポリマの融解温度より高く加熱されるプリントヘッドを通って供給された後、繊維が層ごとにプリント表面上に並べられる。連続繊維のFFFと熱可塑性ポリマのAFP技術の両方において、溶融繊維は、繊維を製造された部品に取り付ける圧縮力(すなわち、統合力及び/または平坦化/アイロン力)を受ける。AFPにおいて、圧縮/統合力は、統合ローラによって与えられ、及び連続繊維のFFFにおいて、圧縮/統合力は、加熱繊維プリントノズル(アイロンリップ)の外側形状によって与えられる。AFP技術において、この力は、圧縮/統合力と言われ、連続繊維のFFFにおいて、この力は、平坦化/アイロン力と言われる。FFF及びAFPは、熱可塑性または熱硬化性ポリマに組み込まれる連続繊維を押し出し、積層造形法、すなわち3Dプリントによってそのような材料からオブジェクトを作り出すために用いられることができる。既存の3Dプリント技術と連続繊維をプリントするための自動繊維配置技術の間の差は、プリントされるオブジェクトの大きさと形にある。
【0011】
FFFとAFPにおいて、プリントされた部品への繊維の圧縮(ぎっしり詰める)は、ポリマ表面の溶融結合によって生じる。溶融結合は、親密な接触、分子拡散(レプテーションまたは自着)及び統合:の3つのステージを伴う。親密な接触ステージは、それぞれの表面のポリママトリクスがお互いに直接接触するように、熱及び圧力下で2つの表面を合わせるステップを伴う。親密な接触が得られるとすぐに、ポリマ鎖は、熱振動によって2つの層(表面)の間を拡散し、結合を形成するためにからまる。最後に、結合領域は、圧力下で冷却され、粘着結合が得られる。
【0012】
他の技術は、繊維が特別に設計された含浸ノズルでプリントプロセスまたはお互いの上に繊維層を積み重ねる間、熱硬化性光硬化性ポリマによって含浸される含浸ノズルを使用する装置を含む。
【0013】
上記された方法の代わりに、連続繊維強化材の3Dプリントのためのさらに進歩した技術を提供する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第5936861号明細書
【文献】米国特許出願14/491439号明細書
【文献】米国特許第9327453号明細書
【発明の概要】
【0015】
次は、本発明のいくつかの典型的な態様の基本理解を提供するために本明細書で開示される特徴の簡略化した概要を表す。この概要は、本発明の広範な概要ではない。本発明のキー/重要な要素を識別し、本発明の範囲の輪郭を描く意図はない。その1つの目的は、さらに詳細な記載への導入部として簡略化した形で、本明細書に記載されるいくつかの概念を表すことである。
【0016】
1つの態様によると、独立請求項の主題が提供される。実施形態は従属請求項で定義される。
【0017】
実施の1またはそれ以上の実施例は、以下に添付された図面と記載でさらに詳細に記載される。他の特徴は、記載及び図面から、及び請求項から明白であろう。
【0018】
次に、本発明は、添付された図面を参照して好ましい実施形態によってさらに詳細に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】1つの典型的な実施形態による3Dプリンタを描く概略図である。
【
図2】従来技術の3Dプリントユニットを描く概略図である。
【
図3】1つの典型的な実施形態による3Dプリントユニットを描く概略図である。
【
図4】1つの典型的な実施形態による3Dプリントプロセスを描くフローチャートである。
【
図5】1つの典型的な実施形態による繊維プリントユニットを描く概略図である。
【
図6A】1つの典型的な実施形態による3Dプリント部品を描く概略図である。
【
図6B】1つの典型的な実施形態による3Dプリント部品を描く概略図である。
【
図7A】1つの典型的な実施形態による3Dプリント構造を描く概略図である。
【
図7B】1つの典型的な実施形態による3Dプリント構造を描く概略図である。
【
図8A】プリントヘッドの典型的な構造を描く概略図である。
【
図8B】プリントヘッドの典型的な構造を描く概略図である。
【
図8C】プリントヘッドの典型的な構造を描く概略図である。
【
図8D】プリントヘッドの典型的な構造を描く概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次の実施形態は典型例である。明細書は、いくつかの場所で「1つの」(an)、「1つの」(one)、または「いくつかの」(some)実施形態を指すが、これは必ずしもそれぞれそのような参照が同じ実施形態への参照であること、またはその特徴が単一の実施形態のみに適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の特徴は、他の実施形態を提供するために結合されることもできる。さらに用語「備える」(comprising)、「含む」(containing)及び「含む」(including)は、言及されたそれらの特徴のみからなることに記載された実施形態を限定しないことが理解されるべきであり、そのような実施形態は、具体的に言及されない特徴/構造も含んでもよい。
