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特許7060285歩行分析装置、歩行分析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】歩行分析装置、歩行分析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 22/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
G01C22/00 W
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022022503
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2022-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515024427
【氏名又は名称】ベストリハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-257395(JP,A)
【文献】特開2019-5340(JP,A)
【文献】特開2016-220924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置であって、
処理部と、
前記処理部において実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、
前記プログラムが、
前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、
ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、
前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することと
を行うための前記命令を含む、
歩行分析装置。
【請求項2】
前記第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことは、1つの時刻に対応するハイパスフィルタ処理前の前記第1加速度のデータに所定の係数を乗じて得られる値から、当該1つの時刻に対して1つ前の時刻に対応するハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度のデータに前記所定の係数を乗じて得られる値を減算した結果に基づいて、当該1つの時刻に対応するハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度のデータを取得することを含む、
請求項1に記載の歩行分析装置。
【請求項3】
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の上下方向における第2加速度を含み、
前記プログラムが、
前記第2加速度のデータの時系列である第2加速度データ列と前記第1加速度データ列とを合成した合成加速度データ列を取得することと、
前記合成加速度データ列が表す波形において極小となるピーク、及び、当該波形において極大となるピークのいずれか一方を加速度ピークとして特定することと、
特定した前記加速度ピークの数に基づいて、前記被験者の歩行における歩数を取得することと、
を行うための前記命令を含む、
請求項1又は2に記載の歩行分析装置。
【請求項4】
前記プログラムが、
前記合成加速度データ列にハイパスフィルタ処理を施すこと
を行うための前記命令を含み、
前記加速度ピークを特定することは、ハイパスフィルタ処理を施した後の前記合成加速度データ列が表す波形に生じる前記加速度ピークを特定することを含む、
請求項3に記載の歩行分析装置。
【請求項5】
前記プログラムが、
取得した前記歩行距離と取得した前記歩数とに基づいて、前記被験者の歩行における歩幅を取得すること
を行うための前記命令を含む、
請求項3又は4に記載の歩行分析装置。
【請求項6】
前記プログラムが、
3つの隣接した前記加速度ピークにおける最初の前記加速度ピークと最後の前記加速度ピークとの間隔に基づいて、前記被験者の歩行における歩行周期を取得すること
を行うための前記命令を含む、
請求項3~5のいずれか一項に記載の歩行分析装置。
【請求項7】
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の左右方向における第3加速度を含み、
前記プログラムが、
前記第3加速度のデータの時系列である第3加速度データ列に基づいて、前記被験者の左右方向の変位を示すデータの時系列である左右変位データ列を取得することと、
前記左右変位データ列が表す波形において極大又は極小となるピークである変位ピークを特定することと、
2つの隣接した前記加速度ピークの間隔であって、右方向の前記変位ピークを挟んだ2つの前記加速度ピークの間隔に基づいて、前記被験者の歩行における右足の1歩の着地時間を取得することと、
2つの隣接した前記加速度ピークの間隔であって、左方向の前記変位ピークを挟んだ2つの前記加速度ピークの間隔に基づいて、前記被験者の歩行における左足の1歩の着地時間を取得することと
を行うための前記命令を含む、
請求項3~6のいずれか一項に記載の歩行分析装置。
【請求項8】
前記プログラムが、
