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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/18 20060101AFI20220419BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20220419BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B05B1/18 101
A47K3/28
B05B1/02 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021084782
(22)【出願日】2021-05-19
【審査請求日】2021-05-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597030464
【氏名又は名称】株式会社アラミック
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-248880(JP,A)
【文献】特開2009-078140(JP,A)
【文献】特開2017-063831(JP,A)
【文献】特開2012-026258(JP,A)
【文献】実開平04-047436(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/18
A47K 3/28
B05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流路に沿って吐水口へ導くシャワーヘッドであって、
前記水に含まれる気体をせん断して微細化させる微細泡発生手段と、
前記微細泡発生手段よりも前記流路の上流側に配され、前記水に脈動を付与する脈動付与手段と、を備えることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記脈動付与手段により前記水に付与される脈動の強弱を調整する脈動調整スイッチをさらに備えることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシャワーヘッドであって、
前記脈動付与手段は、
前記水を通水させる通水孔を有する通水板と、
前記流路に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられ、その回転によって前記通水孔の通水を間欠的に許容する脈動ロータと、を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記脈動付与手段により前記水に付与される脈動の強弱を調整する脈動調整スイッチをさらに備え、
前記脈動付与手段は、
前記水を通水させる通水孔を有する通水板と、
前記流路に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられ、その回転によって前記通水孔の通水を間欠的に許容する脈動ロータと、を有し、
前記脈動調整スイッチは、前記脈動ロータに対して干渉可能に設けられ、その干渉強度に応じて前記脈動ロータの回転速度を調整することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のシャワーヘッドであって、
前記流路は、前記微細泡発生手段よりも上流側で第1流路及び第2流路に分岐され、
前記脈動付与手段は、前記第1流路上に配され、
前記第1流路及び前記第2流路を切り替える流路切替スイッチをさらに備えることを特徴とするシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
水又はお湯等(以下、単に「水」と称す)に含まれる気体を微細化させる微細泡発生手段として、例えば、水に含まれる気体をせん断するせん断方式の微細泡発生手段が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-34133号公報
【文献】特開2003-38379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような微細泡発生手段が適用されたシャワーヘッドにおいて、水中の微細泡の量を増やすことにより、洗浄効果を高める余地が未だあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、洗浄効果に優れたシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願記載のシャワーヘッドは、水を流路に沿って吐水口へ導くシャワーヘッドであって、前記水に含まれる気体をせん断して微細化させる微細泡発生手段と、前記微細泡発生手段よりも前記流路の上流側に配され、前記水に脈動を付与する脈動付与手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