【0021】
実施形態は、ポリマ及びポリママトリクスに組み込まれる連続/準連続繊維強化材から構成されている3Dプリントオブジェクトの構造、及びそのような構造の積層造形法のための方法を開示する。
【0022】
図1は、支持材料を3Dプリントするための第1のプリントユニット400、ポリマフィラメントを3Dプリントするための第2のプリントユニット600、及び複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするための第3のプリントユニット500:の3つの分離した3Dプリントユニット(すなわちプリントヘッド)を含む典型的な3Dプリンタ300を描く。第1のプリントユニット400、第2のプリントユニット600、及び第3のプリントユニット500は、X/Y/Z次元で、及びX/Y/Z軸の周りの可能な3D回転のそれぞれで、自由に動くことができる(すなわち、それぞれのプリントヘッド400,500,600は、制御可能で、プログラム可能で、3次元空間軸で操作でき、さらに任意に3回転軸の周りに回転可能である)。しかしながら、プリントユニットの数は、3つに制限されない。代わりに、他の実施形態は、例えばポリマ、複合繊維フィラメント、及び/または支持材料を3Dプリントするための2またはそれ以上のプリントユニットを含むことができる。3Dプリンタ300は、さらに製造される部品700を支持するための動作可能なまたは固定されたビルドプラテン100、及び第1、第2及び第3のプリントユニット400,500,600に動作可能に接続されたコントローラ200を備える。
【0023】
複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするための典型的なプリントユニット500の構造及び動作は、例えば
図3、4、5及び8A-8Cに関連してさらに詳細に以下に記載される。
【0024】
図2は、熱可塑性樹脂で予備含浸された連続繊維強化複合フィラメントの3Dプリントのための押し出し機を備える、3Dプリントのための従来技術の解決法を描く。繊維フィラメント800は、ファイバトウ3の形であり、フィラメントドライブ部4は、繊維複合フィラメント800を、冷たい供給領域6を通って加熱ノズル11に運ぶように構成される。
図2の解決法において、加熱ノズル11は、3Dプリントの間、「アイロン力」(すなわち統合力)を3Dプリントされるフィラメント800のポリママトリクスに与えるために「アイロンリップ」と呼ばれる形状特徴を有する。ノズル11の先端に配置される小さい平坦領域によって与えられるこの「アイロン力」は、分離した圧縮ローラを用いるAFP技術で与えられる統合力と同じである。カッタ5は、部品の分離した構成要素を形成するために繊維強化フィラメント800を切断する。
図2の状況において、ファイバトウ3と押し出し機のノズル11の間の温度は、Tm(Tm=ポリママトリクスの融解温度)未満に保持され、繊維強化複合フィラメント800は、6.4×10
-3mm
2より大きく、1.3mm
2未満の断面領域を有する。
【0025】
典型的な実施形態は、1つの実施形態において、繊維フィラメント供給が異なる方法で実施される点で、繊維強化オブジェクトの3Dプリントのための従来技術の解決法と異なる。典型的な実施形態は、さらに1つの実施形態において、統合力が異なる方法で与えられる点で、繊維強化オブジェクトの3Dプリントのための従来技術の解決法と異なる。
【0026】
図3は、典型的な実施形態による3Dプリント配置を描く。
図3において、複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするためのプリントユニット500は、熱可塑性マトリクス材料で予備含浸された連続強化複合フィラメントの3Dプリントのための押し出し機を備える。繊維フィラメント800は、ファイバトウ3の形であり、フィラメントドライブ部4は、繊維複合フィラメント800を冷たい供給領域6、第1の加熱領域1(加熱領域1)、及び第1のヒートブレイク領域7(ヒートブレイク7)を通って、加熱ノズル2(すなわち第2の加熱領域2、加熱領域2)に運ぶように構成される。加熱ノズル2は、加熱ノズル2の後に配置される(統合リング9である)統合要素9によって囲われる。統合リング9は、フィラメント800を部品700にそっと適用する(押しつける)ように構成される。統合リング9は、加熱されてもされなくてもよい。
【0027】