前記右足の1歩の着地時間を累積した右足着地時間、及び、前記左足の1歩の着地時間を累積した左足着地時間をそれぞれ取得すること
を行うための前記命令を含む、
請求項7に記載の歩行分析装置。
【請求項9】
前記左右変位データ列を取得することは、
前記第3加速度データ列にハイパスフィルタ処理を施すことと、
ハイパスフィルタ処理を施した後の前記第3加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて、左右方向における速度のデータの時系列である速度データ列を取得することと、
前記速度データ列が表す波形の近似直線である速度近似直線を取得することと、
前記速度データ列から前記速度近似直線を減算した補正速度データ列を取得することと、
前記補正速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて、左右方向における変位のデータの時系列である変位データ列を取得することと、
前記変位データ列が表す波形の近似直線である変位近似直線を取得することと、
前記変位データ列から前記変位近似直線を減算した補正変位データ列を、前記左右変位データ列として取得することとを含む、
請求項7又は8に記載の歩行分析装置。
【請求項10】
被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置であって、
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、
前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施す手段と、
ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換する手段と、
前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得する手段と
を有する歩行分析装置。
【請求項11】
被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置において行う歩行分析方法であって、
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、
前記歩行分析装置において、
前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、
ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、
前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することと
を含む、
歩行分析方法。
【請求項12】
被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置において実行可能な命令を含むプログラムであって、
前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、
前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、
ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、
前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することと
を行うための前記命令を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度の検出結果を用いた歩行分析装置、歩行分析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の体に加速度センサや角速度センサを装着し、その検出結果を元に被験者の歩行状態を分析するシステムが知られている(下記特許文献を参照)。歩行状態の分析結果から、被験者の健康状態や身体機能の状態を把握できるため、介護やリハビリなど行いやすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-148722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加速度センサにより検出した加速度から歩行距離を求める場合、理論上は、加速度を積分して速度を求め、その速度を更に積分して距離を求めればよい。しかしながら、加速度の検出値にオフセット成分が誤差として含まれていると、2回の積分によってオフセット成分による誤差が時間と共に増大してしまい、算出される歩行距離の誤差が大きくなるという問題がある。このような誤差を減らすため、例えば、加速度センサ以外のセンサによって静止状態を検出して加速度センサの検出値を校正するなどの方法も考えられるが、センサが増えることによって構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で歩行距離を精度よく取得することができる歩行分析装置、歩行分析方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置であって、処理部と、前記処理部において実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、前記プログラムが、 前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することと行うための前記命令を含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置であって、前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施す手段と、ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換する手段と、前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得する手段とを有する。
