(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】バッテリー制御方法、バッテリー制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220419BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220419BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2020543168
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2019081659
(87)【国際公開番号】W WO2019242377
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】201810653496.0
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゼン、ルル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、シフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ジウェイ
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-024303(JP,A)
【文献】特開2014-187807(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02816702(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0354232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを制御するバッテリーの制御の方法であって、前記バッテリーは、N個のバッテリーモジュールを備え、前記N個のバッテリーモジュールは、直列に接続され、前記N個のバッテリーモジュールの各々は、M個のバッテリーセルを有し、前記M個のバッテリーセルは、並列に接続され、Nは1より大きい又は等しい整数であり、Mは、1より大きい整数であり、
前記方法は、
前記N個のバッテリーモジュールの電流値が各々安全電流より大きいか否かを検出する段階であって、前記安全電流は、ターゲットバッテリーモジュールの電流であり、前記ターゲットバッテリーモジュールは、前記N個のバッテリーモジュールのうちのバッテリーモジュールであり、前記ターゲットバッテリーモジュールの抵抗差は、前記N個のバッテリーモジュールにおいて最大であり、前記抵抗差は、同一のバッテリーモジュールにおける前記M個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の
最大抵
抗差である、段階と、
前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値が前記安全電流より大きい場合、前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値を調整する段階と、を備
え、
前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値が各々前記安全電流より大きいか否かを検出する前記段階は、前記N個のバッテリーモジュールが有する前記M個のバッテリーセルのそれぞれにおいて許容される電流閾値が、前記安全電流より大きいか否かを検出することを有する、
方法。
【請求項2】
前記N個のバッテリーモジュールの電流値が各々安全電流より大きいか否かを検出する前記段階の前に、前記方法はさらに、
第1抵抗の抵抗値を取得する段階であって、前記第1抵抗は、前記ターゲットバッテリーモジュールの合計の抵抗である、段階と、
複数の第2抵抗の抵抗値を取得する段階であって、前記複数の第2抵抗は、前記ターゲットバッテリーモジュールにおける前記M個のバッテリーセルにそれぞれ対応する前記並列分岐回路の抵抗である、段階と、
前記第1抵抗の前記抵抗値及び前記複数の第2抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する前記安全電流を決定する段階と、を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安全電流が安全充電電流である場合、第1抵抗の抵抗値を取得する前記段階は、
第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する段階であって、前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロではない複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第1端子電圧、第1電流、第1温度、及び第1バッテリー充電状態(第1SOC)を含み、前記第1SOCは、第1充電パラメータの当該グループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、前記SOCは、前記バッテリーセルの飽和した容量に対する前記バッテリーセルの残存容量の比である、段階と、
前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する段階と、
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する段階と、を含む
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する前記段階の前に、前記方法はさらに、
第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する段階であって、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロである複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第2端子電圧、第2電流、第2温度、及び第2SOCを含み、前記第2SOCは、前記第2充電パラメータのグループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、
前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールを決定する段階と、を有する
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の第2抵抗の抵抗値を取得する前記段階は、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する段階を有する
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する前記段階の前に、前記方法はさらに、
第1ターゲットSOCを取得する段階であって、前記第1ターゲットSOCは、前記充電電流がゼロである場合の前記第1抵抗に対応するSOCである、段階と、
補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、前記第1ターゲットSOCに基づいて前記第2端子電圧を補正する段階と、を備え、
これに対応して、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する前記段階は、
前記補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する段階を有する
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記安全電流が安全放電電流である場合に、第1抵抗の抵抗値を取得する前記段階は、
第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する段階であって、前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電プロセスにおいて複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第3端子電圧、第3電流、第3温度、及び第3SOCを有し、前記第3SOCは、第3充電パラメータの当該グループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、
前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する段階と、
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する段階と、を有する
請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する前記段階の前に、前記方法はさらに、
ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得する段階であって、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループは、充電終了後の複数の異なる時点で収集されるパラメータであり、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第4端子電圧、第4電流、第4温度、及び第4SOCを含み、前記第4SOCは、前記ターゲットパラメータのグループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、
前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールを決定する段階と、を備える
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の第2抵抗の抵抗値を取得する前記段階は、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する段階を有する
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する前記段階の前に、前記方法はさらに、
第2ターゲットSOCを取得する段階であって、前記第2ターゲットSOCは、充電が終了した際の前記第1抵抗に対応するSOCである、段階と、
補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、前記第2ターゲットSOCに基づいて前記第4端子電圧を補正する段階と、を有し、
これに対応して、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する前記段階は、
前記補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得する段階を有する
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
N個のバッテリーモジュールを備えるバッテリーを制御するバッ
テリーの制御装置であって、前記N個のバッテリーモジュールは、直列に接続され、前記N個のバッテリーモジュールの各々は、M個のバッテリーセルを有し、前記M個のバッテリーセルは、並列に接続され、Nは1より大きい又は等しい整数であり、Mは、1より大きい整数であり、
前記バッテリーの制御装置は、
前記N個のバッテリーモジュールの電流値が各々安全電流より大きいか否かを検出するように構成される検出ユニットであって、前記安全電流は、ターゲットバッテリーモジュールの電流であり、前記ターゲットバッテリーモジュールは、前記N個のバッテリーモジュールのうちのバッテリーモジュールであり、前記ターゲットバッテリーモジュールの抵抗差は、前記N個のバッテリーモジュールにおいて最大であり、前記抵抗差は、同一のバッテリーモジュールにおける前記M個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の
最大抵
抗差である、検出ユニットと、
前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値が前記安全電流より大きい場合、前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値を調整するように構成される調整ユニットと、を備
え、
前前記N個のバッテリーモジュールの前記電流値が各々前記安全電流より大きいか否かを検出することは、前記N個のバッテリーモジュールが有する前記M個のバッテリーセルのそれぞれにおいて許容される電流閾値が、前記安全電流より大きいか否かを検出することを有する、
バッテリーの制御装置。
【請求項12】
前記バッテリーの制御装置はさらに、
第1抵抗の抵抗値を取得するように構成される第1取得ユニットであって、前記第1抵抗は前記ターゲットバッテリーモジュールの合計の抵抗である、第1取得ユニットと、