この特定事項により、脈動付与手段によって脈動が付与された水が、脈動付与手段よりも流路の下流側に配された微細泡発生手段に勢いよく衝突する。これにより、水に含まれる気体のせん断が促されることから、水に含まれる気体の微細化が促されるとともに、水中の微細泡の量を増やすことができる。
【0008】
また、前記シャワーヘッドにおいて、前記脈動付与手段により前記水に付与される脈動の強弱を調整する脈動調整スイッチをさらに備えてもよい。
【0009】
この特定事項により、ユーザが任意で水の脈動の強弱を調整することが可能となるため、シャワーヘッドの使い勝手を向上することができる。
【0010】
また、前記シャワーヘッドにおいて、前記脈動付与手段は、前記水を通水させる通水孔を有する通水板と、前記流路に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられ、その回転によって前記通水孔の通水を間欠的に許容する脈動ロータと、を有してもよい。
【0011】
この特定事項により、シンプルな構造をもって脈動付与手段を実現することができる。
【0012】
また、前記シャワーヘッドにおいて、前記脈動付与手段により前記水に付与される脈動の強弱を調整する脈動調整スイッチをさらに備え、前記脈動付与手段は、前記水を通水させる通水孔を有する通水板と、前記流路に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられ、その回転によって前記通水孔の通水を間欠的に許容する脈動ロータと、を有し、前記脈動調整スイッチは、前記脈動ロータに対して干渉可能に設けられ、その干渉強度に応じて前記脈動ロータの回転速度を調整してもよい。
【0013】
この特定事項により、シンプルな構造をもって、水に付与される脈動の強弱を調整することができる。
【0014】
また、前記シャワーヘッドにおいて、前記流路は、前記微細泡発生手段よりも上流側で第1流路及び第2流路に分岐され、前記脈動付与手段は、前記第1流路上に配され、
前記第1流路及び前記第2流路を切り替える流路切替スイッチをさらに備えてもよい。
【0015】
この特定事項により、ユーザが任意で、第2流路に対する、水に脈動が付与される第1流路を流れる水の割合を調整することが可能となるため、シャワーヘッドの使い勝手を向上することができる。
【0016】
ところで、従来、水に脈動を付与する羽根車等を備えたシャワーヘッド(特許文献2参照)が公知である。しかし、この公知例に開示されたシャワーヘッドは、水に脈動を付与して脈動流を発生させることにより、その脈動流そのものを利用してユーザに対してマッサージ効果をもたらすといった機能を発揮するものである一方、本発明の上記シャワーヘッドは、水に脈動を付与することにより、水を微細泡発生手段に勢いよく衝突させ水中の微細泡の量を増やすといった機能を発揮するものである。従って、本発明の上記シャワーヘッドは、上記公知例のような従来のシャワーヘッドとは、機能上相違するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水中の微細泡の量を増やすことにより、洗浄効果に優れたシャワーヘッドが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1におけるシャワーヘッドを示す斜視図である。
図2】実施形態1における把持部の内部構造を示す概略断面図である。
図3】実施形態1における脈動付与手段を示す分解斜視図である。
図4】実施形態2における脈動付与手段を示す分解斜視図である。
図5】実施形態3における把持部の内部構造を示す概略断面図である。
図6】実施形態4における把持部の内部構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0020】
(実施形態1)
先ず、シャワーヘッド1の構成について説明する。
【0021】