【0008】
本発明に第3の態様は、被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置において行う歩行分析方法であって、前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、前記歩行分析装置において、前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することとを含む。
【0009】
本発明の第4の態様は、被験者に装着されたセンサ装置が検出する加速度に基づいて前記被験者の歩行状態を分析する歩行分析装置において実行可能な命令を含むプログラムであって、前記センサ装置が検出する前記加速度は、前記被験者の前後方向における第1加速度を含み、前記第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、ハイパスフィルタ処理後の前記第1加速度データ列を構成する前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、前記第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の前記第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて前記被験者の歩行距離を取得することとを行うための前記命令を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で歩行距離を精度よく取得することができる歩行分析装置、歩行分析方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るサーバを含んだシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、センサ装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示すシステムによる加速度データの収集、歩行分析、分析結果の表示に関する動作を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、サーバにおける歩行分析処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、歩行距離を取得する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、ハイパスフィルタ処理で用いる係数と歩行距離の誤差との関係を調べたグラフである。
図7図7は、合成加速度及び左右変位の波形の例を示す図である。
図8図8は、左右変位を取得する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9図9Aは、左右方向の速度を近似直線により補正した例を示す図である。図9Bは、左右方向の変位を近似直線により補正した例を示す図である。
図10図10は、歩行分析結果を表示する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係るサーバ1を含んだシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すシステムは、被験者6に装着されるセンサ装置3と、センサ装置3が検出する加速度に基づいて被験者6の歩行状態を分析する処理などを行うサーバ1と、サーバ1による歩行状態の分析結果を閲覧するための端末装置4とを有する。サーバ1は、は、インターネットなどの通信ネットワーク9を介してセンサ装置3及び端末装置4と通信可能である。サーバ1は、本発明の歩行分析装置の一例である。
【0013】
[サーバ1]
サーバ1は、通信ネットワーク9を介してセンサ装置3から各種のデータ(加速度データ、心拍データ、体温データ、測位データなど)を取得する処理や、加速度データに基づいて被験者6の歩行状態を分析する処理、端末装置4からの要求に応じて被験者6の歩行状態の分析結果を端末装置4に提供する処理などを行う。サーバ1は、データベース管理装置2のデータベース(21、22)にアクセス可能である。図1の例において、サーバ1は、通信部11と、記憶部14と、処理部15を有する。
【0014】
通信部11は、通信ネットワーク9を介して他の装置(センサ装置3、端末装置4など)と通信を行うための装置であり、例えば所定の通信規格(無線LAN、イーサネット(登録商標)など)に準拠して通信を行う通信機器(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0015】