複数の第2抵抗の抵抗値を取得するように構成される第2取得ユニットであって、前記複数の第2抵抗は、前記ターゲットバッテリーモジュールにおける前記M個のバッテリーセルにそれぞれ対応する前記並列分岐回路の抵抗である、第2取得ユニットと、
前記第1抵抗の前記抵抗値及び前記複数の第2抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する前記安全電流を決定するように構成される第1決定ユニットと、を備える
請求項11に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項13】
前記第1取得ユニットは、
第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する手順であって、前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロではない複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第1端子電圧、第1電流、第1温度、及び第1バッテリー充電状態(第1SOC)を含み、前記第1SOCは、前記第1充電パラメータのグループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、前記SOCは、前記バッテリーセルの飽和した容量に対する前記バッテリーセルの残存容量の比である、手順と、
前記第1充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する手順と、
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する手順と、を実行するように具体的に構成される
請求項12に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項14】
前記バッテリーの制御装置はさらに、
第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するように構成される第3取得ユニットであって、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロである複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第2端子電圧、第2電流、第2温度、及び第2SOCを含み、前記第2SOCは、第2充電パラメータの当該グループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、第3取得ユニットと、
前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールを決定するように構成される第2決定ユニットと、を備える
請求項13に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項15】
前記第2取得ユニットは、前記第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得するように具体的に構成される
請求項14に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項16】
前記バッテリーの制御装置はさらに、
第1ターゲットSOCを取得するように構成される第4取得ユニットであって、前記第1ターゲットSOCは、前記充電電流がゼロである場合の前記第1抵抗に対応するSOCである、第4取得ユニットと、
補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、前記第1ターゲットSOCに基づいて前記第2端子電圧を補正するように構成される補正ユニットと、を備え、
これに対応して、前記第2取得ユニットは、前記補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得するように具体的に構成される
請求項15に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項17】
前記第1取得ユニットは、
第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する手順であって、前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電プロセスにおける複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第3端子電圧、第3電流、第3温度、及び第3SOCを含み、前記第3SOCは、第3充電パラメータの当該グループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、手順と、
前記第3充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する手順と、
前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する前記抵抗値から、前記ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が前記第1抵抗の前記抵抗値であることを決定する手順と、を実行するように具体的に構成される
請求項12に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項18】
前記第3取得ユニットは、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するようにさらに構成され、
前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループは、充電終了後の複数の異なる時点で収集されるパラメータであり、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループの各々は、前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第4端子電圧、第4電流、第4温度、及び第4SOCを含み、前記第4SOCは、ターゲットパラメータの当該グループが取得される際の前記N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、
前記第2決定ユニットは、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、前記ターゲットバッテリーモジュールを決定するようにさらに構成される
請求項14から16のいずれか一項に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項19】
前記第2取得ユニットは、前記ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得するように具体的に構成される
請求項18に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項20】
前記第4取得ユニットは、第2ターゲットSOCを取得するようにさらに構成され、前記第2ターゲットSOCは、充電終了の際の前記第1抵抗に対応するSOCであり、
前記補正ユニットは、前記第2ターゲットSOCに基づいて第4端子電圧を補正して、補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するようにさらに構成され、
これに対応して、前記第2取得ユニットは、前記補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び前記第1抵抗の前記抵抗値に基づいて、前記複数の第2抵抗の前記抵抗値を取得するように具体的に構成される
請求項16に記載のバッテリーの制御装置。
【請求項21】
コンピュータに請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体で参照により本明細書に組み込まれた、2018年6月22日に中国特許オフィスに出願され、"バッテリー制御方法及びバッテリー制御装置"と題される中国特許出願第201810653496.0への優先権を主張する。
【0002】
本願の複数の実施形態は、バッテリー技術の分野、具体的には、バッテリー制御方法及びバッテリー制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリー技術の連続の発展により、バッテリー持久力の要件は、常に増加し、対応するバッテリー容量も、常に増加している。
【0004】
単一のバッテリーセルの容量が限定されるので、既存のバッテリーは、複数のバッテリーセルに接続することにより形成される。一般的な接続方式は、最初に、同一の容量及び同一の内部抵抗を有する複数のバッテリーセルを並列に接続して、並列モジュールを形成し、次に、複数の並列モジュールを直列に接続して、バッテリーを形成する。
【0005】
しかし、バッテリー列を構成して用いるプロセスにおいて、バッテリーにおけるバッテリーセルの容量及び内部抵抗は、製造プロセス、処理、使用環境、及び自己放電のような因子により影響され、したがって、複数のバッテリーセルの容量又は内部抵抗は一致しない。
【0006】
複数のバッテリーセルの容量又は内部抵抗が一致しない場合、バッテリーが充電又は放電される際に、バッテリーの電流分配は不均等である。例えば、高速充電のシナリオでは、並列モジュールにおけるより小さい内部抵抗を有するバッテリーセルに対応する並列分岐回路の分流は、過度に大きく、分流がバッテリーセルの限定の値より大きい場合、バッテリーは、過充電され、したがって、バッテリーの利用可能な寿命及び安全性能は低減される。
【発明の概要】
【0007】
本願の複数の実施形態は、バッテリー制御方法及びバッテリー制御装置を提供し、バッテリーを通して流れる電流を、同一のバッテリーモジュールにおいてバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応する安全電流未満又は等しくなるように制御することにより、バッテリーモジュールの各バッテリーセルの充電電流又は放電電流は、安全電流範囲内になる。これは、バッテリーの安全性能及び寿命を改善する。
【0008】
本願の複数の実施形態の第1態様に従って、バッテリー制御方法が提供される。バッテリーは、N個のバッテリーモジュールを含み、N個のバッテリーモジュールは、直列に接続され、N個のバッテリーモジュールの各々は、M個のバッテリーセルを含み、M個のバッテリーセルは、並列に接続され、ここで、Nは、1と等しい又はより大きい整数であり、Mは、1より大きい整数である。
【0009】
方法は、バッテリーの充電又は放電プロセスにおいて、N個のバッテリーモジュールを通して流れる電流の電流値が、各々、安全電流より大きいか否かを、バッテリー制御装置が検出する段階であって、安全電流は、ターゲットバッテリーモジュールの安全電流であり、ターゲットバッテリーモジュールは、同一のバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールであり、ターゲットバッテリーモジュールは、N個のバッテリーモジュールに含まれる、段階と、N個のバッテリーモジュールの少なくとも1つを通して流れる電流の電流値が、安全電流より大きい場合、N個のバッテリーモジュールを通して流れる電流の電流値が各々、安全電流と等しく又は未満となるように、N個のバッテリーモジュールを通して流れる電流を、バッテリー制御装置が調整する段階と、を含む。バッテリー制御装置は、同一のバッテリーモジュールにおけるバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応する安全電流と等しく又は未満になるように、バッテリーを通して流れる電流を制御することにより、バッテリーモジュールにおける各バッテリーセルの充電電流又は放電電流を、安全電流範囲内とすることは、第1態様から認識されることができる。これは、バッテリーの安全性能及び寿命を改善する。
【0010】
本願の複数の実施形態の第1態様に基づいて、本願の複数の実施形態の第1態様の第1実装において、N個のバッテリーモジュールを通して流れる電流の電流値の各々が安全電流より大きいか否かを検出する段階の前に、方法はさらに、第1抵抗の抵抗値及び複数の第2抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階であって、第1抵抗は、ターゲットバッテリーモジュールの合計の抵抗であり、複数の第2抵抗は、ターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の抵抗である、段階と、次に、第1抵抗の抵抗値及び複数の第2抵抗の抵抗値に基づいて、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全電流を決定する段階と、を含む。バッテリー制御装置は、第1抵抗及び複数の第2抵抗に基づいて、同一のバッテリーモジュールにおけるバッテリーセルに対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールの安全電流を決定し得るということは、第1態様の第1実装から認識されることができる。これは、安全電流を決定する特定の実装を提供する。