プリントフィラメント800と基礎材料の最終取り付けは、加熱されない、加熱ノズル2より低く(プリント部品700の近くに)突出する統合リング9で生じる。圧縮の後、フィラメント800の固化は、外部冷却装置(
図3で図示せず)による部品の冷却を含む冷却段階の間、生じる。
【0028】
カッタ5は、例えば部品700の分離した構成要素を形成するために、繊維強化フィラメント800を切断するように構成される。
【0029】
図3で示されるように、第1の加熱領域1は、加熱ノズル2の前に配置され、ここで、予備含浸繊維複合フィラメント800は、第1の加熱領域1で予備加熱され、押し出し機の温度は、ファイバトウ3と加熱ノズル2の間のTm(Tm=熱可塑性マトリクス材料の融解温度)未満に維持される(代わりに加熱ノズル2前の第1の加熱領域1の温度は、Tmより高い)。
【0030】
第1の加熱領域1(加熱領域1)は、温度T≧Tm(Tmはポリママトリクスの融解温度)である予備加熱領域である。第1の加熱領域1は、加熱ノズル2(加熱領域2)の前に配置され、第1のヒートブレイク領域7は、第1の加熱領域1と加熱ノズル2の間にある。加熱ノズル2と第1の加熱領域1は、分離したヒータを有してもよい(
図3に図示せず)。例えば、加熱ノズル2の温度は、第1の加熱領域1の温度より高いまたはその逆でもよい。加熱ノズル2に到達する前に材料(すなわちポリママトリクス)を予備加熱する第1の加熱領域1は、材料が加熱ノズル2(加熱領域2)に入る前に予備加熱されるので、3Dプリントプロセスを高速にできる。そのためプリントプロセスの速度を上げることができる。
【0031】
加熱領域1(予備加熱領域)は、さらに繊維フィラメント層の圧縮を改善する一方で、またプロセス速度を上げる。圧縮の改善は、繊維フィラメントが長期間及び/または長い次元の領域上で加熱される事実の結果である。圧縮は、加熱ノズル2の前の加熱領域1(予備加熱)で繊維800を囲うマトリクスポリマの良い予備加熱を確実にすることによって改善される。
【0032】
統合リング9は、加熱ノズル2を囲うように配置される。統合リング9は、繊維フィラメント800を3Dプリントされる部品700に圧縮する。統合リング(または圧縮リング)9は、加熱ノズル2に取り付けられる分離した存在物である。部品700と加熱ノズル2の間の隙間は、統合リング9及び部品700の間の隙間より大きい。統合リング9は、絶縁材料(例えばセラミックなど)を有して形成され、統合リング9は、非加熱である。代わりに、統合リング9は、金属を有して形成され、統合リング9は、(分離した)ヒータによって加熱されてもよい(
図3で図示せず)。
【0033】
統合リング9は、予備加熱(または非加熱または冷却)繊維フィラメント800を部品700に超音波溶接するために溶接ヘッドとして機能するように構成される。
【0034】
さらにヒートブレイク8は、加熱領域2(すなわち加熱ノズル2)と統合リング9の間に配置されてもよい(
図5参照)。
【0035】
図5は、さらに詳細な実施形態によるノズルシステム/ノズル配置/ノズルユニット500(すなわちプリントユニット500)をさらに描く。
図5に示される3Dプリントユニット500は、1つの実施形態による、フィラメント供給、フィラメント溶融、フィラメント800の加熱ノズル2の通過、及び(圧縮リングまたは統合リング9である)圧縮要素でのフィラメント圧縮を成し遂げるように構成される。統合リング9は、プリントユニット500のカバー構造/筐体25の形状部分である。圧縮リングはそのためカバー構造/筐体25または任意の適切な部分/部品と接続する分離した部品である(
図8A、8B、8C、8D参照)。
図5で示される3Dプリントユニットは、統合リング9及び予備加熱領域(すなわち加熱領域1)を含む。プリントユニット500は、さらに断熱材7,8,20(すなわち例えば空気または液体によって任意に冷却されるヒートブレイク7,8,20)、加熱領域2(加熱ノズル2)、(加熱領域1を囲う)予備加熱領域1のための熱電素子21、加熱ノズル2のための熱電素子24、空隙22、及び例えば空気または液体によって冷却されるヒートシンク23を含む。断熱材7は、予備加熱領域(すなわち加熱領域1)と加熱領域2(すなわち加熱ノズル2)の間に配置されたヒートブレイク7に対応する。断熱材8は、加熱領域2(すなわち加熱ノズル2)と統合リング9の間に配置される。断熱材20は、予備加熱領域(すなわち加熱領域1)の前の冷たい供給領域6において配置される。
【0036】
1つの実施形態は、繊維層がポリマ層の厚さと比較して、同じまたは異なる厚さを有するように、層状構造の3Dプリントを可能にする。単一繊維層の厚さは、1またはそれ以上のポリマ層と等しい。単一の繊維層は、いくつかのポリマ層と等しいことが好ましい。繊維800は、ポリマ層/いくつかのポリマ層によって形成される溝にプリントされる。
【0037】