記憶部14は、処理部15において実行されるプログラム141の命令や、処理部15による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部15の処理に利用されるデータ、処理部15の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。記憶部14は、例えば、主記憶装置(ROM、RAMなど)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスクなど)を含んでよい。記憶部14は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部14が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意の情報伝送手段を介して処理部15と接続される。
【0016】
プログラム141は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(USBメモリ、メモリカード、光ディスク、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されたものを図示しない読み取り装置から入力して記憶部14に記憶させてもよいし、通信部11において他の装置から受信したものを記憶部14に記憶させてもよい。
【0017】
処理部15は、サーバ1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部15は、例えば、記憶部14に格納された1つ以上のプログラム141の命令に従って処理を実行する1つ以上のプロセッサ(CPU、MPU、DSPなど)を含む。処理部15は、記憶部14に格納されたプログラム141の命令を1つ以上のプロセッサが実行することにより、コンピュータとして動作する。サーバ1は、このような複数のコンピュータを含んでもよく、これらのコンピュータが任意の通信ネットワークを介して通信を行うことにより連携して処理を実行してもよい。
【0018】
処理部15は、特定の機能を実現するように構成された1つ以上の専用のハードウェア(ASIC、FPGAなど)を含んでもよい。この場合、処理部15は、本実施形態に関わる全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0019】
[データベース管理装置2]
データベース管理装置2は、種々の情報を記憶したデータベース(21、22)を有する。サーバ1とデータベース管理装置2は、任意の通信回線(LAN、専用回線網、インターネットなど)を介して通信可能である。データベース管理装置2は、図1の例において、利用者データベース21と利用記録データベース22を有する。例えばデータベース管理装置2は、これらのデータベースを構成する1つ以上のコンピュータを備えており、コンピュータの記憶装置を用いてデータベースの情報を記憶する。なお、サーバ1とデータベース管理装置2は、共通のコンピュータによって構成されていてもよい。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0020】
利用者DB21は、本システムの利用者に関する情報を記憶する。利用者には、センサ装置3を装着する被験者6や、端末装置4によって歩行状態の分析結果を閲覧する関係者(被験者6の家族や、介護施設の担当者など)が含まれる。利用者に関する情報としては、例えば、利用者の識別情報、利用者の区分(被験者、家族、関係者など)、利用者の個人情報(氏名、住所、連絡先など)、サーバ1にログインするための認証情報などを含んでよい。
【0021】
利用記録DB22は、被験者6のセンサ装置3から取得した各種のデータ(加速度データ、心拍データ、体温データ、測位データなど)や、これらのデータの分析結果(歩行分析の結果など)など記憶する。
【0022】
[センサ装置3]
センサ装置3は、被験者6に装着される装置であり、各種のセンサを備える。センサ装置3は、各センサで収集したデータをサーバ1にアップロードする。図2は、センサ装置3の構成の一例を示す図である。図2に示すセンサ装置3は、通信部31と、入力部32と、表示部33と、加速度センサ34と、温度センサ35と、心拍センサ36と、測位部37と、記憶部38と、処理部39とを有する。
【0023】
通信部31は、通信ネットワーク9を介して他の装置(サーバ1など)と通信を行うための装置であり、例えば所定の通信規格(移動体通信規格など)に準拠して通信を行う通信機器を含む。図1の例において、通信部11は、通信ネットワーク9につながる移動体通信網の基地局8と無線通信を行う。
【0024】
入力部32は、ユーザの操作に応じた指示やその他の情報を処理部39に入力する。例えば、入力部32は、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、マイク、カメラなどの入力機能を備えた機器を少なくとも1つ含む。
【0025】
表示部33は、処理部39において生成される映像信号に応じた映像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタなどの表示機器を含む。
【0026】
加速度センサ34は、物体の加速度を検出するセンサであり、例えば、物体の変形に伴う静電容量の変化、ピエゾ効果による抵抗値の変化などに基づいて加速度に対応した信号を出力する。本実形態において、加速度センサ34は、直交する3軸の加速度を検出する。すなわち、加速度センサ34は、被験者6の前後方向の加速度(第1加速度)、上下方向の加速度(第2加速度)、及び、左右方向の加速度(第3加速度)をそれぞれ検出する。