図1は、実施形態1におけるシャワーヘッド1を示す斜視図である。図2は、実施形態1における把持部20の内部構造を示す概略断面図である。なお、図1において、図面が煩雑になるのを避けるため、複数の吐水孔3aのうち、代表する一つの吐水孔3aにのみ符号を付している。同様に、図2において、図面が煩雑になるのを避けるため、複数の凸部41のうち、代表する一つの凸部41にのみ符号を付している。また、図において、破線の矢印は、流路Pを流れる水流方向を示すものであり、以降の実施形態においても同様である。
【0022】
シャワーヘッド1は、例えば、一般家庭若しくはホテル等の浴室、温泉又は浴場等で使用されるものであり、内部に流路Pが形成されたシャワーヘッド本体2と、吐水口3と、を備えている(図1図2参照)。シャワーヘッド1は、元栓である水栓(図示しない)から供給される水を、シャワーヘッド本体2の流路Pに沿って吐水口3へ導き、吐水口3から吐水するように構成されている。一般に、水栓から供給される水(水道水)には、酸素、二酸化炭素、窒素等の気体が溶け込んでいる。
【0023】
シャワーヘッド本体2は、合成樹脂等から形成されており、把持部20と、ヘッド部21と、を有している(図1参照)。
【0024】
把持部20の内部の流路Pは、把持部20の長手方向に沿って形成されている。
【0025】
把持部20の一方端部には、ヘッド部21が接続されている。把持部20の他方端部には、ホース等を介して水栓に接続される接続部22が設けられている(図1参照)。接続部22の外周面は、スクリュー状に形成されている。
【0026】
ヘッド部21の一方端部には、把持部20が接続されている。ヘッド部21の他方端部には、複数の吐水孔3aが穿設された吐水口3が設けられている。吐水口3は、ステンレス等の金属から形成されている。
【0027】
上記構成に加えて、シャワーヘッド1は、微細泡発生手段4と、脈動付与手段5Aと、を備えている(図2参照)。微細泡発生手段4及び脈動付与手段5Aは、流路P上に配されている。実施形態1において、微細泡発生手段4及び脈動付与手段5Aは、シャワーヘッド本体2の把持部20内に挿嵌されている。
【0028】
<微細泡発生手段>
微細泡発生手段4は、水に含まれる気体をせん断して微細化させるものである。ここで、「微細泡」とは、マイクロレベルのものを指し、特定の範囲内の直径を有する気泡を指すものではない。
【0029】
実施形態1において、微細泡発生手段4は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はシリコーンゴム等の合成樹脂から形成されており、流路Pに沿った柱状に形成された支持体40と、支持体40の外周側面に設けられた複数の凸部41と、を有している(図2参照)。水が流路Pに沿って微細泡発生手段4の一端部から他端部に流れるに伴い、凸部41に順次衝突することにより、水に含まれる気体が順次せん断されるようになっている。
【0030】
<脈動付与手段>
図3は、実施形態1における脈動付与手段5Aを示す分解斜視図である。図3において、流路Pの図示は省略している。
【0031】
脈動付与手段5Aは、水に脈動を付与するものである。ここで、「脈動」とは、流量又は流速が経時的に変動する水の流動のことをいう。脈動付与手段5Aは、微細泡発生手段4よりも流路Pの上流側に配されている(図2参照)。
【0032】
実施形態1において、脈動付与手段5Aは、把持部20の長手方向に沿った支持軸(図示しない)によって、流路Pの下流側から順に連結された通水板50、脈動ロータ51A及び導水板52を有している(図2図3参照)。
【0033】
通水板50は、合成樹脂等から形成されており、円板状に形成されている(図3参照)。通水板50の外周端縁は、シャワーヘッド本体2の把持部20の内周面に固定されている(図2参照)。通水板50には、水を通水させる通水孔50a,50aが中心部に対して対称的に穿設されている(図3参照)。
【0034】
脈動ロータ51Aは、合成樹脂等から形成されており、把持部20の長手方向に沿った支持軸(図示しない)周り、すなわち、流路Pに沿った方向を軸方向として回転可能に設けられている(図2図3参照)。具体的には、脈動ロータ51Aは、流路Pの水の流れを利用して回転するようになっている。
【0035】
脈動ロータ51Aは、周方向に互いに近接する2枚の羽根510,510を有している(図3参照)。羽根510,510の周方向の一端部には、それぞれ、通水板50の形状に沿うように形成され、通水板50と近接する近接部511が設けられている。羽根510,510の周方向の他端部には、それぞれ、通水板50から離れる方向に屈曲するように形成され、通水板50から離隔された離隔部512が設けられている。このような近接部511及び離隔部512が羽根510,510にそれぞれ設けられていることにより、脈動ロータ51Aの回転に伴い、羽根510,510が近接部511及び離隔部512で通水板50の通水孔50a,50aを順次開閉するようになっている。換言すると、脈動ロータ51Aは、その回転によって、通水板50の通水孔50a,50aの通水を間欠的に許容するようになっている。