【0011】
本願の複数の実施形態の第1態様及び第1態様の第1実装に基づいて、本願の複数の実施形態の第1態様の第2実装において、安全電流が安全充電電流である場合、第1抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階は、バッテリーの充電プロセスにおいて、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループをバッテリー制御装置が取得する段階であって、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロではない複数の異なる時点で収集された充電パラメータであり、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する、第1端子電圧、第1電流、第1温度、及び第1バッテリー充電状態(SOC)を含み、第1SOCは、第1充電パラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、SOCは、バッテリーセルの飽和した容量に対するバッテリーセルの残存容量の比である、段階と、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいてバッテリー制御装置が決定する段階と、次に、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であるということを決定する段階と、を含む。バッテリーの充電プロセスにおいて、バッテリー制御装置は、充電電流がゼロではない第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得し、第1充電パラメータに基づいて、第1抵抗の抵抗値を決定するということは、第1態様の第2実装から認識されることができる。これは、第1抵抗の抵抗値の精度を改善する。
【0012】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装及び第1態様の第2実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第3実装において、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であることを決定する前に、方法はさらに、バッテリーの充電プロセスにおいて、バッテリーの充電電流をゼロになるようにバッテリー制御装置が制御する段階と、次に、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する段階であって、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロである複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第2端子電圧、第2電流、第2温度、及び第2SOCを含み、第2SOCは、第2充電パラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールを決定する段階と、を含む。バッテリーの充電プロセスにおいて、バッテリー制御装置は、充電電流がゼロである第2充電パラメータを取得し、次に、第2充電パラメータに基づいてターゲットバッテリーモジュールを決定するということは、第1態様の第3実装から認識されることができる。これは、ターゲットバッテリーモジュールを決定する方法を提供し、実際の適用において解決手段の実施可能性を改善する。
【0013】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第3実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第4実装において、第2抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階は、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、第2抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階を含む。
【0014】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第4実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第5実装において、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、第2抵抗の抵抗値を取得する段階の前に、方法はさらに、第1充電パラメータに基づいて第1ターゲットSOCをバッテリー制御装置が取得する段階であって、第1ターゲットSOCは、充電電流がゼロである場合の第1抵抗に対応するSOCである、段階と、次に、補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、第1ターゲットSOCに基づいて第2端子電圧を補正する段階と、を含む。
【0015】
第1態様の第4実装に対応して、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて複数の第2抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階は、補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、第2抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階を含む。バッテリー制御装置は、充電電流がゼロである場合の第1抵抗に対応するSOCに基づいて第2端子電圧を補正するということは、第1態様の第5実装から認識されることができる。これは、第2端子電圧の精度を保証する。
【0016】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第5実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第6実装において、安全電流が安全放電電流である場合、第1抵抗の抵抗値をバッテリー制御装置が取得する段階は、バッテリーの充電プロセスにおいて、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループをバッテリー制御装置が取得する段階であって、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電プロセスにおける複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第3端子電圧、第3電流、第3温度、及び第3SOCを含み、第3SOCは、第3充電パラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、次に、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する段階と、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であることを、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から決定する段階と、を含む。バッテリーの充電プロセスにおいて、バッテリー制御装置は、充電電流がゼロではない第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得し、第3充電パラメータに基づいて第1抵抗の抵抗値を決定するということは、第1態様の第6実装から認識されることができる。これは、第1抵抗の抵抗値の精度を改善する。
【0017】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第6実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第7実装において、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であるということを決定する段階の前に、方法はさらに、バッテリー充電終了後のプリセット期間内に、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループをバッテリー制御装置が取得する段階であって、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループは、充電終了後の複数の異なる時点で収集されるパラメータであり、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第4端子電圧、第4電流、第4温度、及び第4SOCを含み、第4SOCは、ターゲットパラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、段階と、次に、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールを決定する段階と、を含む。バッテリー充電終了後のプリセット期間内に、バッテリー制御装置は、充電電流がゼロであるターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得し、ターゲットパラメータに基づいてターゲットバッテリーモジュールを決定するということは、第1態様の第7実装から認識されることができる。これは、ターゲットバッテリーモジュールを決定する方法を提供し、実際の適用において解決手段の実施可能性を改善する。
【0018】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第7実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第8実装において、複数の第2抵抗の抵抗値を取得する段階は、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、複数の第2抵抗の抵抗値を取得する段階を含む。
【0019】
本願の複数の実施形態のうちの第1態様及び第1態様の第1実装から第1態様の第8実装のいずれか1つに基づいて、本願の複数の実施形態のうちの第1態様の第9実装において、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて第2抵抗の抵抗値を取得する段階の前に、方法はさらに、第2ターゲットSOCを取得する段階であって、第2ターゲットSOCは、充電終了の際の第1抵抗に対応するSOCである、段階と、補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、第2ターゲットSOCに基づいて第4端子電圧を補正する段階と、を含む。
【0020】
第1態様の第8実装に対応して、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて複数の第2抵抗の抵抗値を取得する段階は、補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、第2抵抗の抵抗値を取得する段階を含む。バッテリー制御装置は、充電電流がゼロの場合の第1抵抗に対応するSOCに基づいて第2端子電圧を補正するということは、第1態様の第8実装から認識されることができる。これは、第2端子電圧の精度を保証する。
【0021】
本願の複数の実施形態の第2態様に従って、バッテリー制御装置が提供される。バッテリー制御装置は、メモリ、送受信機、及び少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリは、命令を格納する。メモリ、送受信機、及び少なくとも1つのプロセッサは、ケーブルを用いて接続される。少なくとも1つのプロセッサは命令を呼び出し、第1態様に従ってバッテリー制御装置側で実行されるデータ処理又は制御オペレーションを実行する。
【0022】
本願の複数の実施形態の第3態様に従って、バッテリー制御装置が提供される。バッテリー制御装置は、受信ユニット、処理ユニット、及び送信ユニットを含む。受信ユニットは、第1態様及び任意の可能な実装に従って、受信オペレーションに関連する段階を実行するように構成される。処理ユニットは、第1態様及び任意の可能な実装に従って、処理オペレーションに関連する段階を実行するように構成される。送信ユニットは、第1態様及び任意の可能な実装に従って、送信オペレーションに関連する段階を実行するように構成される。