【0027】
温度センサ35は、被験者6の体温を検出するためのセンサであり、例えば熱電対やサーミスタなどの素子によって温度を検出する。
心拍センサ36は、例えば血液量による光の透過や反射の違い、電気抵抗の変化などに基づいて被験者6の心拍を検出する。
測位部37は、例えばGNSSの測位衛星からの電波に基づく測位や、移動体通信網の基地局からの電波に基づく測位などを行い、地理的な位置を示す位置情報を取得する。
【0028】
記憶部38は、処理部39において実行されるプログラム381の命令や、処理部39による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部39の処理に利用されるデータ、処理部39の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。記憶部38は、例えば、主記憶装置(ROM、RAMなど)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスクなど)を含んでよい。記憶部38は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部38が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意の情報伝送手段を介して処理部39と接続される。
【0029】
プログラム381は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(USBメモリ、メモリカード、光ディスク、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されたものを図示しない読み取り装置から入力して記憶部38に記憶させてもよいし、通信部31において他の装置から受信したものを記憶部38に記憶させてもよい。
【0030】
処理部39は、センサ装置3の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部39は、例えば、記憶部38に格納された1つ以上のプログラム381の命令に従って処理を実行する1つ以上のプロセッサ(CPU、MPU、DSPなど)を含む。処理部39は、記憶部38に格納されたプログラム381の命令を1つ以上のプロセッサが実行することにより、コンピュータとして動作する。
【0031】
処理部39は、特定の機能を実現するように構成された1つ以上の専用のハードウェア(ASIC、FPGAなど)を含んでもよい。この場合、処理部39は、本実施形態に関わる全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0032】
[端末装置4]
端末装置4は、サーバ1によってデータベース管理装置2の利用記録DB22に保存されたセンサ装置3の検出結果に関する情報(各センサの検出結果、分析結果など)を閲覧するためにユーザ(例えば被験者6自身やその家族、介護施設の担当者など)が操作する装置である。端末装置4は、例えばスマートフォン、タブレット、携帯電話機、ノート型PC、デスクトップ型PCなどの通信機能を備える情報機器でもよい。
【0033】
ここで、上述した構成を有するシステムの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
センサ装置3の処理部39は、入力部32において歩行分析の開始の指示が入力されると(ST105)、加速度センサ34において3軸の加速度(第1加速度、第2加速度、第3加速度)を検出し、それぞれの時系列のデータ(第1加速度データ列、第2加速度データ列、第3加速度データ列)を記憶部38に保存する。所定の時間TX分(例えば10秒)のデータを収集すると、処理部39は加速度センサ34における加速度の検出を終了して(ST110)、記憶部38に保存した時系列の加速度データ(第1加速度データ列、第2加速度データ列、第3加速度データ列)をサーバ1にアップロードする(ST120)。
【0035】
サーバ1の処理部15は、センサ装置3から時系列の加速度データ(第1加速度データ列、第2加速度データ列、第3加速度データ列)を取得すると、取得したこれらのデータに基づいて、被験者6の歩行状態に関する歩行分析処理を行う(ST120)。歩行分析処理の詳しい内容については後述する。処理部15は、歩行分析処理の結果を利用記録DB22に記録する(ST125)
【0036】
サーバ1の処理部15は、特定の被験者6について得られた歩行分析処理の結果の閲覧を求める閲覧要求を端末装置4から受信すると(ST130)、データベース管理装置2の利用記録DB22から該当する被験者6についての分析結果を取得する(ST135)。処理部15は、取得した分析結果を画面に表示させるための表示情報を生成し、要求元の端末装置4に提供する(ST140)。端末装置4は、サーバ1から提供された表示情報に基づいて、歩行分析処理の結果をディスプレイの画面に表示する(ST145)。
【0037】
図4は、サーバ1における歩行分析処理(ST120:図3)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0038】
ST200:
サーバ1の処理部15は、被験者6の前後方向の第1加速度に基づいて、時間Txにおける被験者6の歩行距離を取得する。
【0039】