【0036】
導水板52は、合成樹脂等から形成されており、円板状に形成されている(図3参照)。導水板52の外周端縁は、シャワーヘッド本体2の把持部20の内周面に固定されている(図2参照)。導水板52には、脈動ロータ51A側に水を導水させる2つの導水孔52a,52aが中心部に対して対称的に穿設されている。
【0037】
上記のような脈動付与手段5Aによって、次のように水に脈動が付与されるようになっている。先ず、水が流路Pに沿って脈動付与手段5Aに流れ込むと、水が導水板52の導水孔52a,52aから脈動ロータ51A側に導水される。導水された水の流れによって、脈動ロータ51Aが回転する。続いて、脈動ロータ51Aの回転に伴い、水が通水板50の通水孔50aから間欠的に通水する。具体的には、脈動ロータ51Aの羽根510,510の近接部511によって一時的にその流れが塞き止められた水が、脈動ロータ51Aの回転に伴い、羽根510,510の離隔部512によって通水板50の通水孔50aから勢いよく通水する。このような間欠的な通水のよって、水に脈動が付与されるようになっている。
【0038】
次に、上記のようなシャワーヘッド1を用いて水中の微細泡の量を増やす実施例を説明する。
【0039】
水がシャワーヘッド本体2の把持部20内に流路Pに沿って流れ込むと、脈動付与手段5Aによって上記のように水に脈動が付与される。脈動付与手段5Aによって脈動が付与された水が、脈動付与手段5Aよりも流路Pの下流側に配された微細泡発生手段4に勢いよく衝突する。水が微細泡発生手段4に勢いよく衝突することにより、水に含まれる気体のせん断が促される。さらには、水が微細泡発生手段4の凸部41に衝突するときに、水に脈動が付与されない場合と比較して、より多くの凸部41に衝突することから、水に含まれる気体のせん断が促される。このように、水に含まれる気体のせん断が促されることにより、水に含まれる気体の微細化が促されるとともに、水中の微細泡の量を増やすことができる。
【0040】
なお、上記実施形態1におけるシャワーヘッド1について説明したが、シャワーヘッド本体2の把持部20の形状は、上記に限られず、例えば、屈曲していてもよい。この場合、把持部20の形状に合わせて、微細泡発生手段4の支持体40の形状が屈曲していてもよい。
【0041】
なお、微細泡発生手段4及び脈動付与手段5Aは、ともにシャワーヘッド本体2のヘッド部21内に配されていてもよいし、微細泡発生手段4がヘッド部21内に配されるとともに脈動付与手段5Aが把持部20内に配されていてもよい。
【0042】
なお、微細泡発生手段4の構造は、上記に限られず、例えば、羽根車等を用いて水に含まれる気体をせん断して微細化させるものであってもよい。
【0043】
なお、脈動付与手段5Aの脈動ロータ51Aの羽根の枚数は、上記に限られず、3枚以上であってもよい。
【0044】
また、微細泡発生手段4よりも流路Pの上流側に、外部から水中に気体を取り入れるアスピレータ等が設けられていてもよい。
【0045】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0046】
図4は、実施形態2における脈動付与手段5Bを示す分解斜視図である。図4において、流路Pの図示は省略している。
【0047】
実施形態2において、脈動付与手段5Bは、把持部20の長手方向に沿った支持軸(図示しない)によって、流路Pの下流側から順に連結された通水板50、脈動ロータ51B及び導水ロータ53と、を有している(図4参照)。
【0048】
実施形態2における通水板50は、1つの通水孔50aが穿設されている点を除き、実施形態1と同等であるため、その説明を省略している。
【0049】
実施形態2において、脈動ロータ51Bは、円板状に形成され、通水板50の通水孔50aを順次開閉するための通水孔開閉部513と、通水孔開閉部513の外周縁から流路Pの上流側に立設された円筒状のロータ本体514と、ロータ本体514の内周面から中心に向かって突設され、ロータ本体514内部の水の流れを受ける複数の水受リブ515と、を有している(図4参照)。脈動ロータ51Bは、水受リブ515で受ける水の流れを利用して回転するようになっている。
【0050】