1つの実施形態において、太い繊維複合フィラメント(直径≧0.9mm)が用いられ、いくつかのポリマ層は、1つの繊維複合フィラメント層の上/下/周りに適用される。2より多いプリントユニット/ノズルが用いられる(少なくともその1つは、複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするためのプリントユニット500、すなわち
図3の3Dプリント配置である)。太い繊維複合フィラメントの直径は、0.9mmまたはそれより大きい。
【0038】
1つの実施形態において、細い繊維複合フィラメントが用いられる。細い繊維複合フィラメントの直径は、0.1mm-0.9mmである。細い繊維複合フィラメントの直径は、ポリマ層の直径と同じまたはそれより大きい。後者の場合において、いくつかのポリマ層は、1つの繊維複合フィラメント層の上/下/周りに適用される。
【0039】
1つの実施形態において、繊維強化複合フィラメントは、熱可塑性マトリクス材料で予備含浸される。複合繊維フィラメントのマトリクス材料(及びプリントユニット600によって3Dプリントされるポリマフィラメントも)は、熱可塑性であり、それゆえ光硬化は必要ない。
【0040】
1つの実施形態において、予備含浸繊維強化複合フィラメント800は、繊維強化複合フィラメントが加熱ノズル2に入る前に、温度がマトリクス材料の融解温度より高い第1の加熱領域1で加熱される。そのため、追加の加熱領域1は、加熱ノズル2の前に配置される。この追加の加熱領域1は、材料が加熱ノズル2に入る前に加熱されるので3Dプリントを高速にできる。追加の加熱領域1の予備加熱は、繊維フィラメント加熱が改善されるのでプリントされた繊維フィラメントの部品を前にプリントされた材料層に統合することを改善することができる。これは、特に高速のプリントが用いられるとき役立つ。追加の加熱領域1の温度は、マトリクスポリマ材料の融解温度より高い。
【0041】
典型的な方法において、繊維強化複合フィラメントの供給速度は、調整される。繊維強化複合フィラメントの供給速度は線形及び/または一定である必要はない。繊維強化複合フィラメントの供給領域は、マトリクス材料が予備加熱される加熱領域1が繊維強化複合フィラメント800の供給領域に配置されるので、熱可塑性マトリクス材料の融解温度未満に全体に維持されない。繊維強化複合フィラメント800の供給領域は、全体に冷たくない。加熱領域1と加熱領域2の間の第1のヒートブレイク領域7は、非加熱であり、第1のヒートブレイク領域7の温度は、加熱領域1及び加熱領域2の温度より低い。ヒートブレイク領域7の目的は、加熱領域1と加熱ノズル2の間の温度差を作り出すことである。ヒートブレイク領域7/それによって作り出される温度差は、無関係に加熱領域1及び加熱ノズル2の温度の制御を可能にする。
【0042】
1つの実施形態において、支持材料のためのプリントユニット400(
図1参照)は、最終3Dプリント部品から取り除かれるべき支持材料を3Dプリントするように構成される。ポリマのためのプリントユニット600は、3Dプリントされた部品の周辺(表面)、細部、及び/またはポリマ充填構造を3Dプリントするように構成される。複合繊維フィラメントのためのプリントユニット500は、比較的層の厚さの厚い(典型的にポリマ層の厚さより厚い)及び線幅の広い(通常、ポリマの幅より広いが、ポリマの線幅と比較して同じまたは狭くてもよい)連続繊維強化材を3Dプリントするように構成される。連続繊維強化材は、熱可塑性マトリクス材料で予備含浸された繊維フィラメントを備える複合繊維フィラメントである。プリントユニット400,500,600のノズルは丸められる。
【0043】
加熱ノズル2は、非加熱で、断熱材料を有して製造される圧縮リング9によって囲われる。代わりに、圧縮リング9は、加熱され、例えば金属などの効率よく熱伝導する材料を有して製造されてもよい。加熱ノズル2とプリントベッド(ビルドプラテン100)または前にプリントされた材料層(部品700)の間の間隙は、プリントベッド100または前にプリントされた材料層700と圧縮リング9の間の間隙より大きいまたは等しい。
【0044】
1つの実施形態において、ポリマの3Dプリントのために用いられるポリマワイヤは、連続0.1mm-5mm直径ポリマフィラメントの形であり、ポリマのためのノズルの内径は比較的小さく(通常0.1mm-3mm)、ポリマの3Dプリント線幅は、微細である(通常0.1mm-5mm)。しかしながら、原料フィラメントは、丸いワイヤの幾何形状とは異なる幾何形状を有する。フィラメントの任意の断面形状は、可能である。
【0045】