図5は、歩行距離を取得する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
サーバ1の処理部15は、第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施す(ST300)。ハイパスフィルタ処理は、例えば次の漸化式で表される。
【0040】
B(n)=β・A(n)-β・A(n-1) …(1)
【0041】
式(1)における「A(n)」はハイパスフィルタ前の(元の)第1加速度を示し、「B(n)」「B(n-1)」はハイパスフィルタ処理後の第1加速度を示す。「n」はデータ列における順番を示しており、第1加速度が検出された1つの時刻に対応する。「β」は、1より小さい正の値を持つ係数である。この係数βは、本発明における「所定の係数」の一例である。
【0042】
ここで、「n」に対応する1つの時刻を「時刻n」と呼ぶことにすると、「A(n)」「B(n)」「B(n-1)」はそれぞれ次のように説明することができる。
【0043】
「A(n)」…時刻nに対応するハイパスフィルタ処理前の第1加速度のデータ
「B(n)」…時刻nに対応するハイパスフィルタ処理後の第1加速度のデータ
「B(n-1)」…時刻nに対して1つ前の時刻(n-1)に対応するハイパスフィルタ処理後の第1加速度のデータ
【0044】
式(1)は、以下のように変形することができる。
【0045】
B(n)=(1-α)・A(n)-(1-α)・B(n-1)
=A(n)-{α・A(n)+(1-α)・B(n-1)}
=A(n)-B’(n) …(2)
ただし、
α=1-β …(3)
B’(n)=α・A(n)+(1-α)・B(n-1) …(4)
【0046】
「α」は、1より小さい正の値を持つ係数である。
式(4)に示す「B’(n)=α・A(n)+(1-α)・B(n-1)」は、元の第1加速度にローパスフィルタ処理を施す漸化式である。従って、式(1)に示すハイパスフィルタの漸化式は、元の第1加速度からローパスフィルタ処理した第1加速度を削除するものと言い換えることができる。
【0047】
ステップST300においてハイパスフィルタ処理後の第1加速度データ列が得られると、サーバ1の処理部15は、この第1加速度データ列を構成する第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換する(ST305)。
【0048】
次に、サーバ1の処理部15は、第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の第1加速度データ列に対して積分を施す。例えばサーバ1の処理部15は、各データを絶対値に変換した後の第1加速度データ列に対して台形積分を行う(ST310)。処理部15は、この積分の結果に基づいて、時間Txの間に歩いた被験者6の歩行距離を取得する。
【0049】
図6は、ステップST300(図5)のハイパスフィルタ処理で用いる式(3)の係数αと、ステップST310で取得した歩行距離の実測値に対する誤差との関係を調べたグラフである。図6は、第1加速度に基づいて取得した歩行距離と実測の歩行距離との誤差が、係数α(0~0.4)に応じて変化することを示す4本の折れ線グラフを含む。4本の折れ線グラフは、それぞれ4通りの歩数(10歩、17歩、21歩、33歩)の条件で得られたものである。歩行距離の取得に用いた第1加速度のサンプリング周期は30[ms]である。
図6のグラフを見ると、係数αの値が「0.1」の付近で誤差が最も小さくなっており、取得した歩行距離のばらつきもこの付近で最小となっている。従って、係数αの値(すなわちハイパスフィルタのカットオフ周波数)を調節することによって、精度のよい歩行距離を取得できることが分かる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、加速度センサ以外の別のセンサを用いたりせずとも、ハイパスフィルタのカットオフ周波数(係数αの値)を調節することにより、簡易な構成で精度のよい歩行距離を取得することができる。
【0051】
ST205:
図4に戻る。
サーバ1の処理部15は、ステップST200において歩行距離を取得すると、この歩行距離を時間TX(歩行時間)で割ることにより、歩行速度を取得する。
【0052】
ST210:
次にサーバ1の処理部15は、後述するステップST220~ST250において歩行の一歩一歩を識別するために用いられる合成加速度を取得する。すなわち処理部15は、被験者6の上下方向における第2加速度のデータの時系列である第2加速度データ列と、前後方向における第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列とを合成することにより、合成加速度のデータの時系列である合成加速度データ列を取得する。
【0053】
この場合、合成加速度は、第1加速度と第2加速度とをそれぞれ二乗して加算し、その加算結果の平方根により計算される。合成加速度は、前後方向の第1加速度のベクトルと上下方向の第1加速度のベクトルとを合成することにより得られる合成ベクトルの大きさに相当する。
【0054】
ST215:
サーバ1の処理部15は、ステップST210において合成加速度データ列を取得すると、この合成加速度データ列が表す波形において極小となるピークを「加速度ピーク」として特定する。またこの場合、処理部15は、合成加速度データ列に対して先にハイパスフィルタ処理を施し、ハイパスフィルタ処理を施した後の合成加速度データ列が表す波形に生じる加速度ピークを特定するようにする。ハイパスフィルタ処理の内容は、特に限定されないが、例えば上述したステップST300(図5)におけるハイパスフィルタ処理と同様のものでもよい。これにより、検出される加速度のオフセットの変動によるピーク位置の変動が抑制されるため、安定した加速度ピークを取得することができる。
【0055】
また、上記の例では合成加速度データ列が表す波形において極小となるピークを「加速度ピーク」として特定しているが、当該波形において極大となるピークを「加速度ピーク」として特定することも可能である。ただし、極大となるピークに比べて極小となるピークの方が鋭く深いピークになる傾向があるため、極小となるピークを「加速度ピーク」として特定することによって、より安定的にピークを特定することができる。
【0056】
ST220:
サーバ1の処理部15は、ステップST215において合成加速度データ列の波形に生じる加速度ピークの数に基づいて、被験者6の歩行における歩数を取得する。合成加速度データ列は被験者6の一歩のたびに「加速度ピーク」を生じるため、「加速度ピーク」の数を数えることによって歩数を取得することができる。
【0057】
ST225:
サーバ1の処理部15は、ステップST220において歩数を取得すると、この取得した歩数と歩行距離(ST200)とに基づいて、被験者6の歩行における歩幅を取得する。すなわち、処理部15は、ステップST200で取得した歩行距離をステップST220で取得した歩数で割ることにより、一歩の歩幅を取得する。
【0058】
ST230:
サーバ1の処理部15は、ステップST215において特定した合成加速度データ列の「加速度ピーク」に基づいて、歩行周期を取得する。歩行周期は、右足の一歩の時間と左足の一歩の時間とを合わせた二歩の時間である。具体的には、処理部15は、3つの隣接した加速度ピークにおける最初の加速度ピークと最後の加速度ピークとの間隔に基づいて、歩行周期を取得する。
【0059】
図7は、合成加速度の波形の例を示す。図7において「PA」が加速度ピークであり、「TP」が歩行周期である。図7に示すように、隣接する3つの加速度ピークPAにおける最初の加速度ピークPAと最後の加速度ピークPAとの間隔から歩行周期を取得することができる。
【0060】
サーバ1の処理部15は、例えば、合成加速度の波形において、隣接する3つの加速度ピークPAの組み合わせの全てについて歩行周期を取得し、取得した歩行周期の平均値を代表的な歩行周期として算出してもよい。
【0061】
ST235:
サーバ1の処理部15は、合成加速度の波形における複数の歩行周期を取得すると、それらの歩行周期のばらつきを取得する。例えば処理部15は、複数の歩行周期の標準偏差を歩行周期のばらつきとして算出する。
【0062】
ST240:
サーバ1の処理部15は、左右方向における第3加速度のデータの時系列である第3加速度データ列に基づいて、被験者6の左右方向の変位(左右変位)を示すデータの時系列である左右変位データ列を取得する。
【0063】
図8は、左右変位を取得する処理(ST)の一例を説明するためのフローチャートである。
まずサーバ1の処理部15は、左右方向の第3加速度データ列にハイパスフィルタ処理を施す(ST400)。ハイパスフィルタ処理の内容は、特に限定されないが、例えば上述したステップST300(図5)におけるハイパスフィルタ処理と同様のものでもよい。これにより、検出される加速度のオフセットの変動によるピーク位置の変動が抑制されるため、後述するステップST245において安定した変位ピークを取得することができる。
【0064】
次にサーバ1の処理部15は、ハイパスフィルタ処理を施した後の第3加速度データ列に積分(例えば台形積分)を行い、この積分の結果に基づいて、左右方向における速度のデータの時系列である速度データ列を取得する(ST405)。
【0065】
サーバ1の処理部15は、速度データ列が表す波形の近似直線である速度近似直線を取得する(ST410)。例えば処理部15は、最小二乗法などの公知の近似手法を用いて速度近似直線を算出してよい。
【0066】
サーバ1の処理部15は、ステップST405で取得した速度データ列からステップST410で取得した速度近似直線を減算することにより、補正速度データ列を取得する(ST415)。
【0067】
サーバ1の処理部15は、ステップST415で得た補正速度データ列に積分(例えば台形積分)を行い、この積分の結果に基づいて、左右方向における変位のデータの時系列である変位データ列を取得する(ST420)。
【0068】
サーバ1の処理部15は、変位データ列が表す波形の近似直線である変位近似直線を取得する(ST425)。例えば処理部15は、最小二乗法などの公知の近似手法を用いて変位近似直線を算出してよい。
【0069】
サーバ1の処理部15は、ステップST420で取得した変位データ列からステップST425で取得した変位近似直線を減算することにより、補正変位データ列を取得する。この補正変位データ列が、左右変位データ列となる(ST430)。
【0070】
図9Aは、左右方向の速度を近似直線により補正した例を示す図である。図9Aに示すように、ステップST405で得られる速度データ列の波形は、積分によるオフセットの蓄積によって、速度ゼロの中心から時間と共に離れていく。ステップST415で得られる補正速度データ列は、この速度データ列の波形から速度近似直線を減算することによって、図9Aに示すように、オフセットの蓄積による速度ゼロの中心からのずれが補正される。