【0023】
本願の第4態様に従って、命令を含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。命令は、第1態様又は第1態様の可能な実装のいずれか1つの方法を実行するべく、コンピュータ上で実行される。
【0024】
本願の複数の実施形態の第5態様に従って、コンピュータ記憶媒体が提供される。コンピュータ記憶媒体は、命令を格納し、命令がコンピュータ上で実行される場合、コンピュータは、第1態様又は第1態様の可能な実装のいずれか1つの方法を実行することを可能にされる。
【0025】
本願の第6態様に従って、チップシステムが提供される。チップシステムは、少なくとも1つのプロセッサ及び通信インタフェースを含む。チップシステムはさらに、メモリを含み得る。メモリ、通信インタフェース、及び少なくとも1つのプロセッサは、ケーブルを用いて接続される。少なくとも1つのメモリは命令を格納する。命令は、第1態様又は第1態様の可能な実装のいずれか1つの方法を実行するべく、プロセッサにより実行される。
【0026】
本願の複数の実施形態は以下の利点を有するということは、前述の技術的解決手段から認識されることができる。
【0027】
実施形態において、バッテリー制御装置は、バッテリーを通して流れる電流を安全電流に調整し、安全電流は、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応する安全電流であり、これにより、バッテリーモジュールにおける各バッテリーモジュールの充電電流は、安全電流未満又は等しくなり、これにより、各バッテリーセルの電流が安全電流範囲内であることを保証する。これは、バッテリーの過充電又は過剰放電を回避し、バッテリーの安全性能及び寿命を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の実施形態に従ったバッテリーの概略図である。
【0029】
【
図2】本願の実施形態に係る適用シナリオの概略図である。
【0030】
【
図3】本願の実施形態に従ったバッテリー制御方法の概略フローチャートである。
【0031】
【
図4】本願の実施形態に従ったSOC-OCV曲線の概略図である。
【0032】
【
図5】本願の実施形態に従った電圧回復曲線の概略図である。
【0033】
【
図6】本願の実施形態に従った別のバッテリー制御方法の概略フローチャートである。
【0034】
【
図7】本願の実施形態に従ったバッテリー制御装置の概略ブロック図である。
【0035】
【
図8】本願の実施形態に従ったバッテリー制御装置の概略構造図である。
【0036】
【
図9】本願の実施形態に従ったチップシステムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下は、添付図面を参照して、本願の技術的解決手段を説明する。
【0038】
本願の複数の実施形態は、バッテリー制御方法及びバッテリー制御装置を提供し、バッテリーを通して流れる電流を、同一のバッテリーモジュールにおいて複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応する安全電流未満又は等しくなるように制御することにより、バッテリーモジュールの各バッテリーセルの充電電流又は放電電流は、安全電流範囲内になる。これは、バッテリーの安全性能及び寿命を改善する。
【0039】
図1は、本願の実施形態に従ったバッテリーの概略図である。バッテリー100は、N個のバッテリーモジュールを含み、N個のバッテリーモジュールは、直列に接続され、N個のバッテリーモジュールの各々は、M個のバッテリーセルを含み、各バッテリーモジュールのM個のバッテリーセルは、並列に接続され、Nは、1より大きい又は等しい整数であり、Mは、1より大きい整数である。実際の適用において、M個のバッテリーセルの各々のバッテリー容量及び内部抵抗は、同一であってよく又はM個のバッテリーセルのうちの他のバッテリーセルのバッテリー容量及び内部抵抗と同様であってよいことに留意されたい。
【0040】
本実施形態では、バッテリー100は、リチウムイオン電池であってよく、又は乾電池であってよい。これは本明細書で限定されるものではない。本願の本実施形態では、リチウムイオン電池のみが、説明のための例として用いられる。
【0041】
図2は、本願の実施形態に係る適用シナリオの概略図である。適用シナリオの概略図は、電気自動車の全体の車両システムの構造図である。全体の車両システムの構造図は、電力バッテリーシステム、高電圧電力分配ボックス、バッテリー管理システム(battery management system, BMS)、車両制御部(vehicle control unit, VCU)、オンボードチャージャー(on board charger, OBC)、オフボードチャージャー(off board charger, OFC)、空調(AC)システム、及び直流-直流(DC-DC)デバイスを含む。
【0042】
電力バッテリーシステムは、バッテリー100を含む。電力バッテリーシステムは、電気自動車の電力源であり、車両全体に十分なエネルギー及び電力を提供して、連続走行距離及び車両全体の電力要件を満たす。
【0043】
BMSは、電力バッテリーのモニタリング及び管理ユニットであり、バッテリーシステムがいずれの時点でも安全な状態であることを保証するべく、バッテリーを制御するように構成される。
【0044】
VCUは、電気自動車の意思決定を制御するコア電子制御ユニットである。
【0045】
OBCは、電気自動車の自動車バッテリー充電デバイスであり、バッテリーの充電の際に用いられる特定の電力機能を有する変換装置である。本実施形態におけるOBCは、交流充電車載モータであり得る。
【0046】
OFCは、電子デバイスの車両直流バッテリー充電デバイスであり、直流充電電池又は高速充電電池であり得る。
【0047】
本願の複数の実施形態は、電気自動車のバッテリーシステムに適用され得、又は別の分野のバッテリーシステムに適用され得るということは留意されるべきである。このことは、本明細書において限定されない。本願の複数の実施形態において、電気自動車におけるバッテリーの充電及び放電は、説明のための例として用いられるに過ぎない。
【0048】
前述は、本実施形態におけるバッテリーのシステム及び電気自動車を説明する。以下は、バッテリー充電の観点から、本実施形態におけるバッテリー制御方法を説明する。
【0049】
図3は、本願の実施形態に従ったバッテリー制御方法の概略フローチャートである。
図3に示されるように、本願の本実施形態において提供されるバッテリー制御方法は、以下の段階を含み得る。
【0050】
301:バッテリー制御装置は電流調整点を決定する。
【0051】
バッテリー制御装置は、初期バッテリー充電状態SOC0及びターゲットバッテリー充電状態SOCTrgに基づいて制御し、電流調整点を決定する。SOCTrgは、充電終了の際のバッテリーに対応するSOCであり、電流調整点は、バッテリー制御装置に、現在のバッテリーモジュールの充電電流をゼロに調整するように指示すべく用いられる。具体的には、電流調整点は、SOC0及びSOCTrgの間の任意のSOCであり得る。例えば、バッテリーのSOC0が15%(SOC0-15%)であり、SOCTrgが98%(SOCTrg-98%)である場合、バッテリー制御装置は、SOC0-15%とSOCTrg-98%との間の任意のSOCを、電流調整点として決定し得る。例えば、SOC-30%は、電流調整点として決定され得る。
【0052】
本実施形態では、バッテリー制御装置は、さらに、SOC0及びSOCTrgの間のバッテリー充電状態の臨界点SOCLを決定し得ることは留意されるべきである。SOCLは、電流調整点を決定するために用いられる。実際の適用では、SOCLは、バッテリーの高速充電と低速充電との間の臨界点であり得る。具体的には、バッテリーの高速充電と低速充電との間の臨界点がSOC-80%である場合、バッテリー制御装置は、SOCLが80%であると決定する。言い換えれば、バッテリー制御装置は、SOC0とSOC-80%との間の任意のSOCにおける電流調整点を決定し、SOC-80%とSOCTrgとの間の任意のSOCにおける別の電流調整点を決定し得る。
【0053】
本実施形態では、バッテリー制御装置はさらに、SOC0及びSOCTrgの間の任意のSOCにおける複数のSOCLを決定し、次に、複数のSOCLに基づいて、複数の電流調整点を決定し得ることは留意されるべきである。
【0054】
302:バッテリー制御装置は、第1充電パラメータを取得する。
【0055】
電気自動車の充電プロセスにおいて、バッテリー充電状態が電流調整点に達する前に、バッテリー制御装置は、複数の異なる充電時点で、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得してよく、第1充電パラメータに対応する充電電流はゼロではない。具体的には、バッテリー制御装置は、時点T1における第1充電パラメータのグループを取得し、時点T2における第1充電パラメータの別のグループを取得し得る。第1充電パラメータは、バッテリーにおける各バッテリーモジュールの第1端子電圧、各バッテリーモジュールを通して流れる第1電流、第1充電パラメータが取得されるときの各バッテリーモジュールに対応する第1温度、及び第1充電パラメータが取得されるときの各バッテリーモジュールに対応するバッテリー充電状態(state of charge, SOC)を含むということは留意されるべきである。SOCは、バッテリーモジュールの飽和した容量に対するバッテリーモジュールの残存容量の比である。本実施形態では、T1に対応する充電電流及びT2に対応する充電電流はゼロではない。
【0056】
本実施形態では、バッテリー制御装置により取得される第1充電パラメータの少なくとも1つのグループは、第1端子電圧、第1電流、第1温度、及び第1SOCを含み得、さらに、別のパラメータを含み得るということは留意されるべきである。このことは、本明細書で限定されるものではない。
【0057】
時点T1でバッテリー制御装置により取得される第1充電パラメータの詳細については、表3-1を参照する。
【表1】
【0058】
時点T2でバッテリー制御装置により取得される第1充電パラメータは、時点T1で取得される第1充電パラメータと同様である。詳細は本明細書では再度記載はしない。詳細について、3-1を参照する。
【0059】
303:バッテリー制御装置は、バッテリーの充電電流をゼロになるように制御する。
【0060】
電気自動車の充電プロセスにおいて、バッテリーのSOCが電流調整点に達する場合、バッテリー制御装置は、バッテリーの充電電流を、電流調整ユニットを用いてゼロになるように調整する。例えば、バッテリーの電流調整点がSOC-30%である場合、充電プロセスにおいて、バッテリーのSOCがSOC-30%に達するときに、バッテリー制御装置は、バッテリーの充電電流をゼロに調整する。
【0061】
304:バッテリー制御装置は、第2充電パラメータを取得する。
【0062】
バッテリー制御装置がバッテリーの充電電流をゼロになるように調整した後に、充電電流がゼロである状態は、ΔT期間の間維持され、次に、ΔT期間内で、バッテリー制御装置は、複数の異なる時点で第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得し、言い換えれば、充電電流がゼロである充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する。第2充電パラメータは、バッテリーにおける各バッテリーモジュールの第2端子電圧、第2電流、第2温度、及び第2SOCを含む。第2端子電圧は、それぞれ{U1,U2,・・・UN}であってよい。
【0063】
具体的には、バッテリー制御装置は、時点T3における第2充電パラメータのグループを取得し、時点T4における第2充電パラメータの別のグループを取得する。本実施形態において、T3に対応する充電電流及びT4に対応する充電電流はゼロではないということは留意されるべきである。
【0064】
時点T3でバッテリー制御装置により取得される第2充電パラメータの詳細については、表3-2を参照する。
【表2】
【0065】
時点T4でバッテリー制御装置により取得される第2充電パラメータは、時点T3で取得される第2充電パラメータと同様である。詳細についてここでは再度記載はしない。詳細について、3-2を参照する。
【0066】
305:バッテリー制御装置は、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態を取得する。
【0067】