1つの実施形態において、3Dプリントのための連続繊維強化材は、0.1mm-10mmの太さを有する比較的太い繊維複合フィラメントの形である。そのため、繊維複合フィラメントのためのノズルの内径は、通常0.1mm-20mmであり、繊維強化材の3Dプリントされた線幅は、0.2mm-40mmである。しかしながら、原料フィラメントは、丸いワイヤの幾何形状とは異なる幾何形状を有する。フィラメントの任意の断面形状は可能である。
【0046】
図6A、6B、7A及び7Bは、典型的な実施形態による3Dプリント部品を描く簡略化された図である。
【0047】
1つの実施形態において、加熱ノズル2を利用することによって3Dプリントされた部品の繊維強化材は、ポリマのためのノズルを用いることによって3Dプリントされたポリマ層の層厚さより層厚さが厚い。3Dプリントされたオブジェクト700において、単一の複合繊維フィラメント層によって覆われたいくつかの薄いポリマ層がある(
図6A参照)。複合繊維フィラメント層は、また3Dプリントされた部品の内部に組み込まれる(
図6A参照)。3Dプリント時間の大部分は、通常3Dプリントされる部品を満たすことによって消費されるので、3Dプリントされる部品の内部(または上)に複合繊維フィラメント層によって提供される複合繊維フィラメント層の増加は、3Dプリント時間の際立った減少を可能にする。
【0048】
3Dプリントされた線の線幅は、対応する押し出し機ノズルの直径に依存し、すなわちノズルの直径が小さいと微細な線幅を有する線の3Dプリントを可能にし、ノズルの直径が大きいと、太い線幅を有する線の3Dプリントを可能にする。
【0049】
プリントユニット400,600、ポリマ/ポリマフィラメント供給のためのノズル、及び支持材料/支持材料供給のためのノズルは、既存の技術及びシステムを利用することによって達成される。したがって、それらは本明細書でさらに詳細に議論しない。
【0050】
最終3Dプリント部品700は、ポリマ部、連続繊維強化部、及び追加の充填及び支持構造を含む。
【0051】
繊維フィラメントプリントにおいて、ノズルは、繊維フィラメントが押し出される装置を指す。繊維フィラメントプリントにおいて、ノズル2を通って押し出される繊維フィラメントの速度は、繊維ドライブ部4によって決定される、ファイバトウ3からのフィラメント供給の速度と同じ、またはそれより遅いまたはそれより速い。ノズル2及び/または統合リング9は、断面領域を制限しない。
【0052】
1つの実施形態において、ファイバトウ3からの(繊維ドライブ部4によって決定される)フィラメント供給速度は、短期間ノズル2を通るフィラメント押し出し速度と等しく、その後、繊維ドライブ部4/ファイバトウ3は、自由に回転しながら、フィラメント800はノズル2を通って押し出される。
【0053】
1つの実施形態において、ファイバトウ3からの(繊維ドライブ部4によって決定される)フィラメント供給速度は、短期間ノズル2を通るフィラメント押し出し速度と等しく、その後、繊維ドライブ部4/ファイバトウ3は、あらかじめフィラメントを装填しながら、フィラメント800はノズル2を通って押し出される。
【0054】
フィラメントは、3次元プリントの意味を保持する、糸巻き組み立て材の断面領域を指し、ストランドは、一緒に全複合フィラメントを形成する、例えばマトリクスに組み込まれた個々の繊維を指す。
【0055】
3Dプリントプロセスの間、連続強化フィラメントは、3次元構造を形成するために、層700を組み立てるようにビルドプラテン100上に適用される。ビルドプラテン100の位置及び配向及び/またはそれぞれのノズルの位置及び配向は、所望の位置及び方向に連続繊維強化フィラメントを堆積するために1またはそれ以上のコントローラ200によって制御される。3Dプリント材料(支持材料、ポリマ、及び繊維フィラメント)のそれぞれの方向及び位置は、X、Y及びZ方向に、及びこれらの方向のそれぞれの周りの全ての可能な回転が制御される。位置及び配向制御機構は、ビルドプラテン100及び/または構築される部品の層700に対して、ノズルの相対位置または速度を監視するためのコントローラ200への位置及び/または変位センサを備える、ガントリシステム、ロボットアーム、及び/またはHフレームを含む。コントローラ200は、ノズルまたはプラテン100の動作を制御するために、感知されたX、Y及び/またはZ位置及び/または変位及び/またはX、Y及びZ位置/軸の1またはそれ以上の周りの回転、または速度ベクトルを用いることができる。
【0056】
3次元プリンタ300は、構造に分離した構成要素を形成するために、連続繊維強化フィラメント800を切断するように、コントローラ200によって制御されるカッタ5を含む。カッタ5は、例えば切断刃、またはレーザであることができる。
【0057】
フィラメントドライブ部4は、(コントローラ200によって可変的に制御可能なまたはそうでない)供給速度において溶融されないフィラメント800を供給または押し、その後、複合フィラメント800のマトリクス材料は、