また図9Bは、左右方向の変位を近似直線により補正した例を示す図である。図9Bに示すように、ステップST420で得られる変位データ列の波形は、積分によるオフセットの蓄積によって、左右の中心位置から時間と共に離れていく。ステップST430で得られる補正速度データ列は、この速度データ列の波形から速度近似直線を減算するため、図9Bに示すように、オフセットの蓄積による中心位置からのずれが補正される。
【0071】
このように、第3加速度から左右変位を取得する過程における2回の積分において、積分後のデータ列(速度データ列、変位データ列)か近似直線(速度近似直線、変位近似直線)を減算する補正を行うことにより、加速度データに含まれるオフセットの蓄積による波形の中心からのずれが抑制されるため、後述するステップST245において安定した変位ピークを取得することが可能となる。
【0072】
ST245:
図4に戻る。
サーバ1の処理部15は、ステップST240で左右変位データ列を取得すると、この左右変位データが表す波形において極大又は極小となるピークである変位ピークを特定する(図7を参照)。
【0073】
ST250:
サーバ1の処理部15は、左右変位データが表す波形の各変位ピークを特定すると、2つの隣接した加速度ピークPAの間隔であって、右方向の変位ピークPRを挟んだ2つの加速度ピークPAの間隔に基づいて、被験者6の歩行における右足の1歩の着地時間TRを取得する。
また処理部15は、2つの隣接した加速度ピークPAの間隔であって、左方向の変位ピークPLを挟んだ2つの加速度ピークPAの間隔に基づいて、被験者6の歩行における左足の1歩の着地時間TLを取得する。
図7の例では、右足の1歩の着地時間TRが8つ存在し、左足の1歩の着地時間TLが7つ存在している。
【0074】
サーバ1の処理部15は、図7に示すように一歩の着地時間TR、TLをそれぞれ取得すると、右足の一歩の着地時間TRを累積した右足着地期間、及び、左足の一歩の着地時間TLを累積した左足着地期間をそれぞれ取得する。これにより、左足と右足との間における歩行動作の偏りを把握することができる。
【0075】
ST255:
サーバ1の処理部15は、上述の各ステップ(ST200~ST250)で得られた歩行状態の分析項目に基づいて、歩行状態を様々な観点から評価する評価点を取得する。例えば、処理部15は、歩行周期のばらつき(ST235)に基づくリズム評価点、歩行速度(ST205)に基づく歩行速度評価点、歩幅(ST225)に基づく歩幅評価点、第2加速度の標準偏差に基づくダイナミズム評価点、上記の各評価点に基づいて総合的に与えられる総合評価点などを所定の評価基準に基づいて算出する。
【0076】
ST260:
サーバ1の処理部15は、前後方向の第1加速度と左右方向の第3加速度のそれぞれについて近似直線を求めて、第1加速度及び第3加速度からそれぞれの近似直線を減算する補正を行う。これにより、補正後の第1加速度及び第3加速度では、周期的に変化する成分とは無関係なオフセット成分が除去される。
【0077】
ST265:
サーバ1の処理部15は、ステップST260において補正した第1加速度及び第3加速度の2次元ヒストグラムを作成し、その画像を利用記録DB22に保存する。図10は、2次元ヒストグラムを含んだ分析結果の表示画面の例を示す。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0079】
例えば、図1の例において、センサ装置3が被験者6の腕に装着されているが、センサ装置3の装着部位は腕以外の場所(例えば腰、腹部、頭部など)でもよい。
【0080】
上述の実施形態では、サーバ1において歩行分析処理が行われているが、これに限定されず、例えばセンサ装置3において歩行分析処理が行われてもよいし、サーバ1とセンサ装置3の各々に歩行分析処理の実行が分担されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…サーバ、11…通信部、14…記憶部、141…プログラム、15…処理部、2…データベース管理装置、21…利用者データベース、22…利用記録データベース、3…センサ装置、31…通信部、32…入力部、33…表示部、34…加速度センサ、35…温度センサ、36…心拍センサ、37…測位部、38…記憶部、381…プログラム、39…処理部、4…端末装置、6…被験者、8…基地局、9…通信ネットワーク、
【要約】
【課題】簡易な構成で歩行距離を精度よく取得することができる歩行分析装置、歩行分析方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】センサ装置3が検出する加速度は、被験者6の前後方向における第1加速度を含む。サーバ1は、第1加速度のデータの時系列である第1加速度データ列に対してハイパスフィルタ処理を施すことと、ハイパスフィルタ処理後の第1加速度データ列を構成する第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換することと、第1加速度のデータをそれぞれ絶対値に変換した後の第1加速度データ列を積分し、当該積分の結果に基づいて被験者6の歩行距離を取得することとを行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10