通水孔開閉部513には、通水板50の通水孔50aを閉塞するための閉塞部516と、通水板50の通水孔50aを開放するための開放部517と、が設けられている。具体的には、開放部517は透孔であり、開放部517以外の通水孔開閉部513の領域は閉塞部516となっている。このような通水孔開閉部513が設けられていることにより、脈動ロータ51Bの回転に伴い、通水孔開閉部513が開放部517及び閉塞部516で通水板50の通水孔50aを順次開閉するようになっている。換言すると、脈動ロータ51Bは、その回転によって、通水板50の通水孔50aの通水を間欠的に許容するようになっている。
【0051】
導水ロータ53は、合成樹脂等から形成されており、把持部20の長手方向に沿った支持軸(図示しない)に回転不能に固定されている。導水ロータ53の外周面には、略螺旋状の複数の導水リブ530が設けられている(図4参照)。導水リブ530間に水が流れ込むと、水が導水リブ530の形状に沿って渦巻くとともに、脈動ロータ51B側に導水されるようになっている。
【0052】
上記のような脈動付与手段5Bによって、次のように水に脈動が付与されるようになっている。先ず、水が流路Pに沿って流れ込むと、水が導水ロータ53によって渦巻くとともに、脈動ロータ51B側に導水される。渦巻いた水が脈動ロータ51B内に流れ込み、脈動ロータ51Bの水受リブ515に衝突する。水受リブ515が脈動ロータ51B内に流れ込んだ水から受ける衝突によって、脈動ロータ51Bが回転する。続いて、脈動ロータ51Bの回転に伴い、水が通水板50の通水孔50aから間欠的に通水する。具体的には、脈動ロータ51Bの通水孔開閉部513の閉塞部516によって一時的にその流れが塞き止められた水が、脈動ロータ51Bの回転に伴い、通水孔開閉部513の開放部517によって通水板50の通水孔50aから勢いよく通水する。このような間欠的な通水のよって、水に脈動が付与されるようになっている。
【0053】
なお、脈動ロータ51Bの構造は、上記に限られず、例えば、導水ロータ53が回転可能に設けられていてもよい。
【0054】
(実施形態3)
以下、実施形態3について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0055】
図5は、実施形態3における把持部20の内部構造を示す概略断面図である。
【0056】
実施形態3において、シャワーヘッド1は、脈動付与手段5(A,B)により水に付与される脈動の強弱を調整する脈動調整スイッチ6をさらに備えている(図5参照)。脈動調整スイッチ6は、脈動ロータ51(A,B)の近傍において、シャワーヘッド本体2の把持部20に穿設されたスイッチ取付孔20aに取り付けられている。脈動調整スイッチ6は、把持部20の外方に最も突出している状態の突出位置と、最も押し込まれた状態の押込位置との間を遷移可能となっている。
【0057】
脈動調整スイッチ6には、シャワーヘッド本体2の把持部20の外方に突出し、ユーザが押圧操作をするための操作部60と、操作部60から把持部20の内側に延設され、脈動ロータ51に摺動する摺動部61と、が設けられている。摺動部61は、脈動ロータ51に対して干渉可能に設けられている。実施形態3において、摺動部61は、脈動調整スイッチ6が突出位置にある状態で、脈動ロータ51に対して軽く干渉するように配されている。
【0058】
脈動調整スイッチ6の操作部60が押圧されると、脈動調整スイッチ6が突出位置にある状態と比較して、脈動ロータ51に対する摺動部61の干渉が大きくなるとともに、脈動ロータ51の回転が抑制される。換言すると、脈動調整スイッチ6は、摺動部61での脈動ロータ51に対する干渉によって、その干渉強度に応じて脈動ロータ51の回転速度を調整するようになっている。
【0059】
さらに、脈動調整スイッチ6は、脈動ロータ51の回転速度を調整することにより、脈動ロータ51の回転速度に依拠する、水に付与される脈動の強弱を調整するようになっている。
【0060】
なお、脈動調整スイッチ6は、無負荷状態で突出位置に自己復帰するものであってもよいし、オルタネート動作で突出位置と押込位置との間を遷移するものであってもよい。また、脈動調整スイッチ6は、操作部60がスライド操作可能に設けられ、操作部60のスライド動作によって摺動部61が脈動ロータ51に摺動するものであってもよい。さらに、脈動調整スイッチ6は、複数のスイッチ部を用いて、従来の多色ボールペンに代表される機構を倣い、1のスイッチ部を押し込むと他のスイッチ部が突出位置に復帰するようなものであってもよい。
【0061】