図3に関連して記載されるように、加熱される。
【0058】
複合フィラメント800及びそれによりマトリクス材料は、温度がマトリクス材料の融解温度より高く、連続繊維強化材の融解温度より低く設定された加熱領域1で加熱される。
【0059】
コントローラ200は、3Dプリントを達成するために、ノズル2の位置及び動作、供給速度、プリント速度、カッタ5及び/または温度を制御する。
【0060】
部品700が完成するとき、最終部品700は、ビルドプラテン100から取り除かれる。代わりに、任意のコーティングが保護コーティングを提供する及び/または図または画像を最終部品に適用するために二次プリントヘッドを用いて部品に堆積されてもよい。
【0061】
残った空間は、空孔として残されるか、例えばポリマなどの分離した材料で満たされる。
【0062】
加熱ノズル1,2は、例えば銅、ステンレス鋼、真ちゅうなどで作られる、熱伝導物である。
【0063】
ノズルは、それぞれ同じまたは異なるノズル直径を有する。
【0064】
実施形態は、連続繊維強化材を3Dプリントすることができる進歩した3Dプリンタを開示する。既存の3Dプリンタ及び方法と比較した場合に、代わりの方法で連続繊維強化材を3Dプリントすることができる、部品の積層造形法のための進歩した3Dプリンタ及び方法が開示される。
【0065】
1つの実施形態は、従来のFFFプリンタを用いることによって3Dプリントされたオブジェクトより強い3Dプリントオブジェクトを作り出すことができる。1つの実施形態は、また3Dプリント時間を最小にすることができる。1つの実施形態において、3Dプリントオブジェクトは、繊維強化材によって補強される。1つの実施形態は、連続繊維強化材を3Dプリントされるオブジェクトに含めることができる。
【0066】
1つの実施形態において、3Dプリンタ300は、複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするためのプリントユニット500及びポリマフィラメントを3Dプリントするためのプリントユニット600を含むが、支持材料を3Dプリントするためのプリントユニット400はない。
【0067】
1つの実施形態において、3Dプリンタ300は、複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするためのプリントユニット500及び支持材料を3Dプリントするためのプリントユニット400を含むが、ポリマフィラメントを3Dプリントするためのプリントユニット600はない。
【0068】
1つの実施形態において、3Dプリンタ300は、複合繊維強化フィラメント800を3Dプリントするためのプリントユニット500を含むが、支持材料を3Dプリントするためのプリントユニット400及びポリマフィラメントを3Dプリントするためのプリントユニット600はない。
【0069】
複合繊維フィラメントは、繊維強化材及び繊維束を一緒に結合する熱可塑性マトリクスポリマを有して形成される。繊維強化材は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、天然繊維(例えばケナフ、麻など)、熱可塑性ポリマ繊維(例えば、ポリアミド、PLA、など)、及び/または(単一の複合繊維フィラメントに2またはそれ以上の異なる繊維を含む)ハイブリッド繊維を含む、1またはそれ以上の糸を含むことができる。それぞれの糸は、1から1000000の個々の繊維を含むことができる。
【0070】
複合繊維フィラメントで繊維強化材を結合するために用いられるマトリクス材料は、例えば、これに限定されるものではないが、PLA、PGA、PLGA、PLDLA、PCL、TMC、PA、PE、PEEK、PEKK、様々なモノマのコポリマ、及び/または様々な熱可塑性ポリマ/コポリマの混合物など、熱可塑性ポリマを含むことができる。
【0071】
ポリマフィラメントは、例えば、これに限定されるものではないが、PLA、PGA、PLGA、PLDLA、PCL、TMC、PA、PE、PEEK、PEKK、様々なモノマのコポリマ、及び/または様々な熱可塑性ポリマ/コポリマ/添加物の混合物など、熱可塑性ポリマを含むことができる。
【0072】
支持材料は、複合繊維フィラメント及びポリマフィラメントで用いられるポリマの溶媒と異なる溶媒に溶ける任意の熱可塑性ポリマを含むことができる。溶媒は、これに限定されるものではないが、水、酢酸、アセトン、油などを含む。代わりに、支持材料は、任意の熱可塑性ポリマ、コポリマ及び/またはプリントプロセス後、3Dプリント部品から機械的に分解する混合物を含むことができる。その場合において、支持材料の溶解度に制限または要求はない。
【0073】