バッテリー制御装置が第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得した後に、バッテリー制御装置は、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲット充電状態を決定し、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値は、電流調整点での各バッテリーモジュールに対応する抵抗値であり、ターゲットバッテリー充電状態は、電流調整点での各バッテリーモジュールに対応する充電状態である。具体的には、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲット充電状態は、{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}である。(R1,SOC1)は、第1バッテリーモジュールの内部抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態であり、類推により、(RN,SOCN)は、N番目のバッテリーモジュールの内部抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態である。
【0068】
本実施形態では、バッテリー制御装置は、最小二乗法を用いて第1充電パラメータを識別し、次に、拡張カルマンフィルタ(extended kalman filter, EKF)アルゴリズムに従って、{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}を取得し得る。一般性を失うことなく、本実施形態では、別のアルゴリズムは、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態を取得するためにさらに用いられ得る。これは、本明細書に限定されるものではない。
【0069】
306:バッテリー制御装置は、ターゲットバッテリーモジュールを決定する。
【0070】
バッテリー制御装置は、第2充電パラメータ及び{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}に基づいて、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールを決定し、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールは、ターゲットバッテリーモジュールである。
【0071】
具体的には、N個のバッテリーモジュールのターゲットバッテリー充電状態が、それぞれ{SOC1,SOC2,・・・,SOCN}であることを、バッテリー制御装置が決定した後に、バッテリー制御装置は、次のとおり{SOC1',SOC2',・・・,SOCN'}に、ターゲットバッテリー充電状態の充電容量に従って、降順に、{SOC1,SOC2,・・・,SOCN}を並べ替える。SOCN'に対応するバッテリーモジュールは、最小充電容量を有し、SOC1'に対応するバッテリーモジュールは、最大充電容量を有し、次に、バッテリー制御装置は、SOC1',SOC2',・・・,SOCN-1,及びSOCN'を別々に取得し、SOC1',SOC2',・・・,SOCN-1'と最小バッテリー充電状態を有するバッテリーモジュールとの間の差{ΔSOC1,ΔSOC2,・・・,ΔSOCN-1}を取得する。
【0072】
バッテリー制御装置は、{ΔSOC1,ΔSOC2,・・・,ΔSOCN-1}及びバッテリー充電状態対開回路電圧(SOC-OCV)曲線に基づいて、バッテリーモジュールにおける全てのバッテリーモジュールと最小バッテリー充電状態を有するバッテリーモジュールとの間の電圧差{ΔU1,ΔU2,・・・,ΔUN-1,0}を取得する。
【0073】
下記は、例としてリチウム電池を用いて、全てのバッテリーモジュールと最小バッテリー充電状態を有するバッテリーモジュールとの間の、バッテリー制御装置により取得される電圧差{ΔU
1,ΔU
2,・・・,ΔU
N-1}を説明する。表3-2及び
図4を参照する。表3-3は、リチウム電池におけるSOC及びOCVの間の対応関係であり、
図4は、表3-2に対応するSOC-OCV曲線である。
【表3】
【0074】
ΔSOC1が2%であり、SOC1-18%は、ΔSOC1に対応するバッテリーモジュールと最小バッテリー充電状態を有するバッテリーモジュールとの間の電圧差を説明するための例として用いられる。具体的には、SOC1-18%がSOC-15%とSOC-20%との間に位置することは表3-2から認識されることができる。具体的には、SOC-20%の開回路電圧が3.552Vであり、SOC-15%の開回路電圧が3.499Vである。したがって、ΔSOC1に対応するバッテリーモジュールと最小バッテリー充電状態を有するバッテリーモジュールとの間の電圧差ΔU1は、0.0035mVである。
【0075】
バッテリー制御装置が{ΔU1,ΔU2,・・・,ΔUN-1,0}を取得した後に、バッテリー制御装置は、{SOC1',SOC2',・・・,SOCN'}に対応して、第2充電パラメータにおける第2端子電圧{U1,U2,・・・UN}を再並び替えし、{U1',U2',・・・UN'}を取得する。
【0076】
バッテリー制御装置は、{ΔU1,ΔU2,・・・,ΔUN-1,0}に基づいて、第2充電パラメータにおける第2端子電圧を補正する。具体的には、バッテリー制御装置は、{U1',U2',・・・UN'}から{ΔU1,ΔU2,・・・,ΔUN-1,0}を引いて、N個のバッテリーモジュールの補正された第2端子電圧を取得し、N個のバッテリーモジュールの補正された第2端子電圧はそれぞれ{U1' ',U2' ',・・・UN' '}である。
【0077】
バッテリー制御装置がバッテリーの充電電流をゼロになるように制御した後に、ΔT期間内に、N個のバッテリーモジュールの端子電圧回復曲線は、複数の異なる時点での{U
1' ',U
2' ',・・・U
N' '}に基づいて、取得され得、N個のバッテリーモジュールは、N個の端子電圧回復曲線{U
1' ',U
2' ',・・・U
N' '}
0→Δtに対応する。バッテリーモジュールにおけるバッテリーセルの抵抗が、オーミック内部抵抗及び分極内部抵抗を含むということは理解され得る。バッテリーの充電電流がゼロになるように制御された後、オーミック内部抵抗の電圧は瞬間的にゼロにまで減少し、分極内部抵抗の電圧は、ΔT期間内でゼロになる傾向がある。したがって、バッテリーモジュールの端子電圧は、ΔT期間内で安定電圧に回復する。
図5に示されるように、バッテリー制御装置は、電流調整点に対応する時点Tで、バッテリーの充電電流をゼロになるように制御する。オーミック内部抵抗及び分極内部抵抗の効果によって、バッテリーモジュールに対応する端子電圧は、比較的安定な端子電圧に回復される。バッテリーセルの抵抗が変化するので、複数の異なるバッテリーモジュールの電圧回復曲線は異なる。
図5は、電圧回復曲線501-503を示す。曲線501は、最大電圧回復曲線であり、曲線503は、最小電圧回復曲線である。
【0078】
バッテリー制御装置は、最大端子電圧回復曲線{Umax}0→Δt及び最小端子電圧回復曲線{Umin}0→Δtを、N個の端子電圧回復曲線{U1' ',U2' ',・・・,UN' '}0→Δtから決定する。バッテリーの充電電圧がゼロに調整された後に、N個のバッテリーモジュールの各々は、モジュールにおける横流のみにより影響されるということは理解され得る。したがって、{Umax}0→Δtが、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応し、{Umin}0→Δtが、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最小抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応することを、バッテリー制御装置は決定する。
【0079】
したがって、最大端子電圧回復曲線{Umax}0→Δtに対応するバッテリーモジュールは、同一のバッテリーモジュールにおけるバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するモジュールである。具体的には、最大端子電圧回復曲線{Umax}0→Δtに対応するバッテリーモジュールは、ターゲットバッテリーモジュールである。
【0080】
307:バッテリー制御装置は、第1抵抗の抵抗値を取得する。
【0081】
第1抵抗の抵抗値は、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値である。言い換えれば、第1抵抗の抵抗値は、同一のバッテリーモジュールにおけるバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールの抵抗値である。したがって、バッテリー制御装置は、{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}から、最大端子電圧回復曲線{Umax}0→Δtに対応するバッテリーモジュールの抵抗値{Rx}を決定する。第1抵抗の抵抗値は{Rx}である。
【0082】
308:バッテリー制御装置は、複数の第2抵抗の抵抗値を取得する。
【0083】
バッテリー制御装置は、ターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の抵抗値の和及び第1抵抗の抵抗値{Rx}に基づいて、複数の第2抵抗の抵抗値を取得する。
【0084】
具体的には、ターゲットバッテリーモジュールが2つのバッテリーセルを含む例が説明のために用いられる。バッテリーセル1の抵抗値は、Ro1であり、バッテリーセル2の抵抗値は、Ro2である。バッテリーセル1及びバッテリーセル2は並列に接続される。
【0085】
具体的には、バッテリー制御装置は、{U
max}
0→Δt及び{U
min}
0→Δtの間の差を取得し、2次指数関数あてはめを{ΔU}
0→Δtに対して実行し、指数係数b及びdを取得する。詳細について、2次指数関数あてはめ式3-1を参照する。
【数1】
ΔUは従属変数{ΔU}
0→Δtであり、Δtは独立変数0→Δtであり、a,b,c,及びdは、指数係数であり、eは自然指数である。
【0086】
{ΔU}
0→Δtに対して2次指数関数あてはめを実行して、指数係数b及びdを取得した後に、バッテリー制御装置は、b及びdに基づいて抵抗R
o1及びR
o2の和を取得する。例えば、バッテリー制御装置は、式(3-2)に従って、2つのバッテリーセルに対応する並列分岐回路の抵抗の和を取得する。詳細について、式3-2を参照する。
【数2】
kは、比較的小さいSOC範囲におけるOCV及びSOCの近似線形係数であり、Qは、バッテリーの公称容量であり、Qは、一定速度での満充電から完全放電までのプロセスにおけるバッテリーの電流で時間を乗じた値であってよく、単位は、Ah又はmAhであってよく、Pb(分極抵抗)は、分極内部抵抗であり、Rpは、等価回路モデル(equivalent circuit model, ECM)における、バッテリー分極特性を表すために用いられる抵抗要素であってよく、Cp(分極容量)は、分極コンデンサであり、Cpは、ECMモデルにおける、バッテリー分極特性を表すために用いられるコンデンサ要素であってよく、ECMは、RC要素及び変圧ソースが直列及び並列に接続された回路においてシミュレーションされた端子電圧により出力される等価モデルであってよい。
【0087】
加えて、第1抵抗の抵抗値{R
x}が式3-3を用いて表現され得るということは、並列回路の抵抗の総和公式から認識されることができる。
【数3】
【0088】
式3-2及び式3-3に従って、バッテリーセル1の抵抗値がRo1であり、バッテリーセル2の抵抗値がRo2であるということは取得されることができるということは認識されることができる。
【0089】
309:バッテリー制御装置は、第1抵抗の抵抗値及び複数の第2抵抗の抵抗値に基づいて、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全充電電流を決定する。
【0090】
バッテリー制御装置がターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する抵抗値を取得した後に、バッテリー制御装置は、バッテリーシミュレーションモデルを用いて、ターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する分流I{0→100%}を取得する。例えば、Ro1は、バッテリーシミュレーションモデルにおける代入値として用いられ、バッテリーセル1が充電電流Iを用いてSOC-0%からSOC-100%まで充電される場合の分流I1{0→100%}を取得し、Ro2は、バッテリーシミュレーションモデルにおける代入値として用いられ、バッテリーセル2が充電電流Iを用いてSOC-0%からSOC-100%まで充電される場合の分流I2{0→100%}を取得する。充電電流Iに対するバッテリーセル1に対応する並列分岐の分流の比k1、すなわち、k1=I1{SOC(t)}/Iは、I1{0→100%}を用いて取得され得、充電電流Iに対するバッテリーセル2に対応する並列分岐の分流の比k2、すなわち、k2=I2{SOC(t)}/Iは、I2{0→100%}を用いて取得され得る。