ところで、脈動調整スイッチ6の摺動部61が脈動ロータ51と非干渉である場合、脈動ロータ51の回転が脈動調整スイッチ6によって規制されないことから、脈動ロータ51の回転が水の流れを利用した最速限となり、ひいては、脈動付与手段5により付与される水の脈動が水の流れを利用した最大限となる。ここで、例えば、脈動調整スイッチ6が突出位置にある状態で摺動部61を脈動ロータ51と非干渉となるように配し、脈動調整スイッチ6が突出位置以外にある状態で摺動部61を脈動ロータ51に対して干渉するように配することにより、ユーザが水の脈動を調整しつつも、水の流れを利用した最大限の水の脈動を任意で得ることが可能となるため、シャワーの使用感が向上するという付加的機能を実現することができる。
【0062】
(実施形態4)
以下、実施形態4について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0063】
図6は、実施形態4における把持部20の内部構造を示す概略断面図である。
【0064】
実施形態4において、シャワーヘッド本体2の把持部20内には、把持部20の内部空間を分割する内壁200が設けられている(図6参照)。この内壁200によって、流路Pは、微細泡発生手段4よりも上流側で第1流路P1及び第2流路P2に分岐されている。
【0065】
実施形態4において、脈動付与手段5(A,B)は、第1流路P1上に配されている(図6参照)。脈動ロータ51(A,B)は、第1流路P1に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられている。
【0066】
実施形態4において、シャワーヘッド1は、第1流路P1及び第2流路P2を切り替える流路切替スイッチ7をさらに備えている(図6参照)。
【0067】
流路切替スイッチ7は、流路切替板70と、流路切替スイッチ本体71と、を有している(図6参照)。
【0068】
流路切替板70には、通水孔70aが穿設されている。流路切替板70の外周側面には、流路切替スイッチ本体71と噛み合うラチェット溝(図示しない)が形成されている。このラチェット機構によって流路切替板70が回転されることにより、通水孔70aが第1流路P1又は第2流路P2と連通し、通水孔70aが連通する流路が第1流路P1及び第2流路P2間で切り替わるようになっている。
【0069】
流路切替スイッチ本体71は、シャワーヘッド本体2の把持部20に穿設されたスイッチ取付孔20bに取り付けられている。流路切替スイッチ7は、例えば、オルタネート動作で突出位置と押込位置との間を遷移するものである。
【0070】
流路切替スイッチ本体71には、シャワーヘッド本体2の把持部20の外方に突出し、ユーザが押圧操作をするための操作部710と、操作部710から把持部20の内側に延設され、流路切替板70の外周側面のラチェット溝に噛み合う爪部を先端に有する作動部711と、が設けられている。
【0071】
流路切替スイッチ本体71の操作部710が押圧され、作動部711が流路切替板70に作動すると、流路切替板70が回転され、通水孔70aが連通する流路が第1流路P1及び第2流路P2間で切り替わる。換言すると、流路切替スイッチ7は、流路切替板70を回転させることにより、第1流路P1及び第2流路P2を切り替えるようになっている。
【0072】
なお、流路切替スイッチ7の流路切替板70は、上記に限られず、例えば、シャッター機構によって、通水孔70aが連通する流路が第1流路P1及び第2流路P2間で切り替わるものであってもよい。この場合、流路切替板70のシャッターを開閉する開閉部材を流路切替スイッチ本体71に設けることが想定される。また、流路切替スイッチ7は、例えば、第1流路P1に流れ込む水量及び第2流路P2に流れ込む水量の比率を漸次調整できる構成であってもよい。
【0073】
上記の実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 シャワーヘッド
2 シャワーヘッド本体
20 把持部
21 ヘッド部
3 吐水口
4 微細泡発生手段
5(A,B) 脈動付与手段
50 通水板
51(A,B) 脈動ロータ
6 脈動調整スイッチ
7 流路切替スイッチ
P 流路
【要約】
【課題】洗浄効果に優れたシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】水を流路Pに沿って吐水口へ導くシャワーヘッド1であって、水に含まれる気体をせん断して微細化させる微細泡発生手段4と、微細泡発生手段4よりも流路Pの上流側に配され、水に脈動を付与する脈動付与手段5Aと、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6