図4は、熱可塑性予備含浸繊維複合フィラメント800の3Dプリントのための典型的なプロセスを描くフローチャートである。
図4を参照して、部品700の積層造形法のための方法は、フィラメント800の熱可塑性マトリクス材料内に延在する1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む熱可塑性予備含浸繊維複合フィラメント800を供給するステップ401を備える。製造される部品700は、動作可能または固定されたビルドプラテン100上に支持される。予備含浸繊維複合フィラメント800は、3Dプリントユニット500の繊維複合フィラメント供給部3と加熱ノズル2の間に延在する第1の加熱領域1において3Dプリントユニット500で加熱される402。第1の加熱領域1の温度は、熱可塑性マトリクス材料の融解温度より高く設定される。本発明の方法は、さらに繊維複合フィラメント800の温度を保つ、またはより高い温度へ繊維複合フィラメント800を加熱するために、加熱ノズル2において予備含浸繊維複合フィラメント800を加熱するステップ404を備える。加熱ノズル2の温度は、マトリクス材料の融解温度より高く設定される。熱可塑性予備含浸繊維複合フィラメントは、加熱ノズル2から圧縮リング9を通って押し出され、プリントユニット500及び/または圧縮リング9及びビルドプラテン100は、複数のアクチュエータによって3自由度でお互いに対して動かされる405(例えば、プリントユニット500及びビルドプラテン100は、3自由度で、お互いに対して動かされる405)。代わりに、ビルドプラテン100は、固定され、部品700を作り出すための必要動作は、X、Y及びZ方向に、場合によってはこれらの軸の周りの全ての可能な回転で、プリントユニット500及び/または圧縮リング9を動かすことによってのみ発生される。圧縮リング9は、圧縮力を押し出される繊維フィラメント800に与え、繊維フィラメント800が前にプリントされた繊維/ポリマ/支持層700にしっかりと取り付くことを確実にする。圧縮リング9の後に、プリントされた繊維層を冷却し、その固化を改善する追加の冷却ユニットが続く。1またはそれ以上の非弾性軸繊維ストランドを含む繊維複合フィラメント800は、選択された供給速度で、第1の加熱領域1を通って加熱ノズル2に運ばれ406、ここで供給速度及び/またはプリント速度は制御される。繊維複合フィラメント800の加熱は、第1の加熱領域1と加熱ノズル2の間の非加熱ヒートブレイク領域7で中断される403。繊維複合フィラメント800は、プリントプロセスの間、移動するヒートブレイク領域7の温度は、制御されない。第1の加熱領域1及び加熱ノズル2は、ヒートブレイク領域7によってお互いから熱的に分離される(断熱される)。部品700を形成するために、フィラメント800は、部品700(例えば、前にプリントされた繊維、ポリマまたは支持層)またはビルドプラテン100に接着される407。フィラメント800は、例えば、部品700が完成したとき409、供給される材料が、例えばポリマフィラメント/支持材料に変わったとき、または部品700の設計がそのように要求するときなど、カッタ5によって切断される408。
【0074】
1つの実施形態において、固化は、加熱ノズル2後の冷却段階の間に生じる。
【0075】
図7A及び7Bは、典型的な実施形態による3D構造を描く概略図(概略斜視、側面、上面図)である。
【0076】
1つの実施形態によるプリント構造物において(すなわち3Dプリント部品700において)、繊維強化材は、0.1mm-10mm厚さのフィラメントのように見える。1つの実施形態において、加熱ノズル2の内径(すなわち第2の加熱領域2)は、通常0.1mm-20mmであり、プリント線幅は、0.2mm-40mmである。
【0077】
(繊維プリントユニット500を用いてプリントされる)単一の繊維強化材は、(ポリマプリントユニット600を用いることによってプリントされる)単一のポリマ層の層厚さより厚い層厚さを有する。そのため、1つの実施形態に従う方法及び3Dプリンタによってプリントされた部品700において、1つの繊維層のみが覆う同じ高さのいくつかのポリマ層がある。繊維層は、3Dプリント部品700の内部に組み込まれる。プリント時間の大部分は、通常プリントされる部品700を充填することによって消費されるので、部品の内部の厚い繊維層による層厚さの増加は、際立ってプリント時間を減らす。
【0078】
部品700は、ポリマ構造、連続または準連続繊維強化材、追加の充填材、及び支持材料:の4つの部分を含む。3Dプリントを達成するために、3Dモデルは、ロードされ、プリントパラメータは、部品の部分のために設定される。3Dモデルは、ロードされ、パラメータは、プリントの結果として、部品を完成するために、ポリマ構造が部品の外側及び内側形状を形成し/画定し、支持材料は、部品700のための支持構造を形成し、繊維強化材は、部品を強化し、追加の充填材は、部品700の繊維層の空の空間/領域(すなわち、プリントされる繊維フィラメント800の間)を満たすように、設定される。プリントパラメータは、例えばそれぞれの層の層高さを含む。