【0091】
バッテリー制御装置は、バッテリーの現在のSOC及びバッテリーの現在の温度を取得し、M個のバッテリーセルによって許容される最大充電電流閾値Imaxを決定する。
【0092】
具体的には、バッテリー制御装置は、最大充電電流閾値テーブルをクエリすることによって、バッテリーセルによって許容される最大充電電流閾値Imaxを取得する。例えば、リチウム電池の最大充電電流閾値テーブルは、表3-4に示され得る。
【表4】
【0093】
表3-4に示されるように、バッテリーセルの温度が-10℃であり、バッテリーセルの充電状態が0%である場合、バッテリーセルの最大充電電流閾値Imaxは10Aであり、具体的には、バッテリーセルは、10Aの最大電流を可能にすることができる。
【0094】
したがって、本実施形態では、バッテリー制御装置は、テーブルをクエリすることにより、バッテリーセルの最大充電電流閾値Imaxを取得し得る。
【0095】
バッテリー制御装置は、k1、k2、及びバッテリーセルにより許容される最大充電電流閾値Imaxに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールにより許容される安全充電電流Isafeを取得する。具体的には、Isafe=min{Imax/k1,Imax/k2}、具体的には、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全充電電流Isafeは、min{Imax/k1,Imax/k2}と等しい。
【0096】
310:バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの電流値がそれぞれ、安全充電電流より大きいか否かを検出し、大きい場合、段階311が実行される。
【0097】
バッテリーの充電プロセスにおいて、バッテリー制御装置は、検出ユニットを用いて、リアルタイムで、バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの充電電流の電流値が安全充電電流Isafeより大きいか否かを検出し得る。
【0098】
バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの充電電流の電流値が安全充電電流Isafeより大きい場合、バッテリーの充電電流は、調整され得る。
【0099】
バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの充電電流の電流値が安全充電電流Isafe未満又は等しい場合、バッテリー充電状態は継続して維持される。
【0100】
311:バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの電流値を調整する。
【0101】
バッテリー制御装置が、バッテリーにおけるN個のバッテリーモジュールの少なくとも1つの充電電流が安全充電電流Isafeより大きいことを検出した場合、バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの充電電流を調整することにより、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する電流値は、安全充電電流と等しく又は未満となる。
【0102】
本実施形態では、バッテリー制御装置は、充電電流がゼロになる前の各バッテリーモジュールの充電パラメータと充電電流がゼロである場合の各バッテリーモジュールの充電パラメータとを取得することによって、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルに対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するターゲットバッテリーモジュールを決定し、次に、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全充電電流を取得し、安全充電電流未満又は等しくなるように、バッテリーモジュールの充電電流を制御し、これにより、バッテリーの充電電流が安全な状態にあることを保証する。したがって、バッテリーの充電プロセスにおいて、異なるSOC期間におけるバッテリーモジュールの各バッテリーセルの充電電流は、安全電流範囲内である。これは、バッテリー過充電を回避し、充電安全性を改善する。
【0103】
前述は、バッテリー充電の観点から、本願の複数の実施形態において提供されるバッテリー制御方法を説明し、下記は、バッテリー放電の観点から、本願の複数の実施形態において提供されるバッテリー制御方法を説明する。
【0104】
図6は、本願の実施形態に従った別のバッテリー制御方法の概略フローチャートである。
図6に示されるように、本願の本実施形態において提供される別のバッテリー制御方法は、以下の段階を含み得る。
【0105】
601:バッテリー制御装置は、第3充電パラメータを取得する。
【0106】
電気自動車の充電終了後に、バッテリー制御装置は、複数の異なる時点で複数の第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する。具体的には、バッテリー制御装置は、時点T1における第3充電パラメータのグループを取得し、時点T2における第3充電パラメータの別のグループを取得し得る。第3充電パラメータは、バッテリーにおける各バッテリーモジュールの第3端子電圧、各バッテリーモジュールを通して流れる第3電流、第3充電パラメータが取得されるときの各バッテリーモジュールに対応する第3温度、及び第3充電パラメータが取得されるときの各バッテリーモジュールに対応するSOCを含むということは留意されるべきである。
【0107】
本実施形態では、バッテリー制御装置により取得される第3充電パラメータの少なくとも1つのグループは、第3端子電圧、第3電流、第3温度、及び第3SOCを含んでよく、さらに別のパラメータを含んでよいということは留意されるべきである。これは、本明細書では限定されるものではない。
【0108】
本実施形態では、バッテリー制御装置により取得される第3充電パラメータは、表3-1に対応する充電パラメータと同様である。詳細について表3-1を参照する。詳細はここでは再度記載はしない。
【0109】
602:バッテリー制御装置はターゲットパラメータを取得する。
【0110】
車両充電が終了すること又はバッテリー充電が一時中断することを、バッテリー制御装置が決定した後に、バッテリー制御装置は、バッテリー充電が終了した又はバッテリー充電がT分の間一時中断した後のターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得することを開始する。ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループは、バッテリーにおける各バッテリーモジュールの第4端子電圧、第4電流、第4温度、及び第4SOCを含む。例えば、N個のバッテリーモジュールの端子電圧は、それぞれ{U1,U2,・・・,UN}である。
【0111】
具体的には、例えば、バッテリー充電が終了した又はバッテリー充電が2分間一時中断した後に、バッテリー制御装置は、複数の異なる時点で、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得することを開始する。例えば、時点T5では、バッテリー制御装置は、ターゲットパラメータの1つのグループを取得し、時点T6では、バッテリー制御装置は、ターゲットパラメータの別のグループを取得する。本実施形態では、時点T5及びT6は、バッテリー充電が終了した又はバッテリー充電が2分間一時中断した後の時点であることは留意されるべきである。
【0112】
本実施形態では、バッテリー制御装置により取得されるターゲットパラメータは、表3-2に対応する充電パラメータと同様である。詳細について、表3-2を参照する。詳細は本明細書で再度記載はしない。
【0113】
603:バッテリー制御装置は、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲット充電状態を取得する。
【0114】
バッテリー制御装置が第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得した後に、バッテリー制御装置は、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲット充電状態を決定する。各バッテリーモジュールに対応する抵抗値は、充電が終了する対応する時点での、各バッテリーモジュールの抵抗値であり、ターゲットバッテリー充電状態は、充電が終了する対応する時点での、各バッテリーモジュールの充電状態である。具体的には、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲット充電状態は、{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}である。(R1,SOC1)は、第1バッテリーモジュールの内部抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態であり、類推により、(RN,SOCN)は、N番目のバッテリーモジュールの内部抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態である。
【0115】
本実施形態では、バッテリー制御装置は、最小二乗法を用いて第1充電パラメータを識別し、次に、拡張カルマンフィルタ(extended kalman filter, EKF)アルゴリズムに従って{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}を取得し得る。一般性を失うことなく、本実施形態では、別のアルゴリズムは、さらに、各バッテリーモジュールに対応する抵抗値及びターゲットバッテリー充電状態を取得するために用いられ得る。これは本明細書に限定されるものではない。
【0116】
604:バッテリー制御装置はターゲットバッテリーモジュールを決定する。
【0117】
バッテリー制御装置は、第4充電パラメータ及び{(R1,SOC1),(R2,SOC2),・・・,(RN,SOCN)}に基づいて、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールを決定し、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールは、ターゲットバッテリーモジュールである。
【0118】
本実施形態では、第4充電パラメータ及び{(R
1,SOC
1),(R
2,SOC
2),・・・,(R
N,SOC
N)}に基づいて、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールを、バッテリー制御装置が決定することは、
図3の段階306において、第2充電パラメータ及び{(R
1,SOC
1),(R
2,SOC
2),・・・,(R
N,SOC
N)}に基づいて、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールを、バッテリー制御装置が決定することと同様である。詳細は、本明細書で再度記載はしない。
【0119】
605:バッテリー制御装置は、第1抵抗の抵抗値を取得する。
【0120】
606:バッテリー制御装置は、複数の第2抵抗の抵抗値を取得する。
【0121】
本実施形態では、段階605及び606は、
図3に対応する実施形態における段階307及び308と同様である。詳細は、本明細書で再度記載はしない。
【0122】
607:バッテリー制御装置は、第1抵抗の抵抗値及び複数の第2抵抗の抵抗値に基づいて、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全放電電流を決定する。
【0123】
バッテリー制御装置がターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する抵抗値を取得した後に、バッテリー制御装置は、バッテリーシミュレーションモデルを用いて、ターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する分流I{0→100%}を取得する。例えば、Ro1は、バッテリーシミュレーションモデルにおける代入値として用いられ、バッテリーセル1が放電電流iを用いてSOC-100%からSOC-0%まで放電される場合の分流i1{100%→0}を取得し、Ro2は、バッテリーシミュレーションモデルにおける代入値として用いられ、バッテリーセル2が放電電流iを用いてSOC-100%からSOC-0%まで放電される場合の分流i2{100%→0}を取得する。放電電流iに対するバッテリーセル1に対応する並列分岐の分流の比k3、すなわち、k3=i1{100%→0}/iは、i1{100%→0}を用いて取得され得、放電電流iに対するバッテリーセル2に対応する並列分岐の分流の比k4、すなわち、k4=i2{100%→0}/iは、i2{100%→0}を用いて取得され得る。
【0124】
バッテリー制御装置は、バッテリーの現在のSOC及びバッテリーの現在の温度を取得し、M個のバッテリーセルによって許容される最大放電電流閾値imaxを決定する。
【0125】
具体的には、バッテリー制御装置は、最大放電電流閾値テーブルをクエリすることによって、バッテリーセルによって許容される最大放電電流閾値imaxを取得する。例えば、リチウム電池の最大放電電流閾値テーブルは、表3-3に示され得る。
【表5】
【0126】
表3-5に示されるように、バッテリーセルの温度が-10℃であり、バッテリーセルの充電状態が80%である場合、バッテリーセルの最大充電電流閾値imaxは20Aであり、具体的には、バッテリーセルは、20Aの最大放電電流を可能にすることができる、ということは理解され得る。
【0127】
したがって、本実施形態では、バッテリー制御装置は、テーブルをクエリすることにより、バッテリーセルの最大放電電流閾値を取得し得る。
【0128】
バッテリー制御装置は、k3、k4、及びバッテリーセルにより許容される最大放電電流閾値Imaxに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールにより許容される安全放電電流isafeを取得する。具体的には、isafe=min{imax/k3,imax/k4}、具体的には、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全放電電流isafeは、min{imax/k3,imax/k4}と等しい。
【0129】
608:バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの電流値が各々、安全放電電流より大きいか否かを検出し、大きい場合、段階609が実行される。
【0130】
バッテリーの放電プロセスにおいて、バッテリー制御装置は、検出ユニットを用いて、リアルタイムで、バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの放電電流の電流値が安全放電電流isafeより大きいか否かを検出し得る。
【0131】
バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの放電電流の電流値が安全放電電流isafeより大きい場合、バッテリーの放電電流は、調整され得る。
【0132】
バッテリーに含まれるN個のバッテリーモジュールの放電電流の電流値が安全放電電流isafe未満又は等しい場合、バッテリー放電状態は継続して維持される。
【0133】
609:バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの電流値を調整する。
【0134】
バッテリー制御装置が、バッテリーにおけるN個のバッテリーモジュールの少なくとも1つの放電電流が安全放電電流isafeより大きいことを検出した場合、バッテリー制御装置は、N個のバッテリーモジュールの放電電流を調整することにより、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する電流値が、安全放電電流isafeと等しく又は未満となる。
【0135】
本実施形態では、バッテリー制御装置は、充電が終了した又はバッテリー充電が一時中断した後のターゲットパラメータを取得することによって、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルに対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するターゲットバッテリーモジュールを決定し、次に、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全放電電流を取得し、安全放電電流未満又は等しくなるように、バッテリーモジュールの放電電流を制御し、これにより、バッテリーの放電電流が安全な状態にあることを保証する。したがって、本実施形態では、バッテリーの放電プロセスにおいて、異なるSOC期間におけるバッテリーモジュールの各バッテリーセルの放電電流は、安全電流範囲内である。これは、バッテリーの過剰放電を回避し、放電の安全性を改善する。
【0136】
前述は、本願の複数の実施形態におけるバッテリー制御方法を説明する。下記は、添付図面を参照して、本願の複数の実施形態におけるバッテリー制御装置を説明する。
【0137】
図7は、本願の実施形態に従ったバッテリー制御装置の概略ブロック図である。バッテリー制御装置70は、N個のバッテリーモジュールの電流値が各々、安全電流より大きいか否かを検出するように構成される検出ユニット701であって、安全電流は、ターゲットバッテリーモジュールの安全電流であり、ターゲットバッテリーモジュールは、同一のバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールであり、ターゲットバッテリーモジュールは、N個のバッテリーモジュールに含まれる、検出ユニット701と、N個のバッテリーモジュールの少なくとも1つの電流値が、安全電流より大きい場合、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する電流値が安全電流と等しく又は未満となるように、N個のバッテリーモジュールの電流値を調整するように構成される調整ユニット702と、を含む。
【0138】
任意選択で、本実施形態では、バッテリー制御装置70はさらに、第1抵抗の抵抗値を取得するように構成される第1取得ユニット703であって、第1抵抗はターゲットバッテリーモジュールの合計の抵抗である、第1取得ユニット703と、複数の第2抵抗の抵抗値を取得するように構成される第2取得ユニット704であって、第2抵抗は、ターゲットバッテリーモジュールにおけるM個のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の抵抗である、第2取得ユニット704と、第1抵抗の抵抗値及び第2抵抗の抵抗値に基づいて、ターゲットバッテリーモジュールに対応する安全電流を決定するように構成される第1決定ユニット705と、を含む。
【0139】
任意選択で、本実施形態では、第1取得ユニット703は、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する手順であって、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロではない複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第1端子電圧、第1電流、第1温度、及び第1バッテリー充電状態SOCを含み、第1SOCは、第1充電パラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、SOCは、バッテリーセルの飽和した容量に対するバッテリーセルの残存容量の比である、手順と、第1充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する手順と、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であることを決定する手順と、を実行するように具体的に構成される。
【0140】
任意選択で、本実施形態では、バッテリー制御装置70はさらに、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するように構成される第3取得ユニット706であって、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電電流がゼロである複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第2端子電圧、第2電流、第2温度、及び第2SOCを含み、第2SOCは、第2充電パラメータのグループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、第3取得ユニット706と、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールを決定するように構成される第2決定ユニット707と、を含む。
【0141】
任意選択で、本実施形態では、第2取得ユニット704は、第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、複数の第2抵抗の抵抗値を取得するように具体的に構成される。
【0142】
任意選択で、本実施形態では、バッテリー制御装置70はさらに、第1ターゲットSOCを取得するように構成される第4取得ユニット708であって、第1ターゲットSOCは、充電電流がゼロである場合の第1抵抗に対応するSOCである、第4取得ユニット708と、補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得するべく、第1ターゲットSOCに基づいて第2端子電圧を補正するように構成される補正ユニット709と、を含み、これに対応して、第2取得ユニット704は、補正された第2充電パラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、第2抵抗の抵抗値を取得するように具体的に構成される。
【0143】
任意選択で、本実施形態では、第1取得ユニット703は、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループを取得する手順であって、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループは、充電プロセスにおける複数の異なる時点で収集される充電パラメータであり、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第3端子電圧、第3電流、第3温度、及び第3SOCを含み、第3SOCは、第3充電パラメータの当該グループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCである、手順と、第3充電パラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値を決定する手順と、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する抵抗値から、ターゲットバッテリーモジュールに対応する抵抗値が第1抵抗の抵抗値であることを決定する手順と、を実行するように具体的に構成される。
【0144】
任意選択で、本実施形態では、第3取得ユニット706は、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するようにさらに構成され、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループは、充電終了後の複数の異なる時点で収集されるパラメータであり、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループの各々は、N個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応する第4端子電圧、第4電流、第4温度、及び第4SOCを含み、第4SOCは、ターゲットパラメータの当該グループが取得される際のN個のバッテリーモジュールにそれぞれ対応するSOCであり、第2決定ユニット707は、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループに基づいて、ターゲットバッテリーモジュールを決定するように構成される。
【0145】
任意選択で、本実施形態では、第2取得ユニット704は、ターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、複数の第2抵抗の抵抗値を取得するように具体的に構成される。
【0146】
任意選択で、本実施形態では、第4取得ユニット708は、第2ターゲットSOCを取得するようにさらに構成され、第2ターゲットSOCは充電終了の際の第1抵抗に対応するSOCであり、補正ユニット709は、第2ターゲットSOCに基づいて第4端子電圧を補正して、補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループを取得するように構成され、これに対応して、第2取得ユニット704は、補正されたターゲットパラメータの少なくとも1つのグループ及び第1抵抗の抵抗値に基づいて、複数の第2抵抗の抵抗値を取得するように具体的に構成される。