【0079】
図8A、8B、8C及び8Dは、統合要素9と第1の加熱領域1を含むプリントヘッドの典型的な構造を描く概略図である。線A-Aによる断面が示される。
【0080】
図8Aにおいて、統合要素は、プリントヘッドカバー構造の固定部分である。
図8Aに示されるプリントヘッド構造は、
図5に示される構造と同様である。
【0081】
図8Bにおいて、統合要素は、プリントヘッドカバー構造の固定部分でない。代わりに、統合要素は、プリントヘッドカバー構造に対して動作可能である。
【0082】
図8Cにおいて、統合要素は、プリントヘッドカバー構造の固定部分でなく(代わりに、統合要素は、プリントヘッドカバー構造に対して動作可能である)、統合要素の後、例えば加熱ユニット26、冷却超音波溶接ヘッド26など追加の部材がある。
【0083】
図8Dにおいて、統合要素は、プリントヘッドカバー構造の固定部分であり、統合要素の後、例えば加熱ユニット26、冷却超音波溶接ヘッド26など追加の部材がある。
【0084】
その他の点では、
図8B、8C及び8Dに示されるプリントヘッド構造は、
図5に示されるプリントヘッド構造とほぼ同じである。
【実施例1】
【0085】
繊維プリント及びポリマプリントのためのGコードは、3Dプリントされるオブジェクトの3Dデザインからカスタムメイドのソフトウェアを用いて作り出された。作り出されたGコードに従って、連続繊維強化材は、3Dプリントポリマ材料によって作り出された溝に3Dプリントされた。分離したプリントユニット/ノズルは、ポリマ材料及び連続繊維強化材のために用いられた。用いられた繊維フィラメントの直径は、1.8mmであった。繊維フィラメントは、製造される部品で3Dプリントされる(高さ0.6mm及び幅4.2mmを有する)溝に3Dプリントされた。単一の繊維層は全溝を覆った(すなわち、溝の高さは、単一の繊維層の高さに等しかった)。追加の充填構造は、繊維層によって囲われる領域を満たすためにポリマノズルを用いることによって3Dプリントされた。ポリマ材料は、0.3mmの層厚さで3Dプリントされた。したがって、1つの繊維層の厚さは、2つのポリマ層の厚さに等しかった(
図6A参照)。
【実施例2】
【0086】
繊維プリント及びポリマプリントのためのGコードは、3Dプリントされるオブジェクトの3Dデザインからカスタムメイドのソフトウェアを用いて作り出された。作り出されたGコードに従って、連続繊維強化材は、ポリマ材料及び連続繊維強化材のための分離したプリントユニット/ノズルを用いて、3Dプリントポリマ材料によって作り出された溝に3Dプリントされた。用いられた繊維フィラメントの直径は、1.0mmであった。繊維フィラメントは、製造される部品で3Dプリントされる(高さ0.3mm及び幅2.6mmを有する)溝に3Dプリントされた。単一の繊維層は全溝を覆った(すなわち、溝の高さは、単一の繊維層の高さに等しかった)。追加の充填構造は、繊維によって囲われる領域を満たすためにポリマノズルを用いることによって3Dプリントされた。ポリマ材料は、0.3mmの層厚さで3Dプリントされた。したがって、1つの繊維層の厚さは、1つのポリマ層の厚さに等しかった(
図6B参照)。
【実施例3】
【0087】
繊維プリント及びポリマプリントのためのGコードは、3Dプリントされるオブジェクトの3Dデザイン(3Dモデル)からカスタムメイドのソフトウェアを用いて作り出された(
図7A、7B参照)。作り出されたGコードに従って、繊維強化材、ポリマ及び支持材料は、3Dプリントされた。連続繊維強化材は、ポリマ材料及び連続繊維強化材、及び支持材料のための分離したプリントユニット/ノズルを用いて、3Dプリントポリマ材料によって作り出された溝に3Dプリントされた。用いられた繊維フィラメントの直径は、1.8mmであった。繊維フィラメントは、製造される部品で3Dプリントされる(高さ0.6mm及び幅4.2mmを有する)溝に3Dプリントされた。単一の繊維層は全溝を覆った。追加の充填構造は、繊維によって囲われる領域を満たすためにポリマノズルを用いることによって3Dプリントされた。ポリマ材料は、0.3mmの層厚さで3Dプリントされた。したがって、1つの繊維層の厚さは、2つのポリマ層の厚さに等しかった(
図6A参照)。支持材料は、Gコードに従って、選択領域に3Dプリントされた(
図7A、7B参照)。
【0088】
技術は進歩するので、発明概念は、様々な方法で実施されることが当業者に明らかであろう。本発明及びその実施形態は、上記実施例に限定されず、請求項の範囲内で変わることができる。