【0147】
実施形態において、バッテリーを通して流れる電流が安全電流より大きいことを検出ユニット701が検出する場合、調整ユニット702は、バッテリーを通して流れる電流を安全電流に調整し、安全電流は、同一のバッテリーモジュールにおける複数のバッテリーセルにそれぞれ対応する並列分岐回路の最大抵抗差を有するバッテリーモジュールに対応する安全電流であり、これにより、バッテリーモジュールにおける各バッテリーモジュールの充電電流は、安全電流未満又は等しくなり、これにより、各バッテリーセルの電流が安全電流範囲内であることを保証する。これは、バッテリーの過充電又は過剰放電を回避し、充電安全性を改善する。
【0148】
図8は、本願の実施形態に従ったバッテリー制御装置の概略構造図である。バッテリー制御装置80は、少なくとも1つのプロセッサ810、メモリ850、及び送受信機830を含む。送受信機は、受信機及び送信機を含み得る。メモリ850は、リードオンリメモリ及び/又はランダムアクセスメモリを含み、プロセッサ810に操作命令及びデータを提供し得る。メモリ850の一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)をさらに含み得る。
【0149】
いくつかの実装において、メモリ850は、以下の要素:実行可能なモジュール又はデータ構造、又はそれらのサブセット、又はそれらの拡張セットを格納する。
【0150】
本願の本実施形態では、メモリ850に格納される操作命令(操作命令がオペレーティングシステムに格納され得る)は、対応する操作を実行するべく呼び出される。プロセッサ810は、バッテリー制御装置80の操作を制御し、プロセッサ810はさらに、CPU(中央演算処理装置、central processing unit)と称され得る。メモリ850は、リードオンリメモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサ810に対する命令及びデータを提供し得る。メモリ850の一部はさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を含み得る。特定の用途の間に、バッテリー制御装置80の複数のコンポーネントは、バスシステム820を用いて共に連結される。データバスに加えて、バスシステム820は、電力バス、コントロールバス、及びステータス信号バスを含む。しかしながら、明確な説明のために、図における様々なタイプのバスは、バスシステム820としてマーキングされる。
【0151】
本願の前述の実施形態に開示される方法は、プロセッサ810に適用され得、又はプロセッサ810によって実装され得る。プロセッサ810は、集積回路チップであり得、信号処理能力を有する。実装プロセスにおいて、前述した方法における段階は、プロセッサ810におけるハードウェア論理集積回路を用いることによって、または、ソフトウェア形態の命令を用いることによって、実装され得る。プロセッサ810は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理デバイス、又は個別のハードウェアコンポーネントであり得る。本願の複数の実施形態において開示されるものは、方法、段階、および論理ブロック図を実装または実行し得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るか、又は、プロセッサは任意の従来のプロセッサなどであり得る。本願の複数の実施形態に関連して開示された方法の段階は、ハードウェア復号プロセッサを使用することによって直接実行され達成され得る、または、復号プロセッサにおけるハードウェアおよびソフトウェアモジュールの組み合わせを使用することによって実行され達成され得る。ソフトウェアモジュールが、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ、プログラマブルリードオンリメモリ、電気的消去可能プログラマブルメモリ、又はレジスタなど、当技術分野の成熟した記憶媒体に位置してよい。記憶媒体は、メモリ850に位置付けらる。メモリ850は、物理的に独立したユニットであってよく、又はプロセッサ810に統合されたものであってよい。プロセッサ810は、メモリ850から情報を読み出し、プロセッサのハードウェア810と組み合わせて前述した方法の段階を完了する。
【0152】
本実施形態の送受信機830は、
図3に対応する実施形態及び
図6に対応する実施形態における受信及び送信操作段階、又は、別の任意の実施形態におけるバッテリー制御装置のデータの送信及び受信の段階を実行するように構成され得る。
【0153】
プロセッサ810は、
図3に対応する実施形態及び
図6に対応する実施形態におけるデータ処理段階、又は別の任意の実施形態におけるバッテリー制御装置のデータ処理段階を実行するように構成され得る。
【0154】
図9は、本願の実施形態に従ったチップシステムの概略構造図である。チップシステム90は、少なくとも1つのプロセッサ910、メモリ950、及び通信インタフェース930を含む。メモリ950は、リードオンリメモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサ910に操作命令及びデータを提供し得る。メモリ950の一部がさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を含み得る。
【0155】
いくつかの実装において、メモリ950は、以下の要素:実行可能なモジュール又はデータ構造、又はそれらのサブセット、又はそれらの拡張セットを格納する。
【0156】
本願の本実施形態では、メモリ950に格納される操作命令(操作命令がオペレーティングシステムに格納され得る)は、対応する操作を実行するべく呼び出される。
【0157】
プロセッサ910は、チップシステムの操作を制御し、プロセッサ910はさらに、CPU(中央演算処理装置、central processing unit)と称され得る。メモリ950は、リードオンリメモリ及びランダムアクセスメモリを含み、プロセッサ910に命令及びデータを提供し得る。メモリ950の一部がさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を含み得る。特定の用途において、チップシステム90のコンポーネントは、バスシステム920を用いて共に連結される。データバスに加えて、バスシステム920は、電力バス、コントロールバス、及びステータス信号バスを含む。しかしながら、明確な説明のために、図における様々なタイプのバスは、バスシステム920としてマーキングされる。
【0158】
本願の前述の実施形態に開示される方法は、プロセッサ910に適用され得、又はプロセッサ910によって実装され得る。プロセッサ910は、集積回路チップであってよく、信号処理能力を有する。実装プロセスにおいて、前述の方法における段階は、プロセッサ910におけるハードウェア論理集積回路を用いることによって、または、ソフトウェア形態の命令を用いることによって、実装されることができる。プロセッサ910は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理デバイス、又は個別のハードウェアコンポーネントであり得る。本願の複数の実施形態において開示されるものは、方法、段階、および論理ブロック図を実装または実行し得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るか、または、プロセッサは任意の従来のプロセッサなどであり得る。本願の複数の実施形態を参照して開示された方法の段階は、ハードウェア復号プロセッサを使用することによって直接実行され達成され得る、または、復号プロセッサにおけるハードウェアおよびソフトウェアモジュールの組み合わせを使用することによって実行され達成され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ、プログラマブルリードオンリメモリ、電気的消去可能プログラマブルメモリ、又はレジスタなど、当技術分野における成熟した記憶媒体に位置してよい。記憶媒体は、メモリ950に位置付けらる。メモリ950は、物理的に独立したユニットであってよく、又はプロセッサ910に統合されたものであってよい。プロセッサ910は、メモリ950から情報を読み出し、プロセッサ910のハードウェアと組み合わせて前述した方法の段階を完了する。
【0159】
本実施形態の通信インタフェース930は、
図3に対応する実施形態及び
図6に対応する実施形態における受信及び送信操作段階、又は、別の任意の実施形態におけるバッテリー制御装置のデータの送信及び受信の段階を実行するように構成され得る。
【0160】
プロセッサ910は、
図3に対応する実施形態及び
図6に対応する実施形態におけるデータ処理段階、又は別の任意の実施形態におけるバッテリー制御装置のデータ処理段階を実行するように構成され得る。
【0161】
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって実装されてよい。これらの実施形態を実装するのにソフトウェアが用いられる場合、これらの実施形態は、コンピュータプログラムプロダクトの形態で完全に又は部分的に実装されてよい。
【0162】
コンピュータプログラムプロダクトは、1又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータ上でロードされ、実行される場合、本願の複数の実施形態に従った手順又は機能が全て又は部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク又はその他のプログラマブル装置であってよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてよく、又はコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体へ送信されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、またはデジタル加入者線(DSL))方式または無線(例えば、赤外線、電波またはマイクロ波)方式で、あるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに送信されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセス可能な任意の使用可能な媒体であってよく、1又は複数の使用可能な媒体を統合したサーバまたはデータセンタなどのデータ記憶デバイスであってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスクまたは磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)または半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ、Solid State Disk (SSD))等であってよい。
【0163】
実施形態における方法の段階の全て又は一部が、プログラム命令関連ハードウェアにより実装され得るということは、当業者は理解してよい。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。記憶媒体は、ROM,RAM,磁気ディスク、又は光学ディスクなどを含み得る。
【0164】
本願の明細書、クレーム、及び添付図面において、用語"第1"、及び"第2"などは、同様の対象物間を区別することを意図されるが、特定の順序又はシーケンスを必ずしも示すものではない。そのようなやり方で称されるデータは、本明細書において説明される本発明の実施形態が、本明細書において示され、または説明される順序以外の順序で実装され得るように、適切な状況においては交換可能であることを理解されるべきである。さらに、用語「含む」、「有する」、又は任意の他のそれらの変形は、非排他的に包含することを含むことを意図される。本願において出現する段階のネーミング又は付番は、方法の手順の段階が、ネーミング又は付番によって示される時間/論理順序において実行される必要があるということを意味しない。ネーミング又は付番された手順における段階の実行順序は、同一又は同様の技術効果が達成できるかぎり、達成される技術目的に従って変更されることができる。
【0165】
前述の実施形態は、本願の技術的解決手段を説明することを意図しているに過ぎず、本願を限定するものではない。前述の実施形態に関連して本願が詳細に説明されているが、当業者であればさらに、本願の実施形態の技術的解決法の趣旨および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態において説明された技術的解決法に対して変更を施し得、または、それらのいくつかの技術的特徴に対して等価な置き換えを行い得ることを当業者は理解すべきである。